JP2006113207A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】短い時間で空セルに液晶材料を注入可能とすること。
【解決手段】本発明の液晶表示装置1は、アレイ基板2、前記アレイ基板2と向き合った対向基板3と、前記アレイ基板2と前記対向基板3との間に介在すると共に枠形状を有する接着剤層4とを備え、前記接着剤層4には前記アレイ基板2と前記対向基板3と前記接着剤層4とに囲まれた内部空間をその外側の外部空間に連通する注入口が設けられた空セルと、前記内部空間を満たした誘電率異方性が負の液晶材料5と、前記注入口を塞いだ封止体とを具備し、表示領域におけるセルギャップは、前記注入口の近傍でより大きいことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明の液晶表示装置1は、アレイ基板2、前記アレイ基板2と向き合った対向基板3と、前記アレイ基板2と前記対向基板3との間に介在すると共に枠形状を有する接着剤層4とを備え、前記接着剤層4には前記アレイ基板2と前記対向基板3と前記接着剤層4とに囲まれた内部空間をその外側の外部空間に連通する注入口が設けられた空セルと、前記内部空間を満たした誘電率異方性が負の液晶材料5と、前記注入口を塞いだ封止体とを具備し、表示領域におけるセルギャップは、前記注入口の近傍でより大きいことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
本発明は、液晶表示装置に関する。
誘電率異方性が負の液晶材料と垂直配向膜とを使用するVA(Vertically Aligned)モードの液晶表示装置によると、TN(Twisted Nematic)モードの液晶表示装置と比較して、より速い応答速度を実現することができる。しかも、VAモードの液晶表示装置では、静電気破壊などの不良を発生させるラビング処理が不要である。なかでも、マルチドメイン方式を採用したVAモード(以下、MVAモードという)の液晶表示装置は、広視野角化も比較的容易であることから、特に注目を集めている。
MVAモードでは、液晶層中に電界勾配を形成すること、及び/又は、基板表面に突起を設けることにより、液晶層中の各画素領域を液晶分子のチルト方向が互いに異なる複数のドメインへと分割する。例えば、画素電極及び対向電極の少なくとも一方にスリットを設け、ドメイン毎に電界の向きを異ならしめる。或いは、アレイ基板及び対向基板の少なくとも一方の対向面に畝状凸部からなる凸パターンを設ける。或いは、スリットと凸パターンとを組み合わせる。
ところで、VAモードの液晶表示装置では、上記の通り、誘電率異方性が負の液晶材料と垂直配向膜とを使用するため、一般に、空セルへの液晶材料の注入に長時間を要する。特に、先の凸パターンを設けたMVAモードの液晶表示装置は、これら凸パターンが空セルへの液晶材料の注入を妨げるため、空セルへの液晶材料の注入に極めて長時間を要し、高い生産性を実現することが難しい。
また、空セルへの液晶材料の注入に要する時間,Just注入時間,には、各構成要素の形状及び組成などのばらつき並びに温度などの注入条件のばらつきが影響を与える。注入時間が長い場合、これらばらつきに起因してJust注入時間が大きくばらつくこととなる。そのため、特に、ドメイン分割に凸パターンを利用する場合などには、注入不良を生じ易い。
本発明の目的は、短い時間で空セルに液晶材料を注入可能とすることにある。
本発明の第1側面によると、アレイ基板と、前記アレイ基板と向き合った対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に介在すると共に枠形状を有する接着剤層とを備え、前記接着剤層には前記アレイ基板と前記対向基板と前記接着剤層とに囲まれた内部空間をその外側の外部空間に連通する注入口が設けられた空セルと、前記内部空間を満たした誘電率異方性が負の液晶材料と、前記注入口を塞いだ封止体とを具備し、表示領域におけるセルギャップは、前記注入口の近傍でより大きいことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
