JP4851571B2 - ガイドリング及びガラスびん - Google Patents
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Description
図10はこれら従来のガイドリングの概略縦断面図、図11は図10のD部拡大図である。
ガイドリング1は概略ドーナツ板状をなし、その下部面の内周側にガラスびんの口部天面ないし側面上端を成形する成形面2が形成されており、全体が鋳物で一体に形成されている。
成形面2は、ガラスびん口部天面の外縁から側面上端にかけてのR面を成形する曲線部3を有する。曲線部3は成形面の縦断面において円弧状をなす。曲線部3の最下端である曲線部下端3aが成形面2の下端となっている。
口型10は、概略ドーナツ状をなし、2つ割りの割型となっている。符号13は割型の合目である。
ガイドリング1が装着された部分の下側内周に、びん口部の外周面を成形する成形面11が形成されている。成形面11の縦断面において、その最上部は、びん口部上端のR面の直下にある直面8(縦断面が直線状である面)を形成する直線部12となっている。
びんBの口部側面の最上部は、ガイドリングの成形面2の曲線部3で成形されたR面6(縦断面が円弧状の面)で、その下側が口型10の直線部12で成形された直面8(縦断面が直線の面)となっている。ガイドリング1と口型10の境目であるパーティングライン9は、R面下端6aに表れる。
段差は、図16に示すように、R面と直面の間のパーティングラインで生じる。段差が生じる原因は、口型が開くとき(図18の(d)の過程)に、びん口部がそのどちらかの割型に引っ張られ、ガラスがガイドリング下端部Qに当たりやすく、ガイドリングが摩耗するためである。ガイドリング下端部Q付近は曲率半径の小さな曲線(曲線部)で構成されているため、ガラスと点的に当たり、摩耗しやすくなっている。
この段差が原因で、口型が開くとき(図18の(d)の過程)やその他の衝撃が加わったときにR面が欠ける口欠けが発生する。口欠けが起こらなくとも、消費者がびんを使用中に段差部が欠けやすくて危険であり、飲料を直接びん口部から飲む場合に段差が口に当たって不快を感じるという問題もある。
ビリは、ガイドリング成形面の温度差や口型が開くときの衝撃などにより発生するといわれており、これにより口部の強度が著しく減少する。
これは、ガイドリング成形面の温度差が原因であるといわれている。天波により、炭酸飲料びんなどの密封性に支障を来す。
逆曲線部の曲率半径は、曲線部の曲率半径よりも十分大きくする(好ましくは20倍以上)のがよい。
ガイドリング成形面の温度差が小さくなることで、ビリや天波の欠点が減少する。
逆曲線部4の高さが大きいと、口型10を2つ割りの状態に開いて、口型10とガイドリング1とに保持されたパリソンPを仕上型23内に解放するときに(図18の(d)の過程)、パリソンの開放(ガイドリングからの脱型)が良好に行われない懸念が生じるが、本発明は逆曲線部によって下方ほどガイドリング成形面の径が拡がっている(抜け勾配がある)ので、パリソンの開放(ガイドリングからの脱型)がスムーズとなり、逆曲線部4の高さの上限は、口部形状の制約内において特に必要ない。
直線部の高さが1.5mmを超えると、口型10を2つ割りの状態に開いて、口型10とガイドリング1とに保持されたパリソンPを仕上型23内に解放するとき(図18の(d)の過程)、パリソンPの開放がスムーズに行われない可能性があり、好ましくない。
なお、直線部は垂直に形成してもよいし、下方ほど成形面の径が拡がるように傾斜して形成してもよい。直線部を傾斜させた場合、その高さが1.5mmを超えてもパリソンPの開放がスムーズに行われる可能性が大きくなる。
R面6の下方がもともと円錐形状(傾斜面)のガラスびんの成形に本発明を適用して改善を行う場合、曲線部下端と前記逆曲線部下端を結ぶ直線の垂直線に対する角度は、従来の傾斜面とほぼ同じ角度で良い。
前記のように、パーティングラインに段差がない、又は非常に小さいので、消費者がびんを使用中に当該部分が欠ける危険がなく、飲料を直接びん口部から飲む場合に段差が口に当たって不快を感じることもない。
また、天波がほとんど無いので、炭酸飲料びんとしての密封性に優れている。
また、ガラスびん口部天面が平面ではなく波打った状態となるいわゆる「天波」という欠点もほとんど無くなる。
また、天波がほとんど無いので、炭酸飲料びんとしての密封性に優れている。
このガイドリング1の基本形状は、従来のものと同じであるが、その特徴は成形面2の形状にある。
成形面2は、その縦断面において、ガラスびん口部天面の外縁から側面上端にかけてのR面を成形する曲線部3(内側に凹)の下端3aに続いて、逆曲線部4(内側に凸)を設けている。逆曲線部4の曲率半径は、曲線部3の曲率半径より大幅に大きくなっている。
本実施例の場合、曲線部3の曲率半径は1.0mm、逆曲線部4の曲率半径は28.65mm、逆曲線部4の高さHは1.0mmである。
また本実施例の場合、曲線部下端3aと逆曲線部下端4aを結ぶ直線の垂直線vに対する角度(傾斜角度)θ(図3)は1°である。
傾斜角度θ、逆曲線部の高さH及び逆曲線部の曲率半径Rの関係は図4に示すとおりである。
