JP4850762B2 - 成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマを用いて原料ガスを分解して基板上に薄膜を形成するプラズマCVDに関する技術に関し、特に太陽電池等に用いるアモルファスシリコン薄膜を大型基板上に成膜可能な技術に関する。
従来より、半導体・薄型ディスプレイ・太陽電池製造デバイスの製造工程の薄膜形成おいては、プラズマCVD法によって、アモルファスシリコン、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜などのシリコン化合物を成膜するようにしている。
この場合、プラズマの生成方法としては、平行平板容量結合方式やコイル通電による誘導結合方式などがある。
行平板容量結合方式では、13.56MHzなどの高周波電磁波によって、原料ガスのプラズマを生成して分解し、基板上に膜を堆積させる(例えば、特許文献1〜3参照)。
図7は、従来の平行平板容量結合方式のプラズマCVD装置の要部である電極部分を示す概略構成図である。
図7に示すように、行平板容量結合方式では、高周波電源130によって高周波電圧が印加する高電圧印加電極101と、接地電位にする基板配置電極102をほぼ平行に対向させる必要がある。
そして、図示しない成膜室内の放電空間の圧力は、50〜500Pa程度に調整し、放電電極間の距離dは、10〜30mmに調整する。
上記プロセスによって成膜が終わった基板は、新しい基板に入れ替える。このときの基板搬送の一例を説明する。
従来技術においては、下側に位置する基板配置電極102を下降させることによってホイストピン103が突出し、ホイストピン103によって基板110が基板配置電極102より上方に支持される。
この状態で、真空ロボット(図示せず)のエンドエフェクター(図示せず)を基板配置電極102と基板110の間に進入させる。そして、真空ロボットなどによりエンドエフェクターを上昇させ、基板110をエンドエフェクターで持ちあげホイストピン103の上方に配置する。
この状態でエンドエフェクターを引き抜くことにより、成膜室から基板110を取り出す。成膜していない基板を成膜室内に搬入するときはこれとは逆のシーケンスを行う。
この種の行平板容量結合方式の成膜方法においては、上述したように放電電極間の距離が10〜30mmと狭いことから、真空ロボットなどを使用して基板を成膜チャンバーに搬入してこれら電極間に挿入するためには、挿入時に電極間距離を広げる必要がある。
従来、このような動作を行うためには、印加側の電極あるいは接地側の電極に複雑かつ高価なモーターを用いた昇降機構を設ける必要があり、装置の複雑化を招く原因となる。
しかも、基板を配置する電極を昇降させるのには、10数秒の時間が必要であり、量産効率の観点としては無駄な時間が発生している。
例えば、シリコン窒化膜が200nm/分の成膜速度である場合、デバイス膜厚が200nm必要なときの成膜時間は60秒となり、従来技術では1枚の基板を成膜するのに、(1)電極を上昇し所定の成膜用電極間距離にするのに10秒、(2)成膜時間が60秒、(3)電極を下降し搬送用電極間距離にするのに10秒かかる。
このように、従来技術では、成膜の際に、成膜正味時間に対して20秒程度のロスがあり、このロスが成膜にする全時間に占める割合は、成膜速度の速いとき、デバイス膜厚が薄いとき、より顕著になる。
また、基板の大型化により、エンドエフェクターのたわみ量が大きくなっている。このため、エンドエフェクターに保持された基板を高電圧を印加する高電圧印加電極101と、ホイストピン103上端の間に挿入することが困難となる。このために基板配置電極102の昇降手段とは別にホイストピン103の昇降手段を設けることも考えられるが、その場合には装置が複雑化する。
特許第3563092号公報 特開平4−234121号公報 特開平5−16296号公報
本発明は上記従来技術の課題を考慮してなされたもので、その目的とするところは、特に大型基板に対し、簡素な構成で、かつ、効率良く成膜を行うことが可能なプラズマCVD技術を提供することにある。
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、真空中で原料ガス雰囲気下においてほぼ平行に対向離間配置された一対の放電電極間に交流電圧を印加し、当該一対の放電電極のうち基板配置電極側に配置した基板上に当該原料ガスの薄膜をプラズマCVD法によって成膜する薄膜の成膜方法であって、前記一対の放電電極間の間隔を100mm以上に保持して静止させた状態で、前記基板を前記基板配置電極上に配置し、前記原料ガスを前記基板配置電極と当該基板配置電極に対向する対向電極間において当該基板配置電極上の基板に向って導き、当該基板配置電極に対して100kHz以上1MHz以下の低周波交流電圧を印加し、当該一対の放電電極間に生成されるグロー放電によって当該基板上に薄膜を成膜する工程を有するものである。
