JP4858767B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
また、車両には、レーダ等の外界センサにより前走車との衝突を予測し、自動ブレーキを用いて衝突を回避させる、いわゆる追突速度低減システムを設けたものがある。この追突速度低減システムは、レーダにて前方の障害物を検知し、その距離と相対速度とから衝突の可能性を判断し、衝突が避けられないと判断した場合は、自動でブレーキを掛けて衝突速度を低減し、被害を軽減するものである。
車両の挙動制御装置には、複数のアクチュエータを用いて車両の挙動を制御し、制動手段の動作頻度を少なくすることにより、制動手段の負担を軽減するものがある。
車両用操舵装置には、ステアバイワイヤシステムを備えた車両において、路面と車輪との間の摩擦係数が低下した場合に、ヨーレートを制御して車両挙動の安定化を図るものがある。
バイワイヤ方式のステアリング装置(ステアバイワイヤシステム)には、車両の走行状態に異常が発生した場合に、異常の発生部位や内容に応じた駆動信号を出力して運転者に早く知らせ、重大な危険の発生を未然に防止するものがある。
路面推定装置には、ステアバイワイヤシステムを備えた車両において、車両が走行中の路面状態をグリップ度あるいは摩擦係数として精度良く、タイミング良く推定するものがある。
また、速やかな減速を目的とする制動においては、制動手段によるヨーレートの制御が非常に難しいものである。先ず、車両の旋回中に制動力が加わることは、車両のヨーレートに影響を与え、また、車速や旋回の仕方によって、ヨーレートも常に変化して一様ではない。一方、車輪の接地面は各車輪のみであり、車輪の摩擦によって伝達効率の良い範囲で、制動力や駆動力を伝達している。そして、この効率の良い範囲で車両の前後左右のブレーキ配分を変えて、常に変化しているヨーレートを最適に制御することは、非常に難しいものである。そして、そのような機能を備えた高機能・高コストなシステムを構築しても、小型の一般大衆の車両に搭載することが困難であった。
以下、図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。
パワーユニット2は、エンジン9とトランスミッション10とフロントデフ11とが一体的に構成され、車両1の前部で横置きに搭載されている。
フロントデフ11には、左前車軸12Lの一端が接続している。この左前車軸12Lの他端は、左前接続部材13Lを介して左前車輪4Lに連結している。この左前車輪4Lには、制動力を付与する制動手段である左前ブレーキ装置14Lが設けられている。また、フロントデフ11には、右前車軸12Rの一端が接続している。この右前車軸12Rの他端は、右前接続部材13Rを介して右前車輪4Rに連結している。この右前車輪4Rには、制動力を付与する制動手段である右前ブレーキ装置14Rが設けられている。
車両1には、パワーユニット2の後方に、ステアリングラック等を収容したステアリングボックス15が配置されている。このステアリングボックス15には、左ロッド16Lを介して左前車輪4Lが連結するとともに、右ロッド16Rを介して右前車輪4Rが連結し、更に、ステアリングラックを動作する操舵用アクチュエータとしての操舵モータ17が設置されている。この操舵モータ17は、車輪である左前車輪4L及び右前車輪4Rの舵角としてのタイヤ操舵角を変更するように駆動される。
ステアリングホイール3は、人為的に操作される操作部材であり、ホイール軸22を介して反力モータ23に連結している。
ステアバイワイヤコントローラ24は、各センサからの情報により、ステアリング舵角センサ25で検出されたステアリング舵角に基づく予め設定した所定の関係に応じて操舵指令を操舵モータ17に出力し、この操舵モータ17を駆動してタイヤ操舵角を制御する。これは、ステアリング装置がステアリングバイワイヤシステム6であり、ステアリングホイール3とは別に独立して制御する必要があるからである。
このブレーキコントローラ29には、車両1の前部に設置された外界センサであるレーダ30と、左前車輪4L・右前車輪4R近傍に設けられた左前車輪速センサ31L・右前車輪速センサ31Rと、左後車輪5L・右後車輪5R近傍に設けられた左後車輪速センサ32L・右後車輪速センサ32Rとが連絡している。
また、ブレーキコントローラ29には、ブレーキアクチュエータ33が連絡している。このブレーキアクチュエータ33は、左前ブレーキ装置14Lと右前ブレーキ装置14Rと左後ブレーキ装置21Lと右後ブレーキ装置21Rとが連絡している。
ブレーキコントローラ29は、ブレーキ作動信号を出力してブレーキアクチュエータ33を駆動し、このブレーキアクチュエータ33に連絡した各ブレーキ装置を駆動して各車輪の制動力を制御する。
追突速度低減システム7は、図6に示すように、ステアバイワイヤコントローラ24を介してブレーキコントローラ29に車速センサ28を連絡し、また、レーダ30を連絡し、そして、ブレーキ作動信号であるブレーキ指令を入力するブレーキアクチュエータ33が連絡して構成される。
