JP4850208B2 - 段割れ危険性の検知装置、段割れ危険性の検知方法、段割れ危険性の検知プログラムおよび段割れ危険性の検知機能を備えた片面段ボール生産装置 - Google Patents

段割れ危険性の検知装置、段割れ危険性の検知方法、段割れ危険性の検知プログラムおよび段割れ危険性の検知機能を備えた片面段ボール生産装置 Download PDF

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Description

本発明は、中芯を段成形してライナと貼合する際に発生する段割れの危険性を検知する段割れ危険性の検知装置に関し、詳細には、所定時間当たりの中芯の供給長さが限界供給長さに達したと判断されることにより、中芯の段割れの危険性を検知する段割れ危険性の検知装置に関するものである。
一般に、コルゲートマシンのシングルフェーサは、中芯供給装置から供給された中芯を段成形する一対の段ロールと、その段成形された中芯とライナ供給装置から供給されたライナとを貼合する貼合装置と備え、中芯とライナとの貼合により片面段ボールを生産する。中芯は、段成形される際に、一対の段ロールの各段部との摩擦接触により大きな張力を受け、その張力が大きすぎると中芯が部分的に破断する現象、いわゆる段割れが発生する。この段割れが生じた片面段ボールは、強度が低下することから、不良品となる。
従来、中芯の段割れを検知するために、段成形される中芯の張力を検出する装置が色々提案されている。たとえば、特許文献1に開示された張力検出装置では、中芯の張力を検出する張力検出ロールが、中芯を加熱するプレヒータロールと、そのプレヒータロールの下流側に配置された一対の段ロールとの間に設置されている。張力検出ロールに作用する張力は、バネ式の張力計により検出される。この検出された張力が、段割れの発生しない予め設定された限界張力を越えないように、プレヒータロールの回転数が制御されている。
特開2000−127269号公報
中芯が段成形される際に中芯に加わる張力が精度良く検出されるために、張力計は、一対の段ロールに可能な限り近い位置に配置されるのが望ましい。一方、一対の段ロールの近傍は、段成形のために大きな振動が発生するとともに、高温になることから、特許文献1に開示された張力計が段ロールの近傍に配置されるほど、振動の影響を受けて精度良く張力を検出することが困難となり、しかも、張力検出のためのセンサの種類によっては、検出可能な動作温度以上の高温に曝されることから、張力検出精度が低下するおそれがある。
また、中芯が段成形される際に、段ロールの最終の段部により中芯に加えられる張力は、段ロールの段部の形状などの段ロールの種類、中芯の紙質や幅方向のサイズなどの中芯の種類、中芯と段ロールの各段部との動摩擦係数、生産時の環境条件などの種々の要因により大きく変動する。このため、同一の種類の中芯を使用する場合でも、中芯に段割れが発生しない状態で中芯に加えられる最大の張力、すなわち限界張力は、中芯の種類以外の種々の要因により大きく変動することから、限界張力を予め設定することは容易ではない。
そこで、本件出願の発明者は、中芯の張力からでは中芯の段割れの危険性を正確に検知することができないことに鑑み、中芯の張力に代えて、所定時間当たりに中芯が供給される供給長さに着目した。そして、発明者は、所定時間当たりの中芯の供給長さが、段割れの危険性がない正常な状態で中芯が段成形されている場合の所定時間当たりの供給長さに対して一定の割合以上減少すると、中芯に段割れが発生することを発見した。また、発明者は、中芯に段割れが発生するときの前記一定の割合は、段ロールの種類や中芯の種類が異なっても、中芯の張力のように大きく変動するものでないことも発見した。
本発明は、上記の発見を基になされたものであり、段成形のために中芯が供給される供給時間と供給長さとの割合を計測し、その計測された割合が限界の割合に達したと判断することにより、段ロールの種類や中芯の種類により影響されることが少なく、中芯の段割れの危険性を正確に検知することができる段割れ危険性の検知装置を提供することを目的とする。
[第1の発明態様とその具体的態様]
上記の目的を達成するために、請求項1に係る第1の発明態様は、段成形された中芯とライナとを貼合して片面段ボールを生産する片面段ボール生産装置において、前記段成形のために中芯が供給される供給時間と供給長さとの割合を計測する計測部と、前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が供給される供給時間と供給長さとの限界の割合に関する限界情報を記憶する記憶部と、前記計測された割合が、前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界の割合に達したか否かを判断する制御部とを備え、前記計測された割合が、前記限界の割合に達したと前記制御部が判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知する構成である。
第1の発明態様の計測部は、中芯が供給される供給時間と供給長さとの割合を計測するものであれば、いかなる構成でも良い。たとえば、計測部により計測される割合は、所定時間当たりの中芯の供給長さであっても、中芯の所定供給長さ当たりの供給時間であっても良い。
第1の発明態様の制御部は、前記計測された割合が限界の割合に達したか否かを判断するものであれば良く、計測部により計測される割合が所定時間当たりの中芯の供給長さである場合、計測された所定時間当たりの中芯の供給長さが限界の供給長さ以下に減少したときに、限界の割合に達したことになり、限界の供給長さ以下に減少したか否かを判断することになる。また、第1の発明態様の制御部は、計測部により計測される割合が中芯の所定供給長さ当たりの供給時間である場合、計測された供給時間が限界の供給時間以上に増加したときに、限界の割合に達したことになり、限界の供給時間以上に増加したか否かを判断することになる。ここで、「段成形された中芯に段割れの危険性があるとき」とは、段成形された中芯に段割れが実際に発生する状態にまでは達していないが、中芯の供給長さが現状から更に減少すると段割れが発生する限界の状態にあるときを意味する。
第1の発明態様の片面段ボール生産装置は、片面段ボールを生産する機能を少なくとも有する装置であれば良く、この機能により生産された片面段ボールに表ライナを貼合して両面段ボールを生産するコルゲートマシンであっても良い。
請求項2に係る発明は、計測部により計測される割合に関して具体化した具体的態様である。この具体的態様は、前記計測部が、前記段成形のために所定時間当たり供給される中芯の供給長さを計測し、前記記憶部が、前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が所定時間当たり供給される限界供給長さに関する限界情報を記憶し、前記制御部が、前記計測された所定時間当たりの中芯の供給長さが前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界供給長さに達したか否かを判断し、前記計測された所定時間当たりの中芯の供給長さが前記限界供給長さに達したと前記制御部が判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知する構成である。
具体的態様の計測部は、所定時間の間に中芯が段成形のために供給される供給長さを計測するものであれば良い。具体的態様の所定時間当たりの中芯の供給長さは、単位時間当たりの中芯の供給長さ、すなわち中芯の供給速度であっても良い。
中芯の段割れは、所定時間当たりの中芯の供給長さNから所定時間当たりの段ロールの外周の回転長さRを差し引いた差分(N−R)の減少量が所定量以上の場合に発生すると考えられることから、具体的態様の所定時間当たりの中芯の供給長さとして、所定時間当たりの中芯の供給長さNから、所定時間当たりの段ロールの外周の回転長さRを差し引いた差分(N−R)を使用しても良い。たとえば、前回計測された所定時間当たりの中芯の供給長さN1から所定時間当たりの段ロールの外周の回転長さR1を差し引いた差分(N1−R1)に対する、今回計測された所定時間当たりの中芯の供給長さN2から所定時間当たりの段ロールの外周の回転長さR1を差し引いた差分(N2−R2)の減少量[(N2−N1)−(R2−R1)]が所定量以上である場合に、段割れが発生すると考えられる。段ロールの外周の回転長さRがほぼ一定であると考えれば、(R2−R1)の値は無視できることから、差分の減少量は(N2−N1)となる。この結果、段ロールの外周の回転長さRがほぼ一定と考えられる場合には、前回計測された所定時間当たりの中芯の供給長さN1に対する、今回計測された所定時間当たりの中芯の供給長さN2の減少量(N2−N1)が所定量以上である場合に、段割れが発生するとも考えられる。また、一般に、段ロールの回転とライナの供給とは同期しているので、所定時間当たりの段ロールの外周の回転長さRは、所定時間当たりのライナの供給長さLと考えられる。このことから、具体的態様の所定時間当たりの中芯の供給長さとして、所定時間当たりの中芯の供給長さNから、所定時間当たりのライナの供給長さLを差し引いた差分(N−L)を使用しても良い。更に、具体的態様の所定時間当たりの中芯の供給長さとして、単位時間当たりの中芯の供給長さである中芯の供給速度VNから、単位時間当たりのライナの供給長さであるライナの供給速度VLを差し引いた速度差(VN−VL)を使用しても良い。
