JP4857026B2 - 車両用動力伝達装置の冷却装置 - Google Patents

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本発明は、電動機とその電動機を冷却するための冷却装置とを備えた車両用動力伝達装置に関し、特に電動機のステータ(固定子)から軸心方向に突き出し、且つ周方向に連続または不連続に連なる環状のコイルエンドの冷却に関するものである。
ハイブリッド型車両など、車両用動力伝達装置内に発電および駆動用の電動機を備えた車両が知られている。電動機は、非回転部材である動力伝達装置のケース壁に回転不能に固定されたステータと、そのステータの端面から軸心方向に突き出し、且つ周方向に連続または不連続に連なる環状のコイルエンドと、ステータの内周側に位置させられ回転可能に支持されたロータとを備えている。車両に搭載される電動機は、高回転、高出力のものが使用されるため発熱量が多く、電動機を冷却するための冷却装置が必要とされている。たとえば、特許文献1の冷却装置では、電動機のコイルエンドの外周側から冷却油噴射ノズルを設けて冷却油をコイルエンドに向けて噴射させる技術が開示されている。また、特許文献2の冷却装置では、電動機のコイルエンドの軸方向端面に対向する位置に複数個の冷却用ノズルを設ける技術が開示されている。
実用新案登録第2602410号公報 特開平2−79746号公報
ところで、冷却油は高温になるほど粘度が低下するに伴い、高温下ではコイルエンドに供給された冷却油の滞留時間が短くなるため、冷却装置を効率よく機能させるためには、コイルエンド全体に冷却油を供給する必要がある。これに対して、特許文献1の冷却装置では、コイルエンドの外周側には冷却油が供給されるが内周側には十分に冷却油が供給されず、しかもコイルエンドの周方向に対して全体に冷却油を供給するには、冷却噴射ノズルの数を増やす必要があり、部品点数の増加を招く問題があった。また、特許文献2の冷却装置では、コイルエンドの外周側には十分に冷却油が供給されず、コイルエンド全体を冷却することは困難なものであった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、電動機を冷却するための冷却装置を備えた車両用動力伝達装置において、装置が複雑化することなく電動機の軸心方向に突き出すコイルエンド全体に冷却油を供給することができる車両用動力伝達装置の冷却装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)電動機と、その電動機を冷却するための冷却装置とを備えた車両用動力伝達装置において、(b)前記電動機は、非回転部材であるケース壁に回転不能に固定されたステータと、そのステータの端面から軸心方向に突き出し、且つ周方向に連続的に連なる環状のコイルエンドと、そのステータの内周側に位置させられて軸心まわりに回転可能に支持されたロータとを備え、(c)前記冷却装置は、前記コイルエンドの周方向に沿って連続的に連なる略環状の油管を備えており、その油管には、その油管内の冷却油を前記コイルエンドに向かって放出するための放出孔が形成されており、(d)前記環状の油管は、前記コイルエンドの内周側において軸心方向の位置が径方向に重なるように配設された内周環状油管であり、前記放出孔は、その内周環状油管の外周側に形成されていることを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1の車両用動力伝達装置の冷却装置において、前記環状の油管は、前記コイルエンドの外周側において軸心方向の位置が径方向に重なるように配設された外周環状油管を更に含み、前記放出孔は、その外周環状油管の内周側に形成されていることを特徴とする。
また、請求項にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2の何れかの車両用動力伝達装置の冷却装置において、前記放出孔は、前記環状の油管において前記電動機の軸心に対して上方側の方が、該軸心に対して下方側に比べて多く形成されていることを特徴とする。
また、請求項にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至の何れかの車両用動力伝達装置の冷却装置において、前記放出孔は、前記環状の油管において前記電動機の軸心に対して上方側の方が、該軸心に対して下方側に比べて大きい孔径を有することを特徴とする。
また、請求項にかかる発明の要旨とするところは、請求項2乃至4の何れかの車両用動力伝達装置の冷却装置において、前記冷却装置は、前記外周環状油管に形成されている放出孔の方が前記内周環状油管に形成されている放出孔に比べて孔径が大きく形成されていることを特徴とする。
また、請求項にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至の何れかの車両用動力伝達装置の冷却装置において、前記環状の油管には、前記ロータを回転可能に支持する側壁部を有して前記電動機を収容するケースを含み、その環状の油管を支持し且つその環状の油管に冷却油を供給するためにその側壁部から軸心方向に突き出す複数本の柱状油管が接続されていることを特徴とする。
また、請求項にかかる発明の要旨とするところは、請求項の車両用動力伝達装置の冷却装置において、前記柱状油管には、前記コイルエンドに向かって放出するための放出孔が形成されていることを特徴とする。
また、請求項にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至の何れかの車両用動力伝達装置の冷却装置において、前記放出孔は、前記冷却油を放射状に散布するための噴射構造を備えていることを特徴とする。
また、請求項にかかる発明の要旨とするところは、請求項6乃至8の何れかの車両用動力伝達装置の冷却装置において、前記柱状油管は、前記側壁部内に形成された冷却油路と連通されていることを特徴とする。
請求項1にかかる発明の車両用動力伝達装置の冷却装置によれば、前記冷却装置は、前記コイルエンドの内周側において、軸心方向の位置が径方向に重なるように配設された内周環状油管を備えており、その内周環状油管の外周側には、冷却油をコイルエンドに向かって放出するための放出孔が形成されているため、内周環状油管をコイルエンドの周側に設けることで、コイルエンドの周側に冷却油を供給することができる。また、放出孔は特に部品を増やすことなく好適に設定することができるため、コイルエンドの周方向に対しても好適に冷却油を供給することができる。このように、コイルエンド全体に冷却油を供給することができるため、高温下で冷却油の粘度が低い状態であっても冷却性能を確保することができる。
また、請求項2にかかる発明の車両用動力伝達装置の冷却装置によれば、外周環状油管に形成されている放出孔からコイルエンドの外周側に向かって冷却油が放出されるため、コイルエンドの外周側が主に冷却される。この外周環状油管は、特に複雑な部材を用いることなく構成することができるため、部品点数の増大を抑制することができる。
また、請求項にかかる発明の車両用動力伝達装置の冷却装置によれば、前記放出孔は、前記環状の油管において前記電動機の軸心に対して上方側の方が、該軸心に対して下方側に比べて多く形成されているため、コイルエンドの上方側に多くの冷却油が供給される。これにより、コイルエンドの上部は好適に冷却され、また、コイルエンドの上部から供給された冷却油は自重によって落下することで、コイルエンドの下部側に供給され、コイルエンドの下部においてもその落下した冷却油によって冷却される。このように、冷却油が効率よく供給され、冷却油の供給量を最小限に抑制することができる。
また、請求項にかかる発明の車両用動力伝達装置の冷却装置によれば、前記放出孔は、前記環状の油管において前記電動機の軸心に対して上方側の方が、該軸心に対して下方側に比べて大きい孔径を有するため、コイルエンドの鉛直方向上部側に多くの冷却油が供給される。これにより、コイルエンドの上部側は好適に冷却され、また、コイルエンドの上部側に供給された冷却油は自重によって落下することで、コイルエンドの下部側に供給され、コイルエンドの下部においてもその落下した冷却油によって冷却される。このように、冷却油が効率よく供給され、冷却油の供給量を最小限に抑制することができる。
また、請求項にかかる発明の車両用動力伝達装置の冷却装置によれば、前記冷却装置は、前記外周環状油管に形成されている放出孔の方が前記内周環状油管に形成されている放出孔に比べて孔径が大きく形成されているため、コイルエンドの外周側に多くの冷却油が供給される。コイルエンドは内周側に比べて外周側の方が表面積が大きいため多量の冷却油が必要であり、このような構成にすることで、冷却油の供給量を好適に配分することができる。
