JP4860970B2 - 電子写真用トナー、現像方法、現像装置、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
一般に、電子写真方式における現像方法においては、トナーのみを現像剤として用いる一成分現像方式と、トナーとキャリアを現像剤として用いる二成分現像方式とがある。
一成分現像方式は、トナーを現像剤担持体(例えば現像ローラ)に移動させて担持搬送し、トナー層規制部材によってトナーを摩擦帯電すると同時にトナーの層の厚みを規制し、現像ローラ上の薄層状態のトナーを電気的な力により静電潜像に付着させて現像するものである。この現像ローラと像担持体とがお互いに対向した現像領域において、像担持体に形成された静電潜像をトナーによって顕像化しているが、所定濃度の高品質なトナー画像を形成するには、充分に帯電した多量のトナーを現像領域に搬送し、かかるトナーによって潜像を顕像化する必要がある。
これらの現像工程の機能、すなわち、トナーの帯電、搬送を十分に達成するためには、トナーそのものの特性が重要である。特に、その流動性はトナーの搬送に関わるだけでなく、攪拌の均一性、さらには、それらの過程で行われる摩擦帯電に大きく影響するため、トナーに求められる基本的な特性と言える。そして、今後、画像形成装置の高速化、もしくは、小型化を進めるためには、この流動性が非常に高いレベルで求められる。
トナーの流動性を制御する方法として、外部添加剤をトナー表面に付着させる方法がある。外部添加剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタンをはじめとした数〜数百nm程度の大きさの金属酸化物微粉末が必要に応じて疎水化処理されて用いられ、これらはミキサーなどを用いて、トナーに添加混合される。この方法は容易に流動性を向上させることのできる方法であるため、トナー処方として広く用いられているが、一方で、外部添加剤が凝集してしまう、という課題がある。すなわち、外部添加剤はその平均粒子径が数十〜数百nmと微小であるため、凝集し粗大な2次粒子の状態でトナー表面に付着してしまう。流動性向上のための外部添加剤の理想的な付着状態は、できる限り微小な粒子が均一にトナー表面に付着した状態であるため、このような外部添加剤の凝集は好ましくない。
本発明の第1の手段は、少なくとも着色剤を有するトナー着色母体粒子(以下、トナーと記す)に外部添加剤を混合外添して作成する電子写真用トナーであって、前記トナーに前記外部添加剤を混合する工程において、前記外部添加剤とラメラ結晶粉体を同時に混合し、かつ、前記ラメラ結晶粉体のラメラ結晶の厚みが前記外部添加剤の平均粒子径以下であることにより、前記ラメラ結晶が割れながら前記外部添加剤の間に入り込むことで当該外部添加剤の凝集が妨げられていることを特徴としている(請求項1)。
また、本発明の第3の手段は、第1の手段の電子写真用トナーにおいて、前記外部添加剤の添加量がトナー重量に対して2〜5重量部であることを特徴としている(請求項3)。
また、本発明の第5の手段は、第1乃至第4のいずれか一つの手段の電子写真用トナーにおいて、前記ラメラ結晶粉体の結晶厚みが10nm以下であることを特徴としている(請求項5)。
また、本発明の第7の手段は、第6の手段の電子写真用トナーにおいて、前記脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛であることを特徴としている(請求項7)。
さらに本発明の第8の手段は、第6または第7の手段の電子写真用トナーにおいて、前記脂肪酸金属塩の平均粉体径が1μm以下であることを特徴としている(請求項8)。
また、本発明の第10の手段は、第9の手段の現像方法において、前記現像剤担持体に印加される現像バイアスとして、直流バイアスが用いられていることを特徴としている(請求項10)。
また、本発明の第12の手段は、第11の手段の現像装置において、前記現像剤担持体に印加される現像バイアスとして、直流バイアスが用いられていることを特徴としている(請求項12)。
まず、本発明に係る電子写真用トナーを用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置の実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略要部構成図である。図1において、画像形成装置1は、図示しない本体筐体内に、図中の時計回り方向に回転駆動される像担持体(例えば光導電性の感光体)2が収納されており、感光体2の周囲には、帯電部3、書込部(潜像形成手段)4、現像部(現像手段)5、紙転写部(転写手段)7、紙分離部(図示せず)、クリーニング部8、感光体除電部9が配設されており、画像形成部を構成している。また、この画像形成部の下方には給紙部10が設けられており、記録媒体である記録紙Pが給紙される。さらに、画像形成部の左方には定着部(定着手段)11と図示しない排紙部が設けられている。また、図示を省略するが、画像形成装置1には、各部の駆動を制御し画像形成動作を制御する制御部や、各種の設定を行う操作部、帯電バイアス、現像バイアス、転写バイアス等の印加を行うための電圧印加部等が設けられている。
