JP4859585B2 - シート状多孔質焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質焼結体の製造方法に関するものであり、特に、空隙率の極めて高いシート状多孔質焼結体の製造技術に関する。
多孔質焼結体は、高温融体のフィルターとして古くから用いられてきているが、近年、燃料電池用の拡散層や電極の構成材として脚光を浴びている。燃料電池は、環境問題やエネルギー問題を解決する手段として近年盛んに開発されており、特に自動車用燃料電池は試験段階から工業的規模に移行しつつあり、一部実用化の動きも見られる。
燃料電池は、燃料ガスと酸化剤ガスを接触させて起こる電気化学反応によって直接電力を取り出す方式であるが、イオンの通路である電解質の種類によって、リン酸型、固体高分子型、直接メタノール型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型に分類されている。これらの電池の中で固体高分子型燃料電池は、その他の燃料電池に比べて作動温度が80℃程度と低いために、手軽に電池を構成できることから車載用あるいは家庭用コジェネレーション電源として注目されている。固体高分子型燃料電池は、例えば、ナフィオンに代表されるような固体高分子膜を挟んでその両側に燃料ガスをイオン化するための触媒層、燃料あるいは酸化剤ガスを触媒層に移行させる拡散層(電極)および各セルを区画するセパレータがそれぞれ密着配置されて一体型に構成されている(以降、これを「セル」と呼ぶ場合がある)。これらのセルを多数積層して電圧や電流を高めたものが燃料電池ユニットとして実機に装着されている。
燃料電池は、このように複数の部品から構成されており、しかも、ガス拡散、イオン化、そして化学反応の要素が直列に繋がった移動現象であるため、燃料電池の出力を最大に維持するには、それぞれの構成要素の能力を最大限に発揮するような装置構成と作動条件を設定することが重要となる。本発明は、前記した固体高分子型燃料電池の構成部品である拡散層に着目し、効率の良い燃料電池に資する拡散層の製造方法を提供するものである。
拡散層には、燃料電池に供給された燃料ガスあるいは酸化剤ガスを効率良く触媒層あるいは固体高分子膜まで移動させる機能が望まれている。この機能は、空隙率により大きく影響され空隙率が高いほど拡散性能も向上するので空隙率は高い程好ましいとされる。一方、触媒層付近で起こる電気化学反応により副生した水は、拡散層を経由して効率よく系外に排出されるよう工夫されている。さらに、固体高分子電解質膜の性質上、水分の共存が必須であり、その結果強酸雰囲気下に拡散層が曝されるため耐食性も要求される。また、燃料電池は、単位セルを複数個積層して使用される場合が一般的であり、このため、拡散層もできるだけ薄い方が好ましいとされている。本発明においても、このような要求を満たすシート状の多孔質焼結体の製法を目的としている。
このような事情から、燃料電池に供されている拡散層の大半は、カーボンペーパーあるいはカーボン繊維から構成されている。しかしながら、カーボンは酸による腐食に対する耐食性に優れているものの、加工性あるいは耐久性の点で改良の余地が残されている。カーボン以外の材料を用いた拡散層については、80%程度の空隙率を有するNi基ベースの発泡質多孔板から構成された多孔体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法においては、空隙率は80%程度に留まっており、燃料電池の性能を向上させるには更なる改善が必要である。
また、チタン繊維とチタン粉を用いた、表面が平滑な多孔質焼結体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この多孔質焼結体は、空隙率の高いチタン繊維の焼結体ではあるが、焼結体表面の平滑度を高めるために配合したチタン粉により、表面近傍の空隙率が低下して燃料電池の性能が充分に発揮され難いという問題を有している。