また、請求項にかかる発明の車両用動力伝達装置の冷却装置によれば、前記環状の油管には、前記環状の油管を支持し且つその環状の油管に冷却油を供給するために該側壁部から軸心方向に突き出す複数本の柱状油管が接続されているため、比較的複雑な部材を設けることもなく、安定して冷却油を環状の油管に供給することができる。
また、請求項にかかる発明の車両用動力伝達装置の冷却装置によれば、前記柱状油管には、コイルエンドに向かって放出するための放出孔が形成されているため、この放出孔によって、前記環状の油管に形成されている放出孔からでは供給されにくいコイルエンドの側面にも冷却油を供給することができる。
また、請求項にかかる発明の車両用動力伝達装置の冷却装置によれば、前記放出孔は、前記冷却油を放射状に散布するための噴射構造を備えているため、冷却油が放射状に散布され、たとえば登坂走行時などの走行条件において、冷却油が特定の部位にしか供給されないなどの弊害を抑制することができる。
また、請求項にかかる発明の車両用動力伝達装置の冷却装置によれば、前記柱状油管は、前記側壁部内に形成された冷却油路と連通されているため、特に複雑な部材を追加することなく柱状油管内に冷却油を供給することができ、部品点数の増大を抑制することができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されるハイブリッド車両の動力伝達装置8の一部を構成する変速機構10を説明する骨子図である。図1において、変速機構10は車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース12(以下、ケース12という)内において共通の軸心上に配設された入力回転部材としての入力軸14と、この入力軸14に図示しないエンジンからのトルク脈動を緩和する脈動吸収ダンパ13およびトルクリミッタ15を介して間接に連結された無段変速部としての差動部11と、その差動部11と図示しない駆動輪との間の動力伝達経路で伝達部材(伝達軸)18を介して直列に連結されている動力伝達部としての自動変速部20と、この自動変速部20に連結されている出力回転部材としての出力軸22とを直列に備えている。この変速機構10は、たとえば車両において縦置きされるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、入力軸14に脈動吸収ダンパ13やトルクリミッタ15を介して間接的に連結された走行用の駆動源としてたとえばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である図示しないエンジンと図示しない一対の駆動輪との間に設けられて、エンジンからの動力を動力伝達経路の一部を構成する図示しない差動歯車装置(終減速機)および一対の車軸等を順次介して一対の駆動輪へ伝達する。
このように、本実施例の変速機構10においては、エンジンと差動部11とは、トルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介すことなく連結されている。なお、変速機構10は、その軸心に対して対称的に構成されているため、図1の骨子図においてはその下側が省略されている。
差動部11は、第1電動機M1と、入力軸14に入力されたエンジンの出力を機械的に分配する機械的機構であって、エンジンの出力を第1電動機M1および伝達部材18に分配する差動機構としての動力分配機構16と、伝達部材18と一体的に回転するように作動的に連結されている第2電動機M2とを備えている。本実施例の第1電動機M1および第2電動機M2は発電機能をも有する所謂モータジェネレータであるが、第1電動機M1は反力を発生させるためのジェネレータ(発電)機能を少なくとも備え、第2電動機M2は走行用の駆動源として駆動力を出力するためのモータ(発電機)機能を少なくとも備える。
動力分配機構16は、例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ1を有するシングルピニオン型の第1遊星歯車装置24であり、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を回転要素として備えている。なお、第1サンギヤS1の歯数をZS1、第1リングギヤR1の歯数をZR1とすると、上記ρ1はZS1/ZR1となる。
この動力分配機構16においては、第1キャリヤCA1は入力軸14すなわち図示しないエンジンに連結され、第1サンギヤS1は第1電動機M1に連結され、第1リングギヤR1は伝達部材18に連結されている。このように構成された動力分配機構16は、第1遊星歯車装置24の3要素である第1サンギヤS1、第1キャリヤCA1、第1リングギヤR1がそれぞれ相互に相対回転可能とされて差動作用が可能な差動状態とされるから、エンジンの出力が第1電動機M1と伝達部材18に分配されるとともに、分配されたエンジンの出力の一部で第1発電機M1から発生させられた電気エネルギで蓄電されたり第2電動機M2が回転駆動されるので、差動部11(動力分配機構16)は電気的な作動状態として機能させられて、たとえば差動部11は所謂無段変速状態とされて、エンジンの所定回転に拘わらず伝達部材18の回転数が連続的に変化させられる。すなわち、差動部11はその変速比γ0(入力軸14の回転速度NIN/伝達部材18の回転速度N18)が最小値γ0minから最大値γ0maxまで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能する。
自動変速部20は、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置26、シングルピニオン型の第3遊星歯車装置28、およびシングルピニオン型の第4遊星歯車装置30を備え、有段式の自動変速機として機能する遊星歯車式の多段変速機である。第2遊星歯車装置26は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、例えば「0.562」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。第3遊星歯車装置28は、第3サンギヤS3、第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えており、例えば「0.425」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。第4遊星歯車装置30は、第4サンギヤS4、第4遊星歯車P4、その第4遊星歯車P4を自転および公転可能に支持する第4キャリヤCA4、第4遊星歯車P4を介して第4サンギヤS4と噛み合う第4リングギヤR4を備えており、例えば「0.421」程度の所定のギヤ比ρ4を有している。第2サンギヤS2の歯数をZS2、第2リングギヤR2の歯数をZR2、第3サンギヤS3の歯数をZS3、第3リングギヤR3の歯数をZR3、第4サンギヤS4の歯数をZS4、第4リングギヤR4の歯数をZR4とすると、上記ギヤ比ρ2はZS2/ZR2、上記ギヤ比ρ3はZS3/ZR3、上記ギヤ比ρ4はZS4/ZR4である。
自動変速部20では、第2サンギヤS2と第3サンギヤS3とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第2キャリヤCA2は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第4リングギヤR4は第3ブレーキB3を介してケース12に選択的に連結され、第2リングギヤR2と第3キャリヤCA3と第4キャリヤCA4とが一体的に連結されて出力軸22に連結され、第3リングギヤR3と第4サンギヤS4とが一体的に連結されて第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
このように、自動変速部20内と差動部11(伝達部材18)とは自動変速部20の変速段を成立させるために用いられる第1クラッチC1または第2クラッチC2を介して選択的に連結されている。言い換えれば、第1クラッチC1および第2クラッチC2は、伝達部材18と自動変速部20との間の動力伝達経路すなわち差動部11(伝達部材18)から駆動輪への動力伝達経路を、その動力伝達経路の動力伝達を可能とする動力伝達可能状態と、その動力伝達経路の動力伝達を遮断する動力伝達遮断状態とに選択的に切り換える係合装置として機能している。つまり、第1クラッチC1および第2クラッチC2の少なくとも一方が係合されることで上記動力伝達経路が動力伝達可能状態とされ、或いは第1クラッチC1および第2クラッチC2が解放されることで上記動力伝達経路が動力伝達遮断状態とされる。