本発明の第2側面によると、第1基板とその一主面上で配列した複数の画素電極と前記複数の画素電極を被覆した第1垂直配向膜とを含んだアレイ基板と、前記第1垂直配向膜と向き合った第2基板とその前記アレイ基板との対向面上に設けられた対向電極と前記対向電極を被覆した第2垂直配向膜とを含んだ対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に介在すると共に前記複数の画素電極を取り囲んだ接着剤層とを備え、前記接着剤層には前記アレイ基板と前記対向基板と前記接着剤層とに囲まれた内部空間をその外側の外部空間に連通する注入口が設けられた空セルと、前記内部空間を満たした誘電率異方性が負の液晶材料と、前記注入口を塞いだ封止体とを具備し、前記空セルは、前記第1基板の前記主面上又は前記対向電極上に配置された第1誘電体パターンと、前記対向電極と前記第2垂直配向膜との間に介在し且つ前記第1誘電体パターンと比較してより薄い第2誘電体パターンとをさらに備え、前記第1誘電体パターンの一部は、前記内部空間内に複数の第1スペーサを形成し、前記第1誘電体パターンの他の一部と前記第2誘電体パターンの一部とは、前記注入口の近傍で重なり合って第2スペーサを形成し、前記第2誘電体パターンの他の一部は、前記対向基板の前記アレイ基板との対向面に、前記複数の画素電極とそれぞれ向き合った複数の凸パターンを形成していることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
本発明の第3側面によると、第1基板とその一主面上で配列した複数の画素電極と前記複数の画素電極を被覆した第1垂直配向膜とを含んだアレイ基板と、前記第1垂直配向膜と向き合った第2基板とその前記アレイ基板との対向面上に設けられた対向電極と前記対向電極を被覆した第2垂直配向膜とを含んだ対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に介在すると共に前記複数の画素電極を取り囲んだ接着剤層とを備え、前記接着剤層には前記アレイ基板と前記対向基板と前記接着剤層とに囲まれた内部空間をその外側の外部空間に連通する注入口が設けられた空セルと、前記内部空間を満たした誘電率異方性が負の液晶材料と、前記注入口を塞いだ封止体とを具備し、前記アレイ基板の前記対向基板との対向面には第1凸構造が設けられ、前記対向基板の前記アレイ基板との対向面には前記第1構造と比較して高さがより低い第2凸構造が設けられ、前記第1凸構造の一部は、前記内部空間内に位置した複数の第1スペーサを構成し、前記第1凸構造の他の一部と前記第2凸構造の一部とは、前記注入口の近傍で重なり合って第2スペーサを構成し、前記第2凸構造の他の一部は、前記対向基板の前記アレイ基板との対向面に位置すると共に前記複数の画素電極とそれぞれ向き合った複数の凸パターンを構成していることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
本発明によると、短い時間で空セルに液晶材料を注入することが可能となる。
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様に係る液晶表示装置を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す液晶表示装置のII−II線に沿った断面図である。図3は、図1の液晶表示装置を拡大して示す平面図である。図4は、図3の液晶表示装置のIV−IV線に沿った断面図である。図5は、図3の液晶表示装置のV−V線に沿った断面図である。なお、図1及び図3には、対向基板側から見た液晶表示装置を描いている。
図1乃至図5では、簡略化のため、一部の構成要素を省略している。例えば、図2では、対向基板のアレイ基板との対向面に凸構造を生じさせるための誘電体パターンと、画素電極に設けるスリットとを省略している。図3では、アレイ基板の画素電極と先の凸構造と液晶分子とを描き、他の構成要素は省略している。図4及び図5では、スイッチング素子、カラーフィルタ、偏光板などを省略している。
この液晶表示装置1は、MVA型の液晶表示装置である。この液晶表示装置1は、図1、図2、図4及び図5に示すように、アレイ基板2と対向基板3とを含んでいる。アレイ基板2と対向基板3とは、僅かな間隙を隔てて互いに向き合っている。アレイ基板2及び対向基板3の構造については、後で詳述する。
アレイ基板2と対向基板3との間には、図2に示すように、接着剤層4が介在している。接着剤層4は、例えば、熱硬化型樹脂などの接着剤を用いて形成する。この接着剤層4は、図1に示すように、枠形状を有している。接着剤層4は、アレイ基板2と対向基板3とを互いに接着しており、アレイ基板2及び対向基板3と共に空セルを形成している。
接着剤層4が形成する枠は、図1に示すように、空セルの一端面側で開口している。この開口部は、アレイ基板2と対向基板3と接着剤層4とに囲まれた内部空間をその外側の外部空間に連通する注入口として利用する。
アレイ基板2と対向基板3との間であって、接着剤層4が形成する枠の外側には、トランスファ電極(図示せず)が介在している。このトランスファ電極により、アレイ基板2と対向基板3とを電気的に接続する。
