JP4857290B2 - 光学部材及び光学部材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、光学部材及び光学部材の製造方法に関する。具体的には、表面に酸化物の微細凹凸構造を有する光学部材及び光学部材の製造方法に関する。
ガラス眼鏡、光学レンズ、太陽電池パネル、ブラウン管、フィルター、ディスプレーパネルなどでは、表面の光散乱や反射の低減が求められている。これを実現するための一つの方法として、屈折率や膜厚を制御した単層または多層の反射防止膜が用いられている。この場合、膜の反射防止性能が波長と入射角度に応じて変化することが知られ、幅広い波長領域と入射角度に対する高性能反射防止性能を実現することは難しいことが知られている。
一方、従来よりガラスの表面に微細な凹凸を形成させて、反射防止機能を付与することが知られている。特に波長以下の微細化が出来れば、広い入射角度範囲において高い反射防止機能が期待される。微細化の手段として、ガラス表面への化学的エッチングや機械的粗面加工等が提案されている。化学エッチングと機械的加工は、可視光範囲の波長以下の微細化が難しく、特に透明性が必要とされる用途においては反射防止性能を有するものにはまだ至っていない。一方、ガラスの表面に凹凸構造を形成する塗膜も検討されてきた。例えば、特許文献1には、ガラスを含む透明物質に、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛またはそれらの合金の金属膜を酸化物または水酸化物に転化させ、種々の高さと形状を有する個々の小葉体を構成した反射防止膜が開示されている。また、特許文献2には、基体上に少なくともアルミニウムアルコキシドと安定化剤からなる塗布液を塗布し、アモルファスアルミナ膜を形成した後、熱水処理、乾燥してなる花弁状にランダム集合化した透明アルミナ膜が開示されている。
特公昭61−48124号公報 特開平9−202649号公報
特許文献1及び特許文献2に示されるように塗布膜は通常多孔質である場合が多い。基材である多くの高屈折率ガラスは、水、湿気に弱いアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物や酸化ホウ素等の酸化物成分が含まれている。塗布膜形成用の基材としてこれらのガラスを適用する場合、空気中の水、湿気が基材表面まで入り込んでしまい、基材に含まれるアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物や酸化ホウ素等が放出され、表面またはその界面が曇ったり、白化したりしてしまう。特に、多孔質酸化物に含まれている不安定な成分(例えば、水溶性成分や、水に溶解して再析出し得る成分)が水分と接触すると、水和反応等が進み、光学特性が経時と共に変動する問題も指摘されている。更に、酸を含む環境下に置かれると、多孔質酸化物自身が酸により溶解したり、変質等が起こる場合がある。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、酸化物層の表面に微細な凹凸構造を有した光学部材、及びその製造方法に関するものである。特に酸化物層表面の微細凹凸構造が安定化し、耐久性に優れた酸化物層付き光学部材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の光学部材は、基材と、該基材表面に反射防止膜とを有する光学部材であって、前記反射防止膜は少なくとも、表面に酸化アルミニウムの結晶による微細凹凸構造が形成された金属酸化物層を有し、前記金属酸化物層の少なくとも表面はリン酸アルミニウムとなっていることを特徴とする。
また本発明の光学部材の製造方法は、基材と該基材表面に反射防止膜を有する光学部材の製造方法であって、前記基材表面にアルミニウム或いは酸化アルミニウムを主成分とする膜を形成する工程と、表面を結晶化し、酸化アルミニウムの結晶による微細凹凸構造を形成すべく、前記アルミニウム或いは酸化アルミニウムを主成分とする膜を水と接触させる工程と、少なくとも表面に、リン酸アルミニウムを形成すべく、前記微細凹凸構造が形成された膜に水溶性リン酸系化合物を接触させる工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、基材に、表面に微細凹凸構造を有する酸化物層を付与し、更にリン酸塩化合物を含ませることにより、酸化物層の微細凹凸構造の安定性が格段に向上する効果を示す。更に、アルカリ、アルカリ土類、ホウ素を含む光学ガラスに適用でき、ガラス由来の耐久性の弱点が解消され、幅広い光学特性をもつ光学部材が可能となる。
(第1の実施形態)
