JP4852718B2 - 電極支持体、それを用いた金属蒸気放電灯、および電極支持体の製造方法 - Google Patents

電極支持体、それを用いた金属蒸気放電灯、および電極支持体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は電極支持体、それを用いた金属蒸気放電灯、およびその製造方法に関し、特にその電極支持体の構造の改良に関する。
近年、金属蒸気放電灯の発光管の材質として透光性セラミックが多く用いられている。セラミック製の発光管は石英発光管に比べて耐熱性が高いため、点灯時に発光管の内部温度を高めることができ、その結果、放電灯の効率、演色性が改善される。また、セラミック発光管は耐圧強度が高く、封入発光物に対して侵食性が少ない、といった利点も備えている。
セラミック発光管を用いた金属蒸気放電灯は、両端に細管部を設けた発光管本体と、一端に電極コイルを有した一対の棒状の電極支持体とを備えており、各電極支持体を発光管本体の細管部へ挿入し、ガラスフリットにより電極支持体と細管部の間隙を封止して、電極コイルが発光管本体内の放電空間内に位置するように各電極支持体を固定した構成をとっている(例えば、特許文献1参照)。また、電極コイルへの給電のため、電極支持体は導電性サーメットで形成されている。セラミック発光管の材質としてはアルミナが多く用いられており、導電性サーメットの材質としてはアルミナとモリブデンが混合焼結したものが多く用いられている。発光管本体、導電性サーメットの構成原料にアルミナが共に用いられているため、封止のために用いるガラスフリットは発光管本体、導電性サーメットとフリット溶融温度で反応して、両者をよく濡らすことができる。このため、ガラスフリットと導電性サーメットロッドもしくは発光管本体との界面が強固となり、発光管の動作温度で溶融した金属ハロゲン化物にも侵されにくい構造とすることができる。
また、特許文献2には、導電性サーメットからなる棒状部材(導電性サーメットロッド)とタングステンからなる棒状部材(電極心棒)との端部同士を突き合わせ溶接し、一体化した電極支持体について記載されている。ここで、電極心棒の溶接部の反対側の端部にはタングステンコイルが巻かれ、電極部としている。電極支持体の製造は、電極心棒として、その径が導電性サーメットロッドの径よりも小さなものを用い、導電性サーメットロッドを上側、電極心棒を下側とし、その状態でレーザー光により溶接を行うというものである。導電性サーメットの融点はタングステンの融点よりも低いため、電極心棒の外周が導電性サーメットからの溶融物により覆われる。
導電性サーメットは従来用いられて来たニオブ金属よりも耐ハロゲン性が高いが、それでも十分とはいえない。そのため、特許文献3に示すように、電極支持体の電極側の部分にさらに耐ハロゲン性の高い材質、例えばモリブデン、を中間棒状部材として用い、細管部の外側に位置する部分に導電性サーメットロッドを用いるという構成が提案されている。この結果、発光管内に封入された金属ハロゲン化物に触れる部分の耐ハロゲン性がさらに高まるため、発光管の寿命特性をより向上させることができる。また、細管部とのシール部分には発光管の熱膨張係数と近い熱膨張係数の導電性サーメットロッドが用いられているため、クラックが生じにくい。
特開2000−113859 特開2003−203562 特開2001−283778
耐ハロゲン性の高い材質の中間棒状部材と導電性サーメットロッドとを溶接して一体化した電極支持体の径と、セラミック発光管の細管部の内径との差は、気密性、演色性等の観点から種々の制限を受ける。具体的には、ガラスフリットによってシールされる細管部の部分の内径と、その部分に対応する導電性サーメットロッドの径との差は、発光管の点消灯による気密性の劣化を防止する観点から通常25〜50μmに設定される。この部分の間隙が大きいと、電極支持体全体が傾き、電極支持体端部の電極の位置が発光管本体の軸の中心から大きくずれてしまうという問題もある。一方、細管部の内部側の内径と、その部分に対応する中間棒状部材の径との差はおおよそ0.1mmに設定される。なぜなら発光管本体の端部に設けられた細管内は、ランプの動作中発光管に封入した金属ハロゲン化物が液体となる温度であるため、細管内面と中間棒状部材外面との隙間が大きいと発光管本体部分にある液体の金属ハロゲン化物が細管内へ移動してしまい、ランプの光色が劣化してしまうからである。さらに、コイルロッドの外径と発光管細管内径との差を0.1mm未満にすると製造上の問題や、中間棒状部材と細管部の熱膨張係数の差の影響が出てきてしまう。
以上のような理由から、突き合わせ溶接される導電性サーメットロッドの外径と中間棒状部材の外径は略等しくする必要がある。しかしながら、導電性サーメットを構成する金属成分はタングステンおよびモリブデンであるため、導電性サーメット棒の第2成分であるセラミック成分よりも融点が高く、中間棒状部材との溶接によって発生する熱で導電性サーメット棒の第2成分であるセラミックは溶けて押し出され、溶接部分がふくらんでしまう。そのため、発光管本体の細管部へ挿入しづらくなるという問題があった。また、溶接ふくらみ部分を機械加工などにより削りとった場合、溶接部分の強度が低下したり、削り加工時に溶接部分がはずれてしまうことにより歩留まりが悪くなるという問題もあった。