段ロールの回転速度の変動、すなわちライナの供給速度VLの変動を考慮すれば、ライナが単位長さ供給される間に中芯が供給される長さの減少が所定量以上の場合に中芯の段割れが発生すると考えられるので、具体的態様の所定時間当たりの中芯の供給長さとして、所定時間当たりのライナの供給長さLに対する所定時間当たりの中芯の供給長さNの割合(N/L)、すなわちライナの供給速度VLに対する中芯の供給速度VNの割合(VN/VL)である段繰り率を使用しても良い。
具体的態様の記憶部は、段割れの危険性があるときの中芯の限界供給長さを決定することができる情報であれば、いかなる形式の情報を限界情報として記憶しても良い。段ロールについて設計された段山形状から決定される中芯の理論供給長さに対して、所定時間当たりの中芯の供給長さが一定の割合以上減少したときに、段割れが発生した場合、理論供給長さから一定の割合だけ小さい限界供給長さを限界情報として記憶しても良く、または、供給長さについての前記一定の割合を限界情報として記憶しても良い。また、正常な状態におけるライナの供給速度に対する中芯の供給速度の割合である段繰り率が一定の割合以上減少したときに、段割れが発生した場合、正常な状態での段繰り率から一定の割合だけ小さい限界段繰り率を限界情報として記憶しても良く、または、段繰り率についての前記一定の割合を限界情報として記憶しても良い。
具体的態様の制御部は、所定時間当たりの中芯の供給長さが限界供給長さに達したか否かを判断する機能を少なくとも有すれば足りる。限界供給長さ以下に達したと判断した場合に、その判断結果をユーザに警報する構成を採用する構成でも良く、または判断結果に従って所定時間当たりの中芯の供給長さを増加させて段割れの発生を未然に防止する構成であっても良い。
請求項3に係る発明は、段繰り率から中芯の段割れの危険性を検知する構成に関して具体化した具体的態様である。この具体的態様は、前記計測部が、単位時間当たりの中芯の供給長さを計測する中芯計測部と、単位時間当たりのライナの供給長さを計測するライナ計測部とを有し、前記記憶部が、前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が単位時間当たり供給される限界供給長さの、単位時間当たりのライナの供給長さに対する割合である限界段繰り率に関する情報を前記限界情報として記憶し、前記制御部が、前記計測された単位時間当たりのライナの供給長さに対する前記計測された単位時間当たりの中芯の供給長さの割合である段繰り率を決定する段繰り率決定部と、前記段繰り率決定部により決定された段繰り率が、前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界段繰り率に達したか否かを判断する段繰り率判断部とを有し、前記決定された段繰り率が前記限界段繰り率に達したと前記段繰り率判断部が判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知する構成である。
具体的態様のライナ計測部は、中芯と貼合される前のライナの単位時間当たりの供給長さ、すなわち貼合前のライナの供給速度を計測しても、中芯と貼合された後のライナの単位時間当たりの供給長さ、すなわち片面段ボールの供給速度を計測しても良い。片面段ボールの供給速度としては、段ロールの回転速度を計測しても良い。
具体的態様の中芯計測部およびライナ計測部は、中芯およびライナに接触して供給長さを計測する接触型の構成でも、中芯およびライナに接触しない光学的計測手段などの非接触型の構成であっても良い。
請求項4に係る発明は、中芯に形成される段の形状に応じて複数の限界情報を記憶する構成に関して具体化した具体的態様である。この具体的態様は、前記記憶部が、中芯に形成される段の形状に応じて異なる複数の前記限界情報を記憶し、前記段繰り率判断部が、前記段繰り率決定部により決定された段繰り率が中芯に形成される段の形状に応じて前記記憶部から読み出された前記限界情報に基づいて決められる限界段繰り率に達したか否かを判断する構成である。ここで、中芯に形成される段の形状は、中芯の単位長さ当たりの段の数、段の高さなどであり、一般にはフルートの種類および段ロールの段山の形状によって決められる。
具体的態様において、記憶部からの限界情報の読み出しは、使用者が中芯に形成される段の形状を手動操作により設定する場合には、その設定操作に応じて記憶部から限界情報が読み出される構成でも良く、または、片面段ボールの生産管理計画により中芯に形成される段の形状が予めプログラムされている場合には、その生産管理計画に従って記憶部から自動的に限界情報が読み出される構成であっても良い。
請求項5に係る発明は、中芯計測部の計測位置に関して具体化した具体的態様である。この具体的態様は、前記中芯計測部が、中芯の紙継ぎを行うスプライサから中芯を段成形する一対の段ロールまでの間において、単位時間当たりの中芯の供給長さを計測する構成である。
請求項6に係る発明は、中芯計測部の計測位置に関して更に具体化した具体的態様である。この具体的態様は、前記中芯計測部は、中芯の紙継ぎを行うスプライサから中芯を段成形する一対の段ロールまでの間に配置されたプレヒータロールの配置位置またはその配置位置より上流側において、単位時間当たりの中芯の供給長さを計測する構成である。本具体的態様において、中芯の紙継ぎを行うスプライサから中芯を段成形する一対の段ロールまでの間に配置されたプレヒータロールが、複数存在する場合には、中芯計測部は、一対の段ロールに最も近接して配置されたプレヒータロールの配置位置またはその配置位置より上流側において、単位時間当たりの中芯の供給長さを計測することが好ましい。
請求項7に係る発明は、ライナ計測部の計測位置に関して具体化した具体的態様である。この具体的態様は、前記ライナ計測部が、ライナの紙継ぎを行うスプライサから前記段成形された中芯とライナとを貼合する貼合装置までの間において、単位時間当たりのライナの供給長さを計測する構成である。
請求項8に係る発明は、ライナ計測部の計測位置に関して更に具体化した具体的態様である。この具体的態様は、前記ライナ計測部が、ライナの紙継ぎを行うスプライサから前記段成形された中芯とライナとを貼合する貼合装置までの間に配置されたガイドロールの配置位置またはその配置位置より上流側において、単位時間当たりのライナの供給長さを計測する構成である。本具体的態様において、ライナの紙継ぎを行うスプライサから段成形された中芯とライナとを貼合する貼合装置までの間に配置されたガイドロールが、複数存在する場合には、ライナ計測部は、一対の段ロールに最も近接して配置されたガイドロールの配置位置またはその配置位置より上流側において、単位時間当たりのライナの供給長さを計測することが好ましい。
請求項9に係る発明は、中芯計測部の構成に関して具体化した具体的態様である。この具体的態様は、前記中芯計測部が、中芯を段成形する一対の段ロールへの中芯の入口において、単位時間当たりの中芯の供給長さを計測するための非接触型の計測器を含む構成である。
[第2の発明態様]
上記の目的を達成するために、請求項10に係る第2の発明態様は、段割れ危険性の検知方法であって、段成形された中芯とライナとを貼合して片面段ボールを生産する片面段ボール生産装置において、前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が供給される供給時間と供給長さとの限界の割合に関する限界情報を記憶する記憶ステップと、前記段成形のために中芯が供給される供給時間と供給長さとの割合を計測する計測ステップと、前記計測された割合が、前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界の割合に達したか否かを判断する判断ステップとを備え、前記計測された割合が前記限界の割合に達したと前記判断ステップにおいて判断されることにより、中芯の段割れの危険性を検知する方法である。
[第3の発明態様]
上記の目的を達成するために、請求項11に係る第3の発明態様は、段割れ危険性の検知プログラムであって、段成形された中芯とライナとを貼合して片面段ボールを生産する片面段ボール生産装置に使用されるコンピュータに、前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が供給される供給時間と供給長さとの限界の割合に関する限界情報を記憶する記憶ステップと、前記段成形のために中芯が供給される供給時間と供給長さとの割合を計測する計測ステップと、前記計測された割合が、前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界の割合に達したか否かを判断する判断ステップとを実現させ、前記計測された割合が前記限界の割合に達したと前記判断ステップにおいて判断されることにより、中芯の段割れの危険性を検知するプログラムである。