図1は本発明の光学部材における第1の実施形態を図示したものであり、以下に説明する。
本実施形態は、ガラスのような基材11と、水酸化酸化アルミニウムと酸化アルミニウムの複合体のような酸化物層12を含み、該酸化物層は光学部材の表面に形成される。また、酸化物層12の表面には微細凹凸構造を呈し、さらに酸化物層はリン酸アルミニウムのようなリン酸塩化合物を含むリン酸塩化合物含有層13を含む。
本発明に用いられる微細凹凸構造は、ミクロン又はサブミクロンオーダーの凹凸であり得、酸化物を主成分とする固体と空隙との三次元構造から由来する。酸化物の形態としては、結晶質でもよく、アモルファスでもよく、結晶質及びアモルファスの両方の形態が存在していてもよい。微細凹凸構造は、酸化物層の表面(酸化物層の表面とは、光学部材の表面であって空気との界面)に向かって屈折率を連続的に減少させることができる形状を有している。従って、光学部材の表面の反射性能や透過機能を制御し、つや消し機能や、反射防止機能等を発現する。酸化物層の微細凹凸構造に秩序がある場合、特異的な角度や特異な波長における反射、透過の機能が現れる。反射防止機能の場合、表面の微細凹凸構造が異方性の結晶性酸化物微粒子から構成されるのが好ましい。異方性の結晶性酸化物微粒子の形状としては、板状、針状等を挙げることができる。異方性の結晶性酸化物微粒子の具体例として、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、ベーマイト(水酸化酸化アルミニウム)などの水酸化物、ケイ酸リチウム、ケイ酸チタニウム等の複合酸化物を挙げることができる。特に面の垂直方向に傾斜構造を形成しやすい板状粒子が好ましい。具体的には、水熱反応より得た板状のベーマイト粒子を好適に用いる。結晶性酸化物微粒子のサイズ及び凹凸の面方向のサイズを変化させることで、そのサイズに対応した波長に対する反射防止機能が実現する。可視光に対応する反射防止膜とする場合、凹凸の高さが0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。0.1μm以上であれば、可視光での反射防止機能が発現できる。一方、凹凸の高さが5μm以下であると、凹凸構造の機械的強度が高く保持できる。リン酸塩化合物は、微細凹凸構造の酸化物の安定性に寄与する。リン酸塩化合物によって少なくとも酸化物の表面を被うことにより微細凹凸構造の形状が時間とともに変化することがなくなり安定化する。また、リン酸塩化合物が微細凹凸構造内に介在しても良い。
このリン酸塩化合物がない場合は、酸化物層が多孔質であるため、空気中の水、湿気が基材表面まで入り込んでしまい基材に含まれるアルカリ金属酸化物、アルカリ希土類金属酸化物や酸化ホウ素等が放出され、表面またはその界面が曇ったりしてしまう。また酸化物層での反応が進んでしまい、屈折率などの特性が変化してしまう場合もある。本発明のリン酸塩化合物は酸化物層に含まれる非晶質酸化物等の不安定な酸化物の反応性を抑止し、これによって、空気中の水分によって起こる酸化物の変化が抑制され、また酸性環境下でも酸化物の溶出や劣化及びそれら起因の凹凸構造の崩壊が起こらなくなる。更に、凹凸構造を形成する異方性の結晶性酸化物微粒子表面もリン酸塩化合物によって被われることにより、凹凸構造の耐酸性、耐久性が向上し、光学特性が安定する。
本発明に用いるリン酸塩化合物としては、水に不溶性が有れば、特に限定する必要はない。具体例としてリン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸バリウム、リン酸アルミニウム、リン酸ガリウム、リン酸ランタン、リン酸チタニウム、リン酸ジルコニウムを挙げることが出来る。前述のような光学部材の基材の耐久性が低い場合、リン酸塩化合物により酸化物層内に緻密な領域が形成されていることが好ましい。
本発明の光学部材の基材としては、ガラス、プラスチック等が挙げられる。プラスチック基材の代表的なものとしては、ポリエステル、トリアセチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂のフィルムや成形品;不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋型ポリウレタン、架橋型のアクリル樹脂、架橋型の飽和ポリエステル樹脂など各種の熱硬化性樹脂から得られる架橋フィルムや架橋した成形品等が挙げられる。
