JP4861832B2 - 2−アルコキシエチルブロマイドの製造方法 - Google Patents

2−アルコキシエチルブロマイドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、臭化チオニルを使用する2−アルコキシエチルブロマイドの製造方法に関する。
2−アルコキシエチルブロマイドは、各種工業原料、特に医薬品中間体、電気デバイスの電解質化合物の原料及び液晶表示素子の液晶化合物の原料、並びに高分子の改質剤等における利用の増大が期待されている。
2−アルコキシエチルブロマイドは、従来、以下の方法で合成されていた。
Bulletin of the Chemical Society of Japan、Vol.50(9)、P2271−2282(1977)(文献1)には、2−アルコキシエタノールを塩素化し、次いで臭化ナトリウムを作用させるハロゲン交換反応によって2−アルコキシエチルブロマイドを得る2工程からなる方法が記載されている。この文献には、収率の記載はない。
Journal of American Chemical Society、Vol.67、P290−293(1945)(文献2)には、エチレンブロモヒドリンにジメチル硫酸を作用させて2−メトキシエチルブロマイドを得る方法が記載されている。
Journal of Organic Chemistry、Vol.27、P807−814(1962)(文献3)には、2−メトキシエタノールに三臭化リンを作用させて2−メトキシエチルブロマイドを得る方法が記載されている。
Chemical Abstracts、Vol.58、P3308(文献4)及びORGANIC SYNTHESIS COLLECTIVE、VOLUME 3、P370−371(文献5)には、ピリジン中の2−メトキシエタノールに三臭化リンを作用させて2−メトキシエチルブロマイドを得る方法が記載されている。
上記した従来の製造方法は、いずれも、目的物の収率が低く、また、副生物が生成し高純度品が得られないなどの欠点を有し、工業的な製造方法としては好ましくなかった。
例えば、収率に関しては、文献2に記載の方法では48%、文献3に記載の方法では29%、文献4に記載の方法では56%、文献5に記載の方法では56〜66%であり、いずれの製造方法によっても工業的な製造方法として満足できる収率は得られない。
また、文献1〜4には目的物の純度に関する記載はないが、これらの文献に記載の方法では、不純物が生成するので、高純度の2−アルコキシエチルブロマイドを得ることは難しい。例えば、文献3に記載の方法では、不純物として臭化エチルが11〜12%生成するため、純度や収率が低くなる。また、臭化エチルのような副生物は、環境上においても好ましくない。
一方、触媒量のDMFの存在下、臭化若しくは塩化チオニルをアルコールに作用させ、臭素化若しくは塩素化する方法が知られていた。
Tetrahedron Letters、41(2000)P3011−3014(文献6)には、触媒量のDMFの存在下、臭化チオニルをβ−アミノアルコールに作用させて、β−アミノブロマイドを高収率で得る方法が記載されている。この文献は、反応基質におけるアミノ基の存在が、臭素化に寄与していることを報告している。
特開昭61−238750号(文献7)には、触媒量(アルコールに対し、0.1〜5重量%)のDMFの存在下、塩化チオニルをポリオキシエチレン鎖の末端アルコールに作用させて、塩素化する方法が記載されている。この文献には、収率の記載はない。
これらの製造方法は、触媒量のDMFの存在下、臭化若しくは塩化チオニルを作用させるものであるが、意外なことに、これらの製造方法における反応条件を、臭化チオニルによる2−アルコキシエタノールの臭素化に適用しても、工業的製造方法として満足できる収率は得られない。
このように、今までに、副生物の生成を抑制して、高収率で高純度の2−アルコキシエチルブロマイドを得る方法は知られていない。事実、入手可能な2−メトキシエチルブロマイドの純度はガスクロマトグラフィー法で92%程度と低く、多くの不純物が含まれている。
したがって、本発明の目的は、従来よりも高収率、高純度で2−アルコキシエチルブロマイドを製造する方法の提供である。
本発明者らは、鋭意検討をすすめた結果、2−アルコキシエタノールを、特定量のアミド結合または尿素結合を分子内に持つ化合物の存在下に、臭化チオニルを用いて臭素化することにより、上記問題点を解決し、不純物を生成することなく高品質、高収率で2−アルコキシエチルブロマイドが得られることを見出し本発明に到達した。
本発明は、一般式(1):
Figure 0004861832
式中、
Rは、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基及び炭素数3〜20のシクロアルキル基からなる群から選択した基を表わし、ここで、これらの基は、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよく、
