JP4848774B2 - 音響装置、音響再生方法および音響再生プログラム - Google Patents

音響装置、音響再生方法および音響再生プログラム Download PDF

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Description

この発明は、例えば、5.1チャンネルサラウンド音声信号などのリアチャンネルを有する音声信号を再生する場合に、広い受聴エリアを形成することが可能な装置、方法およびプログラムに関する。
大画面ディスプレイと5.1チャンネルのサラウンドスピーカシステムとを用いたホームシアターシステムが用いられるようになってきている。ここで、5.1チャンネルのサラウンドスピーカシステムは、視聴者の前方に配置される左チャンネル(Lch)スピーカと、センターチャンネル(Cch)スピーカと、右チャンネル(Rch)スピーカと、視聴者の後方に配置されるサラウンド左チャンネル(SLch)スピーカと、サラウンド右チャンネル(SRch)スピーカと、サブウーハーチャンネル(Wch)スピーカの6つの音声チャンネルを備え、臨場感のある再生音場を形成することができるものである。
すなわち、5.1チャンネルの「5」は、3つのフロントスピーカと2つのサラウンドスピーカ(リアスピーカ)とを意味し、「.1」は、低周波成分を補うサブウーハーチャンネルを意味している。最近では、7.1チャンネルのサラウンドスピーカシステムなど、よりチャンネル数の多いサラウンドスピーカシステムも提供されるようになってきている。
受聴者の前方にのみ配置されるスピーカを通じてリアチャンネルの音声信号をも出力するいわゆるフロントサラウンド方式のスピーカシステムを供えたホームシアターシステムを用いて、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)などに記録されて提供される5.1チャンネルの音声対応の映画コンテンツを再生して視聴する場合、最も効果的に臨場感のある音声を聴取することができる視聴位置(受聴位置)は、受聴者の前方に配置される左チャンネル(Lch)スピーカと右チャンネル(Rch)スピーカとの真ん中の対称軸上、すなわち、左チャンネル(Lch)スピーカと右チャンネル(Rch)スピーカとの両方に対して等距離となる位置のみである。
ホームシアターシステムは、1人で利用する場合ももちろんあるが、家族全員などのように、複数人で利用する場合もある。しかし、上述したように、最も効果的に臨場感のある音声を聴取することができるのは、左右のスピーカの対称軸上に位置する1人の受聴者だけであり、その周囲の受聴者にとっては、効果的に臨場感のある音声を聴取できない場合もあると考えられる。
そこで、特許文献1には、いわゆるフロントサラウンド方式のスピーカシステムについての技術であって、左右スピーカの中央位置の受聴者とその両隣の合計3人の受聴者について、それぞれの受聴者の耳までの伝達関数の補正とディレイ(遅延)による時間軸調整とによって後方定位感を3人に知覚させるようにする技術が開示されている。この特許文献1に記載の技術を用いることにより、3人の受聴者が同時に臨場感のある音声を聴取可能な再生音場を形成することができるようにされる。
なお、上述した特許文献1は、以下の通りである。
特開平05−244697号公報
ところで、受聴者の後方に設置されるべきサラウンドスピーカを用いずに、後方から耳へ到来する音の伝達特性と同じ伝達特性を前方設置スピーカで再現するという、トランスオーラル技術を用いて、臨場感のある再生音場を形成する例えば特許文献1に記載の技術のようなフロントサラウンド方式を用いたスピーカシステムが広く利用されるようになってきている。
しかし、上述した特許文献1に開示された技術の場合、受聴者の耳までの伝達関数の補正によって後方定位を知覚させるので、3人のそれぞれの受聴位置が想定した受聴位置からずれると、受聴者の耳に生じる音声信号の波形に誤差が生じて後方定位が知覚されないという問題がある。また、音の受聴者の耳までの伝達関数には個人差があり、たとえ受聴位置がシステムで想定した位置であっても、個人差の影響から受聴者によっては後方定位を知覚できないことがあるという問題がある。
また、一般に、トランスオーラル技術を用いる場合には、伝達特性の個人差の影響と受聴位置のずれによる伝達特性の誤差の影響という2つの誤差のために、必ずしも明確な後方音像を得られるとは限らない。つまり、たとえ後方への定位感が得られたとしても、側方または後方で鳴っているという漠然とした感覚しか得られず、通常言われるような明確な音像の定位は得られないという問題がある。
以上のことにかんがみ、この発明は、受聴者が左右のスピーカの真ん中の対称軸上にいなくても、後方からのサラウンド音や拡がり感を知覚できるようにし、家族など多人数でステレオ音楽番組や映画を例えば大画面テレビで楽しむような場合でも、全員が後方からのサラウンド音や拡がり感を得ることができるフロントサラウンド方式の音響装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の音響装置は、
後方サラウンド音のチャンネルであるリアチャネルをもつサラウンド音源を、受聴者の前方にのみに隣接して配置される複数のスピーカからなるスピーカ群を通じて再生するフロントサラウンド方式の音響装置であって、
前記リアチャンネルの信号に基づいて、前記スピーカ群から受聴エリアまでの伝達特性をキャンセルし後方から受聴エリアへの伝達特性を畳み込んだ主信号を生成する主信号生成手段と、
前記主信号と同じ信号から逆相信号を形成するとともに、少なくとも当該逆相信号の位相を遅延させた補助信号を生成する補助信号生成手段と、
前記スピーカ群に供給する音声信号であって、前記補助信号とは互いに左右反対方向から受聴エリアに向かって平面波として放射する主信号についての音場合成信号を前記主信号から形成する主信号用の音場合成信号生成手段と、
前記スピーカ群から放射する音声の音声信号であって、前記主信号とは互いに左右反対方向から受聴エリアに向かって平面波として放射する補助信号についての音場合成信号を前記補助信号から形成する補助信号用の音場合成信号生成手段と
前記スピーカ群に供給する音声信号であって、前記リアチャンネル以外のフロントチャンネルの音声信号のそれぞれを仮想スピーカから放射するようにする前記フロントチャンネルについての音場合成信号を前記フロントチャンネルの音声信号のそれぞれから形成するフロントチャンネル音声信号用の音場合成信号生成手段と
を備えることを特徴とする。
このような構成を有する請求項1に記載の発明の音響装置によれば、後方定位させる伝達特性のスペクトル包絡が受聴者の耳へ伝達されるとともに、受聴エリアで主信号と補助信号とが干渉することで前方から到来する音波が作る両耳間差とは異なる両耳間差になり、後方定位させる伝達特性が聴覚心理的に強調されて、音像を後方に知覚することができる。また、複数のスピーカからなるスピーカ群を通じて平面波として音声が再生されるので、より広い範囲において、良好に再生音声を聴取することができるようにされる。
この発明によれば、後方から提示することを前提につくられたリアのサラウンド信号を受聴者の前方に設置したフロントスピーカから再生するときに、後方音像知覚の手がかりとなる伝達特性を受聴エリアに再現する主信号を平面波として放射するとともに、主信号と受聴エリアで干渉して後方音像知覚手がかりを強調する両耳間差を発生させる補助信号を平面波で放射するので、受聴エリアの真ん中で聞いていなくても、前方に設置したスピーカのみでリアのチャネルをもつサラウンドを楽しむことができるという効果を有する。
以下、図を参照しながら、この発明による装置、方法の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明による装置、方法、プログラムを、映像データや音声データが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクの再生装置に適用した場合を例にして説明する。
[再生装置の構成と動作]
図1は、この実施の形態の再生装置を説明するためのブロック図である。図1に示すように、この実施の形態の再生装置は、光ディスク読み出し部1と、逆多重化回路2と、音声データ処理系3と、映像データ処理系4とを備えたものである。音声データ処理系3は、音声データデコーダ31と、時間軸調整回路32と、増幅回路33W、33F、サブウーハーチャンネルスピーカSPW、左チャンネルスピーカSPL、センターチャンネルスピーカSPC、右チャンネルスピーカSPR、主信号生成回路34L、34R、補助信号生成回路35L、35R、音場信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)、ミキサー37、nチャンネル増幅回路38、アレイスピーカシステムSPArとからなり、また、映像データ処理系4は、字幕データデコーダ41、字幕再生回路42、映像データデコーダ43、映像再生回路44、スーパーインポーズ回路45、映像表示装置46とからなっている。
光ディスク読み出し部1は、図示しないが、光ディスクの装填部、スピンドルモータなどを備えた光ディスクの回転駆動部、レーザ光源、対物レンズ、2軸アクチュエータ、ビームスプリッタ、フォトディテクタ等の光学系を備えた光ピックアップ部、光ピックアップ部を光ディスクの半径方向に移動させるためのスレッドモータ、各種のサーボ回路などを備えたものである。
そして、光ディスク読み出し部1は、これに装填された光ディスクに対してレーザビームを照射し、その反射光を受光することにより、当該光ディスクに記録されている映像データ、字幕データ、複数チャンネルの音声データ、その他の種々のデータが多重化されている多重化データを読み出して、エラー訂正等の必要な処理を行い、これを逆多重化回路2に供給する。