空セルの内部空間は、図2に示すように、液晶材料5で満たされている。液晶材料5は、液晶層を形成している。この液晶表示装置1では、液晶材料5として、誘電率異方性が負の液晶材料,特には誘電率異方性が負のネマチック液晶,を使用している。空セルへの液晶材料の注入は、例えば、ディップ式又はディスペンサ式などの注入方式を利用する。
空セルの注入口は、図1に示すように、封止体6で塞がれている。封止体6は、例えば、紫外線硬化型樹脂などの接着剤を注入口にディスペンスし、これを硬化させることにより形成する。
図2に示すように、アレイ基板2の外面には、偏光板7が貼り付けられている。また、対向基板3の外面にも、偏光板7が貼り付けられている。
アレイ基板2の対向基板3側の主面には、図1に示すように、信号線駆動回路8及び走査線駆動回路9が配置されている。なお、この液晶表示装置1は、通常、アレイ基板2の外面を照明するバックライトをさらに含んでいる。
次に、アレイ基板2及び対向基板3の構造を説明する。
アレイ基板2は、第1基板として、図2に示すように、例えばガラス基板などの光透過性を有する絶縁基板20を含んでいる。この絶縁基板20の一主面上には、配線、層間絶縁膜、スイッチング素子21などが形成されている。それらの上には、カラーフィルタ22、画素電極23、及び配向膜24が順次形成されている。また、カラーフィルタ22の周囲には、周辺遮光層(又は額縁)25が形成されている。
アレイ基板2は、第1基板として、図2に示すように、例えばガラス基板などの光透過性を有する絶縁基板20を含んでいる。この絶縁基板20の一主面上には、配線、層間絶縁膜、スイッチング素子21などが形成されている。それらの上には、カラーフィルタ22、画素電極23、及び配向膜24が順次形成されている。また、カラーフィルタ22の周囲には、周辺遮光層(又は額縁)25が形成されている。
絶縁基板20上に形成する配線は、アルミニウム、モリブデン、及び銅などからなるゲート線、信号線、及び補助容量線などである。また、スイッチング素子21は、例えば、アモルファスシリコンやポリシリコンを半導体層とし、アルミニウム、モリブデン、クロム、銅、及びタンタルなどをメタル層としたTFTであり、ゲート線及び信号線などの配線並びに画素電極23と接続されている。アレイ基板2では、このような構成により、所望の画素電極23に対して選択的に電圧を印加することを可能としている。
カラーフィルタ22は、青、緑、赤色の着色層22B,22G,22Rで構成されている。カラーフィルタ22には、コンタクトホールが設けられており、画素電極23は、このコンタクトホールを介してスイッチング素子21と接続されている。着色層22B,22G,22Rは、着色染料や着色顔料を含有した感光性樹脂を用いて形成することができる。
画素電極23の材料には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料を用いることができる。画素電極23は、例えばスパッタリング法などにより薄膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてその薄膜をパターニングすることにより形成することができる。
画素電極23は、絶縁基板20の主面と略平行であり且つ互いに交差する第1及び第2方向に配列している。この例では、画素電極23は、図3に示すように、空セルの注入口が設けられた端面に略垂直な第1方向D1と、先の端面と略平行な第2方向D2とに配列している。第1方向D1に隣り合う画素電極23は、それらの間に、長手方向が第2方向D2と略平行なスリットSLTを形成している。また、第2方向D2に隣り合う画素電極23は、それらの間に、長手方向が第1方向D1と略平行なスリットSLTを形成している。
各画素電極23は、図3に示すように、第1方向D1に平行な辺と及び第2方向D2に平行な辺とを有する矩形にスリットSLTを設けた形状を有している。各画素電極23に設けられたスリットSLTは、スリットパターンを形成している。
画素電極23に設けられたスリットSLTの一部は、その長手方向が、第1方向D1に平行である。画素電極23に設けられたスリットSLTの他の一部は、その長手方向が、第1方向D1及び第2方向D2と交差する第3方向D3に平行である。画素電極23に設けられたスリットSLTのさらに他の一部は、その長手方向が、第1方向D1と第2方向D2と第3方向D3と交差する第4方向D4に平行である。この例では、第3方向D3は、第1方向D1に対して略45°の角度を為している。また、この例では、第4方向D4は、第3方向D3と略直交している。