Xは、酸素原子を表し、
及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−アミル、i−アミル、n−ヘキシル、ネオヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、i−オクチル、s−オクチル、t−オクチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロプロピル、シクロデシル、ノルボルニル、アダマンチルからなる群から選択される基を表す、
で示される2−アルコキシエタノールと臭化チオニルとを、前記2−アルコキシエタノール1モルに対し0.8等量モル以上の、1種以上のアミド結合または尿素結合を分子内に持つ化合物の存在下に、反応させることを含む、一般式(2):
Figure 0004861832
式中、R、X、R及びRは、一般式(1)におけるものと同義である、
で示される2−アルコキシエチルブロマイドの製造方法である。
本発明は、反応時に特定量のアミド結合または尿素結合を分子内に持つ化合物を共存させることによって、不純物の副生を抑制して高純度な2−アルコキシエチルブロマイドを高収率で製造し得ることを特徴とする。2−アルコキシエタノールと臭化チオニルとを、アミド結合または尿素結合を分子内に持つ化合物の非存在下か、またはいわゆる触媒量と呼ばれる少量の存在下に反応させた場合は、アセトアルデヒドや1,2−ジブロモエタンなどの不純物が多量に副生し、目的物である2−アルコキシエチルブロマイドの収率が低下する(例えば、20%)ばかりでなく、純度も低下し(例えば、75%)、高収率で高純度な2−アルコキシエチルブロマイドを得ることはできない。
一般式(1)及び(2)において、Rは、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基及び炭素数3〜20のシクロアルキル基からなる群から選択した基を表わし、ここで、これらの基は、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよい。
炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基として、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−アミル、i−アミル、n−ヘキシル、ネオヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、i−オクチル、s−オクチル、t−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、イコシルが挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、i−プロピルである。
炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロプロピル、シクロデシル、ノルボルニル、アダマンチルがあげられ、好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシルである。
上記のアルキル基、シクロアルキル基は、1以上のハロゲン原子(例えば塩素、臭素、ヨウ素、フッ素)で置換されていてもよい。
Rは、より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基を表し、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
一般式(1)及び(2)におけるXは、酸素原子である。
一般式(1)及び(2)におけるR及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−アミル、i−アミル、n−ヘキシル、ネオヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、i−オクチル、s−オクチル、t−オクチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロプロピル、シクロデシル、ノルボルニル、アダマンチルからなる群から選択される基を表す。R及びRは、好ましくは、水素、メチル、エチルであり、特に好ましくは水素である。
一般式(1)で示される2−アルコキシエタノールとして、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−エチルヘキシルオキシエタノール、クロロエトキシエタノール、ブロモエトキシエタノールなどが好ましく、これらは、工業的に製造されており、入手容易な化合物である。
