JP4853514B2 - ドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法 - Google Patents

ドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、自動車用ドライブシャフトの軽量化や静粛性に最適で、高強度かつ耐疲労強度に優れる中空部材として用いられる冷間仕上継目無鋼管、およびこの継目無鋼管を効率的に製造する方法に関するものである。
最近では、地球環境を保護する必要性が高まるなかで、自動車車体の軽量化を図り、一層、省エネルギー効果を達成することが要請されている。このため、車体軽量化の観点から、自動車用部品を中実部材から中空部材に切り替える試みがなされている。このような試みのなかで、自動車のドライブシャフトに中空部材が採用されるようになっている。
具体的には、自動車車体の軽量化に併せて操縦性、静粛性を備えるため、3ピ−ス(部材の中間部に高周波焼入れ等の熱処理を施さない鋼管を使用し、等速ジョイントやディファレンシャルギヤに連結される端部には中実材、鍛造材を使用)の摩擦圧接型の中空ドライブシャフトが一部で採用されはじめている。
自動車用ドライブシャフトは、エンジンの回転軸のトルクを駆動輪に伝達する重要保安部品であるため、十分な耐疲労強度を確保する必要があるが、継目無鋼管を中空部材として用いる場合、鋼管の製造条件によっては中空部材の内面にしわ状きず、すなわち長手方向に垂直な断面の内表面に形成される凹凸きず(以下、「内面しわ」という)が残存する場合がある。内面しわが残存すると、これが疲労き裂の起点など破損の要因となり易く、ドライブシャフトの耐疲労強度を著しく低下させることになる。
そこで、ドライブシャフトの中空部材に用いる鋼管の製造には、鋼管内にプラグその他の芯金を挿入して、冷間抽伸を所定寸法まで繰り返す方法が検討されているが、冷間抽伸を繰り返す方法では、鋼管の内外表面が滑かに加工でき、所定寸法に仕上げられるが、平滑な内面を得るには、数回に亘る抽伸加工と中間焼鈍を繰り返す必要があるため、製造コストが嵩むという問題がある。
このような問題を解決するため、特許第2822849号公報では、マンネスマン製管法でストレッチレデューサを用いて能率的に継目無鋼管を製造して、この鋼管内面をショットブラスト研削等によって内面切削して、ドライブシャフト等の自動車用継目無鋼管を製造する方法が提案されている。この製造方法によれば、熱間圧延された継目無鋼管の内面を20μm〜500μm切削加工することによって、鋼管内面に発生したしわを除去して、耐疲労強度の向上を図ることとしている。
しかし、このようなショットブラストによる内面研削には膨大な処理時間が必要になる。具体的には、ドライブシャフト用として採用される鋼管は、内径が15φ〜25φ程度の小径部材が対象となるが、これらの管内面に対して、上記研削量を確保するためにショット加工を施すには、数十分から数時間の膨大な処理時間が必要となる。このため、特許第2822849号公報で提案された製造方法では、製造コストが増加するとともに、工業上必要とされる量産性が確保できないという大きな問題がある。
継目無鋼管を熱間で製造するマンネスマン製管法は、中実のビレットの中心部に孔を明ける穿孔工程と、この穿孔された中空素管の肉厚加工を目的とする延伸圧延工程と、素管外径を減径して目標寸法に仕上げる定径圧延工程とによって構成される。
通常、穿孔工程ではマンネスマンピアサ、交叉型穿孔圧延機、プレスピアシングミル等の穿孔圧延機が、延伸圧延工程ではマンドレルミル、プラグミル、アッセルミル等の圧延機が、さらに定径圧延工程ではストレッチレデューサやサイザー等の孔型圧延機がそれぞれ用いられる。
図1は、継目無鋼管を熱間で製造するマンネスマン製管法の製造工程の一例を説明する図である。この製管方法は、所定温度に加熱された中実の丸ビレット1を被圧延材とし、穿孔圧延機3で軸心部に穿孔を明けて中空素管2を製造し、後続するマンドレルミル4の延伸圧延装置に送給して延伸圧延する。マンドレルミル4を通過した中空素管2は、次いで再熱炉5に装入され、再加熱された後、ストレッチレデューサ6の定径圧延装置に通して冷間加工用の素管等に用いられる継目無鋼管が製造される。
このような製管法において、図示するストレッチレデューサ6の構成では、中空素管2を圧下する一対の圧延ロールは、パスラインを中心として対向配置された3個の孔型圧延ロール6rからなり、これらの孔型圧延ロール6rが複数のスタンドに配置され、隣接するロールスタンド間ではそれぞれの孔型圧延ロール6rがパスラインに対して垂直な面内で圧下方向を60°毎ずらして交差配置される。
