JP4859039B2 - 微生物分離装置 - Google Patents

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Description

本発明は、上水道原水水質管理、浄水水質管理、その他水処理水質管理、環境水質管理、食品衛生管理、養殖施設管理等において、微生物を含む試料水中から、特定の微生物を選択的に捕捉し、分離・回収するための微生物分離装置に関する。
上水道の浄水水質の検査、食品検査、食品加工施設の工程管理、養殖漁業施設の水質検査等において、微生物の検出が行われている。これらの各検査において、特に病原性微生物はその影響力が大きく、病原性微生物は処理水や製品を通じて拡散することにより人に対して健康被害を及ぼす可能性がある。そのため、検出対象となる病原性微生物もしくは病原性微生物発生の指標となる微生物の検出が求められている。それに付随して、検出の前段階として、微生物の分離回収プロセスが必要となる。
従来の微生物の検出技術は、培養によるコロニー形成を観察する方法が一般的である。
この方法は簡便に行えるという利点はあるものの、結果が得られるまでに時間がかかり、また、操作に熟練を要するといった問題点がある。また、浄水場で問題となっているクリプトスポリジウムやジアルジア等の原虫類は、上記の様な培養による方法では検出が難しい。
近年、生物がもつ遺伝子・DNA・抗原などを用いた、分子生物学的な手法による微生物の検知・同定方法が提案されている。これら手法は対象生物に固有の塩基配列や抗原を対象としており、対象生物を選択的に識別して特異的に対象生物を検知することが可能である。しかし、これら手法で用いるDNA断片・抗体等は、対象とする微生物以外の微生物や濁質等の夾雑物を非特異的に吸着することがあり、誤認識の原因となる。実際には、試料水中に対象微生物が純粋な状態で存在しているわけでは無く、他の多くの微生物および懸濁物質と共存している。そのため、誤認識を完全に排除するのは困難である。
前述したように、対象微生物は試料水中に純粋な状態で存在しているわけでは無く、他の多くの微生物および懸濁物質と共存している。そのため、検出精度を向上させるには、試料水中から対象の微生物を選択的に分離・回収することが必要である。また、前記したクリプトスポリジウムやジアルジア等の原虫類は、微生物量が少量であっても大きな人的被害となる可能性がある。そのため、試料水中に存在する、希薄な当該微生物のみを分離・回収することが求められる。
また、従来より微生物検出に際し、顕微鏡を用いて観察が行われている。顕微鏡観察をするために、固定化プレートとしては、スライドガラスやメンブレンディスクフィルタなどが用いられており、このため対象となる観察部面積が比較的大きくなることがある(特許文献1および2)。
特公平5−88417号公報 特許第3422402号公報
この場合作業の効率化を図るために、観察する際画像処理技術が適用されているが、画像処理技術を適用する上で、顕微鏡視野の移動のためのステージ走査機構、もしくは励起レーザー光の走査機構が必要となる。そのため、装置の大型化、高コスト化がすすみ、かつ走査に要する時間だけ応答が遅れるといった問題がある。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、微細加工技術を応用したマイクロチップを利用することにより、検出対象とする微生物を、微小領域でかつ特定位置に選択的に捕捉し分離することができる微生物分離装置を提供することを目的とする。
本発明は、試料水中に含まれる対象微生物を分離して回収する微生物分離装置において、流体供給口および流体吸引口を含むフロー流路が内部に形成された平板基板と、平板基板の流体吸引口に設けられ対象微生物の最小径より小さい径の複数の貫通孔からなる捕捉部とを有するマイクロチップと、マイクロチップの捕捉部に接続され試料水を吸引する試料水吸引手段と、マイクロチップの平板基板の流体供給口に接続され試料水を供給する試料水供給手段と、を備えたことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、対象微生物をマイクロチップの捕捉部に効果的に導くことが可能である。また連続流通する試料水から、短時間で対象微生物を捕捉部により分離・回収することが可能であり、かつ特定位置に対象微生物を保持することが可能となる。
本発明は、平板基板の貫通孔内に、対象微生物の抗原を特異的に認識する抗体を設けたことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、効果的に捕捉部の貫通孔に対象微生物を分離・回収・保持することができる。
本発明は、対象微生物の抗原を特異的に認識するとともに磁性物質で標識した抗体を試料水に供給するための磁性物質標識抗体供給手段と、この磁性物質標識抗体供給手段から供給された磁性物質標識抗体と微生物の抗原との反応を行う反応部とを更に備え、平板基板の貫通孔内に、磁性物質を引力する材料を設けたことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、対象微生物の抗原を特異的に認識するとともに磁性物質で標識した抗体を試料水に供給するための磁性物質標識抗体供給手段と、この磁性物質標識抗体供給手段から供給された磁性物質標識抗体と微生物の抗原との反応を行う反応部とを更に備え、平板基板の貫通孔内に、磁性物質を吸引する磁気を発生させる磁気印加手段を設けたことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、試料水中に含まれる対象微生物を分離して回収する微生物分離装置において、流体供給口および流体吸引口を含むフロー流路が内部に形成された平板基板と、平板基板の流体吸引口に設けられた複数の貫通孔からなる捕捉部とを有するマイクロチップと、マイクロチップの流体吸引口側の面に設けられたメンブレンフィルタと、メンブレンフィルタのマイクロチップと反対側の面に設けられ、試料水を吸引する試料水吸引手段と、平板基板の流体供給口に接続され試料水を供給する試料水供給手段と、を備えたことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、メンブレンフィルタ上の貫通孔に対応する特定位置に対象微生物を固定でき、また、マイクロチップを繰り返し使用することが可能であり、低コスト化が図れる。
本発明は、マイクロチップの平板基板のフロー流路は流体排出口を有し、流体排出口にフロー流路を通過した試料水を回収し、再び試料水供給手段に戻す循環手段を接続したことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、一度マイクロチップを通過した試料水を回収し、再び試料水供給手段に戻すことができ、マイクロチップの捕捉部で捕捉されずに通過した対象微生物を再び捕捉部に供給することが可能となり、回収率の向上を図ることができる。
本発明は、マイクロチップにエネルギーを印加する物理的印加手段を更に備えたことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、マイクロチップの貫通孔内に残留している対象微生物以外の微生物や粒子状物質を効率的に除去することが可能となり、対象微生物を効果的に分離・回収することができる。
本発明は、マイクロチップのフロー流路に洗浄液を流すための洗浄液供給手段を更に備えたことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、貫通孔内に残留している対象微生物以外の微生物や粒子状物質を、洗浄液により効率的に除去することが可能となる。
本発明は、試料水供給手段の前段に、マイクロチップに供給する試料水中に含まれる対象微生物及びその他の粒子を大きさで分画する分画処理手段を設けたことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、予め試料水中に含まれる対象微生物およびその他の粒子を粒子径により分画処理することにより、マイクロチップに供給する試料水中の対象微生物濃度を高めることができ、また、対象微生物より小さい粒子径を有するものを予め除去することにより、貫通孔の閉塞などを軽減でき、効率よい回収が可能となる。
