上記従来技術は、無線タグとの通信方式として、UWBのように周波数CHを持たない方式を利用する場合には対応できない。また、広い検知対象エリアに対応するために多くのセンサを設置したり、検知対象エリアを拡げたりするためにセンサを増設する場合には、周波数CHの総数に制限されてしまうという問題がある。
そこで、前記周波数CHを分けずにセンサ間の干渉を防ぐ方法として、一定の期間(周期)を複数のスロットに分割し、各センサが相互に異なるスロットを使用するTDMA−TDD方式によって通信を行うことが考えられる。このTDMA−TDD方式ならば、センサが増えても、その都度スロット数を増やせば対処可能となる。
しかしながら、前記TDMA−TDD方式を用いて都合よく運用可能といえども、運用中のセンサ総てにそれぞれ個別のタイムスロットを割当てていては、センサ数の増大に伴って、1周期に要する時間長が長くなり、無線タグとの通信機会が減ってゆく。このため、たとえば早足で歩き去ろうとするユーザに対して、多数のセンサがコンタクトを取ろうとしても、そのユーザが検知対象エリア内に存在した期間に、センサ(検知対象エリア)に割当てのタイムスロットが回って来ず、検知漏れを生じることがある。これを解消すべく、TDMAの1周期に要する時間長を短くして極力タイムスロットが回って来る機会を多くすることも可能ではあるが、そうすると、必然的に、いずれかのセンサがあぶれてタイムスロットを確保できなくなってしまう。また、タイムスロット1つ当りに許される時間長を短くしてしまう選択肢もあるが、そうすると、無線タグとの間で充分な情報交換が行えなくなるおそれもある。
そこで、このような問題を解決するためには、干渉が発生しないセンサに対しては、同じタイムスロットを割当てることが考えられる。しかしながら、センサの配置や設置場所の状況によって適切な割当てが異なるので、システム毎に適切なスロット割当てを検討し、各センサに設定する必要がある。これは、システムの導入における大きな障害となる。また、センサを追加する際に、場合によっては追加するセンサ以外のセンサのスロット割当てを変更する必要が生じることもある。
本発明の目的は、スロット割当てを効率的かつ容易に行うことができる無線認証システムを提供することである。
本発明の無線認証システムは、検知対象の移動空間に沿って複数のセンサが隣接するセンサ間でそれぞれの検知対象エリアの一部が相互に重なるように配置され、前記検知対象に携行される無線タグがいずれかのセンサと通信を行ってゆくことで前記検知対象の移動を検出するようにした無線認証システムにおいて、前記各センサは、共通の無線通信帯域を使用して、前記無線タグと通信を行うとともに、隣接するセンサ間で通信を行うことができる無線通信部と、前記無線通信帯域において自機で使用すべきスロットを選択し、その自機の使用スロット通知と共に前記無線通信部で他のセンサから受信した使用スロット通知も合わせて前記無線通信部から他のセンサへ送信させるとともに、前記無線通信部で受信された使用スロット通知の内、自機に近接したセンサで使用されているスロットをスロット選択に使用しないスロット選択部とを含み、前記スロット選択部には設定釦が接続されており、該スロット選択部は、前記設定釦の操作によって、前記無線通信部に、無線タグとの通信時よりも、送信パワーと受信感度との少なくとも一方を大きくさせてスロット設定動作を開始し、スタート釦の操作または他のセンサからの使用スロット通知を受信すると、前記スロット選択を開始することを特徴とする。
上記の構成によれば、無線タグを携帯したユーザや無線タグが貼付けられた商品などの検知対象を、漏れなく、その所在や通過した軌跡を検知できるように、前記検知対象の移動空間に沿って複数のセンサが隣接するセンサ間でそれぞれの検知対象エリアの一部が相互に重なるように配置され、前記検知対象に携行される無線タグがいずれかのセンサと通信を行ってゆくことで前記検知対象の移動を検出するようにした無線認証システムにおいて、前記各センサ間で共通の無線通信帯域を使用して時分割多元接続(TDMA)で前記無線タグと通信を行うにあたって、各センサのスロット選択部は、無線タグと通信を行う無線通信部を使用して隣接するセンサ間でも通信を行えるようにし、単に空きスロットで自機の検知対象エリア内の無線タグと通信を行うのではなく、予めスロット設定モードにおいて、自機が使用するスロットを選択して、無線通信部から使用スロット通知として残余のセンサに送信することで宣言し、少なくとも自機と前記検知対象エリアの重なる他のセンサで使用させないようにする。