臭化チオニルは、塩化チオニルに臭化水素を反応させることで容易に製造可能である。臭化チオニルの使用量は、一般式(I)で表される化合物1モルに対して0.8〜5等量モル、好ましくは0.9〜2等量モルである。
本発明におけるアミド結合または尿素結合を分子内に持つ化合物は、アミド基(−CO−N<)又は尿素結合(>N−CO−N<)を分子内に1個以上有する化合物であれば限定されないが、具体的には、アセトアミド、アクリルアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジイソプロピルアセトアミド、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロパンアミド、2−シアノ−N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピペリジノン、1−ブチリルアジリジン、1−イソブチリルアジリジン、1−エチル−2−ピロリジノン、1,5−ジメチルピロリジノン、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、3−メチルウラシル、ε−カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、3−エチル−2,4−イミダゾリジノン、1−アセチルイミダゾリジノン、4−アセチルモルホリン、N,N−ジエチルプロパンアミド、N,N−ジメチルペンタンアミド、3−メチル−2−チオキソ−4−イミダゾリジノン、1−アセチル−4−ピペリジノン、1−アセチルアゼパン、1−アセチル−3−メチルピペリジン、1−ブチル−2−ピロリジン、1−アセチル−4−メチルピペリジン、1,4−ジメチル−2,5−ピペラジンジオン、1−エチル−2,3−ピペラジンジオン、3,5,5−トリメチル−1,3−オキサジリジン−2,4−ジオン、N,N,N’,N’−テトラメチルエタンジアミド、1,3−ジメチル−2−チオキソ−4−イミダゾリジノン、1−メチルオキシインドール、2−メチル−1−オキシインドリノン、N,N−ジメチルベンザミド、N−メチルアセトアニリド、1−アセチル−2−ピロリジンカルボキザミド、アセチルピペリジン、尿素、N,N−ジメチル尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノンを挙げることができ、より好ましくは2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、アセチルピペリジン、尿素、N,N−ジメチル尿素などが含まれる。アミド結合または尿素結合を分子内に持つ化合物として特に好ましい化合物は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、尿素である。これらは単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
アミド結合または尿素結合を分子内に持つ化合物の使用量は、一般式(I)で表される化合物1モルに対して0.8〜50等量モル、好ましくは0.9〜5等量モル、最も好ましくは1〜2等量モルである。
本発明においては、反応溶媒を使用することができるが、使用しなくても良い。使用する場合、反応溶媒は、特に限定されるものではないが、反応時の攪拌のし易さを勘案して選択され、反応前に添加することもできるし、反応中に添加しても良い。用いられる反応溶媒は、水と混合した場合に層分離する溶媒が好ましく、具体的には、ジクロロメタン、クロルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、臭化メチレン、ブロモベンゼン、フルオロベンゼンなどのハロゲン化溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどのエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒があげられる。溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応混合物の重量に対して0〜100倍、好ましくは0〜10倍である。本発明においては、反応溶媒は、抽出溶媒としての役割を兼ねることができ,その場合の溶媒使用量は、反応混合物の重量に対して0.01〜100倍、好ましくは0.1〜10倍である。本発明では、一態様として、反応後に溶媒を添加することもできる。
本発明における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは−20〜150℃であり、特に好ましくは0〜60℃である。
本発明における反応時間は、反応条件によって左右されるので特に限定されないが、好ましくは0.5〜40時間であり、特に好ましくは1〜24時間である。