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、前記基板上への成膜が終了した後、前記一対の放電電極を静止させた状態で、前記基板を前記基板配置電極上から離脱させて当該真空処理槽から搬出する工程を有するものである。
従来技術では、放電電極間への印加電圧は13.56MHzなどの高周波であり、放電電極間距離が20mm程度と間隔が狭く、両電極近傍の薄いシースを除き、電極間のほぼ全域でグロー放電が生成される。このためグロー放電で分解されたラジカル種は基板表面と対向電極表面にほぼ50%づつ堆積する。
一方、本発明のように、放電電極間の距離を広く(100mm以上)し、放電電極のうち基板配置電極への印加電圧を100kHz以上1MHz以下にした場合、基板配置電極近傍にプラズマ放電が張り付く(偏在する)現象が見られる。その結果、本発明によれば、基板近傍のみにガス分解源であるプラズマが生成できるため、極めて効率的に基板表面に堆積を行うことができる。
このように基板配置電極近傍にプラズマが張り付くのは、印加電圧の周波数が従来技術に比べて大幅に低いため放電電極間の距離が従来方式に比べ広くすることができること、また質量の大きいイオンも低周波数に追従して振動することが主な理由と考えている。
さらに、印加電圧の周波数が従来の13.56MHzよりも1/10以上低くなっていることから、定在波による電極面内電圧分布によるプラズマ不均一性の問題も皆無であり、放電電極間距離を広くすることができる。その結果、放電電極の物理的な歪みや僥みに対する許容値も従来技術と比較して大きくなり、最先端技術として3m×3mサイズ以上の基板を用いるデバイス製造にも容易に対応が可能となる。
本発明において、放電電極間の間隔を100mm以上に設定するようにしているのは、以下に述べる理由によるものである。
すなわち、従来技術では、上述したように、成膜の際に、成膜正味時間に対して20秒程度のロスがあり、このロスが成膜に要する全時間に占める割合は、成膜速度の速いとき、デバイス膜厚が薄いとき、より顕著になる。
しかも、昨今の液晶デバイス製造で使用される基板の寸法として2200mm×2400mm、厚さ0.7mmのガラスからなる大型基板があるが、このような大型基板を成膜室に搬入するためのエンドエフェクターもこれ以上の長さが必要であり、この長さで撓まないように充分な厚みを持たせるために50mm程度の厚さのセラミックからなるものを用いている。
また真空ロボットの搬送部分が伸縮移動する際、エンドエフェクターの先端は必ずしも水平軌跡をとらず、重力による影響によってやや下がりながら延びていく。
さらに、大型ガラス基板をホイストピンで持ち上げた際、ピンの数量にもよるが20mm程度はガラス基板が僥む。これらを総合的に考慮すると、2200mm×2400mm、厚さ0.7mmのガラス基板の搬送時には電極間距離を少なくとも100mmにする必要がある。
以上述べたように本発明では、放電電極間の距離を基板搬送に必要な距離と同じ(100mm以上)にして電極昇降を不要とすることができる。
その結果、電極昇降の駆動機構が不要な簡素な構成になり、これまで昇降に要していた時間も基板成膜に当てることができ、生産量を上げることが可能になる。
例えば、シリコン窒化膜が200nm/分の成膜速度であるとき、デバイス膜厚が200nm必要なときの成膜時間は60秒となり、従来技術では1枚の基板を成膜するのに、(1)電極を上昇し所定の成膜用電極間距離にするのに10秒、(2)成膜時間60秒、(3)電極を下降し搬送用電極間距離にするのに10秒の合計80秒必要としていたものが、本発明では成膜時間の60秒のみで済むようにできる。このケースでは、従来技術に比較して33%の生産性を向上させることができる。
また、放電電極の昇降時間によるロスが成膜に要する全時間に占める割合は、成膜速度の速いとき、デバイス膜厚が薄いとき、より顕著になるので、条件によっては生産量を更に増やすことが可能である。
本発明によれば、大型基板に対し、簡素な構成で、かつ、効率良く成膜を行うことが可能なプラズマCVD技術を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る成膜装置の実施の形態の概略断面構成図である。
