(好ましい実施態様の詳細な説明)
(I.概略)
本発明は、細胞活性化抗原に対して補助分子特性を示す、哺乳動物タンパク質のアミノ酸配列およびDNA配列を提供する。1つのタンパク質は、DNAX活性化タンパク質、12kD(DAP12)と呼ばれる。本明細書中に記載の霊長類配列は、種々のデータベースから同定された配列から得られた。他の哺乳動物種(齧歯動物を含む)におけるタンパク質についての同様の配列もまた入手可能なはずである。例示の目的のための以下の記載は、記載したヒトDAP12天然対立遺伝子に関するが、同様に、例えば、他の個体に由来する対立遺伝子変異体および/または多型変異体、ならびにスプライシング変異体(例えば、天然形態)に適用可能である。
第2のタンパク質は、DNAX活性化タンパク質、10kD(DAP10)と呼ばれ、これは、多くの類似した構造および生物学的特徴を示す。第3のタンパク質はDAP12と、恐らくDAP10と会合し、そして骨髄性DAP12会合レクチン−1(MDL−1)と呼ばれる。
これらの遺伝子は、それらに関連するタンパク質をコードする他の霊長類または哺乳動物遺伝子の単離を可能し、記載した特定の実施態様以上にこのファミリーをさらに広げる。手順は、以下におおまかに示される。
DNAX活性化タンパク質12kD(DAP12)は、その構造特徴および推定機能のためにこのように命名された。ある細胞表面レセプターは内在機能を欠き、これは、12kDタンパク質であると示唆される別のタンパク質パートナーと仮定的に相互作用し得る。シグナリング機構には、ITAMシグナルが関与し得る。
DAP12は、CD3との仮定された関連(Olceseら(1997)J.Immunol.158:5083−5086を参照のこと)、ITIM配列の存在(Thomas(1995)J.Exp.Med.181:1953−1956を参照のこと)、特定サイズの予測(Olcese;およびTakaseら(1997)J.Immunol.159:741−747)、ならびに他の特徴に基づいて配列データベースから同定された。特に、膜貫通ドメインは、その推定レセプターパートナーであるKIR(キラー細胞阻害分子)、CD94タンパク質、および恐らく他の同様のタンパク質の対応する膜貫通セグメントとの塩橋を可能にする、荷電残基を含むと仮定された。Daeronら(1995)Immunity 3:635−646を参照のこと。
実際に、既知のKIR、MIR、ILT、およびCD94/NKG2レセプター分子の多くは、機能的レセプター複合体の一部である補助タンパク質と共に実際に機能し得る。Olceseら(1997)J.Immunol.158:5083−5086およびTakaseら(1997)J.Immunol.159:741−747を参照のこと。従って、本発明は、機能的シグナリングレセプター(例えば、DAP12および/またはDAP10と他のサブユニット)の精製形態を提供する。例えば、Daeronら(1995)Immunity 3:635−646を参照のこと。従って、DAP12またはDAP10と別のレセプターとの組み合せは、カウンター(counter)レセプターまたは複合体のリガンドに対するレセプター複合体である、ある細胞上の機能的複合体を形成する。
DAP10は、DAP12に対するその相同性および他の特徴により部分的に同定された。特に、ITAM活性化モチーフを示すDAP12とは対照に、DAP10は、ITIM阻害モチーフを示す。MDL−1は、DAP12とのその機能的会合により同定された。
さらに、例えば、DAP12またはDAP10とその補助レセプターとの間の機能的相互作用は、短縮型(truncated)レセプター形態において通常見出されないレセプターにおける構造組み合わせの使用を可能にし得る。従って、DAP12およびDAP10のような補助タンパク質によるシグナリング機構は、例えば、KIR、MIR、ILT、およびCD94 NKG2型レセプターを用いた、他のKIR様レセプター複合体の興味深い操作を可能にする。DAP12またはDAP10と相互作用して機能的シグナリング複合体を形成する、インタクトなレセプターの短縮型形態が構築され得る。
霊長類および齧歯動物形態は、整列させられた場合、有意な配列同一性を示す。例えば、表1、2、および3を参照のこと。他の遺伝子は、全成熟コード領域にわたって非常に低い同一性を示すが、いくつかは、特定のセグメントにおいてより高い同一性を示す。
(II.精製DAPおよびMDL)
表1は、DAP12実施態様についてのcDNAのヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列の両方を開示する。霊長類ヌクレオチド配列は配列番号1に対応し;アミノ酸配列は配列番号2に対応する。シグナル配列は、met(−26)からgln(−1)またはala1まであると思われ;成熟タンパク質はおよそala1(またはgln2)から始まり、細胞外ドメインはおよそala1からpro14まであり;細胞外ドメインは7および9に2つのシステインを含み、このシステインは、さらなる同型または異型補助タンパク質へのジスルフィド結合を可能にするようであり;膜貫通領域はおよそgly15またはval16からおよそgly39まであり;そしてITAMモチーフはtyr65からleu79まである(YxxL−6/8x−YxxL)。LVA03A ESTが同定され、そしてこれを使用して他の重複配列を抽出した。ヒトDAP12の一部であるGenbankヒトEST;全てではないがいくつかの包括的なGenbankアクセッション番号AA481924;H39980;W60940;N41026;R49793;W60864;W92376;H12338;T52100;AA480109;H12392;W74783;およびT55959もまた参照のこと。
(表1)ヒトcDNAライブラリーから同定された霊長類DAP12 cDNA。配列番号1および2。実際のシグナル切断点は、同定されたシグナル切断点(例えば、ala1とgln2の間であり得る)とはわずかに異なり得る。
(表1)(続き)隣接する非翻訳領域を有するコンティグ配列(あまり確実ではない;ありうる配列誤差;配列番号3)
(表1)(続き):げっ歯類DAP12 cDNA、マウスEST Genbank番号第AA24315号;同第W91184号;同第AA098506号;AA138406号;同第W88159号;および同第W41142号を参照のこと。ホールを満たしているコンセンサス配列は、当業者のレベル内で充分である。配列番号5および6を参照のこと。シグナル切断点は、いずれかの側に対してであり得る。
(表1)(続き)霊長類およびげっ歯類DAP12タンパク質配列(配列番号2および4)のアラインメント
表2は、cDNAのヌクレオチド配列と、ヒトおよびマウスDAP10遺伝子の各々の対応するアミノ酸配列の両方を開示している。ヒトのヌクレオチド配列は、配列番号7に対応する;このアミノ酸配列は、配列番号8に対応する。シグナル配列は、およそmet(−18)からala(−1)に向う(run)ようである;成熟タンパク質は、およそgln1から向かうはずである;細胞外ドメインは、およそgln1からpro30へ向うはずである;細胞外ドメインは、21および24に2つのシステイン(これらは、さらなる同型アクセサリータンパク質または異型アクセサリータンパク質へのジスルフィド結合が可能なようである)を含む;膜貫通領域は、asp39に対応する特徴的な荷電残基と共に、およそleu31からval147へ向う;そして目的のYxxMモチーフは、tyr67からmet70(これは、CD28、CTLA−4、およびCD19に見られるモチーフと同じである)に向う。表2を参照のこと。
同様に、マウスDAP10については、シグナル配列は、およそmet(−18)からser(−1)へ向うはずである;成熟タンパク質は、およそgln1から向うはずであり、細胞外ドメインは、およそgln1からpro16へ向うはずである;細胞外ドメインは7および10に2つのシステイン(これらは、さらなる同型アクセサリータンパク質または異型アクセサリータンパク質へのジスルフィド結合が可能なようである)を含む;膜貫通領域は、asp25に対応する特徴的な荷電残基とともに、およそleu17からval33へ向かう;そして目的のYxxMモチーフは、tyr54からmet57(これは、CD28およびCTLA−4に見られるモチーフと同じである)に向う。
(表2)ヒトcDNAライブラリーから同定された霊長類DAP10 cDNA。配列番号7および8を参照のこと。
(表2)(続き)マウスライブラリーからのげっ歯類DAP10 cDNA配列。配列番号9および10を参照のこと。
(表2)(続き)霊長類およびげっ歯類のタンパク質配列(配列番号8および10)のアライメント。
(表3)霊長類(例えば、ヒト)MDL−1配列(配列番号11および12)。設計されたメチオニンは、上流末端コドンを有さないので、予測されるように、このタンパク質は実際に、さらなる上流配列を有すことが考え得る。このメチオニンは、マウス配列と共に配置する(以下を参照のこと)。
(表3)(続き)げっ歯類(例えば、マウス)MDL−1長形態配列(配列番号13および14)。短形態改変体が同定され、これはヌクレオチド221−295の欠失を有した。特徴付けられた短形態改変体はまた、配列差異を有する:ヌクレオチド29〜35はCAGAAGAを読む;107〜109はAGAを読む;128〜129はATを読む;820〜826は、CATAGGTを読む;欠失859;および879〜880は、CAを読む。開始メチオニンは、正確なアミノ末端であることを示唆する、上流末端コドンを有する。
(表3)(続き)ヒトMDL−1およびマウスMDL−1長形態のアラインメント。特に目的のものは、残基1〜2に対応する、非常に短い細胞内ドメインである;およそ残基16に荷電されたアミノ酸を有する、約6〜27へ向う膜貫通ドメインと共に。3つの推定のN結合型グリコシル化部位は、マウス長形態の残基51、146、および153に対応する;この後者は、ヒト配列中に保存される。短形態に関連するマウス長形態が、およそ25アミノ酸のスペーサーセグメントを含むようであることに注意のこと。
本明細書中に使用されるように、用語「ヒトDAP12」とは、タンパク質状況で使用される場合、表1に示される霊長類アミノ酸配列を有するタンパク質をいうべきである。本発明はまた、ヒトDAP12特異的結合成分と同じ生物学的機能を示すかまたは相互作用する、ヒト誘導化ポリペプチドとともに、タンパク質の実質的なフラグメント(例えば、変異体および多型改変体)を含むタンパク質を包含する。これらの結合成分は、代表的には、高い親和性(例えば、少なくとも約100nM、通常は、約30nMを超えて良好である、好ましくは約10nMを超える、そしてより好ましくは、約3nMを超える)でヒトDAP12に結合する。同種タンパク質は、ヒト以外の種(例えば、霊長類)で見出される。以下のほとんどの説明はDAP12に関するが、同じ方法および特徴が、DAP10およびMDL−1遺伝子に同様に適用可能であり得る。DAP12に関する多くの限定は、DAP10およびMDL−1に関する参考文献における用語と一致するが、1つの遺伝子に関連する特定の限定(例えば、長さの限界)は、他のものに適用することを必然的に意図しない。
本明細書で使用する場合、用語「ポリペプチド」は、フラグメントまたはセグメントを含み、そして少なくとも約8アミノ酸のアミノ酸、一般的には少なくとも10アミノ酸、より一般的には少なくとも12アミノ酸、頻繁には少なくとも14アミノ酸、より頻繁には少なくとも16アミノ酸、代表的には少なくとも約18アミノ酸、より代表的には少なくとも約20アミノ酸、通常少なくとも約22アミノ酸、より通常には少なくとも約24アミノ酸、好ましくは少なくとも約26アミノ酸、より好ましくは少なくとも約28アミノ酸、および特に好ましい実施態様では少なくとも約30以上のアミノ酸、例えば、33、37、41、45、49、53、57、75、100、125などのアミノ酸残基のストレッチを包含する。好ましい実施態様において、特定の長さの複数の異なる(例えば、重複しない)セグメントが存在する。代表的には、複数は、少なくとも2、より通常には少なくとも3、および好ましくは5、7、またはそれ以上である。最小の長さが提供されるが、種々のサイズのより長い長さ、例えば、1つの長さ7、および2つの長さ12が、適切であり得る。
用語「結合組成物」とは、例えば、抗体−抗原型様式において、DAP12、DAP10、またはMDL−1に特異的に結合する分子をいう。他の相互作用には、例えば、レセプター複合体を形成する、レセプター成分−レセプター成分が含まれる。複合体の他のメンバーは、上記に記載される、KIR、LTR、MIR、ILT、およびCD94形態であるようである。別の目的の相互作用には、これのカウンター−レセプター(これ自身は、単一のタンパク質または複合体であり得る)とのこのようなレセプター複合体が含まれる。例えば、KIR−DAP12複合体のためのレセプターは、おそらくMHCクラスIである。このような相互作用は、代表的には共有または非共有のいずれかである、タンパク質−タンパク質相互作用である。分子は、ポリマーまたは化学試薬であり得る。機能的アナログは、構造的改変を有する形態であり得るか、または適切な表面結合決定基と相互作用する分子形状を有する完全に関連のない分子であり得る。アナログは、アゴニストまたはアンタゴニストとして作用し得、例えば、Goodmanら(編) (1990) Goodman & Gilman’s: The Pharmacological Bases of Therapeutics (第8版)Pergamon Pressを参照のこと。
ポリペプチドまたはフラグメントの溶解度は、環境およびポリペプチドに依存する。多くのパラメータは、ポリペプチド溶解度に影響を及ぼし、これには、温度、電解質環境、ポリペプチドのサイズおよび分子特徴、ならびに溶媒の性質を含む。代表的には、ポリペプチドが使用される温度は、約4℃〜約65℃の範囲にある。通常、使用時の温度は、約18℃を超え、およびより通常には約22℃を超える。診断目的については、温度は、通常、ほぼ室温またはより温かであるが、アッセイにおける成分の変性温度未満である。治療目的については、温度は、通常では体温、代表的にはヒトについては約37℃であるが、ある状況下では、温度は、インサイチュまたはインビトロで上昇または低下し得る。
電解質は、通常、およそインサイチュ生理学的状態であるが、有利になる、より高いイオン強度またはより低いイオン強度へと改変され得る。実際のイオンは、生理学的状況または分析的状況において使用される標準緩衝液に一致するように改変され得る。
ポリペプチドのサイズおよび構造は、一般的には、実質的に安定な状態にあるべきであり、そして通常、変性状態にはない。ポリペプチドは、例えば、溶解度を与えるために、4次構造で他のポリペプチドと会合し得るか、あるいは天然の脂質二重層相互作用に近い様式で脂質または界面活性剤と会合し得る。このようなタンパク質は、例えば、KIR、MIR、ILT、またはCD94タンパク質の可溶性/短い形態である。これらの複合体の破壊は、代表的には、シグナル機能をブロックする。
溶媒は、通常、生物学的活性の保存に使用されるタイプの、生物学的適合可能な緩衝液であり、そして通常、生理学的溶媒に近い。通常、溶媒は、中性pH、代表的には約5〜10の間、および好ましくは約7.5を有する。場合によっては、界面活性剤が添加され、代表的には穏和な非変性界面活性剤、例えば、CHS(コレステリルヘミスクシネート)またはCHAPS(3−([3−コラミドプロピル]ジメチル−アンモニオ)−1−プロパンスルホン酸)、またはタンパク質の3次構造を破壊しないような十分に低い界面活性剤濃度である。
溶解度は、スウェードベリー単位で測定される沈降によって反映され、この単位は特定の条件下の分子の沈降速度の尺度である。沈降速度の決定を、分析用超遠心分離機で古典的に行ったが、代表的には、現在は標準的超遠心分離機で行われる。Freifelder(1982)Physical Biochemistry(第2版)、W.H.Freeman;およびCantorおよびSchimmel(1980)Biophysical Chemistry、第1〜3部、W.H.Freeman&Co.,San Franciscoを参照のこと。粗決定として、推定的可溶なポリペプチドを含むサンプルが、標準的フルサイズの超遠心分離機で約50K rpmにて約10分間回転され、そして可溶性分子は上清に残る。可溶性粒子またはポリペプチドは、代表的には、約30S未満、より代表的には約15S未満、通常は約10S未満、より通常には約6S未満、ならびに特定の実施態様では好ましくは約4S未満、およびより好ましくは約3S未満である。
(III.物理的改変体)
本発明はまた、例えば、ヒトDAP12のアミノ酸配列と実質的なアミノ酸配列同一性を有するタンパク質またはペプチドを包含する。これは、例えば1倍、2倍、3倍、5倍の置換体、好ましくは保存体を提供する。このような改変体は、特異的抗体を産生するために有用であり得、そしてしばしば多くのまたは全ての生物学的特性を共有する。
アミノ酸配列同一性は、残基適合を最適にすることによって決定される。これは、保存的置換を適合とみなす場合に変化する。保存的置換には、代表的には、以下の群内の置換が含まれる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。類似のアミノ酸配列には、各それぞれのタンパク質配列における天然の対立遺伝子改変体が含まれることが意図される。代表的な同種タンパク質またはペプチドは、例えば、ヒトDAP12のアミノ酸配列と、85〜100%同一性(ギャップが導入され得る場合)から90〜100%同一性(保存的置換が含まれる場合)までを有する。同一性の尺度は、少なくとも約85%、一般的には少なくとも約87%、しばしば少なくとも約89%、代表的には少なくとも約91%、通常には少なくとも約93%、より通常には少なくとも約95%、好ましくは少なくとも約97%、およびより好ましくは少なくとも約98%、そして特に好ましい実施態様では少なくとも約99%以上である。Needlehamら(1970)J. Mol. Biol. 48:443−453;Sankoffら(1983)Time Warps, String Edits, and Macromolecules: The Theory and Practice of Sequence Comparisonの第1章、 Addison−Wesley, Reading, MA;ならびにIntelliGenetics, Mountain View, CA;およびthe University of Wisconsin Genetics Computer Group, Madison, WIからのソフトウエアパッケージもまた参照のこと。
単離されたヒトDAP、およびMDL DNAは、ヌクレオチド置換、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド挿入、およびヌクレオチドストレッチの逆転によって、容易に改変され得る。これらの改変は、有用な抗原、これらの誘導体、または類似するかもしくはアンタゴニスト活性を有するタンパク質をコードする新規DNA配列を生じる。これらの改変された配列は、変異体抗原を産生するために、または発現を増強するために、使用され得る。増強された発現は、遺伝子増幅、増加した転写、増加した翻訳、および他のメカニズムを包含し得る。このような変異体DAP12誘導体には、それぞれのタンパク質またはそのフラグメントの所定のまたは部位特異的変異が含まれる。「変異体DAP12」は、上記のヒトDAP12の重要な特性を共有するが、欠失、置換、または挿入によるいずれかで、天然に見られるDAP12とは異なるアミノ酸配列を有する、その他のポリペプチドを包含する。特に、「部位特異的変異体DAP12」は、表1の抗原との相同性を有し、そしてこれらの抗原と関連する生物学的活性を共有するとして定義される。同様の概念が、特に、種々の他の動物で見られる、異なるDAP12タンパク質に適用する。上記のように、説明は、さらなるDAPタンパク質およびMDLタンパク質を含むことを一般に意味するが、具体的に議論された霊長類実施態様へもっぱら限定されないことが強調される。
部位特異的変異部位は予め定められているが、変異体は部位特異的である必要はない。ヒトDAP12、DAP10、またはMDL−1変異誘発は、アミノ酸挿入または欠失の作製によって行われ得る。置換、欠失、挿入、または任意の組み合わせは、最終構築物で到達するために生成され得る。挿入は、アミノ末端融合またはカルボキシ末端融合を包含する。ランダム変異誘発は、標的コドンで行われ得、そして発現された変異体は、次いで所望の活性についてスクリーニングされ得る。公知の配列を有するDNAにおいて所定の部位に置換変異を作成する方法は、例えば、当該分野で周知であるM13プライマー変異誘発による。Sambrookら (1989)およびAusubelら (1987年および補遺)もまた参照のこと。
DNAの変異は、正常には、リーディングフレームの外のコード配列に配置すべきではなく、そして好ましくは、ループまたはヘアピンのような二次mRNA構造を産生するためにハイブリダイズし得る相補領域を生成しない。
本発明はまた、これらのタンパク質からのセグメントを使用して、組換えタンパク質、例えば、異種融合タンパク質を提供する。異種融合タンパク質は、天然では同じ方法で通常は融合しないタンパク質またはセグメントの融合物である。従って、例えば、DAP12ポリペプチドとの免疫グロブリンの融合産物は、代表的なペプチド結合で融合され、代表的には単一の翻訳産物として作成され、そして各ソースペプチドに由来する特性を示す配列を有する、連続するタンパク質分子である。同様の概念は、異種核酸配列に適用する。特に目的の融合物は、上記で議論されるような、そのレセプターパートナーを有するDAP12である。両方のタンパク質の実施態様および、両方のレセプター複合体成分をコードする核酸は、価値がある。
さらに、新しい構築物は、他のタンパク質からの類似の機能的ドメインを組み合わせることから作製され得る。例えば、パートナー結合セグメントまたは他のセグメントは、異なる新しい融合ポリペプチドまたはフラグメント間で、「交換」され得る。例えば、Cunninghamら (1989) Science 243:1330−1336;およびO’Dowdら (1988) J. Biol. Chem. 263:15985−15992を参照のこと。従って、特異性の新しい組み合わせを示す新しいキメラポリペプチドは、パートナー結合特異性および他の機能性ドメインの機能的連結から生じる。
BeaucageおよびCarruthers(1981)Tetra.Letts.22:1859−1862によって記載されるホスホロアミデート法は、適切な合成DNAフラグメントを産生する。二本鎖フラグメントは、相補鎖を合成し、そして適切な条件下で互いの鎖をアニーリングすることによって、または適切なプライマー配列を有するDNAポリメラーゼを使用して相補鎖を付加することによってしばしば得られる。
特定の状況において、複数のITAM反復またはITIM置換を有するDAP12は、有用であり得る。さらに、インタクトなレセプター機能は、膜貫通レセプターの長形態を2つの分離するサブユニット(これらは、そのパートナーと共にDAP12と同様に相互作用する)へ開裂させることによって達成され得る。従って、インタクトな長形態レセプターは、DAP12によって短縮されたレセプターのペアと置換され得る。組合わせの核酸構築物もまた、調製され得る。DAP10、およびITIM反復物、またはITIM置換物と同様に。
(IV.機能性改変体)
DAP12またはDAP10抗原に対する生理学的応答の遮断は、おそらく競合阻害によって、DAPレセプター複合体へのパートナーの結合の阻害から生じ得る。従って、本発明のインビトロアッセイは、しばしば、単離されたタンパク質、組換えDAP12を発現する細胞からの膜、これらの抗原のパートナー結合セグメントを含む可溶性フラグメント、または固体基材へ付着したフラグメントを使用する。これらのアッセイはまた、結合セグメント変異および改変、または結合パートナー変異および改変のいずれかの効果の診断決定を可能にする。
本発明はまた、競合的薬物スクリーニングアッセイ(例えば、ここで抗原または抗原フラグメントに対する中和抗体は、タンパク質への結合のための試験化合物と競合する)の使用を意図する。同じ様式で、この抗体は、抗原の1つ以上の結合部位を共有するポリペプチドの存在を検出するために使用され得、そしてまた、他の結合パートナーによって占領され得る、タンパク質の結合部位を占領するために使用され得る。本発明はまた、パートナー間の膜貫通セグメントにおける荷電された残基の架橋を妨害する化合物についてのスクリーニングを意図する
。
さらに、DAPまたはMDL、および高い親和性のカウンターパート結合部位を含む、DAPまたはMDLの可溶性フラグメントに対する中和抗体は、組織(例えば、異常な生理学を経験している組織)における結合機能を阻害するために使用され得る。他の成分と相互作用する細胞内ドメインはまた、薬物スクリーニングのための標的である。