なお、この実施の形態において、光ディスク読み出し部1に装填された光ディスクに記録されている映像データ、字幕データ、複数チャンネルの音声データのそれぞれは、所定の符号化方式でデータ圧縮されているものである。
また、光ディスクに記録されて提供される複数チャンネルの音声データは、2チャンネルのインテンシティステレオ音声データ、5.1チャンネルのいわゆるマルチチャンネルの音声データ、7.1チャンネルのマルチチャンネルの音声データなど、種々のものがあるが、この実施の形態においては、5.1チャンネルのいわゆるマルチチャンネルの音声データであるものとして説明する。
逆多重化回路2は、これに供給された多重化データから映像データ、字幕データ、5.1チャンネルの音声データ、その他の種々のデータを分離する。そして、逆多重化回路2は、分離した左右2チャンネルの音声データのそれぞれを音声データ処理系3の音声データデコード部31に供給し、分離した字幕データを映像データ処理系4の字幕データデコーダ41に供給し、分離した映像データを映像データ処理系の映像データデコーダ43に供給する。その他のデータは、図示しない制御部に供給され、種々の制御などのために用いられることになる。
映像データ処理系4の字幕データデコーダ41は、これに供給された字幕データについて、圧縮解凍処理等を行って、データ圧縮前の元の字幕データを復元し、これを字幕再生回路42に供給する。字幕再生回路42は、これに供給された圧縮解凍後の字幕データをアナログ信号に変換するD/A(Digital/Analog)変換処理などの必要な処理を行って、映像信号に合成する字幕信号を形成し、これをスーパーインポーズ回路45に供給する。
また、映像データ処理系4の映像データデコーダ43は、これに供給された映像データについて、圧縮解凍処理等を行って、データ圧縮前の元の映像データを復元し、これを映像再生回路44に供給する。映像再生回路44は、これに供給された圧縮解凍後の映像データをアナログ信号に変換するD/A(Digital/Analog)変換処理などの必要な処理を行って、映像を再生するための映像信号を形成し、これをスーパーインポーズ回路45に供給する。
スーパーインポーズ回路45は、これに供給された映像信号に字幕信号を合成するようにする所定の処理を行い、字幕が合成するようにされた映像信号を形成し、これを映像表示装置46に供給する。映像表示装置46は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode-Ray Tube)等の表示素子を備えたものであり、スーパーインポーズ回路45からの映像信号に応じた映像を当該表示素子の表示画面に表示する。
このようにして、光ディスクから読み出された映像データと字幕データとに応じた映像が、映像表示装置の表示画面に表示するようにされる。なお、この実施の形態においては、再生装置自身が、映像表示装置までをも備えるものとして説明したが、これに限るものではない。スーパーインポーズ回路45からの再生用の映像信号を外部に設けられるモニタ受像機に供給する構成とすることもできるし、また、スーパーインポーズ回路45からの再生用の映像信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog/Digital)変換処理して、デジタル出力するように構成することも可能である。
一方、音声データ処理系3の音声データデコーダ31は、これに供給された5.1チャンネルの音声データのそれぞれについて、圧縮解凍処理等を行ってデータ圧縮前の元の音声データを復元する。ここで復元されたサブウーハーチャンネルの音声信号Wと、左チャンネルの音声信号Lと、センターチャンネルの音声信号Cと、右チャンネルの音声信号Rとは、時間軸調整回路32に供給され、また、サラウンド左チャンネル(左後方チャンネル)の音声信号SLは、主信号生成回路34Lと補助信号生成回路35Lに供給され、サラウンド右チャンネル(右後方チャンネル)の音声信号SRは、主信号生成回路34Rと補助信号生成回路35Rに供給される。
時間軸補正回路32は、これに供給されたサブウーハーチャンネルの音声信号W、左チャンネルの音声信号L、センターチャンネルの音声信号C、右チャンネルの音声信号Rのそれぞれの音声信号に対して遅延処理を施すことにより、時間軸を補正するようにする。時間軸補正回路32において、時間軸補正されたサブウーハーチャンネルの音声信号Wは、増幅回路33Wを通じてサブウーハーチャンネルスピーカSPWに供給される。
また、左チャンネルの音声信号L、センターチャンネルの音声信号C、右チャンネルの音声信号Rのそれぞれは、増幅回路33Fを通じてフロントスピーカに供給される。増幅回路33Fは、左チャンネルの音声信号L、センターチャンネルの音声信号C、右チャンネルの音声信号Rのそれぞれ毎に増幅することができるものである。また、フロントスピーカは、左チャンネルスピーカSPL、センターチャンネルスピーカSPC、右チャンネルスピーカSPRからなるものである。
これにより、サブウーハーチャンネルスピーカSPWからはサブウーハーチャンネルの音声信号Wに応じた音声が放音される。また、左チャンネルスピーカSPL、センタースピーカSPC、右チャンネルスピーカからは、左チャンネルの音声信号L、センターチャンネルの音声信号C、右チャンネルの音声信号Rに応じた音声が放音される。
なお、この明細書においては、左チャンネルスピーカSPLと、センタースピーカSPCと、右チャンネルスピーカとは、通常、受聴者の前方に設置されるものであるため、フロントスピーカと呼ぶこととする。また、サブウーハーチャンネルスピーカSPWは、受聴者との関係では種々の位置に設置可能なものであるが、受聴者の後方に設置されるサラウンドスピーカとは区別するため、便宜的にフロントスピーカに含めて考えることとする。したがって、この明細書において、特に断りがない場合、フロントスピーカという文言は、左チャンネルスピーカSPL、センタースピーカSPC、右チャンネルスピーカ、サブウーハーチャンネルスピーカSPWを言うものとする。
そして、この実施の形態の再生装置は、受聴者にとって、受聴者の左後方か到来するように聴取されるべきサラウンド左チャンネルの音声信号SLと、受聴者の右後方か到来するように聴取されるべきサラウンド右チャンネルの音声信号SRとは、音声信号についての波面合成の技術を応用し、受聴者の前方に配置される複数のスピーカが横一列に並べられて形成された1つのスピーカ群であるいわゆるアレイスピーカシステムSPArから放音することにより提供するようにしている。
なお、サラウンド左チャンネルの音声信号は、上述したように、受聴者の左後方か到来するように聴取されるべきチャンネルの音声信号であり、リア左チャンネルの音声信号、あるいは、左後方チャンネルの音声信号とも呼ばれるものである。また、サラウンド右チャンネルの音声信号は、上述したように、受聴者の右後方か到来するように聴取されるべきチャンネルの音声信号であり、リア右チャンネルの音声信号、あるいは、右後方チャンネルの音声信号とも呼ばれるものである。
また、この実施の形態において、アレイスピーカシステムSPArは、上述もしたように、複数のスピーカが横一列に並べられて形成された1つのスピーカ群であり、この実施の形態においては、隣接するスピーカの中心間の距離が例えば10cm(センチメートル)となる16個のスピーカが並べられて構成されたものである。
このように、この実施の形態の再生装置においては、受聴者の後方に、物理的なサラウンドスピーカを配置することなく、受聴者の前方に配置されるアレイスピーカシステムSPArからサラウンド左チャンネル(左後方チャンネル)の音声信号SLに応じた音声と、サラウンド右チャンネル(右後方チャンネル)の音声信号SRに応じた音声とを放音するようにして、これらの音声をあたかも受聴者の後方から到来する音声のように聴取できるようにすることによって、臨場感のある再生音場を形成することができるものである。
そして、詳しくは後述もするが、サラウンド左チャンネルの音声信号SLの供給を受ける主信号生成回路34Lにおいては、音声信号SLについて、左前方から左耳に平面波が到来するときの伝達特性をキャンセルして、左後方から左耳への伝達特性を左耳に再現できるようにする主信号SLmをサラウンド左チャンネルの音声信号SLから形成し、これを音場合成信号生成回路36(4)に供給する。
また、サラウンド左チャンネルの音声信号SLの供給を受ける補助信号生成回路35Lにおいては、主信号生成回路34Lにおいて形成された主信号SLmと同じ信号を位相反転させると共に、この位相反転させた信号(主信号SLmの逆相信号)について、少なくとも位相を遅延させることにより、受聴エリアにおいて主信号SLmと干渉する補助信号SLaを生成し、これを音場合成信号生成回路36(3)に供給する。なお、補助信号SLaの生成においては、単に位相を遅延させるだけでなく、位相を遅延させると共に振幅を減衰させるようにする場合もある。
このように、主信号生成回路34Lと補助信号生成回路35Lとにおいては、受聴者の左後方に音像を定位させるようにする音声信号を形成するために、サラウンド左チャンネルの音声信号SLから形成され、互いに逆位相となる信号であって、伝達特性(周波数特性)を調整した信号を生成する処理を行う。
同様に、サラウンド右チャンネルの音声信号SRの供給を受ける主信号生成回路34Rにおいては、受聴者に対して、右前方から右耳に平面波が到来するときの伝達特性をキャンセルし、右後方から右耳への伝達特性を右耳に再現できるようにする主信号SRmをサラウンド右チャンネルの音声信号SRから形成し、これを音場合成信号生成回路36(2)に供給する。
また、サラウンド右チャンネルの音声信号SRの供給を受ける補助信号生成回路35Rにおいては、少なくとも主信号生成回路34Lにおいて形成された主信号SRmと同じ信号を位相反転させると共に、この位相反転させた信号(主信号SRmの逆相信号)について、少なくとも位相を遅延させることにより、受聴エリアにおいて主信号SRmと干渉する補助信号SRaを生成し、これを音場合成信号生成回路36(1)に供給する。なお、補助信号SRaの生成においては、単に位相を遅延させるだけでなく、位相を遅延させると共に振幅を減衰させるようにする場合もある。
