JP4851040B2 - インクジェット用インク、インク、および着色顔料を含有するその他の組成物 - Google Patents

インクジェット用インク、インク、および着色顔料を含有するその他の組成物 Download PDF

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Description

(発明の背景)
本発明は、着色顔料およびこの着色顔料を含有する水性および非水性の組成物に関する。本発明はさらに、着色顔料の調製方法およびこれらをインクジェット用インクなどのインクを含むさまざまな用途に使用することに関する。
産業における着色顔料の使用は、複数の用途に広く受け入れられている。一般に、利用可能な着色顔料の粒径が、着色顔料を含有する製品の改良努力を妨げてきた。現在、小粒径の着色顔料を製造する唯一の満足しうる方法は、界面活性剤および高分子樹脂などの分散剤を使用するものである。しかしながら小粒径の着色顔料を製造することはできるが、これらの小粒径の着色顔料は分散剤の助けがある場合にのみ安定であり、分散剤が実質上除去されると着色顔料は塊になり、したがって小粒径ではなくなることになる。しかしながら、分散剤の存在が常に必要なことは、インクなどの組成物を調合する場合に分散剤の存在を考慮にいれなければならないため、多くの用途において着色顔料の使用を妨げまたは遅らせてきた。分散剤の使用と関連したその他の問題には、分散剤が他のインク成分と不相容である可能性があること、分散剤を多量に使用しなければならないこと、および界面活性剤を含んだインクは一般に表面張力が低いことがある。
また、製造者が従来の溶剤にもとづく系を置き換えることへの圧力の増加に直面するにつれて、水性の系は自動車および工業用コーティング、塗料、紙、インク、トナー、接着剤、ラテックスなどの多くの用途への使用が増加しつつある。このような水性の系は公知であり、一般に水もしくは水の混合物ならびに水溶性もしくは水混和性の有機溶剤のような水性ビヒクルに可溶な染料などの色素を含有する。
染料にもとづく組成物は容易に使用されるが、染料は水性インク系に用いる場合に幾つかの不利益を有する。例えば、水/有機混合液中で水溶性の染料は湿気または水に曝されると溶解し、にじむ恐れがある。染色像はさらに、フェルトペンマーカーと接触しあるいは指で擦りまたは触れると、汚れまたは剥がれる恐れがある。染料はまた可視光線または紫外線に曝されると貧弱な光安定性を呈する。
顔料はまた水性組成物の色素としても知られるが、組成物の性能または信頼性、すなわち印刷特性、安定性、待ち時間などと関連する問題のためにインクジェット用インクなどの水性の系にそれ程広く受け入れられてはいない。このような顔料の例には、カーボンブラック、二酸化チタン白、コバルトブルー(CoO−Al)、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、およびクロームイエロー(PbCr)がある。
Johnson他の米国特許第5,837,045号には、表面を修飾した新奇な着色顔料およびこのような表面を修飾した着色顔料を含有する水性の組成物について記載されている。このような表面を修飾した着色顔料は、染料にもとづくまたは従来の顔料系(例えば、ポリマーまたは界面活性剤による安定性を必要とする顔料)と比べてかなり改良されてはいるが、表面を修飾した改良型の着色顔料およびその製造プロセス、ならびにこのような表面を修飾した着色顔料を含有する水性または溶剤にもとづく組成物に対するニーズ、特に長期間のコロイド安定性および耐光性を必要とするインク組成物に使用することに対するニーズは引き続き存在する。また、すぐれた印刷特性を提供しながら、そのインク組成物それぞれの印刷システムにおいて改良された待ち時間および修復性を示す改良された水性インク組成物が生産されることが望ましい。改良された着色顔料およびその着色顔料を含有するインク組成物に対する更なるニーズが存在する。
(発明の概要)
本発明は、分散剤の添加なしに1または複数の望ましいパラメータおよび/または特性を有する着色顔料に関する。これらのパラメータおよび/または特性には:
約10nmから約300nmまでの粒径分布;
分散液(固形物15%)1ml当たり0.5μmを超す粒子が1010個未満のアキュサイザー(Accusizer)数;
液状媒体中にあるとき、着色顔料の固形物を10%含む100mlが3μmのナイロンアブソリュートフィルターを通して濾過されるような濾過性;
抽出可能な材料を基準にして約80%を超す着色顔料純度;および/または
上記特性が25℃において1週間で50%を超すまで変化しないような安定性、が含まれる。
上記着色顔料は、好ましくは外部分散剤が少しも存在しない水性または非水性媒体中に存在する。
本発明はさらに、付着した少なくとも1種類の有機基を有し、かつ1または複数の上記特徴を有する着色顔料に関する。
加えて本発明は、表面を修飾した着色顔料を調製するための方法に関する。この方法は、少なくとも1種類の処理剤と少なくとも1種類の着色顔料を容器の中で組み合せて混合物を形成し、この混合物に高剪断をかけ、反応生成物が形成されてそれが表面が修飾された着色顔料を含有するように少なくともしばらく高剪断にかけながら、好ましくは全期間にわたって高剪断をかけながら、混合物に少なくとも1種類のジアゾ化剤を導入することを含む。処理剤は、少なくとも1種類のジアゾ化可能な基を含む有機基を有する。好ましい実施形態においてこのジアゾ化可能な基は、a)少なくとも1種類の芳香族某、少なくとも1種類のC〜C20のアルキル基、またはその混合物、およびb)少なくとも1種類のイオン性の基、イオン化可能な基、非イオン性の基、またはその混合物を含む。好ましくはこの方法における製品収率として、約10nmから約300nmまでの粒径を有する着色顔料約30%から約100%がもたらされる。
本発明はさらに、上記着色顔料を練り込んだインク組成物を調製するための方法を対象とする。
本発明の方法によって配合した着色顔料は、通常の顔料を含有する水性または溶剤にもとづく組成物に用いることができる。このような組成物には例えば、自動車および工業用コーティング、塗料、紙、トナー、インク(特にインクジェット用インク組成物)、接着剤、ラテックス、織物、および繊維が含まれる。着色顔料は、個々の水性または溶剤にもとづく系と相容性が得られるように、またより容易でより完全な分散、改良されたコロイド安定性、ならびにより大きな色強度および明度を提供するように適合させることができる。
(本発明の詳細な説明)
本発明は、1または複数の望ましい特徴を有する着色顔料およびそれら着色顔料の製造方法、ならびにこれらをさまざまな用途に使用することに関する。本発明の着色顔料は、着色顔料が水性または非水性媒体中で下記の特徴の少なくとも1つを有するようなものであることを特徴とすることができる。すなわち、
a)約10nmから約300nmまでの粒径分布;
b)分散液(固形物15%)1ml当たり0.5μmを超す粒子が1010個未満のアキュサイザー数;
c)液状媒体中にあるとき、着色顔料の固形物10%を含む100mlが3μmのナイロンアブソリュートフィルターを通して濾過されるような濾過性;
d)抽出可能な材料を基準にして約80%を超す着色顔料純度;および/または
e)上記特性が25℃において1週間で50%を超すまで変化しないような安定性。
上記着色顔料は、添加された外部分散剤が全く含まれない水性または非水性媒体中に存在する場合、好ましくは上記特徴の少なくとも1つを有する。
この顔料は、従来のようにインク用組成物(インクジェット用組成物を含む)、コーティング用組成物(塗料配合物を含む)、液体および固体トナー、フィルム、プラスチック、ゴムなどに用いることができるがこれには限定されない。例としては黒色顔料(例えばカーボンブラックなどのカーボン製品)およびその他の着色顔料(例えば高分子または有機顔料)があるがこれには限定されない。好ましくは本発明の着色顔料は黒以外の色である。
望ましい着色顔料は、広範囲の従来の着色顔料から選択することができる。着色顔料は、青、黒、茶、シアン、緑、白、紫、マジェンタ、赤、黄、ならびにその混合色であることができる。好適な種類の着色顔料には、例えばアントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ類、モノアゾ類、ピラントロン、ペリレン、複素環イエロー、キナクリドン、および(チオ)インジゴイドがある。フタロシアニンブルーの代表例には、銅フタロシアニンブルーおよびその誘導体(Pigment Blue15)がある。キナクリドンの代表例には、Pigment Orange 48、Pigment Orange 49、Pigment Red 122、Pigment Red 192、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red207、Pigment Red 209、PigmentViolet 19、およびPigment Violet 42がある。アントラキノンの代表例には、Pigment Red 43、Pigment Red 194(Perinone Red)、Pigment Red 216(Brominated Pyanthrone Red)、およびPigment Red 226(Pyanthrone Red)がある。ペリレンの代表例には、Pigment Red 123(Vermillion)、Pigment Red 149(Scarlet)、Pigment Red 179(Maroon)、Pigment Red 190(Red)、Pigment Violet 19、Pigment Red 189(Yellow Shade Red)、およびPigment Red 224がある。チオインジゴイドの代表例には、Pigment Red 86、Pigment Red 87、Pigment Red 88、Pigment Red 181、Pigment Red 198、Pigment Violet 36、およびPigment Violet38がある。複素環イエローの代表例には、Pigment Yellow 1、Pigment Yellow 3、Pigment Yellow 12、Pigment Yellow 13、Pigment Yellow 14、Pigment Yellow17、Pigment Yellow 65、Pigment Yellow 73、Pigment Yellow 74、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 117、Pigment Yellow 128、およびPigment Yellow138がある。このような顔料は、BASF Corporation、Engelhard Corporation、およびSun Chemical Corporationを含む複数の供給源から粉末または圧搾ケークのいずれかで市販されている。その他の好適な着色顔料の例は、Colour Index、3rd ed.(The Society of Dyers and Colourists、1982)に記載されている。着色顔料は一般に窒素吸着によって測定される広範囲のBET表面積を有することになる。
上記特徴に関して本発明の着色顔料は、この特徴のうち少なくとも1つを有し、より好ましくはこの特徴のうち少なくとも2つを有し、さらに好ましくはこの特徴のうち少なくとも3つ、4つまたは5つを有し、最も好ましくはこの特徴のすべてを有する。
着色顔料の粒径に関して、粒径分布は動的光散乱法によって測定される顔料粒子の平均体積径に基づいている。本発明の着色顔料の粒径分布範囲は、約10nmから約300nm、好ましくは約10nmから約200nm、より好ましくは約20nmから約150nm、最も好ましくは約50nmから約100nmである。
アキュサイザー数に関しては、この数値は或る%の固形物の、分散液中の或る大きさ以上の粒子の数の測定値である。本発明において本発明の着色顔料は、分散または液状媒体中にある場合、分散液が固形物15%を含んだ状態で0.5μmを超える粒子が分散液1ml当たり1010個未満のアキュサイザー数を有する。好ましくはアキュサイザー数は10であり、より好ましくは10以下である。
本発明の着色顔料の濾過性に関してこの着色顔料は、固形物10%を含む分散液100mlの場合、3μmのナイロンアブソリュートフィルターにより完全に濾過される。より好ましくはこの分散液は1〜2μmのナイロンアブソリュートフィルターにより完全に濾過される。
着色顔料の純度レベルは、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは約85%から約100%、最も好ましくは約90%から約100%である。この純度レベルは非抽出性材料の質量による量を基準にしている。純度レベルは、非顔料材料を含む不純物の存在しない着色顔料の量を表している。本発明の目的に対しては分散剤は抽出性材料と考えられる。着色顔料の純度レベルは、好ましくは粒径範囲が約10nmから約200nmの着色顔料を基準とする。
本発明の着色顔料はまた、その安定性を特徴とすることもできる。具体的には上記特徴は25℃で1週間、より好ましくは1ヶ月間50%を超えるまでには変化しない、より好ましくは20%を超えるまでには変化しない、最も好ましくは10%を超えるまでには変化しないような安定性のものである。