図1に示すように、本実施の形態の成膜装置1は、真空排気系20に接続され金属材料(アルミニウム等)から構成される真空処理槽2を有している。ここで、真空処理槽2は、接地電位となるようにその電位が設定されている。
この真空処理槽2は、ゲートバルブ2aを介して例えば搬送室60に接続されている。この搬送室60内には、成膜対象物である基板10を真空処理槽2内に搬出入するための例えば酸化アルミニウム製のエンドエフェクタ61を有する基板出入機構(詳細図示せず)62が設けられている。
真空処理槽2内部の天井部分にはシャワーヘッド3が配置され、このシャワーヘッド3には、後述する真空処理槽2底部に設けられたサセプタ5と対向するようにシャワープレート(放電電極)4が取り付けられている。このシャワープレート4には、多数の微細な放出口4aが設けられている。
なお、本実施の形態の場合、シャワープレート4は真空処理槽2に電気的に接続され接地電位に設定されるため、温水循環方式の他、電気的な加熱手段によって加熱するように構成することもできる。
そして、真空処理槽2は、その外部に設けられたガス供給系11からシャワーヘッド3内部に原料ガス(例えば、SiH4)を供給するように構成されている。
なお、シャワーヘッド3内部には、同図に示すように、リフレクタ板14が設けられている。
また、本実施の形態では、真空処理槽2の外部にフッ素ガス供給系12と外部プラズマ源13が設けられ、フッ素ガス供給系12から供給されたフッ素ガスを外部プラズマ源13で分解し、これによるフッ素ラジカルを、上述のシャワーヘッド3を介して真空処理槽2内の成膜空間に供給するように構成されている。
これは、シリコン系堆積物を昇華除去し、成膜空間の清浄性を保つためのものである。すなわち、この処理はシャワープレート4表面への堆積物が基板10表面に剥がれ落ち、異物となることを防止することを主な目的としており、液晶ディスプレイの量産装置などにおいては、代表的には数枚〜10数枚の基板を成膜処理する毎に行われる。
また、真空処理槽2内部の底部には、基板10を載置保持するサセプタ5が配置されている。
本実施の形態の場合、サセプタ5は、ヒータ7及び後述する基板搬送機構50を内蔵する金属製のサセプタ本体6上に平板状の絶縁板8が密着して設けられている。さらに、この絶縁板8上に平板状の金属製の基板配置電極(放電電極、印加電極)9が密着して設けられている。
本発明の場合、特に限定されることはないが、フッ素による腐食が少ない観点からは、絶縁板8の材料としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)を用いることが好ましい。
この場合、基板10の加熱温度との関係にもよるが、基板10への熱伝導効率等を考慮すると、絶縁板8の厚さは、5〜10mmに設定することが好ましい。すなわち、絶縁板8の厚さが10mmより大きくなると、基板10に対する熱伝導効率が悪くなるおそれがある。他方、絶縁板8の厚さが5mmより薄くなると、静電容量の増大に起因する電力のロスの問題や、取り扱い時における破損の問題が発生するおそれがある。
また、本発明の場合、特に限定されることはないが、良好な熱伝導、低抵抗、高腐食耐性の観点からは、基板配置電極9の材料としては、例えば、アルミニウムを用いることが好ましい。
ここで、基板配置電極9は、交流電源31及びこれに対応する整合器32の組み合わせからなる電源供給部30に接続され、この電源供給部30から基板配置電極9に対して後述する低周波交流電圧を印加するようになっている。
一方、本発明の場合、放電電極のうち電圧を印加する電極に対する電圧の周波数が従来のMHz帯からkHz帯に低下するため、従来技術に比べて放電電極間の距離は大きくすることができる。
この場合、特に限定されることはないが、後述する100kHz以上1MHz以下の低周波交流電圧を印加する条件においては、放電電極であるシャワープレート4と基板配置電極9との表面の間隔Dを、100mm以上200mm以下のほぼ平行間隔に設定することが好ましい。
図2(a)〜(c)は、本実施の形態における基板搬送機構の要部の概略構成図で、図2(a)はシャワープレートより下方部分の平面図、図2(b)(c)は正面図である。なお、図2並びに以下の説明で引用する図3及び図5においては、本実施の形態のサセプタ5の構成のうち基板配置電極9以外の構成部材を省略してある。