また、書込部4には、例えばレーザー光源と光偏向器(回転多面鏡等)及び走査結像光学系からなる光走査装置が用いられるが、この他、発光ダイオード(LED)アレイと結像素子アレイを組み合わせたLED書込装置等を用いることができる。
クリーニング部8には、クリーニングブレード8aで感光体2上の残留トナーを掻き落とすものや、ファーブラシ8bで感光体2上の残留トナーを掻き落とすものなどがあるが、これらのいずれか一方、あるいは両方を用いることができる。また、この他に、クリーニングバイアスを印加した金属ローラ等を用いることもできる。
感光体除電部9には、除電ランプ、除電チャージャ等が用いられる。
図2において、このカラー画像形成装置は、図示しない本体筐体内に、異なる色(例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K))のトナーで画像形成を行う4つの画像形成部1C,1M,1Y,1Kを備えており、この4つの画像形成部1C,1M,1Y,1Kを中間転写部6に沿って並設した構成である。4つの画像形成部1C,1M,1Y,1Kの構成は同じであり、図中の時計回り方向に回転駆動される像担持体(例えば光導電性の感光体)2C,2M,2Y,2Kを備えており、感光体2C,2M,2Y,2Kの周囲には、帯電部3C,3M,3Y,3K、書込部(潜像形成手段)4C,4M,4Y,4K、現像部(現像手段)5C,5M,5Y,5K、中間転写部(1次転写手段)6、クリーニング部8C,8M,8Y,8K等が配設されている。なお、各画像形成部1C,1M,1Y,1Kを構成する帯電部3C,3M,3Y,3K、書込部(潜像形成手段)4C,4M,4Y,4K、現像部(現像手段)5C,5M,5Y,5K、クリーニング部8C,8M,8Y,8K等の構成は図1と同様である。
また、紙転写部7でカラー画像を記録紙Pに2次転写した後の中間転写部6では、図示しないベルトクリーニング部で中間ベルト61表面に残留するトナーをクリーニングブレード及び/またはファーブラシ等により掻き落として除去し、次の1次転写工程に備える。
図3において、このカラー画像形成装置は、図示しない本体筐体内に、図中の時計回り方向に回転駆動される像担持体(例えば光導電性の感光体)2が収納されており、感光体2の周囲には、帯電部3、書込部(潜像形成手段)4、現像部(現像手段)5C,5M,5Y,5K、中間転写部(1次転写手段)6、クリーニング部8等が配設されており、画像形成部を構成している。なお、帯電部3、書込部(潜像形成手段)4、クリーニング部8等の構成は図1と同様である。また、中間転写部6は、図中の矢印方向に回転駆動される中間転写ベルト61と、この中間転写ベルト61を支持する駆動ローラ62及び従動ローラ63,65と、1次転写ローラ64で構成されている。
また、紙転写部7でカラー画像を記録紙Pに2次転写した後の中間転写部6では、図示しないベルトクリーニング部で中間ベルト61表面に残留するトナーをクリーニングブレード及び/またはファーブラシ等により掻き落として除去し、次の1次転写工程に備える。
図4は本発明が適用される現像装置5の一実施形態を、感光体2の近傍とともに示す概略断面図である。この現像装置例においては、トナーホッパ25内に、現像剤担持体である現像ローラ21、補給ローラ22、薄層形成部材(またはトナー層規制部材)23、アジテータ24が設けられている。そして、現像剤としては、例えばトナーのみの一成分現像剤が収容されている。
無機酸化物粒子としては、具体的には、シリカ、酸化チタン、アルミナなど各種のものが使用できるが、特に疎水化されたシリカが特に好ましい。このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができ、特に一成分現像方式において、現像ローラ上のトナー薄層が均一化する。表面処理を行うものとしては、例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