このように、主信号生成回路34Rと補助信号生成回路35Rとにおいては、受聴者の右後方に音像を定位させるようにする音声信号を形成するために、サラウンド右チャンネルの音声信号SRから形成され、互いに逆位相となる信号であって、伝達特性(周波数特性)を調整した信号を生成する処理を行う。
音場合成信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)のそれぞれは、供給を受けた音声信号を平面波として音響出力するための音場合成信号を生成する。この音場合成信号は、アレイスピーカシステムSPArによって音波として放射されることで波面を合成する信号であり、多チャンネルの信号である。この実施の形態の再生装置において、アレイスピーカシステムSPArは、上述もしたように、16個のスピーカが並べられて形成されたものであり、音場合成信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)のそれぞれは、それぞれ毎に16チャンネル分の音場合成信号を形成することになる。
そして、この実施の形態の再生装置においては、音場合成信号生成回路36(1)は、サラウンド右チャンネルの音声信号から形成された補助信号SRaから音場合成信号を形成し、音場合成信号生成回路36(2)は、サラウンド右チャンネルの音声信号から形成された主信号SRmから音場合成信号を形成する。この場合、音場合成信号生成回路36(1)と音場合成信号生成回路36(2)とでは、相互に左右反対方向から受聴エリアに向かって平面波として放射する音場合成信号を生成する。
具体的には、音場合成信号生成回路36(1)は、アレイスピーカシステムSPArに対向する受聴者から見て、アレイスピーカシステムSPArの左側方向から受聴者のいる受聴エリアに向かって平面波として放音する音場合成信号を補助信号SRaから生成する。また、音場合成信号生成回路36(2)は、アレイスピーカシステムSPArに対向する受聴者から見て、アレイスピーカシステムSPArの右側方向から受聴者のいる受聴エリアに向かって平面波として放音する音場合成信号を主信号SRmから生成する。このようにすることによって、主信号(正相信号)SRmから生成された音場合成信号と、補助信号(逆相信号)SRaから生成された音場合成信号とが、互いに左右反対方向から放射されるようにアレイスピーカシステムSPArから放射することができるようにしている。
同様に、音場合成信号生成回路36(3)は、サラウンド左チャンネルの音声信号から形成された補助信号SLaから音場合成信号を形成し、音場合成信号生成回路36(4)は、サラウンド左チャンネルの音声信号から形成された主信号SLmから音場合成信号を形成する。この場合、音場合成信号生成回路36(3)と音場合成信号生成回路36(4)とでは、相互に左右反対方向から受聴エリアに向かって平面波として放射する音場合成信号を生成する。
すなわち、音場合成信号生成回路36(3)は、アレイスピーカシステムSPArに対向する受聴者から見て、アレイスピーカシステムSPArの右側方向から受聴者のいる受聴エリアに向かって平面波として放音する音場合成信号を補助信号SLaから生成する。また、音場合成信号生成回路36(4)は、アレイスピーカシステムSPArに対向する受聴者から見て、アレイスピーカシステムSPArの左側方向から受聴者のいる受聴エリアに向かって平面波として放音する音場合成信号を主信号SLmから生成する。このようにすることによって、主信号(正相信号)SLmから生成された音場合成信号と、補助信号(逆相信号)SLaから生成された音場合成信号とが、互いに左右反対方向から放射されるようにアレイスピーカシステムSPArから放射することができるようにしている。
そして、音場合成信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)のそれぞれ毎に形成された16チャンネル分の音場合成信号はミキサー37に供給される。ミキサー37は、音場合成信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)のそれぞれから供給される16チャンネル分の音場合成信号(16チャンネルのそれぞれ毎に、左右の主信号SLm、SRm、左右の補助信号SLm、SRmのそれぞれから形成された4つの音場合成信号)について、16チャンネルのそれぞれ毎に混合(ミックス)してアレイスピーカシステムSPArを形成する16個のスピーカのそれぞれ毎に供給する16チャンネル分の音場合成信号を形成し、これをnチャンネル増幅回路38に供給する。
この実施の形態において、nチャンネル増幅回路38は、アレイスピーカシステムSPArを構成する16個のスピーカに対応する16チャンネル分の音声信号の増幅回路を備え、ミキサー38からの16チャンネル分の音場合成信号の供給を受けて、そのそれぞれを増幅し、アレイスピーカシステムSPArを構成する16個のスピーカのそれぞれに供給する。
そして、アレイスピーカシステムSPArを構成する16個のスピーカのそれぞれからは、サラウンド左チャンネルの主信号SLmから形成された音場合成信号と、サラウンド左チャンネルの補助信号SLaから形成された音場合成信号と、サラウンド右チャンネルの主信号SRmから形成された音場合成信号と、サラウンド右チャンネルの補助信号SRaから形成された音場合成信号とが混合された音場合成信号に応じた音波が波面として到達するように放射される。
これにより、比較的に広い受聴エリア内のいずれにおいても、受聴者がアレイスピーカシステムSPArが設置された前方を向いている状態にあるときには、サラウンド左チャンネルの音声とサラウンド右チャンネルの音声とを左後方と右後方とから到来するように聴取することができるようにされる。
すなわち、アレイスピーカシステムSPArのそれぞれから放音される音声によって、受聴者の左後方、右後方から到来すべき音声についても、受聴エリアの広い範囲において、受聴者の左後方、右後方に音像を定位させるようにして、再生音声を臨場感のあるものとして聴取可能な比較的に広い受聴エリア(再生音場)を形成することができるようにされ、複数人で再生音声を聴取した場合であっても、受聴者の位置によって聴取できる音声が大きく異なることを防止し、受聴エリアの広い範囲において均一な再生音場を形成することができるようにしている。
なお、サブウーハーチャンネルの音声信号、左チャンネルの音声信号、センターチャンネルの音声信号、右チャンネルの音声信号は、受聴者の前方に配置されるサブウーハーチャンネルスピーカSPW、左チャンネルスピーカSPL、センターチャンネルスピーカSPC、右チャンネルスピーカSPRから放音される。
したがって、受聴者の後方に音像が定位するようにされるサラウンド左チャンネルの音声信号およびサラウンド右チャンネルの音声信号をも含め、5.1チャンネル全ての音声信号を受聴者の前方に配置されるスピーカから放音し、受聴エリアの広い範囲において、均一な再生音場を形成することができるようにされる。
[主信号生成回路、補助信号生成回路、音場合成信号生成回路について]
次に、この実施の形態の再生装置の主信号生成回路34L、34R、補助信号生成回路35L、35R、および、音場合成信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)について、詳細に説明する。
[主信号生成回路34L、34R、補助信号生成回路35L、35Rについて]
主信号生成回路34L、34R、補助信号生成回路35L、35Rについて、サラウンド左チャンネルとサラウンド右チャンネルとに分けて説明する。始めに、サラウンド左チャンネルに対して設けられている主信号生成回路34Lと補助信号生成回路35Lとについて説明する。
図2は、サラウンド左チャンネルの音声信号SLから主信号SLmを生成し、その主信号SLmが平面波として受聴エリアに到達するまでの系を示す図である。図2に示すように、サラウンド左チャンネルの音声信号SLが供給される主信号生成回路34Lにおいては、上述もしたように、音声信号SLについて、左前方から左耳に平面波が到来するときの伝達特性HLSをキャンセルして、左後方から左耳への伝達特性HLLを左耳に再現できるように特性補正を施した主信号SLmを生成する。
このようにして形成されたサラウンド左チャンネルについての主信号SLmが、音場合成信号生成回路36(4)に供給され、受聴者A、B、Cに対して、アレイスピーカシステムSPArの左側方向から到来する平面波として音響出力するための音場合成信号とされて、これがミキサー37(図2には図示せず)において他の信号と混合され、16チャンネル増幅回路38を通じてアレイスピーカシステムSPArの対応するスピーカに供給されて放音される。なお、平面波の傾きはアレイスピーカシステムSPArの放音面に対して、2度から10度くらいの範囲とされる。
しかし、主信号SLmだけの場合、右耳へは、左後方から右耳までの伝達特性HLRは再現させず、エラーを含む信号が受聴者に届くことになる。このことが前方への音像知覚の手がかりになって、受聴者によっては後方への音像知覚が生じないことがある。そこで、前方定位の手がかりの影響を小さくするための補助信号を生成する。
図3は、サラウンド左チャンネルの音声信号SLから補助信号SLaを生成し、その補助信号SLaが平面波として受聴エリアに到達するまでの系を示す図である。図3に示すように、サラウンド左チャンネルの音声信号SLが供給される補助信号生成回路35Lは、主信号SLmと同じ信号を生成するための特性補正回路35L1と、位相振幅処理回路35L2とからなっている。