本発明における反応の終了後、反応混合物を冷却し、水を加え過剰の臭化チオニルを分解し目的物を分け取る。目的物を分取する際に、必要であれば抽出溶媒を加えてもよい。抽出溶媒は、特に限定されないが、例えばトルエン、キシレンなど芳香族炭化水素系溶媒、または、塩化メチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、トリクロロベンセン等のハロゲン系溶媒、あるいはジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒などが用いられる。
目的物が液体の場合は、必要に応じて蒸留または精留を行なうことができる。また、目的物が固体の場合は、再結晶を行うことにより精製することができる。
2−アルコキシエチルブロマイドの純度は、ガスクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィーによって測定できる。
次に本発明の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の例における反応収率は、次の方法により算出した。
〔反応収率算出方法〕
H−NMRによる定量分析(内部標準法)を用いた。スクリュー管にトルエン1.0g(内部標準物質)及び反応後の有機層5.0gを精密に量りとりよく混合した。この混合液を重クロロホルムに適量溶解させ、試料溶液としてH−NMRを測定した。得られたシグナルのうち、トルエンのメチル基のピーク及び一般式(2)における適切なピーク(Rが、直鎖又は分岐鎖のアルキル基の場合、末端のメチル基のピーク)との積分強度比から反応液中の目的物を定量し、反応収率を算出した。
実施例1
500mL容量の四ツ口フラスコに攪拌機、還流冷却管、温度計およびガス吸収装置を取り付け、2−メトキシエタノール76.1g(1.0M)、N,N−ジメチルアセトアミド95.7g(1.1M、1.1等量モル)、塩化メチレン150mlを加え、臭化チオニル228g(1.1M、1.1等量モル)を氷冷下で滴下した。滴下に要した時間は2時間であった。滴下終了後、5時間還流、攪拌したのちに水50gを加えた。有機層を分け取り、減圧下(20kPa)で蒸留すると無色澄明液体の2−メトキシエチルブロマイド108.4g(収率78%)が得られた。純度99%(ガスクロマトグラフィー)。沸点61〜62℃(18.7kPa)。
実施例2
500mL容量の四ツ口フラスコに攪拌機、還流冷却管、温度計およびガス吸収装置を取り付け、2−メトキシエタノール76.1g(1.0M)に尿素90.1g(1.5M、1.5等量モル)を加え、臭化チオニル228g(1.1M、1.1等量モル)を60℃以下に保ち、2時間で滴下した。臭化チオニルを半量滴下した時点でo−ジクロロベンゼン150mlを加え滴下を続行した。滴下終了後50℃で24時間攪拌したのちに水100gを加え、有機層を分取した。なお上述の反応収率算出方法に従い、有機層中の2−メトキシエチルブロマイドを定量した結果、反応収率は87.8%であった。分取した有機層を減圧下で蒸留すると無色澄明液体の2−メトキシエチルブロマイド114g(収率81%)が得られた。純度99%(ガスクロマトグラフィー)。沸点61〜62℃(18.7kPa)。
実施例3〜5、比較例1〜3
尿素の添加量を、0.01等量モル(比較例1)、0.2等量モル(比較例2)、0.6等量モル(比較例3)、0.8等量モル(実施例3)、1.0等量モル(実施例4)、1.1等量モル(実施例5)及び1.2等量モル(実施例6)とした以外は、実施例2と同様な方法により、2−メトキシエチルブロマイドを得た。上述の反応収率算出方法に従い、有機層中の2−メトキシエチルブロマイドを定量した。結果を、実施例2と併せて図1に示す。
本発明の基質である、2−メトキシエタノールを用いた場合、尿素の添加量の増加に従い収率が向上し、それは1.2等量モル以上で飽和に達した。いわゆる触媒量と呼ばれる、低濃度域(0.01〜0.6等量モル)での添加では、収率はおよそ2割か、それに満たないものであり、工業的製法として採用できるものではなかった。
実施例7
500mL容量の四ツ口フラスコに攪拌機、還流冷却管、温度計およびガス吸収装置を取り付け、2−エトキシエタノール53.8g(0.6M)に尿素53.1g(0.88M、1.5等量モル)を加え、臭化チオニル137g(0.66M、1.1等量モル)を30℃以下に保ち、2時間で滴下した。滴下終了後50℃で12時間攪拌したのちにo−ジクロロベンゼン150mlを加え、次いで水200mlを加えたのちに有機層を分取した。なお上述の反応収率算出方法に従い、有機層中の2−エトキシエチルブロマイドを定量した結果、反応収率は93.5%であった。分取した有機層を減圧下で蒸留すると無色澄明液体の2−エトキシエチルブロマイド72.9g(収率80%)が得られた。純度99%(ガスクロマトグラフィー)。沸点71〜72℃(16.0kPa)。
実施例8〜11、比較例4〜6
