JP2013524562A - マルチチャンネル音響再生方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、例えばステレオ音響ラウドスピーカー配置における左右のラウドスピーカー又はサラウンド音響ラウドスピーカー配置における隣接したラウドスピーカー等の主音響再生トランスデューサーのペアの間に配置された、例えばラウドスピーカー等の一つ以上の補助音響再生トランスデューサーを用いて、再生用の聴覚信号成分を選択する方法であって、(i)その補助音響再生トランスデューサーのうちの一つが配置され、又は配置されるべき範囲内の方位角度範囲と、リスニング方向とを指定し、(ii)その方位角度範囲及びそのリスニング方向に基づいて、左右両耳間レベル差限界及び左右両耳間時間差限界をそれぞれ決定し、(iii)その主音響再生トランスデューサーのペアのための入力信号のペアを供給し、(iv)その入力信号のそれぞれを前処理することにより、前処理された入力信号のペアを供給し、(v)両耳間レベル差及び両耳間時間差をその前処理された信号の間の周波数の関数として決定し、(vi)その左右両耳間レベル差限界の間の区間及びその左右両耳間時間差限界の間の区間にある両耳間レベル差及び両耳間時間差を有するその入力信号のそれらの信号成分を、それぞれ、対応するその補助音響再生トランスデューサーに供給すること、を含む方法に関する。また、本発明は、上記の方法を実行する装置及びそのような装置に係るシステムに関する。
【選択図】図9

Description

本発明は、一般にはラウドスピーカーの配置による音響再生の分野に関し、より詳細には広いリスニング領域にわたって再生される音響の安定した聴覚空間認識を得るための方法及びシステムに関する。さらにより詳細には、本発明は、例えば自動車の室内等の限られた環境で使用される上記の方法及びシステムに関する。
ステレオ音響は、ポピュラーな空間音再生形式である。ステレオ音響信号は、現代のポピュラー音楽において典型的であるように、現場のステレオマイクロフォンの記録又は複数のモノラル信号の合成により生成することができる。この種類の素材は、通常、ITU-R BS.1116[1997]及びITU-R BS.775-1[1994]において提案されるように、対称に配置され、調和のとれたラウドスピーカーのペアで再生されることが意図される。
上記の勧告が満たされる場合、聞き手は、少なくともラウドスピーカーの間で広がる、様々な仮想ソース、ファントム映像を含む、「Bregman [1994]」に記載された聴覚情景を認識するであろう。一つ以上のITUの勧告が満たされない場合、結果として聴覚情景が低下する可能性がある(例えば「Bech [1998]」を参照)。
車でステレオ音響の素材を聴くことは非常に一般的である。ほとんどの現代の車は、例えばCDプレイヤー及び二つ以上のラウドスピーカー等の、ステレオ音響ソースを構成する、工場出荷時に設置された音響システムを備えて供給される。
しかしながら、自動車のリスニング状況をITUの勧告と比較すると、通常、理想的な状態からの次の逸脱が存在するであろう。
(i)リスニング位置が間違っている。
(ii)ラウドスピーカーの位置が間違っている。
(iii)ラウドスピーカーの近くに大きい反響面がある。
少なくともこれらの理由により、一般的に車での聴覚情景の忠実性は低下する。
この明細書では、繰り返して、車での音再生に参照がなされるが、本発明の原理の使用と、以下に記載される発明に係るシステム及び方法の詳細な実施形態は、自動車での音再生に限定されず、同様に、多数の他のリスニング状況への適用を見出せることが理解される。
理想的なリスニング状態から上記の逸脱があるにもかかわらず、高い忠実性の音再生を提供できる再生システム及び方法を利用できることが有利な点となるであろう。
聴覚再生は、基本的に、(i)音響状況における音響ソースの音質の再生、及び(ii)音響状況の空間特性の再生、例えば、その音響状況における音響ソースの安定した局在化を取得できること及びその状況における個々の音響ソースの空間的な拡張又は広さの正しい認識を取得できることという、二つの認識の側面を有する。これらの側面及びこれらを特徴付ける特定の認識特性の両方は、例えば車の室内等の、制限された空間における音再生により、低減するであろう。
