JP4861296B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は内燃機関の制御装置に関し、より具体的には、自動二輪車などの車両に搭載される内燃機関の吸気管に配置されたスロットルバルブを駆動するアクチュエータの動作を制御する内燃機関の制御装置に関する。
近年、スロットルバルブとアクセラレータとの機械的な接続を断ち、スロットルバルブをアクチュエータで駆動するようにした、DBW(Drive By Wire)方式の内燃機関の制御装置が知られている。そのような装置にあっては、一般に、スロットルバルブの開度を示す出力を生じるスロットル開度センサを備えると共に、その出力などに基づいてスロットルバルブを駆動するように構成される。しかしながら、スロットル開度センサを取り付ける位置のばらつきやセンサ回路固有の出力のばらつきなどに起因し、スロットル開度センサにおける全閉位置と全開位置を示す出力と、実際のスロットルバルブの全閉位置と全開位置との間に差異が生じる場合がある。
その場合、例えばスロットルバルブを全閉位置まで駆動させる際、実際のスロットルバルブが全閉位置に達して全閉端に当接した状態となっても、スロットル開度センサが全閉位置を示す出力を生じていなければ、アクチュエータはスロットルバルブをさらに閉方向に駆動させることとなり、それによってアクチュエータの負荷電流が増大し、バッテリにおいて無駄な電力を消費するなどの不具合が生じる。従って、実際のスロットルバルブの全閉位置と全開位置に対応するスロットル開度センサの出力の基準値(全閉基準値と全開基準値)を正確に把握する必要がある。そこで、スロットルバルブを全閉位置および全開位置まで強制的に駆動させ、そのときのスロットル開度センサの出力に基づいて全閉基準値と全開基準値を決定するようにした技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開平10−169470号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術のように、スロットルバルブを全閉位置および全開位置まで強制的に駆動させて全閉基準値と全開基準値を決定するように構成すると、各基準値の決定に要する時間がスロットルバルブを駆動させる時間の分だけ増加するという不都合が生じていた。
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、スロットルバルブの全閉位置および全開位置に対応するスロットル開度センサの全閉基準値および全開基準値を、正確かつ迅速に決定できるようにした内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記の目的を解決するために、請求項1にあっては、内燃機関の吸気管に配置されたスロットルバルブを駆動するアクチュエータの動作を制御する内燃機関の制御装置において、前記スロットルバルブの開度を示す出力を生じるスロットル開度センサ、前記アクチュエータで駆動されないときの前記スロットルバルブの位置に対応する前記スロットル開度センサの出力を初期基準値と決定すると共に、前記スロットルバルブが前記アクチュエータによって全閉位置まで駆動させられたときの前記スロットル開度センサの出力を全閉基準値と決定する初期・全閉基準値決定手段、前記決定された初期基準値と全閉基準値によって前記スロットル開度センサの出力の特性を求め、前記求められた前記スロットル開度センサの出力の特性に基づいて前記スロットルバルブの全開位置に相当する全開基準値を決定する全開基準値決定手段、および前記スロットルバルブの開度が前記決定された全閉基準値と全開基準値で規定される範囲内において決定される目標値となるように、前記アクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御手段を備えるように構成した。