尿素の添加量を、0.01等量モル(比較例4)、0.2等量モル(比較例5)、0.6等量モル(比較例6)、0.8等量モル(実施例8)、1.0等量モル(実施例9)、1.1等量モル(実施例10)及び1.2等量モル(実施例11)とした以外は、実施例7と同様な方法により、2−エトキシエチルブロマイドを得た。上述の反応収率算出方法に従い、有機層中の2−エトキシエチルブロマイドを定量した。結果を、実施例7と併せて図1に示す。
本発明の基質である、2−エトキシエタノールを用いた場合もまた、尿素の添加量の増加に従い収率が向上し、それは1.0等量モル以上で飽和に達した。いわゆる触媒量と呼ばれる、低濃度域(0.01〜0.6等量モル)での添加では、収率は3割か、それに満たないものであり、工業的製法として採用できるものではなかった。
実施例12
500mL容量の四ツ口フラスコに攪拌機、還流冷却管、温度計およびガス吸収装置を取り付け、2−(ヘキシルオキシ)エタノール146.2g(1.0M)に尿素72.1g(1.2M、1.2等量モル)を加え、臭化チオニル137g(1.1M、1.1等量モル)を30℃以下に保ち、2時間で滴下した。滴下終了後50℃で12時間攪拌したのちにo−ジクロロベンゼン150mlを加え、次いで水200mlを加えた。有機層を分け取り、減圧下で蒸留すると無色澄明液体の2−(ヘキシルオキシ)エチルブロマイド186.3g(収率89.1%)が得られた。純度99%(ガスクロマトグラフィー)。沸点91℃(1.3kPa)。
比較例7
尿素の添加量を、0.02等量モルとした以外は、実施例12と同様な方法により、2−(ヘキシルオキシ)エチルブロマイド28.0g(収率13.5%)を得た。
本発明の基質である、2−(ヘキシルオキシ)エタノールについても、上述の2−メトキシエタノール及び2−エトキシエタノールと同様の傾向が観察された。すなわち、尿素の添加量が低濃度(0.02等量モル)の場合、収率は13.5%に過ぎなかったものが、尿素の添加量が1.2等量モルの場合、収率は89.1%にも達した。また、尿素の添加量が低濃度(0.02等量モル)の場合、不純物として多量の臭化ヘキシルが副生し、工業的製法として利用できるものではなかった。
比較例8
500mL容量の四ツ口フラスコに攪拌機、還流冷却管、温度計を取り付け、2−メトキシエタノール76.1g、ピリジン39.6gを加え、10〜100℃で三臭化リン81.2gを滴下した。反応終了後、減圧蒸留を行い、淡黄色澄明液体の2−メトキシエチルブロマイド52.7g(収率42.1%)を得た。純度94.9%(ガスクロマトグラフィー)。
本発明によれば、高純度の2−アルコキシエチルブロマイドを高収率で製造できる。高純度の2−アルコキシエチルブロマイドは、各種工業原料、特に医薬品中間体、電気デバイスの電解質化合物の原料及び液晶表示素子の液晶化合物の原料、並びに高分子の改質剤等において利用の拡大が期待される。
尿素添加量による、2−メトキシエチルブロマイド(MEB)及び2−エトキシエチルブロマイド(EEB)の反応収率の変化を示す。

Claims (2)

  1. 一般式(1):
    Figure 0004861832
    式中、
    Rは、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基及び炭素数3〜20のシクロアルキル基からなる群から選択した基を表わし、ここで、これらの基は、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよく、
    Xは、酸素原子を表し、
    及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−アミル、i−アミル、n−ヘキシル、ネオヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、i−オクチル、s−オクチル、t−オクチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロプロピル、シクロデシル、ノルボルニル、アダマンチルからなる群から選択される基を表す、
    で示される2−アルコキシエタノールと臭化チオニルとを、前記2−アルコキシエタノール1モルに対し0.8等量モル以上の、尿素、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドからなる群から選択される1種以上のアミド結合または尿素結合を分子内に持つ化合物の存在下に、反応させることを含む、一般式(2):
    Figure 0004861832
    式中、R、X、R及びRは、一般式(1)におけるものと同義である、
    で示される2−アルコキシエチルブロマイドの製造方法。
  2. 及びRが、水素であることを特徴とする、請求項1記載の2−アルコキシエチルブロマイドの製造方法。
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