前述のように本発明の着色顔料は1または複数の上記特徴を有する。
本発明の着色顔料を製造するための好ましいプロセスを用いて、約30%から約100%の製品収率の、好ましくは約100nmの粒径を有する本発明の着色顔料が得られる。より好ましくは約50%から約100%、最も好ましくは約70%から約100%の本発明の着色顔料が約100nmの粒径を有する。着色顔料を製造するためのこの好ましいプロセスは、高度に望ましい或る粒径の着色顔料を高い割合で産出する能力を有する。
本発明の着色顔料は好ましくは、付着した少なくとも1種類の有機基を有する、また1または複数の上記特徴を有する着色顔料である。この有機基は、a)少なくとも1種類の芳香族基、少なくとも1種類のC〜C20のアルキル基、またはその混合物、および好ましくはさらに、b)少なくとも1種類のイオン性の基、イオン化可能な基、非イオン性の基、またはその混合物を含む。
少なくとも1種類の芳香族基には、これには限定されないが1または複数の環を含有する不飽和環状炭化水素が含まれ、例えばアルキル基で置換されても置換されなくてもよい。芳香族基には、アリール基(例えばフェニル、ナフチル、アントラセニルなど)およびヘテロアリール基(例えばイミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、チエニル、チアゾリル、フリル、トリアジニル、インドリルなど)がある。少なくとも1種類のC〜C20のアルキル基は、分枝しても分枝しなくても、置換されても置換されなくてもよい。
使用することができる一組の好ましい有機基は、官能基としてのイオン性の基、イオン化可能な基、または非イオン性の基で置換された有機基である。イオン化可能な基は、使用される媒体中でイオン性の基を形成する能力のある基である。このイオン性の基はアニオン性の基またはカチオン性の基であってもよく、またイオン化可能な基がアニオンまたはカチオンを形成してもよい。非イオン性の基は、電荷を持たないまたは持つ能力のない基である。
アニオンまたはアニオン性の基を形成するイオン化可能な官能基には、例えば酸性基または酸性基の塩がある。したがって有機基には有機酸から誘導される基が含まれる。好ましくは、有機基がアニオンを形成するイオン化可能な基を含有する場合、このような有機基は、a)芳香族基またはC〜C20のアルキル基、およびb)pKが11未満の少なくとも1種類の酸性基、またはpKが11未満の酸性基の少なくとも1種類の塩、またはpKが11未満の少なくとも1種類の酸性基とpKが11未満の酸性基の少なくとも1種類の塩との混合物を有する。酸性基のpKは、酸性置換基そのものではなく有機基の全体としてのpKを意味する。より好ましくはpKは10未満、最も好ましくは9未満である。好ましくは有機基の芳香族基は着色顔料に直接付着する。芳香族基は、例えばアルキル基でさらに置換されてもまた置換されなくてもよい。より好ましくは、有機基はフェニルまたはナフチル基であり、酸性基はスルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、またはカルボン酸基である。最も好ましくは有機基は、置換または非置換スルホフェニル基もしくはその塩、置換または非置換カルボキシフェニル、置換または非置換(ポリスルホ)フェニル基もしくはその塩、置換または非置換スルホナフチル基もしくはその塩、あるいは置換または非置換(ポリスルホ)ナフチル基もしくはその塩である。
性質上アニオン性の有機基の例には、−C−COO−X、−C−SO 、−C−(PO−22X、−C−(COO、−C−(COO、−(CH−(COO)、−C−(CH−(COO)(ただし、Xは、Na、H、K、NH 、Li、Ca2+、Mg2+などの任意のカチオンであり、zは1〜18の整数である)があるがこれには限定されない。当業技術者によって認められているようにXは製造プロセスの一部として原位置で形成することができ、または典型的な塩交換またはイオン交換プロセスにより芳香族基またはアルキル基と結合させることもできる。
アミン類は、カチオンまたはカチオン性の基を形成するイオン化可能な官能基の代表例であり、アニオンを形成するイオン化可能な基について上記で論じたようにその同じ基に付着することができる。例えばアミン類は、酸性媒体中でプロトン付加されてアンモニウム基を形成することができる。好ましくはアミン置換基を有する有機基はpKが5未満である。第四アンモニウム基(−NR )、第四ホスホニウム某(−PR )、およびスルホニウム某(−SR )はまた、カチオン性の基の代表例である。好ましくは有機基は、フエニルまたはナフチル基などの芳香族基と、第四アンモニウムまたは第四ホスホニウムもしくはスルホニウム基とを含有する。第四級化された環状アミン、さらに第四級化された芳香族アミンもまた有機基として使用することができる。したがってN−メチルピリジルなどのN−置換ピリジニウム化合物をこれに関して使用することができる。
性質上カチオン性の有機基の例には、−CN(CH 、−CCOCHN(CH 、−C(NC、−(CN)C 、−(C(イミジゾール類)、−(C(インジゾール類)、−CCOCH(NC、−(CN)CH 、および−CCHN(CH (ただしYは、任意のハロゲン化物またはNO、OH、CHCOOなどのアニオンもしくはその組合せである)があるがこれには限定されない。当業者によって認められているようにYは、製造プロセスの一部として原位置で形成することができ、または典型的な塩交換またはイオン交換プロセスにより芳香族基またはアルキル基と結合させることができる。
有機基のさらなる代表例はまた、米国特許第5,571,311号、第5,630,868号、第5,707,432号、第5,955,232号、第5,922,118号、第5,900,029号、第5,895,522号、第5,885,335号、第5,851,280号、第5,837,045号、第5,713,988号、および第5,803,959号、国際公開WO96/18688号およびWO96/18690号に記載されており、これによる全てがそっくりそのまま参照により本明細書に合体される。
イオン性またはイオン化可能な官能基のさらなる例には、性質上カチオン性またはアニオン性であることが可能な両親媒性対イオンがある。両親媒性対イオンは、親水性の極性「頭部」と疎水性の「尾部」を有するものとして一般に記述される分子または化合物である。カチオン性およびアニオン性の両親媒性対イオンの代表例には、Adams他の米国特許第5,698,016号に開示、記述されているものがあり、この記述の全てがそっくりそのまま参照により本明細書に合体される。
本発明をさらに例示するために両親媒性対イオンを用いることができる。本明細書に記載の表面を修飾した着色顔料は、カチオン性官能基(すなわち正の電荷)またはアニオン性官能基(すなわち負の電荷)を有する。電荷は、好ましくは顔料に付着したジアゾ化可能な基の芳香族基またはC〜C20アルキル基によって生じる。もし望ましい表面を修飾した着色顔料が性質上アニオン性ならば、両親媒性対イオンはカチオン性または正に荷電することになる。同様に、もし望ましい表面を修飾した着色顔料が性質上カチオン性ならば、両親媒性対イオンはアニオン性または負に荷電することになる。
カチオン性の両親媒性対イオンの例には、脂肪アミン、アミノアルコールのエステル、アルキルアミン、アミン官能基を含有するポリマー、ポリエトキシル化したアミン、ポリプロポキシ化したアミン、ポリエトキシル化しポリプロポキシ化したアミン、アニリンおよびその誘導体、アミノ酸の脂肪アルコールエステル、コハク酸ジアルキルエステルでN−アルキル化したポリアミン、複素環式アミン、脂肪アミンから誘導されるグアニジン、アルキルアミンから誘導されるグアニジン、アリールアミンから誘導されるグアニジン、脂肪アミンから誘導されるアミジン、脂肪酸から誘導されるアミジン、アルキルアミンから誘導されるアミジン、またはアリールアミンから誘導されるアミジンに、酸を加えることにより形成することができる前述のアンモニウムイオンがあるがこれらには限定されない。アンモニウムイオンのpKは、顔料上のプロトン化された形態の芳香族基またはアルキル基のpKよりも大きいことが好ましい。
カチオン性の両親媒性イオンの具体例には、ジオクチルアンモニウム、オレイルアンモニウム、ステアリルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、ジメチルドデシルアンモニウム、ステアリルグアニジニウム、オレイルグアニジニウム、ソイアルキルアンモニウム、ココアルキルアンモニウム、オレイルアンモニウムエトキシラート、プロトン化したジエタノールアミンジミリスタート、およびN−オレイルジメチルアンモニウムがある。一般に上記のアンモニウムイオンを形成するには、脂肪アミンまたはアミノアルコールのエステルなど上記のさまざまな化合物を、カルボン酸、鉱酸、アルキルスルホン酸、またはアリールスルホン酸などの酸と反応させる。
第四アンモニウム塩もまたカチオン性の両親媒性イオンの供給源として用いることができる。例には、これには限定されないが脂肪アルキルトリメチルアンモニウム、ジ(脂肪アルキル)ジメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウム、または1−アルキルピリジニウム塩があり、ここで対イオンはハロゲン化物、メト硫酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩などである。また塩化テトラフェニルホスホニウムなどのホスホニウム塩を両親媒性イオンの供給源として用いることもできる。
本発明に使用されるカチオン性の両親媒性イオンには、式R(ただしRは独立にハロゲン、C〜C30アルキル、C〜C30アルケニル、C〜C30アラルキル、およびC〜C30アルカリール)によって表されるものがある。
好適な両親媒性イオンの別の例には、アミン含有ポリマーから誘導されるアンモニウムイオンを含有するポリマーがある。アミン含有ポリマーは、メタクリル酸またはアクリル酸ジメチルアミノエチル、あるいはビニルピリジンまたはビニルイミダゾールなどのアミン含有モノマーと、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、スチレンなど別のモノマーとのコポリマーであってもよい。ポリマーはまた、アミン含有モノマーと、別のアミン含有モノマーのそれぞれ2または3種類との混合物を含むターポリマーまたはテトラポリマーであってもよい。このようなポリマーは、ラジカル重合(乳化、懸濁、または溶液重合)またはアニオン重合などの任意の手段によって調製することができる。
前述のように両親媒性対イオンは、もう一つの選択肢としてアニオン性の両親媒性対イオンであることができる。このようなアニオン性の両親媒性対イオンの例には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫コハク酸塩、サルコシン、アルコールエトキシラートの硫酸塩、アルコールエトキシラートのスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエトキシル化したリン酸塩、エトキシル化したアルキルフェノールの硫酸塩、脂肪カルボン酸塩、タウリン酸塩、イセチオン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、または酸基を含有するポリマーから誘導されるイオンがあるがこれには限定されない。アニオン性の両親媒性イオンの具体的かつ好ましい例の供給源には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、エーロゾルOT、オレイン酸塩、リシノール酸塩、ミリスチン酸塩、カプロン酸塩、2−オクチルドデカン酸ナトリウム、ビス(2−エチルヘキシル)硫コハク酸ナトリウム、スルホン化ポリスチレン、またはアクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーもしくはその塩があるがこれには限定されない。
一般に上記で特定した両親媒性対イオンおよび関連化合物は、塩の形態で市販されており、また普通の当業技術者ならば日常的に製造することができる。
非イオン性の基には、親水性の基、疎水性の基、アルキルおよびアリール基、エーテル類、ポリエーテル類、アルキル類、フッ素化アルキルなどがあるがこれには限定されない。これらの両親媒性型の基は、本明細書にそっくりそのまま参照により合体される米国特許第5,698,016号に記載の手順に従って製造し、着色顔料上に付着させることができる。本発明の着色顔料は、米国仮出願第60/157,284号に記載されているような立体的で両親媒性の基を有することができ、この記載もまたそっくりそのまま参照により本明細書に合体される。
着色顔料上に付着させることができる有機基のその他の例には、下記の式のものが含まれる。下記の各式において−Xは顔料に直接付着しており、また−X′は顔料に直接付着することが可能である。
一つの好ましい修飾した顔料生成物は、式
−X−Sp−〔NIon〕
(ただし、Xは芳香族基またはアルキル基を表し、NIonは少なくとも1種類の非イオン性の基を表し、Spはスペーサー基を表し、Rは水素、芳香族基、またはアルキル基を表し、pは1〜500の整数である)を含む、付着した少なくとも1種類の基を有する着色顔料である。
