本発明の実施の形態について、以下図面に基づいて説明する。
(冷蔵庫全体の構成)図1は本発明による冷蔵庫の斜視図であり、図2は縦断面図である。図1及び図2において、冷蔵庫本体1は複数の収納室が形成されている。最上部の収納室は、冷蔵室2となっている。冷蔵室2を開閉する冷蔵室扉2aは、一例として、左右両側に開く、両開き式扉となっている。冷蔵室2の下側は、左右に分割された収納室となっている。例えば、その一方は貯蔵温度帯や湿度等のいずれかを適宜切り替えることができる、機能切り替え室3となっており、もう一方は図示しない自動製氷装置によって製作された氷を蓄積して取出す製氷室4となっている。
さらにその下部は手前に引き出して開放可能な引き出し扉を備えた冷凍室5となっている。最下段も引き出し扉を備えた野菜室6となっている構成である。尚、上段が野菜室6で、その下段が冷凍室5となる構成でもよい。
ここで、冷凍室5及び野菜室6には、前後に移動させることで開閉可能な引き出し扉5a及び6aを備え、冷凍室5又は野菜室6の少なくとも一方の引き出し扉5a,6aを、後述するように電動で開放するように構成した。
この電動により引き出せるようにした引き出し扉5a若しくは6aを、冷蔵室扉2aに設けた開スイッチ8a,8bを操作することにより、従来の手動で開く引き出し扉に比べて約1/10の力で開くことが出来る。具体的には、冷凍室に25kg収納した状態で、従来の手動により引き出す力が約40ニュートンに対し、電動のボタンを押す力は約4ニュートンである。これにより、大容量約170Lの冷凍室や、冷凍室の下方に配置されて扉を開く時に力を入れにくい姿勢になる野菜室に、野菜が満杯に入った重い状態でも容易に引き出し扉を開くことができる。なお、開スイッチ8a,8bは、冷蔵室扉2aに設ける構成に限られず、引き出し扉5a,6aにそれぞれ設ける構成であってもよい。これにより、開きたい扉を開くための開スイッチを正確に操作でき、開スイッチの誤操作を、より防止できる。
このように容易に開くことができる引き出し扉としたことにより、大型の冷蔵庫でも大きな力を必要とすることなく開くことができる。
また、冷凍室5は貯蔵空間が冷えていることで、引き出し扉5aの吸引力及びシールパッキンによる着磁力が、冷蔵室2や野菜室6に比べて大きくなる。そこで、電動で引き出し扉を引き出すことで使い勝手が良くなる。
また、冷凍室5は冷蔵庫本体1の中段に配置している。すなわち、冷凍室5は、圧縮機が設置された機械室52とは隣接しない。換言すれば、低温度(例えば−20度)の冷凍室は、圧縮機を配置され高温度(例えば50℃)の機械室52と隣接しないで、冷却器の配置された低温度(例えば−40℃)の冷却器室(図示省略)と隣接する。これにより、断熱壁の厚さ寸法を小さく出来る。また、野菜室6も同様に温度差が小さくなって隣接する機械室との間の断熱材を薄くできる。
また、野菜室6の裏側に冷却器室が設置される場合に比べると、冷凍室5と冷却器室を仕切る断熱壁の厚さを小さくできるので、冷凍室5の内容積を拡大することが可能となる。ここで、内容積とはJISで規定されている定格内容積のことである。このように、冷凍室5の内容積を拡大すると、それだけ重くなり、冷凍室5を引き出すときの力がより必要となる。そこで、電動で引き出すことが出来る構成とすることで、使い勝手が向上できる。
また、冷蔵室扉2aには、操作表示部7が備えられており、冷凍室扉5aの開スイッチ8aと野菜室扉6aの開スイッチ8bとが備えられており、ユーザが前記のスイッチを押して引き出しの開動作を指示することができる構成である。ここで、冷凍室5が野菜室6より上方に設けられている場合には、冷凍室扉の開スイッチ8aを野菜室扉の開スイッチ8bの上方に設け、扉の位置関係と同様に設けておけば、ユーザが操作する際にどちらの開スイッチ8を操作すればよいかがわかり易いので好適である。
(開閉機構の実装(1))以下、野菜室6を例に扉駆動装置について説明する。尚、冷凍室5についても同様の構成である。
野菜室6の扉体6a、食品を収納する容器12は、扉枠400によって手前に引き出し自在に支持されている。扉枠400の前側には、野菜室6を閉鎖方向に引き込む閉じ付勢手段であるクローザ13が設けられている。一旦開いた野菜室扉6aを閉じる際、開き量が例えば50mm以下になったら、図示しない傾斜に掛かる野菜室扉6a自身の重量によって、野菜室6aに奥側に引き込む力を与える。これにより、野菜室扉6aを閉じる動作を補助して、野菜室扉6aの全周に設けられたマグネットパッキン14が、冷蔵庫本体1と吸着するまで扉を閉じて、半ドアを防止できる。
そして、野菜室6の底部には扉駆動装置500が設けられている。扉駆動装置500は、冷蔵庫本体1側に固定して設けられた、駆動源であるモータと、モータの回転を減速する減速機構とを備えた冷蔵庫本体1側の駆動装置600と、野菜室扉6aとともに移動するように設けられた連結部材700とを備えている。具体的に、本実施例では連結部材700が左右の扉枠400の間を接続するように設置された補強部材410に設けられている。冷蔵庫本体1側の駆動装置600から、連結部材700に対して、扉枠400の移動方向に力を加えて野菜室扉6aを開閉する構成である。冷蔵庫本体1側の駆動装置600と連結部材700の詳細な構成と機能については後述する。