レーダ30は、レーザーレーダやミリ波レーダからなり、前方の障害物を検出し、障害物までの距離及び相対速度を測定してブレーキコントローラ29ヘ出力するものである。
ブレーキアクチュエータ33は、ブレーキコントローラ29からのブレーキ指令により自動でブレーキを掛けることが可能なブレーキ駆動装置である。
ブレーキコントローラ29は、追突速度低減システム7の制御を行うものであり、レーダ30や各センサからの信号を入力し、衝突判断を行い、ブレーキアクチュエータ33に自動ブレーキの指令を出力するとともに、自動ブレーキを掛けるときに、ステアバイワイヤコントローラ24にブレーキ作動信号を送信する。
制動制御手段であるブレーキコントローラ29は、所定の条件が成立した際に車輪へ制動力を付与する自動制動機能を有している。
ステアバイワイヤコントローラ24は、ブレーキコントローラ29の自動制動機能の作動後に監視機能によって相関の乱れを検出した際に、所定の関係とは別な第二の関係(図5のマップ参照)によって操舵用アクチュエータである操舵モータ17を制御する。
前記相関の乱れとは、前記操作量に対して前記旋回状態が増大する傾向である。また、前記第二の関係とは、前記所定の関係と比較して検出された操作量に対する車輪の舵角であるタイヤ操舵角が小さくなる関係である。
ステアバイワイヤコントローラ24は、前記第二の関係では検出する旋回状態を相関が乱れる直前に検出された旋回状態と略一致させるよう制御し、自動制動機能の動作が継続され、且つ検出する操作量が相関の乱れる直前に検出された操作量よりも増大する場合には、前記操作量に応じてタイヤ操舵角を大きくする。
この図1において、ステアリング舵角は、運転者がステアリングホイール3を操舵した角度である。タイヤ操舵角は、ステアバイワイヤシステム6によりステアリングホイール3の操舵と独立制御できるタイヤ操舵角である。追突軽減ブレーキ作動信号は、追突軽減ブレーキ作動が作動し大きな減速度が発生することを示すブレーキ作動信号(ブレーキ指令)である。前輪荷重は、左前車輪4L・右前車輪4Rに掛かる荷重であり、荷重が大きい程旋回性が増加する。ヨーレートは、車両1のヨーであり、旋回性を表すものである。
このステップS03がYESの場合には、再度、ステアリング舵角及びヨーレートを監視し(ステップS04)、そして、ヨーレート値を見て、このヨーレート値が急な立ち上がり(追突軽減ブレーキの作動による急なヨーの変化)が起きているかを判断する(ステップS05)。このステップS05がNOの場合には、前記ステップS04に戻る。
このステップS05がYESで、ヨーレート値に急な立ち上がりがある場合には、現在のステアリング舵角が、ブレーキ作動信号がある前のステアリング舵角以下であるかを確認、つまり、ステアリングホイール3を切り増ししていないかを確認する(ステップS06)。
このステップS06がYESの場合には、ヨーレートの急激な増加を防止するために、タイヤ操舵角指令値を現在値よりも小さくし、旋回性をブレーキ作動前と同じにする(ステップS07)。
そして、再び、ステアリング舵角を監視し、現在のステアリング舵角が、前記ステップS07でタイヤ操舵角指令値を小さくする前の舵角(前記ステップS04の舵角)よりも大きいか確認、つまり、運転者が旋回性の増加を望んでいるかを確認する(ステップS08)。即ち、このステップS08においては、前記ステップS07でタイヤ操舵角指令値を現在値よりも小さくして旋回性をブレーキ作動前と同じにした後、運転者がステアリングホイール3を切り増して旋回性を望んでいると判断する。
このステップS08がYESで、現在のステアリング舵角がタイヤ操舵角指令値を小さくする前の舵角よりも大きい場合には、旋回性を回復させるため、タイヤ操舵角指令値を大きくする(ステップS09)。
このステップS09の処理後又は前記ステップS08がNOの場合には、ブレーキ作動信号がない(オフ)か否かを監視する(ステップS10)。このステップS10がNOの場合には、前記ステップS08に戻る。
このステップS10がYESの場合には、ステアバイワイアヤシステム6のタイヤ操舵角の制御を通常の制御に戻し(ステップS11)、プログラムをエンドとする(ステップS12)。
一方、前記ステップS06がNOの場合には、ブレーキ作動信号を監視する(ステップS13)。このステップS13がNOで、ブレーキ作動信号がある状態のままの場合(ON)には、前記ステップS04に戻る。このステップS13がYESで、ブレーキ作動信号がない場合(OFF)には、前記ステップS11に移行する。
図2に示すように、ステアリングホイール3の操作によりステアリング舵角が大きくなるにつれてタイヤ操舵角も大きくなり(時間t1)、そして、ヨーレートも次第に大きくなり始める(時間t2)。
そして、ブレーキ作動信号があり(時間t3)、大きな減速度に伴う前輪荷重の増加によりヨーレートが急に増加しようとすると(時間t4)、タイヤ操舵角を小さくするように制御され(時間t5)、その結果、旋回性が低下するため、ヨーレートの増加が抑えられ、ヨーレートがブレーキ作動前と同じになる(時間t6)。つまり、ステアリング舵角が変化していないため、運転者は同じ旋回性を望んでおり、その望んだ旋回性に戻っている。