また、この自動変速部20は、解放側係合装置の解放と係合側係合装置の係合とによりクラッチツウクラッチ変速が実行されて各ギヤ段(変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速比γ(=伝達部材18の回転速度N18/出力軸22の回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られる。例えば、図2の係合作動表に示されるように、第1クラッチC1および第3ブレーキB3の係合により変速比γ1が最大値例えば「3.357」程度である第1速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第2ブレーキB2の係合により変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値例えば「2.180」程度である第2速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合により変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.424」程度である第3速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.000」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2および第3ブレーキB3の係合により変速比γRが第1速ギヤ段と第2速ギヤ段との間の値例えば「3.209」程度である後進ギヤ段(後進変速段)が成立させられる。また、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、および第3ブレーキB3の解放によりニュートラル「N」状態とされる。なお、図2の係合作動表に示されている第5速ギヤ段における自動変速部20の係合装置の係合作動は第4速ギヤ段と同じである。
前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、および第3ブレーキB3(以下、特に区別しない場合はクラッチC、ブレーキBと表す)は、従来の車両用自動変速機においてよく用いられている係合要素としての油圧式摩擦係合装置であって、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本または2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成され、それが介挿されている両側の部材を選択的に連結するためのものである。
以上のように構成された変速機構10において、無段変速機として機能する差動部11と自動変速部20とで無段変速機が構成される。また、差動部11の変速比を一定となるように制御することにより、差動部11と自動変速部20とで有段変速機と同等の状態を構成することが可能とされる。
具体的には、差動部11が無段変速機として機能し、且つ差動部11に直列の自動変速部20が有段変速機として機能することにより、自動変速部20の少なくとも1つの変速段に対して自動変速部20に入力される回転速度(以下、自動変速部20の入力回転速度)すなわち伝達部材18の回転速度(以下、伝達部材回転速度N18)が無段的に変化させられてその変速段において無段的な変速比幅が得られる。したがって、変速機構10の総合変速比γT(=入力軸14の回転速度NIN/出力軸22の回転速度NOUT)が無段階に得られ、変速機構10において無段変速機が構成される。この変速機構10の総合変速比γTは、差動部11の変速比γ0と自動変速部20の変速比とに基づいて形成される変速機構10全体としてのトータル変速比γTである。
例えば、図2の係合作動表に示される自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段や後進ギヤ段の各ギヤ段に対し伝達部材回転速度N18が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。したがって、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって、変速機構10全体としてのトータル変速比γTが無段階に得られる。
また、差動部11の変速比が一定となるように制御され、且つクラッチCおよびブレーキBが選択的に係合作動させられて第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速機構10のトータル変速比γTが各ギヤ段毎に得られる。したがって、変速機構10において有段変速機と同等の状態が構成される。
例えば、差動部11の変速比γ0が「1」に固定されるように制御されると、図2の係合作動表に示されるように自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段や後進ギヤ段の各ギヤ段に対応する変速機構10のトータル変速比γTが各ギヤ段毎に得られる。また、自動変速部20の第4速ギヤ段において差動部11の変速比γ0が「1」よりも小さい値例えば0.7程度に固定されるように制御されると、図2の係合作動表の第5速ギヤ段に示されるように第4速ギヤ段よりも小さい値例えば「0.705」程度であるトータル変速比γTが得られる。
図3は、差動部11と自動変速部20とから構成される変速機構10において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図3の共線図は、各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示す横軸と、相対的回転速度を示す縦軸とから成る二次元座標であり、3本の横線のうちの下側の横線X1が回転速度零を示し、上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力軸14に連結されたエンジンの回転速度を示し、横線XGが伝達部材18の回転速度を示している。
また、差動部11を構成する動力分配機構16の3つの要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素(第2要素)RE2に対応する第1サンギヤS1、第1回転要素(第1要素)RE1に対応する第1キャリヤCA1、第3回転要素(第3要素)RE3に対応する第1リングギヤR1の相対回転速度を示すものであり、それらの間隔は第1遊星歯車装置24のギヤ比ρ1に応じて定められている。さらに、自動変速部20の5本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7、Y8は、左から順に、第4回転要素(第4要素)RE4に対応し且つ相互に連結された第2サンギヤS2および第3サンギヤS3を、第5回転要素(第5要素)RE5に対応する第2キャリヤCA2を、第6回転要素(第6要素)RE6に対応する第4リングギヤR4を、第7回転要素(第7要素)RE7に対応し且つ相互に連結された第2リングギヤR2、第3キャリヤCA3、第4キャリヤCA4を、第8回転要素(第8要素)RE8に対応し且つ相互に連結された第3リングギヤR3、第4サンギヤS4をそれぞれ表し、それらの間隔は第2、第3、第4遊星歯車装置26、28、30にギヤ比ρ2、ρ3、ρ4に応じてそれぞれ定められている。共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔とされるとキャリヤとリングギヤとの間が遊星歯車装置のギヤ比ρに対応する間隔とされる。すなわち、差動部11では縦線Y1とY2との縦線間が「1」に対応する間隔に設定され、縦線Y2とY3との間隔はギヤ比ρ1に対応する間隔に設定される。また、自動変速部20では各第2、第3、第4遊星歯車装置26、28、30毎にそのサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔に設定され、キャリヤとリングギヤとの間がρに対応する間隔に設定される。
上記図3の共線図を用いて表現すれば、本実施例の変速機構10は、動力分配機構16(差動部11)において、第1遊星歯車装置24の第1回転要素RE1(第1キャリヤCA1)が入力軸14すなわちエンジンに連結され、第2回転要素RE2が第1電動機M1に連結され、第3回転要素(第1リングギヤR1)RE3が伝達部材18および第2電動機M2に連結されて、入力軸14の回転を伝達部材18を介して自動変速部20へ伝達する(入力させる)ように構成されている。このとき、Y2とX2との交点を通る斜めの直線L0により第1サンギヤS1の回転速度と第1リングギヤR1の回転速度との関係が示される。
例えば、差動部11においては、第1回転要素RE1乃至第3回転要素RE3が相互に相対回転可能とされる差動状態となっており、直線L0と縦線Y3との交点で示される第1リングギヤR1の回転速度が車速に拘束されて略一定である場合には、第1電動機M1の回転速度を制御することによって直線L0と縦線Y1との交点で示される第1サンギヤS1の回転が上昇或いは下降させられると、直線L0と縦線Y2との交点で示される第1キャリヤCA1の回転速度すなわちエンジン回転速度が上昇或いは下降させられる。
