JP5935966B2 - 脂肪酸メチルエステル製造装置及び方法 - Google Patents

脂肪酸メチルエステル製造装置及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、無触媒法の一つである過熱アルコール蒸気法に基づくFAME(Fatty Acid Methyl Ester;脂肪酸メチルエステル、以下同じ)製造技術、即ち、原料油脂と過熱アルコール蒸気とを混合してFAMEを製造する技術などに関連する。
化石燃料の将来的な枯渇、政情不安定などによる燃料の供給変動リスクなどのエネルギーセキュリティーの観点から、また、地球温暖化などに対する環境負荷軽減の観点などから、代替エネルギーの開発が世界的に重要な課題となっている。
特に、エンジンの動力源など高熱量の燃料が必要な分野では、多くの場合、依然として、ガソリン・軽油など化石燃料由来の液体燃料が用いられている。そこで、ガソリン・軽油などに対する代替液体燃料の開発が世界各国で行われている。
油脂は、脂肪酸とグリセリンとのエステルであり、植物・動物に多く含有する。その主成分はトリグリセリドである。
動植物由来の油脂自体は粘性が高いため、例えば、それらの油脂を軽油代替燃料としてディーゼル自動車などに使用した場合、燃料ポンプに析出物が付着して燃料ポンプが作動しにくくなる、フィルターに目詰まりが生じる、などの不具合を生じる可能性がある。
そこで、油脂中のグリセリンをアルコールとエステル交換してFAMEを製造し、軽油代替燃料などとして利用する技術が普及している。
動植物由来のFAMEは、炭素数C16〜C22程度であり、かつ、油脂と比較して粘性が低くセタン価が高い。即ち、FAMEは、軽油(C12〜C22)と炭素数がほぼ一致し、粘性・セタン価も軽油とほぼ同等であり、軽油代替燃料として利用できる。
加えて、FAMEには、軽油と比較して、以下のような有利性がある。
FAMEは、植物油脂・動物油脂・廃食油などから製造できる。即ち、再生産可能な燃料であり、化石燃料のような将来的な枯渇の可能性が低い。また、FAMEはいわゆるカーボンニュートラルな燃料であるため、環境負荷を低減できる。廃食油からFAMEを製造した場合には、有用なリサイクル手法にもなりうる。その他、FAMEは酸素原子を含むため、FAMEを燃料として用いた場合、軽油の場合よりも、一酸化炭素、炭化水素、粒子状物質などの発生が低くでき、排ガスをクリーンにできる。
そのため、既に、複数の国において、ディーゼル自動車用燃料に使用する軽油に対し、2〜20%のFAMEを添加することが行われている。また、世界各国において、100%FAMEに含有する成分の規格化・准規格化が進んでおり(ニート規格)、軽油代替燃料として100%FAMEを用いることについても、政策面・技術面の両方から検討が始まっている。
FAMEの製造手段として、アルカリ触媒法、固体触媒法、酵素法、超臨界法、過熱アルコール蒸気法などが知られている。アルカリ触媒法、固体触媒法、酵素法は、触媒を用いてFAMEを製造する方法であり、超臨界法、過熱アルコール蒸気法は、無触媒でFAMEを製造する方法である。
アルカリ触媒法は、油脂とアルコールに水酸化カリウムなどを添加して50〜60℃で加熱処理する方法で、最も広く用いられている方法である(特許文献1〜4など参照)。固体触媒法は、油脂に溶けない固体触媒を用いる方法である(特許文献5など参照)。酵素法は、酵素を触媒として常温・常圧の条件下で緩やかにエステル交換を進行させ、FAMEを製造する方法である(特許文献6など参照)。
超臨界法は、239℃以上、8.1MPa以上の高温・高圧条件下で超臨界状態になったアルコールを用いてFAMEを製造する方法である(特許文献7〜9など参照)。過熱アルコール蒸気法は、高温・常圧条件下で、原料油脂と過熱アルコール蒸気とを混合してFAMEを製造する方法である(特許文献10など参照)。
特開2007−211139号公報 特開2008−231345号公報 特開2008−24841号公報 特開2008−1856号公報 特開2007−22988号公報 特開2006−288228号公報 特開2007−106689号公報 特開2008−106097号公報 特開2006−188590号公報 特開2006−28146号公報
本発明は、過熱アルコール蒸気法によるFAME製造技術において、FAMEの収率を向上させることなどを主な目的とする。
