JP4849152B2 - 結露防止プレート用保持具 - Google Patents

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本発明は、アングル材等の配管支持材に載せて空調用被覆銅管、水道管、ガス被覆管などの配管を横引き施工するのに好適な結露防止プレート用保持具に係り、配管支持材が接触する部分の減肉により生じる保温材の保温性を損ねることがなく、保温性能の低下により生じる結露等の各種不都合を解消することができる結露防止プレート用保持具に関する。
空調用被覆銅管やガス被覆管などの冷媒用被覆銅管には、配管の外側に発泡ポリエチレンや発泡ポリウレタン等の保温材からなる保温被覆層を備えている。そのため、この保温被覆層の外側から配管を支持した場合、この配管用吊りバンドが接する部分に配管の荷重が集中し局部的に圧迫が生じることになり、所謂、圧縮クリープ変形が生じる。その結果、所定の厚みに形成された保温被覆層が減肉し、保温材の保温効果が部分的に失われ、この減肉部分に結露が生じるものである。
このように、配管支持材に接触した部分に結露が生じると、長期間の使用過程でこの結露が水滴となって天井の裏面や各種機材等に落下し、この周辺を腐食させ、あるいはカビ等が発生するおそれがあった。そのため、従来では、カビの被害を蒙った天井ボードの交換や、腐食した機材等の補修が必要になることもある。
そこで、従来では、配管支持材と配管との間にマット状発泡シートを介することで、配管の保温材が潰れないようにする提案が成されている(特許文献1)。
特開2007‐147024号公報
ところが、特許文献1に記載の如く、L形アングル等の配管支持材上に配管を載置すると、配管の荷重がこの配管支持材との接触部分に集中する。そのため、特許文献1に記載のようなマット状発泡シートを介したとしても、配管の荷重が配管支持材との接触部分に集中することに変わりはない。
したがって、マット状発泡シートが配管支持材の接触部分で潰れていくことは防ぎようもなく、マット状発泡シートを介在することで保温材の潰れを遅延化することは可能でも、長期の使用でマット状発泡シートの変形が進み、その後、配管の保温材まで変形し減肉するおそれがあった。このように、配管支持材と配管との間にマット状発泡シートを介在しただけでは、保温材が潰れる初期時間を遅くできるとしても、長期の使用によって生じる保温材の減肉を完全に防止することはできない。この結果、マット状発泡シートが加わった保温材の厚みが、長期の使用によって当初の保温材の厚みよりも薄くなる可能性があり、保温材の保温効果を長期的に維持することは困難であった。
しかも、配管支持材と配管との間にマット状発泡シートを介在する配管手法では、配管を固定する為にUボルト等を配管支持材にネジ止めする必要がある。このUボルトは配管の上面から配管支持材にネジ止めする構造であるから、このUボルトの緊締力が配管支持材と配管との間に介在したマット状発泡シートにも及ぶことになり、Uボルトの装着がマット状発泡シートの変形を早めることにもなる。
さらに、このUボルトは各配管についてそれぞれ取り付ける必要がある。この場合、Uボルトの内側にマット状発泡シートを収納した状態で配管支持材にネジ止めする作業になるので、このUボルトの装着作業に多くの手間を要する不都合もある。
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、保温被覆層を備えた冷媒用被覆銅管等をL形アングル等の配管支持材上に長期間支持しても、保温被覆層の保温性を損ねることがなく、しかも、配管の支持作業を合理化することができる結露防止プレート用保持具の提供を目的とするものである。
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、外側に保温被覆層が設けられた配管Pと該配管Pを載置する配管支持材Rとの間に介在される結露防止プレート10を、配管Pごと配管支持材R上に固定するプレート保持具20であって、結露防止プレート10は、配管支持材Rの載置面積よりも広い面積で配管Pの保温被覆層下面を保持する略板状の保持体11が形成され、該保持体11の保持面に保温性を有する緩衝材12を配した構成を成し、プレート保持具20は、正面略U字形状を成す保持体21と該保持体21の底部に設けられた固定体25とからなり、該固定体25の底部を配管支持材Rの上面に固定すると共に、保持体21の内側に装着した結露防止プレート10を介して配管Pを保持体21で支持するように設けた結露防止プレート用保持具であって、プレート保持具20の保持体21は、配管Pを上下に重ねた状態で支持する長さに形成され、配管支持材Rは、載置面となる長手側面に沿って長孔状又は円形状の連結孔R1が連続形成されたアングル材又はチャンネル材を使用すると共に、固定体25の底部に係止突起26を突設し、該係止突起26を配管支持材Rの上面に開穿された連結孔R1に挿入固定するように設けている。