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は電極部の正確な位置決めができ、かつ十分な強度を備えた電極支持体、それを用いた金属蒸気放電灯、およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明にかかる電極支持体は、金属蒸気放電灯の発光管本体の両端に設けられた各細管部に挿入固定され、該発光管本体内の放電空間内に位置するように電極部を対向させて支持し、該電極部へ給電を行うためのものであり、前記各細管部へ挿入、固定される各電極支持体は、一端に電極部を設けた導電性の電極側棒状部材と、該電極側棒状部材と接続される導電性の外部接続側棒状部材とを備え、前記電極側棒状部材の電極部側の反対側の端面と、前記外部接続側棒状部材の一方の端面とを突き合わせ溶接し一体化したものである。さらに、前記電極側棒状部材の少なくとも一部および前記外部接続側棒状部材の少なくとも一部は前記発光本体の細管部内に位置するものであって、前記電極側棒状部材は、前記外部接続側棒状部材よりも耐ハロゲン性の高い材質で形成され、かつ前記外部接続側棒状部材は前記電極側棒状部材よりも、その熱膨張係数が前記発光管本体の細管部の熱膨張係数に近い材質で形成される。前記外部接続側棒状部材の少なくとも溶接部分の材質は、前記電極側棒状部材の少なくとも溶接部分の材質の融点よりも低い融点をもった材質で形成されており、前記電極側棒状部材と前記外部接続側棒状部材との突き合わせ溶接部の近傍に、突き合わせ溶接時の外部接続側棒状部材からの溶融物が流入する溶融物流入部が設けられ、前記溶融物流入部が、突き合わせ溶接によって生じる溶融物の容積より大きい容積を有し、外部接続側棒状部材からの溶融凝固物が前記溶融物流入部内に納まった状態で存在し、前記発光管本体の細管部内に位置する部分における、前記電極側棒状部材の最大径と前記外部接続側棒状部材の最大径とが略等しいことを特徴とする。
上記の電極支持体において、前記溶融物流入部は、前記電極側棒状部材および/または前記外部接続側棒状部材の溶接部近傍に、前記突き合わせ溶接部の端面から連続して形成されていることが好適である。
上記の電極支持体において、前記溶融凝固物を含む前記溶融物流入部の径が、前記電極側棒状部材および前記外部接続側棒状部材の径以下であることが好適である。
上記の電極支持体において、電極側棒状部材は金属心捧に金属コイル線を密巻きすることで構成され、前記小径部として、前記溶接部近傍の金属コイル線の線と線との間の間隔を金属コイル線の径以上とした部分が形成されていることが好適である。
上記の電極支持体において、前記電極側棒状部材の溶接側端面に、該電極側棒状部材の最大径よりも小さい径をもつ柱状のチップ部材を設け、該チップ部材の部分を前記小径部とすることが好適である。
上記の電極支持体において、前記溶融物流入部を構成する小径部の径は、前記外部接続側棒状部材の溶接側端部の径の45%〜60%であることが好適である。
上記の電極支持体において、前記溶融物流入部となる小径部の軸方向の長さは、(外部接続側棒状部材の溶接側端部の径−小径部の径)/2の2倍〜5倍であることが好適である。
また、上記の電極支持体において、前記溶融物流入部が、前記電極側棒状部材の溶接側端面に設けられた凹部として形成されていることが好適である。
上記の電極支持体において、前記電極側棒状部材は筒状部材と、該筒状部材に挿入固定された金属心捧とを備え、溶接側端面にて前記金属心棒端面を前記筒状部材端面よりも内側に位置させることで、前記金属心棒端面と前記筒状部材の内壁面で囲まれた凹部を形成していることが好適である。
上記の電極支持体において、前記電極側棒状部材の溶接側の端面に設けられた前記溶融物流入部としての凹部が溝形状であることが好適である。
上記の電極支持体において、前記発光管本体の細管部内に位置する部分における、前記電極側棒状部材の最大径と前記外部接続側棒状部材の最大径との差が50μm以下であることが好適である。
また、本発明にかかる金属蒸気放電灯は、上記の電極支持体を一対と、該各一対の電極支持体を挿入固定する細管部を両端に設けた発光管本体と、を備え、前記各電極支持体の電極側棒状部材の少なくとも一部および外部接続側棒状部材の少なくとも一部が前記各細管部内に位置するように、前記各電極支持体を各細管部に挿入固定し、各電極支持体の一端に設けられた電極部を前記発光管本体内の放電空間内に位置させたことを特徴とする。
上記の金属蒸気放電灯において、前記外部接続側棒状部材の外表面と前記発光管本体の細管部内面との間隙は、ガラスフリットにより気密シールされ、前記ガラスフリットが、前記溶融物流入部の前記溶融凝固物に覆われていない部分まで達していることが好適である。
また、金属蒸気放電灯において、前記発光管本体の少なくとも一部の材質は透光性セラミックであり、前記外部接続側棒状部材の少なくとも一部の材質はモリブデンとセラミックとを混合、焼結した導電性サーミットであり、前記電極側棒状部材の少なくとも一部の材質はモリブデンであることが好適である
本発明にかかる電極支持体によれば、電極側棒状部材と外部接続側棒状部材との突き合わせ溶接部の近傍に、突き合わせ溶接時の外部接続側棒状部材からの溶融物が流入する溶融物流入部が設けられ、突き合わせ溶接による外部接続側棒状部材からの溶融凝固物が溶融物流入部内に納まった状態で存在するように構成されているため、溶接部分のふくらみがなくなる。そのため、溶接部分のふくらみを削る加工が必要なく、強度的な問題等が生じない。
また、本発明にかかる電極支持体およびそれを用いた金属蒸気放電灯によれば、少なくとも発光管本体の細管部に位置する部分における、電極側棒状部材の最大径と外部接続側棒状部材の最大径とが略等しいため、発光管本体内への電極部の位置決めを正確に行うことができる。
また、本発明にかかる電極支持体およびそれを用いた金属蒸気放電灯によれば、前記外部接続側棒状部材よりも耐ハロゲン性の高い材質で形成され、かつ前記外部接続側棒状部材は前記電極側棒状部材よりも、その熱膨張係数が前記発光管本体の細管部の熱膨張係数に近い材質で形成されているため、発光管の寿命特性、演色性を向上させることができ、また細管部でのシール後のクラックが生じにくい。