その他のストレッチレデューサの構成としては、パスラインに対して垂直な面内で圧下方向を90°毎ずらして交差配置される4つの孔型圧延ロールを備えた4ロール式の定径圧延装置、さらに、各スタンドに対向する2つの孔型圧延ロールを備えた2ロール式の定径圧延装置が採用されている。
ところが、定径圧延装置として用いられるストレッチレデューサでは、マンドレルなどの内面規制工具を用いることなく、中空素管を外径絞り圧延によって仕上げるので、熱間圧延された鋼管の内面に縦筋状のしわが発生し易い。
さらに、前記図1に示すストレッチレデューサの例では、3個の圧延ロールからなる外径絞り圧延であるため、中空素管はパスラインに対し3方向から圧下を受ける。このため、熱間仕上げされた鋼管の内面形状は、真円にならず、角張りや多角形化した円となり、その内表面には凹凸形状が形成され易い。このような内表面の凹凸形状を真円に矯正するのは、ショットブラスト等の研削加工だけでは困難である。
通常、中空部材を用いたドライブシャフトでは、耐疲労強度を確保するため高強度化が図られるが、高強度化された材料では、内面しわを起点とする疲労き裂が容易に進展し、耐疲労強度の低下が顕著となることがある。したがって、ドライブシャフト用中空部材の高強度化にともなって疲労き裂発生の応力集中感受性が高まり、内面品質の確保が強く要請される。
本発明は、従来のドライブシャフト等の自動車用継目無鋼管の製造にともなう問題点に鑑みてなされたものであり、マンネスマン製管法によって熱間圧延された素管を用いて冷間抽伸を施すことによって、特に摩擦圧接型等、接合型の中空ドライブシャフトとして、自動車用ドライブシャフトの軽量化や静粛性に最適で、高強度かつ耐疲労強度に優れる冷間仕上継目無鋼管およびその製造方法を提供することを目的としている。
ドライブシャフトは、自動車エンジンの回転軸トルクを駆動輪に伝達する部品であるため、疲労破壊の起点となり得る欠陥を発生させないことが望ましいが、前述の通り、ストレッチレデューサ等の定径圧延装置では、内面規制工具を用いることなく中空素管を外径絞り圧延によって仕上げることから、熱間圧延された鋼管に縦筋状の内面しわが発生し易い。
そこで、中空部材として製造された鋼管をそのまま使用する摩擦圧接型ドライブシャフトにおいて、疲労寿命に及ぼす内面しわ、特にその深さが耐疲労強度に及ぼす影響について検討した。
図2は、駆動輪に連結されるドライブシャフトの全体の概略構成をプロペラシャフトを有する自動車の駆動系で例示する図である。図に示す構成では、ドライブシャフト7は外端が駆動輪に連結される等長シャフト7aと、片端をディファレンシャルギヤ装置10に接続され、中間部に配置される中間シャフト(インターメディエイトシャフト)7bとから構成される。ディファレンシャルギヤ装置10は車体に固定されており、その入力軸にはジョイント11を介してプロペラシャフト12に連結されているが、車体構造上、車体の中心部に配置することができない。
なお、本願においてドライブシャフト用とは、前記ドライブシャフト7を構成するシャフト、7aあるいは7b等に使用されることを意味する。
駆動トルクの動力伝達効率としては、駆動輪への連結を等長シャフト7aを用いて行うのが有効であることから、中間部には中間シャフト(インターメディエイトシャフト)7bを配置し、等長シャフト7aによる連結を可能にしている。鋼管をそのまま使用する摩擦圧接型ドライブシャフトは、通常、駆動輪に連結されるドライブシャフトのうち、中間シャフト(インターメディエイトシャフト)7bとして用いられる。
例えば、中間シャフトとして回転軸トルクを伝達する際に、ドライブシャフトの外表面には、内表面に比べて大きなせん断応力が作用する。このため、ドライブシャフトの内表面にしわ等の欠陥が無い状態で、内外表面とも疲労限度せん断応力が十分に大きい場合には、疲労き裂は、内表面より大きなせん断応力の作用する外面側から発生、成長することになる。
したがって、内表面に内面しわが存在する場合でも、内表面側の疲労限度せん断応力が外面側で規定されるせん断応力を超えないように、内表面側に発生する内面しわを管理できれば、中空部材として製造された鋼管に残存する内面しわであっても、結果としてドライブシャフトの疲労寿命に影響を与えることがなく、実用上、問題とならない。
このような観点から、ドライブシャフトの疲労寿命に及ぼす冷間仕上加工された鋼管に残存する内面しわの影響を詳細に調査した結果、その限界となる深さは0.20mmであることを知見した。