DAPまたはMDL抗原の「誘導体」には、アミノ酸配列変異体、グリコシル化改変体、および他の化学部分との共有結合体または凝集結合体が含まれる。共有誘導体は、当該技術分野で周知の手段によって、DAPまたはMDL抗原アミノ酸側鎖またはN末端もしくはC末端で見られる基への機能性の連結によって調製され得る。これらの誘導体には、カルボキシル末端の、またはカルボキシル側鎖を含む残基の脂肪族エステルまたはアミド、ヒドロキシル基含有残基のO−アシル誘導体、およびアミノ末端アミノ酸またはアミノ基含有残基(例えば、リジンまたはアルギニン)のN−アシル誘導体が非限定的に含まれ得る。アシル基は、C3〜C18の正常アルキルを含むアルキル部分の群から選択され、それによってアルカノイルアロイル種を形成する。
特に、グリコシル化変化が含まれ、例えば、その合成およびプロセシング中に、または更なるプロセシング工程において、ポリペプチドのグリコシル化パターンを改変することによって作製される。タンパク質上に天然のN結合型部位は存在しないが、O結合型部位は存在し得、あるいはこのような部位を有する改変体は産生され得る。これを達成するために特に好ましい手段は、このようなプロセシングを通常は提供する細胞に由来するグリコシル化酵素、例えば、ヒトグリコシル化酵素に、ポリペプチドを曝露することによる。脱グリコシル化酵素もまた意図される。また、他のマイナーな改変を有する同じ一次アミノ酸配列の型を含み、これには、リン酸化アミノ酸残基(例えば、ホスホチロシン、ホスホセリン、またはホスホトレオニン)が含まれる。
誘導体の主要な群は、例えば、ポリペプチドの他のタンパク質と、DAP12抗原またはそれらのフラグメントとの共有結合体である。これらの誘導体は、N−またはC−末端融合体のような組換え培養物中で、あるいは反応性側基によってタンパク質を架橋することにおけるそれらの有用性について当該技術分野で公知の薬剤の使用によって、合成され得る。架橋剤との好ましい誘導体化部位は、遊離アミノ基、炭水化物部分、およびシステイン残基にある。
DAP12抗原と他の同種または異種タンパク質との間の融合ポリペプチドも提供される。同種ポリペプチドは、異なる表面マーカー間の融合物であり得、例えば、1つ以上のマーカータンパク質の結合特異性を示す、ハイブリッドタンパク質を生じる。同様に、誘導体タンパク質の特性または活性の組み合わせを示す異種融合物が、構築され得る。代表的な例は、レポーターポリペプチド(例えば、ルシフェラーゼ)の抗原のセグメントまたはドメイン(例えば、パートナー結合セグメント)との融合物であり、その結果、所望のパートナーの存在または位置が容易に決定され得る。例えば、Dullら, 米国特許第4,859,609号(これを本明細書中で参考として援用する)を参照のこと。他の遺伝子融合パートナーには、細菌性β−ガラクトシダーゼ、trpE、プロテインA、β−ラクタマーゼ、αアミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、および酵母α接合因子が挙げられる。例えば、Godowskiら (1988) Science 241:812−816を参照のこと。
BeaucageおよびCarruthers (1981) Tetra. Letts. 22:1859−1862によって記載されたホスホルアミダイト法は、適切な合成DNAフラグメントを産生する。二本鎖フラグメントは、相補鎖を合成し、そして適切な条件下で互いの鎖をアニーリングすることによって、または適切なプライマー配列を有するDNAポリメラーゼを使用して相補鎖を付加することによってしばしば得られる。
このようなポリペプチドはまた、リン酸化、スルホン化、ビオチン化、または他の部分の付加もしくは除去によって化学的に改変されているアミノ酸残基、特にリン酸基に類似の分子形状を有する残基を有し得る。いくつかの実施態様では、改変は、有用な標識試薬であり、または精製標的、例えば、アフィニティー試薬として役立つ。
融合タンパク質は、代表的には組換え核酸方法によって、または合成ポリペプチド方法によってのいずれかで作製される。核酸操作および発現のための技術は、一般には、例えば、Sambrookら (1989) Molecular Cloning A Laboratory Manual (第2版) 第1巻−第3巻, Cold Spring Harbor Laboratoryに記載されている。ポリペプチドの合成のための技術は、例えば、Merrifield(1963)J. Amer. Chem. Soc.85:2149−2156;Merrifield(1986)Science 232:341−347;およびAthertonら(1989)Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press, Oxfordに記載されている。
本発明はまた、アミノ酸配列の変更またはグリコシル化以外のこれらのDAP12抗原の誘導体の使用を意図する。このような誘導体は、化学部分との共有結合的または凝集的会合を含み得る。これらの誘導体は、一般的に、これらのクラスに分類される:(1)塩、(2)側鎖および末端残基共有改変、および(3)例えば、細胞膜との吸着複合体。このような共有結合的誘導体または凝集誘導体は、免疫原として、イムノアッセイにおける試薬として、または結合パートナーのアフィニティー精製のためのような精製方法において、有用である。例えば、DAP12抗原は、当該技術分野で周知の方法によって、臭化シアン活性化Sepharoseのような固体支持体への共有結合によって固定され得、または抗DAP12抗体もしくはその結合パートナーのアッセイまたは精製における使用のために、グルタルアルデヒド架橋ありまたはなしで、ポリオレフィン表面上に吸着され得る。DAP12抗原はまた、検出可能な基で標識され得、例えば、クロラミンT手順によってチロシンへ放射性ヨウ素化(例えば、天然配列へ組み込まれる)され、希土類キレートに共有結合され、または診断アッセイにおける使用について別の蛍光部分に結合される。
本発明の可溶性DAP抗原またはMDL抗原は、抗原またはこれらの多くのフラグメントに特異的な抗血清または抗体の産生のための免疫原として使用され得る。精製抗原は、タンパク質を含む不純な調製物の種々の形態による免疫によって調製されたモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントをスクリーニングするために使用され得る。特に、用語「抗体」はまた、天然抗体の抗原結合フラグメントを包含する。精製されたDAPまたはMDLはまた、上昇レベルのDAP、MDL,または抗原を含む細胞フラグメント(これらの両方は、異常の診断または特異的な生理学的状態または疾患状態であり得る)の存在に応答して産生した抗体を検出するための試薬として使用され得る。さらに、DAPまたはMDLフラグメントはまた、すぐ下で記載されるように、本発明の抗体を産生するための免疫原として役立ち得る。例えば、本発明は、抗体のアミノ酸配列または、例えば表1、2、または3で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸またはそれらのフラグメントに対して惹起された抗体を意図する。特に、本発明は、特異的フラグメントへの結合親和性を有する抗体、または特異的フラグメントに対して惹起された抗体を意図する。これらは、脂質二重層の外側、細胞外ドメインまたは細胞内ドメインのいずれかにに存在することが予測される。さらに、種々の構築物は、他の、分子の細胞外へ曝露された部分に関連する膜会合セグメントの融合から産生され得る。他の抗原複合体が使用され得、これは、レセプターパートナーとのDAPまたはMDLの複合体を含む。
本発明は、さらに密接に関連した改変体の単離を意図する。対立遺伝子改変体は、例えば本明細書中に記載された実施態様と90〜97%を超える同一性を示す、異なる個体に存在する。
本発明はまた、構造、発現、および機能において、明瞭性と類似性の両方を示す、関連抗原の群を単離するための手段を提供する。抗原の多くの生理学的効果の解明は、抗原の明瞭な種のカウンターパートの単離および特徴付けによって大きく加速される。特に、本発明は、異なる種においてさらなる同種遺伝実体を同定するために有用なプローブを提供する。
単離された遺伝子は、DAPまたはMDL、例えば、種型または細胞(これは、対応する抗原を欠失し、そしてネガティブバックグランド活性を示す)のいずれかの発現を欠失する細胞の形質転換を可能にする。CD94またはNKAT5でトランスフェクトされた種々の細胞型(例えば、Jurkat、YT、またはBAF3)は、DAP12でまたトランスフェクトされた場合のシグナリングを示し得る。形質転換された遺伝子の発現は、定義されるかまたは単一種改変体と共に、抗原性的に純粋な細胞株の単離を可能にする。このアプローチは、シグナリングの生理学的効果のより感度の良い検出および区別を可能にする。細胞成分フラグメント(例えば、細胞質または膜フラグメント)は単離されそして使用され得る。
レセプター結合によって提供される種々の分化機能をもたらす臨界構造要素の解剖は、現代の分子生物学の標準技術を使用して(特に関連するクラスのメンバーと比較して)可能である。例えば、Cunninghamら(1989)Science 243:1339−1336に記載される同種スキャニング変異誘発技術;およびO’Dowdら(1988)J.Biol.Chem.263:15985−15992;およびLechleiterら(1990)EMBO J.9:4381−4390で使用されるアプローチを参照のこと。
特に、レセプターパートナー結合セグメントは、どの構造的な特徴が、結合親和性および特異性の両方において重要であるかを決定するために、種改変体間で置換され得る。異なるアレイ(例えば、DAP12改変体)は、異なる種改変体との相互作用の組み合わされた特性を示すパートナーについてスクリーニングするために使用される。
細胞内機能は、おそらく、抗原(これは、通常細胞質に接近し易い)のセグメントを含む。しかし、抗原インターナリゼーションは、特定の環境下で生じ得、そして細胞内成分と設計された「細胞外」セグメントとの間の相互作用も生じ得る。他の細胞内成分とDAP12の相互作用の特異的セグメントは、突然変異誘発または直接の生化学的手段(例えば、架橋、親和性、または遺伝的方法)によって同定され得る。結晶学的方法または他の物理的方法による構造分析もまた、適用し得る。シグナル形質導入のメカニズムのさらなる研究には、親和性方法によって単離され得る、関連する成分の研究が含まれる。
DAP12抗原の発現および制御のさらなる研究が、追求される。抗原と関連する制御エレメントは、分化的、発生的、組織特異的または他の発現パターンを示し得る。上流または下流遺伝子領域(例えば、制御エレメント)は、目的のものである。
DAP12抗原の構造的研究は、アゴニストまたはアンタゴニスト特性を示す、新規の改変体、特にアナログの設計を導く。これは、活性の所望のスペクトルを示す改変体を単離するための、以前に記載したスクリーニング方法と組み合わせ得る。
他の細胞型における発現は、特定の抗原において、しばしばグリコシル化の差異を生じる。種々の種の改変体は、アミノ酸配列以外の構造的な差異に基づく明らかな機能を示し得る。差示的な改変は、差示的な機能が原因であり得、そしてこの効果の解明は、現在、可能である。
前述の説明は、主にヒトDAP12に集中しているが、当業者は、本発明が、他のDAP12抗原(例えば、霊長類および他の哺乳動物種改変体)を包含すると即座に理解する。さらに、DAP10遺伝子は、DAP12と類似の多くの特性を示し、そして類似の様式で改変され得る。DAP12、DAP10、およびMDL−1が、互いに関連し得、そして全て特定の条件で多タンパク質複合体と関連し得る。
V.抗体
抗体は、天然に存在する形態および組み換え形態の両方での、DAPまたはMDL抗原の種々の対立遺伝子または種変異体およびそのフラグメントに対して惹起され得る。さらに、抗体は、活性形態もしくは不活性形態のいずれか、または天然のもしくは変性した形態でのDAP12に対して惹起され得る。抗イディオタイプ抗体も意図される。
DAPまたはMDLの所定のフラグメントに対する、結合フラグメントおよび一本鎖型を含む、抗体は、このフラグメントの免疫原性タンパク質とのの結合体での、動物の免疫によって惹起され得る。モノクローナル抗体は、所望の抗体を分泌する細胞から調製される。これらの抗体は、正常または欠損DAPまたはMDLへの結合についてスクリーニングされるか、あるいはアゴニストまたはアンタゴニスト機能活性についてスクリーニングされ得る。これらのモノクローナル抗体は、通常は、少なくとも約1mM、より通常には少なくとも約300μM、代表的には少なくとも約10μM、より代表的には少なくとも約30μM、好ましくは少なくとも約10μM、およびより好ましくは少なくとも約3μMより良好のKDで結合する(例えば、1μM、300nM、100nM、30nM、10nM、3nM、1nM、300pM、100pM、30pMなど)。
抗原結合フラグメントを含む本発明の抗体は、重要な診断または治療価値を有し得る。それらは、DAP12、DAP10、MDL−1に対して結合する強力なアンタゴニストであり得、そして/またはパートナー結合を阻害し、または生物学的応答を誘発する能力を阻害し得る。それらはまた、非中和抗体として有用であり得、そして毒素または放射性核種と結合され得、その結果、抗体が抗原と結合したとき、細胞自身が殺される。さらに、これらの抗体は、直接的に、または間接的に、リンカーによって薬剤または他の治療剤と結合され得る。
本発明の抗体はまた、診断的適用において有用であり得る。捕捉または非中和抗体として、それらは、パートナー結合および/またはシグナル伝達を阻害しないで、DAPまたはMDLと結合し得る。中性化抗体として、それらは、競合結合アッセイにおいて有用であり得る。それらはまた、DAPまたはMDLまたはそのパートナーの検出または定量に有用である。
DAP12フラグメントは、他の物質、特に、ポリペプチドと結合され得、これは、免疫原として使用される融合または共有結合したポリペプチドとしてである。DAP12およびそのフラグメントは、様々な免疫原(キーホールリンペットヘモシアニン、ウシ血清アルブミン、破傷風毒素など)と融合または共有結合し得る。ポリクローナル抗血清調製法の説明については、Microbiology、Hoeber Medical Division、Harper and Row、1969;Landsteiner(1962)Specificity of Serological Reactions、Dover Publications、New York、およびWilliamsら(1967)Mehtods in Immunology and Immunochemistry、Vol.1、Academic Press、New Yorkを参照のこと。典型的な方法は、抗原での動物の超免疫化を含む。次に、動物の血液は、繰り返しての免疫化の後、すぐに集められ、そしてγ−グロブリンが単離される。あるいは、細胞がハイブリドーマ作製のため集められ得る。
いくつかの場合には、マウス、齧歯類、霊長類、ヒトなどのような種々の哺乳動物宿主からモノクローナル抗体を調製することが望ましい。このようなモノクローナル抗体を調製するための技術の説明は、例えば、Stitesら(編) Basic and Clinical Immunology (第4版)、Lange Medical Publications, Los Altos, CAおよびそれに引用される参考文献;HarlowおよびLane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual CSH Press;Goding (1986) Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (第2版) Academic Press, New York;そして特にKohlerおよびMilstein (1975) Nature 256:495−497(これはモノクローナル抗体を生成する1つの方法を議論する)で見出され得る。簡単にまとめると、この方法は、動物に免疫原を注射する工程を包む。次いで、動物を屠殺し、そして細胞をその脾臓から採取し、次いでミエローマ細胞と融合する。結果物は、インビトロで再生し得るハイブリッド細胞または「ハイブリドーマ」である。次いで、ハイブリドーマの集団をスクリーニングして、個々のクローンを単離し、そのそれぞれは免疫原に対する単一抗体種を分泌する。このようにして、得られた個々の抗体種は、免疫原性物質上で認識された特定の部位に応じて生成した、免疫動物からの、不死化されかつクローニングされた単一のB細胞の産物である。
他の適切な技術には、抗原性ポリペプチドに対して、または代わりに、ファージまたは類似のベクターにおける抗体のライブラリーの選択に対してのリンパ球のインビトロの暴露が含まれる。Huseら(1989)「ラムダファージ中での免疫グロブリンレパートリーのより大きなコンビナトリアルライブラリーの生成」Science 246:1275−1281;およびWardら (1989) Nature 341:544−546を参照のこと。本発明のポリペプチドおよび抗体は、改変ありまたはなしで使用され得、これらには、キメラまたはヒト化抗体が含まれる。しばしば、ポリペプチドおよび抗体は、検出可能なシグナルを提供する物質を、共有結合または非共有結合のいずれかで結合することによって標識される。広範な種々の標識および結合技術が公知であり、そして科学および特許文献の両方に広く報告されている。適切な標識としては、放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光部分、化学発光部分、磁性粒子などが挙げられる。このような標識の使用を教示する特許には、米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号;および第4,366,241号が挙げられる。組換え免疫グロブリンもまた、産生され得る。Cabilly,米国特許第4,816,567号を参照のこと。
本発明の抗体はまた、タンパク質を単離することにおけるアフィニティークロマトグラフィーのために使用され得る。カラムが調製され得、ここで、抗体は、固体支持体、例えば、粒子(アガロース、SEPHADEXなど)に連結され、細胞溶解物がカラムを通過し得、カラムが洗浄され、次いで穏和な変性剤の濃度を上昇させ、それによって精製したDAP12タンパク質が放出される。
抗体はまた、特定の発現産物について発現ライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。通常、このような手順で使用される抗体は、抗体結合によって抗原の存在の検出を容易にする部分で標識される。
DAP12、DAP10、またはMDL−1抗原に対して惹起された抗体はまた、抗イデオタイプ抗体を惹起するために使用される。これらは、各抗原の発現に関連した様々な免疫学的条件を検出または診断するのに有用である。
規定された免疫原(例えば、配列番号2または6のアミノ酸配列からなる免疫原)に対して生成した抗体と特異的に結合するか、または特異的に免疫反応性であるDAP12タンパク質は、代表的には、イムノアッセイで測定される。このイムノアッセイは、代表的には、ポリクローナル抗血清(例えば、配列番号2または6のタンパク質に対して惹起されたもの)を使用する。この抗血清は、他のCD3ファミリーメンバー(例えば、CD3またはFcεRγ)に対して低い交差反応性を有するように、好ましくは、同種から選抜され、そして、そのような交差反応性は、いずれもイムノアッセイで使用される前に免疫吸収によって取り除かれる。
イムノアッセイで使用する抗血清を作製するために、配列番号2または6のタンパク質またはその組み合わせは、本明細書に記載されたように単離される。例えば、組換えタンパク質は、哺乳動物細胞株で作製され得る。適切な宿主(例えば、Balb/cのような純系マウス)は、代表的には、標準のアジュバント(Freundアジュバント)および標準マウス免疫化プロトコール(HarlowおよびLane、前記、を参照のこと)を使用して、選抜されたタンパク質で免疫化される。あるいは、本明細書で開示された配列由来のキャリアタンパク質と結合した合成ペプチドが、免疫原として使用され得る。ポリクローナル血清は、集められ、そしてイムノアッセイ(例えば、固体支持体で固定された免疫原を有する固相イムノアッセイ)で免疫原タンパク質に対して力価が測定される。104以上の力価を有するポリクローナル抗血清は、選抜され、そして他のCD3ファミリーメンバー(例えば、霊長類またはげっ歯動物CD3)に対しての交差反応性を、HarlowおよびLane、前記、570−573頁に記載されている1つのような競合結合イムノアッセイを使用して、試験される。好ましくは、少なくとも2個のCD3ファミリーメンバーが、霊長類またはげっ歯動物DAP12にどちらかまたはいくつかと関連してこの測定に使用される。これらのDAP12ファミリーメンバーは、本明細書に記載されたような標準の分子生物学およびタンパク質化学技術を使用して、組換えタンパク質として産生され得、そして単離され得る。同様な技術は、DAP10またはMDL−1に対して適用し得る。
競合結合様式におけるイムノアッセイは、交差反応性測定のために使用され得る。例えば、配列番号2および/または6のタンパク質が、固体支持体に結合され得る。このアッセイに加えられたタンパク質は、固定化された抗原に対して抗血清の結合で競合する。固定化したタンパク質に対して抗血清の結合で競合する上記タンパク質の能力が、配列番号2および/または6のタンパク質と比較された。上記タンパク質のパーセント交差反応性が標準の計算を使用して算出される。上記でリストされた各タンパク質と10%より低い交差反応性を有する抗血清は、選択され、そしてプールされる。次に、交差反応性抗体が、上記にリストされているタンパク質との免疫吸収によって、プールされた抗血清から除かれる。
次に、免疫吸収されそしてプールされた抗血清は、上記のような競合結合イムノアッセイで、第2のタンパク質を免疫原タンパク質(例えば、配列番号2および/または6のDAP12様たんぱく質)と比較するために使用される。この比較をするために、この2種のタンパク質が広い範囲の濃度でそれぞれアッセイされ、固定化されたタンパク質に対する抗血清の結合を50%を阻害するのに必要とされる各タンパク質の量が測定される。第2のタンパク質の必要量が、選抜されたタンパク質の必要とされる量の2倍より少ないならば、そのとき、第2のタンパク質は、免疫原に対して生成された抗体と特異的に結合すると言われる。
VI.核酸
ヒトDAPまたはMDLプローブ、またはそのフラグメントは、他の種由来の相同タンパク質、または同じ種または他の種における他の関連タンパク質をコードする核酸の同定または単離のために使用される。ハイブリダイゼーションまたはPCR技術が使用され得る。
本発明は、例えば、DAP12ポリペプチドと対応する生物学的に活性のあるものをコードする、単離されたDNAまたはフラグメントの使用を意図する。さらに、本発明は、適切な条件で本明細書に記載されたDNA配列とハイブリダイズできる、生物学的に活性のあるタンパク質またはポリペプチドをコードする単離または組換えDNAを含む。生物学的に活性のある該タンパク質またはポリペプチドは、インタクトなDAP12またはフラグメントであり得、そして表1で示された核酸によってコードされるアミノ酸配列を有し得る。さらに、本研究は、単離または組換えDNA、またはそのフラグメントの使用を含む。これは、DAP12と相同なタンパクをコードするか、または、ヒトDAP12をコードするcDNAをPCRまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用して単離されたものである。この単離されたDNAは、5’および3’近傍に各調節配列を有し得る(例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリA付加シグナル他)。
「単離された」核酸とは、例えば、RNA、DNAまたは混合ポリマーといった核酸であり、これは、天然においてネイティブな配列に伴う他の成分(例えば、リボゾーム、ポリメラーゼおよび原種由来の隣接したゲノム配列)から実質的に分離されている。本発明は、その天然に存在している環境から除かれた核酸配列を含み、そして組換えまたはクローン化したDNA単離物および化学的に合成したアナログまたは異種系で生物学的に合成したアナログを含む。実質的に純粋な分子は、単離された形態の分子を含む。
単離された核酸は、一般的に、分子の均質な組成物である。しかし、いくつかの実施態様において、わずかな異種性を含む。この異種性は、代表的に、所望の生物学的機能または活性に重要でないポリマー末端または部分に認められる。あるいは、精製した配列の混合物が、例えば、縮重PCR法において混合され得る。