請求項1に係る内燃機関の制御装置にあっては、スロットルバルブの開度を示す出力を生じるスロットル開度センサを備え、アクチュエータで駆動されないときのスロットルバルブの位置に対応するスロットル開度センサの出力を初期基準値と決定すると共に、スロットルバルブがアクチュエータによって全閉位置まで駆動させられたときのスロットル開度センサの出力を全閉基準値と決定し、決定された初期基準値と全閉基準値によってスロットル開度センサの特性を求め、求められたスロットル開度センサの出力の特性に基づいてスロットルバルブの全開位置に相当する全開基準値を決定するように構成、即ち、スロットルバルブを全閉位置まで駆動させるだけでスロットル開度センサの全閉基準値と全開基準値の両方を決定するように構成したので、各基準値を正確に決定できると共に、スロットルバルブを従来技術のように全開位置まで駆動させないため、その分だけ迅速に決定することができる。これにより、例えば内燃機関の始動時に全閉基準値と全開基準値の決定を行う場合、内燃機関の始動性を向上させることも可能となる。また、スロットルバルブの開度が前記決定された全閉基準値と全開基準値で規定される範囲内において決定される目標値となるように、アクチュエータの動作を制御するように構成したので、例えば実際のスロットルバルブが全閉位置に達して全閉端に当接した状態のとき、アクチュエータがスロットルバルブをさらに閉方向に駆動させることもなく、よってアクチュエータの負荷電流が増大してバッテリにおいて無駄な電力を消費するなどの不具合が生じることもない。
以下、添付図面に即してこの発明に係る内燃機関の制御装置の最良の形態について説明する。
図1は、この発明の実施例に係る内燃機関の制御装置を全体的に示す概略図である。
図1において、符号10は鞍乗り型車両、具体的には自動二輪車を示す。自動二輪車10には内燃機関(以下「エンジン」という)12が搭載されると共に、前輪のテレスコピックフォーク(図示せず)の上方に取り付けられたハンドルバー14などを備える。エンジン12は4サイクル単気筒の水冷式で、排気量が例えば250cc程度のガソリン・エンジンからなる。
ハンドルバー14の右側(運転者から見て)にはアクセラレータ16、正確にはスロットルグリップからなるアクセラレータ16が運転者の操作自在に設けられると共に、前輪ブレーキレバー20も運転者の操作自在に設けられる。前輪ブレーキレバー20は油圧シリンダを介して前輪ブレーキ(共に図示せず)に機械的に接続され、運転者によって操作(把持)されるとき、前輪ブレーキを作動させて前輪を制動する。尚、ハンドルバー14の左側には運転者が把持自在なグリップとクラッチレバーが設けられるが、それらは本願の要旨と直接の関係を有しないので、図示および説明を省略する。
エンジン12の吸気管22(図1で部分的に示す)にはスロットルバルブ24が配置され、吸気管22を通って流れる空気の量を調整する。スロットルバルブ24には図示しないデフォルトスプリングなどが取り付けられ、スロットルバルブ24が後述する電動モータで駆動されないとき(例えば、電動モータが非通電状態のとき)にデフォルト開度(初期開度。全開開度を略90度とするとき3度程度)となるように、スロットルバルブ24を付勢する。
吸気管22においてスロットルバルブ24の下流には図示しないインジェクタが配置され、スロットルバルブ24で調整された吸入空気にガソリン燃料を噴射する。噴射された燃料は吸入空気と混合して混合気を形成し、混合気は、吸気バルブ26が開弁するとき、燃焼室30に流入する。
燃焼室30に流入した混合気は、図示しない点火コイルから供給された高電圧で点火プラグ32から火花放電により点火されて燃焼し、ピストン34を図1において下方に駆動してクランクシャフト36を回転させる。燃焼によって生じた排ガスは、排気バルブ40が開弁するとき、排気管や排ガス中の有害成分を除去する触媒装置(いずれも図示せず)などを介してエンジン12の外部に排出される。
スロットルバルブ24は、図1に示す如く、アクセラレータ(スロットルグリップ)16との機械的な連結が断たれる。即ち、スロットルバルブ24は減速ギヤ機構42を介して電動モータ(アクチュエータ)44に接続され、電動モータ44の動作によって駆動(開閉)させられる。電動モータ44は、具体的には回転子(ロータ)と固定子(ステータ)などを備える3相ブラシレスDCモータからなる。このようにスロットルバルブ24は、電動モータ44によって駆動されるDBW方式とされる。
電動モータ44には、回転子の近傍に取り付けられたホール素子を有するホールセンサ(以下「回転子位置センサ」ともいう)50が設けられ、電動モータ44の回転子の位置に応じた信号を出力する。また、スロットルバルブ24の付近には可変抵抗式ポテンシオメータからなるスロットル開度センサ52が設けられ、スロットルバルブ24の開度を示す出力、具体的には、0度付近から90度付近までの間の実開度(以下「実スロットル開度」という)を示す出力TPSAD[V]を生じる。尚、スロットル開度センサ52は、スロットルバルブ24の開度が増加するにつれてその出力TPSADも増加するように、正確には正比例する出力となるように構成される。