さらに、上記の知見を前提として、ストレッチレデューサ等による定径圧延における内面しわの発生挙動について検討を行った。その結果、定径圧延の際には被圧延管の孔型圧延ロールのエッジ部相当位置で内面しわが集中的に発生していることから、内面しわは圧延ロールの孔型プロフィールが楕円形状であることに起因しており、より真円に近い孔型プロフィールにするとともに、エッジ部相当位置における管の形状比(内面の曲率半径と平均内半径との比)を適正にすることにより、ドライブシャフトの疲労寿命に影響を及ぼすことがないように、内面しわの深さを管理できることを見出した。
また、定径圧延された素管に内面しわが発生した場合であっても、その後の冷間抽伸に際し、素管の偏肉等も相まって生ずる最小肉厚部(角張り底部)において所定の肉厚加工度を確保できれば、内面しわの助長を抑制できることを明らかにした。
さらに、鋼の成分設計において、含有されるS量を低減することにより、ドライブシャフトの疲労試験における高サイクル側の疲労寿命を改善できることを見出して、ドライブシャフト用鋼管として、低S鋼を採用するのが有効であることも明らかにした。
本発明は、このような技術的知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)〜(4)のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法を要旨としている。
(1)質量%で、C:0.30〜0.47%、Si:0.50%以下、Mn:0.50〜2.00%、P:0.020%以下、S:0.005%以下およびAl:0.001〜0.050%を含み、残部がFeおよび不純物からなるビレットを用い、マンネスマン製管法によって穿孔圧延、延伸圧延および定径圧延で素管を圧延し、前記素管を冷間抽伸する際に、当該素管の最小肉厚部における肉厚加工度が10%以上で加工することを特徴とするドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法
ここで、肉厚加工度とは、抽伸加工前の素管肉厚をtとし、抽伸加工後の仕上肉厚をtfとした場合に、次の(2)式で定義される値である
肉厚加工度={(t−tf)/t}×100(%) ・・・ (2)
(2)上記(1)のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法では、前記定型圧延を少なくとも2個の孔型圧延ロールを備えた複数のスタンドからなる定径圧延装置を用いて行う際に、前記各スタンドにおいて互いに隣接する孔型圧延ロールの対向するエッジ部に接線を引き、それぞれの接線の成す角度β(度)のうち全スタンドで最小の角度をβmin(度)とした場合に、下記(1)式を満足する孔型圧延ロールを用いて素管を圧延し、さらに前記素管に冷間抽伸を施すことが望ましい
βmin≧1.13×10×ln(t/D×l00)+1.37×10 2
・・・(1)
ただし、D:定径圧延後の管外径(mm)、t:定径圧延後の管肉厚(mm)、ln(x):xの自然対数
上記(2)のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法では、さらに素管を冷間抽伸する際に、当該素管の最小肉厚部における肉厚加工度を10%以上とすることにより、その長手方向に垂直な断面における内表面に残存する内面しわの深さを0.10mm以下とできる
(3)上記(1)、(2)のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法では、Feの一部に替え、Cr:1.5%以下、Ti:0.05%以下、Nb:0.05%以下、V:0.1%以下、Mo:1%以下、Ni:0.5%以下、Cu:0.5%以下、B:0.05%以下およびCa:0.01%以下のうち1種または2種以上を含有させることができる。
(4)上記(2)、(3)のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法では、熱間圧延された素管を冷間抽伸したのち、応力除去焼鈍を行うことにより、引張強度を784Mpa以上、950Mpa以下にできる。
本発明のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管によれば、マンネスマン製管法によって熱間圧延された素管を用いて冷間抽伸を施すことによって、自動車用ドライブシャフトの軽量化や静粛性に最適で、高強度かつ耐疲労強度に優れる中空部材として採用できる。したがって、本発明の製造方法を適用することによって、自動車用ドライブシャフトを低廉な製造コストで、かつ効率的に製造できるので、工業的に効果が大きく、広く適用することができる。