[第4の発明態様]
上記の目的を達成するために、請求項12に係る第4の発明態様は、段割れ危険性の検知機能を備えた片面段ボール生産装置であって、中芯を供給する中芯供給装置と、前記中芯供給装置から供給された中芯に段成形を行う一対の段ロールと、ライナを供給するライナ供給装置と、前記段成形が行われた中芯と前記ライナ供給装置から供給されたライナとを貼合する貼合装置と、前記中芯供給装置から供給された所定時間当たりの中芯の供給長さを計測する計測部と、前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が所定時間当たり供給される限界供給長さに関する限界情報を記憶する記憶部と、前記計測された所定時間当たりの中芯の供給長さが、前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界供給長さに達したか否かを判断する制御部とを備え、前記計測された所定時間当たりの中芯の供給長さが、前記限界供給長さに達したと前記制御部が判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知する構成である。
第2ないし第4の発明態様は、第1の発明態様および請求項2に係る具体的態様と共通する構成または機能について、第1の発明態様および請求項2に係る具体的態様と同様に、種々の態様で実施される。
[第1ないし第3の発明態様の効果]
第1ないし第3の発明態様は、段成形のために中芯が供給される供給時間と供給長さとの割合を計測し、この計測された割合が限界の割合に達したと判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知する。中芯の供給時間と供給長さとの割合を計測することにより、従来の中芯の張力を計測することに比べ、段ロールの種類や中芯の種類により影響されることは少なく、中芯の段割れの危険性を正確に検知することが可能となる。
[第4の発明態様および請求項2に係る具体的態様の効果]
第4の発明態様および請求項2に係る具体的態様は、所定時間当たりの中芯の供給長さを計測し、この計測された所定時間当たりの中芯の供給長さが限界供給長さに達したと判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知する。従来、中芯の段割れの危険性を検知するために張力が計測されていたが、一般に、張力の計測は、中芯の供給方向と直交する方向の押圧力を中芯に加え、その反発力を計測することにより行われる。しかし、供給経路中の中芯は、段成形により発生する振動の伝達を受けることから、上記反発力が中芯の張力以外に中芯の振動の影響を受けて大きく変動し、中芯の段割れの原因となる真の張力が正確に計測されない。これに対して、本発明態様および具体的態様では、中芯の供給方向と直交する方向の反発力という中芯の振動の影響を受け易い力が計測されるのではなく、中芯が供給方向に移動する長さが計測されれば良いことから、中芯の供給長さの計測が中芯の振動により影響を受けることは、張力の計測に比べ少なくなる。このため、中芯の段割れの危険性が、所定時間当たりの中芯の供給長さを計測することにより正確に検知されることが可能となる。
また、従来のように、段割れの危険性を検知するために張力が計測される場合、段成形時の張力Txは、(μ・θ)を指数とする以下の指数関数の式で表わされることから、動摩擦係数μおよび抱き角θの変化が張力Txを大きく変化させるとともに、中芯や段ロールの種類、中芯と段ロールとの相対速度などに応じて動摩擦係数自体も大きく変動する。たとえば、本件出願の発明者が試験により測定したところでは、同じ種類の中芯であっても、段割れが発生するときの中芯の張力Txについて、最大張力は最小張力の3倍程度となり、その変動の範囲はきわめて大きい。このため、段割れが発生するときの張力に基づいて限界張力を予め設定することは容易でない。これに対して、本発明態様および具体的態様において、段割れの危険性を検知するために所定時間当たりの中芯の供給長さが計測される場合、本件出願の発明者が試験により中芯の供給長さを測定したところ、同じ種類の中芯でも、中芯の伸び率が2〜3%の変動範囲のいずれかに達したとき、すなわち、中芯の供給長さが2〜3%減少したときに中芯の段割れが発生することが判明した。この結果、中芯の段割れが発生する場合に所定時間当たりの中芯の供給長さが減少する量は、上記の中芯の伸び率の変動範囲に応じて変動するのみで、張力の変動と比べ、かなり小さいことが理解される。このため、中芯の限界供給長さは中芯の伸び率の変動範囲に応じて比較的容易に設定されることが可能となる。
Tx=Ta・e(μ・θ)
Ta:段ロールの入口における中芯の張力
μ:中芯と段ロールとの動摩擦係数
θ:中芯と段ロールの各段部との抱き角の和
[具体的態様の効果]
請求項3の具体的態様は、単位時間当たりのライナの供給長さに対する単位時間当たりの中芯の供給長さである段繰り率を決定し、その決定された段繰り率が限界段繰り率に達したと判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知する。中芯の段割れは、ライナの供給速度VLに対する中芯の供給速度VNの速度差(VN−VL)が一定の量以下に減少したときに発生すると考えられることから、ライナの供給速度VLの変動が無視できない場合には、中芯の供給速度VNの減少量ではなく、速度差(VN−VL)の減少量を求める必要がある。この速度差(VN−VL)の減少の程度は、[(VN−VL)/VL]と表すことができ、段繰り率(VN/VL)を使用して[(VN/VL)−1]と表すことができる。本具体的態様では、段繰り率(VN/VL)が使用されることから、ライナの供給速度VLが変動しても、段割れの原因となる中芯の供給速度VNの減少の程度を正確に把握することができる。この結果、中芯の段割れの危険性が正確に検知されることが可能となる。
請求項4の具体的態様は、段成形により中芯に形成される段の形状に応じて限界情報を記憶し、その段の形状に応じた限界情報に基づいて決められる限界段繰り率に達したと判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知する。段の形状は、片面段ボールの所定長さ当たりの段の数、段の高さなどであり、一般にはフルートの種類および段ロールの段山の形状により決定される。段の形状に応じて中芯の供給長さが異なることから、段の形状に応じて限界段繰り率を記憶することにより、段の形状に応じて中芯の段割れの危険性が正確に検知されることが可能になる。
請求項5の具体的態様は、スプライサから段ロールまでの中芯の供給経路の間で、単位時間当たりの中芯の供給長さを計測する。スプライサは、ミルロールスタンドから供給される中芯が残り少なくなった場合に、残り少ない中芯と新たな中芯とを繋ぐ装置である。中芯を繋ぐ際には、ミルロールスタンドからの中芯の供給速度が減速され、その減速がスプライサのダンサーロールの動作により吸収され、中芯を繋ぐ際にもスプライサから供給される中芯の供給速度は所定の速度に維持される。本具体的態様では、中芯の供給速度が比較的安定しているスプライサから段ロールまでの中芯の供給経路において、単位時間当たりの中芯の供給長さ(中芯の供給速度)が計測されることから、中芯の供給速度が正確に計測され、中芯の段割れの危険性が正確に検知されることが可能となる。
請求項6の具体的態様は、スプライサから段ロールまでの間に配置されたプレヒータロールの配置位置またはその配置位置より上流側において、単位時間当たりの中芯の供給長さ(中芯の供給速度)が計測される。段ロールは中芯を段成形する際に振動を発生させ、その振動は段ロールの上流側の中芯供給経路に存在する中芯にも伝達される。中芯の振動の上流側への伝達は、段ロールの上流側に配置されたプレヒータロールの存在により、ある程度低減される。このため、振動が低減されたプレヒータロールの配置位置またはその配置位置より上流側において、中芯の供給速度が正確に計測され、中芯の段割れの危険性が正確に検知されることが可能となる。
請求項7の具体的態様は、スプライサから貼合装置までのライナの供給経路の間で、単位時間当たりのライナの供給長さを計測する。このスプライサは、ミルロールスタンドから供給されるライナが残り少なくなった場合に、残り少ないライナと新たなライナとを繋ぐ装置である。ライナを繋ぐ際には、ミルロールスタンドからのライナの供給速度が減速され、その減速がスプライサのダンサーロールの動作により吸収され、スプライサから供給されるライナの供給速度は所定の速度に維持される。本具体的態様では、ライナの供給速度が比較的安定しているスプライサから貼合装置までのライナの供給経路において、単位時間当たりのライナの供給長さ(ライナの供給速度)が計測されることから、ライナの供給速度が正確に計測され、中芯の段割れの危険性が正確に検知されることが可能となる。