この項は、最初に自動車のリスニング状況におけるステレオ再生を自由場における軸上及び軸外の状況と比較及び対比する。この比較の後に、人間の耳の両耳間伝達関数の観点から自動車のリスニング状況における聴覚情景の低下の分析が続く。この導入の後に、本発明の主原理の概要が述べられる。本発明に従って、方法及び対応するステレオからマルチモノラルへの変換装置が提供され、その方法及び装置によって、聴覚情景の聴覚成分の場所がリスニング位置から独立されることが可能となる。
本発明の実施形態は、発明を実施するための形態に記載される。その項は、Matlabソフトウェアを用いてシミュレーションされた、その出力の分析による、本発明に従ったステレオからマルチモノラルへの変換器の実施形態の性能の評価も含む。
理想的ステレオリスニング状況
2チャンネルのステレオ音響(以下ではステレオと称する)は、二つの音響ソースによる空間聴覚情景を再生する一つの手段である。「Blauert [1997]」は、用語「音響」と「聴覚」の間に以下の区別を行う。
音響は、事象の物理的現象特性(例えば、音響波、音響ソース又は音響信号)を意味する。
聴覚は、聞き手により認識されるもの(例えば、聴覚映像又は聴覚情景)を意味する。
本明細書においても、この区別が適用されるであろう。
「Blauert [1997]」は、空間ヒアリングを、聴覚事象の場所と、音響事象の物理的特性との間の関係と定義している。
ステレオ信号のラウドスピーカー再生のための、水平面における聞き手と音響ソースの理想的な相対位置は、ITU-R BS.1116[1997]及びITU-R BS.775-1[1994]に記載され、ステレオ信号の再生のための、ラウドスピーカーと聞き手の理想的な配置を説明する図1に図示される。
聞き手は、dl= dr= dlr=2メートルの最小値を持つ正三角形の頂点に位置されるべきである。ラウドスピーカーは、それぞれ他の二つの頂点に位置されるべきである。これらのラウドスピーカーは、周波数応答及びパワー応答の観点から調和が取られるべきである。壁までの最小距離は、1メートルとすべきである。天井までの最小距離は1.2メートルとすべきである。
この明細書において、小文字の変数、例えばx[n]は時間領域信号に用いられ、大文字の変数、例えばX[k]は周波数領域の表現に用いられるであろう。
音響信号lear[n]及びrear[n]は、両耳(binaural)と称され、この明細書を通して、聞き手の外耳道への入口で測定されたそれらの信号を意味すると理解される。局在化のために必要な全ての方向性の情報が、これらの信号において利用できることが「Hammershoi及びMoller[1996]」に示された。両耳信号間の差の特性は、両耳間(interaural)と呼ばれる。図1を参照して、信号lsource[n]により与えられる一つの音響ソースのみが存在する場合を考慮する。この場合、左耳は0°方位又は正中線に対してそのソースと同じ半球内にあるので同側(ipsilateral)と称され、h LL[n]はlsource[n]とlear[n]の間の伝送経路のインパルス応答である。同様に、右耳は反対側(contralateral)と称され、h RL[n]はlsource[n]とrear[n]の間の伝送経路のインパルス応答である。理想的な場合、ΘLR=30°である。
この状況が自由場での点ソースにおけるものであった場合、これらのインパルス応答又は周波数領域における頭部伝達関数(HRTF)は、胴、頭及び耳介(外耳)によって引き起こされる、回折、散乱、干渉及び共鳴の影響についての情報を含み、ソースと聞き手の相対位置に対する特性がある程度異なるであろう。本発明において使用されるHRTFは、「CIPIC Interface Laboratory [2004]」のデータベースのものであり、特に、小さい耳介を持つ頭及び胴のシミュレータKEMAR(登録商標)のためのものである。しかしながら、本発明に従って、本物の人の耳からのもの、人工の人の耳(人工の頭)からのものと、さらにシミュレーションされたHRTFの両方のような、頭部伝達関数の他の例も使用できることが理解される。