本発明にかかる電極支持体の製造方法によれば、突き合わせ溶接によるふくらみが生じないので、歩留まりが向上する。
以下に図面を参照して本発明にかかる好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態にかかる電極支持体を用いた金属蒸気放電灯の一部断面図である。図1に示した金属蒸気放電灯10(セラミックメタルハライドランプ)は、両端に細管部14a,14bを設けた発光管本体12と、該各細管14a,14bに挿入され固定される一対の棒状電極支持体16a,16bと、を備える。ここで、発光管本体12は透光性セラミックを材質としている。
発光管本体12の中央部18の内径(の最大値)は、両端の細管部14a,14bの内径よりも大きくとられ、中央部18に取り囲まれた放電空間20には発光金属が封入されている。各電極支持体16a,16bの一端に電極部(電極コイル22a,22b)が取り付けられており、電極コイル22a,22bに給電を行うため、各電極支持体16a,16bは導電性の材質で形成されている。また、電極支持体16a,16bの他端には外部リード24a,24bが接続されており、外部リード24a,24bから電極支持体16a,16bを通して電極部22a,22bに電流が供給される。
電極支持体16a,16bは電極部22a,22bが取り付けられた側から細管部14a,14bに挿入され、電極22a,22bが発光端本体中央部18内の放電空間20で互いに対向して配置されるように固定される。電極支持体16a,16bの外壁面と細管部14a,14bの内壁面とはガラスフリットによって気密に封止され、電極支持体16a,16bの位置が固定されている。
また、電極支持体16a,16bと外部リード24a,24bとの接続部分にはセラミックリング26a,26bがはめ込まれ、固着されている。これらのセラミックリング26a,26bは接続部分の補強のために用いられている。
ここでは発光管本体12の放電空間を取り囲む中央部18とその両端の細管部14a,14bとを一体形成したものを示したが、複数の部材を組み合わせて形成する構成でもよい。
各電極支持体16a,16bは、一端に電極部22a,22bを設けた導電性の電極側棒状部材28a,28bと、電極側棒状部材28a,28bと電気的に接続される導電性の外部接続側棒状部材30a,30bとを備えており、電極側棒状部材の電極部22a,22b側の反対側の端面と、外部接続側棒状部材30a,30bの外部リード24a,24b側の反対側の端面とを突き合わせ溶接し一体化したものである。ここで、電極側棒状部材28a,28bの少なくとも一部、および外部接続側棒状部材30a,30bの少なくとも一部は、細管部14a,14b内に位置している。つまり、細管部14a,14b内で、放電空間20に近い側に電極側棒状部材28a,28bが位置し、放電空間20から遠い側(外部に近い側)に外部接続側棒状部材30a,30bが位置することになる。
本発明の実施形態にかかる電極支持体16a,16bは、突き合わせ溶接部の近傍に、外部接続側棒状部材30a,30bからの溶接時の溶融物が流入する溶融物流入部が設けられており、外部接続側棒状部材30a,30bからの溶融凝固物はこの溶融物流入部内に納まった状態で存在していることを一つの特徴としている。
また、本発明の実施形態にかかる電極支持体16a,16bは、少なくとも発光管本体12の細管部14a,14bに位置する部分における、電極側棒状部材28a,28bの最大径と外部接続側棒状部材30a,30bの最大径とを略等しくしている。好適には、電極側棒状部材28a,28bの最大径と前記外部接続側棒状部材30a,30bの最大径との差が50μm以下であればよい。このように、略一定の内径をもつ細管部14a,14bに合わせて、細管部14a,14bのほぼ全長に渡って電極支持体16a,16bの径が略一定となるようにしているため、電極側棒状部材と外部接続側棒状部材の径の差が大きいときに起こる様々な弊害を防止することができる。例えば、電極側が細い場合、その部分の細管部との間隙が大きくなるため多くの液体ハロゲン化物がその間隙に流入してしまい、発光管の光色に影響を及ぼすことがある。また外部接続側が細い場合、細管部での電極支持体の姿勢の傾きが起こり、電極部の位置がずれてしまうことがある。しかし、本発明では細管部のほぼ全長に渡って電極支持体の径を等しくしているので、上記のような問題は起こらない。
電極側棒状部材28a,28bは、外部接続側棒状部材30a,30bよりも耐ハロゲン性の高い材質で形成され、また外部接続側棒状部材30a,30bは前記電極側棒状部材28a,28bよりも、その熱膨張係数が発光管本体の細管部14a,14bの熱膨張係数に近い材質で形成されている。なお、耐ハロゲン性とはハロゲン化物および遊離ハロゲン等による腐食作用に対する抵抗力のことをいう。電極側棒状部材28a,28bは発光管本体内の放電空間20に近いところに位置するため、電極側棒状部材28a,28bを耐ハロゲン性の高い材質で形成することで放電灯の寿命特性が向上する。また、外部接続側棒状部材30a,30bはガラスフリットにより細管部14a,14bに固着される部分であるので、その熱膨張係数が細管部14a,14bの熱膨張係数に近いものであれば、熱ひずみによるクラック等が生じ難い。具体的には、電極側棒状部材28a,28bの少なくとも一部を形成する材質としてはモリブデン金属、外部接続側棒状部材30a,30bの少なくとも一部を形成する材質としては、モリブデンとセラミックとを混合、焼結した導電性サーメットが好ましい。ガラスフリットによるシールの際、ガラスフリットが外部接続側棒状部材30a,30bを超えて発光管12内側へ流入する場合があり、電極側棒状部材28a,28bもガラスフリットによりシールされてしまう。しかし、モリブデンは、他の耐ハロゲン性材料であるタングステンよりも発光管本体12の構成材料であるアルミナセラミックに熱膨張係数が近いので、シール後の残留応力が小さく、クラックが発生しづらいといった利点がある。また、導電性サーメットとの溶接においても、タングステンよりもモリブデンのほうが融点が低いので、外部接続側棒状部材中のモリブデンと、電極側棒状部材中のモリブデンとが融け合い、強固な溶接が実現できる。