請求項8の具体的態様は、スプライサから貼合装置までの間に配置されたガイドロールの配置位置またはその配置位置より上流側において、単位時間当たりのライナの供給長さ(ライナの供給速度)が計測される。貼合装置に近接して配置された段ロールは中芯を段成形する際に振動を発生させ、その振動は段ロールから貼合装置に伝達され、貼合装置の上流側のライナ供給経路に存在するライナにも伝達される。ライナの振動の上流側への伝達は、貼合装置の上流側に配置されたガイドロールの存在により、ある程度低減される。このため、振動が低減されたガイドロールの配置位置またはその配置位置より上流側において、ライナの供給速度が正確に計測され、中芯の段割れの危険性が正確に検知されることが可能となる。
請求項9の具体的態様は、段ロールの中芯の入口において非接触型の計測器により単位時間当たりの中芯の供給長さを計測する。単位時間当たりの中芯の供給長さを可能な限り正確に計測するためには、段ロールの中芯の入口に近い位置で計測することが望ましい。段ロールの中芯の入口付近は、中芯の振動が大きく、中芯に接触して計測器を配置するスペースも限られることから、接触型の計測器を段ロールの近傍に配置することは困難である。そこで、本具体的態様では、光学的速度計などの非接触型の計測器が使用されることにより、段ロールの中芯の入口において中芯の供給速度が正確に計測され、中芯の段割れの危険性が正確に検知されることが可能となる。
[実施形態]
片面段ボールを生産する片面段ボール装置に本発明を適用した一実施形態について、添付図面を参照して以下に説明する。なお、本実施形態の片面段ボール装置は、片面段ボールを生産する機能のみを有する装置であるが、この片面段ボールに表ライナを貼合して両面段ボールを生産し、この両面段ボールに溝切り加工を施して所定長さに裁断するコルゲートマシンにも本発明を適用することができる。
《全体的構成》
図1は、本実施形態の片面段ボール生産装置1の全体的構成を示す正面図である。図1において、片面段ボール生産装置1は、ライナ用ミルロールスタンド2と、ライナ用スプライサ3と、中芯用ミルロールスタンド4と、中芯用スプライサ5と、シングルフェーサ6と、テイクアップコンベア7とから主に構成される。
ライナ用ミルロールスタンド2は、公知の構成のスイングタイプのミルロールスタンドであり、ライナ20がロール状に巻かれた2つのライナロール21a、21bを左右両側に保持し得るように構成されている。ライナ用スプライサ3は、公知の構成のオートスプライサであり、ライナの紙継ぎのためにライナ用ミルロールスタンド2の上方に配置され、両ライナロール21a、21bの一方のロールからライナ20を供給されている。ライナ用スプライサ3は、一方のライナロールが残り少なくなると、一方のライナロールからのライナに他方のライナロールからのライナを繋ぐためのもので、内部に公知のダンサーロールを有している。ライナを繋ぐ時にライナロールからのライナの供給速度が減速されることから、ダンサーロールは、スプライサ3から送出されるライナの供給速度を一定速度に維持するために動作するものである。ライナ用スプライサ3から送出されたライナ20は、片面段ボール生産装置1の装置本体フレームに支持された送出ガイドロール22を介してシングルフェーサ6に供給される。本実施形態のライナ用ミルロールスタンド2およびライナ用スプライサ3は、本発明のライナ供給装置の一例であり、ライナ用スプライサ3は、本発明のライナの紙継ぎを行うスプライサの一例である。
中芯用ミルロールスタンド4は、ライナ用ミルロールスタンド2と同様な構成であり、中芯40がロール状に巻かれた2つの中芯ロール41a、41bを左右両側に保持し得るように構成されている。中芯用スプライサ5は、ライナ用スプライサ3と同様な構成であり、中芯の紙継ぎのために中芯用ミルロールスタンド4の上方に配置され、両中芯ロール41a、41bの一方のロールから中芯40を供給されている。中芯用スプライサ5は、一方の中芯ロールが残り少なくなると、一方の中芯ロールからの中芯に他方の中芯ロールからの中芯を繋ぐためのもので、内部に公知のダンサーロールを有している。このダンサーロールは、スプライサ5から送出される中芯の供給速度を一定速度に維持するために動作するものである。中芯用スプライサ5から送出された中芯40は、装置本体フレームに支持された送出ガイドロール42a、42bを介してシングルフェーサ6に供給される。本実施形態の中芯用ミルロールスタンド4および中芯用スプライサ5は、本発明の中芯供給装置の一例であり、中芯用スプライサ5は、本発明の中芯の紙継ぎを行うスプライサの一例である。
〈シングルフェーサの構成〉
図2は、シングルフェーサ6を拡大して示す正面図である。図2において、シングルフェーサ6は、ライナ用プレヒータスタンド60と、中芯用プレヒータスタンド61と、シングルフェーサ本体62とから主に構成される。
(ライナ用プレヒータスタンドの構成)
多数のガイドロール63a〜63eが、ライナ20の供給方向DLにおいて、ライナ用プレヒータスタンド60の前段に配置され、装置本体フレームに支持されている。ライナ用プレヒータスタンド60は、第1のプレヒータロール601と、そのロール601の上方に配置された第2のプレヒータロール602とを備えている。両プレヒータロール601、602は、中芯40と貼合される前にライナ20を予熱するものであり、片面段ボール生産装置1を駆動するための主駆動モータM1により駆動される。ガイドロール603が、ライナ用プレヒータスタンド60のフレームに支持され、多数のガイドロール63a〜63eを介して供給されたライナ20を第1のプレヒータロール601に案内するものである。第1のプレヒータロール601により一方の面から予熱されたライナ20は、第2のプレヒータロール602により他方の面から予熱される。ラップロール604が、第2のプレヒータロール602により予熱されるライナ20の長さを調整するために第2のプレヒータロール602の回転軸を中心に揺動可能に支持され、予熱されたライナ20をシングルフェーサ本体62に向けて送出する。
(中芯用プレヒータスタンドの構成)
中芯用プレヒータスタンド61は、第1のプレヒータロール611と、そのロール611の下方に配置された第2のプレヒータロール612とから主に構成されている。第1のプレヒータロール611は、中芯40の供給方向DNにおいて、第2のプレヒータロール612の前段に配置されている。両プレヒータロール611、612は、中芯40を予熱するもので、主駆動モータM1により駆動される。ガイドロール613が、中芯用プレヒータスタンド61のフレームに支持され、第2のプレヒータロール612から送出された中芯40をシングルフェーサ本体62に向けて案内する。
(シングルフェーサ本体の構成)
シングルフェーサ本体62は、中芯用プレヒータロール621と、一対の段ロール622、623と、糊付装置624と、プレスロール625と、ガイドロール626とから主に構成される。
中芯用プレヒータロール621は、段成形前の中芯40を予熱するためのもので、主駆動モータM1により駆動される。ガイドロール627が、シングルフェーサ本体62のフレームに支持され、ガイドロール613から供給された中芯40を中芯用プレヒータロール621に案内する。
一対の段ロール622、623は、外周面に波形段部が形成された上部段ロール622および下部段ロール623からなり、主駆動モータM1により駆動される。一対の段ロール622、623は、中芯用プレヒータロール621から中芯40を供給され、その中芯40を段成形する。本実施形態の一対の段ロール622、623は、本発明の一対の段ロールの一例である。
糊付装置624は、グルーロール624aと、ドクターロール624bとからなり、主駆動モータM1により駆動される。グルーロール624aは、一対の段ロール622、623により段成形された中芯40の段頂部に糊付けを行うものである。ドクターロール624bは、グルーロール624aに塗布された糊の厚さを均一に調整するものである。
プレスロール625は上部段ロール622の左側に配置された、ガイドロール626は上部段ロール622の右側に配置され、両ロール625、626は主駆動モータM1により駆動される。プレスロール625は、ライナ20を上部段ロール622に押し付けるものである。ダンサーロール628およびガイドロール629が、ライナ20の供給方向において、プレスロール625の前段に配置されている。そのダンサーロール628は、ガイドロール629の回転軸を中心に揺動可能に支持されている。プレスロール625は、ラップロール604から送出されたライナ20を、ダンサーロール628およびガイドロール629を介して供給される。プレスロール625は、糊付けされた中芯40にライナ20を押し付けるために、上部段ロール622に向かって付勢されている。ガイドロール626は、貼合された中芯40とライナ20とからなる片面段ボールSDに張力を加えて片面段ボールSDを巻き上げ、装置本体フレームに支持されたガイドロール630を介して、図1に示すテイクアップコンベア7に向けて送出する。なお、テイクアップコンベア7は、片面段ボールSDを次段の生産装置に供給するために主駆動モータM1により駆動される。