次の六つの数式で定式化されるように、これらの信号の周波数領域表現は離散フーリエ変換DFTを用いて算出され、これらの数式は「Oppenheim及びSchafer[1999, 561ページ]」において集合的にフーリエ解析方程式(Fourier analysis equation)と称されている。
Figure 2013524562
左耳と右耳の間の差は、次の数式で定義される両耳間伝達関数HIA[k]により表される。
Figure 2013524562
両耳聴覚システムは、認識される空間的印象を作り出す両耳信号に作用する処理の集まりを意味する。推定の基本的な手がかり(cues)は、両耳間レベル差(interaural level difference)ILD及び両耳間時間差(interaural time difference)ITDである。これらの量は以下で定義される。
ILDは、平均音圧レベルに関連するLear[k]とR ear[k]の間の相違を意味する。ILDは、HIA[k]の振幅により定量的に表される。
ITDは、それらの時間における関係に関連するLear[k]とR ear[k]の間の相違を意味する。ITDは、HIA[k]の位相遅延により定量的に表される。特定の周波数における位相遅延は、その周波数により分割された、負のアンラッピングされた位相である。
Lsource[k]とRsource[k]の両方が存在する場合、両耳間伝達関数は次の数式により与えられる。
Figure 2013524562
伝送経路が線形時不変LTIである場合、それらのインパルス応答は独立して決定することができ、HIA[k]は上記の数式のように重ね合わせにより決定することができる。
信号のパワースペクトル密度はその自己相関のフーリエ変換である。次の数式に示されるように、lsource[n]とrsource[n]のパワースペクトル密度は、周波数領域において、スペクトルと、その複素共役との積として算出することができる。
Figure 2013524562
クロスパワースペクトル密度は二つの信号の間の相互相関のフーリエ変換である。次の数式に示されるように、lsource[n]とrsource[n]のクロスパワースペクトル密度は、周波数領域において、Lsource[k]とRsource[k]の複素共役との積として算出することができる。
Figure 2013524562
lsource[n]とrsource[n]の間のコヒーレンスは、二つの信号の間の類似の度合いであり、0と1の間の値を取る。それは、二つの信号のパワースペクトル密度とそれらのクロスパワースペクトル密度から算出される。コヒーレンスは、周波数領域において、以下の数式(6)で算出することができる。単一ブロックのデータが用いられる場合、CLR=1であることを示すことは容易であり、したがって、CLRは解析されるべき幾つかのブロックの信号にわたって算出される。
Figure 2013524562
lsource[n]とrsource[n]は、結合して定常確率過程である必要がある。これは、自己相関及び結合分布は、「Shanmugan及びBreipohl [1988]」に従って、時間変化に対して不変であるべきであることを意味する。
lsource[n]とrsource[n]がコヒーレントであり、ILDもITDもなく、且つ自由場状態であり頭及び胴が対称であると仮定した場合、図2に示されるように、HIA[k]の振幅及び位相は0である。ある周波数でILDが正であることは、lsource[n]においてその周波数でレベルがより高いことを意味する。同様に、ある周波数でITDが正であることは、lsource[n]においてその周波数がより早く発生したことを意味する。
上記の状況下での通常の且つ正常な聴覚システムの出力は、二つのソースの間の円弧部分で0度方位のライン上に集中している、ファントム映像とも称される単一の聴覚映像である。各耳に到達する音響が同一である、このような状況は、両耳(diotic)とも称される。同様に、わずかなILD及び/又はITDの差がある場合、まだ単一の聴覚映像が認識されている。二つのソースの間のこの映像の場所は、ITD及びILDにより決定される。この現象は、加算局在化と称される(「Blauert [1997, 209ページ]」)。ILD及びITDの手がかりは、「加算され」、単一の認識事象をもたらす。これは、空間聴覚情景を生成する手段としてステレオの基礎を形成する。