そして、野菜室6内には、該野菜室6が完全に閉じられているか否か(すなわち、野菜室扉6aが閉鎖状態であるか否か)を検出して、後述するように制御手段51にその信号を送るように構成された、第一の扉状態検知手段510を設ける。この第一の扉状態検知手段510の設置方法としては、磁気検知センサー512を冷蔵庫本体1側の駆動装置600に設け、磁気検知センサー512を作動させる磁石521を連結部材700に設ける。これにより、野菜室6が完全に閉じられているか否か(すなわち、野菜室扉6aが閉鎖状態であるか否か)を確実に検出できる。
また、野菜室扉6aの上部には、該野菜室6が閉じられていること、あるいは野菜室扉6aの開き量が例えば30mm程度の半ドア状態の所定量(後述する、閉じ駆動量である開き量35)以内であるか否かを検出して、後述するように制御手段51にその信号を送る第二の扉状態検知手段520を設ける。
この第二の扉状態検知手段520の設置方法としては、例えば図3に示すように、該第二の扉状態検知手段520を構成する磁気検知センサー522を、冷蔵庫本体1側の仕切り部1aに設け、該磁気検知センサー522を作動させる磁石521を前記引き出し扉6aに設ける。これにより、野菜室6が閉じられていること、あるいは野菜室扉6aの開き量(図3の35)が例えば30mm程度の半ドア状態の所定量以内であるか否かを確実に検出できる。また、この第二の扉状態検知手段520を、例えば、半ドア開放警告ブザー等の検知手段として兼用すれば、安価で、かつ信頼性を向上する構成となる。
(多段加速リンクの構成)次に、本体側の駆動装置600と、補強部材410に設けられた連結部材700とを備えた扉駆動装置500の構成について、図4から図11を用いて詳細に説明する。ここで、扉駆動装置500は野菜室6に設けられているものとして以下、説明するが、冷凍室5についても同様の構成である。なお、前述した図1から図3と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図4は、本発明の実施例における引き出し扉駆動装置の構成を示す平面図である。図5は、本発明の実施例における連結部材の構成を示す斜視図である。図6は、本発明の実施例における駆動伝達部材の構成を示す斜視図である。
図4から図6において、400は前述した引き出し扉(図2の野菜室扉6a)の左右に設けられた扉枠であり、この左右の扉枠400を接続するように設置された補強部材410を備えている。そして、補強部材410には後述する連結部材700が設けてあり、この連結部材700が、冷蔵庫本体1側に取り付けられた駆動装置600(図2参照)の駆動伝達部材640から駆動力を受けることにより、引き出し扉(図2の野菜室扉6a)の開閉を自動的に行うように構成される。
冷蔵庫本体1側の駆動装置600(図2参照)においては、回転出力軸である駆動軸620の周りに、回転自在に回転駆動体である駆動伝達部材640が軸支されている。この駆動伝達部材640には、引き出し扉(図2の野菜室扉6a)の開放を行えるように、回転方向に向かって回転中心からの距離を除々に変化させた位置に配置された複数の開扉押し部660が設けてある。
この開扉押し部660には、例えば、8箇所の押し部が設けてあり、駆動軸620からの距離に応じて距離r1に第一の押し部661,距離r2に第二の押し部662,距離r3に第三の押し部663,距離r4に第四の押し部664,距離r5に第五の押し部665,距離r6に第六の押し部666,距離r7に第七の押し部667,距離r8に第八の押し部668が設けられており、それぞれの押し部は略平面形状をなし、かつ駆動軸620から略放射線上の一部にある。ここで、r1<r2<r3<r4<r5<r6r<r7<r8であるとする。
また、この駆動伝達部材640には、前記引き出し扉(図2の野菜室扉6a)の閉じこみを行えるように閉扉押し部670を設けてある。
そして、後述する連結部材700の構成を簡略化できように、閉扉押し部670の回転中心からの距離r9を、前述した複数の開扉押し部660のうち回転中心から一番遠い距離にある押し部、例えば第八の押し部668と、ほぼ同じ距離に設定してある。
連結部材700は、補強部材410に固定するための係止部710と、引き出し扉(図2の野菜室扉6a)の開閉を行うように構成された開扉部730と閉扉部720とを一体若しくは別体に構成する。
そして、この連結部材の開扉部730には、前述した駆動伝達部材640に配置された複数の開扉押し部660に対応する位置に配置された複数の階段状の受け面(例えば、731の第一の受け面から738の第八の受け面までの8段の面)を設ける。これにより、駆動伝達部材640の回転運動を、矢印CCW方向に回転して、連結部材700を直線運動に変化させることによって、引き出し扉(図2の野菜室扉6a)の開放を行えるように構成する。