「組換え」核酸は、その産生の方法またはその構造のいずれかによって規定される。その産生法に言及するとき(例えば、ある方法によって作製される産物)、この方法は、例えば、ヌクレオチド配列におけるヒト介入を含む、組換え核酸技術の利用である。あるいは、それは、天然にはお互い連続しない2つのフラグメントの融合を含む配列の生成によって調製される核酸であり得るが、天然の産物、例えば天然に存在する変異体は除外されることを意味する。従って、例えば、そのような天然には存在しないベクターで細胞を形質転換によって調製される産物が含まれ、同様に、合成オリゴヌクレオチド法を使用して得られる配列含む核酸が含まれる。そのようなことは、あるコドンを、同じアミノ酸または保存アミノ酸をコードする重複コドンで置き換えるためにしばしば行われ、同時に、例えば、制限部位または配列認識部位を代表的に導入または除去することが行われる。あるいは、単一の遺伝体(genetic entity)を生成するために所望の機能の核酸セグメントをお互いに結合してなされる。この遺伝体は、一般に入手できる天然の形態には見出されない所望の機能の組み合わせを含む。制限酵素認識部位は、しばしばそのような人工操作の標的である。しかし、他の部位特定標的(例えば、プロモーター、DNA複製部位、調節配列、制御配列または他の有用な特徴)が、設計によって組み込まれ得る。同様の概念が組換え体(例えば、融合、ポリペプチド)に意図される。特に含まれるのは、遺伝コードの縮重により、これらの抗原のフラグメントと同様のポリペプチドをコードする合成核酸、および様々な異なった種変異体由来の配列融合物である。
核酸の文脈で、「フラグメント」とは、少なくとも約17ヌクレオチドの連続したセグメントであり、一般に、少なくとも20ヌクレオチド、より一般的に、少なくとも約23ヌクレオチド、通常、少なくとも約26ヌクレオチド、より通常、少なくとも約29ヌクレオチド、しばしば、少なくとも約32ヌクレオチド、よりしばしば、少なくとも約35ヌクレオチド、代表的に、少なくとも約38ヌクレオチド、より代表的に、少なくとも約41ヌクレオチド、通常、少なくとも約44ヌクレオチド、より通常少なくとも約47ヌクレオチド、好ましくは、少なくとも約50ヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも約53ヌクレオチド、そして特に好ましい実施態様においては少なくとも約56またはそれ以上のヌクレオチド(例えば、60、75、100、150、200、250、300など)である。
例えば、DAP12タンパク質をコードするDNAは、関連したまたは相同な抗原をコードする遺伝子、mRNAおよびcDNA種、および異なった種由来の相同なタンパク質をコードするDNAを同定するのに特に有用である。様々なDAP12タンパク質は、配列において同様であるはずであり、そして本明細書に含まれる。しかし、DAP12とより離れた進化的関係を有するタンパク質でさえ、もし、十分な類似性を示すならば、これらの配列を使用して容易に単離され得る。霊長類のDAP12、DAP10およびMDL−1タンパク質は、特に興味がもたれる。
本発明は、本明細書で示された単離DNAと同一または高い相同性のDNA配列を有する組換えDNA分子およびフラグメントをさらに包含する。特に、この配列は、しばしば、転写、翻訳およびDNA複製を制御するDNAセグメントと作動可能に結合される。あるいは、ゲノム配列(例えば、イントロンを含んだもの)由来の組替えクローンは、トランスジェニック研究(例えば、トランスジェニック細胞およびトランスジェニック生物を含む)および遺伝子治療に有用である。例えば、Goodnow(1992)「トランスジェニック動物」Roitt編、Encyclopedia of Immunology、Academic Press、San Diego、1502−1504頁;Travis(1992)Science 256:1392−1394;Kuhnら(1991)Science 254:707−710;Capecchi(1989)Science 244:1288;Robertson(1987 編)Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach、IRL Press、Oxford;およびRosenberg(1992)J.Clinical Oncology 10:180−199を参照のこと。天然の遺伝子配列と異種プロモーターとの作動可能な会合もまた提供され、同様に、例えば、受容体パートナーと共にDAP12をコードするベクターが提供される。
相同な核酸配列は、比較されたとき、有意な配列の類似性を示す。核酸における相同性の基準は、配列の比較によって当業者に通常使用される相同性の測定か、またはハイブリダイゼーション条件に基くものいずれかである。ハイブリダイゼーション条件は、以下に非常に詳細に記載されている。
配列比較については、代表的には、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列がコンピューターに入力され、必要ならば、サブ配列の座標が指定され、そして配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。次に、配列比較アルゴリズムによって、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性が、指定されたプログラムパラメーターに基づいて計算される。
比較のための配列の光学的な整列が、実施され得る。これは、例えば、SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482の局所相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性配列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピューター化された手段(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって、または可視検査(一般に、Ausubelら、前記を参照のこと)による。
有用なアルゴリズムの1つの例は、PILEUPである。PILEUPは、斬新的な対形式の整列を使用して、1群の関連配列から多数の配列整列を作成して、関係およびパーセント配列同一性を示す。また、整列を作成するために使用されたクラスター関係を示す、ツリーまたは樹状図をプロットする。PILEUPは、FengおよびDoolittle (1987) J. Mol. Evol. 35:351−360の斬新的整列方法の簡素化されたものを使用する。使用される方法は、HigginsおよびSharp (1989) CABIOS 5:151−153によって記載される方法に類似する。プログラムは、300配列、各々、最大長5,000ヌクレオチドまたはアミノ酸まで整列し得る。この多数整列手順は、2つの最も類似の配列の対形式整列で開始し、2つの整列した配列のクラスターを生じる。次いで、このクラスターを、整列した配列の次の最も関連した配列またはクラスターに対して整列させる。配列の2つのクラスターを、2つの個々の配列の対形式整列の単純な延長によって整列させる。最後の整列を、一連の斬新的な対形式整列によって達成する。このプログラムは、配列比較の領域について特異的配列およびそのアミノ酸またはヌクレオチド座標を指定することによって、およびプログラムパラメータを指定することによって実行される。例えば、以下のパラメータを使用して、参照配列を他の試験配列と比較してパーセント配列同一性関係を決定し得る:デフォルトギャップ重(3.00)、デフォルトギャップ長重(0.10)、および加重末端ギャップ。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するために適切であるアルゴリズムの他の例は、BLASTアルゴリズムであり、これは、Altschulら (1990) J. Mol. Biol. 215:403−410に記載される。BLAST分析を行うためのソフトウエアは、the National Center for Biotechnology Information (http:www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって公衆に利用可能である。このアルゴリズムは、最初に問題の配列における長さWの短い語(word)を同定することによって高スコアリング配列対(HSP)を同定することを含み、これは、データベース配列において同じ長さの語と整列した場合、いくつかのポジティブな値の閾値スコアTに適合するかまたはそれを満たすかのいずれかである。Tは、近傍語スコア閾値と呼ばれる(Altschulら、前記)。これらの最初の近傍語ヒットは、それらを含むより長いHSPを見いだすために検索を開始するためのシードとして作用する。次いで、語ヒットは、累加した整列スコアが増加し得る限り、各配列に沿った両方向に伸長させる。各方向への語ヒットの伸長は、以下の場合停止される:累加した整列スコアがその最大達成値から量Xだけ減少する場合;1つ以上のネガティブなスコアリング残基整列の蓄積に起因して、累加したスコアがゼロ以下になる場合;あるいは、いずれかの配列の末端に達した場合。BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、およびXは、整列の感度およびスピードを決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、11の語長(W)、50のBLOSUM62スコアリングマトリクス(HenikoffおよびHenikoff (1989) Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 89:10915を参照のこと)整列(B)、10の期待値(E)、M=5、N=4、および両方の鎖の比較を使用する。
パーセント配列同一性を算出することの他に、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計学的分析を行う(例えば、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 90:5873−5787を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の適合が、偶然に生じる確率の指標を提供する。例えば、参照核酸に対する試験核酸の比較における最小合計確率が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は、参照配列に類似するとみなされる。
ポリペプチドの2つの核酸配列が、実質的に同一であることのさらなる指標は、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、以下に記載のように、第2の核酸によってコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であることである。したがって、ポリペプチドは、代表的には、例えば、2つのペプチドが保存的置換のみによって異なる場合、第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの他の指標は、以下に記載のように、2つの分子が、ストリンジェント条件下で互いにハイブリダイズすることである。
核酸配列比較状況における実質的同一とは、セグメントまたはその相補鎖のいずれかが、比較される場合、適切なヌクレオチド挿入または欠失を伴って最適に整列される場合に、そのヌクレオチドの少なくとも約50%において、一般には少なくとも約56%、より一般には少なくとも約59%、普段は少なくとも約62%、より普段は少なくとも約65%、頻繁には少なくとも約68%、より頻繁には少なくとも約71%、代表的には少なくとも約74%、より代表的には少なくとも約77%、通常少なくとも約80%、より通常には少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95〜98%またはそれより高く、そして特定の実施態様において、そのヌクレオチドの約99%以上高く同一であることを意味する。あるいは、実質的な同一性は、そのセグメントが選択的ハイブリダイゼーション条件下で、代表的には表1に由来する配列を用いて、鎖またはその相補物に対してハイブリダイズする場合に存在する。代表的には、少なくとも約14ヌクレオチドのストレッチに対して少なくとも約55%、好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約75%、そして最も好ましくは少なくとも約90%の相同性が存在する場合に、選択的ハイブリダイゼーションが生じる。Kanehisa(1984)Nuc.Acids Res.12:203−213を参照のこと。相同性比較の長さは、記載されるように、より長いストレッチに対してであり得、そして特定の実施態様においては少なくとも約17ヌクレオチド、通常少なくとも約20ヌクレオチド、より通常には少なくとも約24ヌクレオチド、代表的には少なくとも約28ヌクレオチド、より代表的には少なくとも約40ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50ヌクレオチド、そしてより好ましくは少なくとも約75〜100またはそれより多いヌクレオチド(例えば、125、150、200、250、300など)のストレッチに対してである。
ストリンジェント条件は、ハイブリダイゼーション状況における同一性について言及する場合、塩、温度、有機溶媒およびハイブリダイゼーション反応において代表的に制御される他のパラメーターのストリンジェントな組合せ条件である。ストリンジェントな温度条件は、通常、約30℃を超える、より通常には約37℃を超える、代表的には約45℃を超える、より代表的には約55℃を超える、好ましくは約65℃を超える、そしてより好ましくは約70℃を超える温度を含む。ストリンジェント塩条件は、通常、約500mM未満、通常約350mM未満、より通常は約200mM未満、代表的には約150mM未満、好ましくは約100mM未満、そしてより好ましくは約50mM未満である。しかし、パラメーターの組合せは、任意の単一のパラメーターの尺度よりもはるかにより重要である。例えば、WetmurおよびDavidson(1968)J.Mol.Biol.31:349−370を参照のこと。ストリンジェント条件下のハイブリダイゼーションは、バックグラウンドに対して少なくとも2倍のバックグラウンド、好ましくは少なくとも3〜5倍またはそれを超えるバックグラウンドを与えるべきである。
他のヒト被験体からのDAPまたはMDLは、ハイブリダイゼーションまたはPCRによってクローニングおよび単離され得る。あるいは、あまり対立遺伝子特異性を示さない抗体調製物の調製は、発現クローニングアプローチにおいて有用であり得る。対立遺伝子改変体は、例えば、冗長なPCR(例えば、規定のプライマーを使用する)および配列分析の組合せを用いて、それにより、ヒト集団における対立遺伝子改変体についての情報を提供して特徴付けられ得る。
(VII.DAPまたはMDLの作製;模倣体)
DAPまたはMDL抗原あるいはそれらのフラグメントをコードするDNAは、化学合成、cDNAライブラリのスクリーニングにより、または広汎な種々の細胞株または組織サンプルから調製されたゲノムライブラリをスクリーニングすることによって入手され得る。
このDNAは、広汎な種々の宿主細胞において、全長抗原またはフラグメント(このフラグメントは、次いで、例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を生成するために使用され得る)の合成のため;結合研究のため;改変された分子の構築および発現のため;ならびに構造/機能研究のために、発現され得る。各抗原またはそのフラグメントは、適切な発現ベクターで形質転換されまたはトランスフェクトされた宿主細胞において発現され得る。これらの分子は、タンパク質または細胞混入物(例えば、その組換え宿主に由来するもの)を含まないように実質的に精製され得、それゆえ、薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤と合わされるときに、薬学的組成物において特に有用である。この抗原またはその部分は、他のタンパク質との融合物として発現され得る。
発現ベクターは代表的に、所望の抗原遺伝子またはそのフラグメントを含む自己複製性DNAまたはRNA構築物であり、通常適切な宿主細胞において認識される適切な遺伝子制御エレメントに作動可能に連結されている。これらの制御エレメントは、適切な宿主内での発現をもたらし得る。発現をもたらすために必要な特定型の制御エレメントは、使用される最終的な宿主細胞に依存する。一般的に、遺伝子制御エレメントは、原核生物プロモーター系または真核生物プロモーター発現制御系を含み得、そして代表的には転写プロモーター、必要に応じて、転写の開始を制御するオペレーター、mRNA発現のレベルを上昇させる転写エンハンサー、適切なリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳を終結させる配列を含む。発現ベクターはまた、通常、ベクターがその宿主細胞とは独立に複製することを可能にする複製起点を含む。
本発明のベクターは、例えば、ヒトDAP12抗原、または生物学的に活性なポリペプチドをコードするそのフラグメントをコードするDNAを含む。このDNAは、ウイルスプロモーターの制御下にあり得、そして選択マーカーをコードし得る。本発明はさらに、原核生物または真核生物宿主において霊長類DAP12抗原をコードする真核生物cDNAを発現し得るこのような発現ベクターの使用を意図する。ここで、このベクターは、その宿主と適合性であり、そしてその抗原がコードされる真核生物cDNAは、そのベクターを含む宿主の増殖により問題のcDNAが発現されるようにそのベクターに挿入されている。通常、発現ベクターは、その宿主細胞における安定な複製について、または1細胞あたりの所望の遺伝子のコピー数の合計を多大に増加させるための増幅について設計される。発現ベクターが宿主細胞において複製することを要求することが常に必要であるわけではない。例えば、種々の宿主において、その宿主細胞によって認識される複製起点を含まないベクターを用いてその抗原またはそのフラグメントの一過性発現をもたらすことも可能である。ヒトDAP12遺伝子またはそのフラグメントの、組換えによる宿主DNAへの組込みを生じるベクターを使用することもまた可能である。
本明細書において使用される場合、ベクターは、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組込み可能なDNAフラグメント、およびDNAフラグメントの宿主のゲノムへの組込みを可能にする他のビヒクルを含む。発現ベクターは、作動可能に連結された遺伝子の発現をもたらす遺伝子制御エレメントを含む、特殊化されたベクターである。プラスミドは、最も一般的に使用される形態のベクターであるが、等価な機能を果たし、そして公知のまたは公知になる、他の全ての形態のベクターもまた本明細書における使用に適する。例えば、Pouwelら、(1985および補遺)Cloning Vectors:A Laboratory Manual、Elsevier、N.Y.およびRodriguezら、(1988)(編)Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses、Buttersworth、Boston、MAを参照のこと。
形質転換された細胞は、組換えDNA技術を使用して構築されたヒトDAP12で形質転換またはトランスフェクトされた細胞、好ましくは哺乳動物細胞である。形質転換された宿主細胞は、通常、抗原またはそのフラグメントを発現するが、そのDNAのクローニング、増幅および操作の目的には、そのタンパク質を発現することは必要ではない。本発明はさらに、栄養培地において形質転換された細胞を培養すること、従ってその培養物においてタンパク質が蓄積することを可能にすることを意図する。このタンパク質は、その培養物または培養培地のいずれかから回収され得る。
本発明の目的のために、DNA配列は、それが互いに機能的に関連する場合、作動可能に連結している。例えば、プレ配列または分泌リーダーについてのDNAは、それがプレタンパク質として発現されるか、またはポリペプチドを細胞膜もしくはそのポリペプチドの分泌へと指向させるのに関与する場合、そのポリペプチドに作動可能に連結されている。プロモーターは、それがポリペプチドの転写を制御する場合、コード配列に作動可能に連結されている;リボソーム結合部位は、それが翻訳を可能にする位置にある場合、コード配列に作動可能に連結されている。通常、作動可能な連結とは、連続でかつインフレームであることを意味するが、しかし、リプレッサー遺伝子のような特定の遺伝子エレメントは、オペレーター配列に連続して連結していないが、なお結合しており、これは次いで発現を制御する。
適切な宿主細胞は、例えば、原核生物、下等真核生物および高等真核生物を含む。原核生物は、グラム陰性およびグラム陽性の両方の生物を含む(例えば、E.coliおよびB.subtilis)。下等真核生物は、酵母(例えば、S.cerevisiaeおよびPichia)、およびDictyostelium属の種を含む。高等真核生物は、非哺乳動物起源(例えば、昆虫細胞および鳥類)および哺乳動物起源(例えば、ヒト、霊長類および齧歯類)の動物細胞から樹立された組織培養細胞株を含む。
原核生物宿主ベクター系は、多数の異なる種について広汎な種々のベクターを含む。本明細書において使用される場合、E.coliおよびそのベクターは、他の原核生物において使用される等価なベクターを包含するために遺伝的に使用される。DNAを増幅するための代表的なベクターは、pBR322またはその多くの誘導体である。例えば、ヒトDAP12抗原またはそのフラグメントを発現するに使用され得るベクターは、以下を含むようなベクターを含むがそれらに限定されない:lacプロモーター(pUC系列);trpプロモーター(pBR322−trp);Ippプロモーター(pIN系列);λ−pPまたはpRプロモーター(pOTS);またはptacのようなハイブリッドプロモーター(pDR540)。Brosiusら(1988)「Expression Vectors Employing λ−、trp−、lac−、and Ipp−derived Promoters」、RodriguezおよびDenhardt(編)、Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Buttersworth、Boston、第10章、205−236頁を参照のこと。
下等真核生物(例えば、酵母およびDictyostelium)は、例えば、ヒトDAP12抗原配列含有ベクターを用いて形質転換され得る。本発明の目的のために、最も一般的な下等真核生物宿主は、パン酵母であるSaccharomyces cerevisiaeである。これは、下等真核生物を一般的に代表するために使用されるが、他の多数の株および種もまた利用可能である。酵母ベクターは代表的に、複製起点(組込み型でなければ)、選択遺伝子、プロモーター、所望のタンパク質またはそのフラグメントをコードするDNA、ならびに翻訳終結、ポリアデニル化および転写終結のための配列からなる。酵母について適切な発現ベクターは、3−ホスホグリセレートキナーゼおよび種々の他の解糖酵素遺伝子のプロモーターのような構成性プロモーター、またはアルコールデヒドロゲナーゼ2プロモーターもしくはメタロチオネインプロモーターのような誘導性のプロモーターを含む。適切なベクターは、以下の型の誘導体を含む:自己複製性低コピー数(例えば、YRp系列)、自己複製性多コピー数(例えば、YEp系列);組込み型(例えば、YIp系列);またはミニ染色体(例えば、YCp系列)。
高等真核生物組織培養細胞は、機能的に活性なヒトDAPまたはMDL抗原タンパク質の発現について好ましい宿主細胞である。原理的には、多くの高等真核生物組織培養細胞株が作動可能である(例えば、昆虫バキュロウイルス発現系(無脊椎動物供給源由来であれ、脊椎動物供給源由来であれ))。しかし、哺乳動物細胞は、プロセシングが翻訳と同時および翻訳後の両方であるので好ましい。このような細胞の形質転換またはトランスフェクションおよび増殖は、慣用手順となった。有用な細胞株の例は、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、ベイビーラット腎臓(BRK)細胞株、昆虫細胞株、トリ細胞株およびサル(COS)細胞株を含む。そのような細胞株についての発現ベクターは通常、複製起点、プロモーター、翻訳開始部位、RNAスプライス部位(ゲノムDNAが使用される場合)、ポリアデニル化部位、および転写終結部位を含む。これらのベクターはまた通常、選択遺伝子または増幅遺伝子を含む。適切な発現ベクターは、例えば、アデノウイルス、SV40、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、またはサイトメガロウイルスのような供給源に由来するプロモーターを有する、プラスミド、ウイルス、またはレトロウイルスであり得る。適切な発現ベクターの代表例は、pCDNA1;pCD(Okayamaら、(1985)Mol.Cell Biol.5:1136−1142を参照のこと);pMC1neo ポリA(Thomasら、(1987)Cell 51:503−512を参照のこと);およびpAC373またはpAC610のようなバキュロウイルスベクターを含む。