本実施形態の糊付装置624、プレスロール625、ガイドロール626および上部段ロール622の組み合わせは、本発明の貼合装置の一例である。本実施形態のシングルフェーサ本体6は、プレスロール625およびガイドロール626を使用する方式であり、いわゆるベルトレス方式であるが、これらのロールに代えて、ベルトを使用するベルト圧着方式を採用することも可能である。
〈速度計測装置の構成〉
本実施形態は、中芯40の段割れの危険性を検知するために、ライナ20の供給速度を計測するためのライナ用速度計測装置LSSと、中芯40の供給速度を計測するための中芯用速度計測装置NSSとを備えている。ライナ用速度計測装置LSSは、ライナ用プレヒータスタンド60のラップロール604と、シングルフェーサ本体62のダンサーロール628との間において、片面段ボール生産装置1の装置本体フレームに支持されている。中芯用速度計測装置NSSは、中芯用プレヒータスタンド61のガイドロール613と、シングルフェーサ本体62のガイドロール627との間において、装置本体フレームに支持されている。
両速度計測装置LSS、NSSは同じ構成であるので、中芯用速度計測装置NSSの構成を例にして、図3を参照して説明する。図3(a)は、中芯用速度計測装置NSSの全体的構成を示す正面図であり、図3(b)は、その全体的構成を示す平面図である。中芯用速度計測装置NSSは、支持枠63Nと、計測ロール64Nと、中芯用ロータリーエンコーダ65Nとから主に構成されている。
支持枠63Nは、一対の支持板63a、63bの間に支持軸63cおよび取付軸63dを挟持して構成されている。支持軸63cは、支持枠63Nの一方の端部に配置され、計測ロール64Nを回転可能に支持するとともに、計測ロール64Nに連結された中芯用ロータリーエンコーダ65Nを回転可能に支持する。取付軸63dは、支持枠63Nの他方の端部に配置され、片面段ボール生産装置1の装置本体フレームに回動可能に支持される。計測ロール64Nが中芯40に接触する接触圧を調整するために、取付軸63dは装置本体フレームに対する回動角度が調整可能となるように装置本体フレームに取り付けられる。
中芯用ロータリーエンコーダ65Nは、計測ロール64Nの回転速度に比例した周波数のパルス信号を発生する公知の構成のものである。ライナ用速度計測装置LSSもまた、図5に示すように、中芯用ロータリーエンコーダ65Nと同一構成のライナ用ロータリーエンコーダ65Lを備え、そのロータリーエンコーダ65Lは、ライナ20と接触する計測ロールの回転速度に比例する周波数のパルス信号を発生する。
〈タッチロール機構の構成〉
本実施形態は、中芯40の段割れを未然に防止するために、タッチロール機構TRMを備えている。図4を参照して、タッチロール機構TRMの構成について説明する。図4は、中芯用プリヒータロール621およびタッチロール機構TRMを拡大して示す説明図である。
タッチロール機構TRMは、タッチロール66と、支持レバー67と、エアーシリンダ68とから主に構成されている。支持レバー67は、シングルフェーサ本体62のフレームに揺動可能に取り付けられ、その自由端においてタッチロール66を回転可能に支持している。エアーシリンダ68は、作動されると作動子68aが下方に突出し、不作動のときは作動子68aが上方に復帰する構成である。作動子68aは、支持レバー67の中間部分に連結されている。
タッチロール66は、エアーシリンダ68が作動されたときに中芯用プレヒータロール621に接触して回転し、エアーシリンダ68が不作動のときに中芯用プレヒータロール621から離間する。タッチロール66が中芯用プレヒータロール621に接触したときに、タッチロール66の慣性により中芯用プレヒータロール621の回転速度が大きく変動することがないように、タッチロール66は慣性の小さいものが望ましい。本実施形態では、タッチロール66は、アルミニウムから形成されている。
《電気的構成》
本実施形態の片面段ボール生産装置1の電気的構成について、添付図面を参照して以下に説明する。図5は、本実施形態の片面段ボール生産装置1の電気的構成を示すブロック図である。図5において、上位管理装置100は、両面段ボールシートを生産するために、本実施形態の片面段ボール生産装置1とともに、両面段ボールに溝切りを行う公知のスリッタスコアラ装置、両面段ボールを裁断して両面段ボールシートを生産する公知のカットオフ装置などの生産装置について、生産管理制御を行う装置である。本実施形態では、上位管理装置100は、予め決められた生産管理計画に従って、主駆動モータM1の回転速度、片面段ボールSDのフルートの種類、片面段ボールSDの生産長さなどに関する制御指令情報を、下位管理装置110に送る。
下位管理装置110は、上位管理装置100から送られる制御指令情報に従って、本実施形態の片面段ボール生産装置1について、生産管理制御を行う装置である。下位管理装置110は、プログラムメモリ120と、作業メモリ130と、限界情報メモリ140とに接続され、これらのメモリとともに、本実施形態の片面段ボール生産装置1を制御するコンピュータを構成している。
〈メモリの構成〉
プログラムメモリ120は、片面段ボール生産装置1の全体を制御する図6に示す主制御ルーチンプログラムおよび所定の設定値などを固定記憶するメモリである。作業メモリ130は、主制御ルーチンプログラムを実行する際に、上位管理装置100から送られる種々の情報および演算処理結果を一時記憶するメモリである。
限界情報メモリ140は、電源遮断時でも記憶内容を保持できる不揮発性の読み書き可能なメモリから構成されている。限界情報メモリ140は、図7に示すように、中芯40に形成される段の種類、いわゆるフルートの種類と、各フルートの種類に対応する基準段繰り率Rsおよび限界段繰り率Rmとを記憶するメモリである。一般に、フルートの種類として、Aフルート、Bフルート、CフルートおよびEフルートの4種類のフルートが使用されることから、本実施形態では、限界情報メモリ140は、この4種類のフルートに対応して、基準段繰り率RsA〜RsEおよび限界段繰り率RmA〜RmEを記憶することができるように構成されている。ここで、段繰り率は、中芯の長さを片面段ボールの長さで除した値と定義されるのが一般的である。片面段ボールの長さは、段成形された中芯と貼合されるライナの長さと同じ長さと考えられることから、本実施形態では、段繰り率は、所定時間当たりの中芯の供給長さを所定時間当たりのライナの供給長さで除した値、または中芯の供給速度VNをライナの供給速度VLで除した値(VN/VL)を意味する。本実施形態の限界情報メモリ140は、本発明の記憶部の一例であり、限界段繰り率RmA〜RmEは、本発明の限界情報の一例であり、限界情報メモリ140に限界段繰り率を記憶することが、本発明の記憶ステップの一例である。
基準段繰り率RsA〜RsEは、フルートの種類ごとに異なり、一例として、「1.58」、「1.38」、「1.45」および「1.27」程度の値である。限界段繰り率RmA〜RmEも、フルートの種類ごとに異なり、中芯の段割れが発生するときの中芯の伸び率に基づいて設定される。段割れが発生するときの中芯の伸び率は、中芯の紙質、段ロールの段部の形状および生産時の温度条件などに応じて変化するものの、ほぼ2〜3%の変動範囲に収まっている。限界段繰り率RmA〜RmEは、基準段繰り率RsA〜RsEから、中芯の伸び率の割合だけ減少した値に設定される。たとえば、Aフルートについて、基準段繰り率RsAは「1.58」であり、段割れが発生したときの中芯の伸び率が3%であれば、限界段繰り率RmAは「1.535」[1.58×(1−0.03)≒1.53より僅かに大きな値]となる。すなわち、中芯の段割れは、中芯の段繰り率が所定の限界値以下に減少したときに発生することから、限界段繰り率は、中芯に段割れの危険性がある状態での段繰り率を意味する。ただ、安全を見込んで、限界段繰り率が、中芯の段割れの危険性がある状態での段繰り率より僅かに大きな段繰り率に設定されても良い。
図9は、縦軸に装置の運転速度をとり、横軸に段繰り率をとって、段繰り率と段割れの発生との関係を示すグラフである。片面段ボール生産装置により、一例としてAフルートの段ボールが生産される場合に、発明者は、装置の運転速度、すなわち片面段ボールがシングルフェーサから送り出される速度(m/分)と、中芯の供給速度(VN)をライナの供給速度(VL)で除した段繰り率(VN/VL)とを変化させて、中芯の段割れの発生状況を検査した。図9は、この検査結果である段割れの発生と不発生との分布を示すグラフである。図9に示すように、Aフルートの場合には、段繰り率が「1.53」より小さくなると、急激に段割れの発生が多くなることが理解される。この結果から、限界段繰り率は、段割れが現実に発生する段繰り率より僅かに大きな段繰り率に設定される。この限界段繰り率の設定により、段割れの危険性のある状態が検知される。すなわち、段割れが現実に発生している状態ではないが、段繰り率が現状よりも更に減少すると段割れが現実に発生することになる状態(段割れの危険性のある状態)が検知される。