また、連結部材700の閉扉部720には、前述した駆動伝達部材640に設けられた閉扉押し部670に対応する位置に、閉扉受け面722を設ける。これにより、駆動伝達部材640は引き出し扉を開放するときと反対向きの矢印CW方向に回転して、連結部材700を直線運動に変化させることによって、引き出し扉(図2の野菜室扉6a)の閉じこみを行えるように構成してある。換言すれば、閉め方が不十分な状態(半ドア開放状態)の引き出し扉を閉じこむことのできる閉扉押し部670を駆動伝達部材640に設け、閉扉押し部670の回転運動を連結部材700の直線運動に変化させることによって、半ドア開放状態の引き出し扉の閉じこみを行えるように構成してある。
なお、詳細は後述するが、駆動伝達部材640の回転運動により、閉扉押し部670が連結部材700と当接しないように空間721を設ける。
また、駆動伝達部材640の原点位置40(後述する図12の40)を検知する回転検知手段の一例としては、図4に図示したように、前記駆動伝達部材640自身に設けられた磁石531と、磁石531の磁力を感知してスイッチング動作を行うように構成された磁気検知センサー532とで構成する駆動伝達部材640の位置検知手段530がある。なお、磁気検知センサー532を本体側の駆動装置600に設ける構成にすれば、磁気検知センサー532の配線や信号線を冷蔵庫本体1側の駆動装置600と共用できるので、簡易な構成となる。
次に図7を用いて回転駆動部を有する駆動手段である駆動装置600について説明する。図7は実施例における冷蔵庫本体1側の駆動装置600の構成を透視して示す斜視図である。なお、前述した図1から図3と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図7において、モータ24の回転軸にはモータピニオン25が設けられており、アイドラ26と噛み合って減速される。アイドラ26とアイドラピニオン27とは一体として回転し、アイドラピニオン27はアイドラ28と噛み合っている。アイドラ28とアイドラピニオン29と一体として回転し、アイドラピニオン29は駆動ギヤ30と噛み合って減速される。駆動軸620と駆動ギヤ30とは連結されており、このようなギヤの構成によりモータ24の回転速度は例えば1/100程度に減速され、駆動軸620に設けられた駆動伝達部材640を回転させる。
本実施例においては、アイドラ28とアイドラピニオン29との間にはトルク制限手段31を設け、駆動伝達部材640に過大な外力が加えられた場合、トルク制限手段31が介在してアイドラ28とアイドラピニオン29とが互いにすべることで、冷蔵庫本体1側の駆動装置600の破損を防止できる。なお、駆動手段である駆動装置600は、制御手段である制御回路(図示せず)によって、駆動を制御される。これにより、引き出し扉の開閉動作の信頼性を向上している。
そして、回転検知手段32の一例として、駆動軸620に回転検知手段32を設けて、駆動軸620の回転位置を検出できる構成としている。このような回転検知手段32の一例は、軸の回転によってその抵抗値が変化する可変抵抗器である。また、回転検知手段32の他の一例としては、図4に図示した磁石531と、磁石531の磁力を感知してスイッチング動作を行う磁気検知センサー532とで構成する駆動伝達部材640の位置検知手段530がある。
次に、図8により補強部材410と連結部材700との高さ位置関係について説明する。図8は前述した図4におけるA−A線要部断面説明図である。なお、前述した図1から図7と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図8において、連結部材700は、補強部材410に固定するための係止部710と、引き出し扉の開閉を行うように構成された開扉部730と閉扉部720とを一体若しくは別体に形成してある。
そして、その係止部710は、補強部材410の下面に接するように設置する。具体的に、連結部材700自身の高さ位置を所定の位置に保持できるように形成されたベース部711と、補強部材410のリブを挟み込む。さたに、連結部材700との奥行き寸法を所定の位置に保持できるように形成された鋏み部712を、例えばネジ等の係止具713によって補強部材410に取り外し可能に接続されている。
そして、その係止部710の厚さh12寸法は、扉の開放動作で最も大きな力となる、引き出し扉を停止状態から引き開けるや、補強部材410の高さh11寸法に応じて設定されるものである。例えば、補強部材410を0.8mmの厚さの鋼板にて形成し、高さh11寸法を4〜10mm程度として、係止部710を合成樹脂等にて形成すれば、係止部710の厚さh12寸法は、約6〜15mm程度に設定される。
そして、連結部材700の閉扉部720と開扉部730との厚さh13寸法は、引き出し扉を停止状態から引き開ける力、駆動伝達部材640の開扉押し部660、閉扉押し部670、連結部材700の開扉部730、および閉扉部720との係り代寸法h14によって設定される。一例として、連結部材700や駆動伝達部材640を合成樹脂等で形成して、h13を5〜12mm程度以上に設定する。つまり、前述した係止部710の厚さh12寸法より小さい寸法に設定する。