アクセラレータ16の付近には同様に可変抵抗式ポテンシオメータからなるアクセラレータ開度センサ54が設けられ、アクセラレータ16の開度(具体的には、スロットルグリップの回転量)に応じた出力APSAD[V]を生じる。尚、アクセラレータ16の開度は初期位置がスロットル開度0度付近に相当すると共に、最大限回転されたときがスロットル開度90度付近に相当するように設定される。また、アクセラレータ開度センサ54は、アクセラレータ16が初期位置にあるとき、即ち、運転者によって操作されないとき、所定量(例えば、0.7[V])の電圧を出力すると共に、アクセラレータ16の回転量の増加に応じてその出力APSADも増加するように構成される。
吸気管22の適宜位置には吸気圧センサ(絶対圧センサ)56が設けられ、吸気管内絶対圧(エンジン負荷)を示す出力を生じる。また、エンジン12のシリンダブロックの冷却水通路(図示せず)には水温センサ60が取り付けられ、エンジンの冷却水の温度に応じた出力を生じる。エンジン12のクランクシャフト36の付近にはクランク角センサ62が取り付けられ、所定クランク角度ごとにパルス信号を出力する。
自動二輪車10はさらに、エンジン12の燃料噴射などを制御するエンジンコントローラ64と、スロットルバルブ24(正確には、電動モータ44)の動作を制御するスロットルバルブコントローラ66を備える。それらのコントローラ64,66はイグニッションスイッチ70を介してバッテリ72に接続され、動作電源を供給される。
エンジンコントローラ64は、前記したアクセラレータ開度センサ54などに電気的に接続されてセンサ出力を検出する複数個の検出回路と、前記検出回路で検出されたセンサ出力に基づいてインジェクタの動作を制御する信号などを出力するマイクロプロセッサ(microprocessor。以下「MPU」という)64aを備える。
具体的に説明すると、図1に示す如く、MPU64aには、アクセラレータ開度センサ54の出力APSADがアクセラレータ開度センサ出力検出回路64bを介して入力されてA/D変換され、A/D変換値は適宜な特性に従ってスロットル開度において0度付近から90度付近の値に相当する値、即ち、アクセラレータ開度APSに変換される(アクセラレータ開度APSが算出(検出)される)。
MPU64aには、スロットル開度センサ52の出力TPSADがスロットル開度センサ出力検出回路64cを介して入力され、A/D変換されると共に、A/D変換値は適宜な特性に従ってスロットルバルブ24の0度付近から90度付近までの間の値、即ち、実スロットル開度TPSに変換される(実スロットル開度TPSが算出(検出)される)。
さらにMPU64aには、吸気圧センサ56の出力が吸気圧センサ出力検出回路64dを介して入力されると共に、水温センサ60の出力が水温センサ出力検出回路64eを介して入力され、それぞれA/D変換されて吸気圧PBAと水温(エンジン温度)TWに変換される(算出される)。また、MPU64aには、クランク角センサ62の出力がクランク角センサ出力検出回路64fを介して入力され、その出力をカウントしてエンジン回転数NEが算出される。
前記したバッテリ72は、イグニッションスイッチ70が運転者によってオンされるとき、MPU64aに動作電源を供給する電源回路64gを介してバッテリ電圧検出回路64hに接続される。バッテリ電圧検出回路64hの出力もMPU64aに入力される。MPU64aは、バッテリ電圧検出回路64hの出力などに基づき、バッテリ72が電動モータ44を駆動させることができるか否か(例えば、バッテリ72の電圧が所定電圧以上か否か)を判断し、電動モータ44を駆動可能と判断されるとき、許可信号を出力する。
一方、スロットルバルブコントローラ66は、回転子位置センサ50の出力などに基づいて電動モータ44の動作を制御する信号などを出力するMPU66aを備える。このMPU66aは、図示の如く、エンジンコントローラ64のMPU64aにCAN(Controller Area Network)通信を介して相互に通信自在に接続される、具体的には、アクセラレータ開度センサ54の出力APSADやスロットル開度センサ52の出力TPSAD、算出されたアクセラレータ開度APSや実スロットル開度TPSなどに応じた信号が通信自在となるように接続される。
MPU66aには、回転子位置センサ50の出力(具体的には、U,V,W相のホールセンサ出力)が回転子位置センサ出力検出回路66bを介して入力される。MPU66aは、回転子位置センサ出力検出回路66bの出力やMPU64aから送信されるアクセラレータ開度APSなどに基づき、電動モータ44の動作を制御する信号(具体的には、U,V,W相出力)をモータ駆動回路66cに出力する。より詳しくは、MPU66aは、アクセラレータ開度APSなどの運転状態に基づいてスロットルバルブ24の目標スロットル開度(目標値)を決定(算出)し、実スロットル開度TPSが目標スロットル開度となるように、電動モータ44の動作を制御する信号を出力する。