図1は、継目無鋼管を熱間で製造するマンネスマン製管法の製造工程の一例を説明する図である。
図2は、駆動輪に連結されるドライブシャフトの全体の概略構成を示す図である。
図3は、鋼管の内表面に残存する内面しわの状況を、鋼管の長手方向に垂直な断面における形状として示した図である。
図4は、鋼管の内表面に残存する、他の形態の内面しわの状況を、鋼管の長手方向に垂直な断面における形状として示した図である。
図5は、外径加工度が50%以上である場合における、素管のエッジ部相当位置における管の形状比(内面の曲率半径と平均内半径との比)の全スタンド(No.1〜N)での平均値αと、素管に生じた内面しわの深さとの関係を示す図である。
図6は、定径圧延装置の各スタンドにおいて互いに隣接する孔型圧延ロールの対向するエッジ部に接線を引き、それぞれの接線の成す角度β(度)のうち全スタンドで最小の角度をβmin(度)と、定径圧延後の管寸法t/Dとの関係を示す図である。
図7は、ストレッチレデューサに用いられる圧延ロールにおける孔型形状を示す図である。
図8は、本発明に用いる孔型圧延ロールを規定するためにエッジ部に引いた接線の成す角度の算出要領を説明する図である。
図9は、ストレッチレデューサに用いられる他の圧延ロールにおける部分的な孔型プロフィールを示す図である。
図10は、実施例で実施したねじり疲労試験に用いた試験片の構成を説明する図である。
本発明が目的とするドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管では、鋼管をそのまま使用する中空ドライブシャフト、特に摩擦圧接型等の接合型の中空ドライブシャフトが優れた耐疲労強度が発揮できるように、内表面に残存する内面しわの深さが0.20mm以下であることを特徴としている。
ここで、規定する内面しわの深さは、鋼管の内表面の全体を見渡して、その中で最も深い内面しわの深さとする。また、内面しわの深さ測定は、例えば、鋼管の管端からミクロ観察用の試料を採取し、内面全周のミクロ観察により行うことができる。
図3および図4は、鋼管の内表面に残存する、形態の異なる内面しわの状況を、鋼管の長手方向に垂直な断面における形状として示した図であり、それぞれの(b)において内面しわの深さを規定する方法を示している。すなわち、内面しわの深さは、しわの両肩頂部A、Bのうち、より高い頂部(図ではA部)からしわ底部までの距離で規定する。
内表面に残存する内面しわの深さを0.20mm以下で管理することにより、内面しわ先端の疲労限度せん断応力が外面側で規定されるせん断応力を超えないように抑制することができる。このような内面しわの深さ管理により、後述する実施例で示すように、最大せん断応力τ=±145N/mm(完全両振り)の条件下でねじり疲労試験を実施した場合に、破断までの繰り返し数が100万回以上となり、自動車用ドライブシャフトの疲労寿命に影響を与えることがなく、実用上の問題を生じない。
本発明が目的とするドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管では、引張強度を784Mpa以上、950Mpa以下としている。ドライブシャフトの耐疲労強度を確保するため、その強度、剛性を高めておくことが望ましいことから、引張強度を784Mpa以上とした。一方、引張強度が950Mpaを超えるようになると、靱性が低下することから、上限を設けることとした。
さらに、鋼管に含有されるS量を低減することにより、ドライブシャフトの疲労試験における高サイクル側の疲労寿命を改善することができる。したがって、本発明のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管は、低S鋼(S:0.005%以下)を用いるが、その引張強度が784Mpa以上、950Mpa以下と高強度であることも特徴としている。
本発明のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管が上記の特徴を発揮するために必要な、鋼組成および製造条件について項を分けて説明する。以下の説明において、鋼の化学組成は「質量%」で示す。
1.鋼組成
C:0.30〜0.47%
Cは、鋼の強度を増加し耐疲労強度を向上させる元素であるが、靭性を低下させる作用がある。その含有量が0.30%未満であると、十分な強度が得られない。一方、含有量が0.47%を超えると、冷間加工後の強度が高くなりすぎて靭性が低下する。このため、C含有量を0.30〜0.47%とした。
Si:0.50%以下