図2に上記実施形態の電極支持体の概略構成図を示す。ここで、図2(a)は溶接後の状態、図2(b)は溶接前の状態を示している。
本実施形態の金属蒸気放電灯は、35Wクラスのもので、発光管本体が透光性アルミナで形成されているものを想定している。また、外部接続側棒状部材30として、外径がφ0.7mmの棒状の導電性サーメットロッドを用いており、その材質はモリブデン50%(体積比率)とアルミナ50%(体積比率)を含有したものである。また、電極側棒状部材28としては、金属心棒36(外径φ0.4mmのモリブデン金属線)を芯線として、その周りに金属コイル線34(外径φ0.15mmのモリブデン金属線)を密巻きにすることで構成されている。電極側棒状部材28の一方の端部は金属コイル線34が取り除かれ、所定の長さの小径部(金属コイル線34が巻かれておらず、金属心棒36が剥き出しの状態の部分)が形成されている。この小径部の端面が、外部接続側棒状部材30の端面(外部リード24が接続された側と反対側)に突き合わせ溶接される部分である。端部の一部の密巻きコイル部分を除去する方法としては、コイルを切断用砥石で取り除く、またはYAGレーザー(ビーム径φ0.3mm)のエネルギーとパルス幅、パルス回数を調節して、レーザーによってコイル部分の一点を溶融し、端部から溶融点までのコイルをピンセットによって取り除く、といった方法がある。レーザーによる方法の長所は、残ったコイル部分の先端が金属心棒36に溶接されるため、この部分がめくれあがることがなく、めくれ上がり部分の除去をおこなう手間もないことである。
金属心棒36のもう一方の端部は金属コイル線34がそのまま密巻きされた状態のままであり、この端面にタングステン製の電極心棒32を溶接している。この電極心棒32の端部(溶接側とは反対側)にはタングステン製の電極コイル22(電極部)がはめ込まれている。
小径部を形成する金属心棒36の径は金属コイル線34の分だけ、電極側棒状部材28の最大径(金属コイル線34が密巻きされている部分)よりも小さな径となっている。溶融物流入部38は、小径部を形成する金属心棒36の外表面と、電極側もしくは外部接続側棒状部材の最大径の部分の外表面を棒状部材の軸方向に延長した仮想面(図中点線で該仮想面と紙面との交線を示した)と、に囲まれた空間として形成されている。外部接続側棒状部材30(の少なくとも溶接部近傍)を形成する材質は、電極側棒状部材28(の少なくとも溶接部近傍)を形成する材質の融点よりも低い融点をもった材質で形成されており、溶接時の外部接続側棒状部材30端面からの溶融物(導電性サーメットのセラミック成分)は電極側棒状部材28の小径部を形成する金属心棒36へ流れてその表面を覆う。そして、小径部へと流れこんだ溶融物が凝固し、その溶融凝固物40が溶融物流入部38内に納まった状態で存在することになる。
一方、溶融物流入部を設けなかった場合、図3(符号は図2と同じものを用いた)に示すように、溶接部付近に溶融凝固物40が電極側および外部接続側棒状部材の径よりも膨らんだ状態で存在し、その部分の径が大きくなる。この結果、電極支持体を発光管本体の細管部へ挿入しづらくなり、またこの膨らみ部分を削りとっても強度の点で問題が生じることがある。
しかしながら、図2(a)に示すように、本発明の実施形態にかかる電極支持体16では、外部接続側棒状部材30からの溶融凝固物40が溶融物流入部38に納まるため、その部分の径が外部接続側および電極側棒状部材28,30の径よりも大きくなることはなく、上記のような問題は生じない。さらに、電極側棒状部材28に小径部を設けているため、突き合せ溶接時に電極棒状部材28の小径部が外部接続側棒状部材30端面の中に食い込み、溶接強度が上がり、溶接歩留まりも向上する。この場合、溶融凝固物40に覆われた部分の小径部の径は外部接続側および電極側棒状部材28,30の径とほぼ同等となっている。また、上記の電極支持体を実際に作成したところ、溶接部は十分な強度を有しており、また、発光管の点消灯に伴う熱応力サイクルによる破壊も起こらなかった。
溶融物流入部38を構成する小径部の径が小さすぎる場合、外部棒状部材30との接触面積が小さすぎるため、溶接が行いにくく、溶接強度が低下するおそれがある。例えば、抵抗加熱溶接の場合、接触面積が小さすぎると溶接に必要な電流量が流れにくくなる可能性があり、レーザー溶接にしても溶接が行いにくいことに変わりはない。一方、小径部の径が大きすぎると、溶融物流入部38の容積が小さくなるため、溶融凝固物を溶融物流入部38内に納めきれない可能性が高くなる。これらのことを考慮に入れると、小径部の径は、外部接続側棒状部材30の径(電極側棒状部材28と溶接される側の端部の径)の45%〜60%であることが好適である。この範囲であれば、外部接続側棒状部材30からの溶融凝固物40が溶融物流入部38に十分に納まることができ、溶接部のふくらみが生じることがなく、強度的にも十分満足な溶接が可能となる。
