JP4861578B2 - ルアー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、魚釣りに使用するルアーに関する。
【0002】
【従来の技術】
実開平6−64458号公報には、小魚形状の本体を有する金属製ルアーが開示されている。この本体は、頭部と胴部と尾部とを有し、ラインとフックとが取り付け可能である。頭部には本体を厚さ方向において貫通する透孔が形成され、この透孔には本体よりも密度の高い金属塊が埋められている。この金属塊は、その密度と大きさとを適宜選択することによって、ルアーの重量バランスを調整することに役立ち、外観を適宜整えることによって小魚の目玉のように見せかけることに役立つ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術において、透孔は断面が円形であって、金属塊は円柱状を成している。かかる金属塊は、透孔に圧入するか、接着剤を介して透孔周面に密着させることによって透孔から抜け落ちることを防止する。しかるに、金属塊を圧入するには、金属塊と透孔それぞれの径を精度よく作らなければならないという問題がある。また、接着剤を使用する場合には、接着剤が硬化するまで、金属塊が透孔から抜けることがないように固定しておかなければならないが、金属塊とルアーとの間には位置決め手段がないから、透孔内の一定の位置に金属塊を固定しておくことが難しい。
【0004】
この発明は、前記従来のルアーの改良に係り、ルアー本体の透孔へ充填材を容易に埋めることができ、埋めた後には充填材が抜けることがないようにすることを課題にしている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題解決のために、この発明が対象とするのは、ラインとフックとが取り付け可能に形成されたルアー本体に、前記ラインの延びる方向と直交する方向に貫通孔が形成され、前記貫通孔が前記ルアー本体とは異質の材料からなる充填材によって埋められ前記充填材が前記貫通孔の一端の側に位置する第1部材と、前記一端に対する他端の側に位置する第2部材とからなり、前記第1部材が前記一端の周縁部に外側から当接する大径部と、前記貫通孔に進入する小径部とを有する一方、前記第2部材が前記他端の周縁部に外側から当接する大径部と、前記貫通孔に進入する小径部とを有し、前記第1部材は、その小径部に該小径部の先端から大径部へ向かって延びる空洞部を有し、前記第2部材は、その小径部が前記空洞部へ進入するルアーである。
【0006】
かかるルアーにおいて、この発明が特徴とするところは、次のとおりである。
前記空洞部の内周面と前記空洞部に進入する前記小径部の外周面とには、それぞれの周面の周り方向へ延びる溝が形成され、前記内外周面の径方向における間には、前記内周面と前記外周面とが互いに接触することのない空隙が形成され、前記空隙と前記溝とのそれぞれにおいて接着剤が硬化していること、にある。
【0007】
この発明には、次のような好ましい実施態様がある。
(1)前記ルアーが偏平なものであって、前記ルアーの厚さ方向に前記貫通孔が形成されている。
(2)前記ルアー本体と前記充填材とは、密度、色、光線透過率のいずれかにおいて異質である。
(3)前記ルアー本体と前記充填材とのうちの少なくとも一方が金属である
【0008】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照して、この発明に係るルアーの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0009】
図1,2は、ルアー1の側面図と正面の要部を示す図である。ルアー1は、小魚に似せて作られたルアー本体2と、本体2に小魚の目玉に似せて取り付けられた充填材3とを有する。本体2は、図1の左右方向に長く、図2の左右方向に薄く偏平に作られており、小魚の背びれと腹部と尾部とに透孔6,7,8を有し、透孔6にはスナップスイーベル9を介して垂直方向上方へ延びるライン11が取り付けられ、透孔7,8にはスプリットリング12を介してフック13が取り付けられている。かかるルアー1は、例えば本体2にアルミニウムを使用し、充填材3には本体2よりも高密度のステンレススチールを使用することによって、またはそのような充填材3を適宜の大きさにすることによってルアー1の重量バランスを調整することができる。また、本体2と充填材3との色調や透明性に違いをつけて、ルアー1が魚によく目立つようにすることもできる。本体2と充填材3とは別体のものであるから、充填材3には、このように本体2とは異質の材料を使用することによって、ルアー1の機能を向上させることができる。
【0010】
図3は、図1のIII−III線切断面を示す図である。本体2は、それを厚さ方向において貫通し、ライン11と直交する方向ヘ延びる貫通孔16を有し、貫通孔16における両端の周縁部には貫通孔16と同心の座ぐり15が設けられ、平坦面17が形成されている。かかる貫通孔16は、ライン11と直交する方向ヘ延びる充填材3によって埋められており、その充填材3は、図の左方に位置する雌部材21と、右方に位置する雄部材22とを有する。これら両部材21,22は、仮想線で示されているように、図の左右方向から貫通孔16へ進入させるものである。
【0011】
雌部材21は、貫通孔16の外側に位置する大径部26と、貫通孔16の内側に位置する小径部27とを有し、大径部26が図の左方から貫通孔16周縁の平坦面17に密着している。小径部27は、径と長さとが貫通孔16のそれよりも短い円筒状に形成されており、外壁28と内壁29と空洞部30とを有し、内壁29にはねじ溝31が形成されている。
【0012】