また、差動部11の変速比γ0が「1」に固定されるように第1電動機M1の回転速度を制御することによって第1サンギヤS1の回転がエンジン回転速度と同じ回転速度とされると、直線L0は横線X2と一致させられ、エンジン回転速度と同じ回転で第1リングギヤR1の回転速度すなわち伝達部材18が回転させられる。或いは、差動部11の変速比γ0が「1」より小さい値例えば0.7程度に固定されるように第1電動機M1の回転速度を制御することによって第1サンギヤS1の回転が零とされると、直線L0は図3に示す状態とされ、エンジン回転速度よりも増速された回転で伝達部材回転速度N18が回転させられる。
また、自動変速部20において第4回転要素RE4は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第5回転要素RE5は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第6回転要素RE6は第3ブレーキB3を介してケース12に選択的に連結され、第7回転要素RE7は出力軸22に連結され、第8回転要素RE8は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
自動変速部20では、差動部11において直線L0が横線X2と一致させられてエンジン回転速度と同じ回転速度が差動部11から第8回転要素RE8に入力されると、図3に示すように、第1クラッチC1と第3ブレーキB3とが係合させられることにより、第8回転要素RE8の回転速度を示す縦線Y8と横線X2との交点と第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6と横線X1との交点を通る斜めの直線L1と、出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第1速の出力軸22の回転速度が示される。同様に、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合されることにより決まる斜めの直線L2と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第2速の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L3と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第3速の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L4と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第4速の出力軸22の回転速度が決まる。
また、差動部11において直線L0が図3に示す状態とされてエンジン回転速度よりも高い回転速度が差動部11から第8回転要素RE8に入力されると、図3に示すように、第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合させられることにより決まる水平な直線L5と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第5速の出力軸22の回転速度が示される。
図4は、本実施例の変速機構10を制御するための電子制御装置40に入力される信号およびその電子制御装置40から出力される信号を例示している。この電子制御装置40は、CPU、ROM、RAM、および入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン、第1、第2電動機M1、M2に関するハイブリッド駆動制御、自動変速部20の変速制御等の駆動制御を実行するものである。
上記電子制御装置40には、図4に示す各センサやスイッチからエンジン水温を示す信号、シフトポジションを表す信号、エンジンの回転速度であるエンジン回転速度を表す信号、ギヤ比列設定値を示す信号、M(モータ走行)モードを指令する信号、エアコンの作動を示すエアコン信号、出力軸22の回転速度に対応する車速信号、自動変速部20の作動油温を示す油温信号、サイドブレーキ操作を示す信号、フットブレーキ操作を示す信号、触媒温度を示す触媒温度信号、アクセルペダルの操作量を示すアクセル開度信号、カム角信号、スノーモード設定を示すスノーモード設定信号、車両の前後加速度を示す加速度信号、オートクルーズ走行を示すオートクルーズ信号、車両の重量を示す車重信号、各駆動輪の車輪速を示す車輪速信号、変速機構10を有段変速として機能させるために動力分配機構16を定変速状態に切り換えるための有段スイッチ操作の有無を示す信号、変速機構10を無段変速機として機能させるために動力分配機構16を無段変速状態に切り換えるための無段スイッチ操作の有無を示す信号、第1電動機M1の回転速度を表す信号、第2電動機M2の回転速度を表す信号などが、それぞれ供給される。また、上記電子制御装置40からは、スロットル弁の開度を操作するスロットルアクチュエータへの駆動信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、エンジンの点火時期を指令する点火信号、電動機M1およびM2の作動を指令する指令信号、シフトインジケータを作動させるためのシフトポジション表示信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、制動時の車輪のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、Mモードが選択されていることを表示させるMモード表示信号、動力分配機構16や自動変速部20の油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するために図示しない油圧制御回路に含まれる電磁弁を作動させるための駆動指令信号、上記油圧制御回路の油圧源である電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号等が、それぞれ出力される。
図5は、手動変速操作装置であるシフト操作装置46の一例を示す図である。シフト操作装置46は、例えば運転席の横に配設され、複数種類のシフトポジションを選択するために操作されるシフトレバー48を備えている。そのシフトレバー48は、例えば図2の係合作動表に示されるように第1クラッチC1および第2クラッチC2の何れもが係合されないような変速機構10内つまり自動変速部20内の動力伝達経路が遮断されたニュートラル状態すなわち中立状態とし且つ自動変速部20の出力軸22をロックするための駐車ポジション「P(パーキング)」、後進走行のための後進走行ポジション「R(リバース)」、変速機構10内の動力伝達経路が遮断された中立状態とする中立ポジション「N(ニュートラル)」、前進自動変速走行ポジション「D(ドライブ)」、または前進手動変速ポジション「M(マニュアル)」へ手動操作されるように設けられている。上記「P」乃至「M」ポジションに示す各ポジションにおいて、「P」ポジションおよび「N」ポジションは車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであり、「R」ポジション、「D」ポジションおよび「M」ポジションは車両を走行させるときに選択される走行ポジションである。また、「D」ポジションは最高速走行ポジションでもあり、「M」ポジションにおける例えば「4」レンジ乃至「L」レンジはエンジンブレーキ効果が得られるエンジンブレーキレンジでもある。
上記「M」ポジションは、例えば車両の前後方向において上記「D」ポジションと同じ位置において車両の幅方向に隣接して設けられており、シフトレバー48が「M」ポジションに操作されることにより、「D」レンジ乃至「L」レンジの何れかがシフトレバー48の操作に応じて変更される。具体的には、この「M」ポジションには、車両の前後方向にアップシフト位置「+」、およびダウンシフト位置「−」が設けられており、シフトレバー48がそれらのアップシフト位置「+」またはダウンシフト位置「−」へ操作されると、「D」レンジ乃至「L」レンジの何れかに切り換えられる。例えば、「M」ポジションにおける「D」レンジ乃至「L」レンジの5つの変速レンジは、変速機構10の自動変速制御が可能なトータル変速比γTの変速範囲における高速側(変速比が最小側)のトータル変速比γTが異なる複数種類の変速レンジであり、また自動変速部20の変速が可能な最高速側変速段が異なるように変速段(ギヤ段)の変速範囲を制限するものである。また、シフトレバー48は、スプリング等の付勢手段により上記アップシフト位置「+」およびダウンシフト位置「−」から、「M」ポジションへ自動的に戻されるようになっている。また、シフト操作装置46には、シフトレバー48の各シフトポジションを検出するための図示しないシフトポジションセンサが備えられており、そのシフトレバー48のシフトポジションや「M」ポジションにおける操作回数等を電子制御装置40へ出力する。