また、小径部の軸方向の長さが短すぎると、溶融物流入部38の容積が小さくなるため溶融凝固物を溶融物流入部38内に納めきれない可能性が高くなる。一方、小径部の軸方向の長さが長すぎると、溶融物流入部38の容積が大きくなりすぎてしまい、小径部内の溶融凝固物で覆われていない余計な空間(デッドスペース)が大きくなってしまう可能性がある。このようなデッドスペースは通常、シールで用いるフリットによって覆ってしまうことで問題はなくなるが、デッドスペースが大きすぎる場合、フリットでも完全に覆われない部分ができてしまい、発光管封入物がランプの点滅とともにデッドスペースへ入り込み、ランプの光色の変化が生じてしまう可能性がある。そのため、溶融物流入部38となる小径部の長さは、(外部接続側棒状部材30の溶接側端部の径−小径部の径)/2の2倍から5倍が好適である。この範囲であれば溶融凝固物40が溶融物流入部38内に十分に納まることができ、また上記のデッドスペースができたとしても、問題のない大きさになる。
また、細管部の内径と、細管部に位置しかつ溶融物流入部以外部分における電極支持体の径との差は0.08mm〜0.15mmであることが好適である。
また、上記の電極支持体を使用した金属蒸気放電灯は小電力のものから大電力のものまで効果を発揮するが、特に70W以下の小電力ランプにおいては電極部の位置ズレ防止が特に重要となるため、この点で70W以下の小電力ランプに対し特に効果を発揮する。
<第1実施形態の変形例1>
次に上記第1実施形態の第1の変形例について説明する。図4にその概略構成を示す。ここで、図4(a)が溶接後、図4(b)が溶接前の状態を示す。また、図2と対応する部材には符号100を加え、説明を省略する。
本変形例における電極側棒状部材128は、金属心棒136を芯線として、その周りに金属コイル線134を密巻きにすることで構成しているところは上記第1実施形態と同じであるが、溶融物流入部138となる部分の金属コイル線134を完全には取り除かずに、数ターンに相当する部分を粗巻きコイルとすることで小径部を形成している。図4(a)に示すように、粗巻きコイル部の金属心棒136が露出した部分の表面と外部接続側棒状部材の外表面を軸方向に延長した面に囲まれた部分を溶融物流入部138となる。つまり、溶接側の端部近傍に金属コイル線134の巻き密度が十分小さい小径部を形成し、この部分を溶融物流入部138としている。ここで、「巻き密度が十分小さい」とは、小径部に巻かれる金属コイル線134の線と線との間に溶融物が流入する十分な隙間が存在していればよく、具体的には図5に示すように、小径部に巻かれる金属コイル線の線と線との間の間隔aが、金属コイル線自身の径r以上であることを意味する。また、図5に示すように、金属コイル線の線と線との間の間隔とは、隣り合う金属コイル線の外面と外面を結ぶ直線の長さのうち、最小のものを指す。このように本変形例では小径部とは金属コイル線134を疎巻きした部分のことを指し、小径部の径や長さの好適な範囲は上記第1実施形態と同様である。
本変形例においても、上記第1実施形態のように、溶接時に外部接続側棒状部材130端面から飛び出した導電性サーメットのセラミック成分が、小径部の露出した金属心棒136の心棒方向へ流れ、粗巻きとなっている金属コイル134の間に流れ込んで小径部の金属心棒136表面を覆う。このように溶接時に溶融したセラミックが溶融物流入部138に納まった状態で凝固するため、セラミック凝固物が外部接続側棒状部材130の外径方向に広がることがなく、細管部内に位置する部分の電極支持体116の径は細管部のほぼ全長に渡って一定となる。
<第1実施形態の変形例2>
図6は上記第1実施形態の第2の変形例を示す概略構成図(図6(a)は溶接後、図6(b)は溶接前の状態を示している)である。図2の電極支持体と対応する部材には符号200を加え説明を省略する。
本変形例での電極側棒状部材228は、外部接続側棒状部材230と略同径の金属ロッド234と、金属ロッド234の一方の端面に溶接された、金属ロッド234より小径の電極心棒232と、金属ロッド234の他方の端面に溶接された、金属ロッド234より小径の柱状チップ部材242とで構成されている。金属ロッド234の電極側の端面に電極心棒232が溶接されており、該電極心棒232の先端(溶接側と反対側)に電極コイル222(電極部)が取り付けられている。そして、本変形例では他方の端面に金属ロッド234の径よりも小さい径をもつ柱状のチップ部材242を設けており、該チップ部材242の部分を溶融物流入部238の一部をなす小径部としている。本変形例でも上記実施形態と同様にチップ部材242の外表面と、電極側棒状部材228(の金属ロッド234部分)もしくは外部接続側棒状部材230の最大径の部分の外表面を棒状部材の軸方向に延長した仮想面と、に囲まれた空間を溶融物流入部238としている。また、小径部の径や長さの好適な範囲は上記第1実施形態と同様である。
外部接続側棒状部材230は上記実施形態と同じくセラミックとモリブデンを混合、焼結した導電性サーメットロッドを用いており、電極側棒状部材228を構成する金属ロッド234およびチップ部材242の材質はモリブデンである。また、電極心棒232および電極コイル222にはタングステンを用いている。
本変形例でも上記第1実施形態のものと同様に、溶接時に外部接続側棒状部材230端面から飛び出した導電性サーメットのセラミック成分が、小径部236を形成するチップ部材242の軸方向へ流れ、その表面を覆う。このように溶接時に溶融したセラミックが溶融物流入部238に納まった状態で凝固するため、セラミック凝固物が外部接続側棒状部材230の外径方向に広がることがなく、細管部内に位置する部分の電極支持体216の径は細管部のほぼ全長に渡って一定となる。
<第2実施形態>
次に本発明にかかる第2の実施形態について説明する。本実施形態では、溶融物流入部を電極側棒状部材の溶接側端面に設けられた凹部として形成している(図7〜図10参照)。突き合わせ溶接時の外部接続側棒状部材からの溶融物の大部分はこの凹部へと流れこみ、そこで凝固する。つまり、溶融物が外側へ流出したとしてもごく僅かであるため、溶融凝固物の大部分は溶融物流入部としての凹部へ納まった状態で存在することになり、溶融凝固物による溶接部の膨らみは生じない。また、溶融凝固物が電極側棒状部材の端面に設けられた凹部の壁面に固着し、溶接部における接触面積が大きくなるため溶接部の強度も上がる。
