JP6066652B2 - 音響再生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、音源位置に配慮された音響再生装置に関し、特に、音源位置関係によって規定される受聴領域内において各音源位置での臨場感ある音場生成が可能な音響再生装置に関する。
近年、立体的な音場再生が普及してきている。例えば、図8のように、SP(L),SP(C),SP(R),SP(SR),SP(SL)といった5つのスピーカを使用する、5.1チャンネル再生といったものがある。これは受聴者を取り囲むように、水平面上に5個のスピーカを配置し、任意のスピーカに信号を入力することで、所望の方向から音が聞こえるように再生する音響再生装置である。さらに、水平面上のみならず、上方にもスピーカを設置する9.1チャンネル再生といったものや、上下左右にスピーカを配置する22.2チャンネル再生といったものも登場している。
しかしながら、上記の方式では多数のスピーカを設置する必要があるため、一般家庭において扱うのは困難を伴う場合がある。
そこで、以上の困難を解消すべく、聴取点制御を用いて音場再生を行う装置が登場した。例えば、特許文献1(特開平9−233599号公報)に示される、再生に用いるスピーカと受聴者の耳との位置関係により決定される頭部伝達関数を用いることで、2個のスピーカを用いて立体的な音場再生を可能にしたものである。
以下、図9に聴取点制御方式を用いた再生装置の構成の一例を示す。この図9において、受聴者は、受聴者の前方に配置された2個のスピーカSP(L)、SP(R)の放音方向の中央に位置しているとする。このとき、左側スピーカSP(L)から受聴者左耳までの経路における伝達関数をHa、受聴者右耳までの経路における伝達関数をHbとする。右耳の場合も同様に考える。ここで、左右のスピーカそれぞれによるクロストークを除去するために、以下の数式に示す伝達関数Ca、Cbを導入し、これを図9に示される位置に設置する。
以上のようにして伝達関数Ca,Cbを定めるとき、左耳には左チャンネル音声信号のみが、右耳には右チャンネル音声信号のみが到達する。これをクロストークキャンセルと称する。
また、この聴取点制御方式の再生装置で、ダミーヘッドを用いてバイノーラル録音し、このバイノーラル録音された音声信号を再生すると、マイクで録音された音場を正確に再現することが可能となり、臨場感のある再生が可能となる。
さらに、所望の位置から音が聞こえるように再生することも可能である。図10にその一例を示す。スピーカSP(L),SP(R)とは異なる、所望の音像定位位置を仮想音源V1とする。図10における仮想音源V1に音像を定位させる制御を考える。この場合、図10に示す仮想音源V1から左耳までの伝達関数をSa、右耳までの伝達関数をSbとし、図9における伝達関数Ca、Cbを以下の数式により定める。
以上のようにして伝達関数Ca,Cbを定めるとき、図9の構成において、受聴者にとって、該受聴者の左斜め後方(左側後方)の仮想音源V1(図10参照)から音が出ているように聴くことができる。この方法は、トランスオーラル再生といわれている。
しかしながら、以上の方法ではあらかじめ設定された伝達関数を用いていることからも明らかであるように、いずれも所望の音場再生が可能になるのは、設定された1点のみである。受聴者が再生空間内を少しでも動くと、音場再生効果が弱められてしまう問題がある。
これに対し、音場再生空間における音の波面を制御することで、受聴者が空間内を移動しても音場再生効果が損なわれない方法が提案された。その1つに波面合成を用いた方法がある。例えば、非特許文献1(Sound Reproduction by Wave Field Synthesis)に記載されている。
これは再生空間内に多数のスピーカを設置し、各スピーカから放射される音の波面を重ね合わせることで、スピーカとは異なる任意の位置に設置された音源(仮想音源)から放射される球面波と同等の波面を生成し、その仮想音源に音像を定位させるものである。このような波面を生成するために、各スピーカには、音声信号に所定の伝達関数を畳み込んで入力する。伝達関数は、再生に用いるスピーカの位置とスピーカ同士の間隔、受聴位置によって決定される。
この処理により、スピーカと仮想音源との位置関係によって規定される受聴領域内においては、受聴者は再生空間内を移動しても音像定位感を損なうことなく、設置された仮想音源の位置に音像を定位させることができる。
この方式を利用した音場再生装置がいくつかの研究機関にて実用化されている。図11にその構成の一例を示す。図11のH1,H2,…,Hnが、所望の仮想音源から放射される球面波を生成するための伝達関数である。これらの伝達関数は、各スピーカSP1〜SPnの位置とスピーカ間隔等により決定されており、各スピーカSP1〜SPnそれぞれに、これらの伝達関数H1〜Hnを畳み込んだ信号を入力する。