さらに、チタン繊維やチタン粉をチタン製の多孔板で挟み込み一緒に焼結することにより、表面が平滑で、耐食性に優れ、更に加工性の容易なチタン焼結体の製造技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、当文献には空隙率に関する言及は見当たらない。
また、Mo板等の高融点金属板にAlN成形体を挟み込んでAlN基板を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この方法は緻密な焼結体を製造する方法であり、本願のように高い空隙率を有する焼結体を製造するための必要な応力の記載がない。
最近では、高い空隙率を有するチタン繊維を用いた三次元構造体が開示されている(例えば、特許文献5参照)。しかし、この構造体の製造方法は、いわゆる円柱、角柱または円錐のような立体構造を有する焼結体の製造方法であるので、薄板状の燃料電池用拡散層にそのまま適用することは難しい。
また、気孔率が50%を超え、チタン繊維から構成された燃料電池用ガス分散体が開示されているが(例えば、特許文献6参照)、その具体的な製法に関する記載は見当たらない。
特開2004−047126号公報 特開平11−302891号公報 特開2004−185946号公報 特開平08−295566号公報 特開2004−018951号公報 特表2004−503069号公報
燃料電池用拡散層は単位セルを複数個積層して使用される場合が一般的であり、拡散層もできるだけ薄い方が好ましいとされている。しかしながら、上述したように、従来開示されている多孔質焼結体の製造方法では、多くの問題点があった。このように、加工性に富み、耐食性に優れ、空隙率が高くガス透過性に優れ、しかも精度良く厚みが調整されたシート状多孔質焼結体を効率よく製造する技術が望まれている。
よって、本発明は、上述の諸特性を満足することができる燃料電池拡散層用のシート状多孔質焼結体の製造方法を提供することを目的としている。
前記した実情を踏まえて鋭意検討を重ねてきたところ、 短径が10〜100μmで長径が1〜10mmのチタン繊維を圧縮して成形体を作製した後、次いで前記圧縮成形体に板材を載置して押圧しつつ焼結させることにより、空隙率の高いシート状多孔質体を効率良く製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のシート状多孔質焼結体の製造方法は、短径が10〜100μmであって、長径が1〜10mmのチタン繊維を圧縮することにより得られる成形体に板材を載置して、成形体の周囲にスペーサーを配置してから、前記板材で成型体を0.1g/cm 〜1.0g/cm の圧力で押圧しつつ、800℃〜1200℃で焼結させることを特徴とするものである。
本発明によれば、従来の製法と比較して高い空隙率を有し、しかも厚みの均一なシート状の焼結体を製造することができるので、前記焼結体を燃料電池の拡散層に用いた場合、燃料ガス、酸化性ガスおよび副生する水の拡散性能を向上させることができる。さらに、前記焼結体はシート状であるので柔軟で加工性にも富んでいる。また、焼結体はチタン繊維から構成されているので、高い耐食性を有する。
また、本発明は、前記板材が、セラミクス、溶融シリカまたは高融点金属で構成されていることを好ましい形態としている。さらには、前記チタン繊維が純チタンもしくはチタン合金で構成されていることを好ましい形態としている。
本発明の方法で製造されたシート状多孔質焼結体は、空隙率が極めて高く、ガス透過性に優れている。また、厚みが均一であり、加工性に富んでいるので、固体高分子型燃料電池の拡散層として好適である。
本発明の最良の実施形態について図面を用いて以下に説明する。
図1は、本発明に係るシート状多孔質焼結体の製造方法を模式的に図示したものである。符号1は、多孔質焼結体の形成基板1である。この基板1上に、所望の形状を有する金型2を載置した後、チタン繊維3をその中に充填する。次いで、必要に応じ加圧板4でチタン繊維3を圧縮成形する。続いて、得られたチタン繊維成形体60を図示しない焼結炉内の焼結基板5上に載置し、さらにその上に加圧板7を載置する。焼結炉内で焼結を開始し、チタン繊維焼結体61を得る。