ITDが、略0.34mの距離に対応する略1msを超える場合、聴覚事象は最も早いソースに局部集中する。これは、第1波面の法則として知られている。したがって、最初の音響のうち1ms内に耳に到達する音響のみがステレオにおける局在化にとって重要である。これはソースと部屋の境界との間の距離についてのITU勧告の理由の一つである。遅延がさらに増大すると、第1の聴覚事象の反響として第2の聴覚事象が認識されるであろう。
現実のステレオ音楽信号は、任意の数の成分を有しうる。それらのCLR[k]は時間の関数として0と1の間で変動する。Lsource及びRsourceがステレオ音楽信号によって駆動されるとき、両耳聴覚システムの出力は、二つのソースの間で発生する聴覚情景であり、それの範囲及び特質は、ステレオ音楽信号間の関係に依存する。
軸外のリスニング状況
前段落において、理想的なステレオリスニング状況では、ステレオ音響ソースに対して対称に配置されるリスニング位置が考慮されてきた。つまり、聞き手は、最適な空間音響再生が生じるリスニングルーム内の領域、いわゆる「スイートスポット」の中央に位置する。ソース、リスニング位置及び部屋の境界の間の距離に依存して「スイートスポット」の効果的な領域は変化するが、それは限定される。このため、幾人かの聞き手が軸外の位置にいることは一般的である。軸外のリスニング位置の例が図3に示される。
次の解析においては、再度、自由場における点ソース及び対称HRTFが仮定される。
図3を参照すると、それぞれ二つの音響ソースから各耳への伝播経路は、異なる長さdl<drであることが明らかである。自動車のリスニング状況における一般的な距離は、略、dl=1m、dr=1.45m、dlr=1.2mである。dr- dl=0.45mであるので、第1波面の法則で差し迫った問題が存在し、結果として聴覚情景の大部分は左音響ソースに対して崩壊する。これに加えて、角度ΘLとΘRはもはや等しくなく、したがって、両耳インパルス応答はもはや等しくない、すなわちhLL[n]≠hRR[n]且つhLR[n]≠hRL[n]である。その角度がΘL=25°且つΘR=35°であると推定され、且つ両耳インパルス応答が略経路長差の遅延及び減衰をシミュレーションするように変更された場合のHIA[k]の振幅及び位相が、図4に示される。
軸上のリスニング位置と異なり、この場合、lsource[n]及びrsource[n]が同一の信号で駆動されると、聴覚映像は、聞き手の前にまっすぐに局部集中する可能性は低いが、左に「傾く」又はさらに左ソースの位置に対して完全に崩壊する可能性はかなり高い。図4に示されるILDのプロットの大きなピークに見られるように、ITDのオフセットがくし形フィルタを作り出すので、その音質にも影響が及ぶ。現実のステレオ音楽信号において、加算局在化はもはや対象とする両耳間の手がかりに基づかないので、聴覚情景は正確に再生されない可能性がかなり高い。聞き手が一人のみである場合、これらの影響は、例えば「Tokuno, Kirkeby, Nelson及びHamada [1997]」により表された方法を用いるデコンボリューションを用いて補正することができた。
ほとんどの現実のステレオ音響リスニング状況は、上記した理想的な場合と異なる。現実のラウドスピーカーは、製造上の公差によって、周波数応答及びパワー応答が完全に調和されている可能性は低い。また、現実のリスニングルームでのラウドスピーカーの位置は、HIAの振幅及び位相に影響を与える、周波数依存の伝播経路を導く障害物及び反響面に近い。前述したように、ITUの勧告は、そのような影響を低下させることを目的とする。
本発明は、多数の異なる環境に適用することができるが、以下の項では、特に、自動車の室内でのステレオ再生について詳細に言及される。
車内のリスニング状況
自動車のステレオ状況と「理想的な」ステレオ状況の間の幾つかの差について、以下に概略的に記載される。