中芯の段割れが発生したときの中芯の伸び率が、フルートの種類ごとに、使用される中芯の紙質、段ロールの形状などに応じて、試験を通して予め正確に測定される場合には、限界段繰り率RmA〜RmEは、フルートの種類ごとに正確に測定された伸び率に基づいて設定されることが可能である。また、全ての種類のフルートについて、段割れの危険性があるときの中芯の伸び率が、便宜上から、最小の伸び率である2%と定められて、限界段繰り率が設定されることも可能である。本実施形態では、フルートの種類ごとに、使用者が図示しない操作入力部から段割れの危険性がある中芯の伸び率を入力設定した場合には、限界段繰り率RmA〜RmEが、その入力設定された伸び率と基準段繰り率RsA〜RsEとに基づいて算出される。このように算出された限界段繰り率RmA〜RmEは、生産開始前に、限界情報として、限界情報メモリ140に予め書き込まれて保存される。
限界段繰り率Rmは段割れの危険性があるときの中芯の伸び率に基づいて定められ、この伸び率の変動範囲は、段割れの危険性があるときの中芯の張力の変動範囲と比べると、極めて小さな変動範囲である。このため、変動の少ない中芯の伸び率、換言すれば、中芯が伸びることにより中芯が実際に供給される長さが減少する率に基づいて、限界段繰り率が設定されることが容易となる。
〈供給速度の計測部の構成〉
下位管理装置110は、ライナ用ロータリーエンコーダ65Lと、中芯用ロータリーエンコーダ65Nとにそれぞれ接続されている。下位管理装置110は、両ロータリーエンコーダからのパルス信号を、所定時間の間カウントするライナ計測用内部カウンタ150Lおよび中芯計測用内部カウンタ150Nを備えている。各内部カウンタ150L、150Nは、主制御ルーチンの制御動作と独立してカウント動作を行い、所定時間ごとのカウント動作を繰り返し実行するように構成されている。各内部カウンタ150L、150Nのカウント値が、所定時間当たりのライナの供給長さおよび所定時間当たりの中芯の供給長さを表す。
〈駆動部の構成〉
下位管理装置110は、主駆動モータM1と、エアーシリンダ68とにそれぞれ接続されている。下位管理装置110は、上位管理装置100から送られる主速度制御情報に従って、主駆動モータM1を一定の回転速度で回転させる。これにより、主駆動モータM1に連結された各被駆動部分、たとえば、ライナ用プレヒータスタンド60のプレヒータロール601、602、中芯用プレヒータスタンド61のプレヒータロール611、612、中芯用プレヒータロール621、段ロール622、623などが、同期して駆動される。
中芯40の段割れの危険性がない正常な状態において、タッチロール66が中芯用プレヒータロール621から離間するように、下位管理装置110は、エアーシリンダ68を不作動にする。中芯40の段割れの危険性がある異常な状態において、タッチロール66が中芯用プレヒータロール621に接触するように、下位管理装置110は、エアーシリンダ68を作動する。この作動により、中芯40は、タッチロール66と中芯用プレヒータロール621との間で挟み込まれ、中芯用プレヒータロール621の回転に伴って確実に搬送される。タッチロール66が離間状態にある場合、通常は、中芯40と中芯用プレヒータロール621との間でスベリが生じ、このスベリ現象は中芯用プレヒータロール621の回転速度が速くなる程、顕著に現れる。このため、タッチロール66が中芯用プレヒータロール621に接触することで、中芯40の搬送力が大きくなり、中芯40の供給速度が増速される。
下位管理装置110は、ライナ用プレヒータスタンド60のプレヒータロール601、602および中芯用プレヒータロール621の加熱温度の制御動作も行っているが、この温度制御に係る構成は公知であり、本発明と直接に関係する部分でないことから、その説明を省略する。
《動作および作用》
本実施形態の片面段ボール生産装置1の動作および作用について、図6を参照して以下に説明する。図6は、片面段ボール生産装置1の主制御ルーチンの制御動作を示すフローチャートである。先ず、上位管理装置100を含めて、片面段ボール生産装置1の電源が投入されると、下位管理装置110は、プログラムメモリ120から主制御ルーチンプログラムを読み出し、内部カウンタ150L、150Nなどを初期設定して、図6に示す主制御ルーチンの実行を開始する。なお、図6に示す各ステップの動作は、下位管理装置110により実行される。
主駆動モータM1の主速度制御情報およびフルート種類情報が、上位管理装置100から取得され、作業メモリ130にそれぞれ一時記憶される(S1)。主速度制御情報は、片面段ボールSDの生産管理計画に従って決められた一定の速度を指令する情報である。また、フルート種類情報は、片面段ボールSDのフルートの種類を指示する情報であり、AフルートからEフルートまでのいずれかのフルートを指示する情報である。なお、本主制御ルーチンの実行が開始される前に、または主制御ルーチンの実行開始後であって主駆動モータM1が駆動される前に、一対の段ロール622、623が、生産する片面段ボールSDのフルートの種類に適した形状の段ロールに交換される。この段ロールの交換は、上位管理装置100からのフルート種類情報に従って、自動的に実行されても、または使用者による作業により行われても良い。
主駆動モータM1の回転速度が、作業メモリ130に記憶された主速度制御情報に従って、指令される(S2)。これにより、主駆動モータM1は、主速度制御情報に従って一定の速度で回転し、片面段ボール生産装置1の中で主駆動モータM1に連結された各被駆動部分が駆動される。ライナ用プレヒータスタンド60のプレヒータロール601、602は回転してライナ20をシングルフェーサ本体62に供給する。中芯用プレヒータスタンド61のプレヒータロール611、612は回転して中芯40をシングルフェーサ本体62に供給する。そして、中芯用プレヒータロール621は回転し、プレヒータロール611、612から供給された中芯40を予熱して段ロール622、623に供給する。
主駆動モータM1の駆動により、ライナ20および中芯40が一対の段ロール622、623に向かって供給される。中芯40は、一対の段ロール622、623により段成形された後に、糊付装置624により糊付けされ、ライナ20と貼合される。これにより、片面段ボールSDが生産される。
限界段繰り率Rmに関する限界情報が、作業メモリ130に記憶されたフルート種類情報に従って、限界情報メモリ140から読み出され、作業メモリ130に一時記憶される(S3)。本実施形態において、フルート種類情報がAフルートを指示する情報である場合、Aフルートに対応する限界段繰り率RmAが、限界情報として限界情報メモリ140から読み出されることにより、取得される。
ライナ20がシングルフェーサ本体62に向かって供給されると、ライナ用ロータリーエンコーダ65Lは、ライナ20の供給速度に比例する周波数のパルス信号を下位管理装置110のライナ計測用内部カウンタ150Lに供給する。ライナ計測用内部カウンタ150Lは、所定時間の間、パルス信号の数をカウントする。また、中芯40がシングルフェーサ本体62に向かって供給されると、中芯用ロータリーエンコーダ65Nは、中芯40の供給速度に比例する周波数のパルス信号を下位管理装置110の中芯計測用内部カウンタ150Nに供給する。中芯計測用内部カウンタ150Nは、所定時間の間、パルス信号の数をカウントする。
両内部カウンタ150L、150Nのカウンタ値が読み込まれ、そのカウント値と所定時間とに基づいて単位時間当たりのライナの供給長さであるライナの供給速度VLと、単位時間当たりの中芯の供給長さである中芯の供給速度VNとが計測され、作業メモリ130に一時記憶される(S4)。本実施形態のライナ用ロータリーエンコーダ65Lを含むライナ用速度計測装置LSS、ライナ計測用内部カウンタ150LおよびステップS4が、本発明のライナ計測部の一例である。また、中芯用ロータリーエンコーダ65Nを含む中芯用速度計測装置NSS、中芯計測用内部カクンタ150NおよびステップS4が、本発明の中芯計測部の一例である。更に、両速度計測装置LSS、NSS、両内部カウンタ150L、150NおよびステップS5が、本発明の計測部および計測ステップの一例である。
現在の段繰り率Rxが、作業メモリ130に記憶されたライナの供給速度VLと中芯の供給速度VNとに基づいて算出され、作業メモリ130に記憶される(S5)。現在の段繰り率Rxは、中芯の供給速度VNをライナの供給速度VLにより除することにより算出される。本実施形態のステップS5は、本発明の段繰り率決定部の一例である。