以上の再生において、複数の仮想音源を設置することも可能である。図12に示すように、仮想音源V1と仮想音源V2とを設置する場合を考える。
これらの仮想音源V1,V2による波面を生成するための構成を図13に示す。図13において、H1,H2,…,Hnは仮想音源V1から放射される球面波を生成するための伝達関数Hであり、G1,G2,…,Gnは仮想音源V2から放射される球面波を生成するための伝達関数Gである。このように、各スピーカSP1〜SPnに対し、任意の複数の仮想音源に対応した複数の伝達関数を畳み込んだ信号を、それぞれ加算して入力することで、複数の仮想音源を設置することが可能となる。なお、この構成を応用することで、装置の演算能力の許容する限り、仮想音源の数を増やすことができる。
特開平9−233599号公報 Sound Reproduction by Wave Field Synthesis、[平成24年9月28日検索]、インターネット〈URL:http://www.dbvision.nl/bestanden/publicaties/publicaties/ouder/Thesis_Edwin_Verheijen.pdf〉 境久雄、中山剛著『聴覚と音響心理』コロナ社、第8頁
しかしながら、上記方法においては、スピーカの設置位置と仮想音源の設置位置により受聴領域が規定され、受聴者の側方、後方に仮想音源位置を設置することが不可能であるという問題がある。
図14を用いて説明する。再生には直線上に配置された複数のスピーカを用いる。仮想音源V1をスピーカSP1〜SPnの背面に設置し、波面合成を行った場合の受聴領域(ハッチング部分)を示す。受聴領域は、仮想音源V1と直線上に配置された複数のスピーカの両端に位置するスピーカとを結んだ直線に囲まれた領域である。
一方、図15には仮想音源V1をスピーカSP1〜SPnの正面に設置した場合の受聴領域を示す。これらの受聴領域内では波面が正確に合成されるが、領域外においては、波面が正しく合成されない。したがって、受聴領域内で聴けば仮想音源位置に音像が定位するが、領域外で受聴すると、音像定位は不明瞭である。
そのため、例えば受聴者の前方位置に直線上に配置された複数n本のスピーカSP1〜SPnを設置した場合、受聴者の側方あるいは後方に仮想音源V1’を設置した場合、図16のように、その仮想音源の後方に受聴領域が発生する。このため、受聴領域内に受聴者が入っておらず、受聴者にとっては、所望の音像定位感を得ることができない。
したがって、以上の波面合成によって、例えば5.1チャンネルのように受聴者を取り囲むような音源を配置することで、臨場感のある音場再生を行おうとした場合には、受聴者の後方や側方位置に仮想音源を設置できないため、十分な臨場感が得られないという問題がある。
一方、クロストークキャンセルおよびトランスオーラル再生は、直線上に配置された複数のスピーカを構成するスピーカの一部のスピーカを利用して実施することも可能である。しかし、スピーカの周波数特性や指向特性が影響することでその効果が弱くなる場合がある。
ここで、スピーカをピストン振動を行う円形振動板と考えた場合、指向特性Lは、以下の数式により示される。
ここで、aは振動板口径、fは周波数、cは音速、φは振動板の垂直軸となす角度である。
図17に、上式を用いて計算した、a=0.1[m]、f=2kHzにおける円形振動板の指向特性を示す。振動板軸上に対しする角度が大きくなるにつれ、相対的なレベルが低下することを示している。
以上のスピーカについて、周波数特性を計算した結果を説明する。図19に示された音源と受聴位置の設定で、a=0.1[m]とした場合の受聴位置における周波数特性が図18である。図18に示されるように、音源指向性により高域で音圧が減衰している。
非特許文献2によると、音の到来方向が側方真横であれば、外耳道入り口における音圧は、正面からの音圧に対し、7kHz付近で15dB以上高い。すなわち、トランスオーラル再生を正確に行うためには、この高域の音圧レベル上昇分を再現しなければならない。
しかしながら、図18に示したように、音源指向性による高域の音圧減衰があり、これがクロストークキャンセルおよびトランスオーラルの効果を弱めるという問題がある。
本発明は上記の問題点を解消するために成されたもので、受聴位置の側方または後方に、実際にスピーカを配置することなく、音像を定位させることが可能な音響再生装置を提供することを目的とする。