特性補正回路35L1は、図2を用いて説明した主信号生成回路34Lと同様に構成されたものであり、これに供給されたサラウンド左チャンネルの音声信号SLについて、左前方から左耳に平面波が到来するときの伝達特性HLSをキャンセルして、左後方から左耳への伝達特性HLLを左耳に再現できるように特性補正を施した信号、すなわち主信号SLmと同じ信号を生成する。
特性補正回路35L1において生成された信号は、位相振幅処理回路35L2に供給される。位相振幅処理回路35L2は、主信号SLmと同一の信号について位相反転させることにより、主信号SLmと同じ信号の逆相信号を形成し、この主信号SLmと同じ信号の逆相信号について、少なくとも位相を遅延させることによって、受聴エリアにおいて主信号SLmに対して干渉する補助信号SLaを生成する。
なお、制御する受聴エリアが広い場合には、主信号SLmの逆相信号について、位相を遅延させるとともに振幅をも減衰させて補助信号SLaを生成する。このように、主信号SLmの逆相信号について位相を遅延させて補助信号SLaを生成するのは、受聴エリアのどの位置でも主信号SLmの方が早く受聴者に届くようにするためであり、主信号SLmと同一の信号について振幅を減衰させて補助信号SLaを生成するのは、補助信号SLaの方が主信号SLmよりも大きくなることがないようにするためである。
このようにして形成されたサラウンド左チャンネルについての補助信号SLaが、音場合成信号生成回路36(3)に供給され、受聴者A、B、Cに対して、アレイスピーカシステムSPArの右側方向から到来する平面波として音響出力するための音場合成信号とされて、これがミキサー37(図3には図示せず)において他の信号と混合され、16チャンネル増幅回路38を通じてアレイスピーカシステムSPArの対応するスピーカに供給されて放音される。なお、平面波の傾きは、主信号SLmについての音場合成信号を形成する音場合成信号生成回路36(4)で形成する音場合成信号とは傾く方向が逆であって、アレイスピーカシステムSPArの放音面に対して、2度から10度くらいの範囲とされる。
そして、受聴エリアにおいて、主信号SLmと補助信号SLaとの干渉によって、左耳への伝達特性は、狭い周波数範囲でみるとピーク・ディップが生じるが、周波数帯域全体のスペクトル包絡では、後方からの伝達特性となる。この周波数帯域全体のスペクトル包絡が後方からの伝達特性になっていることが、後方音像知覚の手がかりになる。
また、主信号SLmと補助信号SLaとの両方が前方から提示されても、主信号SLmと補助信号SLaとの干渉によって、狭い周波数範囲でみたときの両耳間差特性は前方から到来する音波が両耳に生じさせる両耳間差特性とは異なることになる。
従来から、両耳間の相互相関係数が低下すると、音像は受聴者の近傍または後方に定位することが知られているが、主信号SLmと補助信号SLaとの干渉により狭い周波数範囲での両耳間相関係数が低下し、後方音像知覚手がかりを強調する手がかりとして作用する。また、この後方音像知覚手がかりを強調する作用によって、後方定位の手がかりとなっている伝達特性の個人差の影響を小さくすることができる。
ここで、図2、図3を用いて説明したサラウンド左チャンネルの音声信号SLを処理する主信号生成回路34Lと補助信号生成回路35Lにおいての処理について、波形図をも参照して詳細に説明する。
互いに逆位相となる音声信号に応じた音声を左右から同時に放音して提供するようにすると、放音された音声による音像は受聴者の近傍後方に近くされる。しかし、この場合、音像はぼやけていてあまり明確でない。そこで、この実施の形態の再生装置においては、上述したように、主信号生成回路34Lと補助信号生成回路35Lにおいて、互いに逆位相になると共に、伝達特性を補正した主信号SLmと、補助信号SLaを形成し、これらを詳しくは後述するが、波面合成の技術を用いて互いに左右反対方向から到来する平面波として放音するようにする。
この場合、放音された音声を聴取する場所によって、音声の到達時間は異なるので、これを調整する必要が生じる。図4は、1kHzのバースト信号を用いて受聴者の左右の耳の近傍においての応答を観測するようにした場合に得られる波形について説明するための図である。
例えば、図2に示したように、16個のスピーカからなるアレイスピーカシステムSPArから、サラウンド左チャンネルの音声信号SLとして単に1kHzのバースト信号を正相の平面波(正相信号)として音響出力し、受聴者Aの位置における受聴者Aの左耳での応答(図4A上段)と右耳での応答(図4A下段)とを観測すると、図4A上段の波形に対して、図4A下段の波形の位相が若干遅れていることが分かる。すなわちサラウンド左チャンネルの音声信号を正相の平面波としてアレイスピーカシステムSPArから出力すると、音響出力された音声の左耳への到達時間の方が右耳への到達時間よりも早い。
しかし、図3に示したように、16個のスピーカからなるアレイスピーカシステムSPArから、サラウンド左チャンネルの音声信号SLとして1kHzのバースト信号を位相反転させて逆相の平面波(逆相信号)として音響出力し、受聴者Aの位置における受聴者Aの左耳での応答(図4B上段)と右耳での応答(図4B下段)とを観測すると、図4B下段の波形に対して、図4B上段の波形の位相が若干遅れていることが分かる。すなわちサラウンド左チャンネルの音声信号を逆相の平面波としてアレイスピーカシステムSPArから出力すると、音響出力された音声の右耳への到達時間の方が左耳への到達時間よりも早い。
しかし、図2、図3に示したような受聴環境に応じては、受聴者A、B、Cの全員に対して(右端の受聴者でも)、正相信号の平面波の方が逆相信号の平面波よりも左耳へ速く到達し、さらに受聴者A、B、Cの全員に対して(右端の受聴者でも)、逆相信号のレベルが大きくならないようにしなければ、サラウンド左チャンネルの音声の音像を受聴者の左後方に定位させることはできない。
このため、上述もしたように、補助信号生成回路35Lにおいては、サラウンド左チャンネルの音声信号を位相反転させた逆相信号について、少なくとも位相を遅延させるか、さらに振幅を減衰させる処理を行う必要が生じる。この場合、音像方向知覚に大きな影響を持つ2kHz(キロヘルツ)より低い周波数であって、受聴者がいる範囲が1.2m(メートル)程度の幅の場合においての遅延は、0.25msec(ミリ秒)程度であり、振幅の減衰は、0.95倍(−0.45dB(デシベル))程度である。
そして、サラウンド左チャンネルの音声信号SLとして、1kHzのバースト信号を用いるようにし、これを図1に示した音声データ処理系3において処理して音響出力するようにすると、図4Cに示すように、正相信号(図4C上段)と逆相信号(図4C下段)とは、位相的な遅れや進みが無く、しかも伝達特性が調整されて受聴者の左後方の音像が定位するようにしたサラウンド左チャンネルの音声信号を放音することができる。
このように、主信号生成回路34Lにおいては、サラウンド左チャンネルの音声信号SLについて伝達特性を調整した正相の主信号SLmを形成し、補助信号生成回路35Lにおいては、サラウンド左チャンネルの音声信号SLについて伝達特性を調整した正相の主信号SLmと同じ信号を位相反転させると共に、位相遅延処理、あるいは、位相遅延処理と振幅減衰処理とを行って主信号SLmに対して逆位相の補助信号SLaを形成す。
そして、後述する音場合成信号生成回路36(3)、36(4)において、サラウンド左チャンネルについての音場合成信号が生成され、ミキサー37、nチャンネル増幅回路38を通じてアレイスピーカシステムSPArに供給されて音響出力され、受聴エリアの広い範囲のいずれの位置にいても、受聴者の左後方に音像が定位するようにされる。
次に、サラウンド右チャンネルに対して設けられている主信号生成回路34Rと補助信号生成回路35Rとについて説明する。主信号生成回路34R、補助信号生成回路35Rは、処理対象の音声信号が異なる点を除けば、基本的に、上述したサラウンド左チャンネルについての主信号生成回路34L、補助信号生成回路35Lと同様の機能を有し、同様に動作するものである。
図5は、サラウンド右チャンネルの音声信号SRから主信号SRmを生成し、その主信号SRmが平面波として受聴エリアに到達するまでの系を示す図である。図5に示すように、サラウンド右チャンネルの音声信号SRが供給される主信号生成回路34Rにおいては、音声信号SRについて、右前方から右耳に平面波が到来するときの伝達特性HRSをキャンセルして、右後方から右耳への伝達特性HRRを右耳に再現できるように特性補正を施した主信号SRmを生成する。
このようにして形成されたサラウンド右チャンネルについての主信号SRmが、音場合成信号生成回路36(2)に供給され、受聴者A、B、Cに対して、アレイスピーカシステムSPArの右側方向から到来する平面波として音響出力するための音場合成信号とされて、これがミキサー37(図5には図示せず)において他の信号と混合され、16チャンネル増幅回路38を通じてアレイスピーカシステムSPArの対応するスピーカに供給されて放音される。
しかし、主信号SRmだけの場合、左耳へは、右後方から左耳までの伝達特性HRLは再現させず、エラーを含む信号が受聴者に届くことになる。このことが前方への音像知覚の手がかりになって、受聴者によっては後方への音像知覚が生じないことがある。そこで、前方定位の手がかりの影響を小さくするための補助信号SRaを生成する。
図6は、サラウンド右チャンネルの音声信号SRからその補助信号SRaを生成し、その補助信号SRaが平面波として受聴エリアに到達するまでの系を示す図である。図6に示すように、サラウンド右チャンネルの音声信号SRが供給される補助信号生成回路35Rは、主信号SRmと同じ信号を生成するための特性補正回路35R1と、位相振幅処理回路35R2とからなっている。
特性補正回路35R1は、図5を用いて説明した主信号生成回路34Rと同様に構成されたものであり、これに供給されたサラウンド右チャンネルの音声信号SRについて、右前方から右耳に平面波が到来するときの伝達特性HRSをキャンセルして、右後方から右耳への伝達特性HRRを右耳に再現できるように特性補正を施した信号、すなわち主信号SRmと同じ信号を生成する。