作業メモリ130に記憶された現在の段繰り率Rxが作業メモリ130に記憶された限界段繰り率Rm以下に減少したか否かが、判断される(S6)。現在の段繰り率Rxが限界段繰り率Rmより大きいと判断された場合(S6:NO)、片面段ボール生産装置1について生産管理処理が実行される(S7)。生産管理処理は、ライナの供給速度VLおよび中芯の供給速度VNに基づいてライナの消費量および中芯の消費量を監視し、また片面段ボールSDの生産長さが、生産管理計画に従う所定長さに達したか否かを監視する。これらの監視結果は、下位管理装置110から上位管理装置100に送られる。上位管理装置100は、監視結果に応じて、片面段ボールSDの生産が生産管理計画に従って実行されているか否かを管理し、片面段ボールSDの次の生産のための制御指令を下位管理装置110に供給する。ステップS7の実行が終了すると、生産管理計画に従う生産が終了したか否かが判断される(S8)。生産管理計画に従う生産が終了したと判断された場合(S8:YES)、処理は、ステップS1に戻り、下位管理装置110は、上位管理装置100から、片面段ボールSDの新たな生産管理計画に従う生産のために主速度制御情報およびフルート種類情報などの制御指令情報を取得する。生産管理計画に従う生産が終了していないと判断された場合(S8:NO)、処理は、ステップS4に戻り、ステップS4〜S8が繰り返される。本実施形態のステップS6は、本発明の段繰り率判断部および判断ステップの一例である。また、本実施形態において、ステップS5およびS6を実行する下位管理装置100が、本発明の制御部の一例である。
現在の段繰り率Rxが限界段繰り率Rm以下に減少したと判断された場合(S6:YES)、エアーシリンダ68が作動する(S9)。エアーシリンダ68が作動している間、タッチロール66は、離間位置から中芯用プレヒータロール621と接触する接触位置に移動し、プレヒータロール621との間で中芯40を挟持する。これにより、中芯40は、プレヒータロール621から搬送力を確実に付与されて、供給される。次に、中芯40を繰り出している中芯ロール41aが全て消費されたか否かが判断される(S10)。中芯ロール41aが全て消費されたと判断された場合(S10:YES)、エアーシリンダ68が不作動とされる(S11)。このエアーシリンダ68の不作動により、タッチロール66は接触位置から離間位置へ移動する。ステップS11の実行後、処理はステップ1に戻る。中芯ロール41aが残っていると判断された場合(S10:NO)、ステップS7およびS8と同様に、生産管理処理が行われ(S12)、生産管理計画に従う生産が終了したか否かが判断される(S13)。生産が終了していないと判断された場合(S13:NO)、処理は、ステップS9に戻り、エアーシリンダ68の作動が継続される。生産が終了したと判断された場合(S13:YES)、処理は、ステップS11に進み、エアーシリンダ68を不作動にする。本実施形態では、現在の段繰り率Rxが限界段繰り率Rm以下に減少したと一旦判断されると、生産管理計画の生産が終了しない限り、現在使用されている中芯ロールが全て消費されるまで、タッチロール66はプレヒータロール621と接触し続ける構成である。なお、中芯ロールの残量は、公知の検出手段により検出され、この検出結果に従ってステップS10が実行される。
[変形例]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で当業者であれば種々の変形を加えることができる。
(1)本実施形態では、中芯用速度計測装置NSSは、中芯40と接触して回転する計測ロール64Nと、中芯用ロータリーエンコーダ65Nとを有する接触型の計測装置である。この接触型の計測装置に代えて、非接触型の速度計測装置を使用することもできる。たとえば、図8に示すように、レーザドップラ速度計LDSが、一対の段ロール622、623への中芯40の入口において、すなわち両段ロール622、623と中芯用プレヒータロール621との間において、中芯40の供給速度を計測するために、シングルフェーサ本体62のフレームに支持されている。レーザドップラ速度計LDSは、中芯40に向かってレーザ光を照射し、その反射光の周波数から中芯40の供給速度を計測する。このため、中芯40が段成形時に振動しても、接触型の速度計測装置に比べ、非接触型の速度計測装置は、振動の影響が少なく、また温度の影響も受けないので、両段ロール622、623の近傍で中芯40の供給速度を正確に計測することが可能となる。
(2)本実施形態では、中芯用プレヒータロール621が、中芯40が一対の段ロール622、623に供給されるまでの供給経路において、一対の段ロール622、623に最も近接したロールである。この中芯用プレヒータロール621よりも下流側に別のロールが一対の段ロール622,623に更に近接して配置される場合には、中芯用速度計測装置NSSは、この別のロールの配置位置またはその配置位置より上流側において、所定時間当たりの中芯の供給長さ、すなわち中芯40の供給速度を計測するように配置されても良い。この場合、中芯用速度計測装置NSSは、一対の段ロール622、623に一層近接した位置で中芯の振動の影響を極力受けない状態で中芯40の供給速度を正確に計測することが可能となる。
(3)本実施形態では、図6に示すステップS6において、現在の段繰り率Rxが限界段繰り率Rm以下に減少したと判断された場合(S6:YES)、ステップS9〜S11の実行により、中芯40の実際の供給長さが自動的に増加され、中芯40の段割れが未然に防止される。本実施形態における段割れの自動防止機能に代えて、または段割れの自動防止機能とともに、段割れの危険性が使用者に警報ランプなどで警報される構成を採用しても良い。段割れの自動防止機能に代えて警報する構成が採用される場合には、使用者が警報ランプの点灯を見て所定の操作ボタンを手動操作することにより、エアーシリンダ68が所定時間の間作動し、中芯の実際の供給長さが増加される構成が考えられる。
(4)本実施形態では、図7に示すように、現在の段繰り率Rxと比較される限界段繰り率Rmは、フルートの種類ごとに1つ定められる。たとえば、本実施形態では、Aフルートについて、限界段繰り率RmAは、中芯40の伸び率が3%に達した時に段割れの危険性があると考えて、伸び率3%に基づいて「1.535」と定められている。中芯40の伸び率が3%の場合には、段成形された中芯40の一部に段割れが実際に発生しているおそれがある。中芯40の段割れを確実に防止するためには、3%より小さな伸び率に基づいて、限界段繰り率RmAがより大きな値に定められる必要がある。しかし、限界段繰り率が余りにも大きな値に定められると、中芯の供給長さの増加動作や段割れ警報動作が頻繁に実行され、中芯が過剰に供給されたり、警報に伴って生産ラインがしばしば停止されることから、限界段繰り率が無制限に大きく設定されることは好ましくない。そこで、本実施形態における1つの限界段繰り率Rmに代えて、第1の限界段繰り率Rm1と、その限界段繰り率Rm1より小さい第2の限界段繰り率Rm2とが、フルートの種類ごとに設定され、限界情報メモリに記憶されても良い。この場合、第1の限界段繰り率Rm1は、段割れの危険性がある中芯の伸び率より小さい伸び率、たとえば、Aフルートについて段割れの危険性がある伸び率3%より小さい伸び率2.8%に基づいて定められた限界段繰り率である。第2の限界伸び率Rm2は、中芯の段割れの危険性がある中芯の伸び率、たとえばAフルートについて伸び率3%に基づいて定められた限界段繰り率である。現在の段繰り率Rxが、第1の限界段繰り率Rm1以下に減少したときに、注意警報ランプが点灯され、使用者は生産ラインを停止することなく注意警報ランプが点灯している間に生産された段ボールシートを検査することが考えられる。また、現在の段繰り率Rxが、第2の限界段繰り率Rm2以下に減少したときに、非常警報ランプが点灯され、生産ラインが自動的に停止される構成が考えられる。この変形例の第1および第2の限界段繰り率Rm1、Rm2は、本発明の限界情報の一例である。
(5)本実施形態では、所定時間当たりの中芯40の供給長さが、中芯用ロータリーエンコーダ65Nと、中芯計測用内部カウンタ150Nとにより計測され、図6に示すステップS4により中芯40の供給速度VNが計測される。本実施形態における所定時間当たりの中芯の供給長さおよび中芯の供給速度の計測に代えて、中芯の所定供給長さ当たりの供給時間が計測されても良い。たとえば、本実施形態における計測ロール64Nが1回転する時間が、中芯の供給時間として下位管理装置100の内部タイマにより計測され、中芯に段割れの危険性がある限界の供給時間以上に長くなったか否かが判断され、限界の供給時間以上に長くなったと判断されることにより、中芯の段割れの危険性が検知されても良い。
(6)本実施形態では、フルート種類情報が上位管理装置100から送られる構成であるが、これに代えて、使用者が入力操作部を操作してフルートの種類を選択する構成でも良い。この場合には、使用者が選択したフルートの種類に応じて、下位管理装置110が限界情報メモリ140から対応する限界段繰り率Rmに関する限界情報を読み出すことになる。
