JP4849564B2 - ヨウ素系偏光フィルムおよび偏光板の製造方法 - Google Patents

ヨウ素系偏光フィルムおよび偏光板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヨウ素を用いて染色されたヨウ素系偏光フィルムの製造方法および当該ヨウ素系偏光フィルムを用いたヨウ素系偏光板の製造方法に関する。
偏光フィルムは、一般に、二色性色素であるヨウ素または二色性染料をポリビニルアルコール系樹脂フィルムに吸着配向させることにより製造されている。この偏光フィルムの少なくとも片面に、接着剤層を介して、たとえばトリアセチルセルロースなどからなる保護フィルムを貼合して偏光板とされ、液晶表示装置などに用いられる。二色性色素としてヨウ素を用いた偏光フィルムはヨウ素系偏光フィルムと呼ばれ、一方、二色性色素として二色性染料を用いた偏光フィルムは染料系偏光フィルムと呼ばれる。これらのうち、ヨウ素系偏光フィルムは、染料系偏光フィルムに比べ、高透過率で高偏光度、すなわち高コントラストを示すことから、広く用いられている。ヨウ素系偏光フィルムは、このように光学特性の面では染料系偏光フィルムに勝っているものの、光学耐久性の面では染料系偏光フィルムに劣っており、たとえば、ヨウ素系偏光フィルムを乾熱下に放置すると、透過率が低下したり偏光板が変色したりするなどの問題が生じていた。
特許文献1には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸、ヨウ素染色、染色後のホウ酸処理および水洗により、ヨウ素系偏光フィルムを製造するに際し、ヨウ素染色に用いるヨウ素を含む水溶液、ホウ酸処理に用いるホウ酸を含む水溶液、および水洗処理に用いる水のうち、少なくともいずれか一つに、アルドン酸およびアルドン酸塩から選ばれるアルドン酸系化合物を溶解含有させ、そのアルドン酸系化合物を含む水溶液でポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理することにより、偏光フィルム中にアルドン酸系化合物を含有させることができ、これにより、偏光フィルムの乾熱下における変色などの問題を抑える効果が発現されることが提案されている。
しかしながら、ヨウ素を含む水溶液中やホウ酸を含む水溶液中にアルドン酸系化合物を含有させると、アルドン酸系化合物の定量が難しく、アルドン酸系化合物の濃度管理が煩雑となり、場合によってはアルドン酸系化合物の濃度が十分でないために、十分な耐変色性を付与できないという問題があった。また、アルドン酸系化合物を水洗処理溶液中に含有させると、水洗後にアルドン酸系化合物が析出し、異物となるという問題があった。
特開2005−181818号公報
したがって本発明の目的は、生産性よくかつ安定してアルドン酸系化合物を含有する偏光フィルムを製造でき、これにより、耐久性に優れる偏光フィルムおよび偏光板を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を行なった結果、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させるために用いる水に、アルドン酸またはその塩を溶解含有させることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を用いて染色することによりヨウ素系偏光フィルムを製造する方法であって、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水と接触させて膨潤させる膨潤工程と、膨潤されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液中で染色する染色工程と、を少なくとも有し、該膨潤工程における、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの膨潤は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをアルドン酸およびその塩から選択されるアルドン酸系化合物を含有する水溶液と接触させることにより行なわれる、ヨウ素系偏光フィルムの製造方法である。
ここで、上記アルドン酸系化合物は、グルコン酸またはグルコン酸塩であることが好ましい。
また、本発明のヨウ素系偏光フィルムの製造方法は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬するホウ酸処理工程と、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水洗する水洗工程と、をさらに含み、該膨潤工程の前、または該膨潤工程終了後から該水洗工程の前までの間に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する延伸工程を備えることが好ましい。
上記延伸工程は膨潤工程の前に設けられるか、または、染色工程中および/もしくはホウ酸処理工程中に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸が行なわれることが好ましい。
さらに本発明は、上記いずれかに記載の方法によりヨウ素系偏光フィルムを製造した後、該ヨウ素系偏光フィルムの片面または両面に保護フィルムを貼合する、ヨウ素系偏光板の製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、乾熱下においた後の劣化(変色)が防止され、耐久性に優れ、また平行の色相がよりニュートラル色のヨウ素系偏光フィルムおよび偏光板を得ることができる。また、本発明の製造方法は、アルドン酸系化合物の濃度管理が容易であるため、生産性よくかつ安定してアルドン酸系化合物を含有する偏光フィルムを製造できる。
本発明のヨウ素系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂樹脂フィルムにヨウ素を吸着配向させることにより得ることができる。本発明のヨウ素系偏光フィルムの製造方法は、好ましくは以下の工程(1)〜(5)を含む。
(1)ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水と接触させて膨潤させる膨潤工程、