本発明は、サンプル水中の特定の対象微生物を分離・回収する微生物分離装置において、対象微生物より小さな孔径をもつ貫通孔が形成された板状のマイクロチップと、このマイクロチップの上面に配置され第1のフロー流路を有する第1の支持体と、マイクロチップの下面に配置され第2のフロー流路を有する第2の支持体とを備え、第1の支持体の第1のフロー流路と第2の支持体の第2のフロー流路はマイクロチップの貫通孔を介して互いに連通自在となっていることを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、第1の支持体の第1のフロー流路は外方へ開口する供給口を有し、第2の支持体の第2のフロー流路は外方へ開口する排出口を有することを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、マイクロチップの貫通孔はレーザー加工により形成されることを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、第1および第2の支持体は、透明体から構成されることを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、対象微生物はクリプトスポリジウムであることを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、貫通孔の最狭部の孔径は2〜3μmとなることを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、マイクロチップの厚さは5〜50μmとなることを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、マイクロチップに、マイクロチップを洗浄する物理的洗浄手段を設けたことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、マイクロチップに、マイクロチップに対して洗浄液を流すための洗浄液供給手段を接続したことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、第1のフロー流路内面に親水化処理を施したことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、試料水に含まれる微生物が第1のフロー流路に付着することを防止することが可能となる。
本発明は、第1の支持体の第1のフロー流路内面に対する親水化処理は、プラズマ処理を含むことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、プラズマ処理することにより、フロー流路部の表面に親水基が導入され、試料水の流通性が改善されるとともに、微生物の吸着が低減される。
本発明は、第1の支持体の第1のフロー流路内面に対する親水化処理は、プラズマ処理と、プラズマ処理を施した後の陰イオン界面活性剤によるコーティング処理とを含むことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、プラズマ処理することにより、流路の親水性が向上することによって流通性が改善され、また陰イオン界面活性剤を用いて表面を被覆することにより、表面電位が負に帯電している、クリプトスポリジウム等の微生物の吸着を低減することができる。
本発明は、第1の支持体および第2の支持体は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)からなることを特徴とした微生物分離装置である。
本発明によれば、透明で成形性の良好なポリジメチルシロキサンを用いることにより、複雑な形状の流路を簡易に製作可能であり、プラズマ処理および界面活性剤コーティングにより、微生物の付着防止効果を得ることができる。
本発明は、藻類を除去する手段を更に備えたことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、クリプトスポリジウムと同等の粒子径を持ち、かつ自家蛍光を発することから、クリプトスポリジウムの蛍光観察の妨害となる藻類を除去することにより、観察精度の向上を図ることができる。
本発明は、藻類を除去する手段は、酵素による溶解処理手段からなることを特徴とする微生物分離装置である。
本発明は、藻類を除去する手段は、酵素としてリゾチームを使用することを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、溶菌作用のあるリゾチームを使用し、細胞壁を構成している糖鎖を切断することにより、藻類の細胞を破壊することができる。この際、リゾチームはクリプトスポリジウムのオーシスト壁を破壊しないことから、クリプトスポリジウムの蛍光観察の妨害にはならない。
本発明は、藻類を除去する手段は、酵素としてプロテアーゼを使用することを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、タンパク質分解酵素であるプロテアーゼを使用し、細胞壁を構成しているタンパク質を分解することにより、藻類の細胞を破壊することができる。この際、プロテアーゼはクリプトスポリジウムのオーシスト壁を破壊しないことから、クリプトスポリジウムの蛍光観察の妨害にはならない。
本発明は、藻類を除去する手段の酵素による溶解処理は、リゾチームとプロテアーゼの混合溶液による処理からなることを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、作用の異なる2種類の酵素を利用することにより、より効果的に藻類の細胞を破壊することができる。
本発明は、マイクロチップに酵素液を供給するための酵素液供給手段を接続したことを特徴とする微生物分離装置である。
本発明によれば、酵素液を自動的にマイクロチップに供給することが可能となり、連続自動装置化を図ることができる。
以上説明したように、本発明による微生物分離装置によれば、試料水から選択的に対象微生物をパターン化された位置に精度良く分離回収できる。
また、本発明によれば、サンプル水中から特定の対象微生物のみを迅速且つ確実に分離して回収することができる。
本発明によれば、試料水中の微生物を、フロー流路に付着させること無く、マイクロチップ部に回収することが可能となる。また、本発明によれば、藻類を除去することにより、蛍光染色したクリプトスポリジウムの観察精度を向上させることが可能となる。
第1−1の実施の形態
図1乃至図3により本発明による微生物分離装置の第1−1の実施の形態について説明する。
ここで図1(a)はマイクロチップを示す平面図であり、図1(b)は図1(a)のX−X’線断面図であり、図2はマイクロチップの捕捉部を示す斜視図であり、図3は微生物分離装置を示す全体概略図である。
本発明による微生物分離装置は試料水中に含まれる対象微生物を分離して回収するものである。
図3に示すように微生物分離装置は、流体供給口13と、流体吸引口15と、流体排出口14とを含むフロー流路11が内部に形成された平板基板10と、平板基板10の流体吸引口15に設けられ対象微生物の最小径より小さい複数の貫通孔12aを有する微生物捕捉部12とを備えている。
このうち、平板基板10と微生物捕捉部12とによってマイクロチップ20が構成されている。
また、マイクロチップ20の微生物捕捉部12に、試料水を吸引する流体吸引装置(試料水吸引手段)21が接続され、さらにマイクロチップ20の流体供給口13に試料水をマイクロチップ20側へ供給する試料水供給ポンプ(試料水供給手段)19が試料水供給ライン16を介して接続されている。さらに試料水供給ライン16のうち試料水供給ポンプ19の前段には、試料水供給バルブ17および試料水リザーバタンク18が上流側から下流側に向って順次接続されている。
またマイクロチップ20の流体排出口14には、試料水排出バルブ22が取付けられている。
次にマイクロチップ20の構成について、図1および図2により更に詳述する。
図1および図2に示すように、マイクロチップ20は主に、流体供給口13、流体排出口14、および流体吸引口15を有するフロー流路11が形成された平板基板10と、微生物捕捉部12とを備え、このうち微生物捕捉部12には多数の微生物捕捉孔(貫通孔)12aが形成されている。
図1において、対象微生物を含有した試料水は外部の試料水供給ポンプ19により、流体供給口13からフロー流路11に導入される。このための試料水供給ポンプ19としては、チューブポンプもしくはプランジャポンプ等の微小流量を制御可能なマイクロポンプが適用可能である。特に、微生物を含む粒子状物質が試料水には含まれることから、濁質を送液するのにも適した上記ポンプを適用することが望ましい。
マイクロチップ20を構成する平板基板10および微生物捕捉部12の材質としては、シリコン、金属、プラスチック、ガラス、セラミック基板等が使用可能である。平板基板10のフロー流路11、および微生物捕捉孔12aは、フォトリソグラフィと化学的エッチング処理を組み合わした方法や、レーザー加工、マイクロ機械加工技術等により作製される。
また、対象微生物を含有した試料水は、フロー流路11を流通し、微生物捕捉部12に導入され、微生物捕捉部12において、流体吸引装置21により吸引される流体吸引口15によって吸引される。その際、対象微生物は捕捉孔12aに捕捉される。なお、微生物捕捉部12以降の流体排出口14側のフロー流路11は塞いでも構わない。
図2においては、クリプトスポリジウムを選択的に捕捉することを目的に作製されたマイクロチップ20の微生物捕捉部12、および微生物捕捉孔12aの形状を一例として示す。微生物捕捉孔12aは微生物捕捉部12のパターン化された位置に加工されている。
クリプトスポリジウムは直径約5μmの球形状微生物であり、これを捕捉するために微生物捕捉孔12aの入口開口部の孔径は直径10〜30μmとなっている。微生物捕捉孔12aの孔径は試料水と接する部分の入口開口部から深さ方向に行くに従って小さくなり、最小直径は1μmとなっている。これ以上の深さ方向においては微生物捕捉孔12aの孔径は1μmとなっており、貫通孔として加工されている。微生物捕捉孔12aの深さ方向の長さについて、入口開口部から最小直径の位置まで10μmとなっている。クリプトスポリジウムの大きさは直径約5μmであることから、微生物捕捉孔12aの入口開口部から最小径の位置まで深さは5μm以上必要であり、10μm以上が望ましい。それより深い位置の出口開口部までの深さは10μmとなっているが、特に限定されない。