図6は、車速Vおよび出力トルクTOUT を変数として予め記憶されたアップシフト線(実線)およびダウンシフト線(一点鎖線)を有する関係(変速マップ)から実際の車速Vおよび自動変速部20の要求出力トルクTOUTで示される車両状態に基づいて、自動変速部20の変速を実行すべきか否かを判断しすなわち自動変速部20の変速すべき変速段を判断し、その判断した変速段が得られるように自動変速部20の自動変速制御を実行するための変速線図である。図6に示されるように、エンジン効率が高トルク域に比較して悪いとされる比較的低出力トルクTOUT域すなわち低エンジントルク域、或いは車速Vの比較的低車速域すなわち低負荷域において、モータ走行を実行する。
図7は、上記変速機構10の一部を説明するための要部断面図である。図7に示されるように、変速機構10のケース12内には、自動変速部20の入力部材として機能する伝達軸18(伝達部材18)を回転中心として、その伝達軸18の外周側に第2電動機M2が配設されている。なお、本実施例の第2電動機M2が、本発明の電動機に対応している。
伝達軸18は、図7において図示しない第1遊星歯車装置24の第1リングギヤR1に連結され、動力分配機構16によって無段的に変速された回転を自動変速部20に伝達する。第2電動機M2は、伝達軸18に駆動力を出力するためのものであり、ステータ60(固定子)と、ロータ62(回転子)と、そのロータ62と一体的に回転するロータ支持軸64(回転軸)とからなる。ステータ60は、図示しないボルトによって非回転部材であるケース12に回転不能に固定されており、ステータ60の軸心方向両端には、そのステータ60の端面から軸心方向に突き出し、且つ周方向に連続的に連なる環状のコイルエンド66が形成されている。ロータ62は、ステータ60の内周側に位置させられて軸心Cまわりに回転可能に支持されている。また、この第2電動機M2と自動変速部20との間には、ケース12を構成する円板状の側壁部70が設けられており、その側壁部70の内周側の一端から伝達軸18と平行に自動変速部20側に向かって伸びる円筒部72と、側壁部70の内周側の他端から第2電動機M2側に突き出す環状の環状突起74とが形成されている。この環状突起74の内周面には、ベアリング76が嵌め着けられており、第2電動機M2のロータ支持軸64は、そのベアリング76を介して側壁部70に相対回転可能に支持されている。なお、ロータ支持軸64は、図7には図示されていない側の内周部において、伝達軸18とスプライン嵌合されており、伝達軸18と一体的に回転させられる。なお、本実施例のケース12が、本発明のケース壁に対応している。
上記コイルエンド66の外周側には、そのコイルエンド66と軸心方向の位置が径方向に重なるように、連続的に連なる環状の外周環状油管78が設けられており、この外周環状油管78の円周上の位置には、外周環状油管78を支持し且つ外周環状油管78に冷却油を供給するために、側壁部70から軸心方向に突き出す複数本の外周柱状油管80に接続されている。これより、外周柱状油管80は、側壁部70内に形成されている冷却油路82と連通される。この冷却油路82は、側壁部70の径方向内側に向かって形成され、円筒部72内に軸心Cと平行に形成されている冷却油路84に連通されている。
図8は、外周環状油管78と外周柱状油管80との接続部を拡大したものである。外周柱状油管80は、外周環状油管78に冷却油を供給するためのものであり、外周環状油管78の円周上に複数本接続されている。外周環状油管78の内周側には、周方向に複数個の放出孔86が形成されており、外周環状油管78の内周側に配置されているコイルエンド66の外周面に向かって冷却油を放出する。また、外周柱状油管80にも同様に放出孔88が形成されており、コイルエンド66に向かって冷却油を放出する。なお、放出孔86、88は、図9に示されるように、比較的小径の孔に形成されると共に、油管78、80内から冷却油が放出されるにつれて開口面積が増加する方向の斜面89を有し、矢印で示されるように放射状に放出されることで、冷却油が拡散されることにより霧状に散布するための噴射構造を備えている。これにより、冷却油は放射状に散布され、コイルエンド66の外周一面に行き渡るようになっている。
図7に戻り、コイルエンド66の内周側には、そのコイルエンド66と軸心方向の位置が径方向に重なるように、連続的に連なる環状の内周環状油管90が設けられており、この内周環状油管90の円周上の位置には、内周環状油管90を支持し且つ内周環状油管90を冷却するために、側壁部70から軸心方向に突き出す複数本の内周柱状油管92に接続されている。これより、内周柱状油管92は、側壁部70内に形成されている冷却油路82と連通される。
図10は、内周環状油管90と内周柱状油管92との接続部を拡大したものである。内周柱状油管92は、外周環状油管90に冷却油を供給するためのものであり、内周環状油管90の円周上に複数本接続されている。内周環状油管90の外周側には、周方向に複数個の放出孔94が形成されており、内周環状油管90の外周側に配置されているコイルエンド66の内周面に向かって冷却油を放出する。また、内周柱状油管92にも同様に放出孔96が形成されており、コイルエンド66に向かって冷却油を放出する。なお、放出孔94、96は、前述した放出孔86、88と同様に、比較的小径の孔に形成されると共に、油管90、92内から冷却油が放出されるにつれて開口面積が増加する方向の斜面89を有する噴射構造を備えている。これにより、冷却油は放射状に散布され、コイルエンド66の内周一面に行き渡るようになっている。
図11は、図7の外周環状油管80、内周環状油管92、およびコイルエンド66を矢印A方向から見た矢視図である。コイルエンド66の外周側に位置する外周環状油管78には、円周上に複数本(本実施例では6本)の外周柱状油管80が接続されており、外周柱状油管80は、車両に対して鉛直方向上部に多く配設されている。具体的には、軸心Cに対して上方側では5箇所設けられているのに対して、下方側では1箇所設けられているだけとなっている。また、外周環状油管78に形成されている複数個の放出孔86は、外周環状油管78のうち、鉛直方向上部の位置ほど多く形成されている。具体的には、軸心Cに対して上方側では6箇所形成されているのに対して、下方側では4箇所の形成となっている。なお、本実施例では、複数個の放出孔86は、外周環状油管78の鉛直方向上部に位置する孔径ほど大きい孔径を有している。
一方、コイルエンド66の内周側に位置する内周環状油管90には、円周上に複数本(本実施例では6本)の内周柱状油管92が設けられており、車両に対して鉛直上方に向かうにつれて隣接する内周柱状油管92の角度間隔が狭くなっている。また、内周環状油管90に形成されている放出孔94は、内周環状油管90のうち、鉛直方向上部の位置ほど多く形成されている。なお、本実施例では、複数個の放出孔94は、内周環状油管90の鉛直方向上部に位置する孔径ほど大きい孔径を有している。
次に、このように構成される変速機構10の冷却装置95の作動について説明する。本発明の冷却装置95は、外周環状油管78、外周柱状油管80、内周環状油管90、内周柱状油管92、および側壁部70内に形成されている冷却油路82、84などによって主に構成されている。
冷却油は伝達軸18内に形成されている軸内油路98から冷却油路84および冷却油路82を通って、外周柱状油管80および内周柱状油管92に冷却油が供給される。外周柱状油管80に供給された冷却油は、外周環状油管78に供給されると共に、一部は放出孔88からコイルエンド66に向かって放出される。放出孔88から放出された冷却油は霧状に散布され、コイルエンド66の側面側に重点的に付着し、コイルエンド66を冷却する。また、外周環状油管78に供給された冷却油は、外周環状油管78に形成された放出孔86からコイルエンド66に向かって霧状に散布され、コイルエンド66の外周側に付着し、コイルエンド66の外周側を主に冷却する。なお、外周環状油管78は、軸心方向に対して比較的ステータ60側に配置されているため、コイルエンド66の根元側まで冷却可能となっている。さらに、外周環状油管78の放出孔86は、車両に対して鉛直方向上部に向かうに従って形成される放出孔86の数が多く、且つ孔径が大きくなっているため、コイルエンド66の鉛直方向上部の方が多くの冷却油が供給される。
一方、内周柱状油管92に供給された冷却油は、内周環状油管90に供給されると共に、一部は放出孔96からコイルエンド66に向かって放出される。放出孔96から放出された冷却油はコイルエンド66に向かって霧状に散布され、コイルエンド66の側面側に重点的に付着し、コイルエンド66を冷却する。また、内周環状油管90に供給された冷却油は、内周環状油管90に形成された放出孔94から霧状に散布され、コイルエンド66の内周側に付着し、コイルエンド66の内周側を主に冷却する。また、内周環状油管90の放出孔94は、車両に対して鉛直方向上部に向かうに従って形成される放出孔94の数が多く、且つ孔径が大きくなっているため、コイルエンド66の上方側の方が多くの冷却油が供給される。