画素電極23上に形成する配向膜24は、ポリイミドなどの透明樹脂からなる薄膜で構成されている。この配向膜24には、ラビング処理は施さずに垂直配向性を付与している。
周辺遮光層25は、カラーフィルタ22を取り囲んでいる。周辺遮光層25は、着色染料や着色顔料を含有した感光性樹脂を用いて形成することができる。
対向基板3は、第2基板として、図2に示すように、例えばガラス基板などの光透過性を有する絶縁基板30を含んでいる。この絶縁基板30の一主面上には、対向電極である共通電極33と配向膜34とが順次形成されている。
共通電極33は、全ての画素電極23と向き合った連続膜として形成されている。画素電極23の材料には、例えば、ITOなどの透明導電材料を用いることができる。
配向膜34は、ポリイミドなどの透明樹脂からなる薄膜で構成されている。この配向膜34には、ラビング処理は施さずに垂直配向性を付与している。
本態様では、図5に示すように、絶縁基板20の対向基板3との対向面に、パターニングされた誘電体層,すなわち第1誘電体パターン,26を配置している。ここでは、一例として、第1誘電体パターン26は、カラーフィルタ22上に配置することとする。また、本態様では、図4及び図5に示すように、絶縁基板30と配向膜34との間に、パターニングされた誘電体層,すなわち第2誘電体パターン,36を配置している。
第1誘電体パターン26は、アレイ基板2の対向基板3との対向面に、図3及び図5に示す第1凸構造PRT1を生じさせている。図1に示す表示領域AA,すなわち、画素電極23が配置された領域,では、第1凸構造PRT1は第1スペーサを構成している。
他方、第2誘電体パターン36は、対向基板3のアレイ基板との対向面に、図3及び図4に示す第2凸構造PRT2を生じさせている。図1に示す表示領域AAでは、第2凸構造PRT2は、画素電極23とそれぞれ向き合った複数の凸パターンを構成している。
第2誘電体パターン36が対向基板3のアレイ基板との対向面に形成している凸パターンのそれぞれは、図3に示すように、第1方向D1に延びた畝状凸部と、第2方向D2に延びた畝状凸部と、第3方向Dに延びた畝状凸部と、第4方向D4に延びた畝状凸部とを含んでいる。この液晶表示装置1では、以下に説明するように、これら凸パターンとスリットSLTとを利用して、液晶層中の各画素領域を液晶分子のチルト方向が互いに異なる複数のドメインへと分割する。
画素電極23と共通電極33との間に絶対値の小さな第1電圧を印加すると、液晶材料5内には電界が形成される。液晶材料5は誘電率異方性が負であるので、液晶分子LCには、これを電気力線に対して垂直に配向させる力が加わる。
スリットSLTの上部では、電気力線は、例えば、図4に破線で示すように、画素電極23及び共通電極33の主面に対して垂直とはならずに傾く。そのため、スリットSLTの上部では、液晶分子LCには、この斜めに傾いた電気力線に対して垂直に配向させる力が加わる。すなわち、液晶分子LCには、これを例えば図4に示すように傾ける力が加わる。
他方、配向膜24及び34は垂直配向膜であるので、配向膜24及び34は、液晶分子LCをそれらの膜面に対して垂直に配向させようとする。そのため、誘電体パターン36の下部では、配向膜34は、液晶分子LCを、これを例えば図4に示すように傾けようとする。
その結果、液晶層中の画素電極23に対応した各画素領域は、図3に示すように、スリットSLT及び凸構造PRT2を境界として、液晶分子LCのチルト方向が互いに異なる複数のドメインへと分割される。なお、この例では、各画素領域には、液晶分子LCのチルト方向が互いに異なる4種のドメインが計10個形成されている。
画素電極23と共通電極33との間に印加する電圧を、第1電圧と比較して絶対値がより大きな第2電圧とすると、液晶分子LCは、そのチルト方向を維持したまま、その分子軸と画素電極23及び共通電極33の主面とが為す角度を小さくする。この液晶表示装置1では、これによって生じる液晶層の屈折率変化を利用して表示を行う。
さて、本態様では、液晶表示装置1に上記の構造を採用するのに加え、表示領域AAにおけるセルギャップを注入口側でより大きくする。なお、「セルギャップ」とは、画素電極23に対応した領域内であって、配向膜24の誘電体層26及びスリットSLTから離間した部分と、配向膜34の誘電体層36から離間した部分との間の、アレイ基板2の一主面に垂直な方向の距離を意味する。このような液晶表示装置1は、比較的短い時間で空セルに液晶材料を注入することができる。
図6は、注入口近傍におけるセルギャップと空セルへの液晶材料の注入に要する時間との関係の一例を示すグラフである。図中、横軸は、表示領域AAのうち注入口に最も近い3箇所で測定したセルギャップの平均値を示し、縦軸はJust注入時間を示している。