(1)上述した問題を解決するため、本発明に係る音響再生装置は、直線上に配置された複数のスピーカより放射された音波の波面を重ね合わせることで、前記スピーカの位置とは異なる任意の位置に設置された音源より放射される球面波と同等の波面を波面合成伝達関数により合成して音響再生を行う音響再生装置であって、前記スピーカによる音響再生を受聴する位置を受聴位置、該受聴位置から前記スピーカの方向を前方、前記受聴位置から前記前方と反対方向を後方、前記前方と前記後方と直交する方向を側方とした場合に、受聴位置の側方または後方に定位させる信号に対しては、クロストークキャンセルおよびトランスオーラル処理を行うための伝達関数を畳み込み、さらに前記スピーカ位置とは異なる前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面をつくるための伝達関数を畳み込んでスピーカに入力する、ことを特徴とする。
(2)また、上述した問題を解決するため、本発明に係る音響再生装置は、直線上に配置された複数のスピーカより放射された音波の波面を重ね合わせることで、前記スピーカの位置とは異なる任意の位置に設置された音源より放射される球面波と同等の波面を波面合成伝達関数により合成して音響再生を行う音響再生装置であって、前記スピーカによる音響再生を受聴する位置を受聴位置、該受聴位置から前記スピーカの方向を前方、前記受聴位置から前記前方と反対方向を後方、前記前方と前記後方と直交する方向を側方とした場合に、前記受聴位置の前方に音像を定位させる信号に対しては、直線上に配置された複数のスピーカとは異なる、前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面をつくるための伝達関数を畳み込んでスピーカに入力し、受聴位置の側方または後方に定位させる信号に対しては、クロストークキャンセルおよびトランスオーラル処理を行うための伝達関数を畳み込み、さらに前記スピーカ位置とは異なる前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面をつくるための伝達関数を畳み込んでスピーカに入力する、ことを特徴とする。

(3)また、上述した問題を解決するため、本発明に係る音響再生装置は、上記(2)において、前記受聴位置の前方であって左右方向の複数の位置、前記受聴位置の側方であって左及び右の複数の位置、前記受聴位置の後方の位置、を音源の位置として再生すべき信号に基づいて音響再生することを特徴とする。
本発明に係る音響再生装置によれば、上記処理により、受聴者の側方または後方に定位させたい信号は、上記の直線上に配置された複数のスピーカとは異なる、前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面を利用して、クロストークキャンセルおよびトランスオーラル処理を行うことにより、受聴者の側方または後方に音像を定位する。また、上記処理により、受聴者の前方に音像を定位させたい信号は、直線上に配置された複数のスピーカとは異なる、前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面で再生され、受聴者の前方に音像が定位する。
すなわち、受聴者の側方または後方に定位させる信号を、波面合成により生成された、直線上に配置された複数のスピーカとは異なる、前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面を利用したクロストークキャンセルおよびトランスオーラル処理により再生することで、スピーカの周波数特性や指向特性による影響を少なくして良好な音場再生を行うことができる。
また、波面合成による波面は、受聴領域外では小さな振幅となるため、領域外に放射される音が再生空間の壁面などに反射して音場を乱すといった影響を低減することもできる。このため、波面合成による音場再生が、実際のスピーカを用いる場合よりも効果的である。この結果、受聴者を取り囲むようなマルチチャンネル音響再生を良好に行うことができる。
本発明の実施形態の音響再生装置の原理的構成を示す構成図である。 本発明の実施形態の音響再生装置の音源の指向特性による影響を説明する特性図である。 本発明の実施形態のシミュレーション条件を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態の音響再生装置の構成を示す構成図である。 本発明の第1実施形態の音響再生装置の音源と波面の様子を示す説明図である。 本発明の第2実施形態の音響再生装置の構成を示す構成図である。 本発明の第2実施形態の音響再生装置の音源と波面の様子を示す説明図である。 5.1チャンネルスピーカ配置を示す説明図である。 クロストークキャンセルおよびトランスオーラルの構成図である。 