電子原動のピストンのラウドスピーカーが用いられる場合、幾つかのトランスデューサーが音スペクトル(20Hz〜20kHz)の再生に用いられるのが典型的である。これの一つの理由は、周波数の関数としてそのピストンにより放射される音圧の指向性が増大することである。これは、上記したように軸外のリスニングにとって重要である。また、円錐状のこの種類のラウドスピーカーは、波の伝播がピストン(ラウドスピーカーの膜)上に発生し、それにより歪みが作り出されるので、高周波数においてピストンとしての動作を停止する。この現象は、コーンブレークアップと称される。
ラウドスピーカーは、一般に、車体の様々な空洞の内部に、グリルの背後に取り付けられる。そのため、音響は幾つかの共鳴系を通過する。また、ラウドスピーカーは、付加的な音響を放射する、例えばドアのトリム等の他の振動系を励起する可能性が高い。ソースは室内の境界の近くにある可能性があり、他の大きな反響面はソースに対して0.34m内にある可能性がある。これは、局在化に影響を与える、直接の音響の1ms内に到達する反響をもたらす。右信号のためのソースの経路と比較して左信号のためのソースの経路には、異なる障害がある可能性がある(例えば、ダッシュボードは計器群及びハンドルのせいで対称でない)。例えばカーペット及びシートの発泡体等の音響吸収素材は、空間のあらゆる場所に不規則に広がっている。略65Hzと400Hzの間の低周波数では、車内の音響場は、多かれ少なかれ湿気のある様々な状態を含む。
その結果、lear[n]及びrear[n]は、それぞれ、トランスデューサーから室内を通ってそれぞれの耳へ伝達する多数の伝達経路の重ね合わせとなる。
全ての運転手及び同乗者にとって固定のリスニング位置はなく、代わりにリスニング領域の概念が用いられるという事実により、この状況はさらに複雑になる。リスニング領域の座標系が図5に示される。
「リスニング領域」は、聞き手の耳がある可能性が最も高く、したがって再生システムの動作が最も重要である空間の領域である。車に座っている運転手の場所は、十分に文書化されている(例えば「Parkin, Mackay及びCooper [1995]」を参照)。Parkin他により表された95番目のパーセンタイル値に対応する観測データを、「ITU-T P.58 [1996]」で勧告された頭部形状と結合することにより、以下のリスニング窓は、大部分の運転手の耳を含むであろう。図6に示される自動車のリスニングの例に参照がなされる。
図6において聞き手の頭の周囲の矩形として示される、運転手のリスニング領域の原点からの近似の距離は、dl=1m、dr=1.45m、dlr=1.2mである。運転手のリスニング領域の中心と同乗者のリスニング領域の中心の間の近似の距離は、dlisteners=0.8mである。
自動車の「リスニング領域」の四つの位置における両耳間伝達関数は、人工の頭を使ってなされた測定から算出されている。図7は、位置1(運転手のリスニング窓の後部)におけるHIA及び位置2(運転手のリスニング窓の前部)におけるHIAを示す。図8は、位置3(同乗者のリスニング窓の後部)におけるHIA及び位置4(同乗者のリスニング窓の前部)におけるHIAを示す。
これらのプロットは、四つの異なるリスニング位置の間の大きい振幅及び位相の差を明らかにする。二つ以上の位置、及び他の位置におけるこれらの差を訂正することはできない。デコンボリューションは、その差をさらに増大させ、例えば前共鳴(pre-ringing)等の、他の可聴のアーチファクトを導く。主要なポイントは、デコンボリューションは、この状況における局在化の低下のための現実的な解決法ではないということである。
ステレオからマルチモノラルへの変換
前述の解析は、軸外のリスニング位置がステレオ再生下でどのように両耳間伝達関数を変えるかを明示している。聴覚情景が目的通りに認識されるわずかなリスニング領域は、空間音響再生の手段としてのステレオ音響に係る制限である。この問題の解決法は、Pedersenにより、欧州特許EP 1 260 119 B1号で提案されている。