従って、本実施例において、連結部材700の閉扉部720や連結部材の開扉部730の高さ位置は、引き出し扉正面からみて補強部材410と少なくとも一部厚さ方向で重複する位置に設定する。これによって、容器12の減少深さ寸法h15を少なくすることが出来る。
なお、発明者らの実験やシミュレーション等によれば、補強部材410を、1.2mm厚さの鋼板にて形成し、高さh11寸法を3〜6mm程度とし、連結部材700自身を、ポリアセタールコポリマー等(耐摩耗性,耐疲労性を有する樹脂)にて形成すれば、係止部710の厚さh12寸法は、約5〜8mm程度に設定できる。つまり、連結部材700の閉扉部720や開扉部730の厚さh13寸法と同等寸法程度に設定できる。これにより、容器12の減少深さ寸法h15をさらに少なくすることが出来る。
次に、図9は実施例における扉枠400と補強部材410の構成を示す斜視図である。なお、前述した図1から図8と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図9において、扉枠400は引き出し扉(図2の野菜室扉6a)の左右に設けられている。そして、左右の扉枠400の間を接続するように補強部材410を備えてある。そして、この補強部材410は引き出し扉正面から見てU字状に形成され、その底部に連結部材700を備えている。
そして、この補強部材410の位置を、扉枠400の奥行き寸法全長の中央より扉側とすることによって、荷重が負荷されたときの扉枠400自身の変形を抑制している。つまり、補強部材410の位置L12を、扉枠400の奥行き寸法全長L11の1/2以下にすることによって、扉枠400の荷重による変形が小さくなるように抑制している。
換言すれば、図9において、連結部材700の開扉部730に、引き出し扉を停止状態から引き開ける力が、例えば図中の矢印K11方向から加えられると、扉枠400は、扉枠400の扉取り付け面401a,401bを支点として、補強部材401のU字状の脚部の高さであるH11により発生するモーメントが負荷される。しかしながら、補強部材410の位置L12は、扉枠400の奥行き寸法全長L11の1/2以下であるため、扉枠400の設置位置での弾性変形は従来に比べ小さくなる。
ここで、扉枠400が支持する収納容器12内に貯蔵する食品が、容器12の左右いずれかに偏っている場合、引き出し扉を停止状態から引き開ける力は、左右で異なる。しかし、扉枠400のL12寸法部における変形量は小さいので、左側扉枠の扉取り付け面401aの押し出しによる扉開放動作と、右側扉枠の扉取り付け面401bの押し出しによる扉開放動作との瞬間的なズレを小さく抑制できる。
また、引き出し扉駆動装置10を駆動した場合、マグネットパッキンの本体からの引き剥がしで左右にズレを生じることを防止できる。すなわち、引き出し扉自身の振動量を小さくできるので、振動による騒音を少なくできる。
なお、左右の扉枠後端部402の間を接続するように後部補強403を設ける構成により、引き出し扉を停止状態から引き開ける力が、扉枠400に負荷されても、扉枠400自身の変形量を小さくできる。
また、連結部材700の後端部752を、扉枠400の後端部402より手前にしてある。つまり、図9のL13寸法を零より大きく設定してある。これにより、左右の扉枠400と補強部材410と連結部材700とを組み立てた場合、製造過程におけるハンドリング時に、他部品や他設備等に連結部材700が当接しにくくなり、製造工程上有利な構成となる。
また、連結部材700の後端部752を、扉枠400の後端部402より手前になるように設定してあるので、連結部材700の後端部752が、冷蔵庫本体1の内箱背面1c(図2参照)に当接しない構成となる。従って、内箱背面1c部をほぼ平面状に構成できるので、断熱厚さを確保できる。
(開き動作)次に、本発明による扉駆動装置10により野菜室扉6aを開く際の動作の詳細について図10を用いて説明する。図10は本発明の実施例における引き出し扉駆動装置10の開き動作を説明する図である。なお、前述した図1から図9と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図10において、(a)は後述する原点位置であり、野菜室6が閉じられている状態を示している。そして、(b)(c)(d)(e)(f)の順に動作することで野菜室6を開放する動作を示している。
先ず、図10(a)の原点位置について説明する。(a)において、実線で図示する連結部材700は図示左端が引き込み位置34に合致し、野菜室扉6a(図2の6a)が閉鎖された位置にある。冷蔵庫においては、扉駆動装置500が備えられているとしても、野菜室扉6aを何らかの理由でユーザが手で引き出す場合もある。または、故障によって扉駆動装置500が動作しない場合などにおいては、ユーザが手動で自在に開閉できることが望ましい。