アルカリ、アルカリ土類、ホウ素を含む光学ガラスを基材とする場合、表面に微細凹凸構造を有する酸化物層を付与すれば、該酸化物層は、高い反射防止機能を持つ反射防止膜として機能する。屈折率が1.4以上1.9以下の範囲で、数多くのガラスを選択できるために、幅広い高性能反射防止機能の光学レンズが可能になる。本発明のリン酸塩化合物を含む微細凹凸構造を有する酸化物層があれば、耐水性が弱い成分による劣化が抑制される。代表的な光学ガラス基材の具体例として、バリウムフリント、バリウムクラウン、ホウ硅クラウン、ランタンフリント、ランタンクラウンのガラスを挙げることができる。
(第2の実施形態)
図2は本発明の光学部材における第2の実施形態を図示したものであり、以下に説明する。
なお、本実施形態においては、第1の実施形態の構成と異なるところを中心に説明する。
本実施形態は、ガラスのような基材21と、水酸化酸化アルミニウムのような酸化物層24を含み、該酸化物層は光学部材の表面に形成される。また、酸化物層24の表面には微細凹凸構造を呈し、さらに酸化物層はリン酸塩化合物を含むリン酸塩化合物含有層25を含む。さらに酸化物層は、酸化アルミニウムのような1nm以上のアモルファス層23を含み、このアモルファス酸化物層23の上に微細凹凸構造が形成されている。ここでのアモルファスとは、X線散乱、中性子散乱の手法より結晶由来の回折が見られない状態を指し、通常の観察法で連続の膜でもよく、粒径が50nm以下の粒子からの集合体でも良い。
リン酸塩化合物が少なくとも酸化物の表面を被い、リン酸塩化合物層25を形成する。後で説明があるように、リン酸系化合物が微細凹凸構造の隙間に浸透する場合、アルモファス層23にもリン酸塩化合物層25が形成される。また、アルモファス層全体がリン酸塩化合物層に変わってもよい。また、リン酸塩化合物は微細凹凸構造内に介在しても良い。このリン酸塩化合物層が緻密な層を形成する。さらに、必要に応じ、反射防止機能を向上させる目的で、基材の表面に予め屈折率が異なる中間層22があっても良い。中間層としては、蒸着、ゾル−ゲル法などの公知の方法より形成され、具体的にはシリカ、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化イトリウム、酸化タンタル、またはこれらの複合膜を挙げることが出来る。基材の屈折率nと、中間層の屈折率nと、アモルファス層の屈折率nをn≧n≧nとするとより効果的である。このように設定することで、基材から酸化物層のアモルファス層まで屈折率を徐々に減少させることができる。さらに微細凹凸構造によって、アモルファス層から酸化物層の表面に向かって屈折率を連続的に減少させることができるので、反射防止効果を著しく高めることができる。
次に本発明の光学部材の製造方法について説明する。本発明の光学部材の製造方法は、基材に酸化物層を形成する工程と、前記酸化物層の表面に微細凹凸構造を形成する工程と、前記表面に微細凹凸構造を形成した酸化物層に水溶性リン酸系化合物を接触させる工程を含む。
基材の表面に酸化物層になる前駆体膜を形成させた後、前駆体膜に微細凹凸構造を形成させる。微細凹凸構造を形成させる方法として、特に限定されないが、前駆体膜の相分離、酸化、相転移、結晶化、選択的溶出などの方法を挙げることが出来る。好ましくは、金属膜、金属種を含む金属酸化物膜を水と接触させる工程より異方性の結晶性酸化物粒子を形成させることが好ましい。
金属膜の場合、水と接触させると、金属膜が酸化され、粒子状の結晶性の酸化物または水酸化物になれば、本発明の微細凹凸構造を形成させるのに用いる。これらの金属種としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛などを挙げることが出来、好ましくは、アルミニウムである。アルミニウムの場合は、大きさが数百nmまでの板状ベーマイト結晶性粒子が形成される。金属の膜として、蒸着法、イオンプレ−ティング法、スパッター法で得られた膜を好適に用いる。
また、金属酸化物膜の形成法としては、ゾル−ゲル法、スパッター法、蒸着法等の方法を挙げることが出来る。金属酸化物膜を水と接触させると、結晶化し微細凹凸が形成される。または、一部分が選択的にエッチングされることによっても微細凹凸構造が形成される。金属酸化物膜(以下酸化物膜と呼ぶ)は、好ましくはアモルファスであり、水と接触すると、溶出、再析出が起こり、結晶性微粒子の微細凹凸構造が形成される。酸化物の具体例としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛を挙げることが出来る。必要に応じて、これらを主成分とする複合膜もよく、単独では粒成長しないシリカなどの酸化物成分を粒子の固溶成分、または粒界成分として加えても良い。酸化物膜の表面を反射防止膜とする場合、酸化アルミニウムを主成分とするアモルファス酸化物を好適に用いる。粒成長につれて、アモルファス酸化アルミニウム酸化物膜が微細凹凸構造に転移するが、アルモファス前駆体膜(アモルファス層)が1nm以上の膜厚で残ることが好ましい。前述したように微細凹凸構造は、アモルファス層との境界面から酸化物層の表面に向かって屈折率を連続的に減少させることができるので、光学部材の表面の反射性能や透過機能を制御し、つや消し機能や、反射防止機能等を発現する。またアモルファス層を残すことによって、リン酸系化合物がアルモファス層とも反応し、リン酸塩化合物を含む耐水性と耐酸性に優れ、且つ緻密な層が形成される。