ラメラ結晶粉体は、両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れやすいという性質を持つ。すなわち、通常の状態においては、ミクロン(μm)オーダーの粉体であるが、微小な力を加えることにより、その粉体を構成する結晶の単位に容易に分割される。かつ、この割れた結晶の厚みはナノメーター(nm)オーダーであり、外部添加剤よりも小さいラメラ結晶粉体が存在する。このことが外部添加剤の凝集防止と分散に非常に効果的であることを本発明者らは明らかにした。すなわち、ラメラ結晶粉体を外部添加剤とともに混合すると、結晶が割れながら、かつ、それらが外部添加剤の間に入り込む。このことにより、外部添加剤はその凝集を妨げられる。さらに、ラメラ結晶粉体はへき開を起こし、2つのラメラ結晶層が重なると、それらの結晶層は互いに滑りやすいという性質を持つ。したがって、外部添加剤の隙間に2層以上のラメラ結晶が入り込めば、外部添加剤同士の摺擦を加速させるため、凝集した外部添加剤を分散させる「ほぐし」効果も働く。
画像形成装置として、(株)リコー製「IPSiO Color5000」の改造機を用い、画像品質として感光体上での地汚れの評価を行った。また、作成したトナーの外部添加剤の分散状態を評価するために走査型プローブ顕微鏡による表面観察を行った。
・ポリエステル樹脂(軟化点:103℃、Tg:65℃)
・キナクリドン系マゼンタ顔料:4重量部
・サリチル酸の亜鉛化合物:1.5重量部
なお、他の色の母体トナーも同様に作成した。
・チタニア(平均粒径:50nm):0.6重量部
・ステアリン酸亜鉛:0、0.05、0.15、0.30重量部
なお、表1はラメラ結晶粉体を外部添加剤とともに混合する効果を示す結果であり、かつ、図5は、その効果が発現する理由を示す結果である。
外部添加剤とともに混合するラメラ結晶粉体のなかで、脂肪酸金属塩はその効果が期待されるものの一つであるが、それは必ずしも、ステアリン酸のアルカリ金属塩に限らない。脂肪酸金属塩の長さは主に一分子中の炭素数によって決定されるが、この結晶の長さが外部添加剤の粒径よりも小さいことが重要である。例えば、外部添加剤の平均粒径が10nmである場合は、炭素数が50程度の脂肪酸金属塩でその効果が十分に発揮される。
本実施例では、母体トナーA:100重量部に対し、下記の添加量のシリカ、チタニアをヘンシェルミキサー(三井三池社製)で充分混合し、トナーに添加混合する際に、ステアリン酸亜鉛を下記の添加量で混入した。
ラメラ結晶粉体は、外部添加剤と混合する際にかかるせん断力により、へき開して、結晶単位にまで分解するが、その粉体径が小さい方が、へき開はより効率良く進行する。下記の表2はラメラ結晶粉体としてステアリン酸亜鉛を用い、その平均粒径を変えた場合の効果を示すものである。
・チタニア(平均粒径:50nm):0.6重量部
・ステアリン酸亜鉛:0.30重量部
外部添加剤とともに混合するラメラ結晶粉体としては、脂肪酸金属塩に限るものではなく、例えば、モノセチルリン酸ナトリウム亜鉛塩もラメラ型の結晶構造を持つ粉体であり、同様に用いることができる。また、その長面間隔が5nmであるため、外部添加剤の分散効果を有効に働かせることが可能である。
1C,1M,1Y,1K:画像形成部
2,2C,2M,2Y,2K:感光体(像担持体)
3,3C,3M,3Y,3K:帯電部
4,4C,4M,4Y,4K:書込部(潜像形成手段)
5:現像部(現像手段)
5C,5M,5Y,5K:現像装置(現像手段)
6:中間転写部(転写手段)
7:紙転写部(転写手段)
8:クリーニング部
9:感光体除電部
10:給紙部
11:定着部
12:給紙ローラ
13:分離ローラ
14:搬送ローラ対
15:レジストローラ対
21:現像ローラ
22:補給ローラ
23:薄層形成部材
24:アジテータ
25:トナーホッパ
26:トナー
P:記録紙(記録媒体)
Claims (16)
- 少なくとも着色剤を有するトナー着色母体粒子(以下、トナーと記す)に外部添加剤を混合外添して作成する電子写真用トナーであって、
前記トナーに前記外部添加剤を混合する工程において、前記外部添加剤とラメラ結晶粉体を同時に混合し、かつ、前記ラメラ結晶粉体のラメラ結晶の厚みが前記外部添加剤の平均粒子径以下であることにより、前記ラメラ結晶が割れながら前記外部添加剤の間に入り込むことで当該外部添加剤の凝集が妨げられていることを特徴とする電子写真用トナー。 - 請求項1記載の電子写真用トナーにおいて、
前記外部添加剤の添加量がトナー重量に対して0.3〜5重量部であることを特徴とする電子写真用トナー。 - 請求項1記載の電子写真用トナーにおいて、
前記外部添加剤の添加量がトナー重量に対して2〜5重量部であることを特徴とする電子写真用トナー。 - 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電子写真用トナーにおいて、