図7に第2実施形態にかかる電極支持体の概略構成図を示す。図7(a)が溶接後の状態、図7(b)が溶接前の状態を示す。また、図8は、電極側棒状部材の外部接続側棒状部材との溶接側端面を正面から見た図を示している。なお、図2と対応する部材には符号300を加え説明を省略する。
本実施形態の電極側棒状部材328は、外部接続側棒状部材330と略同一の外径を持った筒状部材334(金属パイプ)と、筒状部材334に挿入固定された金属心捧344とを備える。ここで、金属心棒344としては、その外径(および外径の形状)が筒状部材の内径(および内径の形状)とほぼ同じものを用いている。電極側棒状部材328の溶接側端面では、金属心棒344端面を筒状部材334端面よりも内側に位置するように固定している。この結果、電極側棒状部材328の溶接側端面に、金属心棒344端面と筒状部材334の内壁面とで囲まれた凹部が形成されている。つまり、図8に示すように、本実施形態では電極側棒状部材328の外部接続側棒状部材330との溶接側の端面に筒状部材334の内径部の形状(金属心棒344の断面形状)と同一の形状の凹部が形成されることとなる。この凹部が、溶接時に外部接続側棒状部材330から流れ込む溶融物を収納する溶融物流入部338となる。なお、溶融流入部338の容積は、溶融凝固物の体積と略同一、もしくは溶融物凝固物の体積よりもやや大きくとることが好適である。
筒状部材334のもう一方の端面では、金属心棒344の端部を筒状部材334の端面から突出させた状態で固定し電極心棒として用いている。金属心棒344の一端には電極コイル322(電極部)が設けられている。ここで、筒状部材334の電極部側を金属心棒344に溶接することで、金属心棒344を筒状部材334に固定している。
本実施形態でも上記のものと同様に、外部接続側棒状部材330を、セラミックとモリブデンとを混合、焼結した導電性サーメットで構成しており、電極側棒状部材を構成する筒状部材334はモリブデン金属により形成している。また、金属心棒344および電極コイル322はタングステンにより形成している。
溶接時に外部接続側棒状部材330端面から飛び出した導電性サーメットのセラミック成分は、その大部分が電極側棒状部材328の端面に形成された溶融物流入部338(凹部)へ流れ込み、その中で凝固する。また、セラミック成分が外側に流出したとしてもごく僅かであり、それによる大きな膨らみは生じない。このように溶接時に溶融したセラミック(溶融凝固物340)の大部分が溶融物流入部338に納まった状態で凝固するため、セラミック凝固物が外部接続側棒状部材330の外径方向にほとんど拡がることがなく、細管部内に位置する部分の電極支持体316の径は細管部のほぼ全長に渡って一定となる。また、電極側棒状部材328の端面と外部接続側棒状部材330の端面との溶接後の接触面積が、凹部の分だけ増大するため、溶接強度も増すという利点もある。
<第2実施形態の変形例>
図9は上記第2実施形態の変形例を示す概略構成図である。図9(a)が溶接後の状態、図9(b)が溶接前の状態を示す。また、図10は、電極側棒状部材の外部接続側棒状部材との溶接側端面を正面から見た図を示している。なお、図2と対応する部材には符号400を加え説明を省略する。
本変形例の電極側棒状部材428は、外部接続側棒状430と略同一の外径を有する金属ロッド434と、該金属ロッド434の一方の端面に溶接された電極心棒432とで構成され、電極心棒432の溶接側と反対側の端部には電極コイル422(電極部)がはめ込まれている。なお、本実施形態でも上記のものと同様に、外部接続側棒状部材430を、セラミックとモリブデンとを混合、焼結した導電性サーメットで構成しており、電極側棒状部材428を構成する金属ロッド434はモリブデン金属により形成している。また、電極心棒432および電極コイル422にはタングステンを用いている。
金属ロッド434の外部接続側棒状部材430との溶接側の端面には、図10に示すように溝状の凹部438が形成されており、この溝状の凹部438が溶融物流入部として機能する。本変形例においても、溶接時に外部接続側棒状部材430端面から飛び出した導電性サーメットのセラミック成分の大部分は、電極側棒状部材428の端面に形成された溶融物流入部438(溝状凹部)へ流れ込み、そこで凝固するため、溶融凝固物440は溶融物流入部438内に納まった状態で存在することになる。また、セラミック成分が外側に流出したとしてもごく僅かであり、それによる大きな膨らみは生じない。よって、外部接続側棒状部材430端面からの溶融物は、外部接続側棒状部材430の外径方向にほとんど拡がることなく、細管部内に位置する部分の電極支持体416の径は細管部のほぼ全長に渡って一定となる。また、電極側棒状部材428の端面と外部接続側棒状部材430の端面との溶接後の接触面積が凹部の分だけ増大するため、溶接強度も増すという利点もある。
<製造方法>
次に本発明にかかる電極支持体の製造方法について説明する。本発明にかかる電極支持体の製造方法は、一端に電極部を設けた導電性の電極側棒状部材と、該電極側棒状部材と接続される導電性の外部接続側棒状部材とを突き合わせ溶接する工程を備え、該電極側棒状部材の溶接部近傍に、外部接続側棒状部材からの溶融物が流入する溶融物流入部を設けたことを特徴とする。ここで、溶融物流入部は、上記したように、小径部として形成しても、端面に設けた凹部として形成してもよい。図11、12に本発明の実施形態にかかる電極支持体の製造方法の説明図を示す。図11に第1実施形態の電極支持体、図12に第2実施形態の電極支持体、を例として挙げたが、上記の他の実施形態においても同様な方法で製造される。