図6には、誘電率異方性が負のネマチック液晶を空セルにディップ式で注入することにより得られたデータを示している。各試験は、表示領域AAの寸法が対角10インチの空セルを使用し、注入口近傍以外のセルギャップを約2.5μmとして行った。
図6に示すように、注入口近傍におけるセルギャップを広げると、Just注入時間を短縮することができる。Just注入時間が短ければ、各構成要素の形状及び組成などのばらつき並びに温度などの注入条件のばらつきがJust注入時間に及ぼす影響は小さい。すなわち、注入口近傍におけるセルギャップを広げると、Just注入時間のばらつきを小さくすることができ、したがって、注入不良を発生し難くすることができる。
注入口近傍におけるセルギャップは、注入口近傍に高さが十分に高い第2スペーサを配置することにより、広げることができる。
図7は、図1に示す液晶表示装置の注入口を拡大して示す平面図である。なお、図7には、対向基板3側から見た液晶表示装置1を描いている。また、図7では、簡略化のため、接着剤層4のみを描き、他の構成要素は省略している。
注入口近傍,例えば、図7の領域A0内,に高さが十分に高い第2スペーサを配置すると、その位置で、絶縁基板20と絶縁基板30との距離が広がる。その結果、表示領域AAの注入口近傍で、セルギャップが広くなる。
第2スペーサは、図7に示す領域A0内の何れの位置に配置してもよい。また、領域A0内に、第2スペーサを1つのみ配置してもよく、或いは、複数配置してもよい。さらに、第2スペーサは、第1スペーサと径や形状が等しい必要はない。
領域A0内に配置する第2スペーサには、例えば、図8及び図9に示す構造を採用することができる。
図8は、注入口近傍のセルギャップを広げるのに利用可能な構造の一例を示す断面図である。図9は、注入口近傍のセルギャップを広げるのに利用可能な構造の他の例を示す断面図である。なお、図8及び図9では、簡略化のため、スイッチング素子、カラーフィルタ、偏光板などを省略している。
図7に示す領域A1は、注入口近傍に位置した表示領域AA内の領域である。この領域A1内に配置する第2スペーサには、例えば、図8の構造を採用することができる。すなわち、対向電極33の図3に示した第1凸構造PRT1との対向部に、第2誘電体パターン36を存在させる。こうすると、図8に示すように、この第2誘電体パターン36が対向基板3の表面に形成する第2凸構造PRT2と第1凸構造PRT1とが重なり合う。
これら第1凸構造PRT1及び第2凸構造PRT2からなる第2スペーサは、図5の第1凸構造PRT1のみからなる第1スペーサと比較してより高い。したがって、領域A1で図8の構造を採用すると、注入口近傍のセルギャップを広げることができる。
図7に示す領域A2は、注入口近傍であって接着剤層4が形成している枠の外側に位置した領域である。この領域A2内に配置する第2スペーサには、例えば、図9の構造を採用することができる。すなわち、領域A2内に第1誘電体パターン26を存在させると共に、この第1誘電体パターン26と向き合うように対向電極33上に第2誘電体パターン36を存在させる。こうすると、図9に示すように、この第2誘電体パターン36が対向基板3の表面に形成する第2凸構造PRT2と第1凸構造PRT1とが重なり合う。
第2誘電体パターン36は、配向膜PRT1の厚さと配向膜PRT2の厚さとの和よりも厚い。したがって、例えば、図9に示す第1誘電体パターン26の絶縁基板20からの距離と、図5に示す第1誘電体パターン26の絶縁基板20からの距離とがほぼ等しければ、領域A2で図9の構造を採用することにより、注入口近傍のセルギャップを広げることができる。
この液晶表示装置1において、第1誘電体パターン26の厚さは、例えば、3.0μm乃至6.0μmの範囲内とする。また、第2誘電体パターン36は、第1誘電体パターン26よりも薄く形成する。例えば、第1誘電体パターン26の厚さは、0.2μm乃至1.0μmの範囲内とする。
第1誘電体パターン26の材料としては、例えば、感光性樹脂などの有機誘電体を使用することができる。この感光性樹脂として、カラーフィルタ22を構成している着色層22B,22G,22Rの材料を使用してもよい。この場合、着色層22B,22G,22Rの2以上を重ね合わせることにより、第1誘電体パターンの少なくとも一部とカラーフィルタ22とを同時に形成することができる。また、この感光性樹脂として、周辺遮光層25の材料を使用してもよい。この場合、第1誘電体パターンの少なくとも一部と周辺遮光層25とを同時に形成することができる。