特性補正回路35R1において生成された信号は、位相振幅処理回路35R2に供給される。位相振幅処理回路35R2は、主信号SRmと同一の信号について位相反転させることにより、主信号SRmの逆相信号を形成し、この主信号SRmの逆相信号について、少なくとも位相を遅延させることによって、受聴エリアにおいて主信号SRmに対して干渉する補助信号SRaを生成する。
なお、制御する受聴エリアが広い場合には、主信号SRmと同一の信号について、位相を遅延させるとともに振幅をも減衰させて補助信号SRaを生成する。このように、主信号SRmと同一の信号について位相を遅延させて補助信号SRaを生成するのは、受聴エリアのどの位置でも主信号SRmの方が早く受聴者に届くようにするためであり、主信号SRmと同一の信号について振幅を減衰させて補助信号SRaを生成するのは、補助信号SRaの方が主信号SRmよりも大きくなることがないようにするためである。
このようにして形成されたサラウンド右チャンネルについての補助信号SRaが、音場合成信号生成回路36(1)に供給され、受聴者A、B、Cに対して、アレイスピーカシステムSPArの左側方向から到来する平面波として音響出力するための音場合成信号とされて、これがミキサー37(図5には図示せず)において他の信号と混合され、16チャンネル増幅回路38を通じてアレイスピーカシステムSPArの対応するスピーカに供給されて放音される。
なお、サラウンド右チャンネルの音声信号SRから補助信号SRaを形成する補助信号生成回路35Rにおいても、主信号SRmの逆相信号についての位相遅延は、0.25msec(ミリ秒)程度であり、振幅の減衰は、0.95倍(−0.45dB(デシベル))程度である。
また、音場合成信号生成回路36(1)、36(2)における平面波としての音場合成信号の傾きは、音場合成信号生成回路36(1)、36(2)における平面波としての音場合成信号の傾きと同様に、アレイスピーカシステムSPArの放音面に対して、2度から10度程度である。もちろん、音場合成信号生成回路36(1)と、音場合成信号生成回路36(2)とで形成される平面波としての音場合成信号の傾きの向きは逆になる。
そして、受聴エリアにおいて、主信号SRmと補助信号SRaとの干渉によって、右耳への伝達特性は、狭い周波数範囲でみるとピーク・ディップが生じるが、周波数帯域全体のスペクトル包絡では、後方からの伝達特性となる。この周波数帯域全体のスペクトル包絡が後方からの伝達特性になっていることが、後方音像知覚の手がかりになる。
また、主信号SRmと補助信号SRaとの両方が前方から提示されても、主信号SRmと補助信号SRaとの干渉によって、狭い周波数範囲でみたときの両耳間差特性は前方から到来する音波が両耳に生じさせる両耳間差特性とは異なることになる。
上述もしたように、従来から、両耳間の相互相関係数が低下すると、音像は受聴者の近傍または後方に定位することが知られているが、主信号SRmと補助信号SRaとの干渉により狭い周波数範囲での両耳間相関係数が低下し、後方音像知覚手がかりを強調する手がかりとして作用する。また、この後方音像知覚手がかりを強調する作用によって、後方定位の手がかりとなっている伝達特性の個人差の影響を小さくすることができる。
なお、サラウンド左チャンネルについての主信号生成回路34L、補助信号生成回路35Lを通じて処理されて形成される信号について、図4を用いて説明したように、サラウンド右チャンネルの音声信号についても、正相信号と逆送信信号とについては、位相ずれやレベルの不均衡が生じる可能性があるために、補助信号生成回路35Rにおいても、位相遅延処理を行ったり、位相遅延処理と振幅減衰処理とを行ったりすることになる。
このように、主信号生成回路34Rにおいては、サラウンド右チャンネルの音声信号SRについて伝達特性を調整した正相の主信号SRmを形成し、補助信号生成回路35Rにおいては、サラウンド右チャンネルの音声信号SRについて伝達特性を調整した正相の主信号SRmと同じ信号を位相反転させると共に、位相遅延処理、あるいは、位相遅延処理と振幅減衰処理とを行って主信号SRmに対して逆位相の補助信号SRaを形成する。
そして、後述する音場合成信号生成回路36(1)、36(2)において、サラウンド右チャンネルについての音場合成信号が生成され、ミキサー37、nチャンネル増幅回路38を通じてアレイスピーカシステムSPArに供給されて音響出力され、受聴エリアの広い範囲のいずれの位置にいても、受聴者の左後方に音像が定位するようにされる。
なお、図2〜図6においては、主に受聴者Aについて着目して説明しているが、アレイスピーカシステムSPArから放音される音声は、平面波で特性伝達を行っているので、受聴者Bと受聴者Cとに対しても同じ現象を生じさせることができるようにしている。
このようにして、サラウンド左チャンネルの音声信号SLとサラウンド右チャンネルの音声信号SRとのそれぞれについて処理し、受聴者の前方に配置されたアレイスピーカシステムSPArより、平面波として放音することにより、サラウンド左チャンネルの音声信号の音像を、図2、図3に示したように、受聴者の左後方の仮想スピーカVSLの位置に定位させ、また、サラウンド右チャンネルの音声信号の音像を、図5、図6に示したように、受聴者の右後方の仮想スピーカVRLの位置に定位させることによって、良好な再生音場を形成することができるようにしている。
しかも、アレイスピーカシステムSPArから放音される音声は、音声合成信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)において、平面波として音響出力される音場合成信号とされたものであるために、比較的に広い受聴エリア内のどの位置においても、サラウンド左チャンネルの音声信号については受聴者の左後方に、また、サラウンド右チャンネルの音声信号については受聴者の右後方に、それぞれ適切に音像を定位させ、良好な再生音場を形成することができる。
[音場合成信号生成回路について]
次に、音場合成信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)のそれぞれにおいて用いられる音場生成と制御の技術(波面合成の技術)について説明する。図7〜図11は、音場生成と制御の技術(波面合成の技術)について説明するための図である。3次元空間の音場を制御する方法としては、例えば、「早稲田大学理工学総合研究センター、音響情報処理研究室、山崎芳男、“Kirchhoff積分方程式に基づく3次元バーチャルリアリティに関する研究”」に示されているように、以下のようなキルヒホッフ(Kirchhoff)の積分公式を用いる方法がある。
すなわち、図7に示すような、音源を含まない閉曲面Sを想定した場合、その閉曲面S内の音場は、キルヒホッフの積分公式によって表現することができる。図7において、p(ri)は閉曲面S内の点riの音圧、p(rj)は閉曲面S上の点rjの音圧、nは点rjにおける法線、un(rj)は法線nの方向の粒子速度、|ri−rj|は点riと点rjとの間の距離である。
キルヒホッフの積分公式は、図8の式(1)で表され、閉曲面S上の音圧p(rj)と法線nの方向の粒子速度un(rj)を完全に制御できれば、閉曲面S内の音場を完全に再現できることを意味する。
なお、式(1)中のωは、音声周波数をfとするとき、ω=2πfで表される角周波数であり、ρは空気の密度であり、Gijは図8の式(2)で表されるものである。
式(1)は定常音場についてのものであるが、音圧p(rj)および粒子速度un(rj)の瞬時値を制御することによって、過渡音場についても同じことが言える。
このように、キルヒホッフの積分公式による音場設計では、仮想的な閉曲面S上の音圧p(rj)と粒子速度un(rj)を再現できればよいが、実際上、閉曲面S上の全ての連続的な点での音圧p(rj)および粒子速度un(rj)を制御することは不可能であるため、閉曲面Sの微小要素内では音圧p(rj)および粒子速度un(rj)が一定であることを前提として、閉曲面Sを離散化する。
閉曲面SをN個の点で離散化すると、図8の式(1)は同図の式(3)で表されるものとなり、閉曲面S上のN点の音圧p(rj)および粒子速度un(rj)を再現することによって、閉曲面S内の音場を完全に再現することができる。
N点の音圧p(rj)および粒子速度un(rj)をM個の音源によって再現するためのシステムとしては、図9に示すようなシステムが考えられている。
このシステムでは、信号源201からの音声信号を、それぞれフィルタ202を通じて、それぞれスピーカ203に供給し、制御領域204の境界面上のN点で音圧を測定する。法線方向の粒子速度un(rj)は、2マイクロホン法によって音圧信号から近似的に求める。
このとき、N点の音圧p(rj)および粒子速度un(rj)を再現するためには、2N点の音圧が原音場と等しくなればよい。これは、フィルタ2の伝達関数Hi(i=1〜M)として、2N点の音圧が原音場に最も近くなるような値を求める問題に帰着する。
そこで、再生音場における音源i(i=1〜M)と受音点j(j=1〜2N)との間の伝達関数をCijとし、音源iの前段のフィルタの伝達関数をHiとし、原音場における音源と受音点jとの間の伝達関数をPjとして、図8の式(4)で表されるような、再生音場と原音場との差を最小にするための評価関数Jを考える。
式(4)で表される評価関数Jが最小となるような伝達関数Hiを求めるには、図8の式(5)を解けばよい。
さらに、キルヒホッフの積分公式の半空間への拡張として、図10に示すように、境界面S1の片側(図の左側)の空間に音源205を配置し、反対側(図の右側)の空間に音源を含まない受聴領域206を想定して、キルヒホッフの積分公式によって、境界面S1上の全ての点または上記のような離散的な各点での音圧および粒子速度を制御すれば、音源を含まない受聴領域206内に所望の音場を実現することができる。