上記の文書で提案される解決法は、上記の理想的なステレオの配置により、ステレオ信号が再生された場合に、作成されているであろう音響信号のファントムソースの位置に配置された一つ以上のラウドスピーカーによって、音響信号のそれぞれが再生されるように、ステレオ信号から多数の音響信号を導出することを含む。このステレオからマルチモノラルへの変換は、ファントムソースを現実のソースへ変化させ、それによって、それらの場所をリスニング位置から独立させることを目的としている。ステレオ信号は解析され、それらの様々な周波数成分の方位角の場所が、チャンネル間の振幅及び位相の差並びにチャンネル間のコヒーレンスから推定される。
上記の背景において、本発明の目的は、選択された好ましいリスニング位置だけでなく、より一般にリスニングルームのより広い部分にわたって、特に、限定されないが、自動車の室内にわたって、特定の聴覚情景の十分な再生を作り出す方法及び対応するシステム又は装置を提供することである。
本発明に従って、上記及び他の目的及び効果は、ステレオからマルチモノラルへの変換方法及び対応する装置又はシステムの提供により達成される。本発明に従って、広がって音響情景を構成するファントムソースの場所は、両耳信号lear[n]及びrear[n]から推定される。どのラウドスピーカーがステレオ信号の個々の成分を再生すべきかを決定するために、各ラウドスピーカーにはカバーする方位角度の範囲が割り当てられる。そしてその範囲は再生システムにおいてラウドスピーカーの数に反比例する。ILD限界及びITD限界が、同じ範囲の方位角度にわたる頭部伝達関数から算出される各ラウドスピーカーに対して割り当てられる。ステレオ信号の各成分は、ILD限界及びITD限界が、その特定の信号成分のILD及びITDと一致するラウドスピーカーによって再生される。上記したように、ファントムソースを発生させるためにステレオ信号間の高いチャンネル間コヒーレンスが必要であり、したがって、全ての過程はこのコヒーレンスによってさらにスケーリングされる。
上記した欧州特許EP 1 260 119 B1号に記載された、元のステレオからマルチモノラルへのシステム及び方法と比較して、本発明は、通常のステレオ配置においてラウドスピーカーの再生のために用いられるL信号及びR信号からではなく、代わりにHRTFを通して処理した後のこれらの信号から、ITD、ILD及びコヒーレンスを導出することにより、平均的な聞き手が認識するファントムソースの位置のより良い予測を得る。すなわち、ファントムソースの予測は両耳信号に基づいている。本発明に用いられるような両耳信号に基づくファントムソースの最も適した位置の予測は、空間のどこでも、すなわち、聞き手の前の区域に限定されず、通常の音響配置における左右のラウドスピーカーの間においても、ファントムソースの局在化が発生しうるという、非常に重要な結果を有する。そしてその予測の後に、特定の信号成分がリスニング領域の周囲のどこかに配置されたラウドスピーカーに送られる。
本発明に従ったシステム及び方法の特定の実施形態において、頭部追跡装置が聞き手の頭の方向を識別し、聞き手の頭の正面方向が複数のラウドスピーカーによって再生される聴覚情景の正面方向に対応するように、個々のラウドスピーカーのための各信号の処理を変更できるように、頭部追跡装置が組み込まれる。本発明に従って、この効果は、例えば発明を実施するための形態に示されるように、左右角度制限手段を配置するための制御信号を与える聞き手と関連付けられた頭部追跡手段によって提供される。
本明細書は、三つのラウドスピーカー(左、中央及び右のラウドスピーカー)に適用する、ステレオからマルチモノラルへのシステム及び方法の実施形態に焦点を合わせているが、本発明の原理に従って、そのシステム及び方法を他の数のラウドスピーカー、例えば家で用いられるサラウンド音響システム、又は自動車のラウドスピーカーの配置から知られているように、聞き手の耳を通る水平面において、聞き手の周りに配置された五つのラウドスピーカーに拡張することが可能である。この種類の実施形態は、発明を実施するための形態に記載されるであろう。
本発明の第1の側面に従って、例えばステレオ音響ラウドスピーカー配置における左右のラウドスピーカー又はサラウンド音響ラウドスピーカー配置における隣接したラウドスピーカー等の主音響再生トランスデューサーのペアの間に配置された、例えばラウドスピーカー等の一つ以上の補助音響再生トランスデューサーを用いて、再生用の聴覚信号成分を選択する方法が提供される。その方法は、