ヒトDAPまたはMDL抗原ポリペプチドを、特定のまたは規定されたグリコシル化パターンを提供する系において発現することがしばしば所望される。この場合において、通常のパターンは、その発現系により天然に供給されるものである。しかし、そのパターンは、そのポリペプチド(例えば、非グリコシル化形態)を、異種発現系に導入された適切なグリコシル化タンパク質に曝露することによって改変され得る。例えば、DAP12抗原遺伝子は、哺乳動物または他のグリコシル化酵素をコードする1以上の遺伝子と共に同時形質転換され得る。このアプローチを使用して、特定の哺乳動物グリコシル化パターンは、原核生物または他の細胞において達成可能であるかまたは近付けられる。
DAP抗原はまた、ホスファチジルイノシトール(PI)に結合された形態で産生され得るが、ホスファチジルイノシトール切断酵素(例えば、ホスファチジルイノシトールホスホリパーゼC)を用いた処理によって膜から取り出され得る。これは、その抗原を、生物学的に活性な形態で放出し、そしてタンパク質化学の標準的な手順による精製を可能にする。例えば、Low(1989)Biochim.Biophys.Acta 988:427−454;Tseら(1985)Science 230:1003−1008;およびBrunnerら(1991)J.Cell.Biol.114:1275−1283を参照のこと。あるいは、精製セグメントを、その配列中で、例えば、N末端またはC末端にて操作して、そのタンパク質産物の精製または検出の補助をし得る。そのようなセグメントを除去する手段もまた、操作され得る(例えば、プロテアーゼ切断部位)。
配列の全体が公知であるので、霊長類のDAPまたはMDL抗原、そのフラグメントまたは誘導体は、ペプチドを合成するための従来のプロセスによって調製され得る。これらは、以下に記載されるようなプロセスを含む:StewartおよびYoung(1984)Solid Phase Peptide Synthesis、Pierce Chemical Co.、Rockford、IL;BodanszkyおよびBodanszky(1984)The Practice of Peptide Synthesis、Springer−Verlag、New York;およびBodanszky(1984)The Principles of Peptide Synthesis、Springer−Verlag、New York。例えば、アジドプロセス、酸塩化物プロセス、酸無水物プロセス、混合無水物プロセス、活性エステルプロセス(例えば、p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、またはシアノメチルエステル)、カルボジイミダゾールプロセス、酸化還元プロセス、またはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCD)/付加プロセスが使用され得る。固相合成および液相合成の両方は、上記のプロセスに適用可能である。
ヒトDAPまたはMDL抗原、フラグメントまたは誘導体が、ペプチド合成において代表的に使用されるように、一般に、いわゆる段階プロセス(これは、アミノ酸を末端アミノ酸と、1つずつ順番に縮合する工程を含む)によるか、または末端アミノ酸にペプチドフラグメントを結合させることにより、上記のプロセスに従って適切に調製される。結合反応において使用されないアミノ基は、不正確な位置での結合を予防するために保護されねばならない。
固相合成が適用される場合、C末端アミノ酸は、そのカルボキシル基を介して不溶性キャリアまたは支持体に結合される。その不溶性キャリアは、それが反応性カルボキシル基への結合能を有する限り、特に限定されない。このような不溶性のキャリアの例は、ハロメチル樹脂(例えば、クロロメチル樹脂またはブロモメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、フェノール樹脂、tert−アルキルオキシカルボニルヒドラジド化樹脂などを含む。
アミノ基保護アミノ酸は、その活性化されたカルボキシル基と以前に形成されたペプチドまたは鎖の反応性アミノ基との縮合を介して順番に結合されて、ペプチドをステップバイステップに合成する。完全な配列を合成した後、ペプチドを、不溶性キャリアから分離して、そのペプチドを産生する。この固相アプローチは、Merrifieldら(1963)、J.Am.Chem.Soc.85:2149−2156によって一般的に記載される。
調製された抗原およびそのフラグメントは、ペプチド分離の手段(例えば、抽出、沈澱、電気泳動および種々の形態のクロマトグラフィーなど)によって反応混合物から単離および精製され得る。本発明のヒトDAP12抗原は、その所望される用途に応じて、種々の程度の純度で入手され得る。精製は、本明細書に開示されるタンパク質精製技術の使用によって、または本明細書に開示される抗体の使用によって、例えば、免疫吸着アフィニティークロマトグラフィーにおいて達成され得る。この免疫吸着アフィニティークロマトグラフィーは、例えば、まずその抗体を固相支持体に結合し、次いでその結合された抗体を細胞の可溶化した溶解物、例えば、DAP12抗原を発現する他の細胞の溶解物、あるいはDNA技術の結果としてDAP12抗原を産生する細胞の溶解物または上清と接触させることによって実行される。下記を参照のこと。
(VIII.用途)
本発明は、本明細書において他の場所、例えば、発達異常または生理的異常についての一般的な説明において、または診断のためのキットの説明において下記に記載されるように、診断適用において用途が見い出される試薬を提供する。
白血球の活性化において重要であるレセプターの多く(T細胞抗原レセプター、およびイムノグロブリンおよびFcレセプターを含む)は、内因性シグナル伝達特性を欠くが、それらのシグナルをイムノレセプターチロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM、YxxL−6〜8アミノ酸スペーサ−−YxxL)をそれらの細胞質ドメインに含む他の膜タンパク質との非共有結合によって伝達する。例えば、T細胞抗原レセプターは、ITAM配列を含むCD3γ、δ、ε、およびζタンパク質と会合する。同様に、B細胞上の表面イムノグロブリンは、ITAM配列を含み、そしてシグナル伝達に必要であるCD79AおよびCD79Bと会合する。NK細胞上のIgG(CD16)についてのFcレセプターは、CD3ζまたはIgE Fcレセプターγサブユニット(両方ともITAMを含む)と会合し、そしてマスト細胞上の高親和性IgEレセプターはIgE Fcレセプターγサブユニットと会合する。従って、ITAMを含む会合したタンパク質は、白血球上の活性化レセプターの集合における一般的な戦略を代表する。
近年、構造的に多様である、白血球レセプターファミリーのいくつかの新たなファミリーが同定された。特定のイソ形態のKIR、ILT/MIR、Ly49、およびCD94/NKG2のファミリーのレセプターは、陽性シグナル伝達と関連するが;しかし、これらの分子(例えば、KIR−NKAT5、KIR−cl39、ILT1、gp91/PIR、およびCD94)は、それらの細胞質ドメインにおいて、陽性シグナル伝達能力に一致する配列を欠いている。
T細胞抗原レセプター、免疫グロブリンレセプター、およびFcレセプターは全て、ITAMを含む他の小さなサブユニットとの会合によりシグナル伝達機能を達成するとすると、これらの他の白血球レセプターは同様のストラテジーを使用し得ると思われる。
従って、利用可能な配列データベースが、ヒトおよびマウスのCD3γ、δ、ε、およびζ、ならびにIgE Fcレセプターγ鎖のタンパク質配列を用いて探索された。膜貫通セグメントに酸性残基(D)および細胞質ドメインに完全ITAM配列を有する約12kdの推定膜タンパク質をコードする、LVA03Aと称されるESTが、同定された。この短い細胞外ドメインにおけるシステイン残基は、この分子がジスルフィド結合ダイマーとして発現し得ることを示唆する。分布研究は、この遺伝子がマクロファージ、樹状細胞、いくつかのT細胞、およびNK細胞において転写されることを示す。このタンパク質はDNAX活性化タンパク質12(DAP12)と称されている。類似の遺伝子もまた同定され、DAP10と称されているが、これはITIMモチーフを有する。
ITAMを含有するレセプターは全て、白血球機能(例えば、T細胞抗原レセプター、免疫グロブリンレセプター、Fcレセプター)を誘導するのに重要である。従って、おそらくDAP12は白血球中のシグナル伝達において重要な役割をもつ。DAP12のアゴニストおよびアンタゴニストはそれぞれ、免疫応答(すなわち、増殖、サイトカイン産生、アポトーシスの誘導、または細胞媒介細胞傷害性の誘発)の増強または阻害のいずれかにおいて有用性を提供するはずである。
YxxMモチーフを含むレセプターは、いくらかのシグナル伝達分子(例えば、CD28、CTLA−4、およびCD19)において重要であると同定されている。従って、DAP10はおそらく、シグナル伝達において重要な役割を持つ。DAP10のアゴニストおよびアンタゴニストはそれぞれ、免疫応答(すなわち、増殖、サイトカイン産生、アポトーシスの誘導、または細胞媒介細胞傷害性の誘発)の増強または阻害のいずれかにおいて有用性を提供するはずである。
DAP12は、いくつかの異なる膜レセプター、例えばT細胞抗原レセプター、プレT細胞抗原レセプター、免疫グロブリンレセプター、Fcレセプター、KIRファミリーのレセプター、ILT/MIRファミリーのレセプター、LAIRファミリーのレセプター、gp91/PIRファミリーのレセプター、Ly49ファミリーのレセプター(特にLy49DおよびLy49H)、およびCD94/NKG2ファミリーのレセプターに必然的には限定しないが、これらと非共有結合的に会合し得ることが予想される。この中に、MDL−1がある。従って、前記レセプターとのDAP12相互作用に影響する試薬は、これらの分子の機能を、治療処置について増強あるいは抑制し得る(すなわち、ワクチン接種または免疫不全疾患について免疫を増強するか、自己免疫疾患または移植の場合の免疫応答を抑制する)。DAPと、これらのレセプターのいずれか1つとの組合せは、例えばこの相互作用および引き続きのシグナル伝達の妨害因子についての薬物のスクリーニングのために、それらの相互作用から生じる構造複合体に対する抗体と同様に、有用である。
このDAP12は、β2様インテグリンシグナル伝達の役割を演じ得る。β2インテグリンが、Sykを含むP Tyrキナーゼ依存性シグナルを伝達し得ることは明らかである。Sykノックアウトにおいて、β2はシグナル伝達しない。この経路はまたおそらく、負の調節因子としてFcγR(単球/マクロファージおよびB細胞中)を含む。しかし、Sykがβ2インテグリンと会合する既知の道はない。なぜなら、これらは、それらの細胞質ドメイン中にITAM含有配列を有さないからである。さらに、この公知のITAM含有タンパク質がβ2と会合し得るという証拠はない。従って、DAP12は、β2と会合するものについての有力候補または原型である。
本発明はまた、顕著な治療値を有する試薬を提供する。ヒトDAP12またはDAP10(天然に存在するまたは組換え)、そのフラグメント、およびそれに対する抗体は、霊長類DAPへの結合親和性を有すると同定された化合物とともに、異常増殖、例えば、ガン様状態または変性性状態を含む、異常なB細胞応答に関連する状態の処置に有用であるはずである。異常増殖、再生、変性、および萎縮は、本明細書で提供される組成物を使用する適切な治療処置によって調節され得る。例えば、DAP12の異常な発現または異常な誘発に関連する疾患または障害は、この抗原のアゴニストまたはアンタゴニストについての可能性の高い標的であるはずである。DAP12はおそらく、免疫細胞の活性化または調節の役割を演じ、これは免疫学的応答(例えば自己免疫障害またはアレルギー反応)に影響を及ぼす。
さらに、DAP:DAP結合パートナー相互作用は、相互作用する細胞を活性化、増殖、および/または分化させるT、NK、DC、または単球細胞相互作用に関与し得る。そうであれば、処置は、このDAP:DAP結合パートナーシグナル伝達(特に、増殖、サイトカイン産生、アポトーシスの誘導、または細胞媒介細胞傷害性の誘発のような免疫応答を増強または阻害する)への干渉により生じ得る。このシグナルの遮断は、例えば可溶性DAPまたはDAPに対する抗体、あるいはこのDAPとそのレセプター複合体パートナーとの機能的な相互作用を破壊する薬物により、もたらされ得る。
他の異常発生状態は、ノーザンブロット分析によってDAP12またはDAP10 mRNAを有することが示される細胞タイプ、例えば、リンパ球、NK、単球、および樹状細胞のそれぞれで公知である。Berkow (編) The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, Merck & Co., Rahway, NJ;およびThornら Harrison’s Principles of Internal Medicine, McGraw−Hill, NYを参照のこと。例えば、治療免疫抑制は、この分子を介するTリンパ球およびBリンパ球相互作用をブロックすることにより達成され得る。それは、移植中の自己免疫疾患および移植片注入を制御するための重要な治療を表す。この遮断は、ブロッキング結合組成物、例えば中和抗体でもたらされ得る。
組換えDAPまたはDAP抗体は、精製され得、次いで患者に投与され得る。これらの試薬を、生理学的に無害の安定化剤および賦形剤とともに、例えば、従来の薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤(例えば、免疫アジュバント)中で、追加の活性成分と、治療用途のために組み合わせ得る。これらの組み合わせおよび提供された組成物を滅菌濾過し、そして投与バイアル中の凍結乾燥によるような投与形態で、または安定化した水性調製物中での貯蔵に置かれ得る。本発明はまた、補体結合しない抗体またはその結合フラグメントの使用を意図する。
DAPまたはそのフラグメントを使用する薬物スクリーニングは、会合した成分の単離を含む、DAPへの結合親和性を有する化合物を同定するために実施され得る。次いで、その後の生物学的アッセイは、化合物が本来の刺激活性を有するかどうか、そしてしたがって、これがシグナル伝達を遮断するという点で、ブロッカーまたはアンタゴニストであるかどうかを決定するために利用され得る。同様に、固有の刺激活性を有する化合物は、抗原を活性化し得、したがって、これがDAPの活性を刺激するという点で、アゴニストである。本発明は、さらに、アンタゴニストとしてのDAPに対する抗体の治療使用を意図する。このアプローチは、他のDAPまたはMDL種改変体に特に有用であるはずである。
効果的治療に必要な試薬の量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、および投与される他の製剤を含む、多くの異なる因子に依存する。したがって、処置投与量は、安全性および効率を最適にするために滴定されるべきである。代表的には、インビトロで使用される投与量は、これらの試薬のインサイチュ投与に有用な量で有用なガイダンスを提供し得る。特定の障害の処置に有効な用量の動物テストは、ヒト投与量の予測指標をさらに提供する。種々の考察が、例えば、Gilmanら (1990編) Goodman and Gilman’s: The Pharmacological Bases of Therapeutics (第8版) Pergamon Press;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences (第17版) (1990)、Mack Publishing Co., Easton, Penn.に記載される。投与方法は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、または筋肉内投与、経皮拡散などについて、本明細書中および以下に議論される。薬学的に受容可能なキャリアには、水、生理食塩水、緩衝液、および例えば、Merck Index, Merck & Co., Rahway, New Jerseyに記載の他の化合物が挙げられる。投与量範囲は、適切なキャリアとともに、通常は1mMより低い濃度、代表的には約10μMより低い濃度、通常は約100nMより低い濃度、好ましくは約10pM(ピコモル濃度)より低い濃度、および最も好ましくは約1fM(フェムトモル濃度)より低い濃度の量であると予測される。徐放性処方物、または徐放性装置は、しばしば、持続投与に利用される。
ヒトDAPまたはMDL、そのフラグメント、およびそれに対する抗体またはそのフラグメントに対する抗体、アンタゴニスト、およびアゴニストは、処置される宿主に直接投与され得、あるいは化合物のサイズに依存して、投与前にオボアルブミンまたは血清アルブミンのようなキャリアタンパク質にそれらを結合体化することが望ましくあり得る。治療処方物は、多くの従来の投与処方物中で投与され得る。活性成分が単独で投与されることは可能であるが、薬学的処方物としてそれを提示することが好ましい。処方物は、代表的には、その1つ以上の受容可能なキャリアとともに、上記で定義したように、少なくとも1つの活性成分を含む。各キャリアは、他の成分と適合可能であるという意味で薬学的かつ生理学的の両方で受容可能であるべきであり、そして患者に有害であってはならない。処方物は局所的な、経口、直腸、鼻、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)投与に適切なものを含む。処方物は、便利に単位投与形態で、滅菌形態で存在され得、そして薬学の技術分野で周知の多くの方法によって調製され得る。例えば、Gilmanら (1990編) Goodman and Gilman’s: The Pharmacological Bases of Therapeutics (第8版) Pergamon Press;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences (第17版) (1990)、Mack Publishing Co., Easton, Penn.を参照のこと。本発明の治療は、他の薬剤と併用されるか、あるいは関連して使用され得る。
本発明のDAPまたはMDL抗原の天然に存在するおよび組換えの両方の形態とも、タンパク質への結合活性について化合物をスクリーニングし得るキットおよびアッセイ方法に、特に有用である。自動化アッセイのいくつかの方法が、短期間で数万の化合物のスクリーニングを可能にするように、近年開発されている。例えば、Fodorら (1991) Science 251:767−773(これは、固体基材上で合成した複数の規定のポリマーによる結合親和性のテストのための手段を記載する)を参照のこと。適切なアッセイの開発は、本発明によって提供されるような大量の精製された可溶性DAPまたはMDL利用可能性によって、非常に容易にされ得る。
例えば、一旦DAPまたはMDLが構造的に定義されると、アンタゴニストが、通常見いだされ得る。潜在的なアンタゴニストのテストをすることは、現在、精製されたDAPまたはMDLを使用する、高度に自動化されたアッセイ法の開発の際に可能である。特に、新しいアゴニストおよびアンタゴニストは、本明細書で有用になったスクリーニング技法を使用することによって発見される。複数のDAP12、DAP10、またはMDL−1タンパク質についての組み合わせ結合親和性を有することが見いだされた化合物、例えば、DAPまたはMDLの対立遺伝子改変体に対するアンタゴニストとして作用し得る化合物が、特に重要である。
さらに、このDAP:DAP結合パートナーを介するシグナル伝達は、他のシグナルと組合せて機能し得るので、このような経路との組合せ治療もまた考えられ得る。従って、複数シグナル経路のアンタゴニズム、または複数経路での刺激は有用であり得る。さらに、このDAP12のMDL−1、および多分またDAP10との関連を用いて、この記載した遺伝子の種々の組合せが重要であり得る。
本発明は、種々の薬物スクリーニング技法のいずれかにおいて組換え抗原を使用することによって化合物をスクリーニングするために特に有用である。特定の化合物についてのスクリーニングにおいて組換えタンパク質を使用する利点は、以下を包含する:(a)特定のソースからのDAP12の改良された再生可能なソース;(b)アッセイにおいてより良好なシグナル/ノイズ比を与える潜在的により多数の細胞当たりの抗原分子;および(c)種改変体特異性(より大きな生物学的および疾患特異性を理論的に与える)。
薬物スクリーニングの1つの方法は、DAPおよび/またはMDLを発現する組換えDNA分子で安定に形質転換される真核生物または原核生物宿主細胞を利用する。他の細胞からの単離またはそのレセプター複合体パートナーとの組合せにおいて、DAPを発現する細胞を単離し得る。このような細胞は、生存可能なまたは固定された形態のいずれかで、標準的抗原/パートナー結合アッセイのために使用され得る。Parceら (1989) Science 246:243−247;およびOwickiら (1990) Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 87:4007−4011(これらは、細胞性応答を検出するための感度の高い方法を記載する)も参照のこと。細胞(DAPのソース)が、抗原に対する既知の結合親和性を有する標識化化合物、およびDAPに対する結合親和性が測定されるテスト化合物と接触およびインキュベートされる、競合アッセイが、特に有用である。次いで、結合化合物および遊離化合物を分離して、結合の程度を評価する。結合したテスト化合物の量は、結合測定した標識化化合物の量に反比例する。多くの技法が、結合の程度を評価するために遊離の化合物から結合したものを分離するために使用され得る。この分離工程は、代表的には、フィルターへの接着その後の洗浄、プラスチックへの接着その後の洗浄、または細胞膜の遠心分離のような手順を包含し得る。生細胞もまた、DAP媒介機能、例えば第2メッセンジャーレベル、すなわちCa++;細胞増殖;イノシトールリン酸プール変換(pool change);などに対する薬物の効果についてスクリーニングするために使用され得る。いくつかの検出方法は、分離工程の削除を可能にする(例えば、近接感度検出システム)。カルシウム感受性色素は、蛍光定量器(fluorimeter)または蛍光細胞選別装置を用いて、Ca++レベルを検出するのに有用である。
他の方法は、ヒトDAPまたはMDLのソースとして形質転換した真核生物または原核生物宿主細胞からの膜を利用する。これらの細胞は、ヒトDAPまたはMDL抗原の発現を指示するDNAベクターで安定に形質転換される。本質的に、膜は、細胞から調製され、そして上記の競合アッセイのようなレセプター複合体結合アッセイで使用される。
さらに他のアプローチは、形質転換された真核生物または原核生物宿主細胞からの可溶化した未精製のDAPまたは可溶化した精製DAPを使用することである。これは、増加した特異性、自動化する能力、および高い薬物テスト処理能力の利点を有する「分子」結合アッセイを可能にする。
薬物スクリーニングのための他の技法は、ヒトDAPまたはMDLに対する適切な結合親和性を有する化合物についての高い処理能力のスクリーニングを提供するアプローチを包含し、そしてGeysen,ヨーロッパ特許出願第84/03564号(1984年9月13日に公開)に詳細に記載される。最初に、多数の異なる小ペプチドテスト化合物を、固体基材(例えば、プラスチックピンまたはいくつかの他の適切な表面)上で合成する。Fodorら(1991)を参照のこと。次いで、すべてのピンを、可溶化した未精製のDAPまたは可溶化した精製DAPと反応させ、そして洗浄する。次の工程は、結合したDAPを検出する工程を包含する。
合理的薬物設計もまた、このDAPまたはMDLおよび他のエフェクターの分子形状の構造研究に基づき得る。エフェクターは、レセプター複合体結合に応じて他の機能を媒介する他のタンパク質、または通常この抗原と相互作用する他のタンパク質であり得る。どの部位が特定の他のタンパク質と相互作用するかを決定するための1つの手段は、物理的構造決定(例えば、x線結晶学または2次元NMR技法)である。これらは、どのアミノ酸残基が分子接触領域を形成するかについてのガイダンスを提供する。タンパク質構造決定の詳細な記載については、例えば、BlundellおよびJohnson (1976) Protein Crystallography Academic Press,New Yorkを参照のこと。
精製DAPまたはMDLは、上述の薬物スクリーニング技術における使用のために、プレート上に直接コートされ得る。しかし、これらの抗原に対する非中和抗体は、捕獲抗体として、この固相上にそれぞれのDAPまたはMDLを固定化するのに使用され得る。