具体的には、図11に示すように、ある有限長の制御ライン(境界ライン)S2の左側(片側)に複数のスピーカSP1,SP2‥‥SPmを配置し、制御ラインS2上に複数の制御点C1,C2‥‥Ckを設定して、各制御点C1,C2‥‥Ckでの音圧(振幅)および位相を制御することによって、制御ラインS2の右側(スピーカSP1,SP2‥‥SPm側とは反対側)の受聴領域において、リスナー7がスピーカSP1,SP2‥‥SPmからの音を制御ラインS2の左側(スピーカSP1,SP2‥‥SPm側)の仮想点音源208からの音として受聴できるようにする。
このように、各スピーカに供給する音声信号の位相(遅延時間)と音圧(音圧レベル)とを制御することにより、目的する音場を生成し、制御することが可能である。このような、音場生成と制御の技術(波面合成の技術)を用いることによって、音場合成信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)のそれぞれは、上述したように、サラウンド左チャンネルの音声信号SLとサラウンド右チャンネルの音声信号SRのそれぞれについて特性補正することによって生成する主信号SLm、SRm、補助信号SLa、SRaの内の対応する信号について、位相と音圧とを制御する処理を行って、平面波として音響出力される音場合成信号であって、受聴者の後方に音像を定位するようにした音場合成信号を生成する。
そして、上述もしたように、この実施の形態の再生装置においては、主信号SLmと補助信号SLaとの干渉、および、主信号SRmと補助信号SRaとの干渉によって、後方定位させる伝達特性のスペクトル包絡が受聴者の耳へ伝達されるとともに、受聴エリアで主信号SLmと補助信号SLaとが、および、主信号SRmと補助信号SRaとが干渉することで前方から到来する音波が作る両耳間差とは異なる両耳間差になり、後方定位させる伝達特性が聴覚心理的に強調されて、音像を後方に知覚することができる。
しかも、波面合成の技術を用い、受聴者の後方に音像を定位させるべき音声を平面波として、受聴者の前方に配置されるアレイスピーカシステムSPArから音響出力するようにしているので、より広い受聴エリアにおいて、サラウンド左チャンネルの音声とサラウンド右チャンネルの音声の音像が受聴者の後方に定位しているものとして良好に聴取することができるようにされる。
[音声データ処理系3の構成例について]
[図1に示した再生装置の音声データ処理系3について]
次に、この実施の形態の再生装置の音声データ処理系3の構成についてまとめる。図12は、この実施の形態の再生装置の音声データ処理系3の構成を各音声チャンネル毎に処理部をまとめるようにして示した図である。この実施の形態の再生装置の音声データ処理系3は、図1にも示したように、音声データデコーダ31と、時間軸調整回路32と、増幅回路33W、33F、サブウーハーチャンネルスピーカSPW、フロントスピーカSPL、SPC、SPR、主信号生成回路34L、34R、補助信号生成回路35L、35R、音場信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)、ミキサー37、nチャンネル増幅回路38、アレイスピーカシステムSPArとからなるものである。
そして、この実施の形態の再生装置は、受聴者の後方に音像を定位させる音声信号については受聴者の前方に配置するアレイスピーカシステムSPArから放音するようにし、それ以外の音声信号、すなわち、サブウーハーチャンネルの音声信号W、左チャンネルの音声信号R、センターチャンネルの音声信号C、右チャンネルの音声信号Rは、アレイスピーカシステムSPArとは別個に設けられ、受聴者の前方に配置されるサブウーハーチャンネルスピーカSPW、左チャンネルスピーカSPL、センターチャンネルスピーカSPC、右チャンネルスピーカSPRから放音する構成としている。
そして、図1に示したこの実施の形態の再生装置の音声データ処理系3についてまとめると、図12に示すように、音声データデコーダ31と、サブウーハーチャンネル処理部(図12においてはウーハーチャンネル処理部と記載)51と、左・右チャンネル処理部52と、センターチャンネル処理部53と、後方定位信号処理部54と、後方定位強調信号処理部55と、音場合成用16ch信号生成部56とを備えたものである。
サブウーハーチャンネル処理部51は、時間軸調整回路32と増幅回路33Wとからなる部分であり、ここで処理された音声信号がサブウーハーチャンネルスピーカSPWに供給される。左・右チャンネル処理部52とセンターチャンネル処理部53とは、図1において、時間軸補正回路32と増幅回路33Fとからなる部分である。
したがって、左・右チャンネル処理部52は、時間軸調整回路32と増幅回路33Fとからなる部分であり、ここで処理された音声信号のうち、左チャンネルの音声信号Lが左チャンネルスピーカSPLに、また、右チャンネルの音声信号Rが右チャンネルスピーカSPRに供給される。
また、センターチャンネル処理部53は、時間軸調整回路32と増幅回路33Fとからなる部分であり、ここで処理された音声信号Cは、センタースチャンネルピーカSPCに供給される。このように、この実施の形態の再生装置においては、サブウーハーチャンネルの音声信号を含め、フロントチャンネルの音声信号については、アレイスピーカシステムSPArとは別個に設けられたサブウーハーチャンネルスピーカSPW、左チャンネルスピーカSPL、センターチャンネルスピーカSPC、右チャンネルスピーカSPRのそれぞれから放音される。
そして、後方定位信号処理部54は、主信号生成回路34L、34Rからなる部分であり、これに供給されるサラウンド左チャンネルの音声信号SLとサラウンド右チャンネルの音声信号SRとの供給を受けて、サラウンド左チャンネルの音声信号については、左前方から左耳に平面波が到来するときの伝達特性をキャンセルして、左後方から左耳への伝達特性を左耳に再現できるようにする主信号SLmを生成し、サラウンド右チャンネルの音声信号については、右前方から右耳に平面波が到来するときの伝達特性をキャンセルして、右後方から右耳への伝達特性を右耳に再現できるようにする主信号SRmを生成して、そのそれぞれを音場合成用16ch信号生成部56に供給する。
また、後方定位強調信号処理部55は、補助信号生成回路35L、35Rからなる部分であり、これに供給されるサラウンド左チャンネルの音声信号SLとサラウンド右チャンネルの音声信号SRとの供給を受ける。そして、主信号SLmと同じ信号を位相反転させて逆相信号を生成し、この逆相信号について位相を遅延させ、あるいは、位相を遅延させると共に振幅を減衰させて、補助信号SLaを生成する。また、主信号SRmと同じ信号を位相反転させて逆相信号を形成し、この逆相信号について位相を遅延させ、あるいは、位相を遅延させると共に振幅を減衰させて補助信号SRaを生成し、これらを音場合成用16ch信号生成部56に供給する。
音声合成用16ch信号生成部56は、音場合成信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)と、ミキサー37と、nチャンネル増幅回路38とからなる部分であり、主信号SLm、SRm、補助信号SLa、SRaのそれぞれから、アレイスピーカシステムSPArを構成する16個のスピーカのそれぞれに対応する16チャンネル分の音声信号であって、位相と音圧とを調整することにより、平面波として音響出力され、受聴者の後方に音像を定位させるための音場合成信号を形成し、これをアレイスピーカシステムSPArの対応するスピーカに供給する。
これにより、受聴者の後方に音像を定位させるべき音声信号は、アレイスピーカシステムSPArから平面波として放音することにより、受聴エリアのいずれの場所においても、受聴者の左後方、右後方のそれぞれに音像を定位させるべき音声信号については、良好に受聴者の左後方、右後方に音像を定位させ、複数の受聴者が同時に同じ再生音声を聴取する場合にも、それぞれの受聴者に対して臨場感のある最適な音場環境を提供することができる。もちろん、サブウーハーチャンネルの音声信号やフロントチャンネルの音声信号は、対応するスピーカSPW、SPL、SPC、SPRから放音され、これらフロントチャンネルの音声信号も適切に音響出力されて提供される。
[音声データ処理系3の他の構成例について]
図1および図12を用いて説明した再生装置の音声データ処理系3は、上述もしたように、受聴者の後方に音像を定位させる音声信号のみについて、受聴者の前方に配置するアレイスピーカシステムSPArから放音するようにした。しかし、これに限るものではない。すなわち、受聴者の後方に音像を定位させる音声信号に加えて、サブウーハーチャンネルの音声信号W、左チャンネルの音声信号R、センターチャンネルの音声信号C、右チャンネルの音声信号Rについても、アレイスピーカシステムSPArから放音するように音声データ処理系3を構成することもできる。
図13は、受聴者の後方に音像を定位させる音声信号に加えて、サブウーハーチャンネルの音声信号を含め、いわゆるフロントチャンネルの音声信号についても、アレイスピーカシステムSPArから放音するように構成した音声データ処理系3の他の構成例を説明するためのブロック図である。
図13に示した音声データ処理系3の他の構成例は、サブウーハーチャンネルスピーカSPW、左チャンネルスピーカSPL、センターチャンネルスピーカSPC、右チャンネルスピーカSPRを備えない点を除けば、基本的に、図12に示した音声データ処理系3と同様に構成されたものである。
しかし、サブウーハーチャンネルを含め、フロントチャンネルの音声信号についてもアレイスピーカシステムSPArから放音するようにしたために、サブウーハーチャンネル処理部(図13においてはウーハーチャンネル処理部と記載)51Aと、左・右チャンネル処理部52Aと、センターチャンネル処理部53Aと、音場合成用16ch信号生成部56Aとの構成が、図12に示した音声データ処理系3とは異なるものである。
