JP4849387B2 - 油脂類を原料とする脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Description
(A)化学触媒(酸触媒又はアルカリ触媒)を使用するもの。a.反応を常圧で行うものとしては、苛性ソーダ触媒(例えば特許文献1、2)、苛性カリ触媒(例えば特許文献3)を使用する方法が提案されており、小規模な実用化例も散在するが、生産速度が低く、且つ又触媒を副生グリセリンとの混合物から回収することがコスト的に困難であり、現状ではグリセリンと共に有害廃棄物として処理せざるを得ない。この種の方法は、小規模生産には適用可能であるが、環境問題に寄与し得るような大量生産を行うには不適当である。b.生産速度を向上させるため、加圧(10Mpa)、240℃、7〜8倍過剰のメタノール使用の条件下で、アルカリ触媒若しくは亜鉛触媒を使用する例(非特許文献1)もあるが、高温・高圧のため設備投資・ランニングコストの増大は避けられず、安全面についての配慮も必要である。また、触媒の回収については、上記aに述べたと同様の問題がある。
(B)リパーゼ等酵素触媒を使用するもの。酵素触媒は添加のほかシリカ等を担体とした固定触媒の形でも使用され、食品関係への応用が多く見られるが、ディーゼル燃料についても提案(例えば特許文献4)がなされている。しかしながら、酵素触媒は化学触媒に比べて効果が小さく、反応に長時間を要し、エステル変換率も低い。新種酵素の探索は行われているものの、現時点では大量生産には不適当である。
(C)触媒を使用せず、超臨界状態で反応を行うもの。上記の問題を解決するため、近時超臨界状態における化学種の高活性を利用する方法が提案(例えば特許文献5,6,7)されて来ている。これらの方法では超臨界状態のアルコール(メタノールの場合、臨界温度238℃、臨界圧7.9MPaであるので、これ以上の温度・圧力条件下にあるもの)を無触媒で油脂類と反応させ、エステル交換を行うことで目的のアルキルエステルを得ている。反応速度は温度・圧力を上げれば向上するので、連続大量生産も可能と考えられるが、高温・高圧反応であるため、上記(A)bと同様、設備投資・ランニングコストの増大は避けられず、操業の安全性についても相当の配慮が必要である。この種の方法は未だ実用化検証の段階には至っていない。
(D)触媒を使用して、超臨界状態で反応を行うもの。上記の難点を補うため、最近時においては超臨界状態による化学種の活性化に加えて、触媒(多くは固定触媒)を併用して経済的に有利な反応条件を得ようとする試みが提案(例えば特許文献8,9)されている。これらの方法は、ニッケル含有触媒の添加或いは塩基性固体触媒等の使用により亜臨界状態まで緩和された条件での反応を可能にするものであるが、なお相当の高温・高圧を必要とし、程度の差こそあれ上記(A)b及び(C)にのべて難点を残している。この種の方法は未だ実用化検証の段階には至っていない。
(E)加水分解−エステル化の2段階反応を行うもの。更に最近の新聞情報では、直接のエステル交換よりも反応の制御がし易く、実際の工業化に適するものとして、超臨界状態でトリグリセリドを加水分解し、生成した脂肪酸をアルコールでエステル化する2段階法が提案されているが、工程中における水分の除去の必要性、高温高圧水による装置上の問題等の困難が予想される。
(F)未公開の、常圧下で無触媒若しくは固体触媒のみを用いて反応をおこなうもの。本発明者らは、気液接触手段を選ぶことにより、過熱気化メタノールと原料油脂類とを大気圧近傍(0.101〜0.150MPa)・温度350℃以下の条件下で反応させ、良好な収率でエステル燃料を得る方法(特許文献10、11,12)を提案した。このうち、今回の発明に関連する内容は以下の如くである。
F1.大気圧近傍(0.101〜0.150MPa)・温度350℃以下の条件下で、過熱気化アルコールと原料油脂類とを反応させる。
F2.触媒は使用しないか、又は金属系固体触媒(反応後固相として気・液相から容易に分離されるもの)のみを使用する。
F3.反応時、原料油脂類に対し化学当量よりも過剰のアルコールを使用し、必要に応じ複数箇所においてアルコールを供給する。
F4.充填層・棚段塔・反応管等により過熱気化アルコールと原料油脂類との気液接触機会、触媒を使用する場合には併せて原料と触媒との接触機会の増大を図る。