の手段において、前記プレート保持具20の保持体21の外側面に、配管Pと共に配線されるケーブルSを係止せしめる係止部22を設けたものである。
の手段は、前記固定体25の外側面に、隣接設置される他のプレート保持具20の固定体25に接続せしめる接続部27を備えている。
の手段は、前記プレート保持具20の保持体21の内側に押圧突起24を形成し、保持体21内に重ねられた上下の配管Pを該押圧突起24にて挟着するように設けたことを課題解消のための手段とする。
本発明の請求項1に記載の結露防止プレート10により、配管Pと配管支持材Rとの接触面積は、結露防止プレート10の保持体11により、配管支持材Rの接触面積よりも広くなっているので、配管Pを配管支持材Rに載置したときに配管Pの荷重が広く分散されることになる。そして、荷重が分散された被覆層に対して緩衝材12が広く接触するので、長期間の使用でも被覆層の変形を極めて少なくすることができる。しかも、保温被覆層の僅かな肉厚減少部分の保温性を緩衝材12が補充するように設けているので、L形アングル等の配管支持材上に長期間支持しても、保温被覆層の保温効果を損ねることがない。この結果、結露に伴うカビの発生や、各種機材等の腐食など種々の不都合を解消することができた。
さらに、固定体25を配管支持材R上に固定すると共に、保持体21の内側に前記配管用結露防止プレートを装着するように設けたプレート保持具20により、結露防止プレート10を介しての配管Pの取り付け作業が頗る容易に行えるものである。
また、本発明で使用する配管支持材Rは、配管工事で通常使用されているアングル材又はチャンネル材等の各種配管支持材Rの使用が可能になり、極めて多くの配管工事に使用することができる。
更に、前記保持体21を、図9に示す如く前記配管Pを上下に重ねて装着できる長さに形成しているので、図10に示すような配管Pを配管支持材R上に横並びに配置した状態と比較して配管支持材R上の配置スペースが少なくて済み、合理的な配管工事が可能になる。
しかも、結露防止プレート10の保持体11にて配管Pの荷重を広く分散し、緩衝材12にて被覆層の保温効果を補填するので、配管Pを上下に重ねることで、配管支持材Rに載置する支持荷重が増大しても、被覆層の保温効果を損ねるおそれはない。
また、図8(ロ)に示す如く、従来の如く横並びに設置した配管Pが、共に横方向に屈曲される場合、外側の配管Pと内側の配管との曲げ半径に差ができてしまい、外側の配管Pの長さが内側の配管Pに比べて長くなる不都合も生じていた。ところが、本発明のように配管Pを上下に重ねて支持した場合は、図8(イ)に示す如く、共に横方向に屈曲されても曲げ半径に差が出ず、配管Pの長さが異なるといった不都合は生じない。
更に、固定体25に突設された係止突起26を配管支持材R上に開穿された連結孔R1に挿入固定するように設けたことにより、結露防止プレート10を介して配管支持材Rに支持する配管Pの高所での取り付け作業が頗る容易に行えるものである。
請求項に記載の係止部22により、配管Pと共に配線される各種のケーブルSを配管支持材Rの位置ごとに固定できるようになるので、配管Pの設置作業と共に合理的な配線作業が可能になる。
請求項に記載の如く、固定体25の外側面に、隣接設置される他のプレート保持具20の固定体25に接続せしめる接続部27を備えているので、配管支持材R上に複数のプレート保持具20を設置した場合でも、隣接するプレート保持具20同士を連結できるので、配管支持材Rに対してプレート保持具20をより安定した状態で、しかも等間隔に固定することができる。
請求項に記載の押圧突起24により、重ねられた配管Pの上部の配管Pを挟着固定することで、たとえ径が大きな配管Pを上下に重ねた場合でも安定した設置が可能になるものである。
このように、本発明によると、保温被覆層を備えた冷媒用被覆銅管等をL形アングル等の配管支持材上に長期間支持しても、保温被覆層の保温効果を損ねることがなく、しかも、配管の支持作業を合理化することができるなどといった有益な種々の効果を奏するものである。
本発明の一実施例を示す分解斜視図である。 本発明の一実施例を示す正面図である。 本発明プレート保持具に結露防止プレートを装着した状態を示す側面図。 配管支持材に本発明プレートを装着した状態を示す斜視図。 本発明の使用状態を示す斜視図である。 本発明の他の実施例を示す斜視図である。 本発明の他の実施例を示す正面図である。 併設した配管支持材の屈曲状態を示す平面図であり、(イ)は上下に重ねた状態、(ロ)は横並びにした状態を示す。 本発明による配管状態を示す概略正面図である。 従来の配管状態を示す概略正面図である。