微生物捕捉孔12aはそれぞれ30μm間隔で配置され、微生物捕捉部12の材質はSUS基板からなっている。また、微生物捕捉孔12aの入口開口部および出口開口部の形状について、図2では円形を設定したが、形状は特に問わず、多角形としてもよい。最小直径の部分の形状も特に問わないが、最小直径は1μmとなるように形成されている。
また、図2においては、微生物捕捉孔12aのうち最小直径の部分より出口開口部に向う深い位置の貫通孔部において、最小径と同一径で加工しているが、特に限定する必要はなく、例えば、最小直径の部分から出口開口部まで径を広げても構わない。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。試料水は試料水供給ライン16を通じて、試料水供給バルブ17を介して、試料水リザーバタンク18に導入される。所定量の試料水を試料水リザーバタンク18に導入した後、試料水供給バルブ17を閉じ、試料水供給ポンプ19により試料水リザーバタンク18からマイクロチップ20のフロー流路11に試料水を供給する。
試料水はマイクロチップ20のフロー流路11から微生物捕捉部12に導入され、微生物捕捉部12に導入された試料水は流体吸引装置21により微生物捕捉孔12aを通じて吸引される。このとき試料水に含まれていた対象微生物は微生物捕捉孔12aに捕捉され、微生物捕捉孔12aの最小直径部の径より小さい微生物や物質はこの微生物捕捉孔12aを通過して、吸引、排出される。この過程において、対象微生物を含む粒子状物質は微生物捕捉孔に捕捉される。
この場合、実際に対象微生物が捕捉されているかどうかをマイクロチップ20上で確認することも可能である。すなわち対象微生物を含む粒子状物質はマイクロチップ20のパターン化された位置に捕捉されることになり、例えば、マイクロチップ20の平板基板10が透明材質からなる場合、顕微鏡による観察も実施可能であり、特定位置のみの観察が可能となる。
さらに、対象微生物を検出もしくは生物の種類を特定する場合、抗原・抗体の結合反応や、DNAのハイブリダイゼーション反応を利用した生物的な情報に基づく検出法をマイクロチップ20上で実施することも可能である。例えば、対象微生物を抗原として認識する抗体に蛍光もしくは発光色素で標識した標識抗体や、対象生物に含まれるDNAもしくはRNAと特異的に結合するDNAプローブに蛍光もしくは発光色素で標識した標識DNAプローブを供給する手段を設け、この供給手段がマイクロチップ20に標識抗体、標識DNAプローブをマイクロチップ捕捉部に供給してもよい。その結果、対象微生物を選択的に染色でき、それらを蛍光顕微鏡を用いて観察することが可能となる。
第1−2の実施の形態
次に、図4により本発明の第1−2の実施の形態について説明する。図4に示す第1−2の実施の形態において、図1乃至図3に示す第1−1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。図4に、マイクロチップに試料水の循環機構を取り入れる場合の構成例を示す。
図4に示すように、流体排出口14の出口側に試料水循環バルブ23が取付けられた循環ライン23aが接続され、循環ライン23aは試料水リザーバタンク18に連通している。なお、これら循環ライン23aと試料水循環バルブ23とによって循環手段が構成されている。試料水は試料水供給ライン16を通じて、試料水供給バルブ17を介して、試料水リザーバタンク18に導入される。
所定量の試料水を試料水リザーバタンク18に導入した後、試料水供給バルブ17を閉じ、試料水供給ポンプ19により試料水リザーバタンク18からマイクロチップ20に試料水を供給する。マイクロチップ20の微生物捕捉部12に導入された試料水は、流体吸引装置21により微生物捕捉孔12aを通じて吸引される。試料水に含まれていた対象微生物は微生物捕捉孔12aに捕捉される。微生物捕捉孔12aの最小直径部の径より小さい微生物や物質はこの微生物捕捉孔12aを通過して、吸引されて排出される。微生物捕捉孔12a側で吸引されずに、微生物捕捉部12を通過した試料水は、流体排水口14より排出される。
図4に示すように、この排出液は再度試料水リザーバタンク18に戻され、再びマイクロチップ20へ供給される。この循環工程においては、試料水循環バルブ23を開、試料水排出バルブ22は閉の状態にしておく。所定の時間循環を繰り返した後、試料水循環バルブ23および試料水排出バルブ22を閉じ、試料水全てを吸引装置21により微生物捕捉孔12aを通じて吸引する。または、所定の時間循環を繰り返した後、試料水循環バルブ22を閉じ、試料水排出バルブ22を開き、残液を排出する。この循環過程において微生物を含む粒子状物質は複数回マイクロチップの微生物捕捉部12を通過することになり、捕捉効率が向上する。
第1−3の実施の形態
次に、図5により本発明の第1−3の実施の形態について説明する。図5に示す第1−3の実施の形態は、微生物捕捉部12の構成が異なるのみであり、他は図1乃至図3に示す第1−1の実施の形態と略同一である。図5に示す第1−3の実施の形態において、図1乃至図3に示す第1−1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。
図5は微生物捕捉孔の概念図を示す。マイクロチップ20に設けられた微生物捕捉部12の微生物捕捉孔12aの孔内入口部に対象微生物の抗原を特異的に認識する微生物捕捉用抗体24が固定化されている。マイクロチップ20内では、流体吸引装置21により対象微生物を含有する試料水が微生物捕捉部12の微生物捕捉孔12aを介して吸引される。その際、対象微生物25は特異的に微生物捕捉孔12aの入口開口部に固定化された微生物捕捉用抗体24に捕捉される。
一般に生物に対する選択性を向上させるために抗体を利用することは、最も効果的な手法である。微生物捕捉孔12aの入口開口部に抗体を固定化しておくことにより、微生物捕捉孔に到達した対象微生物を強固に捕捉・保持することが可能となる。例えば、対象微生物をクリプトスポリジウムとした場合、シリコン基板上への抗クリプトスポリジウム抗体の固定化については、下記の例に示す手法にて実現可能である。
まず微生物捕捉孔を作製したシリコン基板の微生物捕捉部に10%KOH−エタノール溶液を滴下し30分間放置・洗浄した後、アルゴンガスで乾燥、2%−MEPTES(3−mercaptopropyl triethoxysilane)トルエン溶液に60分間浸漬する。洗浄・アルゴンガスで乾燥後、1mM−GMBS(N−(γ−maleimidobutyryloxy)succinimide ester)エタノール溶液に30分間浸漬する。
洗浄後、0.5mg/ml−Strptavidinを滴下し、一晩インキュベートする。Blocking buffer(1%−BSA,0.01%−NaN3)に20分間以上浸漬後、Deposition buffer(10mM−PBS+10mM−NaCl+10mM−Sucrose,0.1%BSA)中に混合したBiotin標識抗クリプトスポリジウム抗体を捕捉孔部にスポッティングすることにより、捕捉孔内部に抗クリプトスポリジウム抗体を導入する。
抗体と生物との結合は強固であるため、抗体の固定部位は可能な限り微生物捕捉孔12a内に限定することが望ましい。しかし、微生物捕捉孔12a外部に抗体が固定されている場合でも、微生物捕捉孔12a外部と微生物捕捉孔12a内部とでは脱離に必要とするエネルギーが異なることから、適切な洗浄条件を設定すれば、微生物捕捉孔12a内部に優先的に対象微生物を捕集することが可能となる。
第1−4の実施の形態
次に、図6および図7により本発明の第1−4の実施の形態について説明する。図6および図7に示す第1−4の実施の形態において、図1乃至図3に示す第1−1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。図6は磁性物質標識反応部と、磁気印加手段を備えた微生物分離装置の装置構成例を示し、図7(a)(b)は微生物捕捉孔の概念図を示す。
図6および図7に示すように、マイクロチップ20の前段に試料水リザーバタンク兼磁性物質標識反応槽26が設置され、またマイクロチップ20の後段に試料水循環バルブ23を有する循環ライン23aが接続され、この循環ライン23aは試料水リザーバタンク兼磁性物質標識反応槽26に接続されている。
図6および図7において、試料水は試料水供給ライン16を通じて、試料水供給バルブ17を介して、試料水リザーバタンク兼磁性物質標識反応槽26に導入される。試料水リザーバタンク兼磁性物質標識反応槽26に試料水が所定量導入されると、試料水供給バルブ17が閉じられる。他方、対象微生物の抗原と特異的に反応する磁性物質を標識した抗体が、磁性物質標識抗体保存容器27から磁性物質標識抗体供給ライン28および磁性物質標識抗体供給バルブ29を介して、磁性物質標識抗体供給ポンプ30により試料水リザーバタンク兼磁性物質標識反応槽26に一定量導入される。
試料水リザーバタンク兼磁性物質標識反応槽26内では、磁性物質標識抗体が所定の条件下で所定の時間インキュベートされて、対象微生物と磁性物質標識抗体とが反応する。
その後、試料水供給ポンプ19によりマイクロチップ20側に磁性物質標識抗体と反応した対象微生物を含有する試料水を供給する。マイクロチップ20の微生物捕捉部12に導入された試料水は流体吸引装置21により微生物捕捉孔12aを通じて吸引される。