IX.キット
本発明はまた、DAPまたはMDL、あるいは結合パートナーの存在を検出するための種々の診断キットおよび方法における、DAPまたはMDLタンパク質、そのフラグメント、ペプチド、およびそれらの融合産物の使用を意図する。代表的には、キットは、規定のDAPまたはMDLペプチドまたは遺伝子セグメントまたは一方もしくは他方を認識する試薬のいずれかを含む区画を有する。
例えばDAP12に対するテスト化合物の結合親和性を決定するためのキットは、代表的には、テスト化合物;標識化化合物、例えば、DAP12に対して既知の結合親和性を有するレセプター複合体結合パートナーまたは抗体;DAP12のソース(天然に存在するまたは組換え);およびDAP12を固定化するための固相のような、遊離の標識化化合物から結合したものを分離するための手段を含む。一旦化合物がスクリーニングされると、DAP12に対して適切な結合親和性を有する化合物は、それらがアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するかどうかを決定するために、当該技術分野で周知のように、適切な生物学的アッセイで評価され得る。組換えDAP12ポリペプチドの利用可能性はまた、このようなアッセイを校正するための十分定義された標準を提供する。
例えば、試料中のDAP12の、濃度を決定するために好ましいキットは、代表的には、DAP12に対する公知の結合親和性を有する標識化化合物(例えば、抗体)、DAP12のソース(天然に存在するまたは組換え)、および遊離の標識された化合物から結合したものを分離するための手段(例えば、DAP12を固定するための固相)を含む。試薬を含む区画、および説明書が、通常提供される。
試料中のDAP12の濃度を決定する1つの方法は、代表的に以下の工程:(1)DAP12ソースを構成する試料から膜を調製する工程;(2)この膜を洗浄し、それらを緩衝液に懸濁する工程;(3)適切な界面活性剤が添加された培養培地中で、この膜をインキュベートすることによりDAP12を可溶化する工程;(4)この可溶化したDAP12の界面活性剤濃度を調整する工程;(5)前記希釈を放射標識した抗体と接触およびインキュベートし、複合体を形成する工程;(6)例えば、ポリエチレンイミン処理したフィルターを介する濾過によりこの複合体を回収する工程;および(7)この回収した複合体の放射活性を測定する工程、を含む。
ヒトDAPまたはDAPフラグメントに特異的な抗体(抗原結合フラグメントを含む)は、例えばDAPおよび/またはそのフラグメントの上昇したレベルの存在を検出するための診断適用に有用である。このような診断アッセイは、ライゼート、生存細胞、固定した細胞、免疫蛍光、細胞培養物、体液、を用い得、そしてさらに、血清中のDAPに関する抗原の検出などを包含し得る。診断アッセイは、均質(遊離の試薬と抗原−パートナー複合体との間の分離工程なし)または不均質(分離工程あり)であり得る。種々の市販のアッセイが存在し、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相酵素免疫検定法(ELISA)、酵素免疫検定法(EIA)、酵素増倍免疫検定法(EMIT)、基質標識蛍光イムノアッセイ(SLFIA)などである。例えば、非標識化抗体を、標識された、かつDAPまたはその特定のフラグメントに対する抗体を認識する、二次抗体を使用することによって行い得る。これらのアッセイはまた、文献で広く議論されている。例えば、HarlowおよびLane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual, CSHを参照のこと。
抗イディオタイプ抗体は、このようなものが種々の異常状態の診断であり得る場合、ヒトDAPに対する抗体の存在を診断するための類似の用途を有し得る。例えば、DAPの過剰産生は、特に、ガンまたは異常分化のような増殖性細胞状態において、異常な生理学的状態の診断となり得る、種々の免疫学的反応の生成を生じ得る。
頻繁には、診断アッセイのための試薬は、アッセイの感度を最適にするように、キット中に供給される。本発明については、アッセイの性質に依存して、プロトコル、および標識、標識されたまたは標識されていない抗体またはレセプター、あるいは標識されたDAPまたはMDLが提供される。これは、通常、緩衝液、安定化剤、酵素に対する基質のようなシグナル産生に必要な物質などのような、他の添加物と一緒である。好ましくは、このキットはまた、適切な使用および使用後の内容物の処理の仕方の指示書を含む。代表的には、このキットは、各有用な試薬のためのコンパートメントを有する。望ましくは、これらの試薬が、アッセイを行うための試薬の適切な濃度を提供する水性媒体中で再構成され得る場合、試薬は、乾燥した凍結乾燥した粉末として提供される。
薬物スクリーニングおよび診断アッセイの上記の構成成分のいずれかは、改変なしで使用され得、あるいは種々の方法で改変され得る。例えば、標識することは、検出可能なシグナルを直接または間接的に提供する部分を共有または非共有結合することによって達成され得る。これらのアッセイのいずれかにおいて、テスト化合物、DAP、MDL、またはそれらに対する抗体は、直接または間接的に標識され得る。直接的に標識するための可能性は、以下の標識群を包含する:125Iのような放射性標識、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼのような酵素(米国特許第3,645,090号)、および蛍光強度、波長シフト、または蛍光極性化の変化をモニタリングし得る蛍光標識(米国特許第3,940,475号)。これらの両特許は、本明細書中に参考として援用される。間接的に標識するための可能性は、1つの構成成分のビオチン化、次いで上記の標識群の1つにカップリングしたアビジンに結合することを包含する。
また、遊離の結合化合物から結合したものを、あるいは遊離のテスト化合物から結合したものを分離する多くの方法がある。DAPまたはMDLは、種々のマトリクス上に固定化され得、次いで洗浄され得る。適切なマトリクスには、ELISAプレートのようなプラスチック、フィルター、およびビーズが挙げられる。マトリクスにDAPまたはMDLを固定化する方法には、限定することなく、プラスチックへの直接付着、捕獲抗体の使用、化学的カップリング、およびビオチン−アビジンが挙げられる。このアプローチの最後の工程は、例えば、ポリエチレングリコールのような有機溶媒、または硫酸アンモニウムのような塩を利用する方法を含む、いくつかの方法のいずれかによって、抗原/結合化合物複合体の沈殿反応を包含する。他の適切な分離技法には、限定することなく、Rattleら (1984) Clin. Chem. 30:1457−1461に記載のフルオレセイン抗体磁化可能粒子方法、および米国特許第4,659,678号に記載のような二重抗体磁性粒子分離方法が挙げられる。
種々の標識へタンパク質またはそのフラグメントを連結する方法は、文献に広く報告されている。技法の多くは、ペプチド結合を形成するためにカルボジイミドまたは活性エステルのいずれかの使用による活性化されたカルボキシル基の使用、連結のためのクロロアセチルのような活性化ハロゲンまたはマレイミドのような活性化オレフィンとメルカプト基との反応によるチオエーテルの形成などを包含する。融合タンパク質はまた、これらの適用における使用を見いだす。
本発明の別の診断局面は、DAPまたはMDLの配列から得たポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド配列の使用を包含する。これらの配列は、異常状態、例えば、ガンまたは発生問題を有する疑いのある患者からの試料において抗原のレベルを検出するためのプローブとして使用され得る。RNAおよびDNAの両方のヌクレオチド配列の調製、その配列の標識化、およびその配列の好ましいサイズは、文献において広い説明および議論を受け入れている。通常には、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも約14ヌクレオチド、通常は少なくとも約18ヌクレオチドを有するべきであり、そしてポリヌクレオチドプローブは、数キロ塩基までであり得る。種々の標識は、最も一般的には放射性核種、特に32Pを用い得る。しかし、他の技法もまた、例えば、ポリヌクレオチドへの導入のためのビオチン改変されたヌクレオチドを使用して、用いられ得る。次いで、このビオチンは、アビジンまたは抗体に結合するための部位として作用し、これは、放射性核種、蛍光団、酵素などのような広範な種々の標識で標識され得る。あるいは、DNA二重鎖、RNA二重鎖、DNA−RNAハイブリッド二重鎖、またはDNA−タンパク質二重鎖を含む、特異的二重鎖を認識し得る抗体が用いられ得る。次に、抗体が標識され得、そして二重鎖が表面に結合され、そのため表面上の二重鎖の形成の際に、二重鎖へ結合した抗体の存在が検出され得るアッセイを行い得る。新規アンチセンスRNAに対するプローブの使用は、核酸ハイブリダイゼーション、プラスおよびマイナススクリーニング、組換えプロービング、ハイブリッド放出翻訳(HRT)、およびハイブリッド停止翻訳(HART)のような任意の従来の技法において行われ得る。これはまた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような増幅技法を包含する。
他のマーカーの定性的または定量的存在についてもまたテストする診断キットもまた、意図される。診断または予後は、マーカーとして使用される多数の指標の組み合わせに依存し得る。したがって、キットは、マーカーの組み合わせについてテストし得る。例えば、Vialletら(1989) Progress in Growth Factor Res. 1:89−97を参照のこと。
X.レセプター複合体パートナー
本明細書におけるDAPおよびMDLタンパク質の記載は、レセプター複合体パートナーを同定するための手段を提供する。このようなレセプター複合体パートナーは、相当に高い親和性で、DAP12、DAP10、および/またはMDL−1に特異的に結合するはずである。DAPまたはMDLのいずれかの標識化がそのパートナーを検出することを可能にする種々の構築物が、利用可能とされる。例えば、DAP12の直接標識化、二次標識化のためのマーカー(例えば、FLAGまたは他のエピトープタグ)のそれへの融合、Igドメイン融合などが、結合パートナーの検出を可能にする。これは、生化学的精製、または発現クローン化アプローチにおける標識または選択のためのアフィニティー法と同様に、組織学的であり得る。ツーハイブリッド選択システムもまた、利用可能なDAP12配列を有する適切な構築物を作製することに適用され得る。例えば、FieldsおよびSong (1989) Nature 340:245−246を参照のこと。
本発明の広い範囲は、以下の実施例を参考にして最良に理解され、この実施例は、本発明を特定の実施態様に限定することを意図しない。
(I.一般的方法)
標準的方法のいくつかは、例えば、Maniatisら (1982) Molecular Cloning, A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Press;Sambrookら (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第2版) Vol. 1−3, CSH Press, NY;Ausubelら Biology Greene Publishing Associates, Brooklyn, NY;またはAusubelら (1987年および補遺) Current Protocols in Molecular Biology Greene/Wiley, New Yorkに記載または参照される。タンパク質精製の方法には、硫酸アンモニウム沈殿法、カラムクロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、結晶化などのような方法が挙げられる。例えば、Ausubelら (1987年および定期的補遺);Deutscher (1990)「Guide to Protein Purification」Methods in Enzymology vol. 182およびこのシリーズの他の巻;およびタンパク質精製産物の使用における製造業者の文献(例えば、Pharmacia, Piscataway, NJ、またはBio−Rad, Richmond, CA)を参照のこと。組換え技法との組み合わせは、適切なセグメント(例えば、FLAG配列またはプロテアーゼ除去可能配列によって融合され得る等価物)への融合を可能にする。例えば、Hochuli (1989) Chemische Industrie 12:69−70;Hochuli (1990)「Purification of Recombinant Proteins with Metal Chelate Absorbent」Setlow (編) Genetic Engineering, Principle and Methods 12:87−98, Plenum Press, NY;およびCroweら (1992) QIAexpress: The High Level Expression & Protein Purification Sysytem QUIAGEN, Inc., Chatsworth, CAを参照のこと。
標準的な免疫学的技術は、例えば、Hertzenbergら、(1996編)Weir’s Handbook of Experimental Immunology、第1〜4巻、Blackwell Science;Coligan(1991)Current Protocols in Immunology Wiley/Greene,NY;およびMethod in Enzymology 第70、73、74、84、92、93、108、116、121、132、150、162、および163巻に記載されている。神経細胞生物学的活性のためのアッセイは、例えば、Wouterlood(1995編)Neuroscience Protocols modules 10, Elsevier;Methods in Neurosciences Academic Press;およびNeuromethods Humana Press, Totowa, NJに記載されている。発生系の方法は、Meisami(編)Handbook of Human Growth and Developmental Biology CRC Press;およびChrispeels(編)Molecular Techniques and Approaches in Developmental Biology Interscienceに記載されている。
FACS分析は、Melamedら (1990) Flow Cytometry and Sorting Wiley−Liss, Inc., New York, NY;Shapiro (1988) Practical Flow Cytometory Liss, New York, NY;およびRobinsonら (1993) Handbook of Flow Cytometry Methods Wiley−Liss, New York, NYに記載される。
コンピューター配列分析は、例えば、入手可能なソフトウェアプログラム(GCG(U.Wisconsin)およびGenBankソースからのプログラムを含む)を使用して、実施される。公的な配列データベースもまた使用された(例えば、GenBankおよび他)。
(II.PCRによるヒトDAPフラグメントの増幅)
2つのプライマーを、提供された配列に従って設計する。PCR産物を得る機会を増大させるために、ヒトTHP−1細胞、Th1 T細胞、LPS、IFN−γおよびIL−10で活性化された単球、またはNK細胞を使用する。産物を精製し、pCRTMベクター(Invitrogen、San Diego CA)にサブクローン化し、次いで配列決定する。表1、2、および3を参照のこと。
(III.ヒトDAPおよびMDLの組織分布)
ハイブリダイゼーション分析またはPCR分析が使用され得る。ハイブリダイゼーションによる予備データは、マクロファージ、樹状細胞、いくつかのT細胞、およびNK細胞における発現を示唆する。分析は、ノーザン、サザン、またはcDNAノーザン技術によるものであり得る。ウェスタンブロッティングは、適切な抗体または血清を使用して実施され得る。ゲノム配列もまた、標準的な技術によって決定され得る。
ヒトゲノムDNAのサザンブロット分析により、1つのDAP12遺伝子のゲノム構成と一致した制限酵素消化パターンが明らかになった。ノーザンブロット分析は、約0.7kbのDAP12転写物が末梢血白血球およびヒト脾臓に豊富に存在するが、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸または結腸には存在しないことを示した。DAP12転写物は、2つのヒトNK細胞株NKLおよびNK92から単離されたRNAにおいて検出されたが、Jurkat T白血病細胞株またはJY EBV形質転換Bリンパ芽球細胞株においては検出されなかった。cDNAライブラリーの大パネルのサザンブロット分析によって、ヒト末梢血休止単核細胞、樹状細胞(そこからDAP12がクローン化された)、末梢血単球、およびNK細胞株およびクローンにおいてDAP12が優勢に発現していることが明らかになった。
DAP10における初期分布データは、それが、NK細胞、単球、および樹状細胞において高度に発現されていることを示す。それは、EBV形質転換B細胞においては、高度に発現されていないようである。
MDL−1は、その発現が、cDNAライブラリーの大パネルのサザンブロット分析およびRT−PCRにより分析されるように、単球、マクロファージ、および樹状細胞に制限されるようである。MDL−1転写物は、T細胞(プレT細胞、休止T細胞、Th1およびTh2 T細胞株およびクローン)、B細胞、NK細胞、顆粒球、マスト細胞株、および内皮細胞株においては検出されなかった。ヒト胎児組織ライブラリーのパネルは、胎児脾臓ライブラリーとのハイブリダイゼーションを示すが、他のライブラリーとは示さなかった。このことは、MDL−1転写物が非造血起源の細胞タイプでは発現されないことを示唆する。
(IV.げっ歯類DAPおよびMDL cDNAの単離)
表1、2、および3の配列は、マウス対応物の単離を可能にするプローブまたはプライマーの設計を可能にする。霊長類配列およびげっ歯類配列と共に、他の種の対応物が、保存配列(核酸またはエピトープのいずれか)を使用して同定され得る。
(V.単離されたクローンの配列決定)
上記のように単離されたクローンを配列決定するために、標準的な方法が使用される。発現のための適切な構築物を、例えば、E.coli、バキュロウイルス、または哺乳動物細胞タイプにおいて、調製する。好ましい細胞タイプには、Jurkat、TY、またはBaf3が含まれる。ATCCカタログを参照のこと。
(VI.ヒトDAPおよびMDLタンパク質の発現)
可溶性DAP12−FLAGタンパク質は、COS−7細胞において一過的に発現される。アミノ末端またはカルボキシ末端にFLAGペプチドを示すDAP12の組換え形態(Hoppeら、(1988)Biotechnology 6:1205−1210)を、発現ベクターpME18Sに導入し、続いて、エレクトロポレーションによってCOS−7細胞にトランスフェクトする。エレクトロポレートされた細胞を、1% Nutridoma HUを補充したDMEM培地(Boehringer Mannheim、Mannheim、Germany)またはDMEM培地単独で増殖させる。同様の方法をDAP10またはMDL−1についても使用する。
(VII.可溶性DAP FLAGタンパク質の精製)
可溶性DAP12 FLAGを含有する上清を、Chelating Sepharose Fast Flowマトリックス(Pharmacia、Upsalla、Sweden)に付着させたCu++イオンの20mlカラムに通す。結合緩衝液(His−Bind Bufferキット、Novagen、Madison、WI)での洗浄後、金属イオンにより保持されたタンパク質をイミダゾールの勾配を用いて溶出させる。溶出画分中のヒトDAP12 FLAGの含有量を、例えば、抗FLAGモノクローナル抗体M2(Eastman Kodak、New Haven、CT)を用いるドットブロットによるか、または還元SDS−PAGEのクーマシーブルーおよび銀染色によって決定する。次いで、DAP12 FLAGタンパク質含有画分をプールし、そしてPBSに対して透析する。
(VIII.膜DAPまたはMDLの安定発現)
ネイティブな膜形態を発現ベクター(例えば、pMAMneo(Clontech、Palo Alto、California)、これは、デキサメタゾン誘導性MMTV−LTRプロモーターに連結されたRSV−LTRエンハンサーを含む)にサブクローン化する。次いで、この構築物を、エレクトロポレーションによって、NIH−3T3細胞にトランスフェクトする。トランスフェクトされたNIH−3T3細胞を、10%ウシ胎児血清を補充した選択的0.5mg/ml Geneticin(G418;Boeringer−Mannheim、Mannheim、Germany)DMEMに播種する。
安定にトランスフェクトされたNIH−3T3細胞における膜DAP12タンパク質の生化学的特徴付けは、代謝標識化を用いて実施され得る。細胞を、例えば、10%ウシ胎児血清および1μl最終デキサメタゾンを補充したDMEM(Sigma、Saint Quentin Fallavier、France)において培養する。次いで、細胞を35S−Metおよび35S−Cysと共にインキュベートし、細胞タンパク質を標識する。SDS−PAGEにおける還元条件下でのそのタンパク質の分析は、12kDaタンパク質を示すはずであるが、非トランスフェクトNIH−3T3細胞の溶解物では示さない。いくらかの他の構造的特徴は、公知である(例えば、グリコシル化部位など)。
(IX.DAPに特異的な抗体の調製)
近交系Balb/cマウスを、霊長類タンパク質の組換え形態で腹腔内免疫する。動物を、適切な時点で、さらなるアジュバントと共にまたはアジュバントなしでタンパク質で追加免疫し、抗体産生をさらに刺激する。血清を採集するか、またはハイブリドーマを、採取した脾臓を用いて生成した。
あるいは、Balb/cマウスを、その遺伝子またはそれらのフラグメントで形質転換した細胞(内因性または外因性のいずれかの細胞)で、またはその抗原の発現について富化された単離膜で免疫する。血清を、適切な時期、代表的には、多数のさらなる投与後に採集する。種々の遺伝子治療技術が、免疫応答を生成するために、例えば、インサイチュでのタンパク質の産生において、有用であり得る。
モノクローナル抗体が作製され得る。例えば、脾細胞を適切な融合パートナーと融合し、そしてハイブリドーマを標準的な手順によって増殖培地中で選択する。ハイブリドーマ上清を、ヒトDAP12に結合する抗体の存在について、例えば、ELISAまたは他のアッセイによって、スクリーニングする。ヒトDAP12を特異的に認識するが、他の種改変体を認識しない抗体が、選択または調製され得る。
別の方法では、合成ペプチドまたは精製タンパク質を免疫系に提示して、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を生成する。例えば、Coligan(1991)Current Protocols in Immunology Wiley/Greene;およびHarlowおよびLane(1989)Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Pressを参照のこと。適切な状況では、結合試薬は、上記のように(例えば、蛍光または他の方法で)標識されるか、またはパニング方法のための基質に固定化される。核酸はまた、動物中の細胞に導入されて、抗原を産生し得、これは、免疫応答を惹起するように働く。例えば、Wangら(1993)Proc.Nat’l.Acad.Sci.90:4156−4160;Barryら(1994)BioTechniques 16:616−619;およびXiangら(1995)Immunity 2:129−135を参照のこと。
DAPタンパク質の両方についての抗体が、以下に記載するように、作製され、そして使用されている。
(X.ヒトDAPのマッピング)
染色体スプレッドを調製する。インサイチュハイブリダイゼーションを、72時間培養したフィトヘマグルチニン刺激ヒトリンパ球から得られた染色体調製物において実施する。良質のハイブリダイゼーション後染色体バンド形成を確実にするために、培養(60μg/mlの培地)の最後の7時間、5−ブロモデオキシウリジンを添加した。
プライマーを用いて増幅されたPCRフラグメントを、適切なベクターにクローン化する。このベクターを3Hでのニックトランスレーションによって標識する。放射性標識プローブを、Matteiら(1985)Hum.Genet.69:327−331に記載のように、最終濃度200ng/mlのハイブリダイゼーション溶液で、中期スプレッドにハイブリダイズさせる。