野菜室扉6aが閉じられた状態からユーザが手動で野菜室扉6aを引き出して開いたとすると、野菜室扉6aに設けられている連結部材の開扉部730が図示左側に移動して、破線の位置となる。破線の位置においては各符号には「′」を付加して記す。ここで、駆動伝達部材640が図10(a)の実線で示す位置にあり、連結部材700が図示左方に移動するときに、最上端部680と最も近接する連結部材700の図示最下端部740との間に隙間δ4がある。これによって、連結部材700の開扉部730が図示左方に移動しても最上端680と最下端部740とが接触しない位置関係にある。また、後述する駆動伝達部材640の第一の押し部661と連結部材の開扉部730の第一の受け面731との間に隙間δ3を有しており、野菜室扉6aが閉じられた状態において、第一の押し部661と第一の受け面731とが接触しない位置関係にある。これにより、ユーザが手動で野菜室扉6aを開閉する際に連結部材700と駆動伝達部材640とが接触しないので、自在に野菜室扉6aを開閉することができる。
このような駆動伝達部材640の位置を本発明では原点位置40にある、と称するものとする。
ここで、駆動伝達部材640は駆動軸620のまわりに回転自在である。また、連結部材700の開扉部730は図示左右方向に移動自在に支持されている。また、連結部材700の開扉部730は野菜室扉6a側に備えられている。すなわち、連結部材700の開扉部730の左方向への動きが野菜室扉6aの開き動作を示している。なお、野菜室扉6aが閉じられている状態における連結部材700の図示左端の位置を示す基準線を引き込み位置34として表す。
そして、駆動が開始されると、図10(b)に示すように、駆動伝達部材640は矢印CCW方向に回転し、第一の押し部661が第一の受け面731と接し、連結部材700の開扉部730に対しては、矢印23b方向の力が加わる。このとき、第一の押し部661は、駆動軸620から図4に示した距離r1の位置にあるので、第一の押し部661から連結部材700の開扉部730に伝えられる力は、駆動軸620に加わるトルクをTとすれば、T/r1となる。この力を、野菜室扉6aのマグネットパッキンを引き剥がす力と、クローザ13による引込力と、野菜室扉6aの自重および収納された食品の質量を加速する力の合力よりも大なるように設定する。これにより、マグネットパッキンの吸着を引き剥がして、連結部材の開扉部730は野菜室扉6aとともに図示左方向に移動して、野菜室6は開き始める。
さらに駆動伝達部材640がCCW方向に回転した図10(c)の状態においては、第二の押し部662が第二の受け面732と接し、第一の押し部661は第一の受け面731からは離反する。すなわち、第二の押し部662は駆動軸620から図4に示した距離r2の位置にあり、かつr2>r1となるようにしていて第一の押し部661よりも第二の押し部662の方が回転中心である駆動軸620からの距離が離れているので回転の周速が速い。そのため、第二の押し部662が第二の受け面732と当接した後は、第一の押し部661は第一の受け面731からは離反するのである。この状態において、第二の押し部662は第二の受け面732に接して、矢印23cの力を与える。このとき、第二の押し部662は駆動軸620から図4に示した距離r2の位置にあるので、第二の押し部662から第二の受け面732を介して連結部材700の開扉部730に伝えられる力は、駆動軸620に加わるトルクをTとすれば、T/r2となる。この力は図10(b)の状態で矢印23bの方向に第一の押し部661により連結部材700の開扉部730に加わる力よりも小なのであるが、マグネットパッキンは既に引き剥がされているので、このときに加わる力はクローザ13による引込力と、野菜室扉6aの自重および収納された食品の質量をさらに加速する力の合力よりも大なるように設定すればよく、連結部材700の開扉部730は野菜室扉6aとともにさらに図示左方向に移動して、野菜室6の開き動作を継続する。
さらに駆動伝達部材640がCCW方向に回転した(d)の状態においては、第三の押し部663が第三の受け面733と接し、第二の押し部662は第二の受け面732からは離反する。すなわち、第三の押し部663は駆動軸620から図4に示した距離r3の位置にあり、かつr3>r2となるようにしていて第二の押し部662よりも第三の押し部663の方が回転中心である駆動軸620からの距離が離れているので回転の周速が速い。そのため、第三の押し部663が第三の受け面733と当接した後は、第二の押し部662は第二の受け面732からは離反するのである。この状態において、第三の押し部663は第三の受け面733に接して、矢印23dの力を与える。このとき、第三の押し部663は駆動軸620から図4に示した距離r3の位置にあるので、第三の押し部663から第三の受け面733を介して連結部材の開扉部730に伝えられる力は、駆動軸620に加わるトルクをTとすれば、T/r3となる。この力は図10(c)の状態で矢印23cの方向に第二の押し部662により連結部材700の開扉部730に加わる力よりも小なのであるが、野菜室扉6aは既に開き動作を行っていて矢印23dの方向に移動しているので、野菜室扉6aは容器12と収納された食品も含めた自重と速度に応じた運動量をもっており、その運動量と第三の押し部663から第三の受け面733に伝達される力とによってクローザ13による引っ張り力に抗して開き動作をさらに継続することができる。