まず、図11(a),図12(a)に示すように、融点が低い外部接続側棒状部材30(330)を上側に、融点が高い電極側棒状部材28(328)を下側にして、二つの棒状部材の中心軸を一致させて、その各端面を上下方向から所定の押力Fを加えて突き合わせる。融点が低い方の棒状部材を上側に位置させることで、効率よく溶融物が溶融物流入部へ流れ込む。
次に、電極側棒状部材と外部接続側棒状部材との間に電流を流して突き合わせ部分を加熱し、もしくはレーザー光を突き合わせ部分近傍に照射して加熱することで、溶接を行う。第1実施形態の電極支持体では、図11(b)に示すように、外部接続側棒状部材30からの溶融物は、小径部を形成する金属心棒36に流れて小径部表面を覆う。同時に小径部端部が外部接続側棒状部材の30の端部にやや食い込む。その後、図11(c)に示すように、小径部表面へ流れ込んだ溶融物は凝固し、該溶融凝固物40が溶融物流入部38内に納まった状態で存在することになる。同様に第2実施形態の電極支持体では、図12(b)に示すように、外部接続側棒状部材330からの溶融物は、その大部分が電極側棒状部材328の端面に形成された凹部(溶融物流入部338)に流れ込む。その後、図12(c)に示すように溶融物は凝固し、溶融凝固物340が溶融物流入部338内に納まった状態で存在することになる。また、溶融物が電極側棒状部材328の外側に流出したとしてもごく僅かな量であり、溶融物による大きな膨らみは生じない。
以上のように、本発明にかかる電極支持体の製造方法によれば、溶融物流入部が電極側棒状部材の溶接側端部に設けられているため、突き合わせ溶接時に外部接続側棒状部材からの溶融物が溶融物流入部へと流れ込み、外部接続側棒状部材と電極側棒状部材とを略同一径としていても、溶接部分のふくらみが生じない。よって、加工によって溶接による膨らみを削る必要もなく、歩留まりも向上する。
金属蒸気放電灯は、上記のように製造された電極支持体を用いて、次のように製造される。まず、一つの電極支持体を発光管本体の一方の細管部に挿入し、該電極支持体端部に設けられた電極部(電極コイル)が放電空間内の所定の位置に止まるように固定する。そして、発光管本体の細管部内壁面と電極支持体の外壁面との間隙に、溶融したガラスフリットを流入し、固化することで気密にシールする。次に発光管本体の他方の細管部より、水銀、金属ハロゲン化物等を入れ、最初にシールした他端と同様にしてもう一つの電極支持体を挿入し、電極部(電極コイル)が放電空間内の所定の位置に止まるように固定する。そして、所定の圧力のアルゴン(始動用希ガス)雰囲気中で、ガラスフリットによりシールを行う。
また、溶融物流入部を小径部として形成した第1実施形態(およびその変形例1、2)の電極支持体を、発光管の細管内面と気密シールするときのフリットの流入は次のようになる。つまり、溶融したガラスフリットは毛細管現象および重力により、外部接続側棒状部材の外表面と細管部内面の間隙を流入して、電極側棒状部材の小径部まで到達する。このため、小径部を形成する金属心棒露出部分(溶融凝固物に覆われていない部分)の空間的影響はなくなる。すなわち第2実施形態のものと同様にランプ点灯時の溶融ハロゲン化物侵入を防ぐことができる。
次に、上記第1実施形態の第1の変形例の電極側棒状部材の製造工程について説明する。電極側棒状部材の作成は、密巻き部分と粗巻き部分とを形成するように金属心棒に金属コイルを巻きつける工程と、少なくとも該粗巻き部分にて金属心棒を切断する工程とを含む。例えば、必要とする長さの2倍の長さになるよう密巻きコイルを金属心棒に巻いていき、続いて必要とする粗巻きコイル部分の2倍の長さになるよう粗巻きコイルを巻いていく。これを繰り返し、所定の長さの密巻き部と粗巻き部を形成した、長尺コイルロッドを形成する。そして、長尺コイルロッドの密巻き区間の中点、粗まき区間の中点をそれぞれ切断していくことで、一方の端部が粗巻き区間を有するコイルロッドを製造することができる。このコイルロッドの端部の粗巻き部を溶接部流入部として使用する。一方、コイルロッドの他端の密巻きコイル部はそのままにし、その端面にタングステン製電極心棒を突き合わせ溶接し、該タングステン製電極心棒に電極コイルをはめ込む。また、コイルロッドの切断は回転砥石により行う。切断するときには、長尺コイルロッドを多数個束ね、一回の切断工程で多数のコイルロッドを得る方法を用いてもよい。
次に上記の製造方法を図13、14を用いて詳しく説明する。密巻き部と粗巻き部とを交互に設けた長尺コイルロッドは、図13に示したような巻き線装置510によって製造する。図13に示す巻き線装置510は、芯線520を送りだす芯線送り出しローラ514を備えた芯線送り出しヘッド512(芯線送り出し手段)と、芯線送り出しヘッド512から送り出される芯線520の中心軸を回転軸として、芯線520の周囲を回転しながら巻線522を送り出し、芯線520に巻き線522を巻きつける巻き線送り出しヘッド516(巻き線送り出し手段)と、芯線送り出しヘッド512からの芯線520の送り出し速度、巻き線送り出しヘッド516からの巻線522の送り出し速度、巻き線送り出しヘッド516の回転速度等を制御する制御手段518とを備える。
芯線送り出しヘッド512は、芯線送り出しローラ514を回転させることにより、芯線スプール524から、芯線520(モリブデン線)を送り出す。一方、巻線送り出しヘッド516は芯線520の中心軸と同一の回転軸で芯線520の周囲を回転しながら、巻き線スプール526から巻き線(モリブデン線)522を送りだし、芯線520に巻きつける。出来上がった長尺コイルロッドはコイル巻き取りスプール528に巻き取られる。このとき、長尺コイルロッドを巻き取らずに直線のまま引き出し、適当な長さに切断して保存してもいい。