このとき、他のセンサから受信した使用スロット通知も合わせて送信することで、センサ配列の末端側のセンサでは、過去に使用されたスロット通知の履歴が蓄積されてゆく。これによって、前記スロット通知を受信したセンサのスロット選択部は、隣のセンサで使用されたスロットは勿論、直接使用スロット通知を受信できない隣の隣・・・のセンサが使っているスロットまでも認識でき、必要に応じた自機から所定範囲のセンサで使用されたスロットを自機のスロット選択に使用せず、他の空きスロットを探索する。
したがって、前記検知対象エリアが、たとえば一直線状や、適宜分岐を含めてツリー状などに連なってゆく無線認証システムにおいて、共通の無線通信帯域を使用して無線タグと通信を行うにあたって、スロット設定が行われると、適宜近接するセンサ間で同一のスロットを使用しないように使用スロットが自動的に設定される。これによって、センサの新設作業や追加作業を容易に行うことができる。また、前記検知対象エリアが重なっていないセンサ間では同じスロットの使用も可能になるので、干渉が発生することなく、広いエリアに多数のセンサを設置するような場合でも、使用スロット数を最小限に抑え(スロット割当てを効率的に行い)、検知周期(スロットが一巡する周期)を短くして応答性を向上することができる。さらにまた、無線認証システム全体で使用スロット通知の重複を防止したり、たとえば3台以上先のセンサで使用しているスロットは使用可能にするなど、干渉の防止と、応答性の向上との両方に配慮したスロット割当てを自動的に行うことができる。
また、設定釦の操作によって前記スロット設定モードとなり、その状態で、スタート釦が操作されると、または他のセンサからの使用スロット通知を受信すると、前記空きスロットの探索を開始し、探索できると、その空きスロットを自機で使用すべきスロットに選択し、その使用スロット通知を他のセンサへ送信するので、総てのセンサをスロット設定モードにした状態で、いずれか1台のセンサのスタート釦が操作されると、それをトリガとして、先ずそのセンサが空きスロットの探索を開始し、探索できて使用スロット通知を送信すると、そのセンサに隣接する次のセンサが前記使用スロット通知の受信によって空きスロットの探索を開始する。こうして、1台のセンサのスタート釦が操作されると、それをトリガとして、波紋のように使用スロットを順次自動的に末端のセンサまで設定することができる。
さらにまた、前記設定釦が操作されてスロット設定動作を開始すると、前記スロット選択部は、前記無線通信部に、無線タグとの通信時よりも、送信パワーと受信感度との少なくとも一方を大きくさせ、たとえば、無線タグとの通信時の4倍の送信パワーまたは受信感度にすることで、センサ間はおよそ2倍の距離まで通信が可能になるので、無線タグの前記検知対象エリアがぎりぎり重なるようにセンサの間隔を広げて設置しても、スロット設定は充分な通信品質で確実に行うことができる。
また、本発明の無線認証システムでは、前記スロット選択部は、自機で使用すべきスロットを選択し、その自機の使用スロット通知と共に前記無線通信部で他のセンサから受信した使用スロット通知も合わせて前記無線通信部から他のセンサへ送信するスロット割当て処理部と、自機から前記使用スロット通知を送信した後、衝突検知通知を受信すると前記スロット割当て処理部に空きスロットの再探索および前記使用スロット通知の再送処理を行わせ、前記使用スロット通知を受信して、その通知内容を再現できなかった場合は前記衝突検知通知を送信する衝突検出処理部とを備えて構成されることを特徴とする。