F5.反応生成物は最終的に過剰の過熱気化アルコールと共に混合気相流として反応容器から取り出し、冷却してアルキルエステルとグリセリンとを逐次若しくは同時に凝縮させて採取する。
F6.アルキルエステルとグリセリンとを同時に凝縮させて採取する場合には、分離槽において比重分離を行い、それぞれの製品を得る。
(1)油脂類と一価アルコール(以下単にアルコールと言う)とから脂肪酸エステルを製造する方法のうち、触媒を使用せず、必要な理論化学当量よりも過剰のアルコールを過熱気化アルコール(該アルコールの圧力に対応する沸点よりも高温の状態に保持されたアルコール)の状態で反応に使用し、油脂類とアルコールとを圧力0.090〜0.405Mpa、温度350〜150℃の条件で反応させ、反応生成物を過熱気化アルコールとの混合気相流(気相の反応生成物と過熱気化アルコールとの混合物若しくはこれに液滴状の反応生成物を伴うもの)として取得する方法において、油脂類と一価アルコールとの反応を行うための装置を主体とする工程(以下反応工程と言う)、反応の直前に、原料を昇温するための工程(以下最 終予熱工程と言う)、熱交換により反応生成物の冷却と原料(原料アルコール及び原料油脂類。以下同様)の昇温とを行うための装置を主体とする工程、反応生成物を分離・取得するための装置を主体とする工程、反応ガスと原料との顕熱熱交換を行うための工程(以下高温熱交換工程と言う)、反応生成物の凝縮潜熱と原料との熱交換を行うための工程(以下凝縮熱回収工程と言う)、凝縮した反応生成物と過熱気化アルコールとを分離するための工程(以下反応生成物分離工程と言う)、反応生成物と分離された過熱気化アルコール(以下循環アルコールと言う)と原料アルコ−ル及び/又は冷却水との顕熱熱交換を行うための工程(以下温調熱交換工程と言う)及び原料アルコールによる循環アルコールの断熱冷却を行うための工程(以下断熱冷却工程と言う)を連結する該過熱気化アルコールの循環経路を設け、該循環経路を原料アルコ−ル供給手段、原料油脂類供給手段及び反応生成物分離・排出手段を備えた密閉系(過熱気化アルコールが循環経路の外に出ることの無い系)とすることを特徴とする、脂肪酸エステルの製造方法。
(2)過熱気化アルコール循環経路に常時一定量の過熱気化アルコールを循環させ、製造原料は気化状態で該循環経路に原料アルコ−ル供給手段又は原料油脂類供給手段を通して供給され、該循環過熱気化アルコール(以下循環アルコールと言う)によって搬送されて反応工程に入り、反応生成物(気相)は循環アルコールによって搬送され、反応生成物分離・排出手段を通して製品として取得されることを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(3)熱交換により反応生成物の冷却と原料の昇温とを行うための装置を主体とする工程において、反応工程から取り出された、反応生成物を含む過熱気化アルコール(以下反応ガスと言う)と原料との熱交換に際し、反応ガスの顕熱部と潜熱部とを分離して熱交換を行うことを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(4)高温熱交換工程に、高温側が反応ガスで低温側が原料アルコールを随伴する循環アルコール(以下反応原料アルコールと言う)である第1高温熱交換器と、高温側が反応ガスで低温側が原料油脂類である第2高温熱交換器とを設けることを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(5)凝縮熱回収工程に、高温側が反応ガスで低温側が反応原料アルコールである第1凝縮熱交換器と、高温側が反応ガスで低温側が原料油脂類である第2凝縮熱交換器とを設けることを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(6)温調熱交換工程に、高温側が循環アルコールで低温側が原料油脂類である温調熱交換器を設けることを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(7)断熱冷却工程に、高温側が循環アルコールで低温側が原料アルコールである断熱冷却器を設けることを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(8)