さらに駆動伝達部材640がCCW方向に回転して、上記と同様に、順次第四の押し部664が第四の受け面734と接し、次に、第五の押し部665が第五の受け面735と接し、次に、第六の押し部666が第六の受け面736と接し、次に、第七の押し部667が第七の受け面737と接し(図10(e)の状態)、次に、第八の押し部668が第八の受け面738と接する(図10(f)の状態)ことにより、野菜室扉6aの開き動作を継続することができる。
そして、図10(f)の状態以降は、駆動伝達部材640は連結部材700の開扉部730からほぼ離反する状態を示している。
以上の図10(a)の状態から図10(f)の状態に至るまでの連結部材700の移動量33の範囲が、連結部材700の開扉部730が駆動伝達部材640から力を受ける範囲である開き駆動範囲、となる。ここで、この連結部材700の開扉部730の移動量33はクローザ13による引込量である閉じ付勢範囲よりも大なるように設定すると好適である。すなわち、閉じ付勢範囲であるクローザによる引き込みストロークが50mmであって連結部材700の開扉部730の移動量33が60mm以上あるとすれば、(図10(f)に示した位置で連結部材の開扉部730が停止、すなわち野菜室扉6aが停止したとしても、クローザ13によって開いたばかりの野菜室扉6aが閉じられることがないためである。
また、連結部材700の開扉部730の移動量33を、例えば、引き出し扉(図2の野菜室扉6a)全開放寸法の1/4以上となるように、つまり、前述したクローザ13による引込量である閉じ付勢範囲よりも大きくなるように、設定すれば、クローザ13によって開いたばかりの野菜室扉6aが閉じられることがない構成となる。
また、全開放寸法の1/4以上、引き出し扉を開放すれば、自動で、引き出し容器12(図2の容器12)内の貯蔵食品が判る程度に開放できるので、冷蔵庫の使い勝手が向上する。
なお、図10(f)の状態よりも野菜室扉6aが開放されて連結部材700の開扉部730が図示左方に移動すると、連結部材700の開扉部730は駆動伝達部材640からの駆動力は受けないのであるが、野菜室扉6aは矢印23f方向への速度を持っているので、扉枠400(図2の400)のもつ摩擦負荷によって徐々に減速して停止するまでは、開き動作を継続する。このように動作するので、野菜室扉6aの開き量は連結部材700の開扉部730の移動量33よりも大きくなる。
上記説明したように、野菜室扉6aの開き動作時には開き方向への駆動力を加え続けるのではなく、開き始めだけ駆動力を加え、その後は駆動力の範囲で得た移動速度が扉枠400のもつ摩擦力によって徐々に減速しながら停止する動作を実現できるので、扉の直前にユーザが立っていた場合、あるいは物が置いてあった場合に、野菜室扉6aが当たったとしても開き方向への駆動力が加わっていないので安全である。
野菜室扉6aを閉鎖状態から開き始める際には、駆動軸620のもっとも近傍に配置された第一の押し部661が連結部材700の開扉部730を押し出して駆動することで、低速であるが大きな力を出してマグネットパッキンを引き剥がし、その後は、引き続き第一の押し部661よりも遠方に設けられた第二の押し部662が連結部材700の開扉部730を押し出し、以下、順次第七の押し部667よりも遠方に設けられた第八の押し部668が連結部材700の開扉部730を押し出すまで、野菜室扉6aの開き動作を継続する。従って、押し出し力は順次小さくなるが、扉の開放速度を順次加速することができるので、例えば、ユーザが手動で扉を開放するときの形態に近似させることができるので、使い勝手の良い冷蔵庫が提供できる。
上記の動作により野菜室扉6aが開放された後(図10(f)の後)、駆動伝達部材640はさらにCCW方向への回転を継続し、図10(a)の状態、つまり原点位置40に至って回転を停止する。なお、言うまでも無くこの際には連結部材700は図10(a)の実線に示す位置ではなく、野菜室扉6aは開いているので図示左方の、例えば破線の位置に移動した状態である。
(閉じ動作)野菜室扉6aを閉じた場合に、何らかの理由でマグネットパッキン14が吸着されるまで野菜室扉6aが閉じずに、マグネットパッキン14と冷蔵庫本体1との間に隙間ができる、所謂、半ドア状態になることがある。このように半ドア状態になった際の扉駆動装置500の動作について、図11を用いて説明する。
図11は本発明による扉駆動装置500が野菜室扉6aを閉鎖する際の動作を示す図であり、(a)は野菜室扉6aが閉鎖されていなくて、連結部材700の図示左端が引込位置34よりも、閉じ動作を行うことが可能となる閉じ駆動範囲である開き量35だけ移動した状態にあることを示している。野菜室扉6aにはクローザ13が設けられているものとすれば、通常はクローザ13の生じる引き込み力によって、野菜室扉6aは引き込まれて閉じられるのであるが、食品の一部が引っかかる等、何らかの理由で扉枠400の動作が一時的に渋くなって引き込まれない場合が稀に生じる。