上記の構成によれば、自機が使用スロット通知を送信した後、次位や次々位での使用スロット通知を受信して、それが重複している場合、すなわち自機が前記移動空間の分岐部分に位置している場合は、その次位や次々位のセンサ同士では前記検知対象エリアが重複せず、互いに使用スロット通知が重複していることが分らないので、衝突検出処理部は、衝突検知通知を送信し、スロット割当て処理部に、再度、空きスロットの探索および使用スロット通知の送信動作を行わせる。
したがって、近接するセンサ間で、スロットの重複(干渉)を確実に防止することができる。
また、本発明の無線認証システムでは、前記スロット割当て処理部は、前記空きスロットの内で、優先順位の高いスロットから使用することを特徴とする。
上記の構成によれば、優先順位の高い順に、たとえば第1のスロット、第2のスロット・・・とすると、前記検知対象エリアが、たとえば前記一直線状に並んでいると、第1のスロットと第2のスロットとが繰返して使用されてゆき、優先順位の低い第3のスロットは使用されない。
したがって、使用スロット数を前記のように最小限に抑え(前記の場合2スロット)、検知周期を短くして応答性を向上することができる。
本発明の無線認証システムは、以上のように、無線タグを携帯したユーザや無線タグが貼付けられた商品などの検知対象の移動を検出するようにした無線認証システムにおいて、前記各センサ間で共通の無線通信帯域を使用して時分割多元接続で前記無線タグと通信を行うにあたって、自機で使用するスロットを使用スロット通知を送信することで残余のセンサに宣言して、少なくとも自機と検知対象エリアの重なる他のセンサで使用させないようにするとともに、このとき他のセンサから受信した使用スロット通知も合わせて送信することで、直接使用スロット通知を受信できない隣の隣・・・のセンサが使っているスロットまでも認識できるようにする。
それゆえ、検知対象エリアが、たとえば一直線状や、適宜分岐を含めてツリー状などに連なってゆく無線認証システムにおいて、共通の無線通信帯域を使用して無線タグと通信を行うにあたって、スロット設定が行われると、適宜近接するセンサ間で同一のスロットを使用しないように使用スロットが自動的に設定される。これによって、センサの新設作業や追加作業を容易に行うことができる。また、前記検知対象エリアが重なっていないセンサ間では同じスロットの使用も可能になるので、干渉が発生することなく、広いエリアに多数のセンサを設置するような場合でも、使用スロット数を最小限に抑え、検知周期を短くして応答性を向上することができる。さらにまた、無線認証システム全体で使用スロット通知の重複を防止したり、たとえば3台以上先のセンサで使用しているスロットは使用可能にするなど、干渉の防止と、応答性の向上との両方に配慮したスロット割当てを自動的に行うことができる。
また、設定釦の操作によってスロット設定モードとなり、その状態で、スタート釦が操作されると、または他のセンサからの使用スロット通知を受信すると、空きスロットの探索を開始し、探索できると、その空きスロットを自機で使用すべきスロットに選択し、その使用スロット通知を他のセンサへ送信するので、総てのセンサをスロット設定モードにした状態で、いずれか1台のセンサのスタート釦が操作されると、それをトリガとして、先ずそのセンサが空きスロットの探索を開始し、探索できて使用スロット通知を送信すると、そのセンサに隣接する次のセンサが前記使用スロット通知の受信によって空きスロットの探索を開始する。こうして、1台のセンサのスタート釦が操作されると、それをトリガとして、波紋のように使用スロットを順次自動的に末端のセンサまで設定することができる。
さらにまた、スロット設定動作を開始すると、無線タグとの通信時よりも、送信パワーと受信感度との少なくとも一方を大きくするので、無線タグの前記検知対象エリアがぎりぎり重なるようにセンサの間隔を広げて設置しても、スロット設定は充分な通信品質で確実に行うことができる。
また、本発明の無線認証システムでは、以上のように、自機が使用スロット通知を送信した後、次位や次々位での使用スロット通知を受信して、それが重複している場合、すなわち自機が前記移動空間の分岐部分に位置している場合は、その次位や次々位のセンサ同士では前記検知対象エリアが重複せず、互いに使用スロット通知が重複していることが分らないので、衝突検出処理部は、衝突検知通知を送信し、スロット割当て処理部に、再度、空きスロットの探索および使用スロット通知の送信動作を行わせる。