スロットルバルブコントローラ66は、イグニッションスイッチ70がオンされるとき、バッテリ72からの動作電源をMPU66aと電動モータ44に供給する電源回路66dと、電源回路66dに接続されてバッテリ72の電圧を検出するバッテリ電圧検出回路66eを備える。バッテリ電圧検出回路66eの出力はMPU66aに入力されると共に、MPU66aはその出力などに基づき、バッテリ72が電動モータ44を駆動させることができるか否か(例えば、バッテリ72の電圧が所定電圧以上か否か)を判断し、電動モータ44を駆動可能と判断されるとき、許可信号を出力する。
MPU66aから出力される許可信号と、前述したMPU64aから出力される許可信号は共に、AND回路66fに送られる。AND回路66fは、2つの許可信号が入力されたとき、換言すれば、各MPU64a,66aにおいてバッテリ72が電動モータ44を駆動させることができると判断されるとき、Hiレベル信号を出力して許可リレー66gを閉じ、電源回路66dからのモータ駆動電圧をモータ駆動回路66cに供給する。
モータ駆動回路66cは、電源回路66dからのモータ駆動電圧が供給されるとき(許可リレー66gが閉じているとき)、MPU66aからの出力に基づいて電動モータ44のコイル(U,V,W相)に出力する。
図2は、この実施例に係るエンジンの制御装置の動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、エンジン12が始動されるとき(具体的には、イグニッションスイッチ70が運転者によってオンされたとき)、スロットルバルブコントローラ66などによって1回だけ実行される。
以下説明すると、先ずS10においてスロットル開度センサ52が故障か否か判断する。S10にあっては、スロットル開度センサ出力検出回路64cなどの出力に基づいて判断する。S10で肯定されるときは以降の処理をスキップする一方、否定されるときはS12に進み、アクセラレータ開度センサ54が故障か否か判断する。S12の判断は、アクセラレータ開度センサ出力検出回路64bなどの出力に基づいて行われ、肯定されるときは以降の処理をスキップする一方、否定されるときはS14に進む。
S14においてアクセラレータ開度センサ54の出力APSADを取得(検出)し、S16に進んで取得した出力APSADが所定量か否か判断する。この所定量は、前述したように、アクセラレータ16が運転者によって操作されず、初期位置にあるときに出力される電圧であるため、S16の処理はアクセラレータ16がアクセル全閉位置(初期位置)にあるか否かの判断に相当する。
S16で肯定されるときはS18に進み、スロットル開度センサ52の出力TPSADを取得(検出)する。正確には、S18において電動モータ44によって駆動されないとき(電動モータ44が非通電状態のとき)であって、アクセラレータ16がアクセル全閉位置にあるときのスロットルバルブ24の位置に対応するスロットル開度センサ52の出力、換言すれば、スロットルバルブ24が初期開度(デフォルト開度)のときのスロットル開度センサ52の出力TPSADを取得する。
次いでS20に進み、S18で取得した出力TPSADを初期基準値(TPSデフォルト値)TPS_defaultと決定する。従って、「初期基準値」とは、スロットル開度センサ52の出力においてスロットルバルブ24の初期開度(初期位置)に対応し、基準となる値を意味する。このように、電動モータ44で駆動されないときのスロットルバルブ24の位置に対応するスロットル開度センサ52の出力TPSADを初期基準値TPS_defaultと決定する。
他方、S16で否定、即ち、出力APSADが所定量より大きく、アクセラレータ16がアクセル全閉位置にないと判断されるときはS22に進み、MPU66aに記憶される第1の所定値(具体的には、前回のプログラムループで決定された初期基準値、あるいはデフォルト(初期値))を初期基準値TPS_defaultと決定する。
次いでS24に進み、バッテリ72の電圧が所定電圧以上か否か判断する。S24の判断は、MPU64aやMPU66aから出力される許可信号の有無によって行われ、肯定されるときはS26に進む。