置換基Xおよび/または置換基Rに関して、芳香族基は置換されても置換されなくてもよく、また例えばアリール基またはヘテロアリール基であってもよい。芳香族基は、1または複数のアルキル基またはアリール基などの任意の基で置換することができる。好ましくは芳香族基は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ビフェニル、ピリジニル、ベンゾチアジアゾリル、またはベンゾチアゾリルである。置換基Xおよび/または置換基Rに関してアルキル基の例には、これには限定されないが置換または非置換アルキル基があり、分枝していても分枝していなくてもよい。アルキル基は、芳香族基などの1または複数の基で置換することができる。置換基Xのためのアルキル基の好ましい例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシル基のようなC〜C12があるがこれには限定されない。換言すればXおよび/またはRは、分枝または非分枝の、置換または非置換の、飽和または不飽和の炭化水素を表す。置換される基の例には、エステル基、アミド基、エーテル基、カルボキシル基、アリール基、アルキル基などがあるがこれには限定されない。
本明細書で用いられるSpすなわちスペーサー基は2つの基の間をつなぐものであり、CO、OC、SO、CO、SO、OSO、SONR″、R″NSO、NHCO、CONR″、NR”CO、OCNR″、NR″CONR″、O、S、NR″、SO、アリーレン、アルキレン、NR″CO、NHCO、OCNH、NCHONHなど(ただしR″は同一でも異なっていてもよく、置換または非置換のアリール基および/またはアルキル基などの有機基を表す)の結合剤または化学基であることができるがこれには限定されない。
非イオン性の基の例には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、その他のアルキレンオキシドのポリマー、カルボン酸エステル、グリコール類、アルコール類、エステル類、アルカノールアミン−脂肪酸縮合物、シリコーン類、イソシアン酸エステル、アルキルピロリデン、およびアルキルポリグリコシドなどのはっきりしたイオン性の電荷を持たない基があるがこれには限定されない。非水性媒体中で非イオン性の基は、前述の基に加えてカルボン酸塩、スルホン酸塩、アミン、および水中で一般にイオンの性質を示すその他の基を有することができる。非イオン性の基は好ましくはC〜C12アルキル基またはC〜C12アルキレンオキシド基である。pは1〜25、26〜50、51〜75、75〜100、および/または101〜500であることができるが、好ましくはpは5〜50である。
置換基Xおよび/または非イオン性の基は、1または複数種の官能基で置換されてもよい。官能基は好ましくは親油性の基を含有する。官能基の例には、R′、OR′、COR′、COOR′、OCOR′、カルボン酸、ハロゲン、CN、NR′、SOH、スルホン酸、−OSO、NR′(COR′)、CONR′、NO、PO、ホスホン酸、リン酸、N=NR′、SOR′、NSOR′(ただし、R′は同一でも異なっていてもよく、独立に水素、分枝または非分枝のC〜C20の置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換アルキルアリール、もしくは置換または非置換アリールアルキル)があるがこれには限定されない。
アミンはまた、第四アンモニウム基(−NR )と第四ホスホニウム基(−PR )および第四スルホニウム基(−SR )と同じく官能基の代表例である。
本発明の追加の実施形態において着色顔料生成物は、式
−X−Sp−〔A〕
(ただし、Xは芳香族基またはアルキル基を表し、Spはスペーサー基を表し、Aは炭素が約1から約12個のアルキレンオキシド基を表し、pは1〜500の整数を表し、Rは水素、置換または非置換アルキル基、もしくは置換または非置換芳香族基を表す)を含む、付着した少なくとも1種類の基を有する着色顔料であることができる。pが2以上のときAは、同一でも異なっていてもよく、Xは置換されていても置換されていなくてもよく、エステル基、アミド基、エーテル基、カルボニル基、アリール基、アルキル基などの置換された基を含んでいてもよい。置換された基はAに付着してもまたは結合してもよい。
好ましいアルキレン基の例には、−CH−CH−O−、−CH(CH)−CH−O−、−CHCHCH−O−またはその組合せがあるがこれには限定されない。
本発明の別の実施形態において着色顔料は、式
−X−Sp−〔(−CH−O−〕−R
(ただし、Xは上記と同様で、例えば前述のように芳香族基またはアルキル基を表し、mは1〜12、好ましくは2〜3の整数であり、pは1〜500の整数であり、Spはスペーサー基を表し、Rは上記と同様で、例えば水素、置換または非置換のアルキル基、もしくは置換または非置換の芳香族基を表す)を含む、付着した少なくとも1種類の基を有する着色顔料であることができる。置換基Rの例には、ハロゲン、メチル、エチル、ブチル、またはプロピル基があるがこれには限定されない。pは1〜25、26〜50、51〜75、75〜100、および101〜500であることができ、好ましくは5〜50である。この式の特に好ましい基は、Xがベンゼン基の場合、mは1〜5、より好ましくは2〜3であり、pは5〜50、より好ましくは44〜45であり、Rは水素またはメチル基である。別の好ましい基は、mが2の場合、pは7、Rはメチル基、Xはベンゼン基である。
本発明のさらに別の実施形態において着色顔料は、高分子基が式
−X−Sp−〔polymer〕−R
(ただし、XおよびSpは上記と同様で、例えば前述のように少なくとも1種類の芳香族基または少なくとも1種類のアルキル基を表し、「polymer」は反復モノマーの基または多連モノマーの基またはその両方を含み、任意選択で少なくとも1種類の−X′基をもつ付着した少なくとも1種類の高分子基を有する顔料であることができる。「polymer」は追加の基で置換されても置換されなくてもよく、またRは上記と同様で、例えば水素、結合剤、置換または非置換アルキル基、もしくは置換または非置換芳香族基を表す。Xがアルキル基を表す場合、「polymer」は好ましくはイオン性またはイオン化可能な基をもたず、X′はアルキル基または芳香族基を表し、X′およびXは各々同一でも異なっていてもよい。「polymer」を構成する全モノマーの反復単位は、モノマー反復単位約500個以下である。Xおよび/またはX′は置換されても置換されなくてもよく、エステル基、アミド基、エーテル基などの置換された基を含んでいてもよい。置換された基は、「polymer」と結合していてもよい。またRが結合剤を表す場合、利用可能な結合剤は顔料に付着してもよい。この式でXがアルキル基を表す場合、高分子基は好ましくはイオン性またはイオン化可能な基をもたない。高分子基は、顔料に付着することができる任意の高分子基であることができる。
本発明およびこの上記直前の式の目的では、「polymer」を構成する1または複数の高分子基が存在してもよい。高分子基は、熱可塑性高分子基または熱硬化性高分子基であることができる。さらに高分子基は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、および/または任意の数の異なる反復単位を含有するポリマーであることができる。さらに本発明に含まれる高分子基は、ランダム重合ポリマー、交互重合ポリマー、グラフト重合ポリマー、ブロック重合ポリマー、星形ポリマー、および/または櫛形ポリマーなどの任意の種類の高分子基であることができる。また、本発明において使用することができる高分子基は1または複数のポリブレンドであってもよい。高分子基は、相互貫入高分子網目構造(IPN)、同時相互貫入高分子網目構造(SIN)、または相互貫入弾性網目構造(IEN)であってもよい。
高分子基の具体例には、ポリエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリカプロラクタム(ナイロン)、ポリイソプレンなどの高度鎖状ポリマーがあるがこれには限定されない。本発明のその他の一般的なクラスの高分子基は、ポリアミド、ポリカーボネート、高分子電解質、ポリエステル、ポリエーテル、(ポリヒドロキシ)ベンゼン、ポリイミド、イオウ含有ポリマー(ポリスルフィド、(ポリフェニレン)スルフィド、およびポリスルホンなど)、ポリオレフィン、ポリメチルベンゼン、ポリスチレンおよびスチレンコポリマー(ABSを含む)、アセタールポリマー、アクリルポリマー、アクリロニトリルのポリマーおよびコポリマー、ハロゲン含有ポリオレフィン(ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニリデンなど)、フッ素ポリマー、イオノマー、ケトン基含有ポリマー、液晶ポリマー、ポリアミドーイミド、オレフィン二重結合をもつポリマー(ポリブタジエン、ポリジシクロペンタジエンなど)、ポリオレフィンコポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリウレタン、熱可塑性エラストマーなどであるがこれには限定されない。
一般には、Encyclopedia of Chemical Technology,(1982),volume 18,p.328 ̄887のKIRK−OTHMERの記述,;およびModern Plastics Encyclopedia (1998),p.B−3 ̄B−210;およびC.A.Daniels著「Po1ymers:Structure and Properties」、Technomic Publishing Co.,Lancaster,PA(1989)に記載されている高分子基を本発明の高分子基として用いることができ、これら文献は参照により本明細書にそっくりそのまま合体される。
本発明の高分子基は複数の方法で調製することができ、そのような方法は当業技術者には周知である。上記で参照したKIRK−OTHMERの章節、Modern Plastics Encyclopedia、およびC.A.Danielsの参考資料は、これら高分子基を調製することができる方法を提供する。
高分子某は、好ましくはポリオレフィン基、ポリウレタン基、ポリスチレン基、ポリアクリレート基、ポリアミド基、ポリエステル基、またはその混合物である。R基の例は前述のものと同一である。pは1〜25、26〜50、51〜75、75〜100、101〜500であることができ、好ましくは1〜100、より好ましくは5〜50である。
また着色顔料に付着した有機基は、これには限定されないがNile Blue A、Toluidine Blue、Tryan Blue、C.I.Acid Blue 40、C.I.Acid Blue 129、C.I.Acid Blue 9、C.I.Acid Blue 185、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 199、C.I.Direct Red 9、C.I.Acid Red 18、C.I.Acid Red 27、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 4、C.I.Acid Yellow 23、およびC.I.Food Black 2などの1または複数の種類の染料であってもよい。染料を含む有機基のほかに、イオン性の基および対イオン基を有する有機基は、対イオン基として働く染料を有することができる。染料を着色顔料に付着させることにより、顔料の色特性を改変する利点を提供することができる。また着色顔料に付着した有機基は、1または複数の種類の光安定剤、例えばヒンダードアミン光安定剤(HALS)または酸化防止剤であってもよい。
加えて本発明は、表面を修飾した着色顔料を調製するための方法に関する。この方法は、少なくとも1種類の処理剤と少なくとも1種類の着色顔料を容器(例えばジャケット付きの容器)の中で組み合せて混合物を形成し、この混合物を高剪断にかけ、反応生成物が形成されてそれが表面を修飾した着色顔料を含有するように、少なくとも高剪断にかけながら、また好ましくは全期間ずっと高剪断にかけながら混合物に少なくとも1種類のジアゾ化剤を導入することを含む。処理剤は、少なくとも1種類のジアゾ化可能な基を含む有機基を有する。好ましい実施形態においてこのジアゾ化可能な基は、a)少なくとも1種類の芳香族基、少なくとも1種類のC〜C20アルキル基、またはその混合物、およびb)少なくとも1種類のイオン性の基、イオン化可能な基、非イオン性の基、またはその混合物を含む。本開示を通じて言及される有機基は、処理剤の一部であってもよい。
本発明のプロセスに使用される処理剤は、少なくとも1種類のジアゾ化可能な基を含む有機基を備える。本発明の目的に対して「ジアゾ化可能な基」とは、ジアゾ化剤の存在下で反応してジアゾニウム塩を形成することになる窒素含有化合物を意味する。「ジアゾ化剤」とは、ジアゾ化可能な基との反応の間に窒素原子を供与してジアゾニウム塩を形成することになる任意の化合物を意味する。好ましい実施形態においてジアゾ化可能な基は、a)少なくとも1種類の芳香族基、少なくとも1種類のC〜C20アルキル基、またはその混合物、およびb)少なくとも1種類のイオン性の基、イオン化可能な基、非イオン性の基、またはその混合物を含む。