図3に示すように、ステアリングホイール3の操作によりステアリング舵角が大きくなるにつれてタイヤ操舵角も大きくなり(時間t1)、そして、ヨーレートも次第に大きくなり始める(時間t2)。
そして、ブレーキ作動信号があり(時間t3)、大きな減速度に伴う前輪荷重の増加によりヨーレートが急に増加しようとすると(時間t4)、タイヤ操舵角を小さくするように制御され(時間t5)、その結果、旋回性が低下するため、ヨーレートの増加が抑えられる。
その後、ステアリング舵角が切り増されたら(時間t6)、タイヤ操舵角を大きくなるように制御され(時間t7)、ヨーレートが再び増加して旋回性が回復する(時間t8)。これは、運転者がステアリングホイール3を切り増したことを、旋回性を望んでいると判断し、旋回性を回復させている。
従って、この実施例における操舵制御により、追突軽減ブレーキの作動時に運転者の意図した旋回性とし、操縦性の低下を防止することができる。
また、この実施例における操舵制御は、ステアバイワイヤシステム6と追突速度低減システム7とを搭載した車両であれば、小型の一般大衆の車両にも容易に適用することができる。
先ず、請求項1に記載の発明は、ステアバイワイヤコントローラ24は、ステアリング舵角センサ25で検出された操作量とヨーレートセンサ27で検出された旋回状態との相関を監視する監視機能を有している。制動制御手段であるブレーキコントローラ29は、所定の条件が成立した際に車輪へ制動力を付与する自動制動機能を有している。ステアバイワイヤコントローラ24は、ブレーキコントローラ29の自動制動機能の作動後に監視機能によって操作量に対して旋回状態が増大する傾向を検出した際に、検出された操作量が自動制動機能の作動前に検出された操作量以下である場合には、所定の関係と比較して検出された操作量に対する車輪の舵角が小さくなる第二の関係によって、検出する旋回状態を旋回状態が増大する傾向が検出される直前に検出された旋回状態と略一致させるように、操舵用アクチュエータである操舵モータ17を制御する。
これにより、自動制動が作動した後に、その制動によって、車両1の旋回姿勢や挙動が維持されず、変化する状態を緩和することができる。また、乗員の意図(切足しや切戻し)を示す操作量と比較するので、意図しない巻込み感や飛出し感を生むことによる運転フィーリングの悪化を抑制することができる。
これにより、回避動作等で、運転者の操作を妨げることなく、その意図に沿って、車両1の挙動を変更することができ、運転フィーリングを向上する。
3 ステアリングホイール
4L 左前車輪
4R 右前車輪
6 ステアバイワイヤシステム
7 追突速度低減システム
8 車両用操舵装置
17 操舵モータ
24 ステアバイワイヤコントローラ
25 ステアリング舵角センサ
27 ヨーレートセンサ
28 車速センサ
29 ブレーキコントローラ
30 レーダ
33 ブレーキアクチュエータ
Claims (2)
- 人為的に操作されるステアリングホイールと、このステアリングホイールの操作量を検出する操作量検出手段と、車輪の舵角を変更するように駆動される操舵用アクチュエータと、前記操作量検出手段で検出された操作量に基づく予め設定した所定の関係に応じて前記操舵用アクチュエータを制御する操舵制御手段と、車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、前記車輪に制動力を付与する制動手段と、前記車輪への制動力を制御する制動制御手段とを備える車両用操舵装置において、前記操舵制御手段は前記操作量検出手段で検出された操作量と前記旋回状態検出手段で検出された旋回状態との相関を監視する監視機能を有し、前記制動制御手段は所定の条件が成立した際に前記車輪へ制動力を付与する自動制動機能を有し、前記操舵制御手段は、前記制動制御手段の自動制動機能の作動後に監視機能によって前記操作量に対して前記旋回状態が増大する傾向を検出した際に、検出された操作量が自動制動機能の作動前に検出された操作量以下である場合には、前記所定の関係と比較して検出された操作量に対する前記車輪の舵角が小さくなる第二の関係によって、検出する旋回状態を前記旋回状態が増大する傾向が検出される直前に検出された旋回状態と略一致させるように、前記操舵用アクチュエータを制御することを特徴とする車両用操舵装置。
- 前記操舵制御手段は、検出する旋回状態を前記旋回状態が増大する傾向が検出される直前に検出された旋回状態と略一致させるように制御された後、自動制動機能の動作が継続され、且つ検出する操作量が操作量に対して前記旋回状態が増大する傾向を検出する直前に検出された操作量よりも増大する場合には、前記検出する操作量に応じて前記車輪の舵角を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。
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