水と接触する工程は、基本的に、粒子成長の条件であれば、良く、好ましくは、温度が50℃以上で、より好ましくは60℃以上で行う。接触工程の時間は、特に限定されないが、好ましくは5分間以上3時間以下である。
得られた表面に微細凹凸構造を有する酸化物層を水溶性リン酸系化合物と接触させる表面処理工程においては、水溶性リン酸系化合物が少なくとも一部の酸化物と反応し、酸化物層にリン酸塩化合物を形成する。
本発明の水溶性リン酸系化合物は、基本的にリン酸基があって、且つ水溶性であればよい。リン酸系化合物の具体例としては、リン酸、ポリリン酸、リン酸アミン塩、ポリリン酸アミン塩、第1リン酸金属塩、第2リン酸金属塩等を挙げることができる。これらのリン酸系化合物は、単独でまたはこれらの二つ以上を組み合わせて使用することができる。リン酸系化合物と微細凹凸構造を有する酸化物層との反応性が高い場合、微細凹凸構造の酸化物成分との反応が急激に起こり、微細凹凸構造が壊れる恐れがる。微細凹凸由来の反射防止機能を損なわないようにするためにはその反応性を抑えなければならない。反応性を押えることが出来るリン酸系化合物として、好ましくは、第1リン酸金属塩とリン酸アミン塩を用いる。第1リン酸金属塩の具体例として、第1リン酸カルシウム、第1リン酸アルミニウム、第1リン酸亜鉛、第1リン酸チタニウムを挙げることが出来る。リン酸アミンの場合、第一、第二、第三リン酸アンモニウム塩、リン酸メチルアミン塩、リン酸エチルアミン塩、リン酸アルカノールアミン塩等のリン酸アミン塩を挙げることが出来る。このような金属塩の形態のリン酸系化合物を用いることにより、リン酸基と微細凹凸構造の酸化物層との反応がより穏やかに起こる。リン酸アミンを用いる場合では、リン酸アミンと微細凹凸構造の酸化物層との反応性がアミンによって低減される。接触工程では、アミンの離脱に伴って、リン酸基としての機能が発現され、微細凹凸構造の酸化物層との反応が進む。このようなリン酸系化合物と微細凹凸構造を有する酸化物層との反応により、微細凹凸構造の酸化物成分の表面に非水溶性のリン酸金属塩からの層が形成される。
水溶性リン酸系化合物の形態とし、その水系分散液またはアルコール等の水溶性有機溶剤の分散液を用いる。水溶性リン酸系化合物が、より好ましくは水系の分散液の形態であり、分散液中のリン酸系化合物の含有量が0.01重量%以上30重量%以下であり、より好ましくは0.05重量%以上20重量%以下である。含有量が0.01重量%以上であると、微細凹凸構造を有する酸化物層中のリン酸塩化合物の効果が発現できるようになる。一方、リン酸系化合物が30重量%以下であると、微細凹凸構造が維持され、微細凹凸構造由来の光学特性が損なわれない。
水溶性リン酸系化合物との接触方法としては、水溶性リン酸系化合物の分散液に微細凹凸構造を有する酸化物層を持つ基材を水溶性リン酸系化合物の分散液に浸漬する方法、ディップ、スピンやスプレー等の塗布方法等を挙げることが出来る。微細凹凸構造を有する酸化物層に、必要以上のリン酸系化合物を塗布される場合では、水やアルコールなどの分散媒を用い、洗浄や流し取りなどの方法より、除去するプロセスを入れてもよい。
より具体的には、前記の微細凹構造が異方性酸化物粒子層である場合、リン酸化系化合物が異方性酸化物粒子と反応し、粒子表面に非水溶性リン酸塩化合物膜が形成される。粒径が100nm以下で粒子密度が大きい領域では、緻密なリン酸塩化合物領域が形成される。更に前記酸化物層に前記アルモファス層がある場合は、リン酸系化合物がアルモファス層とも反応し、リン酸塩化合物を含む耐水性に優れ、且つ緻密な層が形成される。この場合、基材が水分に弱いアルカリ、アルカリ土類、ホウ素のうち何れかの元素を含む透明ガラスであっても、ガラスへの水分の浸透が抑制され、高温高湿の環境下で、耐久性が優れた光学部材が得られる。
リン酸系化合物と微細凹凸構造を有する酸化物成分との反応を促進する必要がある場合、リン酸系化合物を接触させた後、300℃以下の乾燥工程を入れても良い。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