ここで、駆動伝達部材640を駆動軸620の周りに矢印CW方向に回転すると、駆動伝達部材640の閉扉押し部670が、連結部材700の閉扉部720を構成する空間721内を回転して、連結部材の閉扉部720を構成する閉扉受け面722に当接する(図11(b))。
そして、駆動伝達部材640を矢印CW方向にさらに回転させると、閉扉押し部670によって、閉扉受け面722が矢印36方向に押されて移動するので、連結部材700の図示左端が引込位置34に至るまで移動する(図11(c))。
この図11(c)に示した位置というのはマグネットパッキン14が冷蔵庫本体1に吸着するまで野菜室扉6aが完全に閉じられた位置にあることを示している。
その後、駆動伝達部材640は矢印CCW方向に回転して図11(d)の状態となり、図10(a)に示したと同様な原点位置40まで回転させて停止する。
上記のように動作することにより、野菜室扉6aが完全には閉じずに所謂半ドア状態になっていたとしても、駆動伝達部材640を野菜室扉6aが開く場合とは反対方向に回転させることによって、連結部材700に対して野菜室扉6aを閉じる方向の力を加えて閉じることができるので、半ドアを防止することができるので好適である。
先に説明したように、野菜室扉6aを開く際の力はマグネットパッキン14を引き剥がす力とクローザ13による引き込み力との合計以上の力が必要となるが、閉じる際にはマグネットパッキン14を引き剥がす力は不用であり、さらにクローザ13による引き込み力が生じているので、本発明による扉駆動装置500によって加える閉じ力は、開き力と比べれば弱い力で十分である。本実施例によれば、野菜室扉6aを閉じる際には最も駆動軸20から遠方にある第八の押し部668と、ほぼ同じ距離にした閉扉押し部670によって、連結部材の閉扉部720を押す構成なので、駆動軸620に加わる駆動トルクが仮に開き時と同一であるとしても、閉じ力は開き力と比べてr1/r9(図4参照)だけ小さくなるので好適である。
(駆動装置の外観構造)図12〜図14をもって、扉駆動装置本体500の構造について説明する。
図12は、本発明の実施例における駆動伝達部材640を除いた引き出し扉駆動装置500の外観構造を示す斜視図である。図13は、本発明の実施例における扉駆動装置500の外観構造を示す正面図である。図14は、本発明の実施例における冷蔵庫本体1側への扉駆動装置500の配設を示す断面説明図である。なお、前述した図1から図11と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
扉駆動装置600は、駆動伝達部材640、上部ケース611及び下部ケース612からなる。上部ケース611には駆動伝達部材640に動力を伝える駆動軸620用の孔630が備えられている。また、駆動伝達部材640の回転中心である孔630を中心とし、駆動伝達部材640の駆動範囲を有する面を底面とした円錐形状部613を備え、円錐形状部613上の孔630の周囲にはリブ614が設けてある。
以下、野菜室6を例に扉駆動装置600について説明する。尚、冷凍室5についても同様である。扉駆動装置600は、図14に示す通り、野菜室6の庫内底面6bに上部が開口するよう設けられた凹部60に設置する。また、配設した際は凹部60が扉駆動装置600の上部ケース611に設けられたフランジ611aにより完全に塞がれる構造となっている。従って、庫内6に水などの液体をこぼした場合でも凹部60に浸水はしない。また、フランジ611aにパッキンを貼るなどすることでさらにその信頼性は増すことができる。
扉駆動装置600を庫内底面6bに設置した場合、問題となるのは障害物である。例えば野菜室6の場合は、野菜や果物の葉,土などの固体,野菜や果物から出た果汁,ペットボトルジュース等の液体が挙げられる。これら障害物が駆動伝達部材640の動作範囲内に存在することで、駆動伝達部材640の動作の妨げとなり、その動作が正しく行われなくなる可能性が増加する。ジュース等の液体は直接影響を受ける場合もあれば、例えば駆動伝達部材640あるいは駆動軸620が金属製である場合、溶解物による錆や腐食の恐れがあり、また溶解物の析出が障害物となることも考えられる。また、冷凍室5の場合においては、液体の凍結というおそれがある。扉駆動装置600は、庫内面6あるいは扉引き出し方向に対して水平に設置するので駆動範囲600は水平になり、障害物が駆動装置600の駆動範囲内に発生した場合、扉開閉動作をしばらくの間行わなかったり、発生した障害物が多量であったりする際に障害物は堆積し、より動作の妨げとなる可能性が高まる。
上記説明したように、駆動伝達部材640の駆動範囲に障害物が存在あるいは堆積することは、扉開閉動作の信頼性を下げるものとなる。従って、扉開閉動作の信頼性を確保するにあたって、駆動伝達部材640の駆動範囲内に障害物が発生及び堆積しにくい構造を設ける必要がある。
そこで本実施例では、駆動伝達部材640の駆動範囲を有する面に傾斜形状613を設けることにより、障害物の堆積を軽減し、扉開閉動作の信頼性を確保できる。