S26において電動モータ44にバッテリ72のモータ駆動電圧を供給、即ち、電動モータ44に通電し、S28に進んでスロットルバルブ24を強制的に閉方向に駆動、正確には、スロットルバルブ24が閉方向に駆動するように、電動モータ44の動作を制御する。次いでS30に進み、スロットル開度センサ52より生じる出力TPSADを取得する。
S32に進み、スロットルバルブ24が全閉位置に達したか否か判断、換言すれば、スロットルバルブ24が電動モータ44によって全閉位置まで駆動させられたか否か判断する。この判断は、スロットル開度センサ52の出力の最小値TPSADminが更新されたか否かによって行われる。具体的に説明すると、図示しないプログラムにおいて、最後に取得した(最新の)スロットル開度センサ52の出力TPSADと、それまでに得られたスロットル開度センサ52の出力の最小値TPSADminとを比較し、出力TPSADが最小値TPSADmin未満のとき、最新の出力TPSADを新たな最小値TPSADminとして更新する。尚、最小値TPSADminの初期値は予め実験を通じて求められる適宜な値とされる。
これにより、最小値TPSADminが更新されるときはスロットルバルブ24が閉方向に駆動させられており、全閉位置まで至っていないと判断できる一方、最小値TPSADminが更新されないときはスロットルバルブ24の閉方向への駆動が停止させられた状態、即ち、スロットルバルブ24が全閉位置に達して全閉端に当接したと判断することができる。このように、スロットルバルブ24が全閉位置まで駆動させられたか否かの判断を、電動モータ44の電流を検出する電流センサなどを使用することなく、スロットル開度センサ52の出力TPSADに基づいて行うようにする。
S32で否定、即ち、スロットルバルブ24が未だ全閉位置まで駆動させられていないときはS28,S30の処理に戻り、スロットルバルブ24を閉方向にさらに駆動させ、スロットル開度センサ52の出力TPSADを再度取得する。他方、S32で肯定されるときはS34に進み、最後に得た(最新の)スロットル開度センサ52の出力TPSADを全閉基準値(スロットル開度センサ52の出力においてスロットルバルブ24の全閉位置に対応し、基準となる値。TPS下限値)TPS_fully_closeとする。このように、スロットルバルブ24が電動モータ44によって全閉位置まで駆動させられたときのスロットル開度センサ52の出力TPSADを全閉基準値TPS_fully_closeと決定する。
また、S24で否定されるときはバッテリ72の電圧が所定電圧未満であってスロットルバルブ24を閉方向に駆動させることができない状態にあるため、S36に進み、MPU66aに記憶される第2の所定値(具体的には、前回のプログラムループで決定された全閉基準値、あるいはデフォルト(初期値))を全閉基準値TPS_fully_closeと決定する。
次いでS38に進み、スロットルバルブ24の初期開度(具体的には3度)をスロットル初期開度TH_defaultとして設定(決定)し、S40に進んでスロットルバルブ24の全開開度(具体的には略90度)をスロットル全開開度TH_wotとして設定する。尚、上記したスロットルバルブ24の初期開度と全開開度は、スロットルバルブ24を備えるスロットルボディの固有の設定値(固有値)であり、MPU66aに記憶される。
次いでS42に進み、決定された初期基準値TPS_defaultと全閉基準値TPS_fully_closeによって得られるスロットル開度センサ52の特性に基づいてスロットルバルブ24の全開位置(TH_wot)に相当する全開基準値(スロットル開度センサ52の出力においてスロットルバルブ24の全開位置に対応し、基準となる値。TPS上限値)TPS_wotを決定する。
以下、全開基準値TPS_wotの決定について具体的に説明する。スロットル開度センサ52の出力はスロットルバルブ24の位置、即ち、スロットル開度に正比例するため、図3に示す如く、スロットルバルブ24がスロットル初期開度TH_defaultのときのセンサ出力である初期基準値TPS_defaultと、スロットルバルブ24が全閉位置のとき(図3においてスロットル開度が0度のとき)のセンサ出力である全閉基準値TPS_fully_closeが決定すれば、図3に一点鎖線で示すようなスロットル開度センサ52の出力の特性(センサモデル)を求めることができる。
従って、S40で設定されたスロットル全開開度TH_wotをスロットル開度センサ52の出力の特性に適用すれば、スロットルバルブ24の全開位置(スロットル全開開度TH_wot)に相当する全開基準値TPS_wotを決定(推定)することができる。より具体的には、全開基準値TPS_wotは下記の式1によって求められる。