本発明において、結露防止プレート10は、配管支持材Rと保温被覆層との間に装着され、配管支持材Rの支持面積よりも広い面積で配管Pの保温被覆層下面を保持する略板状の保持体11を形成する。該保持体11の保持面に保温性を有する緩衝材12を配するものである。一方、プレート保持具20は、側面略U字形状を成す保持体21と該保持体21の底部に設けられた固定体25とからなり、該固定体25に突設された係止突起26を配管支持材R上に開穿された連結孔R1に挿入固定すると共に、保持体21の内側に前記配管用結露防止プレートを装着するように設けることで、当初の目的を達成するものである。
以下、本発明の一実施例を説明する。本発明は、配管Pの被覆層に装着する結露防止プレート10と、これら配管P及び結露防止プレート10を配管支持材R上に支持固定するプレート保持具20にて構成されている(図1参照)。
配管Pは、主に銅管の外側に発泡ポリエチレンや発泡ポリウレタン等の保温被覆層を備えた空調用被覆銅管であるが、このほか、保温被覆層を備えた水道管やガス被覆管などの配管Pでもよい。空調用被覆銅管の場合は、ガス管や液管として使用される2本の断熱被覆銅管が一組として使用される。この場合、後述するプレート保持具20で2本の配管Pを上下に重ねて支持できるようにしている(図5参照)。
配管支持材Rは、天吊り配管工事等で通常使用されているL形アングル材や、他の部材と併用されるチャンネル材等の各種配管支持材Rを使用するもので、配管Pの載置面となる長手側面に沿って長孔状又は円形の連結孔R1が連続形成されたものが使用される(図4参照)。図示例では、長孔状の連結孔R1が連続形成されたL形アングル材を配管支持材Rとしたもので、この連結孔R1に後述するプレート保持具20の固定体25を装着する。
結露防止プレート10は、配管支持材Rと配管Pの保温被覆層との間に配され、配管Pの底面から側面にかけて包むように装着するもので、略板状の保持体11と保温性を有する緩衝材12とで構成されている(図1参照)。
保持体11は、配管支持材Rの載置面の幅よりも広い保持面積を有する部材で、配管支持材Rと配管Pとの間に装着される(図5参照)。この保持体11は、合成樹脂材又は金属材等の板材にて形成されるもので、図示例では矩形状の板が湾曲して略樋形状を成している。図紙の保持体11には、後述するプレート保持具20への装着を確実にするために、切り欠き状の係合部11Aを形成し、この係合部11Aにプレート保持具20の保持体21を係合するように形成している(図3参照)。また、この保持体11の形状は図示例に限られるものではなく、弾性を有する板体状や配管Pの保温被覆層周囲を囲む断面略円形状など、配管Pを保持できる形状であれば良い。そして、少なくとも保温被覆層下面から配管Pの側面を包み込むように保持体11が延長されている。
緩衝材12は、保持体11の保持面に配されるもので、保温被覆層の減肉を極力防止する緩衝性乃至弾性を有する(図1参照)。更に、この緩衝材12自体に保温効果を有し、減肉部分に生じる保温性の低下を防止する材質が選択される。例えば、ポリエチレンフォーム材、ウレタンフォーム材、塩ビフォーム材、硬質ゴム材、スポンジゴム材、フェルト材、樹脂系発泡クッション材のいずれか、又は該材質の組合せ、又は該材質に他の材質を組み合わせた緩衝材12が好適である。
また、これらの材質以外でも、保温被覆層の減肉を緩和せしめる緩衝性乃至弾性と保温性とを兼ね備えた材質であれば、緩衝材12として使用することが可能である。更に、例えば硬質合成樹脂材の保持体11に、軟質合成樹脂材の緩衝材12を二層成形し、これら保持体11と緩衝材12とを一体成形することも可能である(図示せず)。
プレート保持具20は、配管支持材R上に配管用結露防止プレート10を介して配管Pを支持する部材である(図1参照)。すなわち、該プレート保持具20は正面略U字形状を成す保持体21と、該保持体21の底部に設けられた固定体25とからなる(図2参照)。そして、配管支持材R上に固定体25を固定して保持体21を立設し、立設された保持体21の内側に装着した結露防止プレート10を介して保持体21内に配管Pを支持するものである(図4、図5参照)。
この保持体21は、ガス管や液管として使用され2本の断熱被覆銅管を一組の配管Pとして上下に積重ねた状態で装着できる長さに形成されている(図5参照)。また、保持体21の外側面にケーブルS係止用の係止部22を設けている(図2、図7参照)。この係止部22は、配管Pと共に配線される各種ケーブルSを係止するものである(図5参照)。