一般にジアゾ化剤は、例えば亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ブチル、亜硝酸ジシクロヘキシルアンモニウム、亜硝酸エチル、亜硝酸イソアミル、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、または亜硝酸亜鉛を含む任意の亜硝酸の金属塩または有機亜硝酸エステルであり、また亜硝酸、窒素酸化物、およびその混合物を含んでもよい。
より詳細には、容器中で少なくとも1種類の処理剤と少なくとも1種類の着色顔料を組み合せて混合物を形成することは、各成分を所望の処理レベル、反応効率、および顔料の表面積によって決まる処置剤と着色顔料の質量比で槽またはその他の容器の中に注入することを含む任意にやり方で達成することができる。例えば処理剤は、約10から約50質量%で用いることができる。
一般に溶液は、所望の処理剤を液状反応媒体中で混合することによって調製される。好ましくは、混合は処理剤を実質上溶解または分配するのに十分な時間行なわれる。好ましい液状反応媒体には、水、水を含有する任意の媒体、アルコールを含有する任意の媒体、およびその混合物がある。水にもとづく反応媒体が最も好ましい。単独または液状反応媒体中に溶解もしくは分配させた処理剤と、着色顔料は別々に加えてもよく、プロセスの一部である高剪断により2つの成分を一緒に混ぜ合わせて混合物を形成することもできる。プロセスの一部として混合物は高剪断にかけられる。好ましい実施形態において、混合は適切な槽の中で高剪断条件下で行なわれ、粉砕または衝撃作用、液体剪断キャビテーション、または粒径を低減させるその他の手段を提供することが可能な設備が利用される。横型媒体粉砕機、アトリターなどのたて型媒体粉砕機、ボールミル、ハンマミル、ピンディスクミル、流体エネルギーミル、ジェットミル、ソニケータなどのさまざまな剪断装置を組み合わせて、または連続して用いることができる。好ましくは、高い剪断は高圧液体インピンジメントリアクター中で行なわれる。その他の例には、高圧ホモジナイザー、ロータステータ、分配装置、衝撃式分散装置(媒体/ボール)などがあるがこれには限定されない。本発明の目的に対して「高剪断」とは、着色顔料の粒径分布を狭くして所望のサイズにし、また着色顔料の新しい表面を連続的に反応溶液に曝し、それによって着色顔料表面に付着する処理剤の分布およびレベルと、全体的な製品収率とを改善するのに十分なエネルギーを意味する。好ましくは高剪断混合のステップには、処理剤およびジアゾ化剤の反応溶液を調製するために用いられるものと同じ槽が用いられる。加えてこの槽は、好ましくは加熱用マントルおよび熱電対などの加熱または除熱のための適切な手段を備える。
表面を修飾した着色顔料を調製するためのプロセスはまた、流体力学的キャビテーションを用いて行なうことができる。本発明の目的に対して、これはまた上記のようにキャビテーションの一種であることになり、また高剪断条件を用いた一形態であることになる。流体力学的キャビテーションにおいては、低圧ゾーンでキャビテーションの気泡が形成され、最終的には周囲の圧力により気泡が崩壊し、その衝撃波によって生ずる圧力インパルスが150,000psi(約103,410MPa)に達する可能性があるような衝撃波を創り出す可能性がある。キャビテーションの気泡の崩壊の結果、周辺の媒体は100,000,000S−1以上の剪断速度に至る可能性のある超高剪断条件にさらされることになる。このような流体力学的キャビテーションが可能な一つの装置は、Five Star Technologies,Cleveland Ohioから入手できるCAVIPRO(商標)Ultra−High Shear Processorである。この装置はさらに、米国特許第5,810,052号、第5,931,771号、第5,937,906号、第5,969,207、第5,971,601号、および第6,012,492号に記載されており、全てがそっくりそのまま参照により本明細書に合体される。本発明の表面を修飾した着色顔料を調製するための処理装置の操作圧力は、好ましくは約5,000psi(約3,447MPa)から約50,000psi(約34,470MPa)、より好ましくは約15,000psi(約10,341MPa)から約30,000psi(約20,682MPa)、さらに好ましくは約20,000psi(約13,788MPa)から約25,000psi(約17,235MPa)である。さらに、反応混合物(例えば顔料)、処理剤、およびジアゾ化剤が通過するオリフィスの径は、好ましくは約0.01 in.(約0.25mm)以下、より好ましくは約0.007in.(約0.18mm)以下、さらに好ましくは約0.005 in.(約0.13mm)以下である。反応混合物を1または複数回、好ましくは少なくとも3回以上オリフィスを通過させる。表面を修飾した着色顔料の形成に用いられる個々の成分は適切な槽の中に別々に導入してもよく、あるいはまず予混合し、次いで高剪断条件を与える適切な槽に導入または循環させてもよい。反応混合物は連続的に再循環するに任せてもよい。連続的な再循環は、例えば200nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下のオーダーなど所望の平均体積径を達成するために用いることができる。
このプロセスの操作温度および圧力は、加工される液体がこのプロセスの間ずっと液体のままでいる限り任意の温度または圧力であることができる。例えば温度は水性の環境の場合、約0〜約90℃であることができる。
反応時間は使用される処理剤に左右されるが、一般には約30分またはそれ以下乃至約5時間またはそれ以上であることができる。このプロセスの反応物の滞留時間は任意の時間であってよく、一般には所望する粒径および/または反応速度に左右される。一般に滞留時間は、約30分乃至約7日またはそれ以上、好ましくは約30分乃至約24時間、最も好ましくは約30分乃至約5時間である。一般に高剪断混合は、30分乃至48時間の間の期間、約0℃から90℃の範囲の温度で行なわれることになる。このような範囲が改良された分散性、安定性、および色強度を有する表面を修飾した着色顔料を生成させることが分かったため、好ましくは高剪断混合は1時間乃至24時間の間の期間、約50℃から75℃の範囲の温度で行なわれる。
このプロセスにおいては、反応生成物が形成され、それが表面を修飾した着色顔料を含有するように、少なくともしばらく高剪断にかけながら、好ましくは全期間ずっと高剪断にかけながら少なくとも1種類のジアゾ化剤を混合物に導入する。この方法でジアゾ化剤を加えることにより、着色顔料の粒径が低下する(すなわち着色顔料の表面積が剪断操作中に増加する)に従って生ずる着色顔料の新しい表面への有機基の付着を可能にする連続的なやり方でジアゾニウム塩の形成が可能になる。ジアゾ化剤は、ポンプ送り、ノズルなどの任意の方法で、またはインラインの静止型混合によって導入することができる。
このプロセスにおいて着色顔料の剪断は、ジアゾ化剤導入の前、間、および/または後に開始することができる。事前に着色顔料を剪断することにより、ジアゾ化剤の添加によって有機基の付着が始まる前に着色顔料が破壊し始める可能性がある。さらにこのプロセスに関しては、ジアゾ化剤を加え、次いで剪断を行ない、次いでさらに最初に加えたものと同じでも別のものでもよいジアゾ化剤を加えるようなステップの任意の組合せで行なうことができる。したがって剪断およびジアゾ化剤と処理剤の添加に関するステップの任意の組合せおよび/または順序については本発明の範囲内にある。さらに、さまざまなジアゾニウム塩の組合せを形成して着色顔料の表面に2種類以上の有機基を付着させることもできる。
剪断装置に応じて加工中の固形物の量を変えてもよく、さまざまな量が好ましい。例えば高圧ホモジナイザーを用いる場合、処理される全材料の質量を基準にして固形物30%未満が好ましく、固形物20%未満がより好ましく、固形物10%未満が最も好ましい。ロータステータに関しては、固形物30%未満が好ましく、固形物20%未満がより好ましく、固形物約5%から約15%が最も好ましい。分配装置に関しては、固形物50%未満が好ましく、固形物約5%から約50%がより好ましく、固形物約20%から約40%が最も好ましい。衝撃式分散装置に関しては、固形物50%未満が好ましく、固形物約5%から約50%がより好ましく、固形物約10%から約20%が最も好ましい。
上記の修飾された顔料生成物を調製するためには、ジアゾニウム塩の必要性は顔料との反応を可能にするのに十分に安定であることのみである。したがって反応は、それ以外では不安定で分解されやすいと考えられる幾つかのジアゾニウム塩を用いて行なうことができる。若干の分解過程が、顔料とジアゾニウム塩の間の反応と競合してもよく、顔料に付着した基の全体の数を減らしてもかまわない。さらに反応は、多くのジアゾニウム塩が分解を受けやすい高温で行なってもよい。高温はまた、反応媒体中のジアゾニウム塩の溶解性を増し、プロセス中の取扱い易さを改善するので有利である。顔料は、希釈した容易に撹拌される水性スラリーとして、あるいはもっと濃縮した高度に混合された水のスラリーまたは濃厚なペーストとして存在する場合、ジアゾニウム塩と反応することができる。
修飾した顔料生成物を調製するための好ましい方法は、個々の最終用途にとって望ましいサイズに改変するために顔料を小さくすることを含む。もし顔料がすでに適切なサイズならば、勿論サイズを小さくする必要はない。一般に顔料のサイズは、個々の最終用途に便利に使用される顔料サイズと同一のサイズにすることができる。例えば、顔料の平均粒径は約10μm以下、好ましくは約5μm以下である。好ましくは、例えばインクジェット用インクの用途では、平均顔料粒径は好ましくは約1μm未満、より好ましくは約0.5μm未満(例えば好ましい範囲は約0.01μmから約1μm未満までである)、また塗料、トナー、ポリマー、およびゴムの用途については好ましくは約10μm未満である。改変される顔料のサイズ低下が好ましい場合は、T.C.Patton著、「Paint Flow and Pigment Dispersion」,2nd ed.,Wiley,NY(1979)に記述されているようなサイズ低下の任意の方法を用いることができ、その記述はそっくりそのまま参照により本明細書に合体される。
顔料に付着するさまざまな基の処理レベルは任意の量であることができ、好ましくは約0.10から約50μmmol/m、より好ましくは約0.30から約10μmmol/mである。低レベルの処理剤が望ましい場合は、一般にジアゾ化可能な基/有機基を、着色顔料の窒素表面積を基準にして、使用する着色顔料の約0.01から5.0μmmol/mのレベルで導入する(すなわち反応溶液中に存在させる)ことが分かっている。従来レベルの処理剤が望ましい場合は、一般にジアゾ化可能な基/有機基を、着色顔料の窒素表面積を基準にして、使用する着色顔料の約5.0から50.0μmmol/mのレベルで導入する(すなわち反応溶液中に存在させる)ことが分かっている。最後に、反応混合物のpHは個々の処理剤および最も効率的な反応条件に応じて変わる可能性があり、例えばもし妥当ならば中性付近のpHでもよいことを当業技術者ならば理解するはずである。
本発明の利点は、付着した少なくとも1種類の有機基を有する着色顔料が、たとえ同一ではないとしても修飾される以前の出発着色顔料の色を好ましくは実質上有することである。
顔料生成物は、未反応原料、副産物の塩類、およびその他の反応不純物を除去するために濾過、遠心分離、またはこの2つの方法の組合せによるなどの洗浄によって精製される。生成物はまた、例えば蒸発によって単離することができ、あるいは当業技術者には周知の技法を用いて濾過および乾燥によって回収することもできる。本発明の顔料の分散液はさらに、製造プロセスの結果として分散液中に共存している可能性のある不純物およびその他の望ましくない遊離の化学種を除去するために精製または分級してもよい。好ましい実施形態において顔料の分散液は、サイズが約1.0μmを超える、好ましくは約0.5μmを超える粒子を実質上除去するために遠心分離などの分級のステップにかけられる。加えて分散液は、好ましくは未反応の処理剤などの任意の望ましくない遊離の化学種を除去するために精製される。膜またはイオン交換を用いた限外濾過/ダイアフィルトレーションの周知の技法が、分散液を精製し、またかなりの量の遊離イオン性および不要な化学種を除去するために用いることができる。また任意選択で対イオンを交換することが好ましく、それによって表面を修飾した顔料の一部を形成する対イオンが、限外濾過、逆浸透、イオン交換カラムなどの周知のイオン交換技法を用いて別の対イオンと交換または置換される。交換することができる対イオンの具体例には、Na、K、Li、NH 、Ca2+、Mg2+、Cl、NO 、NO 、酢酸、カルボン酸、およびBrがあるがこれには限定されない。このような追加の分級および精製方法は、1999年1月29日出願の米国特許出願第09/240,291号に、より完全に記載されており、その開示は全体が参照により本明細書に合体される。
着色顔料の用途
本発明の着色顔料は従来の顔料と同じ用途で用いてよい。しかし、顔料に好ましく結合された基は、特定の用途向け所定顔料の特性を修正し改善するために用いることが可能である。