したがって、近接するセンサ間で、スロットの重複(干渉)を確実に防止することができる。
また、本発明の無線認証システムは、以上のように、空きスロットの内で、優先順位の高いスロットから使用する。
それゆえ、使用スロット数を最小限に抑え、検知周期を短くして応答性を向上することができる。
図1は、本発明の実施の一形態に係る無線認証システムの構成を示すブロック図である。この無線認証システムは、検知対象であるユーザの移動空間1に沿って複数のセンサS1,S2,S3,S4,・・・(総称するときは、以下参照符号Sで示す)が配置され、前記ユーザに携行される無線タグTGがいずれかのセンサSと通信を行ってゆき、その検知結果が上位装置2でモニタされることで、該上位装置2によってユーザの所在や通過した軌跡を検知するものである。前記各センサSは、天井などに取付けられ、その検知対象エリアA1,A2,A3,A4,・・・(総称するときは、以下参照符号Aで示す)は、そのようなユーザを漏れなく検知できるように、隣接するセンサS間でその一部が相互に重なるように配置されている。無線タグTGは、前記検知対象エリアA内であれば、どこに移動してもその検知対象エリアAを有するセンサSで検知可能となっている。
そして、本実施の形態では、各センサSが共通の無線通信帯域を使用してTDMA−TDD方式で前記無線タグTGと通信を行うにあたって、各センサSが通信に使用するタイムスロットが各センサS間の通信によって予め設定され、注目すべきはそのスロット設定を、後述する設定釦の操作や無線(リモコン)での設定指示などに応答して、各センサSが干渉を回避できるように自動的に行うことである。
前記各センサSは、通信にUHF帯などを使用して、その検知対象エリアAは、隣接するセンサ間の干渉を防止するために、通常、直径で7m程度であるが、初期設定やセンサの追加などによる設定モードでは、送信パワーと受信感度との少なくとも一方を大きくすることで、たとえば送信パワーまたは受信感度を4倍として、図1において、参照符号A1’,A2’,A3’,A4’,・・・(総称するときは、以下参照符号A’で示す)で示すように到達範囲を2倍とし、前記検知対象エリアAがぎりぎり重なるようにセンサSの間隔を広げて設置しても、スロット設定は充分な通信品質で確実に行えるようになっている。
具体的には、前記送信パワーのアップは、送信アンプのゲインを上げることで、簡単に実現することができる。一方、前記受信感度のアップは、ノイズを増やさず、信号レベルのみ増加させるために、たとえばアンテナの指向性を絞ったり、通信速度は遅いが感度は高い方式に切換える等で実現することができる。受信感度のアップは、回路上の制約や通信規格・法規上の制約によって送信パワーが上げられない場合に、センサSの間隔を広げることが可能になり、好適である。
図2は、各センサSのスロット設定動作を説明するためのタイミングチャートである。設定にあたって、前述のように設定釦の操作や無線での設定指示などによって、各センサSは設定モードとなっており、作業者が任意のセンサ、好ましくはセンサ配列の端部に位置するセンサ(図1および図2の例ではS1)が選択され、そのセンサS1から、スタート釦の操作または前記無線(リモコン)でのスタート指示に応答して、設定動作が開始される。設定動作では、先ず前記無線通信帯域における空きスロットを探索し、検知されたら、その中で最も優先順位の高いスロット(図2の例ではNo.1)を選択して、自機で使用すべきスロットに割当て、そのスロットNo.1を使用スロット通知として他のセンサへ向けて送信する。
これによって、図1および図2の例では、後続のセンサS2,S3が前記スロット通知を受信すると、それをトリガとして、それらのセンサS2,S3も設定動作を開始し、前記スロットNo.1を自機のスロット割当てに使用せず、他のスロットで同様に空きスロットを探索し、検知されたら、その中で最も優先順位の高いスロット(図2の例ではNo.2)を選択して自機で使用すべきスロットに割当て、そのスロットNo.2を使用スロット通知として他のセンサへ向けて送信する。このとき、また注目すべきは、他のセンサ(図1および図2の例ではS1)から受信した使用スロット通知も合わせて送信することで、センサ配列の末端側のセンサに、過去に使用されたスロット通知の履歴を蓄積してゆくことである。したがって、センサS2,S3は、自機で使用しようとするスロットNo.2に、上位のセンサS1で使用されているスロットNo.1を合わせて送信する。