図2(a)(b)に示すように、本実施の形態の基板搬送機構50は、真空処理槽2の底面2bに設けられ基板配置電極9を貫通するように複数設けられた直線状のホイストピン51を有している。
この場合、例えば、矩形形状の基板配置電極9の表面上の基板10が載置される領域に多数(本例では、20本程度)のホイストピン51が設けられている。
そして、図2(c)に示すように、各ホイストピン51は、基板10を支持した状態で鉛直方向に上下動するように構成されている。また、図2(b)に示すように、各ホイストピン51の先端部には、基板10を支持するための、例えば水平面を有する円板状の支持部51aが設けられている。
一方、上述した基板出入機構62は、図示しない駆動機構(真空ロボット)によって水平方向及び上下方向に駆動される駆動部63を有している。本実施の形態の場合、駆動部63は、基板配置電極9の幅より若干小さい長さを有し、この駆動部63に複数のエンドエフェクタ61が取り付けられている。
これらエンドエフェクタ61は、基板10の長さより若干長い直線状に延びる剛性部材(例えば酸化アルミニウム)から構成され、各エンドエフェクタ61は、所定の間隔をおいて平行に配設されている。
そして、図2(a)(b)に示すように、各ホイストピン51を上昇させた状態で基板配置電極9とシャワープレート4(基板10)の間にエンドエフェクタ61を挿入させた場合に各エンドエフェクタ61が各ホイストピン51と接触しないように、各エンドエフェクタ61の間隔等及び各ホイストピン51の位置が設定されている。
このような構成を有する本実施の形態の成膜装置1を用いて基板10表面に薄膜を形成するには、真空排気系20を動作させ、真空処理槽2内を真空雰囲気にした後、この真空雰囲気を維持したまま以下に示すようにサセプタ5の基板配置電極9上に基板10を載置保持させる。
図3(a)〜(d)は、本実施の形態における基板配置電極9上への基板10の配置動作を示す部分断面工程図である。
まず、図1に示す搬送室60からゲートバルブ2aを介して、基板10を保持した基板出入機構62のエンドエフェクタ61を真空処理槽2内に搬入する。
この場合、図3(a)に示すように、各ホイストピン51の高さ位置を下げておき、エンドエフェクタ62を基板配置電極9とシャワープレート4との間で、各ホイストピン51の支持部51aの上方を通過させ、エンドエフェクタ62の先端部が最奥側(図中右側端部)のホイストピン51Eを所定距離だけ通り過ぎるように位置決めを行う。
次に、図3(b)に示すように、各ホイストピン51を鉛直上方向に上昇させ、それぞれの支持部51によって基板10を支持し、エンドエフェクタ61から基板10を離脱させエンドエフェクタ61より高い位置に基板10を配置する。
そして、図3(c)に示すように、この状態でエンドエフェクタ61を搬送室60側に移動させて搬送室60に戻すとともに、各ホイストピン51を下降させるように動作させる。
さらに、図3(d)に示すように、各ホイストピン51をその支持部51aが基板配置電極9の表面より若干低い位置となるように下降させる。これにより、基板配置電極9上の所定の位置に基板10が載置される。
その後、ゲートバルブ2aを閉じてガス供給系11からシャワーヘッド3の内部空間に原料ガスを供給し、シャワープレート4の放出ロ4aから放出された原料ガス40を基板10に向って導くようにする。
本発明の場合、特に限定されることはないが、アモルファスシリコン膜を形成する場合、汎用性の観点からは、シリコンを含有する原料ガスとしては、SiH4(モノシラン)ガス、Si26(ジシラン)ガス、これらに水素(H2)ガスを添加したガスを単独又は混合して用いることができる。
この他にも、シリコン窒化膜を形成する場合には、SiH4とNH3(アンモニア)、シリコン酸化膜を形成する場合には、SiH4NO 2 (二酸化窒素)若しくはSiH4とO2(酸素)若しくはTEOS(テトラエトキシシラン)とO2(酸素)を用いてことができる。
また、上述した原料ガスに希釈ガス(例えば、Ar、N2)を添加したガスを用いることもできる。
なお、モノシランガスに対する水素ガスの流量を十分に大きく(10倍以上)すると、微結晶のシリコン薄膜を形成できることが本発明者らによって確認されている。
一方、本発明によって、SiH4とH2から得られるアモルファスシリコン膜は、真性半導体の特性を示す。
このため、例えば、シリコン太陽電池を作成する場合等において、原料ガスにボロン(ホウ素)を添加すれば、p型シリコン半導体層形成することができる。
また、原料ガスにリンを添加すれば、n型シリコン半導体層形成することができる。