本発明による着色顔料は、多くの最終使用用途で用いることが可能である。これらの用途には、例えば、プラスチック組成物、水性インク、非水性インク、水性コーティング、非水性コーティング、ゴム組成物、トナー組成物、紙製品、布地組成物および繊維組成物が挙げられる。以下のパラグラフにおいて、これらの用途を一般的に説明し、それぞれの例を以下で示す。
本発明の着色顔料は、従来の顔料を含有する水性組成物または溶媒系組成物中で用いてよい。インク組成物に関する以下の議論は、例えば、コーティング、紙、インク、トナー、接着剤、ラテックス、布地および繊維を含む他の液体系に同様に当てはまる。
本発明は、水性ビヒクルまたは非水性ビヒクルおよび本発明の着色顔料を含むインクジェット用インク組成物に関する。従来の顔料とは異なり、本発明のインクジェット用インク中で用いる着色顔料は、水性ビヒクルまたは非水性ビヒクルに分散させることが難しくない。本着色顔料は、従来の摩砕プロセスを必ずしも必要とせず、使用可能インクを達成するために必然的に必要とされた追加の分散剤も必要としない。好ましくは、修飾顔料製品は、水または他の溶媒に顔料を容易に分散させるために低剪断の攪拌または混合を必要とするだけである。
ビヒクルおよび安定に分散した着色顔料を含有するインクジェット用インクの形成は、上述した修飾顔料製品を用いると、最少の成分および処理工程で行うことが可能である。こうしたインクは、技術上知られている一切のインクジェットプリンタ中で用いてよい。好ましくは、本発明のインクジェット用インク中で、着色顔料は、インクジェット用インクの20質量%〜25質量%以下の量で存在する。修飾されていない顔料と本発明の着色顔料との混合物を含有するインクジェット用インク配合物を使用することも本発明の範囲内である。インクジェット用インクの特性をさらに改善するために、以下で論じる添加剤などの一般的な添加剤を分散液に添加してよい。
適する添加剤も、一般に組成物の安定性を維持しつつ多くの所望特性を付与するためにインクまたはインクジェット組成物に配合される。インク組成物中の着色顔料のコロイド安定性をさらに強化するために、例えば、界面活性剤または適するポリマーを用いてよい。他の添加剤は技術上知られており、それらの添加剤には、保湿剤、殺虫剤、結合剤、乾燥促進剤および浸透剤などが挙げられる。保湿剤の例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルカンジオール、アミド、エーテル、カルボン酸、エステル、アルコール、オルガノスルフィド、オルガノスルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、2−ピロリドン、エーテル誘導体、アミノアルコールおよびケトンが挙げられる。特定の添加剤の量は様々な要素に応じて異なるが、一般には0%〜40%の間、好ましくは0.1%〜10%の間の範囲の量で存在する。但し、その量はこの範囲外であってよい。
特に、インク中の水の蒸発速度を減少させて目詰りを最少にするために、保湿剤を添加してよい。インクが乾燥し始める場合、保湿剤濃度は増加し、蒸発は一層減少する。保湿剤はまた、粘度、pH、表面張力、光学密度およびプリント品質などの、インクおよびインクから作製されたプリントの他の特性に影響を及ぼしうる。好ましい保湿剤には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、エーテル、カルボン酸、エステル、アルコール、オルガノスルフィド、オルガノスルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ、エーテル誘導体、アミノアルコールおよびケトンが挙げられる。
ベンゾエート塩またはソルベート塩などの殺虫剤は、細菌の増殖を防ぐに当たって重要である。細菌はインクノズルより大きいことが多く、目詰りおよび他の問題を引き起こしうる。結合剤は、紙上に着色剤を保持するために基板に付着する。その例には、ポリエステル、ポリエステル−メラミン、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−メタクリル酸コポリマー、スチレン−メタクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−マレイン酸半エステルコポリマー、ビニルナフタレン−アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン−マレイン酸コポリマー、およびそれらの塩が挙げられる。乾燥促進剤は、一旦インクが紙に入ってしまうとインクの蒸発を促進する。これらには、ラウリル硫酸ナトリウム、N,N−ジエチル−m−トルアミド、シクロヘキシルピロリドンおよびブチルカルビトールが挙げられる。アルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、エステルおよびケトンなどの浸透剤は、インクが紙の表面に浸透することを可能にする。液体インクの乾燥速度を高めるためにも、アルコールを用いてよく、洗剤および石鹸のような界面活性剤は、インクが基板上に広がることを可能にするために表面張力を低下させる。
さらに、修飾顔料製品系インクジェット用インクには、色平衡を修正し光学密度を調節するために多少の染料を配合してよい。こうした染料には、食品染料、FD&C染料、銅フタロシアニン誘導体を含むフタロシアニンテトラスルホン酸の誘導体、テトラナトリウム塩、テトラアンモニウム塩、テトラカリウム塩およびテトラリチウム塩が挙げられる。
ポリマーまたはオリゴマーを修飾顔料製品に基づくインクジェット用インクに添加してよい。こうしたインクから作製された画像は、添加されたポリマーまたはオリゴマーが重合または架橋すると水不溶性であってよい。
さらに、本発明の修飾顔料製品を用いるインクジェット用インクの調製に当たって、より望ましい最終製品を得るために減少方向サイズのフィルターを通したインクの逐次濾過あるいは遠心分離または両方を用いてよい。例えば、必要に応じて、最初に3.0μmのフィルターを用いて濾過し、次に1.0μmのフィルターを川いて濾過する、等々である。さらに、インクジェット用インク中の修飾顔料製品のサイズは、好ましくは約2μm以下である。より好ましくは、修飾顔料製品のサイズは1μm以下である。
有利には、本発明のインクジェット用インクは、広範囲の温度にわたって且つ経時的に優れた安定性をもち、望ましい粘度および表面張力をもち、そして印刷されると良好な光学密度、プリント透明性、耐摩擦性および耐水性をもつ。
本発明の着色顔料を含有するインク組成物は、画像形成用途で用いるために、特にインクジェット用インク中で用いるために適することが見出された。こうしたインクおよびインクジェット組成物は、改善された配合物特性および貯蔵安定性を示す。さらに、こうしたインクおよびインクジェット組成物から作製された画像は、良好な耐水性および色強度を示す。
本発明の着色顔料は、インクの性能に有害な影響を及ぼさずに所望の画像品質、例えば、光学密度をもたらすために有効な量で水性または溶媒系インクあるいはインクジェット組成物中に存在する。着色顔料は、インク組成物の質量に対して代表的には約1%〜約20%、好ましくは約2%〜約10%の範囲の量で存在する。さらに、着色顔料は、液体ビヒクル中の顔料の安定なコロイド懸濁を可能にするとともに所望の印刷用途において用いられた時にインク流路またはインクノズルの目詰りを防ぐために一般に可能な限り小さい。例えば、サーマルインクジェットプリンタ中で用いる表面修飾着色顔料の好ましい平均粒子サイズは、一般には1.0μm未満、好ましくは約0.005μm〜約0.3μmの範囲内である。
本発明のインク組成物は、適する水性媒体または溶媒系媒体中で所望成分を組み合わせるか、あるいは混合するなどの当業者に対して知られている従来の技術を用いて調製してよい。インクおよびインクジェット組成物が水性系である時、かなりの量の水、好ましくは脱イオン水または蒸留水を一般に用いる。例えば、水または類似媒体の量は、インクまたはインクジェット組成物の質量に対して一般には約50%〜約95%、好ましくは約60%〜約80%の範囲の量で存在する。
本発明のインクおよびインクジェット組成物は、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、トリエチルアミンおよびジメチルエタノールアミンなどの適する塩基、あるいは鉱酸である塩酸および硫酸などの適する酸の添加によって所望のpHに緩衝してよい。さらに、インク組成物から作製される画像の耐水性を改善するためにインク組成物に可溶性であるポリマーを添加してよい。「可溶性」とは、一相系を形成するためにポリマーがインクビヒクルに溶解することを意味する。これらのポリマーには、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステル−メラミン、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−メタクリル酸コポリマー、スチレン−メタクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−マレイン酸半エステルコポリマー、ビニルナフタレン−アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン−マレイン酸コポリマー、およびそれらの塩が挙げられる。別のポリマーには、PCT公報WO96/18688号に記載されたような、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルイミダゾールの誘導体、ポリビニルピロリドンおよびそのコポリマー、ビニルイミダゾールのコポリマー、ビニルイミダゾール誘導体のコポリマー、ポリビニルピリジン、ポリビニルピリジンの誘導体、ビニリピリジンのコポリマー、ビニルピリジン誘導体のコポリマー、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられる。この特許は本明細書に引用して十分に援用する。
印刷画像は、本発明のインクまたはインクジェット組成物を適する印刷装置に組み込み、基板上に画像を作製することにより、本発明のインクまたはインクジェット組成物から作製してよい。適するインクジェットプリンタには、例えば、サーマルプリンタ、ピエゾ電気プリンタ、連続プリンタおよびバルブプリンタなどが挙げられる。同様に、普通紙、ボンド紙、被覆紙、トランスペアレンシ材料、布地材料、プラスチック、高分子フィルムおよび無機基板などの適するあらゆる基板を用いることが可能である。
上述したように、本発明の着色顔料は、所望の色および強度を提供するために、多様な水性用途または溶媒系用途、特にインク組成物において有用でありうる。従来の顔料とは異なり、本発明の着色顔料は、分散した液体ビヒクル中に容易に分散する。さらに、本着色顔料は液体ビヒクル中でコロイド的に安定であり、従来の摩砕も分散剤の助けも必要ではない。本着色顔料は、好ましくは、液体ビヒクルへの低剪断の混合または攪拌を必要とするだけである。
本発明の着色顔料は、プラスチック材料中の着色剤として用いることが可能である。本発明の着色顔料は、プラスチック材料に導電性を付与するために用いることも可能である。本発明の着色顔料は、対応する未処理顔料または従来の顔料に対して高まった分散速度または改善された分散品質を与えることが可能である。これらの改善は、プラスチックの製造および最終製品の価値において経済的な利点をもたらす。本発明の着色顔料を用いると、プラスチックの衝撃強さを改善することが可能である。従って、本発明は、プラスチックおよび本発明の着色顔料を含む改善されたプラスチック組成物に関する。
従来の顔料と同様に、本発明の着色顔料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または工学材料、例えば、複合材から製造されたプラスチックに限定されないが、こうしたプラスチックを含む多様なプラスチックと合わせて用いることが可能である。代表的な種類の熱可塑性樹脂には、(1)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、(2)アセタール、(3)アクリル樹脂、(4)セルロース樹脂、(5)塩素化ポリエーテル、(6)ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)および弗素化エチレンプロピレン(FEP)などのフルオロカーボン、(7)ナイロン(ポリアミド)、(8)ポリカーボネート、(9)ポリエチレン(コポリマーを含む)、(10)ポリプロピレン(コポリマーを含む)、(11)ポリスチレン、(12)ビニル(ポリ塩化ビニル)、(13)ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル、(14)ポリフェニレンエーテルアロイ、ならびに上の樹脂とゴム修飾剤とのブレンドおよびアロイが挙げられる。代表的な熱硬化性樹脂には、(1)アルキッド、(2)アリル樹脂(allylics)、(3)アミノ(メラミンおよびウレア)、(4)エポキシ、(5)フェノール樹脂、(6)ポリエステル、(7)シリコーンおよび(8)ウレタンが挙げられる。