ここで、図1および図2の例では、センサS1が前記移動空間1の分岐部分に位置し、該センサS1に縦続するセンサは上述のようにS2,S3の2つとなり、待受け中のセンサS1には、2つのセンサから同時に使用スロット通知が送信され、衝突によってデータを再現できなくなる。その衝突を検知したセンサS1は、他のセンサS2,S3へ衝突検知通知を送信する。前記衝突検知通知は、他のセンサからの通知と衝突しても検知できるように、受信タイミングのみで判断して行う。具体的には、1送信周期W1内で、前記使用スロット通知の送信が終了してからの所定期間W2のWindowを設定し、そのWindow中で、一定長以上の信号を受信したら、衝突検知通知であると判定する。このWindow中は、使用スロット通知を送信しないようにする。
こうして衝突を検知すると、前記センサS2,S3は、前記Windowが終了し、次の送信周期W1となると、通常のCSMA−CAなどの方法でキャリアセンスしながら他のセンサとの衝突を避けつつ、前記使用スロット通知を再度送信する。図2の例では、前記次の送信周期W1となってから、前記CSMA−CA方式でセンサS2,S3は任意の時間待機した後送信を開始しており、待機時間の短いセンサS2からの使用スロット通知(前記No.2+No.1)が優先となって、該センサS2は、ひとまずそのスロットNo.2を自機のスロットに割当てる。このとき、前記待機時間が長かったセンサS3は、前記CSMA−CA方式のキャリアセンスによってセンサS2からの使用スロット通知の送信を検知すると、使用スロット通知処理を再度実行することになり、このとき受信したスロットNo.2と、先に受信しているスロットNo.1とを共に自機のスロット割当てに使用せず、他のスロットで同様に空きスロットを探索し、検知されたら、その中で最も優先順位の高いスロット(図2の例ではNo.3)を選択して自機で使用すべきスロットに割当て、その使用スロット通知(No.3+No.1)を、次の送信周期W1に他のセンサへ向けて送信する。
これによって、衝突なく使用スロット通知の送信が完了すると、センサS2,S3の使用スロットは前記のNo.2およびNo.3でそれぞれ決定し、それらに続くセンサ(図2の例ではS4)が設定動作を開始する。このとき、センサS4では、前記センサS1,S2と設定に関する信号の到達範囲A1’,A2’;A4’が重なっておらず、すなわちセンサS4ではセンサS1,S2が送信した前記使用スロット通知は受信していない。しかしながら、隣のセンサS3からの使用スロット通知に表されている履歴から、隣のセンサS3が使用したスロットNo.3だけでなく、隣の隣のセンサS1が使用したスロットNo.1も認識している。
このため、設定によって、近接するセンサS1,S2,S3と干渉せず、優先順位の高い任意のスロットを選択することができる。たとえば、図2において、参照符号SL1で示す使用スロット通知のように、単に隣のセンサS3で使用されたスロットNo.3以外で、優先順位の高いスロットであるスロットNo.1を選択したり、隣の隣のセンサS1が使っているスロットNo.1までも考慮して、参照符号SL2で示す使用スロット通知のように、スロットNo.4を選択したりする等である。
ここで、前記使用スロット通知SL2では、隣の隣のセンサS1までも考慮するにあたって、使用スロット通知SL3のように、スロットNo.2は選択されず、より優先順位の低い前記スロットNo.4が選択されている。これは、隣の隣のセンサS1がスロットNo.1を選択しているのに対して、隣のセンサS3は、次の順位であるそのスロットNo.2を使用していないことから、該センサS3が他のセンサ(この場合はS2)との関係で使用しなかったものと推定できるためである。このように構成することで、直接は通信できなくても、近接するセンサが使用しているスロットを回避してスロット選択を行うことができ、干渉を確実に防止することができる。