各実施例、比較例で得られた、表面に微細な凹凸について、下記の方法で評価を行った。微細凹凸構造の評価とし、サンプルの断面を走査型電子顕微鏡(FE−SEM、日立製作所製S4500)を用いて断面を観察した。また、曇り具合を評価するため、ヘーズメーター(Nippon Denshoku、NDH2000)を用いて、曇り具合を判断する一般的な数値であるヘーズ値を測定した。
微細凹凸構造の安定性について、60℃相対湿度90%の循環式高温高湿機で連続1000時間暴露させた後、再び断面または曇り具合を評価した。また、耐酸性の特性として、0.01Nの塩酸に浸漬し、微細凹凸構造の外観の変化を観察した。
(実施例1)
ゾル−ゲル法によるアモルファス酸化アルミニウム膜のコーティング液を用意する。具体的には、アルミニウム−sec−ブトキシド〔Al(O−sec−Bu)〕を攪拌しながら2−プロパノール〔IPA〕に溶かし、安定化成分としてアセト酢酸エチル〔Eacac〕を加え、調整し、コーティング液を用意した。ここでコーティング液のモル比は、Al(O−sec−Bu):IPA:Eacac=1:20:1の割合とした。30分間攪拌した後、加水分解のHOと触媒の成分を、HO:Al(O−sec−Bu)=1:1であって、0.01M塩酸になるように添加した。得られた混合液を48時間反応させ、アモルファス酸化アルミニウムのコーティング液とした。
リン酸系化合物の処理液とし、200重量部の純水に1重量部の第1リン酸アルミニウム〔Al(HPO〕を溶かし、約2日間静置した。その後、0.1μmのフィルターに通した。得られた透明液をリン酸系化合物の処理液1とした。
厚さ1mmのシリカガラス基板3枚を用意し、コーティング液に浸漬し、ディッピング法で、3mm/sの引き上げ速度、相対湿度50%の条件下で、コーティングした。その後、空気中で30分間乾燥し、その後、300℃の乾燥機で1時間熱処理した。その後、繰り返し、2回コーティングし、アモルファス酸化アルミニウム層付きのシリカガラスを得た。得られたシリカガラスを温水処理し、酸化アルミニウムの微細凹凸化を行った。それぞれステンレスホルダーにいれ、80℃の純水に30分間浸漬し、その後、100℃の乾燥機で乾燥した。その中の2枚をリン酸系化合物の処理液1に浸漬し、3mm/sの引き上げ速度で引き上げた。その後、60℃の乾燥機で1時間熱処理し、微細凹凸構造の酸化物層つきシリカガラスを得た。その1枚を、真空デシケーターに保管し、もう一枚は上記の耐久性試験条件(60℃、相対湿度90%)で耐久試験を行った。
耐久試験したサンプルと真空デシケーターで保管したサンプルを分光光度計で評価したところ、500nmで透過率が何れも99.6%であって、外観も変化しなかった。更に、微細凹凸構造について、表面観察したところ、何れも表面に70nmのアルモファス層と厚さが約350nmの板状粒子からの凹凸構造の層になっていることがわかった。真空デシケーターで保管したサンプルと比べて、高温高湿の条件下で、変化しなかった。耐酸性評価として、このサンプルを0.01N塩酸水溶液に15分間浸漬した。その後、蒸留水でリンスし、80℃乾燥させ、観察したところ、塩酸浸漬による外観および透過率の変化が見られなかった。
(比較例1)
実施例1の第1リン酸アルミニウムの未コーティングのサンプルを用いて、実施例1と同様に、耐久性実験を行った。外観は実施例1の真空保管のサンプルと変わらなかった。一方、電子顕微鏡で断面観察したところ、アモルファス層が50nmになっていることが確認された。第1リン酸アルミニウムコーティングサンプルと異なり、高温高湿の環境下で、不安定で、アモルファス層が反応していることがわかった。その後、実施例1と同様に、このンプルを0.01N塩酸に浸漬し、耐酸性を評価したところ、表面の酸化アルミニウム膜が完全になくなり、耐酸性がなかった。
(実施例2)
厚さが1mmのソーダライムシリカガラス(NaO:17wt%)2枚を実施例1のアルモファス酸化アルミニウムコーティング液に、ディッピング法で、3mm/sの引き上げ速度、相対湿度50%の条件下で、コーティングした。その後、空気中で30分間乾燥し、その後、300℃の乾燥機で1時間熱処理した。その後、繰り返し、2回コーティングし、アモルファス酸化アルミニウム層付きのガラス基板を得た。得られたガラス基板を温水処理し、酸化アルミニウムの微細凹凸化を行った。それぞれステンレスホルダーにいれ、80℃の純水に30分間浸漬し、その後、100℃の乾燥機で乾燥した。その中の1枚をリン酸系化合物の処理液1に浸漬し、3mm/sの引き上げ速度で引き上げた。その後、60℃の乾燥機で1時間熱処理し、ガラス2を得た。