試料水を吸引する際、磁気印加装置31により微生物捕捉孔12aの内表面に設けられた磁気材料33に対して磁気を印加することで、試料水に含まれている、磁性物質標識抗体32と反応した対象微生物25が微生物捕捉孔12a内に捕捉される(図7(a))。
微生物捕捉孔12aの最小直径部の径より小さい微生物や物質は、この微生物捕捉孔12aを通過して、吸引、排出される。
また、磁気印加装置31により微生物捕捉孔12aの内表面の磁気材料33に磁気を印加するのではなく、予め、標識用磁性物質と引力関係を有する磁性材料34を微生物捕捉孔12aの内側表面に設けておいてもよい(図7(b))。図7(a)(b)に示すように試料水を吸引する際、特異的に磁気標識された対象微生物は、微生物捕捉孔12aの内側表面に設置した磁気材料33もしくは磁性材料34に吸着され、微生物捕捉孔12aの入口開口部に対象微生物が捕捉・回収される。
第1−5の実施の形態
次に、図8により本発明の第1−5の実施の形態について説明する。図8に示す第1−5の実施の形態において、図1乃至図3に示す第1−1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。ここで図8は洗浄機構を備えた場合の微生物分離装置の構成例を示す。
図8において、マイクロチップ20の後段に試料水循環バルブ23を有する循環ライン23aが接続され、この循環ライン23aは試料水リザーバタンク18に接続されている。また試料水供給ポンプ19の前段には、洗浄液供給ラインバルブ36を介して洗浄液保存容器35が接続されている。図8において、マイクロチップ20により対象微生物を分離した後、洗浄液保存容器35より、試料水供給ポンプ19により洗浄液がマイクロチップ20側に供給される。洗浄液は次に微生物捕捉部12に導入され、微生物捕捉孔12aを洗浄し、排出される。
洗浄液としては界面活性剤、アルコール、有機溶剤、酸、アルカリ等が使用される。ただし、洗浄液によりマイクロチップ20及び対象微生物がダメージを受けないものを選定することが必要である。例えば、界面活性剤を洗浄液として適用した場合、界面活性剤の効果としては、マイクロチップ20の表面と粒子との界面に洗浄液が浸透し、マイクロチップ20の表面と粒子との距離を離すことにより、表面から粒子が引き離されるのに必要なポテンシャルエネルギーが低減する。その結果、対象微生物は微生物捕捉孔12aの内面との相互作用が大きいのに対し、それ以外の粒子の相互作用は小さいことから脱離しやすくなり、対象微生物のみが微生物捕捉孔12aに捕捉されることになり、このため微生物の捕捉回収効率が向上する。
また、このとき、微生物捕捉孔12aからの対象微生物以外の粒子状物質のマイクロチップ20からの脱離を促進するために、マイクロチップ20に物理的印加手段37が設けられている。例えば、物理的印加手段37は、超音波や機械的振動、電気的振動、熱供給などのエネルギーをマイクロチップ20に対して印加するものである。
物理的印加手段37をマイクロチップ20に設置し、振動による機械的エネルギーを粒子状物質に与えることにより、マイクロチップ20から脱離に必要なエネルギーを供給することができる。同様に、物理的印加手段37から加熱エネルギーをマイクロチップ20に供給することによっても、脱離を促進することが可能となる。
ただし、過剰の振動・過熱によって対象微生物も脱離してしまう可能性もある。これを防止し、かつ他の粒子状物質を効果的に除去するために、最適な洗浄条件を設定する必要がある。なお、上記の洗浄液による洗浄作用、及び物理的印加手段37によるエネルギーの印加作用はそれぞれ単独で使用しても良いし、組み合わせて使用することも効果的である。
第1−6の実施の形態
次に、図9により本発明の第1−6の実施の形態について説明する。図9に示す第1−6の実施の形態において、図1乃至図3に示す第1−1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。ここで図9は分画処理機構を備えた微生物分離装置の構成例を示す。
図9において、マイクロチップ20の後段に試料水循環ポンプ23を有する循環ライン23aが接続され、この循環ライン23aは試料水リザーバタンク18に接続されている。また試料水リザーバタンク18の前段に分画処理手段38が設置されている。マイクロチップ20に導入する試料水に対して、物質の大きさを利用した分画処理がマイクロチップ20に導入される前段階として分画処理手段38により実施される。例えば、クリプトスポリジウムを対象微生物とする場合、クリプトスポリジウムは直径約5μmであることから、例えば10μm以上の孔径を持つものを除去する分画処理手段38が、試料水リザーバタンク18の前段に設置されている。
これにより、対象微生物より大きい10μm以上の径を有する夾雑物等を除去することができ、不純物の割合を低減することが可能となる。この場合、分画処理手段38の種類としては、中空糸膜フィルタ、メンブレンフィルタ、セラミックフィルタ、プランクトンネットなどが挙げられるが、特にその種類は問わない。
また、例えば、上記とは逆に、直径1μm以下ものを除去する分画処理手段38を、試料水リザーバタンク18の前段に設置してもよい。微生物捕捉孔12aの最小直径を1μmとした場合、試料水中の1μm以下の粒子は予め除去されているので、微生物捕捉孔12aの閉塞などの問題が軽減される。この場合、分画処理手段38の種類も、特に限定されない。
第1−7の実施の形態
次に、図10および図11により本発明の第1−7の実施の形態について説明する。図10および図11に示す第1−7の実施の形態は、マイクロチップ20の下面(流体吸引口側の面)にメンブレンフィルタ39を設けた点が異なるのみであり、他は図1乃至図3に示す第1−1の実施の形態と略同一である。図10および図11において、図1乃至図3に示す第1−1の実施の形態と同一部分には同一符号を符して詳細な説明は省略する。
図10にマイクロチップとメンブレンフィルタとを組み合せた構造概念図を、図11にマイクロチップの構造概念図を示す。微生物捕捉部12と、平板基板10とを有するマイクロチップ20の下面に、メンブレンフィルタ39が設置されている。マイクロチップ20の微生物捕捉部12に導入された試料水は、微生物捕捉孔12aの内部に入り込み、メンブレンフィルタ39を介してメンブレンフィルタ39のマイクロチップ20と反対側の面に設けられた流体吸引装置21(図3参照)により吸引される。この際、対象微生物はメンブレンフィルタ39上に捕捉・固定される。
メンブレンフィルタ39の孔径については、対象微生物によるが、クリプトスポリジウムを対象微生物とした場合、1μm程度が望ましい。メンブレンフィルタ39の材質に関しては特に限定されないが、マイクロチップ20との密着が良好であることが必要である。マイクロチップ20は微生物捕捉孔12aの開口部の形状は特に問わず、円形でも多角形でもよい。微生物捕捉孔12aの深さ方向の形状に関しても特に限定されることはなく、例えば円柱状でもよい。微生物捕捉孔12aの開口部の寸法について、最小でも対象微生物の大きさより大きいことが必須であるが、最大値に関しては適度な寸法を設定する。
微生物捕捉孔12aの深さ寸法についても特に限定されない。
図10および図11において、メンブレンフィルタ39は固定プレート媒体として機能し、マイクロチップ20は分画機能、および微生物をメンブレンフィルタ39表面上の一定位置へ捕捉固定する機能をもつ。そのため、マイクロチップ20は繰返し使用することが可能である。また、メンブレンフィルタ39上に、例えば、対象微生物の抗原に特異的に反応する抗体を固定化しておけば、対象微生物を効率よく捕捉可能となる。
第2−1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第2−1の実施の形態について説明する。
図12乃至図14は本発明による微生物分離装置の第2−1の実施の形態を示す図である。ここで図12(a)は微生物分離装置の平面図、図12(b)は図12(a)のX−X′線断面図、図13(a)はマイクロチップの斜視図、図13(b)はその拡大図である。
図12(a)(b)、図13(a)(b)および図14に示すように、微生物分離装置110は、特定の対象微生物を分離・回収するものであり、対象微生物より小さな孔径をもつ貫通孔111が形成された板状のマイクロチップ(金属板ともいう)101と、このマイクロチップ101の上面に配置された第1の支持体102a、102bと、マイクロチップ101の下面に配置された第2の支持体102cとを備えている。
このうち第1の支持体102a、102bは、上部支持体102aと中間支持体102bとからなり、また第2の支持体102cは下部支持体102cからなっており、第1の支持体102a、102bおよび第2の支持体102cにより支持体102が構成される。
このように第1の支持体102a、102bが上部支持体102aと中間支持体102bとからなる2層構造を有しているが、上部支持体102aと中間支持体102bを一体構造に形成してもよい。
なお、マイクロチップ101は、第1の支持体102b(102a)と第2の支持体102c間に配置されているが、単に積層するのみでも、第1の支持体102a(102b)と第2の支持体102cとによりマイクロチップ101を圧着するなど種々の手段が採用できる。