本発明の場合、特に限定されることはないが、放電安定性、及び得られる成膜速度向上の観点からは、原料ガス40を導入した状態で、真空処理槽2内の圧力を、10Pa〜500Paに設定することが好ましく、より好ましくは、50Pa〜133Paである。
そして、この雰囲気下で電源供給部30を起動し、真空処理槽2内のシャワープレート4を接地電位に置いた状態で、基板配置電極9に対して電源供給部30から低周波交流電圧を印加する。
本発明では、上述したように、基板配置電極9に対する印加電圧の周波数を100kHz以上1MHz以下にする。
この場合、印加電圧の周波数が100kHzより小さいと、放電電極間においてグロー放電が生成しにくくなる。
他方、印加電圧の周波数が1MHzより大きいと、基板配置電極近傍にプラズマ放電が張り付く(偏在する)現象が起こりにくくなる。
そして、このような電圧の印加により、シャワープレート4の放出ロ4aから放出された原料ガス40は、基板配置電極9をカソードとしシャワープレート4をアノードとする容量結合方式(CCP方式)のグロー放電現象が発生し、これにより真空処理槽2内の基板配置電極9及びシャワープレート4間の空間において原料ガス40が活性化する。
ここで、基板10はサセプタ本体6内のヒータ7によって予め所定温度(200〜450℃)に加熱されており、活性化した原料ガス40が基板10表面に到達すると、加熱によってこの原料ガス40が反応し、基板10表面に反応生成物が堆積する。
この場合、例えば原料ガス40がシリコン含有ガス(例えば、SiH4)と希釈ガス(例えば、H2)とを有する場合には、反応生成物として多量の水素を含有したシリコンが基板10表面に堆積してアモルファスシリコン膜が形成される。
図4(a)(b)は、本発明の放電原理を示す説明図であり、図4(a)は、印加電極に13.56MHzの高周波電圧を印加した場合を示すもの、図4(b)は、印加電極に100kHz以上1MHz以下の低周波電圧を印加した場合を示すものである。
図4(a)に示すように、印加電極である基板配置電極9への印加電圧が高周波(13.56MHz等)の場合は、基板配置電極9と対向電極であるシャワープレート4間のほぼ全領域でグロー放電が生成される。このためグロー放電で分解されたラジカル種70aは基板10の表面とシャワープレート4の表面にそれぞれほぼ同量である50%程度の堆積がなされる。
一方、本実施の形態のように、印加電極である基板配置電極9への印加電圧を低周波(100kHz以上1MHz以下)にした場合には、基板配置電極9近傍にグロー放電によるプラズマが基板配置電極9側に偏在し、これにより、図4(b)に示すように、基板配置電極9近傍にラジカル種70bが張り付く現象が見られる。
このように印加電極である基板配置電極9近傍にプラズマが偏在するのは、印加電圧の周波数が従来技術に比べて大幅に低いため放電電極間の距離が従来方式に比べ広くなること、また質量の大きいイオンも追従可能な低周波数でありイオンも振動すること等がその理由であると考えている。
図5(a)〜(d)は、本実施の形態における基板配置電極9上から基板10の搬出動作を示す部分断面工程図である。
この場合、概略的には、上述した基板配置動作の逆の工程を行う。
まず、図5(a)に示すように、各ホイストピン51を基板配置電極9の上方の所定の高さ位置まで上昇させる。これにより、各ホイストピン51の支持部51a上に基板10が載置されて上昇し、基板10と基板配置電極9との間に隙間が生ずる。
次に、搬送室60からゲートバルブ2aを介して基板出入機構62のエンドエフェクタ61を真空処理槽2内に搬入し、基板10と基板配置電極9との間の隙間にエンドエフェクタ61を挿入する。
そして、図5(c)に示すように、各ホイストピン51を鉛直下方向に下降させ、エンドエフェクタ61より下方の位置まで移動させる。これにより、基板10がエンドエフェクタ61上に載置支持される。
さらに、図5(d)に示すように、この状態でエンドエフェクタ61を搬送室60側に移動させて搬送室60に戻す。そして、上記図3(a)〜(d)において説明した動作を再度行う。以下、このような動作を繰り返す。
このように、本実施の形態のように基板配置電極9に低周波電圧を印加することにより、基板10近傍のみにガス分解源であるプラズマが生成できるため、極めて効率的に基板10表面に堆積を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、基板配置電極9近傍へのプラズマの張り付きにより、成膜材料の堆積が基板10表面に対して積極的に行われることから、原料ガス40噴出に起因する電極部分や真空処理槽2内壁への成膜材料の付着の削減が可能になる。