一般に、本着色顔料は、他のあらゆる顔料のように、プラスチックプレミックスを形成するために用いられるプラスチックに添加される。これは、例えば、乾燥混合段階または溶融段階において行うことが可能である。本修飾顔料製品は、プラスチックが可溶であるか部分的に可溶である溶媒に添加し、その後(例えば蒸発によって)溶媒を除去することによりプラスチック中に、またはプラスチック上に組み込んでもよい。本発明の着色顔料は、プラスチック組成物中で従来の他の添加剤と組み合わせて用いてよい。本発明によると、プラスチック組成物という用語は、あらゆるプラスチック材料、物品、商品、表面、織物、シートおよびフィルムなどを含むが、それらに限定されない。例えば、プラスチック材料には、自動車部品、住宅用サイジング、水泳プール用のライナー、屋根材料、包装材料、合成繊維、食品、貯蔵容器、光吸収用途(例えば、バーコード)およびあらゆる種類の他の家庭用品または工業用品が挙げられる。
本発明の着色顔料は、水性インク配合物および非水性インク配合物中でも有用である。従って、本発明は、インクビヒクルおよび修飾顔料製品を含むインク組成物を提供する。知られている他のインク添加剤をインク配合物に配合してよい。代表的なインクには、リトグラフ印刷インク、凸版印刷インク、フレキソ印刷インク、グラビア印刷インク、スクリーン印刷インク、相変化インクジェット用インクおよびインクジェット用途が挙げられるが、それらに限定されない。
一般に、インクは、四つの基本成分、すなわち、(1)着色剤、(2)印刷中に担体として機能するビヒクルまたはワニス、(3)印刷適性および乾燥などを改善する添加剤、および(4)他のインク成分の粘度、乾燥および適合性を調節する溶媒から成る。インクの特性、調製および用途の一般的議論については、The Printing Manual,5th Ed.,Leach etal,Eds.(Chapman and Hall,1993)を参照すること。この刊行物は本明細書に引用して援用する。種々のインク組成物も、例えば、米国特許2,833,736号、3,607,813号、4,104,833号、4,770,706号および5,026,755号において開示されている。これらの特許は全体的に本明細書に引用して援用する。
本発明の着色顔料は、プレディスパーションまたは固形物のいずれかとして標準技術を用いてインク配合物に配合することが可能である。本発明の水分散性または溶媒分散性の修飾顔料製品を使用すると、従来の他の顔料で一般に用いられる摩砕工程を縮小または排除することにより、著しい利点およびコスト節減をもたらすことが可能である。
フレキソ印刷インクはインク組成物の群を代表する。フレキソ印刷インクは、一般に、着色剤、結合剤および溶媒を含む。本発明の修飾顔料製品はフレキソ印刷インク着色剤として有用である。
本発明の着色顔料を新聞用インク中で用いることが可能である。例えば、新聞用インク組成物は、インクビヒクル(例えば水)、本発明の着色顔料、樹脂および消泡添加剤または界面活性剤などの任意の従来の添加剤を含んでよい。
本発明の着色顔料は、相変化(ホットメルト)インク中で用いてもよい。相変化インクは、一般に、少なくとも一種の着色剤および少なくとも一種の相変化またはワックス担体(例えば、テトラアミド化合物とモノアミド化合物の混合物、またはアルカノールアミドとポリエチレングリコールの混合物のような脂肪アミド含有材料)を含む。相変化インクは、室温で固相内およびプリンタの高運転温度で液相内にある。インクが加熱される時、インクは溶融して、小滴として噴出できる低粘度流体を形成する。噴出すると、加熱された小滴は基板上に衝突し、室温に冷え、均一厚さの膜を形成する。用いられるプリンタの型に応じて、基板上への小滴の後続の衝突も起きる。本発明の着色顔料を使用すると、従来の顔料に比べて分散安定性および担体適合性の大幅な利点および染料に比べて耐光性の大幅な利点をもたらすことが可能である。
本発明の着色顔料は、リトグラフ印刷またはフレキソ印刷において用いることも可能である。例えば、印刷プロセスにおいて用いられるインクまたはインク溜め溶液は、本発明の着色顔料を含有することが可能である。
本発明の着色顔料は、赤外線または近赤外線レーザー画像形成可能印刷版などのリトグラフ印刷版の製造において用いることも可能である。一般に、800〜1100nmの間の波長を有する放射に版が露光された時に画像形成が起きる。一般に、赤外線または近赤外線レーザー画像形成可能リトグラフ印刷版は、少なくとも次の層、すなわち、粒状金属またはポリエステルの版またはシート様基板およびその上に被覆された放射吸収層を含む。基板用の保護層または被覆版の表面用の保護層も本発明において用いてよい。基板上に被覆された時、保護層は、接着促進下塗りとして機能することも可能である。例えば、層間の密着性および印刷版の耐久性を改善するために、他の層を用いてよい。放射吸収層は、樹脂および結合剤などの従来の他の原料に加えて本発明の着色顔料を含有する。画像形成プロセスにおいて、リトグラフ印刷版は、放射吸収層または該層に隣接した層を除去するか化学的に修飾できるレーザー出力または他の光源(source)に選択的に露光させる。レーザー出力は印刷版上にパターンを形成し、そしてパターンを形成する放射吸収層の部分のみを除去するか修飾する。その後、画像形成された層を除去することが可能であるとともに、何らかが残った場合に同じパターンを形成する溶媒に印刷版をさらすことにより印刷版をさらに現像することが可能である。こうした印刷版に関する種々の従来の成分および技術の詳細は、米国特許5,493,971号、EP0,803,771A1号、EP0,770,494A2号、EP0,770,495A1号、PCT公報WO98/31550号およびそれらに引用された特許および刊行物に記載されている。それらのすべては全体的に本明細書に引用して援用する。
本発明の着色顔料は、塗料または仕上げ塗料などのコーティング組成物中で用いてもよい。従って、本発明の実施形態は、水性ビヒクルまたは非水性ビヒクル、樹脂または結合剤および修飾顔料製品を含むコーティング組成物である。知られている他のコーティング添加剤は、コーティング組成物中に配合してよい。例えば、McGraw−Hill Encyclopedia of Science & Technology,5th Ed.(McGraw−Hill,1982)を参照すること。この刊行物は本明細書に引用して援用する。米国特許5,051,464号、5,319,044号、5,204,404号、5,051,464号、4,692,481号、5,356,973号、5,314,945号、5,266,406号および5,266,361号も参照すること。これらの特許は全体的に本明細書に引用して援用する。
本発明の着色顔料は、プレディスパーションまたは固形物のいずれかとして標準技術を用いてコーティング組成物に配合することが可能である。水分散性または溶媒分散性の修飾顔料製品を使用すると、従来の他の顔料で一般に用いられる摩砕工程を縮小または排除することにより、著しい利点およびコスト節減をもたらす。
本発明の着色顔料を紙組成物中で用いてもよい。従って、本発明は、紙パルプおよび少なくとも一種の修飾顔料製品を含む紙製品に関する。
本発明の着色顔料は、固形物またはプレディスパーションのいずれかとして従来の顔料と同様に標準製紙技術を用いて紙パルプに配合することが可能である。上述した水分散性または溶媒分散性の修飾顔料製品を使用すると、従来の他の顔料を分散させるために一般に用いられる工程を縮小または排除することにより、著しい利点およびコスト節減をもたらすことが可能である。
本発明の紙製品は、サイズ剤、定着補助剤、固定剤、充填剤、脱泡剤および解こう剤などの公知の他の紙添加剤を配合してよい。有利には、上述した水分散性または溶媒分散性の着色顔料は、定着補助剤および酸性サイズ剤またはアルカリ性サイズ剤を用いる時、未処理顔料と比べると低い装填レベルで、より効果的に定着される。
本発明の着色顔料は、従来の顔料と同様に、ゴム組成物のコンパウンディングおよび調製に際して顔料、充填剤および強化剤として用いてもよい。従って、本発明は、少なくとも一種のゴムまたはエラストマーおよび本発明の少なくとも一種の着色顔料を含有するゴム組成物またはエラストマー組成物に関する。
本発明の着色顔料は、天然ゴム組成物と合成ゴム組成物の両方または天然ゴムと合成ゴムの混合物中で有用でありうる。
本着色顔料は、通常の手段、例えば摩砕によって天然ゴムまたは合成ゴムと混合してよい。著しい強化度を付与するために、一般に、約10質量部〜約250質量部の範囲の修飾顔料製品の量をゴムの100質量部ごとに用いることが可能である。
本発明と併せて用いるために適するゴムは、天然ゴムおよび塩素化ゴムなどのその誘導体である。本発明の修飾顔料製品は、19部のスチレンと81部のブタジエンのコポリマー、30部のスチレンと70部のブタジエンのコポリマー、43部のスチレンと57部のブタジエンのコポリマーおよび50部のスチレンと50部のブタジエンのコポリマーなどの約10質量%〜約70質量%のスチレンと約90質量%〜約30質量%のブタジエンのコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびポリクロロプレンなどの共役ジエンのポリマーおよびコポリマー、こうした共役ジエンと、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロニトリル、2−ビニル−ピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、アルキル置換アクリレート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル、アルファメチレンカルボン酸ならびにそのエステルおよびアミド、例えば、アクリル酸およびジアルキルアクリル酸アミドなどの、共役ジエンと共重合可能なエチレン基含有モノマーとのコポリマーなどの合成ゴムと合わせて用いてもよい。エチレンと、プロピレン、ブテン−1およびペンテン−1などの他の高アルファオレフィンとのコポリマーも本明細書において用いるために適する。
従って、本発明のゴム組成物は、少なくとも一種のエラストマー、硬化剤、強化充填剤、カップリング剤、および任意に、種々の加工助剤、エキステンダー油および劣化防止剤を含有することが可能である。上述した例に加えて、エラストマーは、1,3−ブタジエン、スチレン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、エチレンおよびプロピレンなどから製造されたポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマーおよびターポリマー)に限定されないが、それらのポリマーであることが可能である。これらのエラストマーがDSCによって測定して−120℃〜0℃の間のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。こうしたエラストマーの例には、ポリ(ブタジエン)、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)およびポリ(イソプレン)が挙げられる。
本発明の修飾顔料製品は、繊維または布地を着色するために用いてもよい。この用途のために好ましい着色顔料は分散性着色顔料である。従って、本発明は、繊維または布地および修飾顔料製品を含む繊維組成物および布地組成物に関する。用いるために適する繊維は、コットン、ウール、シルク、リネン、ポリエステルおよびナイロンなどの天然繊維および合成繊維を含む。用いるために適する布地は、コットン、ウール、シルク、リネン、ポリエステルおよびナイロンなどの天然繊維および合成繊維を含む。好ましくは、コットン、ウール、シルクおよびリネンを含む天然繊維および天然布地を用いる。
本発明の着色顔料は、例えば直接染料および酸性染料で繊維および布地を着色するために技術上知られている手段によって着色してよい。湿式紡糸、乾式紡糸などの紡糸技術および溶融紡糸技術によって、本修飾顔料を繊維に配合することも可能である。染料による着色の一般的議論については、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.8,pp280〜350「Dyes,Application and Evaluation」(John Wiles and Sons,1979)を参照すること。この刊行物は本明細書に引用して援用する。上述した水分散性または溶媒分散性の修飾顔料製品を使用すると、これらの材料を耐光性着色剤で着色する方法をもたらす。
本発明はまた、トナー樹脂粒子および本発明の修飾顔料粒子を含むトナー組成物に関する。米国特許5,278,018号、5,510,221号、5,275,900号、5,571,654号、5,484,575号およびEPO270−066A1号に記載されたような従来の添加剤を用いることが可能であり、これらの特許は本明細書に引用して援用する。
本発明の純粋に代表的な例であることを意図している以下の実施例によって本発明はいっそう明らかになるであろう。
実施例
インクジェット用インク配合物
以下の実施例において着色顔料を以下の原料と合わせて質量%の量でインクジェットプリンタインクに配合した。有機カラー顔料3%、エチレングリコール7.5%、グリセロール7.5%、イソプロパノール4%、および残量の脱イオン水。生じたインクを十分に攪拌して均一性を確保した。
印刷試験
Canon BJC4400プリンタおよびBCI−21カートリッジを用いて上述したインクジェット用インクから6つの異なる種類の市販紙上に試験プリントをプリントアウトした。