Siは、鋼の脱酸および強度を増加するのに有効な元素であるが、その含有量が0.5%を超えると冷間加工性が確保できない。したがって、良好な冷間加工性を確保するため、Si含有量を0.5%以下とした。
Mn:0.50〜2.00%
Mnは、鋼の強度と靭性を向上させるのに有効な元素であるが、その含有量が0.50%未満では十分な強度と靭性が得られず、また、2.00%を超えると冷間加工性が低下する。このため、Mn含有量を0.50〜2.00%とした。
P:0.020%以下
Pは、鋼中に不純物として含まれ、凝固時に最終凝固位置の近傍に濃化し、かつ粒界に偏析して熱間加工性、靭性および耐疲労強度を低下させる。P含有量が0.020%を超えると、粒界偏析による靭性低下および耐疲労強度の低下につながるため、不純物としての上限を0.020%とした。
S:0.005%以下
Sは、Pと同様に鋼中に不純物として含まれる元素であり、凝固時に粒界に偏析し、熱間加工性および靭性を低下させる。さらにS含有量が0.005%を超えると、鋼中のMnSが増加するととともに耐疲労強度の低下が顕著となる。このため、不純物としてS含有量の上限を0.005%とした。
Al:0.001〜0.050%
Alは、脱酸剤として作用する元素である。脱酸剤として効果を得るには、0.001%以上の含有が必要であり、一方、その含有量が0.050%を超えると、鋼中のアルミナ系介在物が増加し耐疲労強度が低下する要因になる。このため、Al含有量を0.001〜0.050%とした。
さらに、本発明のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管は、耐疲労強度に加え諸特性を改善するため、上記の鋼組成に加え、Cr:1.5%以下、Ti:0.05%以下、Nb:0.05%以下、V:0.1%以下、Mo:1%以下、Ni:0.5%以下、Cu:0.5%以下、B:0.05%以下およびCa:0.01%以下のうち1種または2種以上の成分を含有させることができる。
2.製造条件
(熱間工程での製造条件)
本発明のドライブシャフト用冷間仕上鋼管の製造方法の一例として、前記図1に示すように、マンドレルミルおよびストレッチレデューサを用いたマンネスマン製管法を挙げることができる。
このとき、ストレッチレデューサでの定径圧延において、圧延される管内面の真円度を適切に向上させ、圧延過程での内面形状の多角化を抑え、内面しわの発生および進展を有効に抑制することができる(必要であれば、同出願人によるWO2005/092531 A1パンフレット参照)。
図5は、外径加工度が50%以上である場合における、素管のエッジ部相当位置における管の形状比(内面の曲率半径と平均内半径との比)の全スタンド(No.1〜N)での平均値αと、素管に生じた内面しわの深さとの関係を示す図である。
図5では、各スタンドに備えられた孔型圧延ロール6の孔型プロフィールの条件を種々変更しながら、外径100mmで肉厚11mmの炭素鋼管を外径40mmで肉厚9.6mmに定径圧延した場合の関係を示す。ただし、外径加工度は、定径圧延前の管外径をDiとし、定径圧延後の管外径Dとした場合に、次の(3)式で定義される。
外径加工度={(Di−D)/Di}×100(%) ・・・ (3)
また、平均値αは、各スタンド出側において素管のエッジ部相当位置の内面の曲率半径および平均内半径を三次元形状測定器(東京精密社製)を用いて測定し、当該測定値に基づき各スタンド出側毎に算出した管の形状比を、全スタンド数で平均化した値である。一方、内面しわの深さは、定径圧延装置6の出側で測定した素管のしわ深さの最大値であり、圧延後の素管の一部をサンプルとして切り出し、断面をミクロ観察し測定した値である。しわ深さの測定方法は、前記図3および図4に規定する方法による。
図5に示す関係から、平均値αが0.55前後を境にして、これより小さくなれば、内面しわの深さは急速に大きくなり、逆に平均値αが0.55以上になれば、鋼管の内面に発生し得るしわの発生乃至進展を効果的に抑制できることが分かる。
図6は、定径圧延装置の各スタンドにおいて互いに隣接する孔型圧延ロールの対向するエッジ部に接線を引き、それぞれの接線の成す角度β(度)のうち全スタンドで最小の角度をβmin(度)と、定径圧延後の管寸法t/Dとの関係を示す図である。図6に示す関係では、「○」でプロットしたデータは、圧延された素管の前記平均値αが0.55であったものを、「●」でプロットしたデータは、圧延された素管の前記平均値αが0.55超えであったものを、「×」でプロットしたデータは、前記平均値αが0.55未満であったものを示す。