なお、音声データデコーダ31と、後方定位信号処理部54と、後方定位強調信号処理部55と、アレイスピーカシステムSPArとは、図12に示した音声データ処理系3と同様に構成されるものであるので、図12に示した音声データ処理系3の場合と同じ参照符号を付している。
そして、図13に示す音声データ処理系3の他の構成例においては、サブウーハーチャンネル処理部51Aと、左・右チャンネル処理部52Aと、センターチャンネル処理部53Aとから出力される音声信号についても音場合成用16ch信号生成部56Aを介して、アレイスピーカシステムSPArに供給するように構成している。
このため、サブウーハーチャンネル処理部51Aと、左・右チャンネル処理部52Aと、センターチャンネル処理部53Aと、音場合成用16ch信号生成部56Aとは、図12に示した音声データ処理系3の対応する各部とは若干構成が異なっている。具体的に説明すると、サブウーハーチャンネル処理部51A、左・右チャンネル処理部52A、センターチャンネル処理部53Aのそれぞれは、時間軸調整回路32に相当する部分である。
また、音場合成用16ch信号生成部56Aは、サブウーハーチャンネル処理部51Aと、左・右チャンネル処理部52Aと、センターチャンネル処理部53Aとに対応する音場合成信号生成回路をも備えると共に、これらサブウーハーチャンネル処理部51A、左・右チャンネル処理部52A、センターチャンネル処理部53Aからの音場合成信号をも混合するミキサーと、このミキサーからの16チャンネルのぞれぞれの音声信号を増幅する16チャンネル分の増幅回路をも備えたものである。
すなわち、サブウーハーチャンネル処理部51A、左・右チャンネル処理部52A、センターチャンネル処理部53Aからの音声信号についても、アレイスピーカシステムSPArから出力するために、アレイスピーカシステムSPArに供給する音場合成信号を生成しなければならない。このため、サブウーハーチャンネル処理部51A、左・右チャンネル処理部52A、センターチャンネル処理部53Aのそれぞれからの音声信号に基づいて、音場合成信号を形成する音場合成信号生成回路を、音場合成用16ch信号生成部56Aが備えることとなる。
この場合、サブウーハーチャンネル処理部51A、左・右チャンネル処理部52A、センターチャンネル処理部53Aのそれぞれに対応する音場合成信号生成回路は、上述もしたように、波面合成の技術を用い、位相と音圧とを制御することによって、サブウーハーチャンネル、左、右チャンネル、センターチャンネルの音声信号を、そのそれぞれの特性を保ちつつ、アレイスピーカシステムSPArから所定の位置に想定する仮想スピーカからの音波として放音することができるように加工するものである。
換言すれば、サブウーハーチャンネルの音声信号はサブウーハーチャンネルの音声信号として、また、左チャンネルの音声信号は、所定の位置に想定される左仮想スピーカから放音される音声として、また、センターチャンネルの音声信号は、所定の位置に想定されるセンター仮想スピーカから放音される音声として、また、右チャンネルの音声信号は、所定の位置に想定される右仮想スピーカから放音される音声として、アレイスピーカシステムSPArから放音できるように音場合成信号を形成することになる。
より具体的には、センターチャンネルの音声信号は、アレイスピーカシステムSPArの中央部分にセンター仮想スピーカを位置するように想定し、このセンター仮想スピーカから放射状にセンターチャンネルの音声信号を放音するようにする。左チャンネルの音声信号は、アレイスピーカシステムSPArの左端、あるいは、その近傍に、左仮想スピーカを位置するように想定し、この左仮想スピーカから音声が放音されているように左チャンネルの音声信号を放音するようにする。同様に、右チャンネルの音声信号は、アレイスピーカシステムSPArの右端、あるいは、その近傍に、右仮想スピーカを位置するように想定し、この右仮想スピーカから音声が放音されているように右チャンネルの音声信号を放音するようにする。
なお、センター仮想スピーカの位置、左仮想スピーカの位置、右仮想スピーカの位置は、種々の位置に想定することが可能である。アレイスピーカシステムSPArよりも後方に位置付けるように想定するなど、各仮想スピーカの位置は種々の位置に想定することが可能である。また、サブウーハーチャンネルの音声信号については、正面の仮想点音源から放音するようにしたり、あるいは、平面波として放音するようにしたりするなど、いずれの方法で放音するようにしてもよい。
そして、図13に示した音声データ処理系3の他の構成例の場合には、後方定位信号処理部54において生成される主信号SLm、SRmと、後方定位強調信号処理部55において生成される補助信号SLa、SRaとに加えて、サブウーハーチャンネル、左、右チャンネル、センターチャンネルの音声信号についても音場合成信号とされ、この例の場合には、16チャンネルのアレイスピーカシステムSPArに供給されることにより、サブウーハーチャンネルをも含めたフロントチャンネルの音声信号も仮想スピーカからの音波として放音するようにされる。
これにより、図13に示した音声データ処理系3の他の構成例の場合には、サブウーハーチャンネルスピーカSPW、左チャンネルスピーカSPL、センターチャンネルスピーカSPC、右チャンネルスピーカSPRを設けなくとも、16個のスピーカからなるアレイスピーカシステムSPArを用いることにより、各チャンネルの音声を仮想スピーカからの音波として音響出力し、受聴エリアの広い範囲において、所定の位置から音が聞こえる良好な再生音場を実現することができる。
そして、図13に示した音声データ処理系3の他の構成例について、図1に示した再生装置に準じて詳細に示すと、図14のように示すことができる。すなわち、図14は、図13に示した音声データ処理系3の他の構成例をより詳細に示すようにしたものである。図14示したように、音声データデコーダ31、時間軸調整回路32、主信号生成回路34L、34R、補助信号生成回路35L、35R、音場合成信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)、ミキサー37、nチャンネル増幅回路38、アレイスピーカシステムSPArのそれぞれは、図1に示した音声データ処理系3の場合と同様に設けられる。
そして、図14に示した音声データ処理系3の他の構成例の場合には、時間軸調整回路32とミキサー37との間に、サブウーハーチャンネル用の音場合成信号生成回路39(1)と、左チャンネル用の音場合成信号生成回路39(2)と、センターチャンネル用の音場合成信号生成回路39(3)と、右チャンネル用の音場合成信号生成回路39(4)を設けた構成となる。
したがって、図14において点線で囲んで示したように、時間軸調整回路32の各フロントチャンネルに対応する部分が、サブウーハーチャンネル処理部51A、左・右チャンネル処理部52A、センターチャンネル処理部53Aに相当し、主信号生成回路34L、34Rが後方定位信号処理部54に相当し、補助信号生成回路35L、35Rが後方定位強調信号処理部55に相当し、そして、音場合成信号生成回路36(1)、36(2)、36(3)、36(4)、音場合成信号生成回路39(1)、39(2)、39(3)、39(4)、ミキサー37、nチャンネル増幅回路38からなる部分が、音場合成用16ch信号生成部に相当する。
音場合成信号生成回路39(1)、39(2)、39(3)、39(4)のそれぞれは、波面合成の技術を用い、これらに供給される音声信号について、位相や音圧を調整すると共に、アレイスピーカシステムSPArを構成するスピーカのそれぞれに供給する音声信号であって、サブウーハーチャンネルを含めたフロントチャンネルの音声を仮想スピーカからの音波としてアレイスピーカシステムSPArから放音するための音場合成信号を形成する。
音場合成信号生成回路39(1)、39(2)、39(3)、39(4)のそれぞれ毎に形成された16チャンネル分の音場合成信号は、ミキサー37に供給され、ここで、主信号SLm、SRm、補助信号SLa、SRaと共に、アレイスピーカシステムSPArを構成する16個のスピーカに対応する各チャンネル毎に混合され、nチャンネル増幅回路38を通じてアレイスピーカシステムSPArを構成する各スピーカに供給され、受聴者の後方に音像を定位させるべき音声信号に加えて、サブウーハーチャンネルをも含め、フロントチャンネルの音声信号についても適切に処理した音場合成信号としてアレイスピーカシステムSPArに供給して音響出力することにより、良好な受聴エリアを形成することができる。
これにより、サブウーハーチャンネルスピーカSPW、左チャンネルスピーカSPL、センターチャンネルスピーカSPC、右チャンネルスピーカSPRといった、受聴者の前方に配置されるべき、フロントチャンネルのスピーカを用いることなく、アレイスピーカシステムSPArのみを用いて、良好な再生音場を形成することができる。
しかも、サラウンド左チャンネルの音声信号SL、サラウンド右チャンネルの音声信号SRのそれぞれは、後方定位信号処理部54、後方定位強調信号処理部55の機能により、受聴エリアのいずれの位置であっても、受聴者は、自己の左後方と右後方とに音像が定位する音声として聴取できるようにされるので、複数人で同時に再生音声を聴取する場合であっても、各受聴者ここに最適な再生音場を提供することができる。
また、図13、図14に示した例の場合、すなわち、少なくとも、左チャンネルの音声信号L、右チャンネルの音声信号Rについて、受聴者の前方に配置されるアレイスピーカシステムから仮想スピーカからの音波として出力するようにする場合には、特願2005−119155において説明されている技術を用いることにより、広い範囲で良好な再生音場を形成することが可能である。