次の特性の一部または全部を決定し、試験プリントからの6種の紙に関する平均として表現した。CIELab色空間、光学密度(OD)、耐光性(LF)、耐水性(WF)および粒子サイズ分布。Hunter Lab Scan II計器(バージニア州レストンのハンターアソーシエーツラボラトリー(Hunter Associates Laboratory,Inc.)製)を用いて三刺激カラー値、L、aおよびbを決定した。Macbeth Densitometer RD915S(ニューヨーク州ニューウィンザーのグレタグマクにもとづく(GretagMacbeth LLC)製)によってODを決定した。Q−UVウェザロメータ(オハイオ州クリーブランドのQ−パネル(Q−Panel)製)内でプリントを3週間にわたって暴露した後、三刺激カラーおよびODの変化によってLFを決定した。プリントの初期カラーと暴露後のプリントのカラーとの間の色差Δabを以下の式によってLから決定した。Δab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
6種の紙上で0.96cmの間隔で一連の0.32cm実線バーを印刷することにより耐水性(WF)試験を行った。プリントサンプルを角度約45度で保持し、その後、およその時間点(印刷後1分、印刷後5分など)で0.25mLの水を噴出させた。水噴出の流れ(runoff)が明確であった場合、プリントはその時点で耐水性であるとみなした。
MICROTRAC Ultrafine Particle Analyzer(ミネソタ州ミネアポリスのハネウェル(Honeywell)製)を用いる動的光散乱法によってインクジェット用インクまたは顔料分散液の平均体積粒子サイズ分布を決定した。
顔料分散液または有機溶媒入り顔料分散液の安定性(粒子サイズ分布の変化)を評価するために実施された試験方式を示すために、二つのコロイド安定性試験を以下に記載した。
促進老化試験
この試験において、10%の2−ピロリドンを含む10%顔料分散液または5%顔料分散液を70℃のオーブンに3週間にわたり入れた。平均粒子サイズの変化を安定性判定の基準として用いた。
凍結融解試験
この試験において、10%の2−ピロリドンを含む10%顔料分散液または5%顔料分散液を最初に−20℃で1日にわたり凍結させ、その後、もう1日にわたって70℃で融解させた。これを1サイクルと定義した。各サイクル後に、平均粒子サイズの変化を安定性判定の基準として用いた。三サイクル後に平均粒子サイズが大幅には変化しなかった場合、分散液を安定とみなした。
良好な濾過性およびアキュサイザー数も本発明における表面修飾有機顔料分散液の品質を特徴付けた。
濾過性試験
顔料装填量5%の100ml顔料分散液を取り、300mmHg真空下で3μmのナイロンアブソリュートフィルター(マサツセッチュ州ノースボローのポールフィルトロン(Poll Filtron)製)に通した。この材料がフィルターを通過する時間を測定した。
アキュサイザー試験
AccuSizer Model 780(カリフォルニア州サンタバーバラのPSS NICOMP製)。設定
収集時間 60秒
チャンネル数 128
容器流体体積 60ml
流量 60ml/分
最大一致 9000
サイクル数 1
サンプル分離
0.3mlの顔料分散液を100mlの脱イオン水中で希釈した。その後、0.2mlの希釈サンプルをアキュサイザー容器に注入した。0.5μmおよび1μmより大きい粒子/mLの全数を記録し、適切な固形物レベルに修正された粒子の濃度/初期分散液mlを反映するように全数を調節した。
元素分析
表面修飾有機顔料中の硫黄、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムの元素分析を周知された方法を用いて商業分析試験所(ニューヨーク州ウッドサイドのシュワルツコフミクロアナリティカルラボ(Schwarzkopf Micro−analytical Lab)から得た。
例1
高圧流体衝突反応器内での表面修飾有機顔料製品の調製
スルファニル酸(102g、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製)およびPR122(500g、オハイオ州シンシナチのサンケミカル(Sun Chemical)製のピグメントレッド122)を9100gのDI水に添加し、上部攪拌機が装備されたジャケット付き槽内で材料が湿るまで混合した。添加したスルファニル酸の量は、スルファニル酸1.2モル/顔料kgの処理レベルに対応している。その後、相互作用チャンバが装備された高圧反応器(マサツセッチュ州ニュートンのミクロフルイディックスインターナショナル(Microfluidics International Corporation)製のMicrofluidizer Model210B)、タイプL30Zにダイアフラムポンプを経由して材料を15000psi(103500kPa)の圧力で送った。反応器から出る材料を原料槽に再循環した。ジャケット温度を制御することにより原料槽内の材料の温度を55〜75℃に維持した。材料が60℃になると直ぐに、20%硝酸ナトリウム溶液(204g、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製)を1時間にわたって均一に添加し、表面修飾反応を開始した。全部の硝酸ナトリウム溶液を添加した後、温度を所望範囲に維持しつつ反応をもう1時間にわたり続けた。完了後、反応混合物を放置して冷却し、水酸化ナトリウムを用いてpHを7に調節し、材料を10%に濃縮し、そして限外濾過(マサツセッチュ州ノースボローのポールフィルトロン(Poll Filtron)製のMicroza Hollow Fiber Membranes SLP1053)を用いて精製した。後続の処理は、大きな粒子の除去のための遠心分離または濾過および結合した表面官能基の対イオンを置換するためのイオン交換を含めてよい。
例2
高剪断ローターステーターミキサー内での表面修飾有機顔料の調製
4リットルのジャケット付きステンレススチール容器が装備されたローターステーター(マサツセッチュ州イーストロングメドーのシルバーソン(Silverson)製のSilverson Model L4RT−A)に、60℃に予熱されていた1500gのDI水を添加した。その後、44.98gのスルファニル酸を容器に添加し、混合物を放置して8000rpmで10分にわたり混合した。その後、150gのDI水に溶解した17.94gの硝酸ナトリウムを反応混合物に添加して、反応化学種を前形成した。全部の硝酸ナトリウムを添加した直後、200gの銅フタロシアニンブルー(オハイオ州シンシナチのサンケミカル(Sun Chemical)製のSunfast15:4ピグメントブルー)をローターステーターに添加した。反応混合物を放置して8500rpmで1時間にわたり混合した後、44.98gの追加のスルファニル酸を添加し、その後、17.94gの硝酸ナトリウム(150gのDI水に溶解されていたもの)を添加した。得られた混合物を放置して65℃において8500rpmで更に3時間にわたり反応させた。処理レベルは、スルファニル酸2.6モル/青顔料kgに相当した。その後、反応混合物を20nmのスクリーンに通し、透過物が無色になるまで限外濾過法を用いて精製した。その後、タイプ−19ローター(ベックマン(Beckman)によって製造されたL−80Ultracentrifuge)を用いて、得られた水分散性青顔料を10,000rpmで30分にわたり遠心分離して、好ましくない一切の大粒子を除去し、表面修飾フタロシアニン青顔料の安定な水性分散液を生じさせて、後続の分析および処理に向けた。
例3
粒子サイズ分布が異なる表面修飾有機顔料およびインクジェット用インク
用いた顔料の種類がPR122であり、処理レベルが1.2モル/kgであったことを除いて、例2の場合と似たやり方で顔料3.1および顔料3.2を調製した。さらに、顔料3.2を更に1.5時間にわたり遠心分離して粒子サイズを小さくした。顔料3.3を例1に記載されたように製造した。これらの顔料を前述したようにインクジェット用インクに向けて配合し、以下の試験データを得た。分かるように、所望の粒子サイズをもつ顔料を得るために本発明を用いることが可能である。高圧流体衝突反応器を用いる時に最高総合収率を達成した。
【表1】
Figure 0004851040
例4
処理剤が異なる表面修飾有機顔料およびインクジェット用インク
この例において、処理レベルが1.2モル/kgであり、異なる三種の処理剤を用いたことを除いて、例2に記載された手順に従って三つのすべての顔料を調製した。三つのすべての分散液は、促進老化試験にわたって良好な安定性を示した。表2から、本発明は、異なる表面特性を達成するために多様な官能基で顔料表面を修飾することが可能であった。
【表2】
Figure 0004851040
Figure 0004851040
:ゼータ電位は、ニューヨーク州のブルックハーベンインストルメント(Brookhaven Instrument Corp.)によるZeta Plus、Zeta Potential Analyzerを用いて決定される。
例5
水性媒体中で処理された着色顔料分散液の物理的特性
表3に示している表面修飾着色顔料を製造するために異なる三つの反応器構成を用いた。固形物10%の水性分散液中の顔料の促進老化試験を表4に示している。平均体積粒子サイズをμmで表現した。
4LのTilt−U−Max Mixer(オハイオ州シンシナチのプロセスオール(Processall)製)内で、350gの着色顔料PB15:4、125gのp−アミノ−安息香酸(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製)、41gの70%硝酸(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製)および700gのDI水を用いて顔料5.1を製造した。材料を混合し、55〜70℃の温度で維持した。硝酸ナトリウム溶液(20%硝酸ナトリウムの溶液314g)を30分にわたって導入した。反応を放置して更に3時間にわたり続ける。その後、生成物を希釈し、pH調節し、不純物除去のために限外濾過し、遠心分離し、濾過して、顔料5.1と呼ぶ顔料分散液を製造した。
顔料の種類がPY74(オハイオ州シンシナチのサンケミカル(Sun Chemical)製のピグメントイエロー74)であり、処理レベルがスルファニル酸1.2モル/kgであったことを除いて、例2に似たやり方で顔料5.2を製造した。
顔料の処理レベルをスルファニル酸1.8モル/kgに上げたことを除いて、例1に記載されたように顔料5.3を製造した。
【表3】
Figure 0004851040
Figure 0004851040
【表4】
Figure 0004851040
Figure 0004851040
例6
処理レベルが異なる表面修飾有機顔料およびインクジェット用インク
この例において、異なる三つの処理レベルを用いたことを除いて、例3に記載された手順に従って三つのすべての顔料を調製した。三つのすべての分散液は、促進老化試験にわたって良〜並の安定性を示した。用いられる処理剤の量を変えることにより、本発明が着色顔料の表面に結合された官能基の数を制御できたことをデータは明確に実証した。また、表5から分かるように、処理レベルが減少するにつれて、収率とナトリウムレベルの両方が減少した。
【表5】
Figure 0004851040
Figure 0004851040
例7
対イオンが異なる表面修飾有機顔料およびインクジェット用インク
この例において、異なる三種の有機カラー顔料(PB15:4、PR122およびPY74)を例2に記載された手順に従って表面修飾した。カリウムまたはアンモニア活性化イオン交換樹脂(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製のDowex)が充填されたカラムを顔料分散液が通過するにつれて、分散液中のナトリウムイオンが交換された。表6は、イオン交換プロセスがすべてのナトリウムイオンをカリウムイオンに効果的に交換したことを実証している。三つのすべての種類の顔料を同じ処理レベルで処理したので、硫黄価は、結合レベルが顔料により異なることを示唆した。この結合効率の差は、本質的に異なる顔料分子構造および処理のために届きえた利用可能表面積による。表7は、ある種のイオンを他種のイオンと交換して特定の特性、例えば耐水性および光学密度を強化するためにイオン交換プロセスを使用できることを示している。
【表6】
Figure 0004851040
【表7】
Figure 0004851040
例8
二種の処理剤による表面修飾カラー顔料
0.655gの硝酸ナトリウムを含有する13.0gの濃硫酸(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製)に2.18gの3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン(BTFMA)(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製)を40℃で30分にわたり添加することによりBTFMAのジアゾニウム塩を調製した。前もって形成されたジアゾニウム混合物を例2において調製された500gの9.4%顔料分散液(PB15:4)に15分にわたり添加した。反応混合物を3時間にわたり60℃で維持した。その後、生成物を濾過し、pH調節し、限外濾過し、仕上げ濾過し、乾燥した。その後、乾燥させた顔料をTHFで二日にわたりソックスレー抽出し、その後、%Fを分析した。最終製品の%Fは1.1%であった。表8は、この実施例において製造された水性分散液の物理的特性を示している。