第2誘電体パターン36の材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂、高分子液晶、などの有機誘電体や、SiO2、SiNx、Al2O3などの無機誘電体を使用することができる。
本態様では、第1誘電体パターン26をアレイ基板2に設けたが、第1誘電体パターン26は対向基板3に設けてもよい。例えば、第1誘電体パターン26は、対向電極33上に配置してもよい。
また、本態様では、カラーフィルタ22及び周辺遮光層25をアレイ基板2に設けたが、これらは対向基板3に設けてもよい。例えば、カラーフィルタ22及び周辺遮光層25を絶縁基板30上に配置し、このカラーフィルタ22上に対向電極33及び配向膜34を順次形成してもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本例では、以下に説明する方法により、図1乃至図5に示す液晶表示装置1を作製した。なお、本例では、注入口近傍におけるセルギャップを広げるべく、図7に示す領域A1内に図8の構造を採用した。
(実施例1)
本例では、以下に説明する方法により、図1乃至図5に示す液晶表示装置1を作製した。なお、本例では、注入口近傍におけるセルギャップを広げるべく、図7に示す領域A1内に図8の構造を採用した。
まず、通常のアレイ基板形成プロセスと同様に成膜とパターニングとを繰返し、ガラス基板20上に、各種配線及びTFT21などを形成した。次に、ガラス基板20のTFT21等を形成した面に、常法によりカラーフィルタ22を形成した。このカラーフィルタ層22の厚さは、約3.0μmとした。
次いで、カラーフィルタ22に対し、所定のパターンのマスクを介してITOをスパッタリングした。その後、このITO膜上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして用いてITO膜の露出部をエッチングした。以上のようにして、図2乃至図4に示す画素電極23を形成した。
次に、ガラス基板20の画素電極23を形成した面に、スピナーを用いて、黒色顔料を含有した感光性樹脂を塗布した。この塗膜を乾燥させた後、紫外線を用いたパターン露光と、アルカリ水溶液を用いた現像と、焼成とを順次実施した。これにより、図2の周辺遮光層25と図5及び図8の第1誘電体パターン26とを得た。この第1誘電体パターン26の厚さは、約5.0μmとした。
その後、ガラス基板20の画素電極23を形成した面の全面に熱硬化性樹脂を塗布し、この塗膜を焼成することにより、垂直配向性を示す厚さ70nmの配向膜24を形成した。以上のようにして、アレイ基板2を作製した。
次に、別途用意したガラス基板30の一方の主面上に、共通電極33として、スパッタリング法を用いてITO膜を形成した。次いで、共通電極33上に、スピナーを用いて、感光性樹脂を塗布した。この塗膜を乾燥させた後、紫外線を用いたパターン露光と、アルカリ水溶液を用いた現像と、焼成とを順次実施した。これにより、第2誘電体パターン36を得た。この第2誘電体パターン36の厚さは、約0.5μmとした。
続いて、ガラス基板30の誘電体パターン36を形成した面に、アレイ基板2に関して説明したのと同様の方法により配向膜34を形成した。以上のようにして、対向基板3を作製した。
次いで、アクティブマトリクス基板2と対向基板3の対向面周縁部とを、エポキシ系熱硬化型樹脂4を用いて貼り合わせて、表示領域AAの寸法が対角10インチの空セルを形成した。この空セルに、ディップ式で誘電率異方性が負のネマチック液晶材料5を注入した。このとき、Just注入時間は、約12時間であった。
その後、注入口を紫外線硬化樹脂6を用いて塞ぎ、アレイ基板2及び対向基板3の外面に偏光板7を貼り付けた。以上のようにして、図1乃至図5に示す液晶表示装置1を完成した。
次に、この液晶表示装置1のセルギャップを測定した。その結果、注入口近傍におけるセルギャップは約5.5μmであり、注入口近傍以外のセルギャップは約5.0μmであった。
(比較例)
本例では、図7に示す領域A1内に、図8の構造を採用する代わりに、図5の構造を採用したこと以外は、上記実施例1で説明したのと同様の方法により液晶表示装置を作製した。
本例では、図7に示す領域A1内に、図8の構造を採用する代わりに、図5の構造を採用したこと以外は、上記実施例1で説明したのと同様の方法により液晶表示装置を作製した。
本例では、注入口近傍におけるセルギャップ及び注入口近傍以外のセルギャップは、何れも約5.0μmであった。また、本例では、Just注入時間は、約18時間であった。
(実施例2)
本例では、図7に示す領域A1内には図8の構造を採用せずに図5の構造を採用し、図7に示す領域A2内に図9の構造を採用した。これ以外は、実施例1で説明したのと同様の方法により、図1乃至図5に示す液晶表示装置1を作製した。