1.チタン繊維
本発明の多孔質焼結体に用いるチタン繊維は、 短径が10〜100μm、長径が1〜10mmの範囲にあることが好ましい。このようなチタン繊維を多孔質焼結体の原料に用いることで空隙率および通気度を燃料電池に要求される目的の範囲に保持させることができる。
このような特徴を有するチタン粉としては、びびり振動法により製造されたチタン繊維(以降、単に「びびり粉」という場合がある。)が好適である。びびり振動法とは、金属インゴットを旋盤切削して針状のチタン粉を製造する方法であって、切削バイトを高速で振動させることを特徴とするものである。この方法で製造されたチタン繊維は短径や長径が揃っているため、本発明を実施する上で好適である。
ただし、びびり粉は、針状を呈しているため高い空隙率を有する焼結体を構成するにはやや不利な場合がある。このような場合には、チタン繊維に応力を加えて変形させ繊維の断面をU型あるいはV型に変形させたものを用いても良い。このような異形繊維形状とすることで小さい応力で空隙率の高い焼結体を成形することができる。
なお、本発明に用いるチタン繊維は、純チタンで構成されるが、耐食性を向上させたチタン合金を用いることもできる。このような合金としては、例えばTi−0.15Pd合金が挙げられるが、NiやRuを添加したTi−0.5Ni−0.05RuやTi−0.8Ni−0.3Mo合金を原料として用いることもできる。特に、Ti−Pd合金は、耐酸性に優れているため固体高分子膜を用いた拡散層に好適である。
2.チタン繊維成形体
チタン繊維成形体60の大きさ、充填密度は、成形体60が、焼結後に所望の値となるように調整される。チタン繊維成形体60は、必要に応じて、加圧板4にて圧縮成形される。工程を効率よく進めるためには、金型2に充填するチタン繊維3の重量により調整することが好ましい。
チタン繊維の成形雰囲気は、水分の少ない雰囲気下で行うことが好ましく、好ましくは、雰囲気中に水分量は、3〜5g/mの範囲で行うことが好ましい。実際には、作業空間を囲ったある雰囲気中に乾燥空気を供給することで達成することができる。また、場合によってはエアコンを併用してよい。
チタン繊維の成形に使用する加圧板4、金型2および基板1の材質は、特に制限はないが、チタン繊維焼結体60への汚染を避けるためには、ステンレス鋼あるいは工具鋼で構成することが好ましい。また、耐摩耗性を有する樹脂を用いても良い。なお、前記部材の材質をチタン材で構成することによりチタン繊維焼結体60への汚染を極力抑えることができ、より好ましい。
3.多孔質焼結体
本発明の製造方法で製造されたシート状多孔質焼結体は、燃料電池やフィルターに用いることができる。特に本発明に従って製造されたシート状多孔質焼結体の通気度は、0.01〜0.10m/Pa・秒にあり燃料電池の拡散として好ましい範囲にある。
ここで、通気度とは、前記焼結体試料の単位厚み・単位圧力当りに前記焼結体中を通過するガスの流量を表している。
前記した通気度は、前記シート状多孔質焼結体の空隙率と相関があり、前記の通気度を達成するために求められる空隙率は、75〜95%の範囲にあることが好ましい。さらに、80〜95%がより好ましい範囲とされる。該焼結体の空隙率が75%に満たない場合には、焼結体のガス通気抵抗が大きくなり、燃料ガスが多孔質焼結体で構成された拡散層中を移動して触媒層に達し、そこでイオン化された後、高分子膜を拡散して対極に達して酸素ガスと接触して起電力を発生させる一連の工程を遅滞させるからである。これに対して、焼結体の空隙率が95%を超えるようになると、拡散層中のガスの分散が不均一となり高分子膜との接触も不均一となり好ましくないからである。
以上の移動現象を整理すると、焼結体内のガス移動速度は、空隙率が増加するに伴い上昇する傾向にある。しかしながら、前記の拡散層が皆無になると拡散層と密着配置された高分子膜との接触が不均一となり燃料電池の発電性能を低下させる。よって、空隙率の好ましい範囲は、75〜95%の範囲にあり、より好ましくは80〜95%の範囲にあるとされる。