【表8】
Figure 0004851040
例9
染料分子により修飾された有機顔料およびインクジェット用インク
例2に記載された手順に従って、修飾ピグメントブルー15:4に対して、この例において、ダイレクトブルー71(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製のブルー染料)を用いた。その後、分散液をインクジェット用インクに配合し、印刷特性を得た。染料分子を結合すると顔料の色空間を変えうることが表9から明らかであった。顔料を染料と混合することにより似た結果を明らかに達成できた。しかし、本発明は、改善された特性、例えば、エンドユーザーへの配合融通性を提供することができる。
【表9】
Figure 0004851040
例10
純度レベルが異なる表面修飾顔料から調製されたインクジェット用インク
この実施例において、表面修飾有機顔料を例2の手順に従って調製した。二つのサンプルを限外濾過工程中に取得し、一方は10回分の濾過体積後であり、他方は20回分の濾過体積後であった。純度レベルは、顔料分散液の印刷特性に影響を及ぼした。例えば、OD、WFおよび色は、不純物を除去するとすべて改善された。
【表10】
Figure 0004851040
実施例11
有機溶媒と表面修飾着色顔料との適合性
5%の顔料、10%の2−ピロリドンおよび85%のDI水を含有する溶液を調製するために、例5に記載された顔料を用いた。その後、これらのサンプルを表11に示したように2週間にわたり70℃の高温に供した。さらに、これらのサンプルを表12に示したように凍結/融解サイクルにも供した。着色顔料の粒子サイズは、これらの試験後に実質的に不変であった(粒子サイズをμmで表現した)。
【表11】
Figure 0004851040
Figure 0004851040
Figure 0004851040
【表12】
Figure 0004851040
Figure 0004851040
例12
表面修飾有機顔料分散液および二種の表面修飾顔料の混合物によるインクジェット用インク
顔料12.1を顔料5.1に似た態様で調製した。顔料12.2を例1に記載された手順に従って調製した。一般的インクを顔料12.1および12.2から製造した。インクのプリント特性を表13にまとめた。顔料12.3は、顔料12.1と顔料12.2のインクの1:1混合物であった。混合顔料(12.3)の色空間は、個々の顔料(顔料12.1および顔料12.2)の色特性組み合わせであった。
【表13】
Figure 0004851040
例13
イオン交換プロセスは可溶性二価イオンを効果的に除去することができる。
顔料分散液中の二価イオン、例えば、カルシウム、鉄、マグネシウムの存在は、幾つかの用途で好ましくない。こうしたイオンの一部は、顔料に付随していたものであり、イオンの幾つかは本発明によって持ち込まれた可能性がある。本発明が顔料を水に分散可能にしたので、すべてのイオンの可溶性部分を(一部は結晶構造に埋め込まれている可能性がある)イオン交換プロセスによって効果的に除去することが可能である。この例において、例2の手順に従って調製された表面修飾顔料を例7に従ってイオン交換した。イオン交換前後のイオンの百分率を表14に示した。以下の表は、上述した論点を明確に説明している。
【表14】
Figure 0004851040
例14
表面修飾有機顔料のLF特性
有機顔料のより重要な特性の一つは耐光性である。この例は、本発明が当該特性を変えなかったことを示している。この例において、顔料14.1(PB15:4)を例2の方法に従って調製し、顔料14.2(PR122)を例1で調製した。その後、これらの分散液をインクジェット用インクに配合した。その後、これらのインクからのプリントを3週間にわたりUV光に露光させた。露光前後のプリント間の色差を比較し、表15に示した。分かるように、有機顔料の耐光性は変化しなかった。
【表15】
Figure 0004851040
例15
顔料分散製品中に染料様分子はない
十分に可溶な基、例えばベンゼンスルホン酸基が表面顔料分子に結合する時、染料様分子として媒体に溶解する可溶物質に該分子を転化することが可能である。媒体可溶小分子も凝集物も、限外濾過中にも透析中にも観察されなかった。分子量50,000カットオフ膜(オハイオ州ウィラードのVWR製のSpectra/Por)を用いて例5の表面修飾顔料を透析した時、着色された物質は漏れ出さなかった。分散液の色特性が表面修飾顔料粒子から生じるのみであり、製品中に染料様分子が存在しないことが結論付けられた。
例16
他の修飾着色顔料
表16は、PV19(オハイオ州シンシナチのサンケミカル(Sun Chemical)製)、PR254(デラウェア州ニューポートのチバケミカル(Ciba Chemical)製)およびPY151(ロードアイランド州コベントリーのクラリアント(Clariant)製)のスルファニル酸表面修飾着色顔料の水性分散液の物理的特性データを示している。これらの処理を実施例1に記載された処理に似た態様で処理した。すべての顔料分散液は、2週間の促進老化試験にわたって良好な安定性の特性を示した。明らかに、本発明は広く適用でき、そして広範囲の顔料種を包含する。
【表16】
Figure 0004851040
MICROTRAC Ultrafine Particle Analyzer(ミネソタ州ミネアポリスのハネウェル(Honeywell)製)を用いる動的光散乱法によって、以下の実施例の顔料分散液の平均体積粒子サイズ分布を決定した。
例17
制御されたフローキャビテーションデバイス内での表面修飾有機顔料の調整
2時間にわたり上部攪拌機を用いて、200gのキナクドリンレッド顔料(オハイオ州シンシナチのサンケミカル(Sun Chemical)製のPR122Sunfast)を4リットルのDI水および41.52gのスルファニル酸(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製)と前もって混合した。その後、約22000psi(151800kPa)および約250mL/分の流速で運転するCaviPro Ultra High Shear Processor(オハイオ州クリーブランドのファイブスターテクノロジーズ(Five Star Technologies)製)を通して混合物を15分にわたり再循環した。その後、15.65gの硝酸ナトリウム(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製)を2分以下にわたって添加した。反応混合物を放置して約90分にわたり再循環を続けさせた。処理レベルはスルファニル酸1.2モル/レッド顔料kgに相当した。その後、20μmmのスクリーンを通して反応混合物を濾過し、そして限外濾過(マサツセッチュ州ノースボローのポールフィルトロン(Poll Filtron)製のMicroza Hollow Fiber Membranes SLP1053)を用いて精製した。得られた水分散性表面修飾マゼンタ顔料の平均体積粒子サイズは106nmであった。
例18
制御されたフローキャビテーションデバイス内での有機顔料分散液の調製
2時間にわたり上部攪拌機を用いて、50gのキナクドリンレッド顔料(オハイオ州シンシナチのサンケミカル(Sun Chemical)製のPR122Sunfast)を1リットルのDI水および50gのドデシルベンゼン硫酸ナトリウム(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製)と前もって混合した。その後、約22000psi(151800kPa)および約250mL/分の流速で運転するCaviPro Ultra High Shear Processor(オハイオ州クリーブランドのファイブスターテクノロジーズ(Five Star Technologies)製)を通して混合物を90分にわたり再循環した。得られたマゼンタ顔料分散液の平均体積粒子サイズは81nmであった。
例19
高剪断ローターステーターミキサー内での表面修飾有機顔料の調製
4リットルのジャケット付きステンレススチール容器が装備されたローターステーター(マサツセッチュ州イーストロングメドーのシルバーソン(Silverson)製のSilverson Model L4RT−A)に、60℃に予熱されていた1500gのDI水を添加した。その後、15.57gのスルファニル酸を容器に添加し、混合物を放置して8000rpmで10分にわたり混合した。その後、50gのDI水に溶解した6.21gの硝酸ナトリウムを反応混合物に添加して、反応化学種を前形成した。全部の硝酸ナトリウムを添加した直後、150gのキナクドリンレッド顔料(オハイオ州シンシナチのサンケミカル(Sun Chemical)製のPR122Sunfast)をローターステーターに添加した。反応混合物を放置して8500rpmで1時間にわたり混合した後、15.57gの追加のスルファニル酸を添加し、その後、6.21gの硝酸ナトリウム(50gのDI水に溶解されていたもの)を添加した。得られた混合物を放置して65℃において8500rpmで更に3時間にわたり反応させた。処理レベルは、スルファニル酸1.2モル/レッド顔料kgに相当した。その後、反応混合物を20μmmのスクリーンに通して濾過し、そして限外濾過(マサツセッチュ州ノースボローのポールフィルトロン(Poll Filtron)製のMicroza Hollow Fiber Membranes SLP1053)を用いて精製した。得られた水分散性表面修飾マゼンタ顔料の平均体積粒子サイズは255nmであった。
例20
高剪断ローターステーターミキサー内での有機顔料分散液の調製
4リットルのジャケット付きステンレススチール容器が装備されたローターステーター(マサツセッチュ州イーストロングメドーのシルバーソン(Silverson)製のSilverson Model L4RT−A)に、60℃に予熱されていた1000gのDI水を添加した。その後、50gのキナクドリンレッド顔料(オハイオ州シンシナチのサンケミカル(Sun Chemical)製のPR122Sunfast)をローターステーターに添加し、続いて、50gのドデシルベンゼン硫酸ナトリウム(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)製)を添加した。混合物を放置して8500rpmで90分にわたり混合した。得られたマゼンタ顔料分散液の平均体積粒子サイズは252nmであった。
本発明の好ましい実施形態の前述した記載は例示と説明の目的で提示された。包括的であることも開示した厳密な形態に本発明を限定することも意図されない。修正および変形は上述した教示を考慮に入れると可能であるか、あるいは本発明の実施から習得され得る。種々の実施形態で、そして考慮された特定の用途に適合するような種々の修正によって、当業者が本発明を利用することを可能にする本発明の原理および本発明の実用的用途を説明するために、実施形態は選択され記載された。本発明の範囲は本明細書の請求の範囲およびその均等物によって規定されるべきことが意図されている。

Claims (8)

  1. 少なくとも一種の処理剤と着色顔料の少なくとも一種を混ぜて混合物を形成する工程と、前記混合物を、流体力学的キャビテーションによる高剪断に供する工程と、反応生成物が生成するとともに前記反応生成物が表面修飾着色顔料を含有するように、前記高剪断が起きている間の時間の少なくとも一部にわたって前記混合物に少なくとも一種のジアゾ化剤を導入する工程とを含む表面修飾着色顔料を製造する方法。
  2. 前記高剪断は5,000psi〜50,000psi(34500kPa〜345000kPa)の運転圧力下での流体力学的キャビテーションによって起きる請求項に記載の方法。
  3. 前記流体力学的キャビテーションは、前記混合物を直径0.01インチ(0.25mm)以下のオリフィスに通すことにより起きる請求項に記載の方法。
  4. 前記混合物を前記流体力学的キャビテーションに一回以上供する請求項に記載の方法。
  5. 反応生成物が生成するとともに前記反応生成物が表面修飾着色顔料を含有するように、少なくとも一種の処理剤、着色顔料の少なくとも一種および少なくとも一種のジアゾ化剤をいかなる順序においても、流体力学的キャビテーションによる高剪断に供することを含む表面修飾着色顔料を製造する方法。
  6. 前記高剪断は5,000psi〜50,000psi(34500kPa〜345000kPa)の運転圧力下での流体力学的キャビテーションによって起きる請求項に記載の方法。
  7. 前記流体力学的キャビテーションは、前記混合物を直径0.01インチ(0.25mm)以下のオリフィスに通すことにより起きる請求項に記載の方法。
  8. 前記混合物を前記流体力学的キャビテーションに一回以上供する請求項に記載の方法。
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