(2)膨潤されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液中で染色する染色工程、
(3)染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬するホウ酸処理工程、
(4)ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水洗する水洗工程、および、
(5)ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する延伸工程。
なお、延伸工程のタイミングは、後で詳述するように、適宜のタイミングとすることができる。以下、原反となるポリビニルアルコール系樹脂フィルムおよび上記各工程について詳細に説明する。
(1)ポリビニルアルコール系樹脂フィルム
偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98〜100モル%程度である。ポリビニルアルコール系樹脂はさらに変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜5,000程度である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、たとえば、5μm〜150μm程度、好ましくは10μm〜150μm程度である。
(2)膨潤工程
本発明においては、染色処理の前に、上記ポリビニルアルコール系原反フィルムの膨潤処理を行なう。膨潤処理は、ポリビニルアルコール系原反フィルムを、アルドン酸系化合物を含有する水溶液と接触させることにより行なわれる。より具体的には、ポリビニルアルコール系原反フィルムを、アルドン酸系化合物を含有する水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。これにより、ポリビニルアルコール樹脂が膨潤するとともに、アルドン酸系化合物がその表面に吸着および/または樹脂中に取り込まれ、アルドン酸系化合物を含有する偏光フィルムが得られる。本発明により得られるアルドン酸系化合物を含有する偏光フィルムは耐久性(耐変色性)に優れている。さらに、本発明により得られる偏光フィルムは、平行の透過光の色相が、従来のものに比べて、より中性色(ニュートラル色)に近くなるという特徴も併せ持つ。ここで、上記したように本発明においては、通常、当該膨潤工程の後、ポリビニルアルコール系樹脂を複数種類の水溶液に浸漬する工程を含んでいるが、このような水溶液浸漬処理を経た後でも、偏光フィルムは、高い耐久性を示す。
アルドン酸系化合物としては、アルドン酸およびアルドン酸塩を挙げることができる。アルドン酸とは、アルドースのアルデヒド基を酸化して得られるポリヒドロキシカルボン酸であって、HOCH2(CHOH)nCOOHなる一般式(ここで、nは1以上の整数)で表される。典型的なアルドン酸の例としては、グルコン酸、ガラクトン酸、マンノン酸、タロン酸、グロン酸、イドン酸、アロン酸、アルトロン酸などが挙げられる。本発明に用いるアルドン酸は、ここに具体的に例示したものに必ずしも限定されるわけではない。アルドン酸系化合物として、これらをそれぞれ単独で、あるいは複数を組み合わせて使用しても構わない。アルドン酸のなかでもグルコン酸は、工業的に入手しやすいため好ましい。アルドン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。なかでも亜鉛塩は、偏光フィルムまたは偏光板の乾熱下における変色などの問題を抑える効果が高いので好ましい。
アルドン酸は、水溶液中では一般に、アルドノラクトンと平衡関係にあり、水溶液中のpHによってアルドン酸とアルドノラクトンの存在比は変化する。水溶液のアルカリ性が強いほどアルドン酸の割合が多くなり、逆に水溶液の酸性が強いほどアルドノラクトンの割合が多くなる。また、アルドン酸水溶液を濃縮するなどして固形物として得ようとすると、アルドノラクトンが得られる。そこで、本発明におけるアルドン酸とは、アルドン酸それ自体のほか、そのラクトンであるアルドノラクトンを含んでいてもよい。アルドン酸と平衡関係にあるアルドノラクトンの例を挙げると、グルコン酸に対してはグルコノラクトン、ガラクトン酸に対してはガラクトノラクトンとなり、その他のアルドン酸に対しても同様に、対応するアルドノラクトンが存在する。
アルドン酸は通常、ブドウ糖の発酵により製造されており、その形で販売されている。本発明に用いるアルドン酸系化合物は、偏光フィルムに含有させることで乾熱下における変色などの問題を抑える効果がみられるものであればよく、アルドン酸でもアルドン酸塩でもよい。また、かかるアルドン酸系化合物の効果を阻害しない範囲で、少量の安定化剤や防腐剤などの添加物を含有していても構わない。
膨潤処理水溶液中におけるアルドン酸系化合物の濃度は、通常、水100質量部あたり、0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部である。その濃度があまりに大きいと、溶液中のアルドン酸系化合物が析出しやすくなり、その析出物がフィルム表面に付着するなど、外観品質上の問題を引き起こしやすい傾向があり、またあまり小さい濃度では、耐久性向上の効果が得られにくい傾向にある。
膨潤処理の時間(浸漬処理の場合には浸漬時間)は、通常30〜300秒程度、好ましくは60〜180秒程度である。膨潤時間が長いほど、少ないアルドン酸系化合物添加量で耐久性を向上させることができる。膨潤処理の温度は、通常20〜70℃程度、好ましくは30〜70℃程度である。温度があまりに高いと、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが溶解したり切断したりしやすくなる傾向があり、またあまり低い温度では、耐久性向上の効果が得られにくい傾向にある。膨潤工程の前に一軸延伸処理を行なうことができるが、この場合には、膨潤処理の温度は、50℃以上が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが溶解したり切断したりしない範囲で膨潤温度が高いほど、アルドン酸系化合物がポリビニルアルコール系樹脂フィルム中に取り込まれやすくなる。