前記使用スロット通知に含める履歴の数は、前記移動空間に収容が予定されるセンサ数、拡張の予定、考慮すべきセンサの数、および要求される応答性(1周期に許容できる最大スロット数)などに応じて適宜定められればよい。
こうして、検知対象エリアA1〜A4が重なっていないセンサ間S1,S4では同じスロットNo.1の使用も可能になるので、干渉が発生することなく、広いエリアに多数のセンサを設置するような場合でも、使用スロット数を最小限に抑え(スロット割当てを効率的に行い)、検知周期(スロットが一巡する周期)を短くして応答性を向上することができる。また、その干渉を回避するスロット選択に、上位のセンサから送信されてきた使用スロット通知に含まれる選択の履歴を考慮することで、たとえば3台以上先のセンサで使用しているスロットは使用可能にするなど、干渉の防止と、応答性の向上との両方に配慮したスロット割当てを自動的に行うことができる。
一方、前記スロット設定動作は、所定時間、前記使用スロット通知や衝突検知通知を受信しないときにタイムアウト処理によって終了するようにしてもよく、前記設定釦が再度操作されることで終了するようにしてもよく、スタート釦が操作されたセンサ(図1および図2の例ではS1)への終了操作によって、順次設定終了通知を転送してゆくことで終了するようにしてもよい。
図3は、上述のような機能を実現するセンサSの一構成例を示すブロック図である。このセンサSは、他のセンサおよび無線タグTGと通信を行い、無線通信部である無線信号送受信部11と、前記無線信号送受信部11を介して他のセンサとの間で上述のようなスロット設定動作を行うスロット選択部12と、前記スロット設定動作などに使用されるユーザインタフェイス13と、前記無線信号送受信部11を介して無線タグTGと通信を行い、それを認証するタグ管理部14と、前記タグ管理部14で得られた認証データを前記上位装置2へ送信するとともに、前記上位装置2からこのセンサSの制御データを受信するネットワークインタフェイス15とを備えて構成される。
スロット選択部12は、先ず前述のように自機で使用すべきスロットを選択し、使用スロット通知を送信するスロット割当て処理部21と、自機から前記使用スロット通知を送信した後、衝突検知通知を受信すると前記スロット割当て処理部21に使用スロット通知を再送信させ、前記使用スロット通知を受信して、再現できなかった場合は前記衝突検知通知を送信する衝突検出処理部22と、無線通信の同期を取るスロット同期部23と、スロット設定動作の終了を判定する設定終了検知部24と、該スロット選択部12全体を制御する送受信スロット管理部25とを備えて構成される。
前記ユーザインタフェイス13は、たとえば通常の無線タグTGの検知動作中であることを表示し、また前記スロット設定動作中であることや、その設定動作が正常に終了したか不調に終わったかなどをランプ表示などでユーザへ報知する状態表示手段31と、異常の発生や不審な無線タグを検知すると警報を発したり、無線タグTGを正常に認識できてドアの解錠などを行うことを通知するブザーなどの警報/通知音発生装置32と、前記設定釦やスタート釦などの設定スイッチ33とを備えて構成される。
前記設定スイッチ33の設定釦やスタート釦の操作によってスロット設定動作を開始すると、スロット割当て処理部21の空きスロット検出処理部211が前述のように空きスロットを探索し、検知されたら、その中で最も優先順位の高いスロットを選択して、自機で使用すべきスロットに割当て、そのスロットNo.に、使用スロット通知受信処理部213で受信されたスロットNo.の内の必要分を合わせて、使用スロット通知送信処理部212から送受信スロット管理部25および無線信号送受信部11を介して他のセンサへ送信させる。一方、無線信号送受信部11から送受信スロット管理部25を介して受信された使用スロット通知は、前記使用スロット通知受信処理部213に記憶され、前記空きスロット検出処理部211によるスロット選択に使用される。前記使用スロット通知受信処理部213で使用スロット通知が受信されたとき、未だスロット設定動作を開始していないセンサであれば、それをトリガとして、設定動作を開始し、前記空きスロット検出処理部211にスロット選択を開始させる。