本発明の一実施形態に係る片面段ボール生産装置1の全体的構成を示す正面図である。 本実施形態に係るシングルフェーサ6の構成を拡大して示す正面図である。 本実施形態に係る中芯用速度計測装置NSSの構成を拡大して示す説明図である。 本実施形態に係るタッチロール機構TRMの構成を拡大して示す説明図である。 本実施形態に係る片面段ボール生産装置1の電気的構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る下位管理装置110の主制御ルーチンを示すフローチャートである。 本実施形態に係る限界情報メモリ140の記憶内容を説明するための説明図である。 本発明の変形例に係るレーザドップラ速度計LDSの配置状態を示す正面図である。 段繰り率と中芯の段割れの発生との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 片面段ボール生産装置
3 ライナ用スプライサ
5 中芯用スプライサ
110 下位管理装置
140 限界情報メモリ
621 中芯用プレヒータロール
622 上部段ロール
623 下部段ロール
624 糊付装置
625 プレスロール
626 ガイドロール
65L ライナ用ロータリーエンコーダ
65N 中芯用ロータリーエンコーダ
150L ライナ計測用内部カウンタ
150N 中芯計測用内部カウンタ
Rx 現在の段繰り率
Rm 限界段繰り率

Claims (12)

  1. 段成形された中芯とライナとを貼合して片面段ボールを生産する片面段ボール生産装置において、
    前記段成形のために中芯が供給される供給時間と供給長さとの割合を計測する計測部と、
    前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が供給される供給時間と供給長さとの限界の割合に関する限界情報を記憶する記憶部と、
    前記計測された割合が、前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界の割合に達したか否かを判断する制御部とを備え、
    前記計測された割合が、前記限界の割合に達したと前記制御部が判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知することを特徴とする段割れ危険性の検知装置。
  2. 前記計測部は、前記段成形のために所定時間当たり供給される中芯の供給長さを計測し、
    前記記憶部は、前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が所定時間当たり供給される限界供給長さに関する限界情報を記憶し、
    前記制御部は、前記計測された所定時間当たりの中芯の供給長さが、前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界供給長さに達したか否かを判断し、
    前記計測された所定時間当たりの中芯の供給長さが、前記限界供給長さに達したと前記制御部が判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知することを特徴とする請求項1に記載の段割れ危険性の検知装置。
  3. 前記計測部は、
    単位時間当たりの中芯の供給長さを計測する中芯計測部と、
    単位時間当たりのライナの供給長さを計測するライナ計測部とを有し、
    前記記憶部は、前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が単位時間当たり供給される限界供給長さの、単位時間当たりのライナの供給長さに対する割合である限界段繰り率に関する情報を前記限界情報として記憶し、
    前記制御部は、
    前記計測された単位時間当たりのライナの供給長さに対する前記計測された単位時間当たりの中芯の供給長さの割合である段繰り率を決定する段繰り率決定部と、
    前記段繰り率決定部により決定された段繰り率が、前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界段繰り率に達したか否かを判断する段繰り率判断部とを有し、
    前記決定された段繰り率が前記限界段繰り率に達したと前記段繰り率判断部が判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知することを特徴とする請求項2に記載の段割れ危険性の検知装置。
  4. 前記記憶部は、前記段成形により中芯に形成される段の形状に応じて異なる複数の前記限界情報を記憶し、
    前記段繰り率判断部は、前記段繰り率決定部により決定された段繰り率が、中芯に形成される段の形状に応じて前記記憶部から読み出された前記限界情報に基づいて決められる限界段繰り率に達したか否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の段割れ危険性の検知装置。
  5. 前記中芯計測部は、中芯の紙継ぎを行うスプライサから中芯を段成形する一対の段ロールまでの間において、単位時間当たりの中芯の供給長さを計測することを特徴とする請求項3または4に記載の段割れ危険性の検知装置。
  6. 前記中芯計測部は、中芯の紙継ぎを行うスプライサから中芯を段成形する一対の段ロールまでの間に配置されたプレヒータロールの配置位置またはその配置位置より上流側において、単位時間当たりの中芯の供給長さを計測することを特徴とする請求項5に記載の段割れ危険性の検知装置。
  7. 前記ライナ計測部は、ライナの紙継ぎを行うスプライサから前記段成形された中芯とライナとを貼合する貼合装置までの間において、単位時間当たりのライナの供給長さを計測することを特徴とする請求項5または6に記載の段割れ危険性の検知装置。
  8. 前記ライナ計測部は、ライナの紙継ぎを行うスプライサから前記段成形された中芯とライナとを貼合する貼合装置までの間に配置されたガイドロールの配置位置またはその配置位置より上流側において、単位時間当たりのライナの供給長さを計測することを特徴とする請求項7に記載の段割れ危険性の検知装置。
  9. 前記中芯計測部は、中芯を段成形する一対の段ロールへの中芯の入口において、単位時間当たりの中芯の供給長さを計測するための非接触型の計測器を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の段割れ危険性の検知装置。
  10. 段成形された中芯とライナとを貼合して片面段ボールを生産する片面段ボール生産装置において、
    前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が供給される供給時間と供給長さとの限界の割合に関する限界情報を記憶する記憶ステップと、
    前記段成形のために中芯が供給される供給時間と供給長さとの割合を計測する計測ステップと、
    前記計測された割合が、前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界の割合に達したか否かを判断する判断ステップとを備え、
    前記計測された割合が前記限界の割合に達したと前記判断ステップにおいて判断されることにより、中芯の段割れの危険性を検知することを特徴とする段割れ危険性の検知方法。
  11. 段成形された中芯とライナとを貼合して片面段ボールを生産する片面段ボール生産装置に使用されるコンピュータに、
    前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が供給される供給時間と供給長さとの限界の割合に関する限界情報を記憶する記憶ステップと、
    前記段成形のために中芯が供給される供給時間と供給長さとの割合を計測する計測ステップと、
    前記計測された割合が、前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界の割合に達したか否かを判断する判断ステップとを実現させ、
    前記計測された割合が前記限界の割合に達したと前記判断ステップにおいて判断されることにより、中芯の段割れの危険性を検知することを特徴とする段割れ危険性の検知プログラム。
  12. 中芯を供給する中芯供給装置と、
    前記中芯供給装置から供給された中芯に段成形を行う一対の段ロールと、
    ライナを供給するライナ供給装置と、
    前記段成形が行われた中芯と前記ライナ供給装置から供給されたライナとを貼合する貼合装置と、
    前記中芯供給装置から供給された所定時間当たりの中芯の供給長さを計測する計測部と、
    前記段成形された中芯に段割れの危険性があるときに中芯が所定時間当たり供給される限界供給長さに関する限界情報を記憶する記憶部と、
    前記計測された所定時間当たりの中芯の供給長さが、前記記憶された限界情報に基づいて決められる限界供給長さに達したか否かを判断する制御部とを備え、
    前記計測された所定時間当たりの中芯の供給長さが、前記限界供給長さに達したと前記制御部が判断することにより、中芯の段割れの危険性を検知することを特徴とする段割れ危険性の検知機能を備えた片面段ボール生産装置。
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