核トラックエマルジョン(KODAK NTB2)でコーティングした後、スライドを露出させる。バンド形成手順の間の銀粒のスリッピングを避けるために、染色体スプレッドを緩衝化ギムザ溶液でまず染色し、そして中期を写真撮影する。次いで、蛍光色素−光分解−ギムザ(FPG)法によってRバンド形成を行い、そして分析前に中期を再度写真撮影する。
ヒトDAP12のゲノム構成は、染色体19q13.1において約4kbにわたる5つのエキソンからなる。ヒトKIR遺伝子(Bakerら(1995)Chromosome Research 3:511)および関連LAIR(Meyaardら(1997)Immunity 7:283−290)、ならびにILT/MIR(Wagtmannら、(1997)Current Biology 7:615−618)遺伝子は全て、染色体19q13.4の近くに位置する。
(XI.DAPおよびMDL生物学)
DAP12は、その細胞質ドメイン中に免疫レセプターチロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含有するジスルフィド結合ホモダイマーである。これは、NK細胞、単球、および樹状細胞において優勢に発現される。この分子は、その細胞質ドメインに免疫レセプターチロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を欠くキラー細胞阻害レセプター(KIR)ファミリーの膜糖タンパク質と、非共有結合的に会合する。トランスフェクタントにおいて発現された架橋KIR2DS2−DAP12複合体は、細胞タンパク質のチロシン−リン酸化および初期活性化抗原のアップレギュレーションにより示されるように、細胞活性化を生じる。リン酸化DAP12ペプチドは、ZAP−70およびSykタンパク質チロシンキナーゼを結合する。このことは、T細胞およびB細胞の抗原レセプターに類似した活性化経路を示唆する。
NK細胞は、免疫グロブリンおよびCタイプレクチンスーパーファミリーの膜レセプターを発現する。このレセプターは、MHCクラスIを認識し、そしてNK細胞媒介細胞傷害性を阻害する。Lanier(1997)Immunity 6:371−378。これらの阻害性レセプター(ヒトKIR、ヒトCD94/NKG2A、およびげっ歯類Ly49を包含する)は、それらの細胞質ドメインに、SH2ドメイン含有タンパク質チロシンホスファターゼ(SHP)1または2を補充するITIMを有し、NK細胞機能の不活性化を生じる。Burshtynら(1996)Immunity 4:77−85;Olceseら(1996)J.Immunol.156:4531−4534;およびHouchinsら(1997)J.Immunol.158:3603−3609。KIR、Ly49、およびCD94/NKG2レセプターのいくらかのイソ型はITIM配列を欠き、そしてこれらの「非阻害性」レセプターは、NK細胞機能を阻害するよりむしろ活性化し得ることが提唱されている。Houchinsら(1997)J.Immunol.158:3608−3609;Biassoniら(1996)J.Exp.Med.183:645−650;およびMasonら(1996)J.Exp.Med.184:2119−2128。非阻害性KIR2DS2分子がRBL−2H3好塩基球性白血病においてトランスフェクションによって発現された場合、レセプターが連結されたときには細胞活性化は観察されなかった。このことは、これらの「非阻害性」NKレセプターが固有のシグナル伝達特性を欠き得ることを示唆する。Bleryら(1997)J.Biol.Chem.272:8989−8996。
最近、Olceseら(1997)J.Immunol.158:5083−5086は、ジスルフィド結合ダイマーとして発現された約12kDの未知のリンタンパク質が、NK細胞溶解物からの非阻害性KIR2DS2糖タンパク質で免疫沈降したことを報告した。細胞表面Igレセプター、T細胞抗原レセプター(TcR)、およびいくらかのFcレセプター(FcR)は、これらのレセプター複合体によるシグナル伝達に必要とされるITAM配列(D/ExxYxxL/I−x6-8−YxxL/I;Reth(1989)Nature 338:383−384)を含む小膜貫通タンパク質(例えば、CD3δ、γ、ε、ζサブユニット、CD79α、β、FcεRI−γ)と、非共有結合的に会合する。Chanら(1994)Ann.Rev.Immunol.12:555−592。従って、おそらく、これらの非阻害性NK細胞レセプターは、ポジティブなシグナル伝達を仲介するために、同様の特性を有する会合タンパク質を必要とし得ると思われる。
cDNAライブラリーの大パネル由来の発現タグ配列(EST)のデータベースを、ヒトCD3δ、γ、ε、ζ、およびFcεRI−γタンパク質配列と相同性を有する分子について、TBLASTNアルゴリズムプログラムを用いて検索した。ヒトCD1+樹状細胞ライブラリー由来のESTを、この分子におけるITAMの同定に基づくさらなる研究のために選択した。604bpのcDNAの配列決定により、339ヌクレオチドのオープンリーディングフレームが明らかになった。これは、113アミノ酸の推定I型膜タンパク質をコードする(配列番号1および2を参照のこと)。このタンパク質(DAP12と称する)は、27アミノ酸のリーダー、14アミノ酸の細胞外ドメイン、24アミノ酸の膜貫通セグメント、および48アミノ酸の細胞質領域で構成される。DAP12は、ヒトCD3δ、γ、ε、ζおよびFcεRI−γタンパク質との相同性が25%未満であるが、細胞質ドメインは、ペプチドESPYQELQGQRSDVYSDL(配列番号2を参照のこと)を含む。これは、プロトタイプのITAMコンセンサス配列に正確に相当する。プロテインキナーゼC(残基79〜81および107〜109)およびカゼインキナーゼII(残基85〜88)によるリン酸化のための潜在部位もまた、DAP12細胞質領域に存在する。膜貫通領域は、CD3サブユニットの膜貫通ドメインにも保存された荷電アミノ酸(D)を含む。DAP12の潜在的マウスホモログは、ヒトDAP12タンパク質と約70%相同であり、そして膜貫通領域に保存D残基、細胞外ドメインに保存C残基、および細胞質領域にITAMを有する。
非阻害性KIR(Biassoniら(1996)J.Exp.Med.183:645−650)、Ly49DおよびLy49H(Masonら(1996)J.Exp.Med.184:2119−2128)、CD94(Changら(1995)Eur.J.Immunol.25:2433−2437)、NKG2CおよびNKG2E(Houchinsら(1991)J.Exp.Med.173:1017−1020)、およびILT1(SamaridisおよびColonna(1997)Eur.J.Immunol.27:660−665)レセプターの顕著な特徴は、膜貫通ドメイン中の塩基性アミノ酸(KまたはR)の存在である。膜貫通ドメイン中のマルチサブユニットレセプター複合体のタンパク質間の反対電荷に荷電したアミノ酸を介した相互作用の前例、例えばCD3/TcR複合体(Chanら(1994)Ann.Rev.Immunol.12:555−592)を仮定して、本発明者らは、DAP12が、膜貫通領域にKを含む非阻害性KIR2DS2糖タンパク質と会合するかどうかを試験した(ColonnaおよびSamridis(1995)Science 268:405−408)。マウスBa/F3プレ−B細胞系を、KIR2DS2をコードするcDNA単独で、またはN末端にFLAGエピトープタグを含むDAP12 cDNAと共にトランスフェクトして、抗FLAG mAbによる検出を可能とした。トランスフェクト体を、細胞表面発現について、抗KIR mAb DX27または抗FLAG mAb M2によるポジティブ染色に基づいてフローサイトメトリーによって選択した。KIR2DS2 Ba/F3およびKIR2DS2+DAP12−FLAG Ba/F3トランスフェクト体を125Iで表面標識し、1%ジギトニンで溶解して、膜タンパク質複合体の非共有結合的会合を保存し、そして抗KIR mAbまたは抗FLAG mAbで免疫沈降した。FLAGエピトープ中のチロシン残基は放射性ヨード化のための部位を与え、DAP12タンパク質を可視化させる。抗KIR mAbは、約50〜60kDの125I標識種を、KIR2DS2 Ba/F3細胞およびKIR2DS2+DAP12−FLAG Ba/F3トランスフェクト体の両方から免疫沈降し、これはKIR2DS2糖タンパク質の予想された分子量と一致する。さらなる125I標識された約12kDのタンパク質が、抗KIR mAbによって、KIR2DS2+DAP12−FLAGトランスフェクト体から共に免疫沈降したが、KIR2DS2のみを発現するトランスフェクト体からは免疫沈降しなかった。相反的に、KIR2DS2と同等に移動する125I標識された糖タンパク質が、抗FLAG mAbによって、KIR2DS2+DAP12−FLAG Ba/F3細胞から共に免疫沈降したが、KIR2DS2のみのトランスフェクト体からは免疫沈降しなかった。SDS−PAGEによって還元または非還元条件のいずれかを用いて分析した免疫沈降物の比較は、DAP12が細胞表面でジスルフィド結合二量体として発現することを示す。DAP12の細胞表面発現を、KIR2DS2を用いずDAP12−FLAG cDNA単独でトランスフェクトされたBa/F3細胞の表面上で検出することは不可能であったことに留意すべきである。しかし、DAP12−FLAGタンパク質は細胞質中で検出され、これは、CD3タンパク質による場合と同様に、DAP12が細胞表面に効率的に輸送されるためには、そのパートナーサブユニットと会合することが必要であり得ることを示唆する(Cleversら、(1988)Ann.Rev.Immunol.6:629−662)。さらに、予備試験結果は、DAP1
2が、その膜貫通ドメイン中に荷電残基を欠く阻害性KIRアイソタイプとは会合しないことを示した。
DAP12の細胞質ドメインに対応するペプチド(ITETESPY*QELQGQRSDVY*SDLNTQRP;配列番号2参照)は、未リン酸化タンパク質として、あるいは両Y残基上にリン酸を含むもののいずれかとして合成された。ジャーカット T細胞またはNK細胞クローンA6由来のライセートをビオチン化ペプチドと共にインキュベートし、そして複合体をアビジン−アガロースを用いて沈降させた。ウェスタンブロット分析は、未リン酸化ペプチドではなく両Y残基上でリン酸化されたDAP12ペプチドが、ZAP−70キナーゼとの複合体を形成したことを示した。未リン酸化DAP12ペプチドではなくチロシンリン酸化DAP12ペプチドはまた、NK細胞由来のライセート中でSykタンパク質チロシンキナーゼと複合体を形成する。これらのキナーゼのリン酸化DAP12に対する結合は、リン酸化ITAM含有CD3サブユニットとSyKまたはZAP−70キナーゼとの間でTcRシグナル化の間に示される相互作用を著しく連想させる。Iwashimaら(1994)Science 263:1136−1139;およびChanら(1994)J.Immunol.152:4758−4766。
T細胞上のCD3/TcR複合体またはB細胞上のIgレセプター複合体の連結が、細胞の活性化を生じた。従って、KIR2DS2−DAP12複合体の架橋の機能的な結果を試験するための研究を企てた。KIR2DS2単独またはKIR2DS2−DAP12−FLAG複合体のいずれかを発現するBa/F3トランスフェクト体を抗KIR mAb DX27または抗FLAG mAbと共にインキュベートし、ついでヤギ抗マウスIgと共にインキュベートして、架橋を与えた。抗KIRまたは抗FLAG mAbで刺激された、KIR2DS2−DAP12−FLAG複合体を発現するBa/F3細胞中の全細胞タンパク質の試験によって、いくつかの細胞基質のチロシンリン酸化が明らかになった。抗FLAG mAbによる免疫沈降および抗ホスホチロシンmAbによるウェスタンブロット分析は、KIR2DS2−DAP12−FLAGトランスフェクト体の抗KIR mAbによる架橋がDAP12タンパク質のチロシンリン酸化を誘導し、その結果、リン酸化DAP12とSykタンパク質チロシンキナーゼとが会合することを示した。対照的に、KIR2DS2のみを発現するBa/F3細胞は抗KIR mAbによる架橋によって活性化されなかった。同様に、CD69発現のアップレギュレーションは、KIR2DS2単独ではなくKIR2DS2およびDAP12の両方でトランスフェクトされたジャーカット T白血病細胞において、これらのレセプターが抗KIR mAbで架橋された場合に、観察された。これらの結果は、DAP12がこれらの宿主細胞におけるKIR2DS2シグナル伝達のために必要であり、かつその原因であることを示し、そして、KIR2DS2分子はNK細胞中で機能するがKIR2DS2のみを発現するトランスフェクト体中では機能しないことを示す、以前の観察に一致する。Bleryら(1997)J.Biol.Chem.272:8989−8996。
これらの研究は、DAP12が、TcR複合体中のCD3サブユニットおよびB細胞レセプター複合体中のCD79サブユニットの機能と同様に、NK細胞中のKIR分子の非阻害性アイソタイプと会合し得ること、およびこれらのレセプターを介して細胞を活性化させることを示唆する。単球および樹状細胞中のDAP12の発現は、これらの細胞型中に存在する非阻害性KIRと同様の他のレセプターとの会合を予想させる。見込みのある候補は、ヒト単球によって発現される最近同定されたILT/MIRの分子のファミリー(Wagtmannら(1997)Current Biology 7:615−618;およびSamaridisおよびColonna(1997)Eur.J.Immunol.27:660−665)およびげっ歯類の骨髄およびB細胞中のPIR−A分子(Hayamiら(1997)J.Biol.Chem.272:7320−7327;およびKubagawaら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:5261−5266)である。さらに、DAP12の物理的性質は、マウス胸腺細胞上のプレ−T細胞レセプター複合体中で同定された新規の二量体12kDリンタンパク質と同様である。Takaseら(1997)J.Immunol.159:741−747。従って、DAP12は異なる細胞系統において、多様なレセプターのアレイによって媒介される細胞活性化において機能し得る。
(クローニングおよび配列分析)
DNAX配列データベースのTBLASTNサーチを、ヒトCD3δ、γ、ε、ζおよびFcεRI−γタンパク質配列を用いて行った。プラスミドLL603中のcDNA挿入断片が、ヒトCD1+樹状細胞ライブラリにおいて同定され、これを単離し、そして自動配列決定(ABI)に供した。
(DNAおよびRNA)
ヒト組織由来のRNAおよびヒトゲノムDNAをClontech(Palo Alto、CA)から購入した。ノーザンブロットおよびサザンブロット分析を記載のように行った。Changら(1995)Eur.J.Immunol.25:2433−2437。
(トランスフェクション)
CD8リーダーセグメントを含み、その後にFLAGペプチドエピトープが続き、そしてDAP12の細胞外セグメント、膜貫通セグメント、および細胞質セグメントに連結したcDNAをpMX−puroレトロウイルスベクター(Onihsiら(1996)Exp.Hematology 24:324−329;Dr.T.Kitamura、DNAXのご厚意により提供)中にサブクローン化し、Phoenix細胞系(Dr.G.Nolan、Stanfordのご厚意により提供)を用いてパッケージングし、そしてウイルスを用いてマウスプレ−B細胞系Ba/F3(Onihsiら(1996)Exp.Hematology 24:324−329)に感染させた。KIR2DS2(Dr.M.Colonna、Baselのご厚意により提供)をコードするNKAT5 cDNA(ColonnaおよびSamaridis(1995)Science 268:405−408)をpMX−neoレトロウイルスベクター中にサブクローン化した。Ba/F3細胞を感染させ、薬剤選択し、そしてフローサイトメトリーを用いてトランスフェクト体を単離した。Onihsiら(1996)Exp.Hematology 24:324−329。DAP12 cDNAを、ジャーカット細胞中での一時的な発現のために、プラスミドの導入のためのエレクトロポレーションを用いてpEF−BOSベクター中にサブクローン化した。Wuら(1995)Mol.Cell.Biol.15:4337−4346。
(免疫沈降)
細胞を125Iで標識し、そして溶解バッファー(pH7.8、1%ジギトニン(Sigma)、0.12%Triton−X100、150mM NaCl、20mM トリエタノールアミン、0.01% NaN3、およびプロテアーゼインヒビター)中に可溶化した。Lanierら(1989)Nature 342:803−805。細胞ライセートを氷上で2時間、ウサギ抗マウスIg(Sigma)およびマウス抗KIR2D mAb DX27、抗FLAG mAb M2(Kodak)、またはコントロールIgGで被覆されたPansorbin(Calbiochem)と共にインキュベートし、そして次に5mMのCHAPS(Sigma)およびプロテアーゼインヒビターを含むTris緩衝化食塩水(TBS、50mM Tris、150mM NaCl、pH8.0)で洗浄した。Lanierら(1989)Nature 342:803−805。DAP12の細胞質ドメイン中の残基ITETESPY*QELQGQRSDVY*SDLNTQRPに対応するビオチン化ペプチド(配列番号2参照)を、未リン酸化で、あるいは両Y残基上にリン酸を含むように、合成した(Dr.C.Turck、UCSFのご厚意により提供)。対照の未リン酸化およびY−リン酸化CD3ζペプチド(Iwashimaら(1994)Science 263:1136−1139)はDr.A.Weiss(UCSF)から寄贈られた。ビオチン化ペプチドをジャーカットまたはNKクローンA6細胞由来のライセートと共にインキュベートし、アビジン−アガロースで沈降させ、そして1% NP−40およびプロテアーゼインヒビターを含むTris緩衝化食塩水(50mM Tris、150mM NaCl、pH7.8)で洗浄した(Iwashimaら(1994)Science 263:1136−1139)。免疫沈降物をウェスタンブロット(Phillipsら(1996)Immunity 5:163−172)によって、抗ZAP−70 mAbまたはウサギ抗Syk特異的抗血清(Iwashimaら(1994)Science 263:1136−1139;Art Weiss、UCSFのご厚意により提供)を用いて分析した。
(細胞活性化)
KIR2DS2単独、DAP12(FLAGエピトープタグ化)単独、またはKIR2DS2−DAP12複合体のいずれかを発現するBa/F3細胞を、表示されたmAbと共に4℃でインキュベートし、洗浄し、そして次にF(ab’)2ヤギ抗マウスIgで3分間、37℃で架橋した。細胞を1%NP−40およびプロテアーゼインヒビターを含むTBS中で溶解した。DAP12−FLAGの細胞ライセート全体または抗FLAG mAb M2を用いる免疫沈降物を、ウェスタンブロットによってHRP結合抗ホスホチロシンmAb 4G10(UBI)を用いて分析した。レトロウイルスベクター(Onihsiら(1996)Exp.Hematology 24:324−329)を用いてNKAT5 cDNA(ColonnaおよびSamaridis(1995)Science 268:405−408)で安定にトランスフェクトされたジャーカット細胞を、ヒトDAP12 cDNAを用いるエレクトロポレーションによって、pEF−BOSベクター中に一時的にトランスフェクトし、あるいは対照ベクターで偽トランスフェクトした。Wuら(1995)Mol.Cell.Biol.15:4337−4346。24時間後、トランスフェクト体を、コントロールIgまたは抗KIR mAb DX27でプレコート(5μg/ml)したマイクロタイタープレート中でインキュベートした。12時間のインキュベーションの後、トランスフェクト体を収集し、次いでFITC結合抗CD69またはコントロールmAbで染色し、そしてフローサイトメトリーで分析した。LanierおよびRecktenwald(1991)Methods:A Companion to Methods in Enzymology 2:192−199。
(XII.DAP12は活性化CD94/NKG2C NK細胞レセプターと会合する)
MHCクラスIに対する阻害性NK細胞レセプターが、免疫レセプターチロシンに基づく阻害モチーフ(ITIM)(これは細胞内チロシンホスファターゼを補充し、かつNK細胞エフェクター機能を妨害する)を発現する場合、活性化NK細胞レセプターは細胞刺激に必要とされる固有の配列を欠く。CD94/NKG2CはC型レクチンスーパーファミリーの活性化NK細胞レセプターであり、これはHLA−Eと結合し、免疫レセプターチロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)を含む膜レセプターであるDAP12と非共有結合的に会合する。細胞表面上のCD94/NKG2Cの効率的な発現にはDAP12の存在が必要とされ、そしてDAP12およびNKG2Cの膜貫通ドメイン中の荷電残基がこの相互作用のために必要である。これらの結果は、細胞の活性化および阻害に関与するMHCクラスIに対するNK細胞レセプターの構築のための分子的基礎を提供する。
NK細胞はリンパ球であり、特定の細菌、寄生虫、およびウイルスに対する先天性免疫応答に関与する(ScottおよびTrinchieri(1995)Current Opinion Immunol.7:34−40;Trinchieri(1989)Adv.Immunol.47:187−376に概説される)。NK細胞がどのようにして病原体を認識するかは明確ではない。しかし、このプロセスの1つの局面は、感染の結果としてMHCクラスIが失われているか、あるいは発現がダウンレギュレートされている宿主細胞の検出および除去を伴い得る。NK細胞は、細胞で媒介される細胞毒性およびサイトカイン産生を活性化し得るかまたは阻害し得るかのいずれかであるMHCクラスIに対するレセプターを発現し得る(Lanier(1988)Cell 92:705−707;Lanier(1998)Ann.Rev.Immunol.16:359−393に概説される)。MHCクラスIに対するいくつかのタイプのNK細胞レセプターが同定されている(Lanier(1988)Cell 92:705−707)。ヒトにおいては、キラー細胞阻害レセプター(KIR)は、Igスーパーファミリーの遺伝子でコードされる分子の小さいファミリーを含む(ColonnaおよびSamaridis(1995)Science 268:405−408;D’Andreaら(1995)J.Immunol.155:2306−2310;Wagtmannら(1995)Immunity 2:439−449)。KIRファミリー内で、特定のアイソタイプは細胞外領域中に2つのIgドメイン(KIR2D)または3つのIgドメイン(KIR3D)を有し、これはそれぞれ多型性HLA−CまたはHLA−Bリガンドの認識に各々関与する(DohringおよびColonna(1996)Eur.J.Immunol.26:365−369;Fanら(1996)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 93:7178−7183;Litwinら(1994)J.Exp.Med.180:537−543;RajagopalanおよびLong(1997)J.Exp.Med.185:1523−1528;Rajoら(1997)Eur.J.Immunol.27:568−571;およびWagmannら(1995)Immunity 3:801−809)。不均一性はまた、異なるKIR分子の膜貫通および細胞質ドメイン中にも存在する。リガンドが結合すると、その細胞質ドメインにITIMを有するKIR(KIR2DLおよびKIR3DLと称する)はSHP−1を補充し、NK細胞エフェクター機能を妨げる(Burshtynら(1996)Immunity4:77−85;Campbellら(1996)J.Exp.Med.184:93−100;Fryら(1996)J.Exp.Med.184:295−300;およびOlceseら(1996)J.Immunol.156:4531−4534)。対照的に、ITIMを欠き、かつ塩基性Kアミノ酸を膜貫通領域中に有するKIRアイソタイプ(KIR2DSおよびKIR3DS)はNK細胞活性化に関連している(Biassoniら(1996)J.Exp.Med 183:645−650;Olceseら(1997)J.Immunol.158:5083−5086)。KIR2DSはITAMを有するアダプター分子DAP12と非共有結合的に会合し、これはNK細胞の表面上にジスルフィド結合ホモ二量体として発現する(Campbellら(1998)Eur.J.Immunol.28:599−609;Lanier(1998)Cell 92:705−707;Olceseら(1997)J.Immunol.158:5083−5086)。KIR2DSが架橋すると、DAP12のITAM中のチロシン残基はリン酸化され、そしてZAP−70またはSykを補充し、細胞の活性化を生じる(Lanier(1998)Cell 92:705−707)。ヒトDAP12はKIR遺伝子ファミリーに近いヒト染色体19q13.1上に存在し(Bakerら(1995)Chromosome Research 3:511)KIRとDAP12との間の遺伝子連鎖を実証する。