本例では、図7に示す領域A1内には図8の構造を採用せずに図5の構造を採用し、図7に示す領域A2内に図9の構造を採用した。これ以外は、実施例1で説明したのと同様の方法により、図1乃至図5に示す液晶表示装置1を作製した。
本例でも実施例1と同等の時間で注入を完了した。
(実施例3)
本例では、周辺遮光層25の材料を用いて第1誘電体パターン26を形成する代わりに、カラーフィルタ22の着色層22B,22G,22Rを部分的に重ね合わせることにより第1誘電体パターン26を形成した。これ以外は、実施例2で説明したのと同様の方法により、図1乃至図5に示す液晶表示装置1を作製した。
本例では、周辺遮光層25の材料を用いて第1誘電体パターン26を形成する代わりに、カラーフィルタ22の着色層22B,22G,22Rを部分的に重ね合わせることにより第1誘電体パターン26を形成した。これ以外は、実施例2で説明したのと同様の方法により、図1乃至図5に示す液晶表示装置1を作製した。
本例では、注入口近傍におけるセルギャップは約5.7μmであり、注入口近傍以外のセルギャップは約5.0μmであった。また、本例では、Just注入時間は、約11時間であった。
1…液晶表示装置、2…アレイ基板、3…対向基板、4…接着剤層、5…液晶材料、6…封止体、7…偏光板、8…信号線駆動回路、9…走査線駆動回路、20…第1基板、21…スイッチング素子、22…カラーフィルタ、22B…着色層、22G…着色層、22R…着色層、23…画素電極、24…配向膜、25…周辺遮光層、26…第1誘電体パターン、30…第2基板、33…共通電極、34…配向膜、36…第2誘電体パターン、A0…領域、A1…領域、A2…領域、AA…表示領域、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、D4…第4方向、LC…液晶分子、PRT1…第1凸構造、PRT2…第2凸構造、SLT…スリット。
Claims (7)
- アレイ基板と、前記アレイ基板と向き合った対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に介在すると共に枠形状を有する接着剤層とを備え、前記接着剤層には前記アレイ基板と前記対向基板と前記接着剤層とに囲まれた内部空間をその外側の外部空間に連通する注入口が設けられた空セルと、
前記内部空間を満たした誘電率異方性が負の液晶材料と、
前記注入口を塞いだ封止体とを具備し、
表示領域におけるセルギャップは、前記注入口の近傍でより大きいことを特徴とする液晶表示装置。 - 前記アレイ基板は、第1基板と、その一主面上で配列した複数の画素電極と、前記複数の画素電極を被覆した第1垂直配向膜とを含み、
前記対向基板は、前記第1垂直配向膜と向き合った第2基板と、その前記アレイ基板との対向面上に設けられた対向電極と、前記対向電極を被覆した第2垂直配向膜とを含み、
前記接着剤層は、前記複数の画素電極を取り囲み、
前記空セルは、前記第1基板の前記主面上又は前記対向電極上に配置された第1誘電体パターンと、前記対向電極と前記第2垂直配向膜との間に介在し且つ前記第1誘電体パターンと比較してより薄い第2誘電体パターンとをさらに備え、
前記第1誘電体パターンの一部は、前記内部空間内に複数の第1スペーサを形成し、
前記第1誘電体パターンの他の一部と前記第2誘電体パターンの一部とは、前記注入口の近傍で重なり合って第2スペーサを形成し、
前記第2誘電体パターンの他の一部は、前記対向基板の前記アレイ基板との対向面に、前記複数の画素電極とそれぞれ向き合った複数の凸パターンを形成していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。 - 前記アレイ基板は、第1基板と、その一主面上で配列した複数の画素電極と、前記複数の画素電極を被覆した第1垂直配向膜とを含み、
前記対向基板は、前記第1垂直配向膜と向き合った第2基板と、その前記アレイ基板との対向面上に設けられた対向電極と、前記対向電極を被覆した第2垂直配向膜とを含み、
前記接着剤層は、前記複数の画素電極を取り囲み、
前記アレイ基板の前記対向基板との対向面には第1凸構造が設けられ、
前記対向基板の前記アレイ基板との対向面には前記第1構造と比較して高さがより低い第2凸構造が設けられ、
前記第1凸構造の一部は、前記内部空間内に位置した複数の第1スペーサを構成し、
前記第1凸構造の他の一部と前記第2凸構造の一部とは、前記注入口の近傍で重なり合って第2スペーサを構成し、