焼結後の焼結体の厚みは、薄いほど燃料電池スタックをコンパクトに構成することができるが、製品のハンドリングを考慮すると、現実的には、0.1〜1.0mmの範囲にあることが好ましい。
4.焼結体製造工程
チタン繊維3の焼結体61は、チタン繊維もしくはチタン合金繊維と接触しても相互に溶着しにくい焼結基板5の上に載置することが好ましい。焼結基板5は、前記したアルミナ、ジルコニア、イットリア、チタン酸アルミニウム、窒化ホウ素(BN)等のセラミック、あるいは、Ta、Mo、Wで構成した高融点金属板、さらには、溶融シリカ板で構成することが好ましい。特に、焼結体の厚さが1mm未満と薄い場合、溶融シリカ基板の上で前記チタン繊維を焼結させると、チタン繊維焼結体と基板との焼きつきはなく、容易にチタン繊維焼結体を得ることができる。
チタン繊維成形体60は、加圧板7により加圧される。加圧板7によってチタン繊維成型体60に印加する応力は0.1〜1.0g/cmの範囲となるように選択することが好ましい。印加応力が1.0g/cmを超えると空隙率が急速に低下する傾向にあるからである。一方、0.1g/cm未満であると、逆にチタン繊維の焼結が殆ど進行せず焼結体を構成することができないからである。
また、前記のチタン繊維圧縮成型体60に印加する応力の下限は、チタン繊維焼結体61の空隙率の上限値を確定する上で重要である。本発明で製造されたチタン繊維焼結体61を燃料電池のガス拡散層に用いる場合にはチタン繊維焼結体61の空隙率はその数値が大きいほど拡散抵抗が小さくなり好ましい。しかしながら、空隙率が過度に大きすぎると拡散層を通過した燃料ガスと高分子膜との接触が不均一になり密着配置されるため好ましくない。前記したような空隙率の範囲を75〜95%の範囲を確保するためにはチタン繊維成型体60に印加する応力は0.1〜1.0g/cmに選択することが好ましいと確認されている。
加圧板7も、チタン繊維もしくはチタン合金繊維と接触しても相互に溶着しにくい材料で構成されることが好ましい。具体的には、例えば、前記したアルミナ、ジルコニア、イットリア、チタン酸アルミニウム、窒化ホウ素(BN)等のセラミック、あるいは、Ta、Mo、Wで構成した高融点金属板、さらには、溶融シリカ板で構成することが好ましい。特に、焼結体の厚さが1mm未満と薄い場合、溶融シリカ基板で載置しながら、前記チタン繊維を焼結させると、チタン繊維焼結体と基板との焼きつきはない。また、面で押圧することにより、得られるシートの厚みが一定で保持される。
前記の手順に従って成形したチタン繊維成型体60は、前記した加圧板7を載置した状態で図示しない焼結炉に投入される。また、成形体の厚さが厚い場合(例えば0.5〜5mm)は、図2に示すようにスペーサー8をチタン繊維成形体60の周囲に置くことにより、焼結後の厚さや面内の厚みの均一性を調整できる。
焼結炉内の温度は、約800〜1200℃の範囲に選択することが好ましい。900〜1100℃の温度範囲で焼結することがさらに好ましい。焼結炉内雰囲気は、真空もしくは不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。真空雰囲気で行う場合には、真空度はできるだけ高い方が好ましく、10−2〜10−5Torrの真空度を維持することが好ましい。
また、不活性ガス雰囲気で行う場合には、アルゴンガス雰囲気が好ましいが、アルゴンガス中には微量の酸素や水分が含まれている場合があるので、アルゴンガスを焼結炉に供給する前に、400〜500℃程度に保持された不純物ガスのゲッター層を通過させることが好ましい。ゲッター層は、スポンジチタンあるいはチタン切粉で構成した充填層を用いることが好ましい。あるいは、アルゴンガス中に微量の水素ガスを添加して還元性雰囲気で行ってもよい。水素ガスの添加量は、0.1〜1.0vol%が好ましい範囲とされる。
前記したチタン繊維成型体を焼結炉に配置した後、真空ポンプを作動させて炉内の減圧操作に移行する。減圧度が、10−2Torr付近まで低下した頃を見計らって、焼結炉の加熱を開始させる。焼結炉内の温度が目標温度に達したところで、加熱炉の電源を切って冷却操作に入る。
