JP4856442B2 - ポリグリコール酸樹脂組成物の低温延伸による延伸フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明で使用するポリグリコール酸樹脂(以下、しばしば「PGA樹脂」という)は、−(O・CH2・CO)−で表わされるグリコール酸繰り返し単位のみからなるグリコール酸の単独重合体、すなわちポリグリコール酸(PGA、グリコール酸の2分子間環状エステルであるグリコリド(GL)の開環重合物を含む)に加えて、上記グリコール酸繰り返し単位を75重量%以上含むグリコール酸共重合体を含むものである。
[化1]
R1−[−O−CH2−C(OR2)−CH2−]n−OR3……(1)
(ここでnは平均値として1〜100の数、R1〜R3はいずれも飽和脂肪酸のアシル残基)で表わされるグリセリンの縮合体の飽和脂肪酸エステルである。R1〜R3にエポキシ環などの反応性官能基が含まれると着色や分解が起こり易くなる傾向を示す。
(1)ロール法:Tダイを用いて溶融押出したフィルムを、延伸ロールを通して縦方向(MD)に延伸して一軸配向フラットフィルムを製造する方法。
(2)テンター法:Tダイを用いて溶融押出したフィルムを、延伸ロールによりMDに配向させ、次いでテンターを用いて横方向(TD)に配向させ、二軸配向フラットフィルムを製造する方法。
(3)インフレーション法:インフレーション用リングダイを用いてチューブ状に溶融押出し、融点以下に冷却した後、好ましくは結晶化温度(Tc1)以下に急冷した後、チューブの内部に気体を圧入し、チューブを膨張させて延伸する方法。ニップロール間で縦方向も延伸すれば、二軸延伸フィルムが得られる。チューブ状に溶融押出した後、冷却する方法としては、エアリングする方法、冷水中に浸漬する方法などがある。
(2)ラミネーション法(ドライラミネーション、ホットメルトラミネーション、ウエットラミネーション、ノンソルベントラミネーション等)
(3)押出コーティング法
(4)共押出法(インフレーション法、Tダイ法等)
〈融着法〉熱可塑性樹脂フィルムとPGA樹脂フィルムの各面を互いに合わせて、熱ロール、熱プレス等を用いて、PGA樹脂フィルムに接触している熱可塑性樹脂フィルム(多層フィルムの場合は、その接触表面層)を、その概ね融点(Tm)以上の温度で圧着することによって、複合フィルムとすることができる。この際、PGA樹脂フィルム表面を機械的粗面化処理、コロナ処理法による活性化処理、化学薬品による活性化処理等をしておくことが望ましい。この融着法では、ポリオレフィンフィルム等の極性の小さい熱可塑性樹脂フィルムに対しては、PGA樹脂フィルムの接着力が不十分となるおそれがある。
熱可塑性樹脂フィルム表面またはPGA樹脂フィルム表面に、溶液タイプ、ラテックスタイプ、またはディスパージョンタイプの接着剤を塗布し、溶媒を揮発除去して乾燥させた後、相手フィルムを合わせて、ホットロール、ホットプレス等により加熱しながら圧着することにより複合フィルムとすることができる。
フェダー(Fedor)法(山本秀樹著「SP値 基礎・応用と計算方法」((株)情報機構発行(2005年)第66〜67頁)により算定した。より具体的にはフェダーの提案した下式:
[数1]
δ=(ΣEcoh/ΣV)1/2……(4)
(ここで、ΣEcohは、Ecoh(対象化合物の構成単位の凝集エネルギー密度(cal/cm3)の総和;ΣVは、V(対象化合物の構成単位のモル分子容(cm3))に従い、対象化合物のSP値δ((cal/cm3)1/2)を計算した。
試料PGA樹脂(組成物)約100mgに、内部標準物質4−クロロベンゾフェノンを0.2g/lの濃度で含むジメチルスルホキシド2gを加え、150℃で約5分加熱して溶解させ、室温まで冷却した後、ろ過を行う。その溶液を1μl採取し、ガスクロマトグラフィ(GC)装置に注入し測定を行なった。この測定により得られた数値より、ポリマー中に含まれる重量%として、グリコリド量を算出した。GC分析条件は以下の通りである。
装置:島津製作所製「GC−2010」
カラム:「TC−17」(0.25mmΦ×30m)
カラム温度:150℃で5分保持後、20℃/分で270℃まで昇温して、270℃で3分間保持。
気化室温度:180℃
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)、温度:300℃。
GPC装置(昭和電工社製「ShodexGPC−104」)を使用し、カラム(昭和電工社製「KF−606M」)二本を接合したものを用いた。溶媒としてトリフルオロ酢酸ナトリウムの5mmol/dm3のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)溶液を40℃、流速0.6ml/minで使用し測定した。前処理としてサンプル5mgをDMSO 200μl中に160℃で溶解し、室温まで冷却後、HFIP 5mlを加えて溶解して得た溶液を前記GPC装置に注入して測定した。
示差走査熱天秤(Seiko Instruments社製「TG/DTA6200」)を使用し、試料約5mgをAlパン中に秤量し、窒素雰囲気下ないし大気中において30→500℃の温度範囲を5℃/minの速度で昇温させ、3%重量減少時の温度を調査した。
島津製作所社製示差走査熱量測定機(DSC)を使用し、JIS−K7121に準拠してガラス転移点を求めた。
JIS−K7127に準拠し、試験片10mm(幅)×200mm(長)×0.1mm(厚み)を作製し、ORIENTIC社製テンシロンRTC−1210Aを使用し、手締め、荷重レンジ40%、引っ張り速度500mm/minの条件下における引張比例限度内における引張応力とこれに対応するひずみの比、引張弾性率を任意の温度環境下で60秒後に測定した。温度調製には恒温槽を使用した。