他のタイプのNK細胞レセプターCD94/NKG2はヘテロ二量体であり、これはNKG2AまたはNKG2C糖タンパク質のいずれかに対してジスルフィド結合した不変のCD94糖タンパク質から構成される(Brooksら(1997) J.Exp.Med.185:795−800;Carreteroら(1997)Eur.J.Immunol.27:563−575;Lazeticら(1996)J.Immunol.157:4741−4745)。CD94(Changら(1995)Eur.J.Immunol.25:2433−2437)、そして4つのNKG2遺伝子(NKG2A、NKG2C、NKG2E、およびNKG2D/F;Houchinsら(1991)J.Immunol.158:3603−3609;およびPlougastelおよびTrowsdale(1997)Eur.J.Immunol.27:2835−2839)は全てC型レクチンスーパーファミリーのメンバーであり、「NK複合体」中のヒト染色体12p12−p13上で近くに連鎖している(Renedoら(1997)Immunogenetics 46:307−311)。ヒトCD94およびNKG2遺伝子のげっ歯類の相同体は、ヒト染色体12とシンテニーのマウスおよびラットの染色体上の「NK複合体」中に位置する(Bergら(1998)Eur.J.Immunol.28:444−450;Dissenら(1997)Eur.J.Immunol.27:2080−2086;およびVanceら(1997)Eur.J.Immunol.27:3236−3241)。
CD94に対する抗体は、標的を有するFcレセプターに対するNK細胞媒介細胞毒性を活性化し得るかまたは阻害し得るかのいずれかであり、そして単一の個体から単離された異なるNK細胞クローンは、これらの機能的アッセイにおいて不均一な挙動を示す(Brumbaughら(1996)J.Immunol.157:2804−2812;Perez−Vi11arら(1996)J.Immunol.157:5367−5374;およびPerez−Villarら(1995)J.Immunol.154:5779−5788)。この現象は、CD94がNKG2AまたはNKG2Cのいずれかとジスルフィド結合したヘテロ二量体を形成することの発見によって説明され得る。(Brooksら(1997)J.Exp.Med.185:795−800;Cantoniら(1998)Eur.J.Immunol.28:327−338;Carreteroら(1997);およびLazeticら(1996)J.Immunol.157:4741−4745)。NKG2AはITIM配列を細胞質ドメイン中に含み、これはレセプターと結合すると、チロシンがリン酸化され、そしてSHP−1またはSHP−2を補充し、これが次にNKエフェクター機能を阻害する(Houchinsら(1997)J.Immunol.158:3603−3609;およびLe Dreanら(1998)Eur.J.Immunol.28:264−276)。対照的に、NKG2CはITIMを欠き、そしてレセプターへの結合は、NK細胞の活性化を生じる(Cantoniら(1998) Eur.J.Immunol.28:327−338;およびHouchinsら(1997)J.Immunol.158:3603−3609)。CD94はNKG2AおよびNKG2Cの両方を細胞表面に輸送するのに必要である(Lazeticら(1996)J.Immunol.157:4741−4745)。個体におけるNK細胞集団内で、CD94/NKG2AおよびCD94/NKG2Cレセプターは重複したサブ集団上に発現され、そしていくつかのNK細胞はNKG2AまたはNKG2Cのいずれとも会合しないCD94タンパク質を発現し得る(Cantoniら(1998)Eur.J.Immunol.28:327−338)。従って、CD94およびNKG2タンパク質は個体において多様なレセプターレパートリーを形成し得る。CD94/NKG2AおよびCD94/NKG2CレセプターはHLA−Eを認識する(Borregoら(1998)J.Exp.Med.187:813−818;Braudら(1998)J.Immunol.159:5192−5196)。HLA−Eは非古典的なMHCクラスI分子であり、他の古典的HLAクラスIタンパク質のリーダーセグメント由来の9アミノ酸ペプチドに結合するユニークな特性を有する(Braudら(1997)Eur.J.Immunol.27:1164−1169)。NKG2A中のITIMはCD94/NKG2Aレセプターの阻害的機能を説明するが、CD94もNKG2Cもその細胞質ドメインに固有のシグナル化能力を提供する配列を有していない。しかし、NKG2Cの膜貫通領域へのに塩基性アミノ酸の存在は、DAP12レセプターとの相互作用の可能性を示唆する。
(DAP12のCD94/NKG2Cレセプターとの会合)
DAP12が活性化CD94/NKG2Cレセプター複合体と会合し得るかどうかを決定するために、マウスpre−B細胞系であるBa/F3を、ヒトCD94、NKG2C、およびDAP12(N末端にFLAGエピトープを含み細胞表面での検出を可能とする)をコードするエコトロピックなレトロウイルスで共に感染させた。以前の結果(Lanier(1998)Cell 92:705−707)と一致して、FLAG−DAP12単独でのBa/F3細胞中へのトランスフェクトは、このレセプターの細胞表面への発現を可能にしないが、FLAG−DAP12タンパク質はこれらのトランスフェクト体の細胞質中で細胞質染色およびウエスタンブロット分析によって測定されるように検出された。同様に、NKG2Cで同時感染させたBa/F3細胞またはFLAG−DAP12+Ba/F3トランスフェクト体において、NKG2C単独の細胞表面発現は検出され得なかった。対照的に、CD94単独がBa/F3細胞の細胞表面上に発現された。しかし、CD94は、CD94とFLAG−DAP12の両方で同時感染されたBa/F3細胞の細胞表面へのFLAG−DAP12の輸送ができないが、FLAG−DAP12はこれらのトランスフェクト体の細胞質中でウエスタンブロットおよび細胞質免疫蛍光法によって検出される。さらに、CD94+Ba/F3細胞をNKG2Cをコードするレトロウイルスで感染させると、細胞表面上のCD94/NKG2Cヘテロ二量体は、CD94/NKG2C複合体を検出する抗血清を用いて、検出されなかった(Braudら(1998)J.Immunol.159:5192−5196;Lazeticら(1996)J.Immunol.157:4741−4745)(しかし、CD94/NKG2Cヘテロ二量体の低レベルの表面発現を、強力なプロモーターを高度に効率的なトランスフェクション系(例えば293T細胞)中に含むエピソームベクターを用いて得ることは可能である;Braudら(1998)J.Immunol.159:5192−5196;Lazeticら(1996)J.Immunol.157:4741−4745)。Ba/F3細胞がヒトCD94、NKG2C、およびFLAG−DAP12をコードするレトロウイルスで感染された場合、CD94/NKG2C/DAP12トランスフェクト体の細胞表面上でFLAG−DAP12およびCD94/NKG2Cレセプターの発現が検出された。集合的に、これらの実験は、CD94、NKG2C、およびDAP12で構成されるマルチサブユニットレセプター複合体の存在を支持する。
CD94、NKG2C、およびFLAG−DAP12を発現するBa/F3トランスフェクト体を125Iで標識し、ジギトニン界面活性剤中に可溶化して、非共有結合膜レセプター複合体を保存し(Lanierら(1989)Nature 342:803−805)、そしてヒトCD94またはFLAGに対する抗体で免疫沈降させた。抗CD94を用いるCD94/NKG2C/FLAG−DAP12 Ba/F3トランスフェクト体からの免疫沈降は、125I標識タンパク質がNKG2CおよびFLAG−DAP12の予想された移動度と一致することを明らかにした。ヒトCD94は125Iで効率的に標識されないことが以前報告されており(Lazeticら(1996)J.Immunol.157:4741−4745;Phillipsら(1996)Immunity 5:163−172)、そのため抗CD94 mAbで免疫沈降した約40kDの放射標識サブユニットはCD94にジスルフィド結合したNKG2C糖タンパク質を表す(Lazeticら(1996)J.Immunol.157:4741−4745)。非還元条件を用いて分析した場合、FLAG−DAP12は主としてジスルフィド結合ホモ二量体として移動し、そしてNKG2Cの移動度はCD94/NKG2Cヘテロ二量体の存在に一致した。従って、最小のCD94/NKG2C−DAP12レセプター複合体は、ジスルフィド結合したDAP12ホモ二量体がジスルフィド結合したCD94/NKG2Cヘテロ二量体と非共有結合的に会合して構成された四量体であり得る。
(XIII.DAP12は、DAP12およびNKG2Cの膜貫通ドメイン中の荷電残基を用いたCD94/NKG2Cの細胞表面発現に必要である)
(マルチサブユニット複合体の構築におけるKIR、NKG2C、およびDAP12レセプターの膜貫通領域中の荷電アミノ酸の役割)
NKG2AおよびNKG2Cタンパク質は75%のアミノ酸同一性を示し(Houchinsら(1991)J.Immunol.158:3603−3609)、そしてCD94/NKG2AレセプターおよびCD94/NKG2Cレセプターは両方とも共通のリガンドHLA−Eに結合する(Braudら(1998)J.Immunol.159:5192−5196)。NKG2AとNKG2Cとの間の顕著な違いはNKG2Cの膜貫通領域における塩基性残基の存在であり、これはNKG2AおよびCD94では存在しない。NKG2Cとは対照的に、CD94+Ba/F3細胞にヒトNKG2Aをコードするレトロウイルスを感染させると、CD94/NKG2A複合体がDAP12の非存在下で細胞表面上に発現される。CD94/NKG2A複合体がBa/F3細胞上に存在するとFLAG−DAP12は細胞表面上に発現されないが、FLAG−DAP12タンパク質はこれらのトランスフェクト体の細胞質中で免疫蛍光法およびウエスタンブロット分析によって検出された。
他のマルチサブユニット膜レセプターは、その膜貫通領域中の酸性および塩基性アミノ酸によって形成される塩橋を通じて会合することが示されている(例えばCD3/TcR(Bonifacinoら(1991)EMBO J.10:2783−2793;Cossonら(1991)Nature 351:414−416;Morleyら(1988)J.Exp.Med.168:1971−1978)ので、CD94/NKG2Cとの会合のためのDAP12中のD残基の必要性を試験した。FLAG−DAP12中のD残基を部位特異的変異誘発によってAに転換し、そしてこの変異体レセプターをBa/F3細胞中にトランスフェクトした。野生型FLAG−DAP12とは異なり、D−A膜貫通FLAG−DAP12変異体レセプターは、他のサブユニットの非存在下で細胞表面上に発現し、これは膜貫通中のD残基が、CD3タンパク質の膜貫通中の荷電残基の機能と同様に、DAP12の保持シグナルとして働くことを示す(Bonifacinoら(1990)Cell 63:503−513;Bonifacinoら(1991)EMBO J.10:2783−2793;Cossonら(1991)Nature 351:414−416)。前記のように、CD94およびNKG2CでトランスフェクトしたBa/F3細胞は、DAP12の非存在下では細胞表面上にCD94/NKG2Cヘテロ二量体を効率よく発現しない。これらのCD94/NKG2C+Ba/F3トランスフェクト体をD−A膜貫通FLAG−DAP12変異体レセプターで感染させると、これらの細胞の抗CD94/NKG2特異的抗血清との限界反応性(marginal reactivity)によって示されるように、CD94/NKG2Cは細胞表面上に効率よく発現されない(しかしNKG2Cタンパク質はウエスタンブロット分析によってトランスフェクト体の細胞質中で検出される)。
NKG2AとNKG2Cの膜貫通ドメインの比較は、NKG2C中のK残基の存在を示し、これはこの残基がDAP12中のD残基との相互作用の原因であり得ることを示唆する。従って、NKG2C中のKを部位特異的変異誘発によってLに転換し、そしてK−L膜貫通NKG2C変異体を、DAP12およびCD94を発現するBa/F3細胞中にトランスフェクトした。CD94およびK−L膜貫通NKG2C変異体で同時トランスフェクトされたBa/F3細胞はFLAG−DAP12の表面発現を可能にしなかったが、DAP12はウエスタンブロット分析によって細胞質中で検出された。非常に低レベルのCD94/K−L膜貫通NKG2C変異体レセプターが、抗CD94/NKG2C抗血清を用いて、これらのトランスフェクト体の表面上で検出された。NKG2Cの膜貫通中のK残基は保持シグナルとして働き得るが、NKG2CはまたモチーフDxxxLLを発現し、これはまたCD3γ中に存在し、そしてCD3タンパク質の分解、輸送および局在化(Dietrichら(1994)EMBO J.13:2156−2166;Dietrichら(1997)J.Cell Biol.138:271−281;Dietrichら(1996)J.Cell Biol.132:299−310;LetourneurおよびKlausner(1992)Cell.69:1143−1157)、ならびにアダプタータンパク質−1(AP−1)およびアダプタータンパク質−2の結合(AP−2;Dietrichら(1997)J.Cell.Biol.138:271−281)に関与していることに留意すべきである。
(XIV.CD94/NKG2C/DAP12およびKIR2DS2/DAP12複合体を介するシグナル伝達)
KIR2DS2/DAP12複合体を発現するトランスフェクト体中のKIR2DS2の連結の結果、DAP12および他の細胞基質のチロシンリン酸化が生じ、そしてリン酸化DAP12とSykとが会合する(Lanier(1988)Cell 92:705−707)。CD94/NKG2C/DAP12複合体を発現するBa/F3トランスフェクト体上のCD94またはFLAG−DAP12のいずれかの連結は、DAP12およびSykを含む多くの細胞タンパク質のチロシンリン酸化を引き起こした。これらの結果は、架橋CD94/NKG2CがおそらくDAP12を介して細胞活性化を誘導することを示す。DAP12非存在下での、あるいはD−A膜貫通FLAG−DAP12変異体を発現するトランスフェクト体中でのCD94/NKG2Cの連結が機能的な結果を有するかどうかは扱わなかった。なぜならCD94/NKG2Cは野生型DAP12の非存在下では効率的に発現されなかったからである。
CD94/NKG2Cとは異なり、KIR2DS2分子はDAP12の非存在下で細胞表面上に発現するが、これらは細胞活性化を誘導し得ない(Bleryら(1997)J.Biol.Chem.272:8989−8996;Lanierら(1998)Nature 391:703−707)。KIR2DS2+Ba/F3細胞を、野生型FLAG−DAP12またはD−A膜貫通FLAG−DAP12変異体レセプターのいずれかをコードするレトロウイルスで感染させた。KIR2DS2および変異体DAP12タンパク質の両方が細胞表面上に発現した。しかし、D−A膜貫通FLAG−DAP12変異体タンパク質は、KIR2DS2によって125I標識トランスフェクト体から共免疫沈降しなかった。さらに、抗KIR mAbとの連結はこれらの細胞を活性化に失敗し、他方、D−A膜貫通FLAG−DAP12変異体レセプターと抗FLAG mAbとの直接架橋は細胞タンパク質のチロシンリン酸化を誘導した。NKG2AおよびNKG2Cと同様に、KIR2DS2タンパク質は対応のKIR2DL2を有し、これは膜貫通中に荷電アミノ酸を欠き、そしてITIMをその細胞質ドメイン中に含む。KIR2DL2はDAP12と会合できないことが以前に報告されている(Lanierら(1998)Nature 391:703−707)。集合的に、これらの知見は、DAP12とKIR2DS2またはCD94/NKG2C複合体のいずれかとの会合が、これらのタンパク質の膜貫通ドメインに関連する相互作用から生ずるらしいことを示す。
これらの複合体におけるDAP12およびKIR2DS2またはCD94/NKG2Cの化学量論は決定されていない。DAP12ジスルフィド結合ホモ二量体は2つのD残基を有し(すなわち、各DAP12タンパク質中に1つ)、これはKIR2DS2またはNKG2Cの膜貫通中に存在するK残基と相互作用し得る。CD94は膜貫通中に荷電残基を欠くので、DAP12はアダプターとして機能し得、2つのKIR2DS2モノマーまたは2つのCD94/NKG2Cヘテロ二量体と単一のDAP12ホモ二量体とを会合させる。
(XV.ヒトNK細胞中でのDAP12とCD94との会合)
CD94/NKG2Cレセプターは、NK細胞の活性化に関係していることが以前に示されている(Cantoniら(1998)Eur.J.Immunol.28:327−338;Houchinsら(1997)J.Immunol.158:3603−3609)。NK細胞クローンおよびポリクローナルNK細胞株を、抗CD94 mAbの存在下で、Fcレセプターを保有しているP815標的細胞に対する再指向された細胞傷害性を媒介するそれらの能力に基づいて選択した。このことは、活性化するCD94会合レセプター複合体(おそらく、CD94/NKG2C)の存在を示唆する(Cantoniら(1998)Eur.J.Immunol.28:327−338)。NK細胞クローンおよびポリクローナルNK細胞株を125I標識し、多サブユニットレセプター複合体を維持するためにジギトニン界面活性剤中で溶解させ、そしてDAP12会合タンパク質を、抗DAP12抗血清を使用して免疫共沈降させた。DAP12会合タンパク質を、pH11.5緩衝液を用いて溶出し、複合体を解離させ、次いで、溶出したタンパク質をコントロールmAbまたは抗CD94 mAbで再度免疫沈降させた。ポリクローナルNK細胞株について、125Iタンパク質と特異的に反応した抗CD94 mAbが、最初の抗DAP12免疫沈降によって溶出した。SDS−PAGE分析においては、この分子は、非還元条件下では約70kDで移動し、そして還元条件下では約40kDで移動した。同じ結果が、NK細胞クローンを使用して得られた。CD94自体は125I標識されていないので(Lazeticら(1996)J.Immunol.157:4741−4745;Phillipsら(1996)Immunity 5:163−172)、おそらく、CD94会合125I標識したタンパク質がNKG2Cを表すようであるが、NKG2C特異的血清学的試薬はこのことを確認するためには利用可能ではない。それにもかかわらず、これらの知見は、ヒトNK細胞の細胞表面上でのCD94/DAP12レセプター複合体の存在を実証する。
(対を形成している活性化レセプターおよび阻害性レセプター)
KIR遺伝子ファミリーは、細胞の活性化または細胞の阻害のいずれかにおいて関係しているレセプターをコードする(Biassoniら(1996)J.Exp.Med.183:645−650;Olceseら(1997)J.Immunol.158:5083−5086)。阻害性レセプターは、それらの細胞質ドメインにITIM配列を含み、そして膜貫通セグメント中の荷電した残基を欠いている。一方、活性化レセプターはITIMを欠いており、しばしばより短い細胞質領域を有し、そして膜貫通部分に荷電したアミノ酸を有する。この一般的なストラテジーはまた、NKG2(Houchinsら(1991)J.Immunol.158:3603−3609)、Ly49(Smithら(1994)J.Immunol.153:1068−1079)、PIR(Hayamiら(1997)J.Biol.Chem.272:7320−7327;Kubagawaら(1997)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 94:5261−5266)、およびILT(LIR)(Borgesら(1997)J.Immunol.159:5192−5196;SamaridisおよびColonna(1997)Eur.J.Immunol.27:660−665)遺伝子ファミリーにおいて明らかである。これらは全て、可能性のある阻害性および活性化レセプターを含む。
DAP12が、KIRおよびCD94/NKG2レセプターの両方の活性化イソ型と会合することが、本明細書中で示されている。阻害性CD94/NKG2Aレセプターおよび活性化CD94/NKG2Cレセプターの両方が、同じリガンドであるHLA−Eに結合する(Braudら(1998)J.Immunol.159:5192−5196)。MHCクラスIを認識する対を形成した阻害性レセプターおよび活性化レセプターの生物学的な比はいくらであろうか。活性化CD94/NKG2C/DAP12レセプター複合体は、阻害性NKG2Aレセプター中のITIM配列をリン酸化するチロシンキナーゼを刺激するように作用し得、その結果、SHP−1またはSHP−2の漸増を生じ得る(Le Dreanら(1998)Eur.J.Immunol.28:264−276)。しかし、このことはおそらくおこりそうにないようである。なぜなら、全NK細胞集団中でNKG2AおよびNKG2Cが別々に発現され、そしてNK細胞のサブセットのみが両方のレセプターを発現するからである(Cantoniら(1998)Eur.J.Immunol.28:327−338;およびHouchinsら(1997)J.Immunol.158:3603−3609)。阻害性CD94/NKG2Aレセプターの非存在下でのCD94/NKG2Cを発現するNK細胞の存在は、HLA−Eとの遭遇の際のこれらの細胞の活性化の可能性を提供する。HLA−Eは、正常な組織中で広範に発現される(Geraghtyら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:2669−2673;Leeら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:5199−5204;Ulbrechtら(1992)J.Immunol.149:2945−2953);従って、CD94/N
KG2C/DAP12を介するNK細胞の活性化は、自己免疫を生じ得る。しかし、最近の研究は、全てのNK細胞クローンが、自己のMHCクラスIリガンドに対して少なくとも1つの阻害性レセプター(KIRまたはCD94/NKG2Aのいずれか)を発現し、従って、正常な自己由来の組織の破壊を防ぐようであることを示唆する(Uhrbergら(1997)Immunity 7:753−763;Valianteら(1997)Immunity 7:739−751)。自己のクラスIリガンドに対する活性化CD94/NKG2C/DAP12レセプターおよび阻害性KIRを発現するNK細胞クローンは、KIRクラスIリガンドの発現を欠失しているが、HLA−Eの発現は保持している宿主細胞を認識し、そして排除する可能性を有する。このモデルは、実験的な試験を必要とするが、HLA−Eに結合する能力を有するリーダーペプチドをコードするが、感染の結果として従来のMHCクラスI分子の発現をダウンレギュレートする病原体に対する防御を提供する。
(トランスフェクタント)
使用したcDNAは、ヒトCD94(Changら、1995)、NKG2AおよびNKG2C(Houchinsら(1991)J.Immunol.158:3603−3609)、KIR2DS2(NKAT5、ColonnaおよびSamaridis,1995))、ならびにFLAG−DAP12(Lanierら(1998)Nature 391:703−707)であった。D残基(コドンGAC)をA残基(コドンGCC)に置換したD−A膜貫通FLAG−DAP12変異体cDNA、およびK残基(コドンAAA)をL残基(TTA)に置換したK−L膜貫通NKG2C変異体cDNAを、従来技術を使用するPCR変異誘発によって生成した。NKG2C停止コドンのすぐ前のCOOH末端上にFLAGエピトープを含有するNKG2C cDNAを、PCRによって生成した。cDNAを、配列決定し、そしてpMX−neoまたはpMX−puroレトロウイルスベクター中にサブクローン化した(Onihsiら(1996)Exp.Hematology 24:324−329)。プラスミドDNAを、Φ−NX−Eエコトロピックレトロウイルスパッケージング細胞(G.Nolan(Stanford Unversity)からの寛大な贈与)中に、リポフェクタミン(lipofectamine)(Gibco−BRL)を使用してトランスフェクトした(Onihsiら、1996)。ウイルス上清を2日後に回収し、そしてマウスBa/F3プレB細胞(Onihsiら、1996)を感染させるために使用した。感染の2日後、細胞を選択培地に移し、そしてヒトNK細胞レセプターを安定に発現するBa/F3細胞を、均質な高レベルの発現について、フローサイトメトリーによって分離した。