本発明者らの検討により、単に、原料油脂と過熱アルコール蒸気とを200〜300℃条件下で混合するだけでは、遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリドなどの不純物が多く生成され、FAMEの収率は80〜90%程度であることが明らかになった。
それに対し、本発明者らは、原料油脂と過熱アルコール蒸気とを200〜300℃条件下で反応させた後、その反応物と過熱アルコール蒸気とを180〜250℃条件下で再反応させることで、FAMEの収率を95%以上に向上できることを新規に見出した。
そこで、本発明では、原料油脂と過熱アルコール蒸気とを混合してFAMEを製造するFAME製造装置であって、原料油脂と過熱アルコール蒸気とを200〜300℃条件下で混合する第一反応部と、その反応物と過熱アルコール蒸気とを180〜250℃条件下で混合する第二反応部と、を少なくとも備えるFAME製造装置を提供する。
原料油脂と過熱アルコール蒸気とを200〜300℃条件下で混合する第一工程と、その反応物と過熱アルコール蒸気とを180〜250℃条件下で混合する第二工程との二段反応でFAMEを製造することにより、不純物を再反応させることができ、FAMEの収率を95%以上に向上できる。従って、モノグリセリド・ジグリセリドの残留量、酸度(遊離脂肪酸)など、世界各国でそれぞれ定められた100%FAMEに対する規格(ニート規格)の各基準値を満たすことができる。
このFAME製造装置は、第一反応部内及び/又は第二反応部内に、加熱された油脂(原料油脂、第一反応の反応物中の油脂など)と過熱アルコール蒸気とを配管内で混合する配管内混合手段を備える構成にしてもよい。
例えば、配管内混合手段として、管内部がスパイラル状に加工されたラインミキサーを用いて、加熱された油脂と過熱アルコール蒸気とを配管内で200〜300℃条件下、混合し、該管内でエステル交換反応を進行させることにより、FAMEの収率を向上させ、かつ、第一反応部・第二反応部の反応槽を小型化又は省略化できる。これにより、設備の簡略化・低コスト化及びランニングコストの抑制を図ることができる。
また、このFAME製造装置は、第一反応部及び/又は第二反応部で生成された反応物からFAMEを分離する分離手段、及び/又は、分離して得たFAMEを貯留する貯留槽を、アルコールの沸点以上の温度に保温する保温手段を備える構成にしてもよい。
分離手段・貯留槽などをアルコールの沸点以上の温度に保温することにより、アルコールを蒸発させることができる。これにより、最終生成物へのアルコールの残留を抑制できる。
本発明により、過熱アルコール蒸気法によるFAME製造技術において、FAMEの収率を向上でき、高純度なFAMEを得ることができる。
<本発明に係るFAME製造装置について>
本発明に係るFAME製造装置は、原料油脂と過熱アルコール蒸気とを混合してFAMEを製造する装置であって、原料油脂と過熱アルコール蒸気とを200〜300℃条件下で混合する第一反応部と、該反応物と過熱アルコール蒸気とを180〜250℃条件下で混合する第二反応部と、を少なくとも備えるものを全て包含する。
以下、図1〜図3を用いて、本発明に係るFAME製造装置の例を説明する。なお、本発明は、これらの構成のもののみに狭く限定されない。
図1は、本発明に係るFAME製造装置の構成及び製造フローの例を示す概略図である。なお、図中、破線は主にアルコールのフローを示す(以下、図2〜図4において同じ)。
原料油脂は、まず、油脂槽1に投入される。
原料油脂として、例えば、大豆油、パーム油、菜種油、ひまわり油、ピーナッツ油、綿実油、ヤシ油、ヤトロファ油、コーン油、サフラワー油(紅花油)、ごま油、オリーブ油、亜麻仁油(リンシードオイル)、ココナッツ油、カシ油、アーモンド油、アボガド油、ヘーゼルナッツ油、ウォルナッツ油、グレープシード油などの植物油脂、牛脂、ラード、馬油、獣脂、ミンク油、羊油、鶏油、バター、蚕蛾油、卵油、イワシ油、サバ油、サメ油、鯨油、肝油などの動物油脂、家庭・飲食店などで調理などに使われた廃食油などが挙げられる。
原料油脂を油脂槽1に投入する前又は後に、前処理として、フィルターなどを用いて、雑物・水分などを除去してもよい。これにより、反応効率の向上、装置の安定稼動を図ることができる。
次に、油脂加熱槽2に供給され、常圧雰囲気下で200〜300℃に加熱された後、第一反応槽61へ送られる。なお、油脂は常圧雰囲気下で200〜300℃の条件の場合、液体である。