また上部支持体102aには、その表面に沿って水平方向に延び、かつ上部支持体102aを貫通するフロー流路104aと、フロー流路104aに連通し、かつ外方に開口する供給口103とが形成されている。さらに中間支持体102bには、中間支持体102bを貫通するフロー流路104bが形成されている。このうち上部支持体102aのフロー流路104aと中間支持体102bのフロー流路104bとによって第1のフロー流路が構成される。
また下部支持体102cには、その表面に沿って水平方向に延び、かつ下部支持体102cを貫通するフロー流路104cが形成され、このフロー流路104cには外方へ開口する排出口105が連通している。このフロー流路104cは第2のフロー流路となる。
中間支持体102bのフロー流路104bと、下部支持体102cのフロー流路104cは互いにマイクロチップ101の貫通孔(微生物捕捉孔ともいう)111を介して連通している。なお、図示を省略するが、第2の支持体(下部支持体)102cは、第1の支持体を上部支持体102aと中間支持体102bとからなる2層構造で形成したと同様に、2層構造で形成するようにしてもよい。また、第2の支持体を2層構造で形成した場合、上層に排出口105を設けてもよい。
このように構成された本実施の形態において、微生物分離装置110に導入されたサンプル水は供給口103から導入され、フロー流路104a、104bを通り、金属板101に到達する。このとき、金属板101の貫通孔111の孔径より小さな物質、及び溶解成分はフロー流路104cを通って、排水口105から排出され、孔径より大きな物質が金属板101に捕捉される。
ここで、金属板101は、微生物の寸法より小さい貫通孔111を有している。一般的に細菌類や原虫類の大きさは1〜数μmであり、それ以下の寸法の貫通孔111を形成する。しかし、その様な微小孔を加工する場合、レーザー加工にしても、化学的・物理的なエッチング加工にしても、貫通孔111の加工寸法と比較して厚さが厚いと、孔径が大きくなってしまい、加工が不可能であった。厚さを薄くすれば加工は可能であるが、プラスチック等では強度が弱くなり、サンプル水の吸引ろ過、及び加圧送液に耐えられない可能性がある。そこで、比較的薄くても強度が維持できる金属を使用することにより、微小な貫通孔111の実現と、吸引・加圧による実用的な処理速度の実現を両立可能となる。
第1および第2の支持体102a、102b、102cは、薄い金属板101を上下からサポートし、吸引・加圧による送液が可能となる様にするためのものである。同時にサンプル水送液のための供給孔103、フロー流路104a、104b、104c、排水口105を設けることにより、金属板101上に微小流路を形成することができる。このような構成とすることにより、一部の配管類が省略可能となり、部品点数の低減につながる。また流路を微小化することにより、対象微生物の流路への堆積の防止という効果も期待できる。
この貫通孔111の加工方法としては、レーザー加工を適用することが有効である。機械加工や物理的・化学的なエッチング方法では、貫通孔111を形成する場合には、概ね孔径数十μmのオーダーが加工精度の限界である。上述のように細菌、原虫等検査対象となる微生物の寸法はμmオーダーであり、数十μmの貫通孔111では透過してしまい、捕捉することが不可能である。
レーザー加工においても、加工厚さが厚くなると、孔径が大きくなるという点は同様であるが、加工厚さを低減することにより、かなり小径の微生物捕捉用貫通孔111を作製することができる。そこで、薄板の金属板101にレーザー加工を行うことにより、μmオーダーの貫通孔111を形成することが可能となり、細菌・原虫等の微生物を確実に貫通孔111により捕捉することができる。
金属板101の材質としては、各種の金属が使用可能であるが、河川水等各種イオン成分を含んだ水が流れること、反応液や洗浄液として、酸、アルカリ、有機溶媒等の腐食性液体が流れる事などを考慮すると、ステンレス鋼を使用することが望ましい。
第1および第2の支持体102a、102b、102cの材質としては、プラスチック、ガラス、シリコン、金属、セラミック等が適用可能である。このとき金属板101の貫通孔111に捕捉された対象微生物を検出するため、蛍光発光の観察等の光学的手法が用いられる。この場合、第1および第2の支持体102a、102b、102cを光を透過する材質から作製する必要がある。特に上部支持体102aを透明体とすることにより、上部から励起光を照射し、貫通孔111に捕捉された対象微生物からの蛍光を検出することが可能となる。好適には、第1および第2の支持体102a、102b、102cには安価で透明性が高く、かつ接着も容易なアクリル樹脂から構成することが望ましい。
次に金属板101の微生物捕捉用貫通孔111の形状について、図13および図14により詳述する。
図13は、耐塩素性微生物クリプトスポリジウムを選択的に捕捉することを目的にデザインした金属板101の貫通孔111の形状の一例を示す。
貫通孔111は金属板101の、パターン化された位置に加工されている。貫通孔111を形成するとき、レーザー加工を利用する。この場合、加工領域の先端部にレーザーの焦点を絞って加工を施すため、微生物捕捉用貫通孔111の形状はテーパーを有し、レーザー照射面側の上部開口111aの孔径が大きくなる。そのため、照射面と反対側の下部開口111bの寸法を、対象微生物の大きさより小さくすることにより微生物の捕捉が可能となる。
クリプトスポリジウムは直径約5μmの球形状微生物であり、これを捕捉するためにサンプル水導入側の微生物捕捉用貫通孔111の上部開口111aの孔径を直径3〜5μmとした。レーザー加工を施した際、この貫通孔111の孔径は試料水と接する部分の上部開口部111aから深さ方向に行くに従って小さくなる。金属板101の厚さを5μmとした場合、レーザー照射面の反対側の下部開口111bの孔径は約2〜3μmとなり、クリプトスポリジウムの直径より小さいことから捕捉することが可能となる。
図14(a)(b)は実際に金属板101として、厚さ5μmのSUS304の薄板を用い、この金属板101にレーザー加工を施した場合の微生物捕捉状況を示したものである。
ここで図14(a)は、金属板101上に設けた微生物捕捉用貫通孔111の配置位置を示し、図14(b)は貫通孔111に捕捉されたクリプトスポリジウム模擬粒子の捕捉状況を示す図である。
貫通孔111の孔径を実測した結果、上部開口111aが3.1±0.6μm、下部開口111bが2.5±0.6μmであった。
実際にクリプトスポリジウム模擬粒子(クリプトレーサー1号:(財)水適技術研究センター)を使用して捕捉実験を行ったところ、クリプトが微生物捕捉用貫通孔111の部位に捕捉されていることが確認できた。また、下部開口111b側を減圧することにより、流速を向上させることが可能となり、圧力差40kPaでは約100μL/min、88kPaでは350μL/minとの実用的なろ過性能が得られた。
この場合、レーザー加工の制限から、微生物捕捉用貫通孔111にテーパー角がある程度存在するため、金属板101が厚くなると、上部開口111aの孔径が大きくなり、隣接する貫通孔111との間隔が広くなる。このため、一定面積内に多数の貫通孔111を配置するのが困難になるという問題点がある。そのため、金属板101の厚さは、できる限り薄いことが望ましい。しかし、ある程度の厚さがないと強度が不足する。
今回の加工実績から計算すると、隣接する微生物捕捉用貫通孔111の間隔の上限を30μmに設定すると、金属板101の厚さは50μm以下にする必要がある。以上のことから、金属板101の膜厚は、5〜50μm以下とすることが望ましい。
また、微生物捕捉用貫通孔111の開口部の形状について、図13では円形を設定したが、形状は特に問わず、多角形としてもよい。最小直径の部分の形状も特に指定はなく、微生物の寸法より小さいことが重要である。
第2−2の実施の形態
次に本発明の第2−2の実施の形態について図15により説明する。
図15は、図12乃至図14に示す第2−2の実施の形態における微生物分離装置を組込んだ微生物分離システムを示す。
図15において、サンプル水は試料水供給バルブ122を介して試料水供給ライン121に流れ、試料水リザーバタンク123に導入される。所定量のサンプル水を導入後、試料水供給バルブ122を閉じ、試料水供給ポンプ124により供給口103から微生物分離装置110へサンプル水が供給され、微生物分離装置110の金属板1101においてサンプル中の特定の対象微生物が捕捉される。その後、サンプル水は、微生物分離装置110の排出口105から排出されて流体吸引装置126により吸引される。
この間、サンプル中に含まれていた対象微生物は微生物捕捉用貫通孔111に捕捉される。微生物捕捉用貫通孔111の最小直径部の径より小さい微生物や物質はこの微生物捕捉用貫通孔111を通過して吸引され、流体吸引装置126側へ排出される。
この過程において、対象微生物を含む粒子状物質は微生物捕捉用貫通孔に捕捉される。
サンプル水は試料水の供給ポンプ124と流体吸引装置126の双方により微生物分離装置110内へ導入されるが、供給ポンプ124と液体吸引装置126のうちいずれか一方のみを設けてもよい。
また、実際に対象微生物が捕捉されているかどうかを金属板101上で確認することも可能である。対象微生物を検出もしくは生物の種類を特定する場合、抗原・抗体の結合反応や、DNAのハイブリダイゼーション反応を利用した生物的な情報に基づく検出法を金属板101上で実施することが可能である。対象微生物を抗原として認識する抗体に蛍光もしくは発光色素で標識した標識抗体や、対象生物に含まれるDNAもしくはRNAと特異的に結合するDNAプローブに蛍光もしくは発光色素で標識した標識DNAプローブを供給する手段を金属板101に設け、標識抗体、標識DNAプローブを金属板101側に供給する。その結果、対象微生物を選択的に染色でき、それらを蛍光顕微鏡を用いて観察することが可能となる。