ここで、コイルエンド66の鉛直上方側に供給された冷却油はコイルエンド66の上部側を冷却したあと、重力によって落下し、鉛直下部側に位置するコイルエンド66を冷却する。これにより、冷却油が効率よく活用され、冷却油の供給量を最小限に抑制させる構造となっている。また、外周環状油管78に形成されている放出孔86の方が、内周環状油管90に形成されている放出孔94に比べて孔径が大きく形成されており、表面積の大きいコイルエンド66の外周側に多くの冷却油が供給され、コイルエンド66が効率よく冷却される構造となっている。
上述のように、本実施例によれば、冷却装置95は、コイルエンド66に沿った略環状の外周環状油管78および内周環状油管90を備えており、それらの環状油管78、90には、冷却油をコイルエンド66に向かって放出するための複数個の放出孔86、94が形成されているため、コイルエンド66の外周側および内周側に冷却油を供給することができる。また、放出孔86、94は特に部品を増やすことなく好適に設定することができるため、コイルエンド66の周方向に対しても均等に冷却油を供給することができる。このように、コイルエンド66全体に冷却油を供給することができるため、高温下で冷却油の粘度が低い状態であっても冷却性能を確保することができる。
また、前述の実施例によれば、外周環状油管78に形成されている放出孔86からコイルエンド66の外周側に向かって冷却油が放出されるため、コイルエンド66の外周側が主に冷却される。この外周環状油管78は、特に複雑な部材を用いることなく構成することができるため、部品点数の増大を抑制することができる。
また、前述の実施例によれば、内周環状油管90に形成されている放出孔94からコイルエンド66の内周側に向かって冷却油が放出されるため、コイルエンド66の内周側が主に冷却される。この内周環状油管90は、特に複雑な部材を用いることなく構成することができるため、部品点数の増大を抑制することができる。
また、前述の実施例によれば、外周環状油管78および内周環状油管90に形成されている放出孔86、94は、それら環状油管78、90の鉛直方向上部に多く形成されているため、コイルエンド66の上方側に多くの冷却油が供給される。これにより、コイルエンド66の上方側は好適に冷却され、また、コイルエンド66の上方側から供給された冷却油は自重によって落下することで、コイルエンド66の下方側に供給され、コイルエンド66の下方においてもその落下した冷却油によって、冷却される。このように、冷却油が効率よく供給され、冷却油の供給量を最小限に抑制することができる。
また、前述の実施例によれば、外周環状油管78および内周環状油管90の鉛直方向上部に形成されている放出孔86、94の孔径の方が、鉛直方向下部に形成されている放出孔86、94の孔径よりも大きく形成されているため、コイルエンド66の鉛直方向上部側に多くの冷却油が供給される。これにより、コイルエンド66の上部側は好適に冷却され、また、コイルエンド66の上方側から供給された冷却油は自重によって落下することで、コイルエンド66の下部側に供給され、コイルエンド66の下部においてもその落下した冷却油によって、冷却される。このように、冷却油が効率よく供給され、冷却油の供給量を最小限に抑制することができる。
また、前述の実施例によれば、外周環状油管78に形成されている放出孔86の方が内周環状油管90に形成されている放出孔94に比べて放出孔の孔径が大きく形成されているため、コイルエンド66の外周側に多くの冷却油が供給される。コイルエンド66は内周側に比べて外周側の方が表面積が大きいため多量の冷却油が必要であり、このような構成にすることで、冷却油の供給量を好適に配分することができる。
また、前述の実施例によれば、外周および内周環状油管78、90には、これら環状油管78、90を支持し且つそれら環状油管78、90に冷却油を供給するために側壁部70から軸心方向に突き出す複数本の外周および内周柱状油管80、92が接続されているため、比較的複雑な部材を設けることもなく、安定して冷却油を外周および内周環状油管78、90に供給することができる。
また、前述の実施例によれば、柱状油管80、92には、コイルエンド66に向かって放出するための放出孔88、96が形成されているため、この放出孔88、96によって、環状油管78、90に形成されている放出孔86、94からでは供給されにくいコイルエンド66の側面にも冷却油を供給することができる。
また、前述の実施例によれば、放出孔(86、88、94、96)には、出口側に向かうに従って、開口面積が増加する方向の傾斜89が形成されているため、冷却油が放射状に散布され、たとえば登坂走行時などの走行条件において、冷却油が特定の部位にしか供給されないなどの弊害を抑制することができる。
また、前述の実施例によれば、柱状油管80、92は、コイルエンド66と隣り合う側壁部70に形成されている冷却油路82と連通されているため、特に複雑な部材を追加することなく柱状油管80、92に冷却油を供給することができ、部品点数の増大を抑制することができる。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図12は、本発明の他の実施例における車両用動力伝達装置99の一部を構成する変速機構100の構成を説明する骨子図である。図13は、その変速機構100の変速作動に用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組合せを示す係合表、図14は、その変速機構100の変速作動を説明する共線図である。
変速機構100は、前述の実施例と同様に第1電動機M1、動力分配機構16、および第2電動機M2を備えている差動部11と、その差動部11と出力軸22との間で伝達部材18を介して直列に連結されいる前進3段の自動変速部102とを備えている。動力分配機構16は、例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ1を有するシングルピニオン型の第1遊星歯車装置24を有している。自動変速部102は、例えば「0.532」程度の所定のギヤ比ρ2を有するシングルピニオン型の第2遊星歯車装置26と例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ3を有するシングルピニオン型の第3遊星歯車装置28とを備えている。第2遊星歯車装置26の第2サンギヤS2と第3遊星歯車装置28の第3サンギヤS3とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第2遊星歯車装置26の第2キャリヤCA2と第3遊星歯車装置28の第3リングギヤR3とが一体的に連結されて出力軸22に連結され、第2リングギヤR2は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結され、第3キャリヤCA3は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結されている。
このように、自動変速部102内と差動部11(伝達部材18)とは自動変速部102の変速段を成立させるために用いられる第1クラッチC1または第2クラッチC2を介して選択的に連結されている。言い換えれば、第1クラッチC1および第2クラッチC2は、伝達部材18と自動変速部102との間の動力伝達経路すなわち差動部11(伝達部材18)から駆動輪への動力伝達経路を、その動力伝達経路の動力伝達を可能とする動力伝達可能状態と、その動力伝達経路の動力伝達を遮断する動力伝達遮断状態とに選択的に切り換える係合装置として機能している。つまり、第1クラッチC1および第2クラッチC2の少なくとの一方が係合されることで上記動力伝達経路が動力伝達可能状態とされ、或いは第1クラッチC1および第2クラッチC2が解放されることで上記動力伝達経路が動力伝達遮断状態とされる。
また、この自動変速部102は、解放側係合装置の解放と係合側係合装置の係合とによりクラッチツウクラッチ変速が実行されて各ギヤ段(変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速比γ(=伝達部材回転速度N18/出力軸22の回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られる。例えば、図12の係合作動表に示されるように、第1クラッチC1および第2ブレーキB2の係合により変速比γ1が最大値例えば「2.804」程度である第1速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合により変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.531」程度である第2速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.000」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2および第2ブレーキB2の係合により変速比γRが第1速ギヤ段と第2速ギヤ段との間の値例えば「2.393」程度である後進ギヤ段(後進変速段)が成立させられる。また、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2の解放によりニュートラル「N」状態とされる。なお、図12の係合作動表に示されている第4速ギヤ段における自動変速部102の係合装置の係合作動は第3速ギヤ段と同じである。