図6に示す関係から、素管の前記平均値αを0.55以上にするには、各t/Dに対して全スタンドで最小の角度をβminを所定の値以上に設定すればよい。すなわち、各t/Dについて素管の前記平均値αが0.55となったβminの値をt/Dを変数とする関数(自然対数関数)で近似し、βminが当該近似関数以上の値となるように圧延ロール6の孔型プロフィールを設定すればよいことが分かる。
具体的には、穿孔圧延に次いで延伸圧延したのち、複数のスタンドからなるストレッチレデューサ等の定径圧延装置を用いて定径圧延する際に、前記各スタンドにおいて互いに隣接する孔型圧延ロールの対向するエッジ部に接線を引き、それぞれの接線の成す角度β(度)のうち全スタンドで最小の角度をβmin(度)とした場合に、下記(1)式を満足する孔型圧延ロールを用いることが必要である。ただし、D:定径圧延後の管外径(mm)、t:定径圧延後の管肉厚(mm)およびln(x):xの自然対数とする。
βmin≧1.13×10×ln(t/D×l00)+1.37×10・・・(1)
図7は、3ロール式のストレッチレデューサに用いられる圧延ロールにおける孔型形状を示す図である。ストレッチレデューサに配置される孔型圧延ロール6rの孔型形状は、パスラインに位置する孔型中心Oより外方にオフセット(オフセット量S)された孔型中心0’から半径Rの円弧を有しており、この円弧が圧延ロール6rのフランジ側壁面Fと直接交差するように孔型プロフィールPRを構成している。そして、圧延ロール6rのエッジ部Eは、孔型プロフィールPRの端部となり、前記半径Rの円弧の端部に相当する。
前述の通り、ストレッチレデューサによる定径圧延の際には、被圧延管の圧延ロールのエッジ部相当位置で内面しわが発生していることから、孔型プロフィールを適正にするとともに、エッジ部相当位置における管の形状比(内面の曲率半径と平均内半径との比、平均値α)および内面しわの深さとの間には一定の関係があることから、上記(1)式で示されるように、t/Dに対して角度βを所定の値に設定すればよい。
図8は、本発明に用いる孔型圧延ロールを規定するためにエッジ部に引いた接線の成す角度の算出要領を説明する図である。まず、ストレッチレデューサの各スタンドに配置された圧延ロール6raのエッジ部Eaに接線(エッジ部Ea近傍の孔型プロフィールの接線)Laを引き、圧延ロール6raに隣接する圧延ロール6rbのエッジ部のうち、エッジ部Eaに対向するエッジ部Ebに接線(エッジ部Eb近傍の孔型プロフィールの接線)Lbを引いて、両接線La、Lbの成す角度βを算出する。
次に、それぞれに算出された角度βのうち全スタンドで最小となる角度をβminとして、上記(1)式を満足するように、孔型圧延ロール6rの孔型プロフィールを設定すればよい。上述のように設定がなされた圧延ロール6rを用いてストレッチレデューサによる定径圧延すれば、被圧延管の内面しわの発生を抑制し、内面しわが発生した場合でも、その進展を効果的に抑制することができる。
図9は、ストレッチレデューサに用いられる他の圧延ロールにおける部分的な孔型プロフィールを示す図である。本発明で対象とされる圧延ロール6rの孔型プロフィールは、前記図7、図8に限定されるものではなく、図9(a)に示すように、孔型圧延ロール6rの孔型プロフィールPRとして、半径の異なる複数の円弧からなり、フランジ側壁面Fと直接交差する形状を採用することも可能である。この場合における孔型圧延ロール6rのエッジ部Eは、最もフランジ側に位置する円弧(半径Rn)の端部に相当する。
さらに、図9(b)、(c)に示すように、孔型プロフィールPRと孔型圧延ロール6rのフランジ側壁面Fとの間に、円弧からなる「逃がし」や、直線からなる「逃がし」を設けた形状である場合にも採用することができる。この場合における孔型圧延ロール6rのエッジ部Eは、孔型プロフィールPRを構成する円弧の端部(最もフランジ側に位置する円弧の端部)に相当する。
(冷間工程での製造条件)
前述の通り、ストレッチレデューサによる定径圧延された素管は、外径絞り圧延にともなって2〜4方向から圧延ロールによる圧下を受けることから、圧延ロールのエッジ部相当位置で内面しわを発生したり、角張りを生ずることがある。特に、上記(1)式を満足する孔型圧延ロールを用いない場合には、内面しわや角張りの発生が顕著になる。
本発明のドライブシャフト用冷間仕上鋼管では、熱間圧延で素管を製管した後、抽伸加工を施すことによって、内面しわの助長を抑制するだけでなく、発生した角張りを改善することができる。さらに、仕上管の内外面全体の平滑化も図ることができる。
本発明で適用する抽伸加工は、芯金(プラグ)引きを行う限りにおいては、円筒プラグおよびSFプラグ(セミフローティングプラグ)のいずれを用いてもよい。