(抗体およびフローサイトメトリー)
使用したmAbは、抗CD94(DX22;Phillipsら(1996)Immunity 5:163−172)またはHP−3D9 mAb(Lopez−Botet(1995)、1437−1439頁、Schlossmanら(編)、Leucocyte Typing V.Oxford University Press,Oxford);抗KIR2D mAb(DX27;Phillipsら(1996)Immunity 5:163−172)、抗NKR−PIA(DX1;Lanierら(1994)J.Immunol.153:2417−2428)、抗FLAG(M2 mAb、Kodak)、抗NKG2A/C(8E4 mAb;Houchinsら(1997)J.Immunol.158:3603−3609)、およびコントロールマウスIgG1 mAb(Becton Dickinson,San Jose、CA)であった。CD94/NKG2AおよびCD94/NKG2Cへテロダイマーに特異的なウサギ抗血清を、記載されているように調製した(Lazeticら(1996)J.Immunol.157:4741−4745)。FITC結合ヤギ抗ウサギIgおよびFITC結合抗マウスIg二次抗体を、CalTag(So.San Francisco,CA)から購入した。免疫蛍光およびフローサイトメトリーを、記載されているように行った(LanierおよびRecktenwald(1991)Methods:A Companion to Methods in Enzymology 2:192−199)。
(生化学)
トランスフェクトしたBa/F3細胞を125Iで標識し、そしてジギトニン溶解緩衝液(pH7.8、1%のジギトニン、0.12%のTriton−X100、150mMのNaCl、20mMのトリエタノールアミン、0.01%のNaN3、およびプロテアーゼインヒビター;Lanierら(1989)Nature 342:803−805)中で可溶化した。細胞溶解物を、ウサギ抗マウス/ラットIg(Sigma)および抗CD94(DX22 mAb)、抗FLAG(M2 mAb)またはコントロールIgGでコートしたPansorbin(Calbiochem)とともに、2時間氷上でインキュベートし、次いで、洗浄した。免疫沈降物を、10%の2−メルカプトエタノールの存在下または非存在下でSDS−PAGEサンプル緩衝液中に再懸濁し、18%のTris/グリシンゲル(Novex)上で泳動し、そしてPhosphorImager(Molecular Dynamics)を使用することによって可視化した。
ヒトNK細胞クローンおよびポリクローナルヒトNK細胞株(記載されているように培養した(Ysselら(1984)J.Exp.Med.160:239−254)、CD3−、CD56+末梢血NK細胞)を125Iで標識し、そしてジギトニン溶解緩衝液中に可溶化した。125I細胞溶解物を、ウサギIgでコートしたPansorbinとともに予め一晩明澄化し、次いで、アフィニティー精製したウサギ抗DAP12抗血清(ヒトDAP12の細胞質ドメイン全体を含有するGST融合タンパク質に対して標準的な方法によって生成した)でコートしたPansorbinとともに2時間氷上でインキュベートした。DAP12会合タンパク質を、25μlの50mMのジエチルアミン(pH11.5)中に溶出させ、そして10mg/mlのBSAキャリアタンパク質とともに0.5mlの1%NP−40溶解緩衝液(プロテアーゼインヒビターを含有する、50mMのTris、150mMのNaCl、pH8.0)中に移した。DAP12に会合した溶出されたタンパク質を、セファロースビーズに結合させた抗CD94 mAb(HP−3D9およびDX22)またはセファロースビーズに結合させた抗NKR−P1A mAb(DX1)(ネガティブコントロールとして使用した)を用いて、再度免疫沈降させた。免疫沈降物を、1%のNP−40溶解緩衝液中で洗浄し、10%の2−メルカプトエタノールの存在下または非存在下でSDS−PAGEサンプル緩衝液中に再懸濁し、18%のTris/グリシンゲル上で泳動し、そしてPhosphorImagerを使用することによって可視化した。
抗FLAG(M2 mAb)または抗−NKG2A/C(8E4 mAb;Houchinsら(1997)J.Immunol.158:3603−3609)を使用するウェスタンブロット分析を、Phillipsら(1996)Immunity 5:163−172に記載されているように行った。8E4 mAbは、ウェスタンブロット分析によってNKG2AおよびNKG2Cの両方を検出するが、免疫沈降せず、かつ免疫蛍光アッセイにおいて、これらの抗原に結合しない。
(細胞の刺激)
トランスフェクトしたBa/F3細胞を、CD94、FLAG−DAP12、またはKIR2DS2を認識する20μg/mlのmAbを含有する0.5%のBSAを含有する冷却したPBS中に、5×107細胞/mlで、再懸濁した。細胞を氷上で30分間インキュベートし、洗浄し、10μg/mlのヤギ抗マウスIgG F(ab’)2(Jackson Immunoresearch)中に再懸濁し、そして37℃にて3分間インキュベートした。細胞を、ペレット化し、記載されているように(Lanierら(1998)Nature 391:703−707)、氷冷した溶解緩衝液(プロテアーゼインヒビターおよびホスファターゼインヒビターであるアプロチニン、ロイペプチン、PMSF、EDTA、NaVO4、およびNaFを含有する、1%のNP−40、10mMのTris、pH7.4、150mMのNaCl)中に108/mlで再懸濁した。SykおよびFLAG−DAP12を、ウサギ抗Syk抗血清(Joe Bolen、DNAXによって寛大に提供された)または抗FLAG(M2 mAb)で免疫沈降させた。細胞溶解物(2〜3×106細胞と等量)および免疫沈降物を、Tris/グリシンゲル上で泳動させ、Immobilonメンブレン(Millipore)上にブロットし、ブロックし、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗ホスホチロシンmAb 4G10(Upstate Biotechnology)でプローブし、洗浄し、そして化学発光基質(Pierce)を用いて発光させた。
(XVI.Ly49DまたはLy49HとのマウスDAP12の会合)
Ly49レセプターファミリーのいくつかのメンバーは、適切なMHCクラスI分子を発現する標的のNK細胞媒介性の溶解を阻害する。それらの細胞質ドメイン中のイムノレセプターチロシンに基づく阻害性モチーフ(Immunoreceptor Tyrosine−based Inhibitory Motifs:ITIM)を欠失している2つのLy49分子である、Ly49DおよびLy49Hは、イムノレセプターチロシンに基づく活性化モチーフ(Immunoreceptor Tyrosine−based Activation Motif:ITIM)を保有する分子である、マウスDAP12と会合する。Ly49DまたはLy49HのいずれかとDAP12との同時トランスフェクションは、Ly49およびDAP12の両方の表面発現を誘導する。Ly49/DAP12複合体は、トランスフェクトされた細胞から免疫共沈降され、このことは、形質膜中のLy49DまたはLy49HとのDAP12の物理的な会合を実証する。Ly49DまたはLy49Hのいずれかを認識する抗体でのトランスフェクタントの刺激は、細胞の複数の基質のチロシンリン酸化の誘導によって評価されるような、細胞の活性化を生じる。
NK細胞は、適切な多型性クラスIリガンドの認識の際に阻害性シグナルを送達する、MHCクラスIのレセプターを発現し、これによって標的の溶解の阻害を生じる。H−2についてのプロトタイプの阻害性レセプターであるマウスLy49A(Karlhoferら(1992)Nature 358:66)は、ナチュラルキラー細胞およびT細胞の小さい集団上で発現されるC型レクチンファミリーの、ホモダイマーのII型の膜内在性タンパク質である。Ly49ファミリーは、9個の遺伝子(Ly49AからI)を含む(Smithら(1994)J.Immunol.153:1068;Brennanら(1994)J.Exp.Med.180:2287;Takeiら(1997)Immunol.Rev.155:67)。Ly49分子のうちの7個(RyanおよびSeaman(1997)Immunol.Rev.155:79)は、それらの細胞質ドメイン中にITIMを有する(V/IxYxxL/V)(Thomas(1995)J.Exp.Med.181:1953;Lanier(1997)Immunity 6:371)。Lu49AおよびLy49G2中のリン酸化されたITIMは、細胞質性チロシンホスファターゼSHP−1およびSHP−2に結合する(Olceseら(1996)J.Immunol.156:4531;Nakamuraら(1997)J.Exp.Med.185:673;およびMasonら(1997)J.Immunol.159:4187)。そのリガンドH−2DdによるLy49Aへの結合は、標的細胞とNK細胞との相互作用によって誘導される初期の活性化事象を妨害する(Nakamuraら(1997)J.Exp.Med.185:673)。Ly49DおよびLy49HはITIMを欠失しており、そしてそれらの膜貫通ドメイン内に正に荷電したアルギニン残基を有する。Ly49Dは、阻害性シグナルの送達が不可能であり、そして実際に、NK細胞を活性化し得る(Masonら(1996)J.Exp.Med.184:2119)。
ヒトNK細胞は、分子の機能的な類似のセットである、キラー細胞阻害性レセプター(KIR)を発現する。これは、イムノグロブリンスーパーファミリーに属する(Lanier(1997)Immunity 6:371)。KIRは、Ly49と同様に、それらの細胞質性ドメイン中のITIMの存在または非存在に基づいて、2つのサブファミリーに分類され得る。KIR2DLまたはKIR3DLはITIMを有し、そしてそれらのMHCクラスIリガンドを発現する標的の溶解を阻害する。ITIMを欠失しているKIRイソ型(KIR2DS)は、それらの膜貫通ドメイン中に正に荷電した残基を有し、そして活性化シグナルを送達する(Morettaら(1995)J.Exp.Med.182:875;Biassoniら(1996)J.Exp.Med.183:645)。DAP12(これは、KIR2DS2と非共有的に会合する(Lanierら(1998)Nature 391:703−707))は、その細胞質のテール中にITAMを有し、そしてその膜貫通ドメイン中に負に荷電したアスパラギン酸残基を有する。KIR2DS2/DAP12複合体の連結によって、細胞の活性化を生じる。マウスDAP12とLy49DおよびLy49Hとの会合、ならびに下流のシグナル伝達経路を活性化するこれらの複合体の能力を、試験した。
Ly49DおよびLy49Hの転写物が、IL−2活性化NK細胞中に存在する(20)。Ly49Dは、NK細胞の約50%で発現され(Masonら(1996)J.Exp.Med.184:2119)、そして16kDのチロシンホスホプロテインと会合する(Masonら(1998)J.Immunol.160:4148−4152)。マウスNK細胞は、ヒトNK細胞と同様に、活性化KIR2DSと会合しそして細胞の活性化を媒介する分子であるDAP12(Lanierら(1998)Nature 391:703)のmRNAを転写する。Ly49DまたはLy49HがDAP12と会合するかどうかを試験するために、Ba/F3細胞を、エピトープタグ化マウスDAP12(DAP12−FLAG)で安定にトランスフェクトした。Ba/F3−DAP12−FLAG細胞は、細胞表面ではDAP12を発現しない。次いで、Ba/F3またはBa/F3−DAP12トランスフェクタントを、Ly49D、mycエピトープタグ化Ly49H(Ly49H−myc)、またはコントロールとしてのLy49Aのいずれかをコードするレトロウイルスで感染させた。Ly49DおよびLy49H−mycの両方ともが、Ba/F3細胞中にトランスフェクトされた場合に、細胞表面上で適切なレベルでは発現されなかった。対照的に、Ly49DまたはLy49H−mycのいずれかでのBa/F3−DAP12−FLAG細胞のトランスフェクションは、Ly49およびDAP12−FLAGの両方の高レベルの表面発現を生じた。このことは、Ly49DおよびLy49HがDAP12と会合することを示唆する。
Ly49およびDAP12の膜貫通部分中の荷電した残基がそれらの会合のために重要であるかどうかを、試験した。Ly49Aは、その細胞外ドメインにおいてLy49Dと86%のアミノ酸同一性を共有するが、その膜貫通セグメント中でアルギニンを欠失している。Ly49DまたはLy49Hとは対照的に、Ly49AをBa/F3またはBa/F3−DAP12−FLAG細胞中に安定にトランスフェクトした場合、これは、単独でまたはDAP12−FLAGの存在下で、細胞表面で発現され、そしてDAP12−FLAGの表面発現を誘導することができなかった。Ly49DまたはLy49H−mycと、DAP12との間の相互作用は、両方のLy49分子がBa/F3−ヒトDAP12−FLAGトランスフェクタントの表面上で発現されるので、種限定的ではない。しかし、Ly49DまたはLy49Hのいずれも、膜貫通部分中の負に荷電したアスパラギン酸がロイシンに変異した、変異体ヒトDAP12分子で安定にトランスフェクトされたBa/F3細胞の表面上では発現されなかった。従って、Ly49DおよびLy49Hの両方が、細胞表面に効率的に到達するためにはDAP12と会合しなければならず、そしてそれらの相互作用はおそらく、DAP12およびLy49の膜貫通部分中の反対に荷電した残基によって媒介される。
Ly49DおよびLy49Hが細胞表面でDAP12と非共有的に会合することを確認するために、Ly49D/DAP12−FLAGまたはLy49H−myc/DAP12−FLAGのBa/F3トランスフェクタントを、表面をヨウ素化し、ジギトニンで溶解させ、そして免疫沈降物をSDS−PAGEによって分析した。抗Ly49DでのBa/F3−Ly49D/DAP12−FLAG溶解物の免疫沈降物は、Ly49DおよびDAP12−FLAGとしてのそれらの実体と一致する大きさを有する、2つのヨウ素化された種を示した。同一のパターンを、抗FLAGを用いて観察し、これによって、2つの種がLy49DおよびDAP12−FLAGであることを確認した。抗mycまたは抗FLAGを用いたBa/F3−Ly49H−myc/DAP12−FLAG溶解物の免疫沈降物は、同様のパターンを示した。これらの結果は、形質膜中のLy49DまたはLy49Hと、DAP12との物理的な相互作用を実証する。
(XVII.Ly49/DAP12複合体は細胞内活性化シグナルを伝達する)
DAP12はITAMを有し、そしてLy49Dの結合は、NK細胞を活性化する(Masonら(1996)J.Exp.Med.184:2119)ので、Ly49/DAP12複合体が活性化シグナルを伝達するかどうかを問うた。抗Ly49または抗FLAGでのLy49D/DAP12−FLAGおよびLy49H−myc/DAP12−FLAGトランスフェクタントの架橋によって、両方の細胞株において、DAP12−FLAGおよびSykを含む多くの細胞性タンパク質のチロシンリン酸化を生じた。これらのデータは、Ly49D/DAP12およびLy49H/DAP12が、連結の際に細胞の活性化を開始し得る、細胞表面上で機能的な複合体を形成することの証拠を提供する。
これらの活性化レセプターの生理学的なリガンドは何であろうか。Ly49Dは、H−2DdおよびH−2Dkに結合する阻害性レセプターであるLy49A(Brennanら(1996)J.Exp.Med.183:1553;Kane(1994)J.Exp.Med.179:1011;Danielsら(1994)J.Exp.Med.180:687)とその細胞外ドメインにおいて86%のアミノ酸同一性を共有する(Smithら(1994)J.Immunol.153:1068)。Ly49Hは、H−2Kbを含むいくつかのクラスI分子と相互作用する別の阻害性レセプターであるLy49C(Brennanら(1996)J.Exp.Med.183:1553)とその細胞外ドメインにおいて90%のアミノ酸同一性を共有する(Brennanら(1994)J.Exp.Med.180:2287)。従って、Ly49のこれらの活性化形態は、MHCクラスI分子と相互作用し得る。インビボおよびインビトロの両方でのNK細胞によるポジティブなアロ認識の証拠が、ラットにおいて存在する(Rolstadら(1997)Immunol.Rev.155:91に概説されている)。同様に、マウスNK細胞は、ポジティブな様式で特定のクラスI分子を発現する同種異系の骨髄細胞を認識し、そしてインビボでのそれらの拒絶を媒介する(Ohlenら(1989)Science 246:666;Georgeら(1997)Immunol Rev.155:29)。マウスLy49DおよびLy49HがDAP12と会合し、そして活性化レセプターを形成することが示されており、これによってNK細胞によるポジティブなアロ認識の可能性のある説明が提供される。
クラスIリガンドを認識する活性化NKレセプターおよび阻害性NKレセプターの両方の存在がどのように調和され得るであろうか。3つのモデルを想定する。第1のモデルにおいては、活性化レセプターの結合は、未成熟なNK細胞の成熟を促進する発生の間に作用する。しかし、これまでのところ、発生の間に、阻害性レセプターの出現以前の活性化レセプターの出現の証拠は存在しない。第2のモデルは、NK細胞が、同じクラスIリガンドについての活性化レセプターおよび阻害性レセプターを有することを提唱する。クラスIの結合の際に、活性化レセプターは、阻害性レセプターのITIMをリン酸化するタンパク質チロシンキナーゼを補充し、これによってNK細胞の不活化を生じる。ほとんどのヒトNK細胞クローンが少なくとも1つの活性化レセプターおよび1つの阻害性レセプターを有するが、これらは、同じリガンドを認識し得る対を、必ずしも有さない。最後に、第3のモデルは、NK細胞が、異なるクラスI対立遺伝子の阻害性および活性化レセプターを発現すると予測する。このモデルにおいては、両方のレセプターのリガンドが結合する場合に、阻害性レセプターの結合が優位を占める。阻害性レセプターのリガンドがダウンレギュレートされるかまたは欠失される場合、活性化レセプターは、そのリガンドが存在する場合に、「異常な」細胞の溶解を誘発し得る。このモデルは、複数の阻害性および活性化レセプターが同じ細胞によって発現され得るという利点を有し、NKクローンにおける所見とより一致する予測である。さらに、標的細胞によるMHCクラスI分子全ての欠失の場合において、他の活性化機構が、NK細胞による溶解を開始しなければならない。
(XVIII. 会合したタンパク質の単離)
DAP12は、会合するパートナーの非存在下で細胞中で発現された場合に、細胞内に局在化したままである。この観察を、新規のDAP12会合タンパク質のクローニングの目的で、例えば、膜への細胞性局在のプロセスにおいて必要である遺伝子を発現クローニングするために、使用した。会合したタンパク質を有さない細胞をDAP12でトランスフェクトし、そしてタンパク質は細胞内局在化したままであった。これらの細胞を、DAP12表面局在化のために必要なアクセサリータンパク質を発現クローニングするために使用し得た。ストラテジーを、「DAPトラップ」と命名した。
この目的を達成するために、マウスDAP12のFLAGタグ化形態を、発現ベクター(例えば、pREP10)を使用して293T細胞中で発現させた。ハイグロマイシンの存在下で、安定なDAP12発現細胞株DT381を選択した。細胞表面での自発的なDAP12の発現のバックグラウンドを減少させるために、DT381細胞を、M2抗FLAG mAb(Kodak)を使用してフローサイトメトリーによってネガティブに選択した。新規のDAP12会合タンパク質をクローン化するために、J774マクロファージ細胞株由来のpJEF14発現ライブラリーを、DT381細胞中にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を、フローサイトメトリーによってDAP12の細胞表面発現について選択した。これは、2色染色によって行った:DAP12を、M2抗FLAG mAbを使用して、続いて、ビオチン結合抗マウスIgG1 mAb(#02232D Pharmingen)で、続いてストレプトアビジン−PEでの、3工程のインキュベーションを使用して可視化した。トランスフェクトしたDT381細胞上のFcレセプターを、直接的なFITC結合抗CD16/32 mAb 2.4G2(#01244D Pharmingen)を使用して可視化した。単一のPEポジティブである細胞のみを分離した。抗CD16/32 mAbを用いた染色は、J774細胞中に豊富に存在するFcレセプターのクローニングを回避するために必要であった。
分離した細胞に由来するプラスミドをレスキューし、そしてDNAを、DH10B細菌中に再度形質転換した。サブライブラリーを得、そして発現クローニングの次の回に供した。3回の選択後、3回目のサブライブラリーに由来する500個の単一の細菌コロニーを、5×12×8コロニーからなる三次元マトリックスを構築するために、96ウェルプレート形式で増殖させた。このマトリックスの各X、Y、およびZ座標のプールから得たDNAを、再度DT381細胞にトランスフェクトし、そしてそのトランスフェクタントをDAP12表面発現についてスクリーニングした。
これによって、C型レクチンスーパーファミリーの165アミノ酸のII型膜貫通タンパク質を両方ともがコードする、2つの同一のクローンの同定した。この遺伝子/タンパク質を、Myloid DAP12会合レクチン1(MDL−1)と命名した。マウス由来のMDL−1のこの実施態様は、2残基の細胞内領域、23残基の膜貫通領域、およびC型レクチンドメインを含有する140残基の細胞外領域を有する。膜貫通セグメントは荷電したアミノ酸を有し、細胞外領域は3つの推定のNグリコシル化部位を有する。BLAST検索によって、このクローンが75ヌクレオチドの付加的なストレッチを有し、それによって膜貫通領域のすぐ外側の細胞外の25残基のさらなるストレッチを生じることを除いて、高度に相同な全長のマウスESTであるAA186015(これは、上記の2つのクローンと同一である)を明らかにした。従って、短形態および長形態の2つの実施態様が存在する。配列の残りは同一である。
DNAX配列データベース内の検索によって、相同なヒトESTである#97−1128A12(これは、MDL−1のヒトホモログをコードする)を明らかにした。マウスMDL−1は、多くの関連する表面タンパク質(これらは、遺伝子のファミリーにおいて存在し得る)とは対照的に、単一の遺伝子によってコードされるようである。マウスのMDL−1発現は、単球、マクロファージ、および樹状細胞に限定される。
MDL−1遺伝子が、膜に対するDAP12の局在化において重要であるようであり、そして興味深い構造的特徴を有するので、MDL−1は、おそらく、膜複合体中のDAP12と会合する。従って、複合体の破壊は、DAP12−レセプター複合体の機能の興味深いブロックを導き得る。このことは、会合を妨害する化合物についての低分子薬物スクリーニングに対する明らかなアプローチを示唆する。あるいは、膜貫通フラグメントは、機能的な会合をブロックし得る。細胞外領域に対する抗体(タンパク質単独であるか、または機能的な複合体中の成分の組み合わせのいずれか)が、診断または治療的な状況において有用である。
DAP10もまた、アクセサリータンパク質と会合するようである。詳細には、穏やかな変性条件下でのDAP10の免疫沈降によって、約40〜41kDのタンパク質のバンドの免疫共沈降を生じる。ノイラミニダーゼ処理またはO−グリカナーゼ処理は、約38〜39kDへの分子量の減少を生じる。N−グリカナーゼ処理は、約28〜30kDへの分子量の減少を生じる。これらは、グリコシル化を伴わないタンパク質が約26〜30kDaであることを示唆する。標準的な方法または微量配列決定法を、免疫沈降によって単離したタンパク質に適用し得る。配列を用いて、重複PCRプライマーまたは他の技術を、遺伝子を単離するために適用し得る。あるいは、配列は、配列データベース中での適合による遺伝子の同定を可能にし得る。
さらに、DAP10もまた、DAP−トラップストラテジーに供される。発現クローニング技術を適用し、DAP12を用いる場合と同様に、cDNAライブラリーから遺伝子をクローン化し得る。分布の情報は、そのようなための適切な細胞株およびcDNAライブラリーの選択を可能にする。
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(配列表)