雄部材22は、貫通孔16の外側に位置する大径部32と、貫通孔16の内側に位置する小径部33とを有し、大径部32が図の右方から貫通孔16周縁の平坦面17に密着している。小径部33は、円柱状に形成されており、周壁には周り方向へ延びる環状溝34が形成されている。かかる小径部33の径と長さとは、雌部材21における空洞部30の内径と深さとよりも小さく、図示の如く雌部材21と雄部材22との小径部27,33が貫通孔16へ進入すると、雄部材22の小径部33が雌部材21の空洞部30の内側に納まる。そのような空洞部30は、それに残された空隙が硬化した接着剤36によって満たされている。
【0013】
雌部材21の空洞部30内部では、接着剤36がねじ溝31と環状溝34との中にも入っている。それゆえ、図2の状態にある充填材3では、雌部材21と雄部材22とが貫通孔16から抜ける方向へ動こうとしても、それぞれの部材21,22が溝31,34の中の接着剤36に引っ掛かるので、両部材21,22は貫通孔16から抜けることがない。かかる充填材3によって貫通孔16を埋めるには、雌部材21の空洞部30に未硬化の接着剤36を入れて雌部材21の小径部27を貫通孔16へ進入させる一方、雄部材22の小径部33を空洞部30へ納まるように貫通孔16へ進入させて、接着剤36が硬化するのを待てばよい。このときに、雌部材21や雄部材22を貫通孔16の内側へ強く押していても、それぞれの部材21,22は大径部26,32が本体2の平坦面17に密着しているので、充填材3は動くことがなく、その位置は変わらない。
【0014】
充填材3を本体2に取り付けるためには、雌部材21と雄部材22とが貫通孔16へ進入可能であるとともに、雄部材22が雌部材21に進入可能であればよく、これら貫通孔16、雌部材21、雄部材22の間に摺動したり圧入したりする部位が不必要であるうえに、本体2の座ぐり15の内径を雌部材21と雄部材22との大径部26,32の外径よりも僅かに大きくしておけば、その座ぐり15がそれらの部材21,22の位置決め手段となるから、両部材21,22の本体2に対する取り付け作業は簡単であり、しかも両部材21,22の小径部27,33は自動的に貫通孔16の中心に納まる。
【0015】
図4は、この発明の実施態様の一例を示す図3と同様な図面である。このルアー1における充填材3の雌部材21は、その空洞部30の内壁29にねじ溝31に代わる一条または複数条の環状溝41を有し、雄部材22は、小径部33に図3の環状溝34よりも幅の広い環状溝42を有する。空洞部30の中の接着剤36は、これらの環状溝41,42の中へ入り、図2の場合と同様に抜け止め用の材料として作用する。この例のように、雌部材21と雄部材22とにおける溝41,42は、接着剤36が入り易くなるように、幅などの形状や条数を適宜変えることができる。
【0016】
この発明において、ルアー本体2と充填材3とのそれぞれは、金属やプラスチック、木等で作ることができる。接着剤36の一例には、二液硬化型のエポキシ樹脂がある。図1において垂直方向上方へ延びているライン11は、本体2の左方向先端から水平方向へ延びるものであってもよい。いずれの場合でも、貫通孔16はライン11と直交する方向へ延びるように作られる。
【0017】
【発明の効果】
この発明に係るルアーでは、ルアー本体に形成された透孔を埋めるための充填材が雌部材と雄部材とからなり、雌部材は透孔へ容易に進入する小径部に空洞部を有し、雄部材は透孔へ容易に進入して雌部材の凹部へ納まる小径部を有し、これら空洞部の内壁と空洞部へ納まる小径部とには周り方向へ延びる溝が形成され、それらの溝の内側では空洞部を満たす接着が硬化しているから、このような充填材は透孔へ取り付けるための作業が簡単で、取り付けた後には透孔から抜けることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】ルアーの側面図。
【図2】ルアーの正面の要部を示す図。
【図3】図1のIII−III線切断面を示す図。
【図4】実施態様の一例を示す図3と同様の図面。
【符号の説明】
1 ルアー
2 ルアー本体
3 充填材
11 ライン
13 フック
16 貫通孔
21 第1部材(雌部材)
22 第2部材(雄部材)
26 大径部
27 小径部
30 空洞部
31 溝
32 大径部
33 小径部
34 溝
36 接着剤
41 溝
42 溝

Claims (3)

  1. ラインとフックとが取り付け可能に形成されたルアー本体に、前記ラインの延びる方向と直交する方向に貫通孔が形成され、前記貫通孔が前記ルアー本体とは異質の材料からなる充填材によって埋められ、
    前記充填材が前記貫通孔の一端の側に位置する第1部材と、前記一端に対する他端の側に位置する第2部材とからなり、前記第1部材が前記一端の周縁部に外側から当接する大径部と、前記貫通孔に進入する小径部とを有する一方、前記第2部材が前記他端の周縁部に外側から当接する大径部と、前記貫通孔に進入する小径部とを有し、前記第1部材は、その小径部に該小径部の先端から大径部へ向かって延びる空洞部を有し、前記第2部材は、その小径部が前記空洞部へ進入するルアーにおいて、
    前記空洞部の内周面と前記空洞部に進入する前記小径部の外周面とには、それぞれの周面の周り方向へ延びる溝が形成され、前記内外周面の径方向における間には、前記内周面と前記外周面とが互いに接触することのない空隙が形成され、前記空隙と前記溝とのそれぞれにおいて接着剤が硬化していることを特徴とする前記ルアー。
  2. 前記ルアーが偏平なものであって、前記ルアーの厚さ方向に前記貫通孔が形成されている請求項1記載のルアー。
  3. 前記ルアー本体と前記充填材とは、密度、色、光線透過率のいずれかにおいて異質であり、
    前記ルアー本体と前記充填材とのうちの少なくとも一方が金属である請求項1または2記載のルアー
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