制御手段518は、例えば巻線送り出しヘッド522の回転速度、巻き線522の送り出し速度を一定とし、芯線送り出しローラ514の回転速度を変更して芯線520を送り出す速度を変え、巻き線のピッチを変えることができる。また、芯線520の送り出し速度、巻き線522の送り出し速度を一定にして、巻線送り出しヘッド522の回転速度を変更することで巻線ピッチを変えてもよい。このように、制御手段518によって送り出し速度や回転速度を制御することで、巻き線密度の変更が行われる。
図14(b)に示すような密巻き部の長さがMで粗巻き部の長さがSとなるコイルロッドを製造する場合、図13に示すように、密巻き部の長さが(2M+t)、粗巻き部の長さが(2S+t)となるように巻き線装置510を設定する。ここで、tは図14(a)に示すカッティンググラインダの刃幅である。巻き上がった長尺コイルロッドを、密巻き部中央位置および粗巻き部中央位置で切断すると密巻き部の長さがM、粗巻き部の長さがSのコイルロッドを得ることができる。
本発明の第1の実施形態にかかる金属蒸気放電灯の概略構成図 本発明の第1の実施形態にかかる電極支持体の概略構成図 溶融物流入部を設けていない場合の電極支持体の説明図 第1実施形態の第1の変形例の概略構成図 金属コイル線の巻き密度に関する説明図 第1実施形態の第2の変形例の概略構成図 本発明の第2の実施形態にかかる電極支持体の概略構成図 溶接前の図7の電極側棒状部材の端面を正面から見た図 第2実施形態の変形例の概略構成図 溶接前の図9の電極側棒状部材の端面を正面から見た図 第1実施形態にかかる電極支持体の製造方法の説明図 第2実施形態にかかる電極支持体の製造方法の説明図 第1実施形態の第1の変形例にかかる電極側棒状部材の製造工程で使用する巻き線装置の説明図 第1実施形態の第1の変形例にかかる電極側棒状部材の製造工程の説明図
符号の説明
10 金属蒸気放電灯
12 発光管本体
14a,14b 細管部
16a,16b 電極支持体
18 中央部
20 放電空間
22a,22b 電極部
24a,24b 外部リード
26a,26b セラミックリング
28a,28b 電極側棒状部材
30a,30b 外部接続側棒状部材

Claims (6)

  1. 金属蒸気放電灯の発光管本体の両端に設けられた各細管部に挿入固定され、該発光管本体内の放電空間内に位置するように電極部を対向させて支持し、該電極部へ給電を行う一対の電極支持体であって、
    該各電極支持体は、一端に電極部を設けた導電性の電極側棒状部材と、該電極側棒状部材と接続される導電性の外部接続側棒状部材とを備え、前記電極側棒状部材の電極部側の反対側の端面と、前記外部接続側棒状部材の一方の端面とを突き合わせ溶接し一体化したものであって、
    前記電極側棒状部材の少なくとも一部および前記外部接続側棒状部材の少なくとも一部は前記発光本体の細管部内に位置するものであって、前記電極側棒状部材は、前記外部接続側棒状部材よりも耐ハロゲン性の高い材質で形成され、かつ前記外部接続側棒状部材は前記電極側棒状部材よりも、その熱膨張係数が前記発光管本体の細管部の熱膨張係数に近い材質で形成され、
    前記外部接続側棒状部材の少なくとも溶接部分の材質は、前記電極側棒状部材の少なくとも溶接部分の材質の融点よりも低い融点をもった材質で形成されており、
    前記電極側棒状部材と前記外部接続側棒状部材との突き合わせ溶接部の近傍に、突き合わせ溶接時の外部接続側棒状部材からの溶融物が流入する溶融物流入部が設けられ、
    前記溶融物流入部が、突き合わせ溶接によって生じる溶融物の容積より大きい容積を有し、
    外部接続側棒状部材からの溶融凝固物が前記溶融物流入部内に納まった状態で存在し、
    前記発光管本体の細管部内に位置する部分における、前記電極側棒状部材の最大径と前記外部接続側棒状部材の最大径とが略等しいことを特徴とする電極支持体。
  2. 請求項1記載の電極支持体において、前記溶融物流入部は、前記電極側棒状部材および/または前記外部接続側棒状部材の溶接部近傍に、前記突き合わせ溶接部の端面から連続して形成されていることを特徴とする電極支持体。
  3. 請求項1または2記載の電極支持体において、前記溶融凝固物を含む前記溶融物流入部の径が、前記電極側棒状部材および前記外部接続側棒状部材の径以下であることを特徴とする電極支持体。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の電極支持体において、前記発光管本体の細管部内に位置する部分における、前記電極側棒状部材の最大径と前記外部接続側棒状部材の最大径との差が50μm以下であることを特徴とする電極支持体。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の電極支持体を一対と、該各一対の電極支持体を挿入固定する細管部を両端に設けた発光管本体と、を備え、前記各電極支持体の電極側棒状部材の少なくとも一部および外部接続側棒状部材の少なくとも一部が前記各細管部内に位置するように、前記各電極支持体を各細管部に挿入固定し、各電極支持体の一端に設けられた電極部を前記発光管本体内の放電空間内に位置させたことを特徴とする金属蒸気放電灯。
  6. 請求項記載の金属蒸気放電灯において、
    前記外部接続側棒状部材の外表面と前記発光管本体の細管部内面との間隙は、ガラスフリットにより気密シールされ、
    前記ガラスフリットが、前記溶融物流入部の前記溶融凝固物に覆われていない部分まで達していることを特徴とする金属蒸気放電灯。
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