MODERN CONTROL社製酸素透過量測定装置MOCON OX−TRAN2/20型を使用し、23℃・80%相対湿度の条件でJISK7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定し、酸素透過係数(PO2;単位:×10−14cm3・cm/cm2・sec・cmHg)で示した。
ヘイズメータ(日本電色工業社製「Haze Meter NDH2000」)を用い5cm×5cm角に切削した該組成物シートについてヘイズ値を測定した。
色度計(日本電色工業社製「Spectro Color Meter」)を用い5cm×5cm角に切削した該組成物シートについてYI値を測定した。YI値は値が小さい程、着色が少ないことを示す。
アルコール開始剤を用いて形成したPGA単独重合体(重量平均分子量(Mw)=220,000、溶融粘度=808Pa・s(温度270℃、せん断速度122sec−1);残留グリコリド=0.17重量%;SP値=13.1)に、熱安定剤として、モノおよびジステアリルアシッドホスフェートのほぼ等モル混合物(旭電化工業(株)製「アデカスタブAX−71」)を0.03重量%の割合で添加して得たペレットを、PGA樹脂Aとして用いた。
液状可塑剤として、下記グリセリン縮合体の飽和脂肪酸エステル(P−1,P−2,P−3およびP−5)、グリセリン(P−4)およびグリセリンエチレンオキサイドアセテート(P−6)を用いた。
P−2:トリグリセリンフルアセテート(PL−7070) SP値=10.3
P−3:ヘキサグリセリンフルアセテート(PL−7080) SP値=10.3
P−4:グリセリン SP値=16
P−5:グリセリンジアセトモノラウレート(PL−012) SP値=9.4
なお、PL−710等は、理研ビタミン(株)の商品番号である。
各例において、上記PGA樹脂A100重量部を混練器((株)東洋精機製作所製「ラボプラストミル MODEL−30C150」に投入し、予熱5分後、温度240℃で回転数50rpmで回転を開始し、30秒経過後、各例において可塑剤P−1を9重量部(実施例1)、P−2を9重量部(実施例2)、P−3を10重量部(実施例3)、可塑剤無添加(比較例1)、P−4を9重量部(比較例2)、P−5を9重量部(比較例3)およびP−2を40重量部(比較例4)、それぞれ添加し、更に2.5分間(計3分間)の混練を行って、可塑剤入り組成物8種を得た。
A:可塑剤のブリードもなく、外観も良好。
B1:可塑剤のブリードは無いが、樹脂あるいは可塑剤の分解に基づく、気泡の発生などにより外観が不良。
B2:外観に問題はないが、可塑剤のブリードが少々ある。
C:可塑剤のブリードがあり、外観も不良である。
上記PGA樹脂A100重量部をそのまま(比較例5)あるいは可塑剤P−1(実施例4)およびP−2(実施例5)を表2に示すように1〜15(重量部)添加して、口径20mm、L/D=20の小型二軸混練押出機((株)東洋精機製作所製)にて温度240℃で混練して、ペレットを得た。次いで該ペレットを口径25mm、L/D=24の小型単軸T−ダイ押出機((株)プラ技研製)にて270℃で押出後、冷却ロールで急冷し、厚さ100μm、幅150mmのT−ダイシートを作製した。
上記実施例4〜5および比較例5で得られた厚さ100μmの非晶質T−ダイシートを切断して得た80mm×80mmのシートについて、室温(23℃)〜50℃の温度において、予熱時間1分以下、延伸速度4m/分の条件でテンター法による同時二軸延伸を行った後、120℃で熱処理した。延伸性を、以下の基準で評価した。
A:延伸倍率3×3倍で延伸性良好。
B:延伸倍率2×2倍で延伸可。
C:延伸できず(延びないか、すぐに破断する)。
Claims (7)
- グリコリド含量が0.5重量%未満であるポリグリコール酸樹脂100重量部に対し、溶解度パラメータ(SP値)が10.0〜13.1(cal/cm3)1/2の液状可塑剤1〜30重量部および熱安定剤0.001〜5重量部を配合してなるポリグリコール酸樹脂組成物のフィルム前駆体を、35℃以下の温度で延伸することを特徴とするポリグリコール酸樹脂延伸フィルムの製造方法。
- 液状可塑剤が式
[化1]
R1−[−O−CH2−C(OR2)−CH2−]n−OR3……(1)
(ここでnは平均値として1〜100の数、R1〜R3はいずれも飽和脂肪酸のアシル残基)で表わされるグリセリンの縮合体の飽和脂肪酸エステルである請求項1に記載のポリグリコール酸樹脂延伸フィルムの製造方法。 - 熱安定剤が、ペンタエリスリトリール骨格、または少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基、を有するリン酸エステルである請求項1または2に記載のポリグリコール酸樹脂延伸フィルムの製造方法。
- 前記リン酸エステルが、式
[化2]
(HO−)n−P(O)−(OC18H37)3−n……(2)
(nは平均値として1〜2の数)で表わされるモノ−またはジ−ステアリルアシッドホスフェートである請求項3に記載のポリグリコール酸樹脂延伸フィルムの製造方法。 - 前記熱安定剤の添加量が、ポリグリコール酸樹脂100重量部に対し、0.003〜3重量部である請求項1〜4のいずれかに記載のポリグリコール酸樹脂延伸フィルムの製造方法。
- 液状可塑剤の5℃/分の昇温速度での加熱試験における3%重量減少時の温度が160℃以上である請求項1〜5のいずれかに記載のポリグリコール酸樹脂延伸フィルムの製造方法。
- 前記ポリグリコール酸樹脂組成物がグリコール酸の単独重合体である請求項1〜6のいずれかに記載のポリグリコール酸樹脂延伸フィルムの製造方法。
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