こうして送信された使用スロット通知は、衝突検出処理部22の衝突検出部221において、前記のようにデータを再現できないものの、何らかのデータの受信か検知される場合、衝突と判定される。その判定結果に応答して、衝突通知送信処理部222は、送受信スロット管理部25から無線信号送受信部11を介して前記衝突検知通知を送信する。一方、無線信号送受信部11から送受信スロット管理部25を介して前記衝突検知通知が衝突通知受信処理部223で受信されると、再送制御部224が、前記スロット割当て処理部21に空きスロットの探索から再送信を行わせる。
それらの使用スロット通知や衝突検知通知の送受信にあたって、スロット同期部23のスロット同期信号検出処理部231が、前記送受信スロット管理部25での受信データから前記送信周期W1などの同期を検出しており、同期タイミング調整処理部232が自機のタイミングがシステムのタイミングに一致するように、前記送受信スロット管理部25を制御することで同期が得られている。また、スロット設定動作の終了は設定終了検知部24において前述のようにして行われ、スロット設定が終了すると、通常の無線タグの検知モードとなる。
通常の無線タグの検知モードでは、タグ管理部14が無線信号送受信部11に、前記スロット割当て処理部21で選択されたスロットで質問信号を送信させ、無線タグTGから応答信号を受信すると、その無線タグTGのIDが予め登録されているものか否かを判断し、解錠動作などを行う。
このように構成することで、干渉が発生しないように所望とする任意の範囲で使用スロットの重複を許容し、広いエリアに多数のセンサを設置するような場合でも、使用スロット数を最小限に抑え(スロット割当てを効率的に行い)、検知周期(スロットが一巡する周期)を短くして応答性を向上することができる。また、そのようなスロット設定を自動的に行うことで、センサSの新設作業や追加作業を容易に行うことができる。なお、追加作業時には、前記新設作業時と同様にシステム全体のスロットNo.をリセットして再度スロット設定をやり直してもよく、或いは追加分のセンサおよびその付近のセンサだけが、周囲のセンサの使用スロットを判定し、スロットを割当てるようにしてもよい。
また、設定スイッチ33の前記設定釦の操作によってスロット設定モードとなり、その状態で、スタート釦が操作されると、または他のセンサからの使用スロット通知を受信すると、スロット選択が自動で行われるので、1台のセンサ(図1および図2の例ではS1)のスタート釦が操作されると、それをトリガとして、波紋のように使用スロットを順次自動的に末端まで設定することができる。
さらにまた、前記スロット割当て処理部21の空きスロット検出処理部211によるスロット選択には、隣接するセンサと干渉することのない空きスロットの内で、優先順位の高いスロットから使用するので、使用スロット数を最小限に抑え、検知周期を短くして応答性を向上することができる。
また、衝突検出処理部22の衝突検出部221が前記使用スロット通知が重複していることを検知すると、衝突通知送信処理部22から衝突通知を送信し、前記衝突通知受信処理部223で衝突通知を受信した場合には、再送制御部224が、空きスロットの再探索および前記使用スロット通知の再送処理を行わせるので、前記図1や図2の場合ではセンサS2とセンサS3とのように、自機(S1)が使用スロット通知を送信した後、次位や次々位での使用スロット通知を受信して、それが重複している場合、すなわち自機が前記移動空間1の分岐部分に位置している場合は、その次位や次々位のセンサ(S2,S3)同士では前記検知対象エリア(A2,A3)が重複せず、互いに使用スロット通知が重複していることが分らなくても、再度、空きスロットの探索および使用スロット通知の送信動作を行わせることができる。これによって、近接するセンサ(S2,S3)間で、スロットの重複(干渉)を確実に防止することができる。