(i)その補助音響再生トランスデューサーのうちの一つが配置され、又は配置されるべき範囲内の方位角度範囲と、リスニング方向とを指定し、
(ii)その方位角度範囲及びそのリスニング方向に基づいて、左右両耳間レベル差限界及び左右両耳間時間差限界をそれぞれ決定し、
(iii)その主音響再生トランスデューサーのペアのための入力信号のペアを供給し、
(iv)その入力信号のそれぞれを前処理し、それにより、前処理された入力信号のペアを供給し、
(v)両耳間レベル差及び両耳間時間差をその前処理された信号の間の周波数の関数として決定し、
(vi)その左右両耳間レベル差限界の間の区間及びその左右両耳間時間差限界の間の区間にある両耳間レベル差及び両耳間時間差を有するその入力信号のそれらの信号成分を、それぞれ、その対応する補助音響再生トランスデューサーに供給するステップを含む。
本発明に従った方法の特定の実施形態に従って、その限界を超える両耳間レベル差及び両耳間時間差を有するそれらの信号成分がその左右の主音響再生トランスデューサーにそれぞれ供給される。
本発明に従った方法の他の特定の実施形態に従って、その限界を超える両耳間差を有するそれらの信号成分が、請求項1に記載の方法を実行する手段に入力信号として供給される。
本発明に従った方法の特定の実施形態に従って、その前処理手段は、頭部伝達関数手段である、つまりその前処理手段への入力は、本物の人間についての頭部伝達関数(HRTF)、人工の頭についての頭部伝達関数又はシミュレーションされた頭部伝達関数の何れかに対応する関数を通して処理される。
本発明に従った方法の現在の好ましい特定の実施形態に従って、その方法は、その入力信号のペアの間のコヒーレンスを決定することをさらに含み、その信号成分は、その一つ以上の補助音響再生トランスデューサーに供給される前にそのコヒーレンスにより重み付けされる。
本発明に従った方法のなおさらなる特定の実施形態に従って、聞き手に対する正面方向と、したがって、例えば頭部伝達関数等の、その前処理手段によるそれぞれの処理が、その聞き手により選択される。
本発明に従った方法の特定の実施形態に従って、聞き手に対する正面方向と、したがって、例えば頭部伝達関数等の、その前処理手段によるそれぞれの処理が、聞き手に取り付けられた頭部追跡手段により制御される。
本発明の第2の側面に従って、例えばステレオ音響ラウドスピーカー配置における左右のラウドスピーカー又はサラウンド音響ラウドスピーカー配置における隣接したラウドスピーカー等の主音響再生トランスデューサーのペアの間に配置された、例えばラウドスピーカー等の一つ以上の補助音響再生トランスデューサーを用いて、再生用の聴覚信号成分を選択する装置がさらに提供される。その装置は、
(i)その補助音響再生トランスデューサーのうちの一つが配置され、又は配置されるべき範囲内の方位角度範囲を指定し、且つリスニング方向を指定する、例えばキーボード又はタッチスクリーン等の指定手段と、
(ii)その方位角度範囲及びそのリスニング方向に基づいて、左右両耳間レベル差限界及び左右両耳間時間差限界をそれぞれ決定する決定手段と、
(iii)その主音響再生トランスデューサーのペアのための入力信号のペアを供給する左右入力端子と、
(iv)その左右入力端子で供給されたその入力信号のそれぞれを前処理し、それにより、それぞれ前処理された入力信号のペアを供給する前処理手段と、
(v)両耳間レベル差及び両耳間時間差をその前処理された入力信号の間の周波数の関数として決定する決定手段と、
(vi)その左右両耳間レベル差限界の間の区間及びその左右両耳間時間差限界の間の区間にある両耳間レベル差及び両耳間時間差を有するその入力信号のそれらの信号成分を、それぞれ、対応するその補助音響再生トランスデューサーへの供給のために補助出力端子に供給する信号処理手段と、を備える。
本発明に従った装置の実施形態に従って、その限界を超える両耳間レベル差及び両耳間時間差を有するそれらの信号成分がその左右の主音響再生トランスデューサーにそれぞれ供給される。