焼結炉内の目標温度は、900〜1100℃の範囲に設定することが好ましい。種々試験を繰り返す中で、当該目標温度に到達した後、当該温度にて所定時間保持するという加熱パターンも検討したが、焼結後の空隙率の増分が殆ど見られなかった。このため、前述したように加熱炉の温度が設定温度に達した時点で加熱炉の電源を切って冷却操作に入ることにより目的の多孔質焼結体を製造することができる。このように、本発明で重要なことは、焼結炉内の温度が目標温度に達した時点で直ぐに加熱炉の電源を切ることであり、高い空隙率を有する焼結体を効率良く製造する上でのポイントである。
前記した目標温度に達した後、加熱炉の電源を切ってチタン繊維焼結体を室温近傍まで冷却した後、加熱炉から取り出してチタン繊維焼結体が得られる。得られたチタン繊維焼結体は、燃料電池用の拡散層に供される。
本発明の他の形態として、図1、図2に示したチタン繊維成型体60と加圧板7を多層に組み合わせて、焼結することもできる(例えば図3)。また、スペーサー8のかわりに図4に示すような型9、図5に示すような型9と焼結基板5が一体となった型10、図6に示すような型9と加圧板7が一体となった型11も同様に用いることができる。また、これらを多層に組み合わせても構わない。
なお、型9〜11の材料は、焼結基板5、加圧板7と同様である。チタン材や、チタン繊維もしくはチタン合金繊維と接触しても相互に溶着しにくい、アルミナ、ジルコニア、イットリア、チタン酸アルミニウム、窒化ホウ素(BN)等のセラミック、あるいは、Ta、Mo、Wで構成した高融点金属板、特に、焼結体の厚さが1mm未満と薄い場合、溶融シリカ板で構成することが好ましい。このような形態によれば、チタン焼結体を効率良く製造でき、好適である。
なお、前記の方法で製造したシート状多孔質焼結体の繊維の充填量分布が不均一な場合がある。このような場合には、適宜チタン繊維を充填量の不足した部位に補充し再度焼結(以降、「仕上げ焼結」と呼ぶ場合がある。)することが好ましい。このような仕上げ焼結を行うことでチタン繊維の充填量分布が均一なシート状多孔質焼結体を製造することができる。
また、本発明においては、前記の方法で成形された焼結体を、次いで、室温において加圧して所定の厚みに成形することが好ましい。このような成形工程を付加することで、精度ある厚みを有するシート状多孔質成型体を得ることができる。また、得られたチタン繊維焼結体を、必要に応じて拡散層に適した大きさに裁断しても良い。
前記したように、本発明にかかる焼結体の空隙率は、75〜95%の範囲とすることが好ましいとされる。このため、室温加圧成形に先立って準備される多孔質焼結体の空隙率は加圧成形による空隙率の低下を見込んで、最終の空隙率よりも更に高い空隙率を有した焼結体を製造するよう、チタン繊維の充填量を調整しておくことが好ましい。
例えば、チタン繊維を高温焼結して得られる焼結体の厚みが0.8mmとしこれを室温加圧により0.5mmの厚みに成形する場合には、焼結体として充填するチタン繊維の充填量を、約60%に抑制しておくことで、室温加圧成形した焼結体の空隙率を目的の範囲に収めることができる。
本発明の製造方法によって製造されたチタン繊維焼結体は、燃料電池用の拡散層として好適に使用することができるのみならず、高温融体の濾過材等としても使用することができる。
上述した図1に示す方法に従って、次の条件でチタン繊維焼結体を製造した。
A.条件
1)焼結体(拡散層)の大きさ
厚み:0.5mm、縦・横:A4サイズ
2)拡散層を構成するチタン繊維
短径:10〜90μm、長径:3〜10mm(顕微鏡観察による)
仕込み重量:10.3g
材質:JIS2種純チタン
3)圧縮成形
2)に記載したチタン繊維を、焼結後、上記1)に示した大きさとなるように加圧成形した。
4)焼結炉
設定温度:1000℃、雰囲気:真空(10−2〜10−5Torr)
焼結体の加熱時間:30分、冷却時間:60〜120分
5)加圧板
材質:溶融シリカ板
厚み:4mm、縦・横:A4よりも+5mm大きいサイズ
圧力:0.9g/cm
6)基板
材質:溶融シリカ板
7)室温加圧成形