一方、アルコールは、まず、アルコール槽3に投入される。次に、アルコール蒸発槽4に供給され、ここでアルコールの沸点以上の温度(メタノールの場合、常圧雰囲気下で約65℃以上)に加熱され、蒸発する。ここで、そのアルコール蒸気を脱水カラムなどに通し、水分を除去してもよい。
次に、そのアルコール蒸気をアルコール蒸気過熱槽5に供給し、常圧雰囲気下で200〜300℃に過熱し、その過熱アルコール蒸気を第一反応槽61に供給する。または、そのアルコール蒸気をアルコール蒸気過熱槽5に供給し、常圧雰囲気下で180〜250℃に過熱し、その過熱アルコール蒸気を第二反応槽71に供給する。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜3の脂肪族アルコール又はそれらの2種以上の混合物が挙げられ、メタノール又はエタノールが好ましく、メタノールが最も好ましい。
第一反応槽61は、図1のFAME製造装置Aにおいて第一反応部6を構成する部位である。常圧雰囲気下で、第一反応槽61に貯留する200〜300℃の油脂に200〜300℃の過熱アルコール蒸気を吹き込むなどすることにより、加熱処理した原料油脂と過熱アルコール蒸気とを200〜300℃条件下で混合し、エステル交換反応を進行させる。
この反応により、FAME、脂肪酸、メタノール、グリセリン、水分などが気体の状態で生成され、第二反応槽71に供給される。
第二反応槽71は、図1のFAME製造装置Aにおいて第二反応部7を構成する部位である。常圧雰囲気下で、第一反応槽61から供給された反応物と過熱アルコール蒸気とを180〜250℃条件下で混合し、エステル交換の再反応を進行させる。
この反応により、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリドなどの不純物を再反応させることができ、FAMEの収率を向上できる。
なお、第一反応槽61及び第二反応槽71に、例えば、邪魔板、ラシヒリングなどの充填部材を備える構成にすることにより、反応効率を向上できる。
次に、第二反応槽71で気体の状態で生成された反応物から、分離手段8によって各成分を分離し、貯留槽9へ供給する。
分離手段8は、例えば、アルコールとその他の成分とを分離するコンデンサー81及びサイクロン82、並びに、グリセリンとその他の成分を分離する比重分離槽83で構成することができる。
コンデンサー81及びサイクロン82は、第二反応槽71で気体の状態で生成された反応物から、アルコールとその他の成分とを分離する。そのアルコールを、アルコール蒸気循環手段84により、アルコール蒸気過熱槽5へ供給し、再利用してもよい。なお、アルコール蒸気循環手段84には、公知のポンプなどを用いることができる。
アルコール以外のその他の成分には、FAME、グリセリンなどが含まれる。比重分離槽83は、比重分離により、FAMEなどとグリセリンとを分離し、FAMEを貯留槽91に、グリセリンを貯留槽92に、それぞれ供給する。これにより、それぞれ、高品質なFAME及びグリセリンを得ることができる。
比重分離槽83で分離されたグリセリン以外のその他の成分(FAMEなどを含有する成分)を、FAME循環手段(図示せず、例えば、後述する実施例1における図4中、FAME還流ポンプ85を参照)を用いて第二反応槽71に再び供給する構成にしてもよい。これにより、エステル交換の再反応をさらに一又は複数回行うことができる。なお、FAME循環手段には、公知のポンプなどを用いることができる。
分離手段8及び/又は貯留槽9を、アルコールの沸点以上の温度に保温する保温手段を備える構成にしてもよい。これにより、最終生成物へのアルコールの残留を抑制できる。
本発明に係るFAME製造装置は、連続的にFAMEを製造できるという点から、図1のように、第一反応部6と第二反応部7をそれぞれ別の反応槽(符号61、71)で構成した場合の方が好適である。但し、第一反応部6と第二反応部7を同一の反応槽で構成した場合についても、本発明に包含される。
図2は、本発明に係るFAME製造装置の構成及び製造フローの別の例を示す概略図である。
図2のFAME製造装置A’は、第一反応槽61と第二反応槽71との間にも、分離手段8’を備える。
分離手段8’は、前記と同様、例えば、アルコールとその他の成分とを分離するコンデンサー81’及びサイクロン82’、並びに、グリセリンとその他の成分を分離する比重分離槽83’で構成することができる。