トランスオーラルにおける仮想音源と伝達関数の説明図である。 波面合成を行う構成図である。 仮想音源設置の一例を示す説明図である。 仮想音源を2つ設置した場合の構成図である。 仮想音源を直線上に配置された複数のスピーカの背面に位置させた場合の波面を合成できる領域を示す説明図である。 仮想音源を直線上に配置された複数のスピーカの正面に位置させた場合の波面を合成できる領域である。 仮想音源を受聴者の側方、または後方に設置した場合の受聴領域と受聴者の位置関係である。 円形振動板による指向特性を示す特性図である。 指向性のある音源の周波数特性を示す特性図である。 指向性のある音源の周波数特性を測定する際の説明図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。
〔原理〕
まず、本発明の実施形態の原理を図1を用いて説明する。
ここで、スピーカによる音響再生を受聴者300が受聴する位置を受聴位置、該受聴位置からスピーカ群200に向かった方向を前方、受聴位置から前方と反対方向を後方、前方と後方と直交する方向を側方とする。なお、この前方、後方、側方については、広がりを有する空間であり、図1に示された範囲に限定されるものではない。なお、受聴位置の前方とは、スピーカ群200の正面だけでなく、スピーカ群200の背面の領域も含むものとする。
また、受聴領域とは、波面合成(図11参照)により波面が合成され、複数のスピーカと仮想音源との位置関係によって規定され、受聴することが可能な領域(図14、図15参照)である。
ここで、マルチチャンネルの入力信号を、図1に示すように、受聴者の前方に定位させたい信号と、受聴者の側方、または後方に定位させたい信号とに区別する。
受聴者前方に定位させたい信号に対しては、直線上に配置された複数n本のスピーカSP1〜SPnによるスピーカ群200とは異なる、前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面を生成するための伝達関数を畳み込む。このため、音響再生装置100内に、波面合成伝達関数処理部110−1〜110−nが設けられている。
一方、受聴者側方、または後方に定位させたい信号に対しては、クロストークキャンセルトランスオーラル処理部120でクロストークキャンセルおよびトランスオーラル処理を行った後に、波面合成伝達関数処理部110−1〜110−nにより上記球面波を作るための伝達関数(すなわち、前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面を生成するための伝達関数)を畳み込む。
これらの処理を行った信号を、波面合成伝達関数処理部110−1〜110−n内部で加算し、それぞれを増幅器130で増幅してから、スピーカ群200内の直線上に配置された複数の各スピーカSP1〜SPnにそれぞれに入力する。
以上のようにすることで、スピーカ群200内の直線上に配置された複数n本のスピーカSP1〜SPnとは異なる、任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面が、受聴領域に生成される。この結果、設定された位置に音像を定位させた状態で、音響再生を行うことができる。
一方、受聴者の側方又は後方に定位させたい信号は、受聴者前方に設定した音源からの球面波を用い、クロストークキャンセルおよびトランスオーラルによる再生がなされることにより、受聴者の側方又は後方に音像を定位させることができる。
図2は、音源が指向性をもつとき、その指向性による音圧レベルの相対的な値の受聴位置における周波数特性を計算した結果である。その計算の条件を図3に示す。
ここで、音源となるスピーカの振動板口径a=0.1[m]、周波数f=2kHzを具体例として計算を行う。
なお、受聴位置からスピーカの放音までの距離を1.8mとする。図3(a)では1本のスピーカを使用し、放音方向に直交する受聴位置とスピーカの距離は0.4mである。図3(b)では中心間隔0.05mで16本のスピーカを使用する。仮想音源はスピーカ群200の背面側1.0mに配置し、放音方向に直交する受聴位置と仮想音源Vの距離は0.5mである。
図2の実線は、図3(b)に示される位置条件にて、16本のスピーカを有するスピーカ群200を用いて波面合成を行った場合の受聴位置における周波数特性である。
図2の破線は、図3(a)に示される位置条件にて、スピーカ1本を用いた場合の受聴位置における周波数特性である。この1個のスピーカの設置位置は、上記波面合成で用いたスピーカのうち、端に位置するスピーカの位置に相当する。