本発明で適用する抽伸加工では、断面減少率や肉厚加工度を限定するものではないが、前述の通り、熱間圧延された素管の内面形状は、真円にならず、角張り、多角形化しているため、偏肉等も相まって素管の最小肉厚部(角張り底部)において、所定の肉厚加工度が確保できずに内面しわが助長される傾向がある。このため、素管の最小肉厚部における肉厚加工度を10%以上に確保することにより、内面しわの助長を抑制することができるので望ましい。
さらに、本発明のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管では、高周波焼入れ等の熱処理を施すことなく、引張強度が784Mpa以上、950Mpa以下の高強度で管理する必要があるため、冷間抽伸で仕上加工を行った後、最終の引張強度を調整するために450℃以上、Ac1以下の温度で応力除去焼鈍を施すのがよい。具体的な応力除去焼鈍の温度条件は、冷間抽伸での加工条件や鋼組成を勘案して決定される。
表1に示す化学組成の鋼種A〜Dからなる4種のビレットを用いて、マンネスマン製管法によってピアサ穿孔圧延、マンドレルミルおよびストレッチレデューサにより、冷間加工用の素管を製造した。
Figure 0004853514
各ビレットは穿孔温度(例えば、1250℃)に加熱した後、ピアサ穿孔機を用いて中空素管とし、マンドレルミルで延伸圧延したのち、ストレッチレデューサに配置した孔型圧延ロールの最小フランジ接触角βminを変化させて、外径50.8mmで、肉厚が8.5、8.2および8.0mmとなる3寸法の素管を製造した。
このときの管円周方向での最小肉厚、および発生した内面しわの深さを測定した。このときの熱間工程での加工条件(ストレッチレデューサの圧延ロール条件他)、並びに最小肉厚および内面しわ深さの測定結果を表2に示す。
Figure 0004853514
得られた冷間加工用素管に抽伸加工を施すことにより、外径40.0mm、肉厚7.0mmの仕上寸法に加工し、その後、最終の引張強度を調整するために450℃以上、Ac1以下の温度で応力除去焼鈍を施し、冷間仕上継目無鋼管を製造した。冷間抽伸における条件として、断面減少率および肉厚加工度を算出した。ただし、断面減少率は、抽伸加工前の断面積をAとし、抽伸加工後の仕上断面積をAfとした場合に、次の(4)式で定義される値である。
断面減少率={(A−Af)/A}×100(%) ・・・ (4)
肉厚加工度は、平均肉厚加工度と最小肉厚部における肉厚加工度とを算出し、表3の上段に平均肉厚加工度を示し、下段に最小肉厚部における肉厚加工度を示した。同時に、冷間抽伸後に残存した内面しわの深さおよび応力除去焼鈍後の引張強度を測定した。表3に冷間工程での加工条件、内面しわの深さおよび応力除去焼鈍後の引張強度を併せて示した。
Figure 0004853514

(内面しわの深さに及ぼす影響の評価)
上記表1〜3の結果から、素管に発生した内面しわの深さに及ぼすストレッチレデューサの孔型圧延ロール、および冷間抽伸での最小肉厚部における肉厚加工度の影響を調査した。
供試材1、3が示すように、本発明で規定する(1)式を満足する孔型圧延ロールを用いて素管を圧延するとともに、冷間抽伸での最小肉厚部における肉厚加工度を10%以上確保することにより、仕上後の管に残存する内面しわの深さを0.10mm以下に抑制することができた。
一方、供試材2が示すように、本発明で規定する(1)式を満足する孔型圧延ロールを用いることなく素管を圧延する場合であっても、冷間抽伸での最小肉厚部における肉厚加工度を10%以上確保することにより、仕上後の管に残存する内面しわの深さを0.20mm以下にできた。
また、供試材5が示すように、本発明で規定する(1)式を満足する孔型圧延ロールを用いて素管を圧延すれば、冷間抽伸での最小肉厚部における肉厚加工度が10%未満に留まっても、仕上後の管に残存する内面しわの深さを0.20mm以下にすることができた。
次に、供試材4、6が示すように、本発明で規定する(1)式を満足する孔型圧延ロールを用いることなく素管を圧延し、さらに冷間抽伸での最小肉厚部における肉厚加工度が10%未満に留まる場合には、仕上後の管に残存する内面しわの深さが0.20mmを超えることになる。
供試材7、8は、適用した鋼組成がいずれも本発明の規定範囲を外れることから、引張強度を784Mpa以上の高強度を確保することができなかった。
上述した供試材1、2、3の結果から分かるように、冷間抽伸での最小肉厚部における肉厚加工度を10%以上確保することにより、内面しわの助長を抑制し、さらに内面しわの改善を図ることができる。