第2−3の実施の形態
次に本発明の第2−3の実施の形態について図16により説明する。
図16は洗浄機構を備えた微生物分離装置の構成例を示す図である。
なお、図16において、図15に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。図16において、洗浄液保存容器131から洗浄液切換バルブ132を通じ、試料供給ポンプ124により洗浄液が金属板101に供給され、その後金属板101の貫通孔111に導入される。洗浄水は微生物捕捉用貫通孔111を洗浄し、洗浄液排出バルブ133を通じて排出される。
洗浄液としては界面活性剤、アルコール、有機溶剤、酸、アルカリ等が使用される。ただし、洗浄液により金属板101及び対象微生物がダメージを受けないものを選定することが必要である。例えば、界面活性剤を洗浄液として適用した場合、金属板101表面と粒子との界面に、洗浄液が浸透し、表面と粒子との距離を離すことにより、表面から粒子が引き離されるのに必要なポテンシャルエネルギーを低減させる。その結果、対象微生物は孔内面との相互作用が大きいのに対し、それ以外の粒子の相互作用は小さいことから脱離しやすくなり、対象微生物のみが微生物捕捉孔に捕捉されることになる。このため、微生物の捕捉回収効率が向上する。
また、微生物捕捉用貫通孔111からの対象微生物以外の粒子状物質の脱離を促進するために、物理的洗浄手段134を設けてもよい(図16)。例えば、物理的洗浄手段134としては、超音波や機械的振動、電気的振動、熱供給などを利用する。物理的洗浄手段134を金属板101に設置し、振動による機械的エネルギーを粒子状物質に与えることにより、脱離に必要なエネルギーを供給する。
同様に、加熱によりエネルギーを供給することによっても、脱離を促進することが可能となる。ただし、過剰の振動・過熱によって対象微生物も脱離してしまう可能性もある。
これを防止し、かつ他の粒子状物質を効果的に除去するために、最適な洗浄条件を設定する必要がある。なお、上記の洗浄液による洗浄、及び物理的洗浄手段はそれぞれ単独で使用しても良いし、組み合わせて使用することもできる。
第3−1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第3−1の実施の形態について説明する。
図17乃至図18は本発明による微生物分離装置の第3−1の実施の形態を示す図である。ここで図17(a)は微生物分離装置の平面図、図17(b)は図17(a)のX−X′線断面図、図18(a)はマイクロチップの斜視図、図18(b)はその拡大図である。
図17(a)(b)、図18(a)(b)に示すように、微生物分離装置110は、特定の対象微生物を分離・回収するものであり、対象微生物より小さな孔径をもつ貫通孔1111が形成された板状のマイクロチップ(金属板ともいう)101と、このマイクロチップ101の上面に配置された第1の支持体102aと、マイクロチップ101の下面に配置された第2の支持体102b,102cとを備えている。
このうち第1の支持体102aは上部支持体102aからなり、また第2の支持体102b,102cは中間支持体102bと下部支持体102cからなっている。さらに第1の支持体102a、第2の支持体102b、102cにより支持体102が構成される。
なお、マイクロチップ101は、第1の支持体102aと第2の支持体102b間に配置されているが、単に積層するのみでも、第1の支持体102aと第2の支持体102bとによりマイクロチップ1を圧着するなど種々の手段が採用できる。
このとき支持体102a、102b、102cの材質としては、各種のプラスチック材料、金属材料、ガラス等が使用できるが、ポリジメチルシロキサン(PDMS),PMMA,ガラス等の透明材料を使用することが望ましい。本実施の形態では、支持体102a、102cをPDMSで構成し、支持体102bをスライドガラスで構成している。
また上部支持体102aには、その表面に沿って水平方向に延び、かつ上部支持体102aを貫通するフロー流路104aと、微生物を捕捉孔に連なるフロー流路104bと、フロー流路104aに連通し、かつ外方に開口する供給口103とが形成されている。さらに、上部支持体102aに洗浄液や、対象微生物以外の粒子状物質の排出口として作用する、洗浄排水口106が形成されている。この上部支持体102aのフロー流路104aとフロー流路104bとによって第1のフロー流路が構成される。
中間支持体102bには、中間支持体102bを貫通するフロー流路104cが形成されている。
また下部支持体102cには、その表面に沿って水平方向に延び、かつ下部支持体102cを貫通するフロー流路104dが形成され、このフロー流路104dには外方へ開口する排出口105が連通している。この中間支持体102bのフロー流路104c、および下部支持体102cのフロー流路104cによって第2のフロー流路が形成されている。
中間支持体102bのフロー流路104bと、下部支持体102cのフロー流路104cは互いにマイクロチップ101の貫通孔(微生物捕捉孔ともいう)111を介して連通している。ここで、フロー流路104a、104bを親水化処理することにより、水との親和性が強くなることから、付着した微生物が流水で容易に剥離するようになる。その結果、微生物の流路への付着が抑制される。
このように構成された本実施の形態において、微生物分離装置110に導入されたサンプル水は供給口103から導入され、フロー流路104a、104bを通り、金属板101に到達する。このとき、金属板101の貫通孔111の孔径より小さな物質、及び溶解成分はフロー流路104cを通って、排水口105から排出され、孔径より大きな物質が金属板101に捕捉される。フロー流路104a、104bは前記の通り、親水化処理されているため、微生物の付着が抑制され、試料水中に含まれる微生物は、ほぼ全てが金属板101に到達するようになる。
ここで、金属板101は、微生物の寸法より小さい貫通孔111を有している。一般的に細菌類や原虫類の大きさは1〜数μmであり、それ以下の寸法の貫通孔111を形成する。金属板101に到達した微生物は、貫通孔111に捕捉される。本実施の形態によれば、流路への微生物の付着を防止し、精度の向上を図ることができる。
貫通孔111はレーザー加工や機械加工等の方法により形成されるが、加工方法によっては両面で、貫通孔の孔径が異なる。図18は金属板101(SUS304製)をレーザー加工によって加工して貫通孔を製作した例を示したものであるが、厚さ5μmの金属板101に孔径2〜3μmの孔を開けた場合、反対側の面の開口部は3〜5μmの孔径となる。この金属板は、どちらを上面にしても微生物分離に適用することは可能である。図18では、孔径の小さい面をフロー流路104b側(供給側)とした例を図示している。この構成を利用して、微生物模擬粒子を捕捉した例を図19に示す。ここではクリプトスポリジウム模擬粒子(クリプトレーサー1号:(財)水適技術研究センター)を使用した。1つの輝点が粒子1つに対応しており、ほぼ1つの孔に1つの粒子が捕捉されていることがわかる。
実際のサンプル水では、微生物以外の非生物性の粒子も多く含まれている。分子生物学的手法を用いることにより、対象とする微生物以外は染色されないことから、誤認識の面ではそれほど問題は無いが、貫通孔を閉塞させてしまう恐れがある。これを防止するために、酸・アルカリ等の薬品をマイクロチップ101に供給し、流路や貫通孔に付着した非生物性の粒子を除去することが可能である。
非生物性の粒子としては、カルシウム,鉄,シリカ等の鉱物性の成分が挙げられる。表1に、実際に水道水中に含まれていた鉱物系の元素の重量比,原子量比の例を示す。
通常、これら鉱物性の粒子を溶解させるためには、塩酸洗浄が有効である。例えば、1mol/LのHClを10分間作用させることにより、クリプトスポリジウムを溶解させること無く、酸化鉄(Fe),炭酸カルシウム(CaCO),水酸化亜鉛(Zn(OH))酸化銅(CuO,CuO)を溶解除去することが可能である。その他の酸では、硝酸,スルファミン酸,クエン酸等の、スケール洗浄に使用される酸類の適用が可能である。塩酸処理だけで十分に粒子を除去できない場合は、シリカ(SiO)が含まれていることが考えられる。この場合には、助剤として、フッ酸を添加することで、溶解性を向上させることができる。
図20は支持体102a、102cを構成するPDMS素材に各種処理を施した際の、接触角の変化を示したものである。処理前は100°以上の接触角となっているが、プラズマ処理を施したものは、いずれも大きく接触角が低下していることがわかる。
プラズマ処理後に純水(Milli−Q水)で処理を行った場合は、処理直後は接触角が大きく低下するものの、5時間後には再び増加する傾向にある。これは、プラズマ処理によって表面に形成された親水基が徐々に消失することに起因するものと考えられる。プラズマ処理後に界面活性剤(1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム))で処理した場合は、純水で処理したものに比較すると、接触角の増加は抑えられる傾向にあり、より親水化の効果を発揮させることができる。