ここで、冷蔵庫の設置について説明する。一般に冷蔵庫に搭載された圧縮機は垂直に保って運転させるのが好ましいが、圧縮機の設置角度が3°以内であれば、性能を発揮できるように構成されている(これを、許容角度と称する)。これより、冷蔵庫を据え付ける際の水平方向の許容角度を3°であるとして、扉駆動装置600に設けられた傾斜形状部613の傾斜角度を3°以上とする。これにより、冷蔵庫の据え付け角度が水平において許容範囲内であれば、傾斜形状部613は必ず傾斜を有することとなる。また、扉駆動装置600を冷蔵庫に取り付ける際に生じる組立て誤差を考慮して、組立て誤差を2°と設定しクリアランスを設けるとすると、許容据え付け角度とクリアランスを合わせて、扉駆動装置600に設けた傾斜形状部613の傾斜角度θ1が5°以上あれば、傾斜を有することができ、障害物に対して有効性が高い。
また、冷蔵庫1を据え付ける際に許容範囲角度以内で傾いたとし、その傾きがどの向きにどの方向で傾いているかは定かではない状況であったとしても、図12で示すように、扉駆動装置600に設けた傾斜形状613を扉駆動装置600に備えた駆動伝達部材640の回転中心である出力軸620を中心とした円錐形状にすることにより、全ての向き,方向に対して上記説明のように傾斜角度を確保でき、冷蔵庫の据え付けの際の全ての向きにおける傾きに対応できる。
なお、本実施形態では円錐形状について説明したが、これに限定されるものではない。末のほうに次第に広がりを有する末広形状であったり、多角錐形状であったりする構成であっても、上述の実施形態と同等の作用効果を奏することができる。また、上記末広形状,円錐形状、および多角錐形状は、非対称な形状であっても、上述した実施形態と同等の作用効果を奏することができる。
駆動伝達部材640へ動力を伝える出力軸620を通す孔630より外部からの浸水の可能性もあるが、孔630の周囲にリブ614を設けることにより、その可能性を低くできるので有効である。
(駆動装置の取り付け)図15〜図17をもって、扉駆動装置600本体の構造について説明する。
図15は本発明の実施例における引き出し扉駆動装置600のハウジング固定位置(電気コードの接続部)を示す斜視図であり、図16は本発明の実施例における引き出し扉駆動装置600のハウジング結線とコードの収納を示す平面図であり、図17は図16におけるA−A線要部断面説明図である。なお、前述した図1から図14と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図において扉駆動装置600は上部ケース611及び下部ケース612からなり、上部ケース611と下部ケース612によりハウジング680は固定され、ハウジング680のコード681は扉駆動装置600内部に収められている。下部ケース612にはコード収納スペース615が設けられている。
以下、野菜室6を例に扉駆動装置600について説明する。尚、冷凍室5についても同様である。扉駆動装置600は上部ケース611及び下部ケース612から構成され、扉駆動装置600に設けられたハウジング680を有するコード681を、全て扉駆動装置600の内部に収め、ハウジング680を上部ケース611及び下部ケース612によって固定することにより、無駄なコードを省くことができ、管理上においてもコードの外部接触による破損,断線等を防ぐことができる。
また、下部ケース612に冷蔵庫本体1側に備えられた扉駆動装置600を配設する凹部60に設けられた扉駆動装置600に設けられたハウジング680と結線をする冷蔵庫本体1側のハウジング690及びコード691を収納するスペース615を確保することにより、凹部60に設けられたコード691は扉駆動装置600取り付け後、庫内6側へ出る必要なく凹部60内に全て収めることができる。
庫内6側へ扉駆動装置600のハウジング680と本体側のハウジング690を結線後のコード692を出す場合、コード692が水に浸かってモータの故障を起こしたり、外的要因によるコード692の損傷が起きたりするのを防ぐため、コード692を収納するケースなどの部品が別途必要となる。また、コード692を庫内側へ出すためのコード691の取り出し口を扉駆動装置600の庫内側に設ける必要があり、コード691の取り出し口から扉駆動装置600内部への浸水による故障も考えられる。
故に、扉駆動装置600取り付けの際に凹部60内部にコード692を全て収めることで、必要となる部品点数及び庫内面へのコード691取り出し口などの孔形状を減らせるので、コスト面及び安全面において非常に有効である。
凹部60へ直接浸水し、凹部60内部に収められたコード692へ水が浸かることで故障へつながることが考えられるが、扉駆動装置600が有する上部ケース611に設けたフランジ611aによって防げるので問題ない。またフランジ611aにパッキン等貼り付けることで、より確実なものにできる。
本実施形態は、冷蔵庫の引き出し扉に設置する扉駆動装置600について述べたが、これに限定されるものではない。一例として、システムキッチンの引き出しや、キャビネット等、引き出し扉を有する引き出し式機器であれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。