TPS_wot[V]=((TPS_default−TPS_fully_close)/TH_default)×TH_wot+TPS_fully_close
・・・式1
即ち、初期基準値TPS_defaultから全閉基準値TPS_fully_closeを減算して得た差をスロットル初期開度TH_defaultで除算し(即ち、センサ出力の変化量をスロットル開度の変化量で除算し)、それにスロットル全開開度TH_wotを乗算して得た値に全閉基準値TPS_fully_closeを加算することで、全開基準値TPS_wotが求められる。尚、式1において、スロットル開度の変化量として「スロットル初期開度TH_default」を用いたが、これはスロットルバルブ24の全閉開度が0度であるからであって、それ以外のときは、スロットル開度の変化量は、スロットル初期開度TH_defaultからスロットルバルブ24の全閉開度を減算して得た差になることはいうまでもない。
上記のようにしてスロットル開度センサ52における全閉基準値と全開基準値が決定されると、次いで図示しないプログラムにおいて、アクセラレータ開度APSなどの運転状態に基づいてスロットルバルブ24の目標スロットル開度(目標値)が全閉基準値と全開基準値で規定される範囲内において決定される。そして、スロットルバルブ24の開度が目標スロットル開度となるように、電動モータ44の動作が制御される。このように、スロットルバルブ24の開度が決定された全閉基準値TPS_fully_closeと全開基準値TPS_wotで規定される範囲内において決定される目標スロットル開度となるように、電動モータ44の動作が制御される。
図4は、この実施例に係るエンジンの制御装置において、全閉基準値と全開基準値の決定に要する時間を従来技術と対比して示すタイム・チャートである。
図4に示すように、この実施例に係る装置にあっては、時点tにおいてイグニッションスイッチ70が運転者によってオンされると、前述したように、時点tからtの間において電動モータ44で駆動されないときのスロットルバルブ24の位置に対応するスロットル開度センサ52の出力、即ち、スロットルバルブ24が初期開度(デフォルト位置)のときの出力を初期基準値TPS_defaultと決定する。
次いで時点tからtに亘ってスロットルバルブ24を強制的に閉方向に駆動し、スロットルバルブ24が全閉位置まで達したとき(時点t)、全閉基準値TPS_fully_closeを決定し、決定された初期基準値TPS_defaultと全閉基準値TPS_fully_closeに基づいて全開基準値TPS_wotを決定する。尚、全閉位置まで駆動させられたスロットルバルブ24は、その後適宜に設定された始動開度まで開方向に駆動させられ、時点tにおいて全閉基準値TPS_fully_closeと全開基準値TPS_wotの決定に関する処理が終了する。
これに対して従来技術(背景技術の欄で述べた特許文献1に記載される技術)にあっては、図4に一点鎖線で示す如く、時点tからtまではこの実施例に係る装置と同様の処理を行い、時点tにおいて全閉基準値を決定する。そして、時点tからtに亘ってスロットルバルブ24を強制的に開方向に駆動し、スロットルバルブ24が全開位置まで達したとき(時点t)、全開基準値を決定する。その後、スロットルバルブ24は始動開度まで閉方向に駆動させられ、時点tにおいて全閉基準値と全開基準値の決定に関する処理が終了する。このように、この実施例に係る装置にあっては、スロットルバルブ24を全開位置まで駆動させないため、その分(具体的には、時点t〜t)だけ全閉基準値と全開基準値の決定に要する時間を短縮させることができる。
以上の如く、この発明の実施例にあっては、内燃機関(エンジン)12の吸気管22に配置されたスロットルバルブ24を駆動するアクチュエータ(電動モータ)44の動作を制御する内燃機関の制御装置において、前記スロットルバルブの開度を示す出力を生じるスロットル開度センサ52、前記アクチュエータで駆動されないときの前記スロットルバルブの位置(スロットル初期開度TH_default)に対応する前記スロットル開度センサの出力を初期基準値TPS_defaultと決定する(S20)と共に、前記スロットルバルブが前記アクチュエータによって全閉位置まで駆動させられたときの前記スロットル開度センサの出力を全閉基準値TPS_fully_closeと決定する初期・全閉基準値決定手段(スロットルバルブコントローラ66。S34)、前記決定された初期基準値と全閉基準値によって前記スロットル開度センサの出力の特性を求め、前記求められた前記スロットル開度センサの出力の特性に基づいて前記スロットルバルブの全開位置(スロットル全開開度TH_wot)に相当する全開基準値TPS_wotを決定する全開基準値決定手段(スロットルバルブコントローラ66。S42)、および前記スロットルバルブの開度が前記決定された全閉基準値と全開基準値で規定される範囲内において決定される目標値(目標スロットル開度)となるように、前記アクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御手段(スロットルバルブコントローラ66)を備えるように構成した。