熱交換により反応生成物の冷却と原料の予熱とを行うための装置を主体とする工程において、高温熱交換工程に、高温側が反応ガスで低温側が反応原料アルコールである第1高温熱交換器と、高温側が反応ガスで低温側が原料油脂類である第2高温熱交換器とを設け、凝縮熱回収工程に、高温側が反応ガスで低温側が反応原料アルコールである第1凝縮熱交換器と、高温側が反応ガスで低温側が原料油脂類である第2凝縮熱交換器とを設け、温調熱交換工程に、高温側が循環アルコールで低温側が原料油脂類である温調熱交換器を設け、断熱冷却工程に、高温側が循環アルコールで低温側が原料アルコールである断熱冷却器を設けた熱回収システムを構築し、反応工程を出た高温度の反応ガスを2分岐させてそれぞれ第1及び第2高温熱交換器に入れ、各高温熱交換器を出た各分岐の中間温度の反応ガスをそれぞれ第1及び第2凝縮熱交換器に入れ、各凝縮熱交換器を出た低温度の反応ガスを合流させて反応生成物分離工程に入れ、反応生成物を凝縮物として分離し、得られた循環アルコールを順次温調熱交換器及び断熱冷却器に入れて更に温度を下げ、断熱冷却器において所要の原料アルコールを加えて反応原料アルコールとし、順次第1凝縮熱交換器及び第1高温熱交換器の低温側に送り、加熱・昇温して反応に使用し、一方原料油脂類を順次温調熱交換器・第2凝縮熱交換器・第2高温熱交換器の低温側を通して加熱・昇温して反応に使用する熱交換工程を含むことを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(9)高温熱交換工程において、原料油脂類を熱媒として反応ガスと反応原料アルコールとの間で熱交換を行うことを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(10)高温熱交換工程において、高温側が反応ガスで、低温側が熱媒(原料油脂類)である高温熱交換器と、高温側が熱媒(原料油脂類)で低温側が反応原料アルコールであるアルコール加熱用高温熱交換器とを設け、高温熱交換器低温側の熱媒出口とアルコール加熱用高温熱交換器高温側の熱媒入口、アルコール加熱用高温熱交換器高温側の熱媒出口と高温熱交換器低温側の熱媒入口とを導管で連結して熱媒の循環回路を形成し、該循環回路の途中に循環ポンプと高温熱媒(原料油脂類)取り出し手段とを備え、反応ガスの熱によって反応原料アルコールを加熱することを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(11)温調熱交換工程から凝縮熱回収工程に至る過熱気化アルコール循環経路の中間に原料アルコール(液体)供給手段とガス攪拌手段とを備えた混合断熱冷却器を設け、原料アルコール(液体)により回収アルコールを断熱冷却することを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(12)凝縮熱回収工程において反応ガス中の反応生成物を一括凝縮させ、該凝縮物を含む過熱気化アルコールを反応生成物分離工程に送り、凝縮物分離手段(例えば濾過材)を備えた反応生成物分離装置に通して該凝縮物と過熱気化アルコールとを分離し、採取した該凝縮物を製品分離工程に送り、比重分離等の製品分離手段を備えた製品分離装置に入れて脂肪酸エステルとグリセリンとを分取することを特徴とする、請求項6記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(13)反応工程で生ずる反応残渣を、焼却装置(例えば熱媒ボイラー)により焼却処理を行う工程(以下反応残渣焼却工程と言う)に送り、焼却の際に発生する熱によって熱媒を加熱して高温熱源を得ることを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(14)反応残渣焼却工程において得られる高温熱源(熱媒)を最終予熱工程に送り、反応原料アルコール及び原料油脂類と熱交換を行うことを特徴とする、(12)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