図2によると、複数スピーカによる波面合成を用いた場合の周波数特性のほうが、単一スピーカによる場合と比較して、高域における音圧の減衰が少ない。すなわち、波面合成を用いた場合のほうが、スピーカの指向特性による周波数特性の影響を受けにくいといえる。
高域の音圧減衰は、非特許文献2に示されるように、クロストークキャンセルおよびトランスオーラルによる音場再生に影響を与えるため、波面合成を用いたクロストークキャンセルおよびトランスオーラル再生は、従来の2個のスピーカを用いたクロストークキャンセルおよびトランスオーラルによる再生よりも、良好な音場再生が行えることが明らかである。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態を図4と図5を参照して説明する。ここで、図4は音響再生装置100の構成を示し、図5はスピーカ群200と受聴位置と仮想音源の配置の例を示す。
図5に示すように、直線上に配置された複数n本のスピーカSP1〜SPnによるスピーカ群200の背面側に仮想音源V1と仮想音源V2を定位させる。これは2チャンネルステレオの左チャンネル、右チャンネルに相当するものであってもよい。
ここで、図4におけるH1,H2,…,Hnは、仮想音源V1から放射される球面波と同等の波面#1(図5参照)を作り出すための伝達関数であり、G1,G2,…,Gnは仮想音源V2から放射される球面波と同等の波面#2(図5参照)を作り出すための伝達関数である。なお、HnとGnのnは、スピーカ群200を構成するスピーカの本数nと同じである。
これらの伝達関数により、入力信号In1を仮想音源V1から、入力信号In2を仮想音源V2から放射される球面波と同等の波面による音として再生することができる。
そして、図5に示すように、受聴者の側方(左右)に仮想音源V3、仮想音源V4を設置する。なお、仮想音源V3、仮想音源V4は受聴者の後方であってもよい。
このとき、図4において、入力信号In3に対してクロストークキャンセルおよびトランスオーラル処理を行う伝達関数Ca、入力信号In4に対してクロストークキャンセルおよびトランスオーラル処理を行う伝達関数Cbについて、以下の数式で定める。
ここで、Haは仮想音源位置とその仮想音源位置から近いほうの受聴者の耳までの伝達関数、Hbは、仮想音源位置とその仮想音源位置から遠いほうの受聴者の耳までの伝達関数である。また、図5に示すように、左側方の仮想音源V3から左耳までの伝達関数、あるいは、右側方の仮想音源V4から右耳までの伝達関数をSaとする。左側方の仮想音源V3から右耳までの伝達関数、あるいは、右側方の仮想音源V4から左耳までの伝達関数をSbとする。
以上のようにして伝達関数Ca,Cbを定めるとき、図4の構成において、図5に示すように、入力信号In3は仮想音源V3に、入力信号In4は仮想音源V4に音像が定位する。
すなわち、この第1実施形態の音響再生装置100によれば、上記処理により、受聴者300の側方または後方に定位させたい信号は、上記の直線上に配置された複数のスピーカを有するスピーカ群200とは異なる、前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面を利用して、クロストークキャンセルおよびトランスオーラル処理を行うことにより、側方または後方に音像を定位することになり、スピーカの周波数特性や指向特性による影響を少なくして良好な音場再生を行うことができる。
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態を図6と図7を参照して説明する。ここで、図6は音響再生装置100の構成を示し、図7はスピーカ群200と受聴位置と仮想音源の配置の例を示す。
この第2実施形態においては、図6に示す入力信号In1,In2,In5それぞれに、伝達関数H1…Hn,G1…Gn,F1…Fnを畳み込むことにより、図7に示すように、受聴者300の前方に仮想音源V1、仮想音源V2、仮想音源V5に音像を定位させる。
なお、直線上に配置された複数n本のスピーカSP1〜SPnによるスピーカ群200の背面側に仮想音源V1と仮想音源V2を定位させ、スピーカ群200の正面側に仮想音源V5を定位させる。これらは、マルチチャンネルにおける、左チャンネル、右チャンネル、センターチャンネルに相当するものであってもよい。なお、図7における仮想音源V5は、スピーカ群200の正面側に記載しているが、スピーカ群200の背面側であってもよい。
また、入力信号In3,In4に対しては、第1実施形態と同様の処理を行うことで、受聴者の側方に、それぞれ仮想音源V3、仮想音源V4の音像を定位させることができる。