口型10の基本形状は、従来のもの(図12)と同じであるが、ガイドリング1の成形面2に逆曲線部4を形成したので、当該部分のみこれに適合するように変更されている。すなわち、口型の直線部12が、ガイドリングの逆曲線部4の高さHだけ短くなっている。
このガラスびんBにおいて、R面6の下方に逆R面7が形成され、ガイドリング1と口型10のパーティングライン9が、R面下端6aよりも下方の逆R面7の下端に表れている。
図10〜12は、前記実施例と基本的に同じ形状のガラスびんを成形する、従来のガイドリング1及び口型10に関するものである。
従来のガイドリング1の成形面2は、曲線部3の下方に逆曲線部を有しない。曲線部3の下端3aは、びん口部のR面下端6aに相当する。(図14)
図12の比較例と図5の実施例を比較すると、図12ではガイドリング1と口型10の境目(パーティングライン)が曲線部の下端に形成されているのに対し、図5では境目(パーティングライン)がこれよりも下方に下がっている点で異なる。
このガラスびんBにおいて、ガイドリング1と口型10のパーティングライン9は、R面下端6a、すなわちR面6と直面8の境目に表れている。
実施例のガイドリングは、比較例のガラスびん(図6,7)成形の際の口部欠点の発生を改善するために試作されたものであるが、実施例と比較例のガラスびんの口部形状は、当業者でさえ注意して比較しないと認識できない程度の違いである。
本実施例のガイドリングを用いて、約1カ月間ガラスびんを成形しても、ガラスびんに口欠けは全く発生せず、口型及びガイドリングを交換する必要はなかった。
これにより、本発明によって口欠けの欠点をほぼ完全に防止できることが実証された。
これは、ガラスびんの口部を90°間隔で4個所縦方向に拡大トレースし、その形状を重ね合わせて口部形状の乱れを確認したものである。
この段差は、ガイドリングや口型が摩耗してくると発生しやすくなり、段差が大きくなると口欠けが発生する。
天波は、ガイドリングや口型温度に狂いが生じると発生する。天波を防止するための金型の温度制御は非常に困難であり、完全に天波を防ぐことはできなかった。
しかし、本発明によれば、口欠けや天波をほぼ完全に防止できる。
この試験は、図17に示すように、ガラスびんBを平滑な基板の上に逆さに立て、びん口部天面と基板の間に厚さ0.03mmのシックネスゲージを種々の角度から差し入れ、シックネスゲージがびん口部天面と基板の間に入り込む部分があるかどうかを試験するものである。シックネスゲージが入り込む部分があれば天波の欠点があるので不合格となり、無ければ口部天面は平滑で天波の欠点が無く、合格となる。
実施例のガラスびんは全てが合格であったが、比較例のガラスびんは10本が不合格であった。
これによっても、本発明により天波の欠点がほぼ完全に防止できることが実証された。
すなわち、本発明のガイドリングは、成形面の温度差が従来のものよりも小さくなり、これにより天波やビリの欠点が発生しにくくなる。
本実施例は、成形面2の縦断面において、ガラスびん口部天面の外縁から側面上端にかけてのR面を成形する内側に凹の曲線部3の下端3aに続いて、縦方向の(垂直線から1°傾斜した)直線部5を設け、さらに直線部5の下端5aに続いて、曲線部3より曲率半径が大きく内側に凸の逆曲線部4を設けている。
曲線部3の曲率半径は1.0mm、逆曲線部4の曲率半径Rは100.0mm、逆曲線部4の高さHは0.6mm、直線部5の高さhは0.4mmである。また、曲線部下端3aと逆曲線部下端4aを結ぶ直線の垂直線に対する角度θは約1°である。
2 成形面
3 曲線部
3a 曲線部下端
4 逆曲線部
5 直線部
6 R面
6a R面下端
7 逆R面
8 直面
9 パーティングライン
10 口型
11 成形面
12 直線部
13 合目
14 シックネスゲージ
20 粗型
21 プランジャー
22 バッフル
23 仕上型
24 底型
25 メカニズム
B ガラスびん
Claims (6)
- 成形面の縦断面において、ガラスびん口部天面の外縁から側面上端にかけてのR面を成形する内側に凹の曲線部の下端に続いて、該曲線部より曲率半径が大きく内側に凸の逆曲線部を設けたことを特徴とするガイドリング。
- 前記逆曲線部の高さが0.3mm以上である請求項1に記載のガイドリング。
- 成形面の縦断面において、ガラスびん口部天面の外縁から側面上端にかけてのR面を成形する内側に凹の曲線部の下端に続いて縦方向の直線部を設け、さらに該直線部の下端に続いて、前記曲線部より曲率半径が大きく内側に凸の逆曲線部を設けたことを特徴とするガイドリング。
- 前記直線部と逆曲線部の合計高さが0.3mm以上であり、前記直線部の高さが1.5mm以下である請求項3に記載のガイドリング。
- 成形面の縦断面において、前記曲線部下端と前記逆曲線部下端を結ぶ直線の垂直線に対する角度が0.5°〜5°である請求項4に記載のガイドリング。
- 請求項1〜5のいずれかのガイドリングを用いて成形され、ガイドリングと口型のパーティングラインが前記R面の下端よりも下方に表れていることを特徴とするガラスびん。
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