コンデンサー81’及びサイクロン82’は、第一反応槽61で気体の状態で生成された反応物から、アルコールとその他の成分とを分離する。そのアルコールは、アルコール蒸気過熱槽5’に供給され、常圧雰囲気下で180〜250℃に過熱され、第二反応槽71に供給される。
比重分離槽83’は、比重分離により、グリセリンとその他の成分とを分離する。グリセリン以外のその他の成分には、FAME、遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリドなどが含有する。それらの成分を第二反応槽71に供給し、エステル交換の再反応を進行させる。
この反応により、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリドなどの不純物を再反応させることができ、FAMEの収率を向上できる。
図3は、本発明に係るFAME製造装置の構成及び製造フローの別の例を示す概略図である。
図3のFAME製造装置Bは、第一反応部6内に、加熱された油脂と過熱アルコール蒸気とを配管内で混合する配管内混合手段62を備える。配管内混合手段62として、例えば、管内部がスパイラル状に加工されたラインミキサーを用いることができる。
例えば、油脂加熱槽2において常圧雰囲気下200〜300℃に加熱された油脂と、アルコール蒸気過熱槽5において常圧雰囲気下200〜300℃に過熱した過熱アルコール蒸気とを配管内混合手段62で混合し、エゼクター63などを用いて、その混合物を第一反応槽61に噴射・供給する。これにより、油脂とアルコールの接触面積を増大させ、反応速度を高めることができ、かつ、FAMEの収率を向上させることができる。
図3のFAME製造装置Bでは、反応せずに第一反応槽61に貯留した油脂を、液体循環手段64により配管内混合手段62に供給し、過熱アルコール蒸気と再混合する。これにより、油脂の利用を効率化できる。なお、液体循環手段64には、公知のポンプなどを用いることができる。
また、配管内混合手段62をアルコール自給式にすることにより、アルコール蒸気循環手段が不要になり、省エネルギー化が可能になる。
なお、図3のFAME製造装置Bは、第一反応部6内に配管内混合手段62などを備える構成であるが、本発明はそれのみに狭く限定されない。即ち、例えば、第二反応部7内、又は、第一反応部6内及び第二反応部7内の両方に同様の構成を有するものについても本発明に包含される。
<本発明に係るFAME製造方法について>
本発明に係るFAME製造方法は、原料油脂と過熱アルコール蒸気とを混合してFAMEを製造する方法であって、原料油脂と過熱アルコール蒸気とを200〜300℃条件下で混合する第一工程と、該反応物と過熱アルコール蒸気とを180〜250℃条件下で混合する第二工程と、を少なくとも含むものを全て包含する。
第一工程では、原料油脂と過熱アルコール蒸気とを200〜300℃条件下で混合する。
例えば、原料油脂を、前処理として雑物・水分などを除去した後、常圧雰囲気下で200〜300℃に加熱する。次に、常圧雰囲気下で200〜300℃の過熱アルコール蒸気をその原料油脂に吹き込むなどし、エステル交換反応を進行させる。
この反応により、80〜90%の純度のFAMEを得ることができる。この反応物には、FAMEのほかに、遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリドなどの不純物が含有する。
第二工程では、第一工程で得られた反応物と過熱アルコール蒸気とを180〜250℃条件下で混合する。
例えば、第一工程で得られた反応物に常圧雰囲気下で180〜250℃の過熱アルコール蒸気をその原料油脂に吹き込むなどし、エステル交換の再反応を進行させる。この反応により、95%以上の純度のFAMEを得ることができる。
第二工程における反応温度は、温度が高いほど反応速度が速くなるが、250℃を超えるとモノグリセリドなどの生成が多くなり、FAMEの収率が低くなる。一方、180℃よりも温度が低いと、FAME生成量が極端に低下する。従って、180〜250℃が好適であり、200〜250℃がより好適であり、220〜250℃が最も好適である。
なお、第一工程及び/又は第二工程において、加熱された油脂と過熱アルコール蒸気とを配管内で混合する手順を含んでもよい。これにより、FAMEの収率を向上できる。