また、陰イオン界面活性剤を用いて表面を被覆することにより、表面電位が負に帯電しているクリプトスポリジウムオーシストの吸着を阻害すると考えられる。今回の試験では、流路の材質として、PDMSを用いたが、他の材質についても、処理方法を工夫することによって、導入流路におけるクリプトスポリジウムオーシストの吸着は抑制できると考えられる。
図21は、微小流路内への微生物模擬粒子の付着状況を比較したものである。PDMSを使用して、幅200μm、深さ200μm、長さ1cmの流路を作製し、シリンジポンプを用いて流速100μL/minでクリプトスポリジウム模擬粒子の懸濁液(100個/10μL)を導入した。クリプトスポリジウム模擬粒子は、クリプトレーサー1号:(財)水適技術研究センターを使用した。この模擬粒子は比重、表面電位が実際のクリプトスポリジウムと同様になっており、蛍光色素を予め含んでいる。5分間各溶媒で粒子を導入後、流路内の溶液を空気で押し出した後に、U励起下で蛍光顕微鏡観察した。無処理の流路Aの場合、非常に多くの粒子が流路内に残存していることが分かる。
それに対し、プラズマ処理および界面活性剤として1%SDS処理を施した流路Bの場合、ほとんど流路内に蛍光発光による輝点は見られず、模擬粒子の吸着は見られない。
図22は各種処理を施した場合の、流路内への微生物模擬粒子の付着数を比較したものである。試験条件は図4の場合と同様である。プラズマ処理を施した流路では、無処理のものに比較して付着粒子数が低減している。特に、プラズマ処理+SDSの処理を行った流路では顕著に付着粒子が低下している。
この様に、プラズマ処理、さらに陰イオン界面活性剤による表面処理を行うことにより、クリプトスポリジウムの吸着を有効に防止することができる。
第3−2の実施の形態
次に本発明の第3−2の実施の形態について図23により説明する。
図23は、図17乃至図20に示す第3−1の実施の形態における微生物分離装置を組込んだ微生物分離システムを示す。
図23において、サンプル水は試料水供給バルブ122を介して試料水供給ライン121に流れ、試料水リザーバタンク123に導入される。所定量のサンプル水を導入後、試料水供給バルブ122を閉じ、試料水供給ポンプ124により供給口103から微生物分離装置110へサンプル水が供給され、微生物分離装置110の金属板101においてサンプル中の特定の対象微生物が捕捉される。その後、サンプル水は、微生物分離装置110の排出口105から排出されて流体吸引装置126により吸引される。
この間、サンプル水中に含まれていた対象微生物は、第1の支持体102aの第1の流路104a、104bを通過して微生物捕捉用貫通孔11に捕捉される。ここで、第1の流路104a、104bでの微生物吸着が多いと、金属板101に到達する微生物の割合が低下し、検出率の低下につながる。しかしながら、第3−1の実施の形態に示すように第1の流路104a、104b内面を親水化することにより、より高い確率で微生物が金属板101に到達することになる。こうして第1の流路104a、104bを通過した、微生物捕捉用貫通孔111の最小直径部の径より小さい微生物や物質はこの微生物捕捉用貫通孔111を通過して吸引され、流体吸引装置126側へ排出される。
この過程において、対象微生物を含む粒子状物質は微生物捕捉用貫通孔111により捕捉される。
サンプル水は試料水の供給ポンプ124と流体吸引装置126の双方により微生物分離装置110内へ導入されるが、供給ポンプ124と液体吸引装置126のうちいずれか一方のみを設けてもよい。
また、実際に対象微生物が捕捉されているかどうかを金属板101上で確認することも可能である。対象微生物を検出もしくは生物の種類を特定する場合、抗原・抗体の結合反応や、DNAのハイブリダイゼーション反応を利用した生物的な情報に基づく検出法を金属板101上で実施することが可能である。対象微生物を抗原として認識する抗体に蛍光もしくは発光色素で標識した標識抗体や、対象生物に含まれるDNAもしくはRNAと特異的に結合するDNAプローブに蛍光もしくは発光色素で標識した標識DNAプローブを供給する手段を金属板101に設け、標識抗体、標識DNAプローブを金属板101側に供給する。その結果、対象微生物を選択的に染色でき、それらを蛍光顕微鏡を用いて観察することが可能となる。
第3−3の実施の形態
次に本発明の第3−3の実施の形態について、図24乃至図26により説明する。
ここでは、蛍光顕微鏡像による微生物検出の妨害となる、藻類の除去に関する効果について説明する。サンプル中に藻類が含まれる場合、藻類は細胞内にクロロフィル、フィコシアニンといった、蛍光性の物質を含んでおり、自ら蛍光発光する性質がある(以下、自家蛍光とする)。そのため蛍光染色を利用した検出法を採る場合、誤認識の原因となりうるため、除去することが望ましい。特に耐塩素性の病原性微生物である、クリプトスポリジウムを検出対象とする場合、クリプトスポリジウムの直径が約5μmであることから、藻類と同等の大きさであり、微生物捕捉用貫通孔111の分画精度だけでは、十分に分離することが困難である。
図24は藻類除去機能を更に備えた微生物分離システムを示す。なお、図24において、図23に示す第3−2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、上述した第3−2の実施の形態で示したように、サンプル水が金属板101に到達して、サンプル水中の微生物が金属板101の微生物捕捉用貫通孔11により捕捉される。
次に図24において、藻類溶解酵素液保存容器131から溶解液切換バルブ132を通じ、試料供給ポンプ124により溶解液が金属板101に供給され、その後金属板101の貫通孔111に導入される。溶解水は微生物捕捉用貫通孔111を洗浄し、排出バルブ133を通じて排出される。
次に、蛍光染色液保存容器134から、蛍光染色液切換バルブ135を通じ、試料供給ポンプ124により、蛍光染色液が金属板101に供給される。この蛍光染色液は、蛍光標識された、対象微生物を特異的に認識・結合する抗体、DNAプローブからなる。金属板101の微生物捕捉用貫通孔111に捕捉された粒子のうち、対象微生物を抗体、DNAプローブが認識、選択的に結合することにより、対象微生物のみが染色される。この構成とすることにより、藻類を除去した後、対象微生物を染色することが可能となる。
本発明では、藻類溶解酵素を使用して藻類を除去する。図25には、各種の細胞溶解処理方法に対する、藻類の自家蛍光強度特性を示す。細胞溶解処理方法として、リゾチーム(Lysozyme)や、プロテアーゼの一つであるプロテイナーゼK(Proteinase K)等を用いた酵素処理を検証した。ここでは試験サンプルの藻類として、BG−11培地で振とう培養し、80μLのTris−HCl buffer(pH8.5)に懸濁したSynechoccoccus sp. NKBG 042902(6×10cells/ml)を用いた。この藻類懸濁液中に、50mg/mL−リゾチーム20μLを添加し、室温で20分間インキュベートした。さらに、1mg/mL−プロテイナーゼKを10μL加え、各条件下でインキュベートした。遠心回収、洗浄後G励起下で蛍光顕微鏡観察を行い、蛍光強度を測定した。
その結果、どちらの酵素を使用しても、藻類による自家蛍光の減少が観察されており、藻類除去効果が得られる。特に、リゾチーム+プロテイナーゼKの連続処理による溶解が効果的であり、藻類の自家蛍光強度の大きな減少が見られている。
クリプトスポリジウムのオーシストに対して、同様の処理を実施した結果を図26に示す。クリプトスポリジウムに関しては、Tris−HCl緩衝液に比較して、酵素処理を行った場合でも蛍光強度の低下は見られず、クリプトスポリジウムは藻類溶解処理を行っても溶解されずに、免疫染色が可能であることが分かる。この結果から、藻類とクリプトスポリジウムの混合物をマイクロチップ上に補足した後、藻類のみを選択的に除去できるといえる。
本発明による微生物分離装置の第1−1の実施の形態を示すマイクロチップの構造概念図。 微生物分離装置のマイクロチップの微生物捕捉部および微生物捕捉孔を示す構造概念図。 本発明による微生物分離装置の第1−1の実施の形態を示す全体概略図。 本発明による微生物分離装置の第1−2の実施の形態を示す全体概略図。 本発明による微生物分離装置の第1−3の実施の形態を示す微生物捕捉孔の概念図。 本発明による微生物分離装置の第1−4の実施の形態を示す全体概略図。 本発明による微生物分離装置の第1−4の実施の形態の微生物捕捉孔を示す概念図。 本発明による微生物分離装置の第1−5の実施の形態を示す全体概略図。 本発明による微生物分離装置の第1−6の実施の形態を示す全体概略図。 本発明による微生物分離装置の第1−7の実施の形態を示すマイクロチップとメンブレンフィルタの構造概念図。 本発明による微生物分離装置の第1−7の実施の形態を示すマイクロチップの微生物捕捉部および微生物捕捉孔とメンブレンフィルタの構造概念図。 本発明による微生物分離装置の第2−1の実施の形態を示す構成図。 金属板の微生物捕捉用貫通孔を示す図。 微生物捕捉用貫通孔の位置とクリプトスポリジウム模擬粒子の捕捉状況を示す図。 本発明による微生物分離装置の第2−2の実施の形態を示す構成図。 本発明による微生物分離装置の第2−3の実施の形態を示す構成図。 本発明による微生物分離装置の第3−1の実施の形態を示すマイクロチップの構造概念図。 微生物分離装置のマイクロチップの微生物捕捉部および微生物捕捉孔を示す構造概念図。 マイクロチップへの粒子捕捉例を示す図。 PDMSにプラズマ+各種界面活性剤処理を施した際の接触角を示す図。 微小流路内への微生物模擬粒子の付着状況を示す図。 PDMSにプラズマ+各種界面活性剤処理を施した際の残留粒子数を示す図。 本発明による微生物分離装置の第3−2の実施の形態を示す全体概略図。 本発明による微生物分離装置の第3−3の実施の形態を示す全体概略図。 各種の細胞溶解処理方法に対する、藻類の自家蛍光強度の減少特性を示す図。 各種の細胞溶解処理方法に対する、C.parvumオーシスト蛍光染色強度測定結果を示す図。