(15)反応工程、高温熱交換工程、凝縮熱回収工程、反応生成物分離工程、温調熱交換工程、断熱冷却工程、最終予熱工程、過熱気化アルコール循環手段、製品分離工程及び反応残渣焼却工程を主工程として構成され、反応工程、高温熱交換工程、凝縮熱回収工程、反応生成物分離工程、温調熱交換工程、断熱冷却工程及び最終予熱工程の全てを連結する過熱気化アルコール循環経路を有し、熱交換により反応ガスの持つ熱を回収して原料の予熱を行うと共に反応生成物を一括凝縮させ、得られた凝縮物から脂肪酸エステルとグリセリンとを分離採取し、反応工程で生ずる反応残渣を反応残渣焼却工程に送り、最終予熱工程に使用する熱媒の加熱のための燃料として使用し、該燃料の不足分を原料油脂類の一部を以って補い、生産された脂肪酸エステルの一部により発電を行い、外部からの燃料及び電力の供給を得ることなく全プラントの稼動が可能であり、且つ有害廃棄物をプラント外に出さないシステムを構築することを特徴とする、(1)記載の脂肪酸エステルの製造方法。
反応器:円筒形、直径200mm、充填高さ1000mm、鋼製ラシヒリング20×20mmを充填、外置き0.5m2の熱交換器(循環ポンプ100l/hr)を付属。
熱交換器:高温熱交換器2d(反応原料メタノール加熱);4m2、最終加熱器7a(反応原料メタノール加熱);0.4m2、高温熱交換器2c(原料油脂類加熱);3.0m2、最終加熱器7b(原料油脂類加熱);0.3m2、凝縮熱交換器3c;1.0m2、凝縮熱交換器3d;0.6m2、温調熱交換器;0.3m2、断熱冷却器;円筒形、直径80mm、長さ300mm。
比重分離槽容量:10l
原料メタノール:純度99.8%
原料油脂類:菜種油、純度92%
1a 反応装置
2 高温熱交換工程
2a 高温熱交換器
2b 高温熱交換器
2c 高温熱交換器
2d 高温熱交換器
3 凝縮熱交換工程
3a 凝縮熱交換器
3b 凝縮熱交換器
3c 凝縮熱交換器
3d 凝縮熱交換器
4 反応生成物分離工程
4a 反応生成物分離装置
4b 製品分取装置
5 温調熱交換工程
5a 温調熱交換器
6 断熱冷却工程
6a 断熱冷却器
7 最終予換工程
7a 最終加熱装置
7b 最終加熱装置
8 残渣焼却工程
8a 残渣焼却装置
8b 熱媒
9 原料貯蔵タンク(油脂類)
10 原料貯蔵タンク(アルコール)
11 原料油脂類
11a 温調熱交換器によって予熱された原料油脂類
11b 疑縮熱交換器・高温熱交換器によって予熱された原料油脂類
11d 高温熱媒(原料油脂類)取出し手段を備えた導管
11e 原料油脂類供給口を備えた導管
11f 原料油脂類供給口
11p 高温熱媒(原料油脂類)循環手段
11v 高温熱媒(原料油脂類)取出し手段
12 原料アルコール
13 反応ガス(過熱気化アルコール、脂肪酸エステル、グリセリン混合物)
14 循環アルコール
15 反応生成物(液相)
16 反応原料アルコール(循環アルコール、原料アルコール混合物)
17 反応残渣
18 冷却水
19 反応容器
20 反応原料アルコール供給手段
20a 反応原料アルコール吹込ノズル
21 原料油脂類供給手段
21a 原料油脂類排出手段
22 反応ガス排出手段
23 残渣排出手段
24a 加熱手段
24b 加熱手段
24c 加熱手段
24d 加熱手段
24e 加熱手段
25 固体(触媒)・液体(原料油脂類)・気体(反応ガス)接触手段
(無触媒の場合には原料油脂類と反応ガスとの接触手段)
26 攪拌手段
27 円筒容器
28 スプレーヘッド
28a 散液ヘッド
29 循環メタノール導入手段
30 液体メタノール導入手段
31 反応原料メタノール取り出し手段
32 攪拌手段
33 インペラー
34 ドラフトチューブ
35 触媒又は触媒層
36 駆動モーター
37 送油ポンプ
38 送気ポンプ
39 気液混合手段
40 反応管
41 反応原料アルコール気泡
41a 反応原料アルコール泡沫
42 分離槽
42 衝突板
43 濾過材(グラスウール等)
45 熱媒
46a 反応生成物導入手段
46b 反応生成物排出手段
47 セパレータ
48 グリセリン
49 脂肪酸エステル
50 グリセリン排出手段
51 脂肪酸エステル排出手段
52 液面
53 気泡・液混相流の流れ
54 電力供給工程
55 貯蔵タンク類
56 ディーゼルエンジン
57 発電機
58 供給電力
59 燃焼用空気
60 熱パイプ
Claims (15)