上記の耐久性試験条件(60℃、相対湿度90%)で耐久試験を行ったところ、外観は変化しなかった。分光光度計で透過率を測定したところ、透過率が99.7%であった。ヘーズメーター(Nippon Denshoku、NDH2000)で測定したところ、ヘーズ値が0.12であり、耐久試験前の測定値と比べて変化が無かった。最後、電子顕微鏡で、サンプルを断面観察したところ、30nmのアルモファス層と厚さが約320nmの板状粒子からの凹凸構造の層になっており、耐久試験前の測定値と比べて変化が無いことがわかった。
(比較例2)
実施例2の第1リン酸アルミニウム未処理の微細凹凸構造のガラスと未処理ソーダライムシリカガラスを上記の耐久性試験を行った。何れも、白濁した。ヘーズメーターで測定したところ、ヘーズ値がそれぞれ2と2.5であった。
(実施例3)
リン酸系化合物の処理液として、200重量部の純水に1重量部のリン酸アンモニウム〔(NHPO〕を溶かし、約2日間静置した。得られた透明液をリン酸系化合物の処理液2とした。
NaOを11%含有し、屈折率が1.81の光学ガラスを基材とし、真空でタングステンヒーターを用い、アルミニウムの金属の蒸着膜を付けたガラスを2枚作製した。得られたガラスをそれぞれステンレスホルダーにいれ、沸騰水に1時間浸漬し、その後、100℃の乾燥機で1時間熱処理した。その中の1枚をリン酸系化合物の処理液2に浸漬し、3mm/sの引き上げ速度で引き上げた。その後、60℃の乾燥機で1時間熱処理し、ガラス3を得た。
ガラス3を上記の耐久性試験条件(60℃、相対湿度90%)で耐久試験を行ったところ、外観は変化しなかった。分光光度計で透過率を測定したところ、透過率が98.4%であった。ヘーズメーターで測定したところ、ヘーズ値が0.11であり、耐久試験前の測定値と比べて変化が無かった。最後、電子顕微鏡で、サンプルを断面観察したところ、厚さが約155nmの板状粒子からの凹凸構造の層になっており、耐久試験前の測定値と比べて変化が無いことがわかった。
(比較例3)
実施例3のリン酸アンモニウム未処理のガラスを上記の耐久性試験を行ったところ、ガラスが白濁した。ヘーズメーターで測定したところ、ヘーズ値がそれぞれ1.2であった。
(実施例4)
厚さが1mmで、屈折率が1.58で、光学ホウケイ酸ガラス(NaO:9wt%、KO:9wt%)2枚を、実施例1のアルモファス酸化アルミニウムコーティング液でコーティングした。コーティングは、ディッピング法で、3mm/sの引き上げ速度、相対湿度50%の条件下で行なった。その後、空気中で30分間乾燥し、その後、300℃の乾燥機で1時間熱処理した。その後、繰り返し、2回コーティングし、アモルファス酸化アルミニウム層付きのガラス基板を得た。得られたガラス基板を温水処理し、酸化アルミニウムの微細凹凸化を行った。それぞれステンレスホルダーにいれ、80℃の純水に30分間浸漬し、その後、100℃の乾燥機で乾燥した。その中の1枚をリン酸系化合物の処理液1に浸漬し、3mm/sの引き上げ速度で引き上げた。その後、60℃の乾燥機で1時間熱処理し、ガラス4を得た。
上記の耐久性試験条件で耐久試験を行ったところ、外観は変化しなかった。分光光度計で透過率を測定したところ、透過率が99.6%であった。ヘーズメーターで測定したところ、ヘーズ値が0.09であり、耐久試験前の測定値と比べて変化が無かった。最後、電子顕微鏡で、サンプルを断面観察したところ、27nmのアルモファス層と厚さが約370nmの板状粒子からの凹凸構造の層になっており、耐久試験前の測定値と比べて変化が無いことがわかった。
(実施例5)
リン酸系化合物の処理液として、100重量部の純水に1重量部の第1リン酸カルシウム〔Ca(HPOO〕を溶かし、約2日間静置した。得られた透明液をリン酸系化合物の処理液3とした。
厚さが1mmのソーダライムシリカガラス(NaO:17wt%)1枚を実施例1のアルモファス酸化アルミニウムコーティング液に、ディッピング法で、3mm/sの引き上げ速度、相対湿度50%の条件下で、コーティングした。その後、空気中で30分間乾燥し、その後、300℃の乾燥機で1時間熱処理した。その後、繰り返し、2回コーティングし、アモルファス酸化アルミニウム層付きのガラス基板を得た。得られたガラス基板を温水処理し、酸化アルミニウムの微細凹凸化を行った。それぞれステンレスホルダーにいれ、80℃の純水に30分間浸漬し、その後、100℃の乾燥機で乾燥した。続いてリン酸系化合物の処理液3に浸漬し、3mm/sの引き上げ速度で引き上げた。その後、60℃の乾燥機で1時間熱処理し、ガラス5を得た。
ガラス5を上記の耐久性試験条件(60℃、相対湿度90%)で耐久試験を行ったところ、外観は変化しなかった。分光光度計で透過率を測定したところ、透過率が98.2%であった。ヘーズメーターで測定したところ、ヘーズ値が0.10であった。最後、電子顕微鏡で、サンプルを断面観察したところ、15nmのアルモファス層と厚さが約390nmの板状粒子からの凹凸構造の層になっていることがわかった。