アルドン酸系化合物濃度の定量方法としては、酸塩基滴定法、酵素法などが挙げられる。酵素法は、特定のアルドン酸系化合物について用いることができ、たとえばグルコン酸またはその塩については、「F-キット D−グルコン酸/D−グルコノ−γ−ラクトン」(ロッシュ・ダイアグノスティックス社(ドイツ)製;(株)J.K.インターナショナルより販売)などを用いることにより簡易的に定量することができる。なお、従来、アルドン酸系化合物は、染色工程のヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液やホウ酸処理工程のホウ酸を含む水溶液に添加されていたが、このような場合、酵素の吸収波長がヨウ素イオンの吸収波長に近いことに起因して、正確な定量ができないか、もしくは濃度管理が煩雑になるという問題があった。
(3)染色工程
膨潤されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液中で染色される。ヨウ素およびヨウ化カリウムを含む水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり0.01〜1質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり0.5〜20質量部程度である。この水溶液の温度は、20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、20〜1,800秒程度である。
(4)ホウ酸処理工程
ヨウ素染色後のホウ酸処理は、ヨウ素により染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行なわれる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100質量部あたり、通常2〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。このホウ酸水溶液は、ヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸水溶液がヨウ化カリウムを含有する場合、そのヨウ化カリウムの量は、水100質量部あたり、通常40質量部以下、好ましくは30質量部以下である。またこのヨウ化カリウムは、水100質量部あたり0.1質量部以上、さらには1質量部以上含有させることが好ましい。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常60〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。
(5)水洗処理
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行なわれる。水洗後は、通常乾燥処理が施される。
(6)延伸処理
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸処理は、上記膨潤工程の前に行なわれてもよいし、染色工程の前、染色工程と同時、または染色工程の後に行なわれてもよい。一軸延伸を染色工程の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行なってもよいし、ホウ酸処理中に行なってもよい。もちろん、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行なう乾式延伸であってもよいし、溶剤で膨潤した状態にて延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
以上のようにして得られる偏光フィルム中のアルドン酸系化合物の含有量は、一般に0.001〜30質量%程度であり、好ましくは0.01質量%以上、さらには0.1質量%以上であり、また好ましくは25質量%以下である。その量があまり少ないと、得られる偏光フィルムの乾熱下における変色などの問題を抑える効果が十分に発揮されない。
ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルム中に含まれるアルドン酸やその塩の量は、例えば、偏光フィルムを溶媒に溶かし、その試料を酵素法で分析する方法により、定量できる。酵素法の試薬としては、前述の、(株)J.K.インターナショナルにて販売されている「F−キット D−グルコン酸/D−グルコノ−γ−ラクトン」などが利用できる。
(7)偏光板の製造
上記偏光フィルムを用い、その片面または両面に接着剤層を介して保護フィルムを積層することにより偏光板を得ることができる。保護フィルムとしては、たとえば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースアセテート樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリアリレート樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン樹脂フィルム、ノルボルネンのような環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂フィルムなどが挙げられる。保護フィルムの厚みは、通常10〜200μm程度である。偏光板は、一方の表面、すなわち、保護フィルムの露出面に、反射防止層や防眩層、ハードコート層、接着層など、公知の各種機能性層を有していてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ないかぎり質量基準である。なお、例中に示す平行の色相とは、偏光フィルムにその透過軸と平行な直線偏光光を入射したときの透過光の色相を意味し、直交の色相とは、偏光フィルムにその透過軸と直交する直線偏光光を入射したときの透過光の色相を意味する。
<実施例1>