(ねじり疲労試験による評価)
図10は、実施例で実施したねじり疲労試験に用いた試験片の構成を説明する図である。上記供試材1〜9を短管7に切断し両管端の内面しわの深さを確認した。その後、図10に示すように、鋼管ままの状態の短管7に治具8を摩擦圧接して試験片を作製し、最大せん断応力τ=±145N/mm(完全両振り)の条件下でねじり疲労試験を実施し、破断までの繰り返し数(回)と電子顕微鏡による破損起点部の破面観察を行なった。
このときの合格の判定基準は繰り返し数を100万回以上とし、これを超える場合に評価を○とした。ねじり疲労試験における結果を表4に示す。
Figure 0004853514
表4に示す結果から、冷間抽伸後に残存する内面しわの深さが0.20mm以下である場合には、いずれの供試材も繰り返し数が100万回を超えており、破断位置も圧接部の内面しわ部以外からであった。これに対し、冷間抽伸後に残存する内面しわの深さが0.20mmを超えるようになると、圧接部の内面しわ部から破損を生じ、繰り返し数も100万回を下回るようになる。
これらの結果から、ドライブシャフトの疲労寿命に及ぼす内面しわの許容深さは0.20mmであることが確認できた。
さらに、鋼の化学組成に関し、C、Mnの含有量が少ないため引張強度が784Mpa未満と強度が確保できなかった供試材7、8、および高S鋼(S=0.012%)を適用した供試材9は、鋼管に残存する内面しわの深さが0.20mm以下であったが、繰り返し数は100万回を下回った。
これらの結果から、ドライブシャフトの耐疲労強度を確保し、長疲労寿命化を達成するには、鋼管の高強度化、および低S鋼の適用が必須であることが分かる。
産業上の利用の可能性
本発明のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管によれば、マンネスマン製管法によって熱間圧延された素管を用いて冷間抽伸を施すことによって、自動車用ドライブシャフトの軽量化や静粛性に最適で、高強度かつ耐疲労強度に優れる中空部材として使用できる。したがって、本発明の製造方法を適用することによって、自動車用ドライブシャフトを低廉な製造コストで、かつ効率的に製造できるので、工業的に効果が大きく、広く適用することができる。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.30〜0.47%、Si:0.50%以下、Mn:0.50〜2.00%、P:0.020%以下、S:0.005%以下およびAl:0.001〜0.050%を含み、残部がFeおよび不純物からなるビレットを用い、
    マンネスマン製管法によって穿孔圧延、延伸圧延および定径圧延で素管を圧延し、前記素管を冷間抽伸する際に、当該素管の最小肉厚部における肉厚加工度が10%以上で加工することを特徴とするドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法。
  2. 前記定型圧延を少なくとも2個の孔型圧延ロールを備えた複数のスタンドからなる定径圧延装置を用いて行う際に、前記各スタンドにおいて互いに隣接する孔型圧延ロールの対向するエッジ部に接線を引き、それぞれの接線の成す角度β(度)のうち全スタンドで最小の角度をβmin(度)とした場合に、下記(1)式を満足する孔型圧延ロールを用いて素管を圧延し、
    さらに前記素管に冷間抽伸を施したことを特徴とする請求項1に記載のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法。
    βmin≧1.13×10×ln(t/D×l00)+1.37×102
    ・・・(1)
    ただし、D:定径圧延後の管外径(mm)、t:定径圧延後の管肉厚(mm)、ln(x):xの自然対数
  3. 熱間圧延された素管を冷間抽伸したのち応力除去焼鈍を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法。
  4. Feの一部に替え、Cr:1.5%以下、Ti:0.05%以下、Nb:0.05%以下、V:0.1%以下、Mo:1%以下、Ni:0.5%以下、Cu:0.5%以下、B:0.05%以下およびCa:0.01%以下のうち1種または2種以上を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のドライブシャフト用冷間仕上継目無鋼管の製造方法。
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