このリン酸系化合物の処理液には、アルカリ土類金属であるカルシウムが含まれている。しかし基材に含まれているアルカリ土類金属の形態とは異なる。このリン酸系化合物の処理液に酸化アルミニウム層付き基板を浸漬すると、リン酸系化合物が酸化アルミニウム成分と反応し、リン酸カルシウムとリン酸アルミニウムを含む非水溶性複合層を形成する。この層によって、水分の基材ガラスへの透過を防ぎ、またカルシウム自身もリン酸塩の形で強固に結合され、移動できないため、酸化アルミニウム層内をカルシウムが移動することによる光学特性の変化も起こらない。
(実施例6)
リン酸系化合物の処理液として、0.5%第1リン酸亜鉛〔Zn(HPO〕水溶液を用いた(処理液4)。ここでは、200重量部の純水に1重量部の第1リン酸亜鉛〔Zn(HPO〕を溶かしたものを用いた。
厚さが1mmのソーダライムシリカガラス(NaO:17wt%)1枚を実施例1のアルモファス酸化アルミニウムコーティング液に、ディッピング法で、3mm/sの引き上げ速度、相対湿度50%の条件下で、コーティングした。その後、空気中で30分間乾燥し、300℃の乾燥機で1時間熱処理した。その後、繰り返し、2回コーティングし、アモルファス酸化アルミニウム層付きのガラス基板を得た。得られたガラス基板を温水処理し、酸化アルミニウムの微細凹凸化を行った。それぞれステンレスホルダーにいれ、80℃の純水に30分間浸漬し、その後、100℃の乾燥機で乾燥した。続いて、リン酸系化合物の処理液4に浸漬し、3mm/sの引き上げ速度で引き上げた。その後、60℃の乾燥機で1時間熱処理し、ガラス6を得た。
ガラス6を上記の耐久性試験条件(60℃、相対湿度90%)で耐久試験を行ったところ、外観は変化しなかった。分光光度計で透過率を測定したところ、透過率が98.5%であった。ヘーズメーターで測定したところ、ヘーズ値が0.11であった。最後、電子顕微鏡で、サンプルを断面観察したところ、厚さが35nmのアルモファス層と厚さが約400nmの板状粒子からの凹凸構造の層になっていることがわかった。
(実施例7)
厚さが1mmで、NaOを11wt%含有し、屈折率が1.81の光学ガラスを基材とした。
テトラエトキシシラン(TEOS)をエタノール(EtOH)中に溶解させ、0.01MHCl水溶液を触媒として加えた後、6時間攪拌を行った。このときの各成分のモル比はTEOS:EtOH:HCl(aq)=1:40:2であった。また、チタニウムn−ブトキシド(TBOT)をエタノールに溶解させた後、安定化成分としアセト酢酸エチル(EAcAc)を加え室温で3時間攪拌を行った。各成分のモル比はTBOT:EtOH:EAcAc=1:20:1であった。前記SiOゾル液にTiOゾル液をモル比でSiO:TiO=70:30となるように加え、2時間室温で攪拌した後、SiO−TiO中間膜のコーティング液とした。
前記のガラス基板を中間膜のコーティング液に浸漬し、ディッピング法で、2mm/秒の引き上げ速度、相対湿度50%の条件下で、ガラス基板の表面に塗布膜を形成した。乾燥後、300℃で1時間焼成する熱処理をし、透明なTiとSiとを含むアモルファス酸化物の中間膜を被膜した。
中間膜を設けたガラス基板を実施例1のアルモファス酸化アルミニウムコーティング液に、ディッピング法で、3mm/sの引き上げ速度、相対湿度50%の条件下で、コーティングした。その後、空気中で30分間乾燥し、その後、300℃の乾燥機で1時間熱処理した。その後、繰り返し、2回コーティングし、アモルファス酸化アルミニウム層付きのガラス基板を得た。得られたガラス基板を温水処理し、酸化アルミニウム層の一部をベーマイトに転化して微細凹凸化を行った。ステンレスホルダーにいれ、80℃の純水に30分間浸漬し、その後、100℃の乾燥機で乾燥した。その後、実施例1のリン酸系化合物の処理液1に浸漬し、3mm/sの引き上げ速度で引き上げた。最後、60℃の乾燥機で1時間熱処理し、ガラス7を得た。
ガラス7を上記の耐久性試験条件(60℃、相対湿度90%)で耐久試験を行ったところ、外観は変化しなかった。分光光度計で透過率を測定したところ、透過率が99.5%であった。ヘーズメーターで測定したところ、ヘーズ値が0.11であった。
(実施例8)
を30wt%含有し、屈折率が1.77の光学ガラスを基材とした。
まず、実施例7のSiOゾル液にTiOゾル液をモル比でSiO:TiO=80:20となるように加え、2時間室温で攪拌した後、SiO−TiO中間膜のコーティング液を作製した。中間膜のコーティング液を用い、ディッピング法で、2mm/秒の引き上げ速度、相対湿度が60%の条件下で、ガラス基板の表面に塗布膜を形成した。室温で乾燥した後、300℃で1時間熱処理をし、透明なアモルファスSiO−TiO膜付きのガラスを得た。