以上のように構成された変速機構100において、無段変速機として機能する差動部11と自動変速部102とで無段変速機が構成される。また、差動部11の変速比を一定となるように制御することにより、差動部11と自動変速部102とで有段変速機と同等の状態を構成することが可能とされる。
具体的には、差動部11が無段変速機として機能し、且つ差動部11に直列の自動変速部102が有段変速機として機能することにより、自動変速部102の少なくとも1つの変速段に対して自動変速部102に入力される回転速度(以下、自動変速部102の入力回転速度)すなわち伝達部材18の回転速度が無段的に変化させられてその変速段において無段的な変速比幅が得られる。したがって、変速機構100の総合変速比γTが無段階に得られ、変速機構100において無段変速機が構成される。
例えば、図12の係合作動表に示される自動変速部102の第1速ギヤ段乃至第3速ギヤ段や後進ギヤ段の各ギヤ段に対し伝達部材回転速度N18が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。したがって、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって、変速機構100全体としてのトータル変速比γTが無段階に得られる。
また、差動部11の変速比が一定となるように制御され、且つクラッチCおよびブレーキBが選択的に係合作動させられて第1速ギヤ段乃至第3速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速機構100のトータル変速比γTが各ギヤ段毎に得られる。したがって、変速機構100において有段変速機と同等の状態が構成される。
例えば、差動部11の変速比γ0が「1」に固定されるように制御されると、図12の係合作動表に示されるように自動変速部102の第1速ギヤ段乃至第3速ギヤ段や後進ギヤ段の各ギヤ段に対応する変速機構100のトータル変速比γTが各ギヤ段毎に得られる。また、自動変速部102の第3速ギヤ段において差動部11の変速比γ0が「1」より小さい値例えば0.7程度に固定されるように制御されると、図12の係合作動表の第4速ギヤ段に示されるように第3速ギヤ段よりも小さい値例えば「0.705」程度であるトータル変速比γTが得られる。
図14は、差動部11と自動変速部102とから構成される変速機構100において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。
図14における自動変速部102の4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素(第4要素)RE4に対応し且つ相互に連結された第2サンギヤS2および第3サンギヤS3を、第5回転要素(第5要素)RE5に対応する第3キャリヤCA3を、第6回転要素(第6要素)RE6に対応し且つ相互に連結された第2キャリヤCA2および第3リングギヤR3を、第7回転要素(第7要素)RE7に対応する第2リングギヤR2をそれぞれ表している。また、自動変速部102において第4回転要素RE4は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第5回転要素RE5は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第6回転要素RE6は自動変速部102の出力軸22に連結され、第7回転要素RE7は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
自動変速部102では、差動部11において直線L0が横線X2と一致させられてエンジン回転速度Nと同じ回転速度が差動部11から第7回転要素RE7に入力されると、図13に示すように、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより、第7回転要素RE7(R2)の回転速度を示す縦線Y7と横線X2との交点と第5回転要素RE5(CA3)の回転速度を示す縦線Y5と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力軸22と連結された第6回転要素RE6(CA2,R3)の回転速度を示す縦線Y6との交点で第1速の出力軸22の回転速度が示される。同様に、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第2速の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L3と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第3速の出力軸22の回転速度が示される。
また、差動部11において直線L0が図14に示す状態とされてエンジン回転速度Nよりも高い回転速度が差動部11から第7回転要素RE7に入力されると、図14に示すように、第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合させられることにより決まる水平な直線L4と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第4速の出力軸22の回転速度が示される。
本実施例においても、変速機構100は差動部11と自動変速部102とから構成されるので、前述の実施例と同様の効果が得られる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例の外周環状油管78および内周環状油管90は、それぞれ円環状の形状を有していたが、必ずしも完全な円還形状とする必要はなく、たとえば環状油管78、90の鉛直方向下部を一部省略した円弧状の形状にして実施することもできる。このようにすると、環状油管78、90の下部の一部が省略されることで、コイルエンド66の下部に十分に冷却油が供給されないが、コイルエンド66の鉛直上方から落下する冷却油がコイルエンド66の下方に供給されるため、その冷却油によって冷却が可能となる。
また、前述の実施例では、冷却装置95は第2電動機M2にのみ設けられているが、第1電動機M1に設けることも可能であり、また、第1電動機M1および第2電動機M2の両方に設けて実施することもできる。
また、前述の実施例では、外周環状油管78の放出孔86の孔径の方が、内周環状油管90の放出孔94の孔径よりも大きく形成されているが、必ずしも放出孔86の孔径を大きく形成する必要はなく、同じ孔径であっても本発明は実施することができる。
また、前述の実施例では、環状油管78、90の鉛直方向上部に形成されている放出孔86、94の数が、鉛直方向下部と比べて多くなっているが、必ずしも鉛直方向上部の放出孔86、94の数を多くする必要はなく、放出孔86、94を周方向に等角度間隔に配置させても、本発明は成立する。
また、前述の実施例では、環状油管78、90には、それぞれ周方向に複数個の放出孔86、94が形成されているが、必ずしも複数個形成する必要はなく、1つの放出孔86、94であっても構わない。ただし、コイルエンド66全体を冷却するため、環状油管78、90の鉛直上方側に設けるのが望ましい。
また、前述の実施例では、放出孔(86、88、94、96)は、それぞれ斜面89を有することで霧状に散布される噴射構造となっているが、噴射構造は本実施例に限られるものではなく、霧状に散布されるものであれば他の形式の噴射構造であっても構わない。
また、前述の実施例の動力分配機構16では、第1キャリヤCA1がエンジン8に連結され、第1サンギヤS1が第1電動機M1に連結され、第1リングギヤR1が伝達部材18に連結されていたが、それらの連結関係は、必ずしもそれに限定されるものではなく、エンジン8、第1電動機M1、伝達部材18は、第1遊星歯車装置24の3要素CA1、S1、R1のうちのいずれと連結されていても差し支えない。
また、前述の実施例では、第1電動機M1および第2電動機M2は、入力軸14に同心に配置されて第1電動機M1は第1サンギヤS1に連結され第2電動機M2は伝達部材18に連結されていたが、必ずしもそのように配置される必要はなく、例えばギヤ、ベルト、減速機等を介して作動的に第1電動機M1は第1サンギヤS1に連結され、第2電動機M2は伝達部材18に連結されてもよい。