このため、デバイス量産装置で従来行われていたNF3など温暖化ガスを使用した内部クリーニング作業の時間及び温暖化ガスの消費量が大幅に削減でき、地球環境悪化防止への貢献及び装置の運転費用の削減につながる。
さらに、印加電圧の周波数が従来の13.56MHzよりも1/10以上低くなっていることから、定在波による電極面内電圧分布によるプラズマ不均一性の問題も皆無であり、上述したように、放電電極(基板配置電極9とシャワープレート4)間の距離を100mm以上に広くすることができる。その結果、放電電極の物理的な歪みや僥みに対する許容値も従来技術と比較して大きくなり、最先端技術として3m×3mサイズ以上の基板を用いるデバイス製造にも容易に対応が可能となる。
このように本実施の形態によれば、大型基板に対し、簡素な構成で、かつ、効率良く成膜を行うことが可能なプラズマCVD技術を提供することができる。
図6は、本発明に係る成膜装置の他の実施の形態を示すの概略断面構成図であり、以下、上記実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図6に示すように、本実施の形態の成膜装置1Aは、真空処理槽2の内側壁に絶縁性の遮蔽部80が設けられ、これにより真空処理槽2の内側壁が覆われるようになっている。
この遮蔽部80は、基板配置電極9と真空処理槽2の内側壁との間の放電を確実に防止するためのものである。
このような観点からは、遮蔽部80の構成材料としては、例えば、酸化アルミニウムや石英からなるもの等を好適に用いることができる。
このような構成を有する本実施の形態によれば、上記実施の形態の効果に加えて、放電電極である基板配置電極9と真空処理槽2の内側壁との間の放電を確実に防止することができる。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上述の実施の形態では、シャワープレートを上部側に配置し、基板配置電極を下部側に配置するようにしたが、本発明はこれに限られず、放電電極を傾斜させたり鉛直方向に向けることも可能である。
また、本発明において「基板」とは、平板状のガラス基板のみを示すものではなく、種々の形状・材質の成膜対象物を意味するものである。
さらに、本発明は太陽電池用のアモルファスシリコン膜の形成のみならず、種々の膜をCVDによって形成する場合に適用することができるものである。
本発明に係る成膜装置の実施の形態の概略断面構成図 (a)〜(c):同実施の形態における基板搬送機構の要部の概略構成図で、図2(a)はシャワープレートより下方部分の平面図、図2(b)及び(c)は正面図 (a)〜(d):同実施の形態における基板配置電極上への基板の配置動作を示す部分断面工程図 (a)(b):本発明の放電原理を示す説明図 (a)〜(d):同実施の形態における基板配置電極上から基板の搬出動作を示す部分断面工程図 本発明に係る成膜装置の他の実施の形態の概略断面構成図 従来技術に係る成膜装置の概略断面構成図
符号の説明
1…成膜装置 2…真空処理槽 3…シャワーヘッド 4…シャワープレート(放電電極) 5…サセプタ 6…サセプタ本体 7…ヒータ 8…絶縁板 9…基板配置電極(放電電極) 11…ガス供給系 30…電源供給部 31…交流電源 40…原料ガス 50…基板搬送機構 51…ホイストピ 61…エンドエフェクタ 62…基板出入機構

Claims (2)

  1. 真空中で原料ガス雰囲気下においてほぼ平行に対向離間配置された一対の放電電極間に交流電圧を印加し、当該一対の放電電極のうち基板配置電極側に配置した基板上に当該原料ガスの薄膜をプラズマCVD法によって成膜する薄膜の成膜方法であって、
    前記一対の放電電極間の間隔を100mm以上に保持して静止させた状態で、前記基板を前記基板配置電極上に配置し、前記原料ガスを前記基板配置電極と当該基板配置電極に対向する対向電極間において当該基板配置電極上の基板に向って導き、当該基板配置電極に対して100kHz以上1MHz以下の低周波交流電圧を印加し、当該一対の放電電極間に生成されるグロー放電によって当該基板上に薄膜を成膜する工程を有する薄膜の成膜方法。
  2. 前記基板上への成膜が終了した後、前記一対の放電電極を静止させた状態で、前記基板を前記基板配置電極上から離脱させて当該真空処理槽から搬出する工程を有する請求項記載の薄膜の成膜方法。
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