一般的な加圧成形器に焼結体を配置し、最終厚みを0.5mmに調整して、45kg/cmで加圧成形した。
B.評価方法
1)焼結体の均一性
焼結後、成形して得られた5枚の焼結体の厚みを測定してバラツキを調査した。測定は、シックネスゲージ(商品型番547−312、株式会社ミツトヨ製)を用いて実施した。
C.結果
チタン繊維の焼結工程にあっては、基板とチタン繊維焼結体、加圧板とチタン繊維焼結体が焼きつくことがないため、焼結後はチタン繊維焼結体を容易に剥離して得ることができた。
1.試料内のバラツキ
前記方法で製造した焼結体内の中心線上の厚みを等間隔に10箇所測定した。これらの測定値を表1に示し、最大値、最小値、平均値および標準偏差を表2に示した。表1および2に示すように本発明で得られたシート状多孔質焼結体の厚みは均一である。また、この焼結体の空隙率は、焼結体の容積と質量から求められる見かけ密度と、チタンの真密度とを比較することにより求めることができる。平均の空隙率は93%であった。
Figure 0004859585
Figure 0004859585
2.試料間のバラツキ
前記方法で製造した5枚の焼結体の厚みを測定し、それぞれについての平均値と標準偏差を求めて表3に整理した。表3に示すように平均値および標準偏差のバラツキがほとんどなく、均一であることを示している。
Figure 0004859585
室温加圧成形工程を行わなかった以外の条件は実施例1と同様にして、シート状の多孔質焼結体を5回製造した。実施例1と比較して、目標値0.5mmに対して表4に示すようにバラツキは大きいものの、シート状多孔質焼結体を得ることができた。
Figure 0004859585
本発明は、燃料電池用拡散層の製造に好適であり、特に、本発明の拡散層を用いることで効率の良い燃料電池を構成することができる。
図1は、本発明のチタン繊維成形体およびチタン焼結体の製造方法を示す模式図である。 図2は、本発明のスペーサーを用いたときのチタン繊維成形体およびチタン焼結体の製造方法を示す模式図である。 図3は、図2を多層に積層したときの製造方法を示す模式図である。 図4は、本発明の型を示した模式図である。 図5は、本発明の別の型を示した模式図である。 図6は、本発明の別の型を示した模式図である。
符号の説明
1 基板
2 金型
3 チタン繊維
4 加圧板
5 焼結基板
60 チタン繊維成形体
61 チタン焼結体
7 加圧板
8 スペーサー
9〜11 型

Claims (6)

  1. 短径が10〜100μmであって、長径が1〜10mmのチタン繊維を圧縮することにより得られる成形体に板材を載置して、前記成形体の周囲にスペーサーを配置してから、前記板材で前記成型体を0.1g/cm 〜1.0g/cm の圧力で押圧しつつ、800℃〜1200℃で焼結させることを特徴とするシート状多孔質焼結体の製造方法。
  2. 前記板材がセラミクス、溶融シリカもしくは高融点金属で構成されていることを特徴とする請求項に記載のシート状多孔質焼結体の製造方法。
  3. 前記チタン繊維を押圧しつつ焼結させた後、室温にて加圧成形することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のシート状多孔質焼結体の製造方法。
  4. 前記チタン繊維が、純チタンもしくはチタン合金で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート状多孔質焼結体の製造方法。
  5. 前記セラミック板がアルミナ、ジルコニア、イットリアもしくはチタン酸アルミニウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシート状多孔質焼結体の製造方法。
  6. 前記高融点金属板がタンタル、モリブデンもしくはタングステンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシート状多孔質焼結体の製造方法。
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