- 油脂類と一価アルコール(以下単にアルコールと言う)とから脂肪酸エステルを製造する方法のうち、触媒を使用せず、必要な理論化学当量よりも過剰のアルコールを過熱気化アルコール(該アルコールの圧力に対応する沸点よりも高温の状態に保持されたアルコール)の状態で反応に使用し、油脂類とアルコールとを圧力0.090〜0.405Mpa、温度350〜150℃の条件で反応させ、反応生成物を過熱気化アルコールとの混合気相流(気相の反応生成物と過熱気化アルコールとの混合物若しくはこれに液滴状の反応生成物を伴うもの)として取得する方法において、油脂類と一価アルコールとの反応を行うための工程(以下反応工程と言う)、反応の直前に、原料を昇温するための工程(以下最終予熱工程と言う)、反応ガスと原料(原料アルコール及び原料油脂類。以下同様)との顕熱熱交換を行うための工程(以下高温熱交換工程と言う)、反応生成物の凝縮潜熱と原料との熱交換を行うための工程(以下凝縮熱回収工程と言う)、凝縮した反応生成物と過熱気化アルコールとを分離するための工程(以下反応生成物分離工程と言う)、反応生成物と分離された過熱気化アルコール(以下循環アルコールと言う)と原料アルコール及び/又は冷却水との顕熱熱交換を行うための工程(以下温調熱交換工程と言う)及び原料アルコールによる循環アルコールの断熱冷却を行うための工程(以下断熱冷却工程と言う)を連結する該過熱気化アルコールの循環経路を設け、該循環経路を原料アルコール供給手段、原料油脂類供給手段及び反応生成物分離・排出手段を備えた密閉系(過熱気化アルコールが循環経路の外に出ることの無い系)とすることを特徴とする、脂肪酸エステルの製造方法。
- 過熱気化アルコール循環経路に常時一定量の過熱気化アルコールを循環させ、製造原料は気化状態で該循環経路に原料アルコール供給手段又は原料油脂類供給手段を通して供給され、該循環過熱気化アルコール(以下循環アルコールと言う)によって搬送されて反応工程に入り、反応生成物(気相)は循環アルコールによって搬送され、反応生成物分離・排出手段を通して製品として取得されることを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 熱交換により反応生成物の冷却と原料の昇温とを行うための工程において、反応工程から取り出された、反応生成物を含む過熱気化アルコール(以下反応ガスと言う)と原料との熱交換に際し、反応ガスの顕熱部と潜熱部とを分離して熱交換を行うことを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 高温熱交換工程に、高温側が反応ガスで低温側が原料アルコールを随伴する循環アルコール(以下反応原料アルコールと言う)である第1高温熱交換器と、高温側が反応ガスで低温側が原料油脂類である第2高温熱交換器とを設けることを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 凝縮熱回収工程に、高温側が反応ガスで低温側が反応原料アルコールである第1凝縮熱交換器と、高温側が反応ガスで低温側が原料油脂類である第2凝縮熱交換器とを設けることを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 温調熱交換工程に、高温側が循環アルコールで低温側が原料油脂類である温調熱交換器を設けることを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 断熱冷却工程に、高温側が循環アルコールで低温側が原料アルコールである断熱冷却器を設けることを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 熱交換により反応生成物の冷却と原料の予熱とを行うための工程において、高温熱交換工程に、高温側が反応ガスで低温側が反応原料アルコールである第1高温熱交換器と、高温側が反応ガスで低温側が原料油脂類である第2高温熱交換器とを設け、凝縮熱回収工程に、高温側が反応ガスで低温側が反応原料アルコールである第1凝縮熱交換器と、高温側が反応ガスで低温側が原料油脂類である第2凝縮熱交換器とを設け、温調熱交換工程に、高温側が循環アルコールで低温側が原料油脂類である温調熱交換器を設け、断熱冷却工程に、高温側が循環アルコールで低温側が原料アルコールである断熱冷却器を設けた熱回収システムを構築し、反応工程を出た高温度の反応ガスを2分岐させてそれぞれ第1及び第2高温熱交換器に入れ、各高温熱交