このように、スロットルバルブ24を全閉位置まで駆動させるだけでスロットル開度センサ52の全閉基準値TPS_fully_closeと全開基準値TPS_wotの両方を決定するように構成したので、各基準値を正確に決定できると共に、スロットルバルブを従来技術のように全開位置まで駆動させないため、その分だけ迅速に決定することができ、よってエンジン12の始動性も向上させることができる。また、スロットルバルブ24の開度が前記決定された全閉基準値TPS_fully_closeと全開基準値TPS_wotで規定される範囲内において決定される目標スロットル開度となるように、電動モータ44の動作を制御するように構成したので、例えば実際のスロットルバルブ24が全閉位置に達して全閉端に当接した状態のとき、電動モータ44がスロットルバルブ24をさらに閉方向に駆動させることもなく、よって電動モータ44の負荷電流が増大してバッテリ72において無駄な電力を消費するなどの不具合が生じることもない。
尚、上記において、エンジン12が搭載される鞍乗り型車両として自動二輪車10を例に挙げて説明したが、それに限られるものではなく、スクータ、ATV(All Terrain Vehicle)など、運転者がシート(サドル)に跨って乗る鞍乗り型車両であっても良く、さらには他の車両であっても良い。
また、エンジン12が単気筒エンジンからなるように構成したが、それに限られるものではなく、2気筒エンジンなどの多気筒エンジンであっても良い。
また、エンジン12の排気量、スロットル初期開度TH_defaultやスロットル全開開度TH_wotなどを具体的に示したが、それらの数値は例示であって限定されるものではない。
また、エンジン12の始動時に初期基準値TPS_default、全閉基準値TPS_fully_closeおよび全開基準値TPS_wotを決定するように構成したが、それに限られるものではなく、例えばエンジン12の停止時に各基準値を決定するように構成しても良い。
この発明の実施例に係る内燃機関の制御装置を全体的に示す概略図である。 図1に示す内燃機関の制御装置の動作を示すフロー・チャートである。 図1に示す内燃機関のスロットル開度に対するスロットル開度センサの出力の特性を示すグラフである。 図1に示す内燃機関の制御装置において、全閉基準値と全開基準値の決定に要する時間を従来技術と対比して示すタイム・チャートである。
符号の説明
12 エンジン(内燃機関)、22 吸気管、24 スロットルバルブ、44 電動モータ(アクチュエータ)、52 スロットル開度センサ、66 スロットルバルブコントローラ

Claims (1)

  1. 内燃機関の吸気管に配置されたスロットルバルブを駆動するアクチュエータの動作を制御する内燃機関の制御装置において、
    a.前記スロットルバルブの開度を示す出力を生じるスロットル開度センサ、
    b.前記アクチュエータで駆動されないときの前記スロットルバルブの位置に対応する前記スロットル開度センサの出力を初期基準値と決定すると共に、前記スロットルバルブが前記アクチュエータによって全閉位置まで駆動させられたときの前記スロットル開度センサの出力を全閉基準値と決定する初期・全閉基準値決定手段、
    c.前記決定された初期基準値と全閉基準値によって前記スロットル開度センサの出力の特性を求め、前記求められた前記スロットル開度センサの出力の特性に基づいて前記スロットルバルブの全開位置に相当する全開基準値を決定する全開基準値決定手段、
    および
    d.前記スロットルバルブの開度が前記決定された全閉基準値と全開基準値で規定される範囲内において決定される目標値となるように、前記アクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御手段、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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