前記ラメラ結晶粉体の添加量がトナー重量に対して0.01〜0.50重量部であることを特徴とする電子写真用トナー。 - 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の電子写真用トナーにおいて、
前記ラメラ結晶粉体の結晶厚みが10nm以下であることを特徴とする電子写真用トナー。 - 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の電子写真用トナーにおいて、
前記ラメラ結晶粉体が脂肪酸金属塩であることを特徴とする電子写真用トナー。 - 請求項6記載の電子写真用トナーにおいて、
前記脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする電子写真用トナー。 - 請求項6または7記載の電子写真用トナーにおいて、
前記脂肪酸金属塩の平均粉体径が1μm以下であることを特徴とする電子写真用トナー。 - 像担持体に対向して現像剤担持体を配置し、前記像担持体に形成された静電潜像を前記現像剤担持体で担持した現像剤で顕像化する現像方法において、
前記現像剤に、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の電子写真用トナーを用いることを特徴とする現像方法。 - 請求項9記載の現像方法において、
前記現像剤担持体に印加される現像バイアスとして、直流バイアスが用いられていることを特徴とする現像方法。 - 像担持体に対向して配置された現像剤担持体を備え、前記像担持体に形成された静電潜像を前記現像剤担持体で担持した現像剤で顕像化する現像装置において、
前記現像剤に、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の電子写真用トナーを用いることを特徴とする現像装置。 - 請求項11記載の現像装置において、
前記現像剤担持体に印加される現像バイアスとして、直流バイアスが用いられていることを特徴とする現像装置。 - 像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、該静電潜像を現像剤担持体で担持した現像剤で顕像化する現像工程と、顕像化された画像を記録媒体に直接または中間転写体を介して転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された画像を定着する定着工程を経て画像形成を行う画像形成方法において、
前記現像剤に、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の電子写真用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。 - 像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、該静電潜像を現像剤担持体で担持した現像剤で顕像化する現像工程と、顕像化された画像を記録媒体に直接または中間転写体を介して転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された画像を定着する定着工程を経て画像形成を行う画像形成方法において、
前記現像工程に、請求項9または10記載の現像方法を用いることを特徴とする画像形成方法。 - 像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像が形成された像担持体に現像剤を担持した現像剤担持体を対向させて前記静電潜像を顕像化する現像手段と、顕像化された画像を記録媒体に直接または中間転写体を介して転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された顕像を定着する定着手段を備えた画像形成装置において、
前記現像剤に、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の電子写真用トナーを用いることを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像が形成された像担持体に現像剤を担持した現像剤担持体を対向させて前記静電潜像を顕像化する現像手段と、顕像化された画像を記録媒体に直接または中間転写体を介して転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された顕像を定着する定着手段を備えた画像形成装置において、
前記現像手段に、請求項11または12記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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