また、第一工程及び/又は第二工程で生成された反応物を、アルコールの沸点以上の温度で保温する手順を含んでもよい。これにより、残留アルコールを簡易に除去でき、また、負圧条件にすることにより、より効率的にアルコールを除去できる。
<本発明に係るFAMEについて>
本発明に係るFAMEは、上述のFAME製造装置又はFAME製造方法で生成されたものを全て包含する。
本発明に係るFAMEは、触媒を使用していないため触媒由来の物質を一切含有しない、FAMEの純度が95%以上である、遊離脂肪酸の含有率が4%以内である、モノグリセリドを0.8%以下、ジグリセリドを0.2%以下含有し、トリグリセリドをほとんど含有しない、という特徴を有する。なお、使用した原料油脂により若干異なる場合がある。
実施例1では、試作装置を用いて、二段反応によるFAME製造試験を行った。
試作装置の概略図を図4に示す。
試作装置の構成は、図1及び図2で示した装置とほぼ同じである。試作装置では、油脂加熱槽2から反応槽60に供給された油脂を原料油脂循環ポンプ21で循環させる構成である点、第一反応部6及び第二反応部7に同一の反応槽60を用いている点、第一反応で得られた反応物をFAME還流ポンプ85で反応槽60に再供給している点で、図1などのFAME製造装置と構成が異なる。
廃パーム油を主成分とする廃食油を試作装置に投入し、油脂加熱槽2で270℃に加熱し、反応槽60に供給するとともに、原料油脂循環ポンプ21で油脂を循環させ、油脂の温度を維持させた。そこに、270℃の過熱メタノール蒸気を3時間吹き込み、第一反応を進行させた。
次に、FAME還流ポンプ85により、第一反応で得られた反応物を同一の反応槽60に供給し、各温度の過熱メタノール蒸気を3時間吹き込み、第二反応を進行させた。
第一反応及び第二反応で得られた反応物の組成分析をTLC−FID法(Thin−layer Chromatography−Flame Ionization Detector method;薄層クロマトグラフィー−水素炎イオン化法)で行った。
結果を図5及び図6に示す。ぞれぞれ、図5は、各反応温度における第二反応時のFAME濃度を示すグラフ、図6は、各反応温度における第二反応時の不純物濃度を示すグラフである。
図5の各棒線は各反応温度(再製造温度)における第二反応時のFAME濃度を、「粗FAME」の棒線は第一反応で得られた反応物のFAME濃度を、縦軸はFAME濃度(収率;%)をそれぞれ表す。なお、図中の点線は、日本におけるニート規格の下限値を示す。
図6の各棒線は各反応温度(再製造温度)における第二反応時の値を示し、左からそれぞれ水分濃度(符号1)、遊離脂肪酸濃度(FFA;符号2)、トリグリセリド濃度(TG;符号3)、ジグリセリド濃度(DG;符号4)、モノグリセリド濃度(MG;符号5)を表す。「粗FAME」の各棒線は第一反応で得られた反応物の各成分濃度を、縦軸は各成分濃度(%)をそれぞれ表す。その他、図中の点線は、各成分についての日本におけるニート規格の上限値を示す。
図5に示す通り、第一反応におけるFAME濃度(収率)は90%以下だったのに対し、第二反応を行った場合、200℃〜230℃で再反応を行った時にはFAME濃度が96.5%以上であった。一方、260℃で再反応を行った時には、200℃〜230℃で再反応を行った時と比較して、FAME濃度が低かった。
図6に示す通り、第一反応で得られた反応物では、遊離脂肪酸、ジグリセリド、モノグリセリドの含有率が高かったのに対し、第二反応を行った場合、200℃〜230℃で再反応を行った時にはそれらの不純物の濃度が低かった。一方、260℃で再反応を行った時には、200℃〜230℃で再反応を行った時と比較して、それらの不純物の濃度が高くなった。
以上の結果は、常圧雰囲気下180〜250℃で第二反応を行うことにより、FAMEの収率を向上でき、不純物の生成を抑制できることを示す。
なお、第二反応におけるFAME製造速度(反応の進行速度)は、反応温度が高いほど反応速度が速かった。即ち、反応温度が200℃の場合には製造速度が約300L/日であったのに対し、反応温度が10℃上がると製造速度が比例的に約170L/日増加し、反応温度が230℃の場合には製造速度が約800L/日であった。
この結果は、第二反応を行う場合、常圧雰囲気下180〜250℃の範囲であれば、温度が高い方がより好適であることを示唆する。即ち、第二反応における反応温度は、180〜250℃が好適であり、200〜250℃がより好適であり、220〜250℃が最も好適であることを示唆する。