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の水100質量部にフジグルコン(扶桑化学工業(株)製 グルコノラクトン)5質量部を加えたグルコン酸溶液に1分間浸漬し膨潤させた。次に、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.15/5/100の水溶液に、28℃で43秒間浸漬した。その後、/ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が質量比で9/9.5/100の水溶液に、76℃で300秒間浸漬した。15℃の純水で1秒間水洗した後、50℃で300秒間乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向され、さらにグルコン酸が吸着された偏光フィルムを得た。ネックイン率は42%((1−(乾燥後の偏光フィルム幅)/(膨潤前のポリビニルアルコール幅))×100)であった。
<実施例2〜4>
グルコン酸量をそれぞれ10部、15部、20部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、偏光フィルムを作製した。
<比較例1>
膨潤工程において、グルコン酸を含まない60℃の水に1分間浸漬したこと、および水洗工程における水洗時間を2秒とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、偏光フィルムを作製した。
(耐久性の評価)
得られた偏光フィルムについて、乾熱下における耐久性を評価した。結果を表1に示す。なお、乾熱下における耐久性の評価において、透過率による比較障害を避けるため、いずれの偏光フィルムも、耐久性評価前の単体の視感度補正透過率を43.6±0.1%、視感度補正偏光度を99.95%以上とした。
耐久性の評価方法は次のとおりである。まず、偏光フィルムの分光透過率τ(λ)を、分光光度計((株)島津製作所製の「UV−2200」)を用いて測定する。得られる分光透過率τ(λ)から、平行の分光透過スペクトルおよび直交の分光透過スペクトルを求め、それぞれの分光透過スペクトルより、JIS Z 8729に従い、平行の色相L*、a*およびb*、直交の色相L*、a*およびb*を求める。次に、この偏光フィルムを100℃の乾燥雰囲気に14時間放置して、耐久性試験を行なう。この耐久性試験後の偏光フィルムについて、再度分光透過率τ(λ)を測定し、同様にして、平行の色相L*、a*およびb*、直交の色相L*、a*およびb*を求める。耐久性試験前後の色相L*、a*およびb*から、下式[1]〜[3]に従って、それぞれの差ΔL*、Δa*およびΔb*を求め、さらに下式[4]に従って、全体の色差ΔE*を求める。
ΔL*=(L*after−(L*before [1]
Δa*=(a*after−(a*before [2]
Δb*=(b*after−(b*before [3]
ここで、beforeは耐久性試験前の値、afterは耐久性試験後の値である。
ΔE*={(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2 [4]
全体の色差ΔE*の値が大きいほど、乾熱下における変色の度合いが大きいものと判断する。
上記耐久性試験前の平行の色相a*およびb*、ならびに耐久性試験前後の直交の色相差Δb*と全体の色差ΔE*を表1に示した。表1に示すように、グルコン酸を含む水溶液で膨潤処理した実施例1〜4の偏光フィルムは、膨潤処理浴にグルコン酸を含まない比較例1の偏光フィルムに比べ、耐久性試験による直交の色差ΔE*が小さく、耐熱性に優れることがわかる。
Figure 0004849564
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (6)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を用いて染色することによりヨウ素系偏光フィルムを製造する方法であって、
    ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水と接触させて膨潤させる膨潤工程と、
    膨潤されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液中で染色する染色工程と、を少なくとも有し、
    前記膨潤工程における、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの膨潤は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをアルドン酸およびその塩から選択されるアルドン酸系化合物を含有する水溶液と接触させることにより行なわれる、ヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記アルドン酸系化合物は、グルコン酸またはその塩である請求項1に記載のヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  3. 染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬するホウ酸処理工程と、
    ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水洗する水洗工程と、をさらに含み、
    前記膨潤工程の前、または前記膨潤工程終了後から前記水洗工程の前までの間に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する延伸工程を備える請求項1または2に記載のヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  4. 前記膨潤工程の前に、前記延伸工程を備える請求項3に記載のヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  5. 前記染色工程中および/または前記ホウ酸処理工程中に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸が行なわれる請求項3に記載のヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法によりヨウ素系偏光フィルムを製造した後、該ヨウ素系偏光フィルムの片面または両面に保護フィルムを貼合する、ヨウ素系偏光板の製造方法。
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