換器を出た各分岐の中間温度の反応ガスをそれぞれ第1及び第2凝縮熱交換器に入れ、各凝縮熱交換器を出た低温度の反応ガスを合流させて反応生成物分離工程に入れ、反応生成物を凝縮物として分離し、得られた循環アルコールを順次温調熱交換器及び断熱冷却器に入れて更に温度を下げ、断熱冷却器において所要の原料アルコールを加えて反応原料アルコールとし、順次第1凝縮熱交換器及び第1高温熱交換器の低温側に送り、加熱・昇温して反応に使用し、一方原料油脂類を順次温調熱交換器・第2凝縮熱交換器・第2高温熱交換器の低温側を通して加熱・昇温して反応に使用する熱交換工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 高温熱交換工程において、原料油脂類を熱媒として反応ガスと反応原料アルコールとの間で熱交換を行うことを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 高温熱交換工程において、高温側が反応ガスで、低温側が熱媒(原料油脂類)である高温熱交換器と、高温側が熱媒(原料油脂類)で低温側が反応原料アルコールであるアルコール加熱用高温熱交換器とを設け、高温熱交換器低温側の熱媒出口とアルコール加熱用高温熱交換器高温側の熱媒入口、アルコール加熱用高温熱交換器高温側の熱媒出口と高温熱交換器低温側の熱媒入口とを導管で連結して熱媒の循環回路を形成し、該循環回路の途中に循環ポンプと高温熱媒(原料油脂類)取り出し手段とを備え、反応ガスの熱によって反応原料アルコールを加熱することを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 温調熱交換工程から凝縮熱回収工程に至る過熱気化アルコール循環経路の中間に原料アルコール(液体)供給手段とガス攪拌手段とを備えた混合断熱冷却器を設け、原料アルコール(液体)により回収アルコールを断熱冷却することを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 凝縮熱回収工程において反応ガス中の反応生成物を一括凝縮させ、該凝縮物を含む過熱気化アルコールを反応生成物分離工程に送り、凝縮物分離手段を備えた反応生成物分離装置に通して該凝縮物と過熱気化アルコールとを分離し、採取した該凝縮物を製品分離工程に送り、比重分離等の製品分離手段を備えた製品分離装置に入れて脂肪酸エステルとグリセリンとを分取することを特徴とする、請求項6記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 反応工程で生ずる反応残渣を、焼却装置により焼却処理を行う工程(以下反応残渣焼却工程と言う)に送り、焼却の際に発生する熱によって熱媒を加熱して高温熱源を得ることを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 反応残渣焼却工程において得られる高温熱源(熱媒)を最終予熱工程に送り、反応原料アルコール及び原料油脂類と熱交換を行うことを特徴とする、請求項12記載の脂肪酸エステルの製造方法。
- 反応工程、高温熱交換工程、凝縮熱回収工程、反応生成物分離工程、温調熱交換工程、断熱冷却工程、最終予熱工程、過熱気化アルコール循環手段、製品分離工程及び反応残渣焼却工程を主工程として構成され、反応工程、高温熱交換工程、凝縮熱回収工程、反応生成物分離工程、温調熱交換工程、断熱冷却工程及び最終予熱工程の全てを連結する過熱気化アルコール循環経路を有し、熱交換により反応ガスの持つ熱を回収して原料の予熱を行うと共に反応生成物を一括凝縮させ、得られた凝縮物から脂肪酸エステルとグリセリンとを分離採取し、反応工程で生ずる反応残渣を反応残渣焼却工程に送り、最終予熱工程に使用する熱媒の加熱のための燃料として使用し、該燃料の不足分を原料油脂類の一部を以って補い、生産された脂肪酸エステルの一部により発電を行い、外部からの燃料及び電力の供給を得ることなく全プラントの稼動が可能であり、且つ有害廃棄物をプラント外に出さないシステムを構築することを特徴とする、請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
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