なお、上述した実施の形態においては、アレイスピーカシステムSPArは、隣接するスピーカの中心間の距離が例えば10cm(センチメートル)となる16個のスピーカが並べられて構成されたものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、隣接するスピーカの中心間の距離が例えば10cmの場合には、1.7kHz(キロヘルツ)までの帯域の音声について良好に再生することが可能である。そして、アレイスピーカシステムを構成するスピーカの個数や隣接するスピーカの中心間の距離は、用いるスピーカの性能、大きさ、形成する受聴エリアの大きさなどに応じて適宜変更することが可能である。
また、主信号SLm、SRmから形成する音場合成信号や補助信号SLa、SRaから形成する音場合成信号のアレイスピーカシステムSPArの放音面に対する傾きの角度は、好ましくは、2度から10度の範囲であるが、全く傾けなくてもよいし、主信号と補助信号とで異なるように設定したり、あるいは、サラウンド左チャンネルの音声信号とサラウンド右チャンネルの音声信号とで異ならせたりするなど、適宜の調整を行うようにしてももちろんよい。
また、上述した実施の形態の再生装置は、映像信号の再生系をも備えた例えばホームシアターシステムの再生装置に適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。音声データについてのみ再生する音響装置にもこの発明を適用できることは言うまでもない。
すなわち、上述した実施の形態の再生装置のように、左右のサラウンドチャンネルの音声信号について、主信号と補助信号とを生成し、そのそれぞれについて、左右反対方向から受聴エリアに向かって平面波として放射する音場合成信号を形成し、これをアレイスピーカから放音する音声再生方法を用いることにより、アレイスピーカを用いて音響再生を行う種々の音響装置や映像音響装置にこの発明を適用することができる。
この場合、サブウーハーチャンネルスピーカをも含め、フロントスピーカを用いるか用いないかによって、フロントチャンネルの音声信号を仮想スピーカからの音波として放音するための音場合成信号を生成する工程が必要になるか否かが異なることになる。
また、アレイスピーカシステムを用いる音響装置に搭載されたコンピュータに、主信号を生成するステップと、生成した主信号から平面波として音声を放音するための音場合成信号を生成するステップと、補助信号を生成するステップと、生成した補助信号から平面波として音声を放音するための音場合成信号を生成するステップとを実行させるプログラムを搭載し、このプログラムを用いて生成した音場合成信号を混合してアレイスピーカシステムの各スピーカに供給することによって上述した実施の形態の再生装置と同様の再生装置を実現することができる。
すなわち、図1、図14に示した各ブロックの機能は、音響装置に搭載するプログラム(ソフトウェア)によっても実現可能である。
この発明の一実施の形態が適用された再生装置を説明するためのブロック図である。 主信号SLmを生成し、その主信号SLmが平面波として受聴エリアに到達するまでの系を示す図である。 補助信号SLaを生成し、その補助信号SLaが平面波として受聴エリアに到達するまでの系を示す図である。 1kHzのバースト信号を用いて受聴者の左右の耳の近傍においての応答を観測するようにした場合に得られる波形について説明するための図である。 主信号SRmを生成し、その主信号SRmが平面波として受聴エリアに到達するまでの系を示す図である。 補助信号SRaを生成し、その補助信号SRaが平面波として受聴エリアに到達するまでの系を示す図である。 音源を含まない仮想的な閉曲面内の音場を示す図である。 キルヒホッフの積分公式を示す図である。 N点の音圧および粒子速度をM個の音源によって再現するシステムを示す図である。 キルヒホッフの積分公式の半空間への拡張の原理を示す図である。 キルヒホッフの積分公式の半空間への拡張の具体例を示す図である。 図1に示した再生装置の音声データ処理系3の構成を各音声チャンネル毎に処理部をまとめるようにして示したブロック図である。 音声データ処理系3の他の構成例を説明するためのブロック図である。 図13に示した音声データ処理系3の他の構成例をより詳細に示したブロック図である。
符号の説明
1…光ディスク読み出し部、2…逆多重化回路、3…音声データ処理系、4…映像データ処理系、31…音声データデコーダ、32…時間軸調整回路、33W、33F…増幅回路、SPW…サブウーハーチャンネルスピーカ、SPL…左チャンネルスピーカ、SPC…センターチャンネルスピーカ、SPR…右チャンネルスピーカ、34L、34R…主信号生成回路、35L、35R…補助信号生成回路、36(1)、36(2)、36(3)、36(4)…音場信号生成回路、37…ミキサー、38…nチャンネル増幅回路、SPAr…アレイスピーカシステム、41…字幕データデコーダ、42…字幕再生回路、43…映像データデコーダ、44…映像再生回路、45…スーパーインポーズ回路、46…映像表示装置

Claims (5)

  1. 後方サラウンド音のチャンネルであるリアチャネルをもつサラウンド音源を、受聴者の前方にのみに隣接して配置される複数のスピーカからなるスピーカ群を通じて再生するフロントサラウンド方式の音響装置であって、
    前記リアチャンネルの信号に基づいて、前記スピーカ群から受聴エリアまでの伝達特性をキャンセルし後方から受聴エリアへの伝達特性を畳み込んだ主信号を生成する主信号生成手段と、
    前記主信号と同じ信号から逆相信号を形成するとともに、少なくとも当該逆相信号の位相を遅延させた補助信号を生成する補助信号生成手段と、
    前記スピーカ群に供給する音声信号であって、前記補助信号とは互いに左右反対方向から受聴エリアに向かって平面波として放射する主信号についての音場合成信号を前記主信号から形成する主信号用の音場合成信号生成手段と、
    前記スピーカ群から放射する音声の音声信号であって、前記主信号とは互いに左右反対方向から受聴エリアに向かって平面波として放射する補助信号についての音場合成信号を前記補助信号から形成する補助信号用の音場合成信号生成手段と、
    前記スピーカ群に供給する音声信号であって、前記リアチャンネル以外のフロントチャンネルの音声信号のそれぞれを仮想スピーカから放射するようにする前記フロントチャンネルについての音場合成信号を前記フロントチャンネルの音声信号のそれぞれから形成するフロントチャンネル音声信号用の音場合成信号生成手段と
    を備える音響装置。
  2. 前記補助信号生成手段は、
    前記主信号と同じ信号から逆相信号を形成し、当該逆相信号の位相を遅延させると共に振幅を減衰させた補助信号を生成する
    請求項1に記載の音響装置。
  3. 後方サラウンド音のチャンネルであるリアチャネルをもつサラウンド音源を、受聴者の前方にのみに隣接して配置される複数のスピーカからなるスピーカ群を通じて再生するフロントサラウンド方式の音響再生方法であって、
    前記リアチャンネルの信号に基づいて、前記スピーカ群から受聴エリアまでの伝達特性をキャンセルし後方から受聴エリアへの伝達特性を畳み込んだ主信号を生成する主信号生成工程と、
    前記主信号と同じ信号から逆相信号を形成するとともに、少なくとも当該逆相信号の位相を遅延させた補助信号を生成する補助信号生成工程と、
    前記スピーカ群に供給する音声信号であって、前記補助信号とは互いに左右反対方向から受聴エリアに向かって平面波として放射する主信号についての音場合成信号を前記主信号から形成する主信号用の音場合成信号生成工程と、
    前記スピーカ群から放射する音声の音声信号であって、前記主信号とは互いに左右反対方向から受聴エリアに向かって平面波として放射する補助信号についての音場合成信号を前記補助信号から形成する補助信号用の音場合成信号生成工程と、
    前記スピーカ群に供給する音声信号であって、前記リアチャンネル以外のフロントチャンネルの音声信号のそれぞれを仮想スピーカから放射するようにする前記フロントチャンネルについての音場合成信号を前記フロントチャンネルの音声信号のそれぞれから形成するフロントチャンネル音声信号用の音場合成信号生成工程と
    を有する音響再生方法。
  4. 前記補助信号生成工程では、
    前記主信号と同じ信号から逆相信号を形成し、当該逆相信号の位相を遅延させると共に振幅を減衰させた補助信号を生成する
    請求項に記載の音響方法。
  5. 後方サラウンド音のチャンネルであるリアチャネルをもつサラウンド音源を、受聴者の前方にのみに隣接して配置される複数のスピーカからなるスピーカ群を通じて再生するフロントサラウンド方式の音響装置に搭載されたコンピュータに、
    前記リアチャンネルの信号に基づいて、前記スピーカ群から受聴エリアまでの伝達特性をキャンセルし後方から受聴エリアへの伝達特性を畳み込んだ主信号を生成する主信号生成ステップと、
    前記主信号と同じ信号から逆相信号を形成するとともに、少なくとも当該逆相信号の位相を遅延させた補助信号を生成する補助信号生成ステップと、
    前記スピーカ群に供給する音声信号であって、前記補助信号とは互いに左右反対方向から受聴エリアに向かって平面波として放射する主信号についての音場合成信号を前記主信号から形成する主信号用の音場合成信号生成ステップと、
    前記スピーカ群から放射する音声の音声信号であって、前記主信号とは互いに左右反対方向から受聴エリアに向かって平面波として放射する補助信号についての音場合成信号を前記補助信号から形成する補助信号用の音場合成信号生成ステップと、
    前記スピーカ群から放射する音声の音声信号であって、前記リアチャンネル以外のフロントチャンネルの音声信号のそれぞれを仮想スピーカから放射するようにする前記フロントチャンネルについての音場合成信号を前記フロントチャンネルの音声信号のそれぞれから形成するフロントチャンネル音声信号用の音場合成信号生成ステップと
    を実行させる音響再生プログラム。
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