前記第2凸構造の他の一部は、前記対向基板の前記アレイ基板との対向面に位置すると共に前記複数の画素電極とそれぞれ向き合った複数の凸パターンを構成していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。 - 第1基板とその一主面上で配列した複数の画素電極と前記複数の画素電極を被覆した第1垂直配向膜とを含んだアレイ基板と、前記第1垂直配向膜と向き合った第2基板とその前記アレイ基板との対向面上に設けられた対向電極と前記対向電極を被覆した第2垂直配向膜とを含んだ対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に介在すると共に前記複数の画素電極を取り囲んだ接着剤層とを備え、前記接着剤層には前記アレイ基板と前記対向基板と前記接着剤層とに囲まれた内部空間をその外側の外部空間に連通する注入口が設けられた空セルと、
前記内部空間を満たした誘電率異方性が負の液晶材料と、
前記注入口を塞いだ封止体とを具備し、
前記空セルは、前記第1基板の前記主面上又は前記対向電極上に配置された第1誘電体パターンと、前記対向電極と前記第2垂直配向膜との間に介在し且つ前記第1誘電体パターンと比較してより薄い第2誘電体パターンとをさらに備え、
前記第1誘電体パターンの一部は、前記内部空間内に複数の第1スペーサを形成し、
前記第1誘電体パターンの他の一部と前記第2誘電体パターンの一部とは、前記注入口の近傍で重なり合って第2スペーサを形成し、
前記第2誘電体パターンの他の一部は、前記対向基板の前記アレイ基板との対向面に、前記複数の画素電極とそれぞれ向き合った複数の凸パターンを形成していることを特徴とする液晶表示装置。 - 第1基板とその一主面上で配列した複数の画素電極と前記複数の画素電極を被覆した第1垂直配向膜とを含んだアレイ基板と、前記第1垂直配向膜と向き合った第2基板とその前記アレイ基板との対向面上に設けられた対向電極と前記対向電極を被覆した第2垂直配向膜とを含んだ対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に介在すると共に前記複数の画素電極を取り囲んだ接着剤層とを備え、前記接着剤層には前記アレイ基板と前記対向基板と前記接着剤層とに囲まれた内部空間をその外側の外部空間に連通する注入口が設けられた空セルと、
前記内部空間を満たした誘電率異方性が負の液晶材料と、
前記注入口を塞いだ封止体とを具備し、
前記アレイ基板の前記対向基板との対向面には第1凸構造が設けられ、
前記対向基板の前記アレイ基板との対向面には前記第1構造と比較して高さがより低い第2凸構造が設けられ、
前記第1凸構造の一部は、前記内部空間内に位置した複数の第1スペーサを構成し、
前記第1凸構造の他の一部と前記第2凸構造の一部とは、前記注入口の近傍で重なり合って第2スペーサを構成し、
前記第2凸構造の他の一部は、前記対向基板の前記アレイ基板との対向面に位置すると共に前記複数の画素電極とそれぞれ向き合った複数の凸パターンを構成していることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記第2スペーサは、前記接着剤層が形成している枠の外側に位置したことを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記第2スペーサは、前記接着剤層が形成している枠の内側に位置したことを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の液晶表示装置。
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JP2004299133A JP2006113207A (ja) | 2004-10-13 | 2004-10-13 | 液晶表示装置 |
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---|---|---|---|---|
JP2007052264A (ja) * | 2005-08-18 | 2007-03-01 | Toshiba Matsushita Display Technology Co Ltd | 液晶表示パネル |
JP2011022491A (ja) * | 2009-07-17 | 2011-02-03 | Toshiba Mobile Display Co Ltd | 液晶表示装置 |
-
2004
- 2004-10-13 JP JP2004299133A patent/JP2006113207A/ja active Pending
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