得た中間膜付きの基板を実施例1のアルモファス酸化アルミニウムコーティング液に、ディッピング法で、3mm/sの引き上げ速度、相対湿度50%の条件下で、コーティングした。その後、空気中で30分間乾燥し、その後、300℃の乾燥機で1時間熱処理した。その後、繰り返し、2回コーティングし、アモルファス酸化アルミニウム層付きのガラス基板を得た。得られたガラス基板を温水処理し、酸化アルミニウムの微細凹凸化を行った。ステンレスホルダーにいれ、80℃の純水に30分間浸漬し、その後、100℃の乾燥機で乾燥した。その後、リン酸系化合物の処理液1に浸漬し、3mm/sの引き上げ速度で引き上げた。最後、60℃の乾燥機で1時間熱処理し、ガラス8を得た。
ガラス8を上記の耐久性試験条件(60℃、相対湿度90%)で耐久試験を行ったところ、外観は変化しなかった。分光光度計で透過率を測定したところ、透過率が99.4%であった。ヘーズメーターで測定したところ、ヘーズ値が0.09であった。
(実施例9)
NaOを7wt%含有し、屈折率が1.65の光学ガラスを基材とした。
まず、実施例7のSiOゾル液にTiOゾル液をモル比でSiO:TiO=80:20となるように加え、2時間室温で攪拌した後、SiO−TiO中間膜のコーティング液を作製した。中間膜のコーティング液を用い、ディッピング法で、1.5mm/秒の引き上げ速度、相対湿度が60%の条件下で、ガラス基板の表面に塗布膜を形成した。室温で乾燥した後、300℃で1時間熱処理をし、透明なアモルファスSiO−TiO膜付きのガラスを得た。
得た中間膜付きの基板を実施例1のアルモファス酸化アルミニウムコーティング液に、ディッピング法で、3mm/sの引き上げ速度、相対湿度50%の条件下で、コーティングした。その後、空気中で30分間乾燥し、その後、300℃の乾燥機で1時間熱処理した。その後、繰り返し、2回コーティングし、アモルファス酸化アルミニウム層付きのガラス基板を得た。得られたガラス基板を温水処理し、酸化アルミニウムの微細凹凸化を行った。ステンレスホルダーにいれ、80℃の純水に30分間浸漬し、その後、100℃の乾燥機で乾燥した。その後、リン酸系化合物の処理液1に浸漬し、3mm/sの引き上げ速度で引き上げた。最後、60℃の乾燥機で1時間熱処理し、ガラス9を得た。
ガラス9を上記の耐久性試験条件(60℃、相対湿度90%)で耐久試験を行ったところ、外観は変化しなかった。分光光度計で透過率を測定したところ、透過率が99.6%であった。ヘーズメーターで測定したところ、ヘーズ値が0.10であった。
本発明の光学部材における第1の実施形態を図示したもの 本発明の光学部材における第2の実施形態を図示したもの
符号の説明
11、21 基材
12、24 酸化物層
13、25 リン酸塩化合物含有層
22 中間層
23 アモルファス層

Claims (6)

  1. 基材と、該基材表面に反射防止膜とを有する光学部材であって、前記反射防止膜は少なくとも、表面に酸化アルミニウムの結晶による微細凹凸構造が形成された金属酸化物層を有し、前記金属酸化物層の少なくとも表面はリン酸アルミニウムとなっていることを特徴とする光学部材。
  2. 前記微細凹凸構造の高さが0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の光学部材。
  3. 前記酸化アルミニウムの結晶は、ベーマイトであることを特徴とする請求項記載の光学部材。
  4. 基材と該基材表面に反射防止膜を有する光学部材の製造方法であって、前記基材表面にアルミニウム或いは酸化アルミニウムを主成分とする膜を形成する工程と、表面を結晶化し、酸化アルミニウムの結晶による微細凹凸構造を形成すべく、前記アルミニウム或いは酸化アルミニウムを主成分とする膜を水と接触させる工程と、少なくとも表面に、リン酸アルミニウムを形成すべく、前記微細凹凸構造が形成された膜に水溶性リン酸系化合物を接触させる工程と、を有することを特徴とする光学部材の製造方法。
  5. 前記水溶性リン酸系化合物の主成分が第1リン酸金属塩またはリン酸アミン塩であることを特徴とする請求項記載の光学部材の製造方法。
  6. 前記微細凹凸構造が形成された膜に水溶性リン酸系化合物を接触させる工程は、前記水溶性リン酸系化合物を0.01重量%以上30重量%以下含有させた水系の分散液に、前記微細凹凸構造が形成された膜を接触させることを特徴とする請求項または5記載の光学部材の製造方法。
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