さらに、図1乃至図5に示すプレート保持具20では、保持体21の内側に押圧突起24を形成し、該押圧突起24にて重ねされた上部の配管Pを挟着するように設けている(図5参照)。すなわち、この押圧突起24は、径が大きい配管Pを支持した際に、上部の配管Pを挟着固定することで、配管Pの支持状態を安定させるものである。
また、図6及び図7に示す如く、押圧突起24を設けない保持体21を使用することも可能である。このような保持体21は、径が小さな配管Pを支持するのに好適である。
固定体25の底部に、プレート保持具20を固定する係止突起26が突設されている(図2、図7参照)。この係止突起26は、配管支持材Rの上面に開穿された連結孔R1に挿入固定するもので、図示例の係止突起26は、複数の鉤状突起を組み合わせた構成を成し、長孔状の連結孔R1に係止突起26を挿し込み固定するように設けている(図4参照)。このような係止突起26によると、差し込んだ連結孔R1に沿って係止突起26を移動することが可能になる。このとき、図示の固定体25は、正面略矩形状に開口した略角筒状を成しており、連結孔R1に係止突起26を挿し込み固定する際に、この固定体25が僅かに変形して係止突起26による係合力を高めるようにしている。また、略角筒状を成した固定体25の内部に補強リブ等を設けて固定体25の強度を高めることも可能である。尚、固定体25や係止突起26の数や形状は、連結孔R1の形状やサイズ等により適宜選択できるものである。また、固定体25の固定手段は係止突起26に限られるものではなく、配管支持材R上に配管Pを支持可能な固定手段であればよい。
また、固定体25の外側面に接続部27を備えている(図2、図7参照)。この接続部27は、隣接設置される他のプレート保持具20の固定体25に接続せしめる部材である。図示例では、互いに嵌合自在な凹状部27Aと凸状部27Bとからなる接続部27が固定体25の左右側面に形成されている。このような接続部27により、隣接する他の固定体25同士を簡単に接続することができる。
保持体21の上端部は、外側に向かって傾斜する導入片23を形成しており、配管Pの挿入作業を容易にしている。また、保持体21内部に配管Pを配置した後、この導入片23相互を結束帯等の緊締具28に固定することで、配管Pをより強固に支持することができる(図5参照)。図示例では、緊締具28の緊締位置に切欠き部29を形成している(図1、図6参照)。
尚、本発明は、図示例に限定されるものではなく、配管支持材Rや保持体11、緩衝材12の寸法や形状等の設計変更、および材質の変更などは任意に行えるものであり、本発明の要旨を変更しない範囲における実施例の変更は自由である。
本発明によると、空調用被覆銅管のみならず、水道管、ガス被覆管などの配管を横引き施工する場合などにも適用できる。
P 配管
R 配管支持材
R1 連結孔
S ケーブル
10 結露防止プレート
11 保持体
11A 係合部
12 緩衝材
20 プレート保持具
21 保持体
22 係止部
23 導入片
24 押圧突起
25 固定体
26 係止突起
27 接続部
27A 凹状部
27B 凸状部
28 緊締具
29 切欠き部

Claims (4)

  1. 外側に保温被覆層が設けられた配管と該配管を載置する配管支持材との間に介在される結露防止プレートを、配管ごと配管支持材上に固定するプレート保持具であって、結露防止プレートは、配管支持材の載置面積よりも広い面積で配管の保温被覆層下面を保持する略板状の保持体が形成され、該保持体の保持面に保温性を有する緩衝材を配した構成を成し、プレート保持具は、正面略U字形状を成す保持体と該保持体の底部に設けられた固定体とからなり、該固定体の底部を配管支持材の上面に固定すると共に、保持体の内側に装着した結露防止プレートを介して配管を保持体で支持するように設けた結露防止プレート用保持具であって
    保持体は、配管を上下に重ねた状態で支持する長さに形成され
    配管支持材は、載置面となる長手側面に沿って長孔状又は円形状の連結孔が連続形成されたアングル材又はチャンネル材を使用すると共に
    固定体の底部に係止突起を突設し、該係止突起を配管支持材の上面に開穿された連結孔に挿入固定するように設けたことを特徴とする結露防止プレート用保持具。
  2. 前記保持体の外側面に、配管と共に配線されるケーブルを係止せしめる係止部を設けた請求項1記載の結露防止プレート用保持具。
  3. 前記固定体の外側面に、隣接設置される他のプレート保持具の固定体に接続せしめる接続部を備えた請求項1記載の結露防止プレート用保持具。
  4. 前記保持体の内側に押圧突起を形成し、保持体内に重ねられた上下の配管を該押圧突起にて挟着するように設けた請求項1記載の結露防止プレート用保持具。
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