符号の説明
10 平板基板
11 フロー流路
12 微生物捕捉部
12a 微生物捕捉孔
13 流体供給口
14 流体排出口
15 流体吸引口
16 試料水供給ライン
17 試料水供給バルブ
18 試料水リザーバタンク
19 試料水供給ポンプ
20 マイクロチップ
21 流体吸引装置
22 試料水排出バルブ
23 試料水循環バルブ
24 微生物捕捉用抗体
25 対象微生物
26 試料水リザーバタンク兼磁性物質標識反応槽
27 磁性物質標識抗体保存容器
28 磁性物質標識抗体供給ライン
29 磁性物質標識抗体供給バルブ
30 磁性物質標識抗体供給ポンプ
31 磁気印加装置
32 磁性材料物質標識抗体
33 磁気材料
34 磁性材料
35 洗浄液保存容器
36 洗浄液供給ラインバルブ
37 物理的印加手段
38 分画処理手段
39 メンブレンフィルタ
101 金属板
102a 上部支持体
102b 中間支持体
102c 下部支持体
103 供給口
104a フロー流路
104b フロー流路
104c フロー流路
105 排水口
111 微生物捕捉用貫通孔
121 試料水供給ライン
122 試料水供給バルブ
123 試料水リザーバタンク
124 試料水供給ポンプ
126 流体吸引装置
131 洗浄液保存容器
132 洗浄液切換バルブ
133 洗浄液排出バルブ
134 物理的洗浄手段

Claims (28)

  1. 試料水中に含まれる対象微生物を分離して回収する微生物分離装置において、
    流体供給口および流体吸引口を含むフロー流路が内部に形成された平板基板と、平板基板の流体吸引口に設けられ対象微生物の最小径より小さい径の複数の貫通孔からなる捕捉部とを有するマイクロチップと、
    マイクロチップの捕捉部に接続され試料水を吸引する試料水吸引手段と、
    マイクロチップの平板基板の流体供給口に接続され試料水を供給する試料水供給手段と、
    を備え、試料水吸引手段により吸引されるフロー流路内の試料水中の対象微生物を捕捉部により捕捉することを特徴とする微生物分離装置。
  2. 平板基板の貫通孔内に、対象微生物の抗原を特異的に認識する抗体を設けたことを特徴とする請求項1記載の微生物分離装置。
  3. 対象微生物の抗原を特異的に認識するとともに磁性物質で標識した抗体を試料水に供給するための磁性物質標識抗体供給手段と、
    この磁性物質標識抗体供給手段から供給された磁性物質標識抗体と微生物の抗原との反応を行う反応部とを更に備え、
    平板基板の貫通孔内に、磁性物質を引力する材料を設けたことを特徴とする請求項1記載の微生物分離装置。
  4. 対象微生物の抗原を特異的に認識するとともに磁性物質で標識した抗体を試料水に供給するための磁性物質標識抗体供給手段と、
    この磁性物質標識抗体供給手段から供給された磁性物質標識抗体と微生物の抗原との反応を行う反応部とを更に備え、
    平板基板の貫通孔内に、磁性物質を吸引する磁気を発生させる磁気印加手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の微生物分離装置。
  5. 試料水中に含まれる対象微生物を分離して回収する微生物分離装置において、
    流体供給口および流体吸引口を含むフロー流路が内部に形成された平板基板と、平板基板の流体吸引口に設けられた複数の貫通孔からなる捕捉部とを有するマイクロチップと、 マイクロチップの流体吸引口側の面に設けられたメンブレンフィルタと、
    メンブレンフィルタのマイクロチップと反対側の面に設けられ、試料水を吸引する試料水吸引手段と、
    平板基板の流体供給口に接続され試料水を供給する試料水供給手段と、
    を備え、試料水吸引手段により吸引されるフロー流路内の試料水中の対象微生物を捕捉部により捕捉することを特徴とする微生物分離装置。
  6. マイクロチップの平板基板のフロー流路は流体排出口を有し、流体排出口にフロー流路を通過した試料水を回収し、再び試料水供給手段に戻す循環手段を接続したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の微生物分離装置。
  7. マイクロチップにエネルギーを印加する物理的印加手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の微生物分離装置。
  8. マイクロチップのフロー流路に洗浄液を流すための洗浄液供給手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の微生物分離装置。
  9. 試料水供給手段の前段に、マイクロチップに供給する試料水中に含まれる対象微生物及びその他の粒子を大きさで分画する分画処理手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか記載の微生物分離装置。
  10. 試料水中の特定の対象微生物を分離・回収する微生物分離装置において、
    対象微生物より小さな孔径をもつ貫通孔が形成された板状のマイクロチップと、
    このマイクロチップの上面に配置され第1のフロー流路を有する第1の支持体と、マイクロチップの下面に配置され第2のフロー流路を有する第2の支持体とを備え、第1の支持体の第1のフロー流路と第2の支持体の第2のフロー流路はマイクロチップの貫通孔を介して互いに連通自在となっており、第1のフロー流路から第2のフロー流路を流れる試料水中の対象微生物を貫通孔により捕捉することを特徴とする微生物分離装置。
  11. 第1の支持体の第1のフロー流路は外方へ開口する供給口を有し、第2の支持体の第2のフロー流路は外方へ開口する排出口を有することを特徴とする請求項10記載の微生物分離装置。
  12. マイクロチップの貫通孔はレーザー加工により形成されることを特徴とする請求項10または11記載の微生物分離装置。
  13. 第1および第2の支持体は、透明体から構成されることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか記載の微生物分離装置。
  14. 対象微生物はクリプトスポリジウムであることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか記載の微生物分離装置。
  15. 貫通孔の最狭部の孔径は2〜3μmとなることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか記載の微生物分離装置。
  16. マイクロチップの厚さは5〜50μmとなることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか記載の微生物分離装置。
  17. マイクロチップに、マイクロチップを洗浄する物理的洗浄手段を設けたことを特徴とする請求項10乃至16のいずれか記載の微生物分離装置。
  18. マイクロチップに、マイクロチップに対して洗浄液を流すための洗浄液供給手段を接続したことを特徴とする請求項10乃至17のいずれか記載の微生物分離装置。
  19. 第1のフロー流路内面に親水化処理を施したことを特徴とする請求項10記載の微生物分離装置。
  20. 第1の支持体の第1のフロー流路内面に対する親水化処理は、プラズマ処理を含むことを特徴とする、請求項19記載の微生物分離装置。
  21. 第1の支持体の第1のフロー流路内面に対する親水化処理は、プラズマ処理と、プラズマ処理を施した後の陰イオン界面活性剤によるコーティング処理とを含むことを特徴とする、請求項20記載の微生物分離装置。
  22. 第1の支持体および第2の支持体は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)からなることを特徴とした、請求項19記載の微生物分離装置。
  23. 藻類を除去する手段を更に備えたことを特徴とする請求項10記載の微生物分離装置。
  24. 藻類を除去する手段は、酵素による溶解処理手段からなることを特徴とする、請求項23記載の微生物分離装置。
  25. 藻類を除去する手段は、酵素としてリゾチームを使用することを特徴とする、請求項24記載の微生物分離装置。
  26. 藻類を除去する手段は、酵素としてプロテアーゼを使用することを特徴とする、請求項24記載の微生物分離装置。
  27. 藻類を除去する手段の酵素による溶解処理は、リゾチームとプロテアーゼの混合溶液による処理からなることを特徴とする、請求項24記載の微生物分離装置。
  28. マイクロチップに酵素液を供給するための酵素液供給手段を接続したことを特徴とする、請求項24記載の微生物分離装置。
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