また、前述の実施例では、第1クラッチC1や第2クラッチC2などの油圧式摩擦係合装置は、パウダー(磁粉)クラッチ、電磁クラッチ、噛み合い型のドグクラッチなどの磁粉式、電磁式、機械式係合装置から構成されていてもよい。
また、前述の実施例では、差動部11すなわち動力分配機構16の出力部材である伝達部材18と駆動輪との間の動力伝達経路に、自動変速部20、102が介挿されていたが、例えば自動変速機の一種である無段変速機(CVT)、手動変速機としてよく知られた常時噛合式平行2軸型ではあるがセレクトシリンダおよびシフトシリンダによりギヤ段が自動的に切り換えられることが可能な自動変速機、手動操作により変速段が切り換えられる同期噛み合い式の手動変速機等の他の形式の動力伝達部(変速機)が設けられていてもよい。このように、自動変速部20、102とは別の形式の動力伝達部が設けられる場合には、動力伝達経路を動力伝達可能状態と動力伝達遮断状態とに切り換え可能な係合装置は、差動部11から動力伝達部への動力伝達経路や動力伝達部から駆動輪への動力伝達経路に設けられる。
また、前述の実施例では、自動変速部20、102は伝達部材18を介して差動部11と直列に連結されていたが、入力軸14と平行にカウンタ軸が設けられそのカウンタ軸上に同心に自動変速部20、102が配設されてもよい。この場合には、差動部11と自動変速部20、102とは、例えば伝達部材18としてのカウンタギヤ対、スプロケットおよびチェーンで構成される1組の伝達部材などを介して動力伝達可能に連結される。
また、前述の実施例の差動機構としての動力分配機構16は、例えばエンジンによって回転駆動されるピニオンと、そのピニオンに噛み合う一対のかさ歯車が第1電動機M1および第2電動機M2に作動的に連結された差動歯車装置であってもよい。
また、前述の実施例の動力分配機構16は、1組の遊星歯車装置から構成されていたが、2以上の遊星歯車装置から構成されて、非差動状態(定変速状態)では3段以上の変速機として機能するものであってもよい。また、その遊星歯車装置はシングルピニオン型に限られたものではなくダブルピニオン型の遊星歯車装置であってもよい。
また、前述の実施例のシフト操作装置46は、複数種類のシフトポジションPSHを選択するために操作されるシフトレバー48を備えていたが、そのシフトレバー48に替えて、例えば押しボタン式のスイッチやスライド式スイッチ等の複数種類のシフトポジションPSHを選択可能なスイッチ、或いは手動操作に因らず運転者の音声に反応して複数種類のシフトポジションPSHを切り換えられる装置や足の操作により複数種類のシフトポジションPSHを切り換えられる装置等であってもよい。また、シフトレバー48が「M」ポジションへ操作されることにより、変速レンジが設定されるものであったが変速段が設定されることすなわち各変速レンジの最高速変速段が変速段として設定されてもよい。この場合、自動変速部20、102では変速段が切り換えられて変速が実行される。例えば、シフトレバー48が「M」ポジションにおけるアップシフト位置「+」またはダウンシフト位置「−」へ手動操作されると、自動変速部20では第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段の何れかがシフトレバー48の操作に応じて設定される。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明の一実施例であるハイブリッド車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。 図1の動力伝達装置の変速作動に用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせを説明する作動図表である。 図1の動力伝達装置における各ギヤ段の相対的回転速度を説明する共線図である。 図1の駆動装置に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。 手動変速操作装置であるシフト操作装置の一例を示す図である。 車両用動力伝達装置の変速制御において用いられる変速線図の一例を示す図である。 車両用動力伝達装置の一部を説明するための要部断面図である。 図7の外周環状油管と外周柱状油管との接続部を拡大したものである。 図8の放出孔を拡大した断面図である。 図7の内周環状油管と内周柱状油管との接続部を拡大したものである。 図7の外周環状油管、内周環状油管、およびコイルエンドを矢印A方向から見た矢視図である。 本発明の他の実施例におけるハイブリッド車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図であって、図1に相当する図である。 図11の動力伝達装置の変速作動に用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせを説明する作動図表であって、図2に相当する図である。 図11の動力伝達装置における各ギヤ段の相対的回転速度を説明する共線図であって、図3に相当する図である。
符号の説明
8、99:車両用動力伝達装置 12:ケース(ケース壁) 60:ステータ 62:ロータ 66:コイルエンド 70:側壁部 78:外周環状油管 80:外周柱状油管 82:冷却油路 86:放出孔 88:放出孔 90:内周環状油管 92:内周柱状油管 94:放出孔 96:放出孔 M2:第2電動機(電動機)

Claims (9)

  1. 電動機と、該電動機を冷却するための冷却装置とを備えた車両用動力伝達装置であって、
    前記電動機は、非回転部材であるケース壁に回転不能に固定されたステータと、該ステータの端面から軸心方向に突き出し、且つ周方向に連続的に連なる環状のコイルエンドと、該ステータの内周側に位置させられて軸心まわりに回転可能に支持されたロータとを備え、
    前記冷却装置は、前記コイルエンドの周方向に沿って連続的に連なる環状の油管を備えており、該油管には、該油管内の冷却油を前記コイルエンドに向かって放出するための放出孔が形成されており、
    前記環状の油管は、前記コイルエンドの内周側において軸心方向の位置が径方向に重なるように配設された内周環状油管であり、前記放出孔は、該内周環状油管の外周側に形成されていることを特徴とする車両用動力伝達装置の冷却装置。
  2. 前記環状の油管は、前記コイルエンドの外周側において軸心方向の位置が径方向に重なるように配設された外周環状油管を更に含み、前記放出孔は、該外周環状油管の内周側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達装置の冷却装置。
  3. 前記放出孔は、前記環状の油管において前記電動機の軸心に対して上方側の方が、該軸心に対して下方側に比べて多く形成されていることを特徴とする請求項1または2の車両用動力伝達装置の冷却装置。
  4. 前記放出孔は、前記環状の油管において前記電動機の軸心に対して上方側の方が、該軸心に対して下方側に比べて大きい孔径を有することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の車両用動力伝達装置の冷却装置。
  5. 前記冷却装置は、前記外周環状油管に形成されている放出孔の方が前記内周環状油管に形成されている放出孔に比べて孔径が大きく形成されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の車両用動力伝達装置の冷却装置。
  6. 前記環状の油管には、前記ロータを回転可能に支持する側壁部を有して前記電動機を収容するケースを含み、該環状の油管を支持し且つ該環状の油管に冷却油を供給するために該側壁部から軸心方向に突き出す複数本の柱状油管が接続されていることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の車両用動力伝達装置の冷却装置。
  7. 前記柱状油管には、前記コイルエンドに向かって放出するための放出孔が形成されていることを特徴とする請求項に記載の車両用動力伝達装置の冷却装置。
  8. 前記放出孔は、前記冷却油を放射状に散布するための噴射構造を備えていることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の車両用動力伝達装置の冷却装置。
  9. 前記柱状油管は、前記側壁部内に形成された冷却油路と連通されていることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の車両用動力伝達装置の冷却装置。
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