なお、この第2実施形態における音響再生装置100での処理や波面合成や仮想音源の定位については、基本的に第1実施形態での処理と同様であるため、重複した説明は省略するが、H1,H2,…,Hnは仮想音源V1から放射される球面波と同等の波面#1を作り出すための伝達関数であり、G1,G2,…,Gnは仮想音源V2から放射される球面波と同等の波面#2を作り出すための伝達関数であり、F1,F2,…,Fnは仮想音源V5から放射される球面波と同等の波面#3を作り出すための伝達関数である。なお、HnとGnとFnのnは、スピーカ群200を構成するスピーカの本数nと同じである。
第2の実施形態における入力信号In1〜In5は、DVD等の各種メディアに記録されたマルチチャンネル音声信号をデコードしたものであってもよい。例えば、5チャンネル信号の場合、入力信号In1には左チャンネル(フロントL)信号を、入力信号In2には右チャンネル(フロントR)信号、入力信号In3には左側後方(サラウンドL)信号、入力信号In4には右側後方(サラウンドR)信号、入力信号In5には前中央(センターC)信号を対応させる。
すなわち、この第2実施形態の音響再生装置100によれば、上記処理により、受聴者300の側方または後方に定位させたい信号は、上記の直線上に配置された複数のスピーカを有するスピーカ群200とは異なる、前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面を利用して、クロストークキャンセルおよびトランスオーラル処理を行うことにより、側方または後方に音像を定位することになり、スピーカの周波数特性や指向特性による影響を少なくして良好な音場再生を行うことができる。
〔その他の実施形態〕
以上の第1実施形態では4つの仮想音源V1〜V4、第2実施形態では5つの仮想音源V1〜V5の具体例を用いて説明してきたが、以上の実施形態を応用することで、更に多数の仮想音源を用いたマルチチャンネルの音場再生が可能である。
また、以上の実施形態では、受聴者300の前方、側方、後方の各位置に仮想音源を配置する具体例を示したが、側方のみ、後方のみ、側方と後方のみ、に仮想音源を配置して音響再生を行うようにしてもよい。
100 音響再生装置
200 スピーカ群
300 受聴者

Claims (3)

  1. 直線上に配置された複数のスピーカより放射された音波の波面を重ね合わせることで、前記スピーカの位置とは異なる任意の位置に設置された音源より放射される球面波と同等の波面を波面合成伝達関数により合成して音響再生を行う音響再生装置であって、
    前記スピーカによる音響再生を受聴する位置を受聴位置、該受聴位置から前記スピーカの方向を前方、前記受聴位置から前記前方と反対方向を後方、前記前方と前記後方と直交する方向を側方とした場合に、
    受聴位置の側方または後方に定位させる信号に対しては、クロストークキャンセルおよびトランスオーラル処理を行うための伝達関数を畳み込み、さらに前記スピーカ位置とは異なる前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面をつくるための伝達関数を畳み込んでスピーカに入力する、
    ことを特徴とする音響再生装置。
  2. 直線上に配置された複数のスピーカより放射された音波の波面を重ね合わせることで、前記スピーカの位置とは異なる任意の位置に設置された音源より放射される球面波と同等の波面を波面合成伝達関数により合成して音響再生を行う音響再生装置であって、
    前記スピーカによる音響再生を受聴する位置を受聴位置、該受聴位置から前記スピーカの方向を前方、前記受聴位置から前記前方と反対方向を後方、前記前方と前記後方と直交する方向を側方とした場合に、
    前記受聴位置の前方に音像を定位させる信号に対しては、直線上に配置された複数のスピーカとは異なる、前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面をつくるための伝達関数を畳み込んでスピーカに入力し、
    受聴位置の側方または後方に定位させる信号に対しては、クロストークキャンセルおよびトランスオーラル処理を行うための伝達関数を畳み込み、さらに前記スピーカ位置とは異なる前方の任意の位置に設置された音源から放射される球面波と同等の波面をつくるための伝達関数を畳み込んでスピーカに入力する、
    ことを特徴とする音響再生装置。
  3. 前記受聴位置の前方であって左右方向の複数の位置、前記受聴位置の側方であって左及び右の複数の位置、前記受聴位置の後方の位置、を音源の位置として再生すべき信号に基づいて音響再生することを特徴とする請求項2記載の音響再生装置。
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