従来、過熱アルコール蒸気法によるFAME製造技術では、FAMEの収率、純度が充分でないという課題があった。それに対し、本発明は、過熱アルコール蒸気法によるFAME製造技術において、FAMEの収率を向上でき、高純度なFAMEを得ることができる。従って、本発明は有用である。
アルカリ触媒法によるFAME製造は、遊離脂肪酸とけん化反応し収率が低下する、生成物から触媒を除去する工程が別途必要となる、触媒が残存するためグリセリンの再利用が困難である、生成する遊離脂肪酸が触媒作用を阻害する、などの問題がある。酵素法によるFAME製造は、生物反応によるため収率の向上が困難である、酵素の価格が高い、などの問題がある。超臨界法によるFAME製造は、高温・高圧による設備費用・運転費用が高いという問題がある。
それに対し、本発明に係る手段は、触媒を利用しない、常圧での反応が可能であるため、装置の低コスト化、安全性の向上が可能である、触媒を使用しないため遊離脂肪酸を含む油脂を原料として用いることができる、などの有利性がある。
また、触媒を用いないので、比較的高品質のグリセリンを生成できる。従って、グリセリンの再利用という観点からも、本発明は有用である。
本発明により製造されたFAMEは、バイオディーゼル燃料として、軽油代替燃料などにも利用できる。
本発明に係るFAME製造装置の構成及び製造フローの例を示す概略図。 本発明に係るFAME製造装置の構成及び製造フローの別の例を示す概略図(第一反応槽61と第二反応槽71との間にも分離手段8’を備える場合)。 本発明に係るFAME製造装置の構成及び製造フローの別の例を示す概略図(配管内混合手段62を備える場合)。 実施例1における試作装置の概略図。 実施例1において、各反応温度における第二反応時のFAME濃度を示すグラフ。 実施例1において、各反応温度における第二反応時の不純物濃度を示すグラフ。
1 油脂槽
2 油脂加熱槽
3 アルコール槽
4 アルコール蒸発槽
5 アルコール蒸気過熱槽
5’ アルコール蒸気過熱槽
6 第一反応部(反応槽)
61 第一反応槽
62 配管内混合手段
63 エゼクター
64 液体循環手段
7 第二反応部
71 第二反応槽
8 分離手段
81 コンデンサー
82 サイクロン
83 比重分離槽
84 アルコール蒸気循環手段
85 FAME還流ポンプ(FAME循環手段)
9 貯留槽
91 FAME貯留槽
92 グリセリン貯留槽

Claims (6)

  1. 原料油脂と過熱アルコール蒸気とを混合してFAME(Fatty Acid Methyl Ester;脂肪酸メチルエステル、以下同じ)を製造するFAME製造装置であって、
    原料油脂と過熱アルコール蒸気とを200〜300℃条件下で混合する第一反応部と、
    該第一反応で得られた反応物と新たに供給された過熱アルコール蒸気とを180〜250℃条件下で混合する第二反応部と、
    を少なくとも備えるFAME製造装置。
  2. 前記第一反応部内及び/又は前記第二反応部内に、加熱された油脂と過熱アルコール蒸気とを配管内で混合する配管内混合手段を備える請求項1記載のFAME製造装置。
  3. 前記第一反応部及び/又は前記第二反応部で生成された反応物からFAMEを分離する分離手段、及び/又は、分離して得たFAMEを貯留する貯留槽を、前記アルコールの沸点以上の温度で保温する保温手段を備える請求項1又は請求項2記載のFAME製造装置。
  4. 原料油脂と過熱アルコール蒸気とを混合してFAMEを製造するFAME製造方法であって、
    原料油脂と過熱アルコール蒸気とを200〜300℃条件下で混合する第一工程と、
    該第一工程で得られた反応物と新たに供給された過熱アルコール蒸気とを180〜250℃条件下で混合する第二工程と、
    を少なくとも含むFAME製造方法。
  5. 前記第一工程及び/又は前記第二工程において、
    加熱された油脂と過熱アルコール蒸気とを配管内で混合する手順を含む請求項4記載のFAME製造方法。
  6. 前記第一工程及び/又は前記第二工程で生成された反応物を、前記アルコールの沸点以上の温度で保温し、残留アルコールを除去する工程を含む請求項4又は請求項5記載のFAME製造方法。
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