本発明の他の実施形態に従って、その限界を超える両耳間差を有するそれらの信号成分が、上記したような装置に入力信号として供給される。それにより、聞き手の周囲の場所に配置された複数の補助トランスデューサーを備える、より大きいシステムを配置することが可能となる。例えば、前左、前中央、前右、後左及び後右の主ラウドスピーカーを備えるサラウンド音響ラウドスピーカー配置において、本発明に従ったシステムは、例えば前左の主ラウドスピーカーと後左の主ラウドスピーカーの間に配置されたラウドスピーカーと、前右の主ラウドスピーカーと後右の主ラウドスピーカーの間に配置されたラウドスピーカーのために、それぞれ信号を供給することができる。多数の他のラウドスピーカー配置が、本発明の原理を利用して配置することができ、そのような配置は、本発明の範囲に含まれる。
本発明の好ましい実施形態に従って、その前処理手段は、頭部伝達関数手段である。
また、本発明のさらに他の、現在の好ましい実施形態に従って、その入力信号のペアの間のコヒーレンスを決定するコヒーレンス決定手段を備え、その入力信号のその信号成分は、その補助出力端子を介してその一つ以上の補助音響再生トランスデューサーに供給される前にその入力信号の間のチャンネル間のコヒーレンスにより重み付けされる。
本発明に従った装置のさらなる実施形態に従って、聞き手に対する正面方向と、したがって、例えば頭部伝達関数等のその前処理手段によるそれぞれの処理が、その聞き手により、例えばキーボード又はタッチスクリーン等の適切なインターフェースを例えば用いて、選択される。
本発明に従った装置の代替の実施形態に従って、聞き手に対する正面方向と、したがって、例えば頭部伝達関数等のその前処理手段によるそれぞれの処理が、聞き手に取り付けられた頭部追跡手段、又は音響再生トランスデューサーの配置に対するその聞き手の方向を決定する他の手段により制御される。
本発明の第3の側面に従って、例えばステレオ音響ラウドスピーカー配置における左右のラウドスピーカー又はサラウンド音響ラウドスピーカー配置における隣接したラウドスピーカー等の主音響再生トランスデューサーのペアの間に配置された、例えばラウドスピーカー等の一つ以上の補助音響再生トランスデューサーを用いて、再生用の聴覚信号成分を選択するシステムが提供される。そのシステムは、少なくとも二つの、本発明に従った装置を備え、その装置のうちの第1の装置は、左右入力端子が供給され、その第1の装置は、左出力端子、右出力端子及び補助出力端子に出力信号を供給し、その補助出力端子へのその出力信号は、補助音響再生トランスデューサーに供給され、その左出力信号及び右出力信号へのその出力信号は、それぞれ、本発明に従った次の装置のそれぞれの入力信号に供給され、それにより、出力信号は、複数の補助音響再生トランスデューサーのそれぞれに供給される。そのようなシステムの限定されない例が、既に上述されている。
本発明は、以下の発明を実施するための形態を、図面に係る各図とともに読むことにより、より理解されるであろう。
ステレオ信号の再生のためのラウドスピーカーと聞き手の理想的な配置を説明する図である。 理想的なステレオ再生のための周波数の関数として、(a)両耳間レベル差(ILD)、及び(b)両耳間時間差(ITD)を示す図である。 ステレオラウドスピーカーのペアに対して、軸外のリスニング位置の場合を説明する図である。 軸外のリスニングのための周波数の関数として、(a)両耳間レベル差(ILD)、及び(b)両耳間時間差(ITD)を示す図である。 リスニング領域の座標系及び聞き手の頭の方向を示す図である。 自動車のリスニング状況を説明する図である。 (a)周波数の関数として位置1のILD、(b)周波数の関数として位置1のITD、(c)周波数の関数として位置2のILD、及び(d)周波数の関数として位置2のITDを示す図である。 (a)周波数の関数として位置3のILD、(b)周波数の関数として位置3のITD、(c)周波数の関数として位置4のILD、及び(d)周波数の関数として位置4のITDを示す図である。 本発明の実施形態に従った、左ラウドスピーカー、中央ラウドスピーカー及び右ラウドスピーカーのための三つの出力チャンネルをそれぞれ備える、ステレオからマルチモノラルへの変換器のブロック図である。 中央ラウドスピーカーの場所及び角度限界の例を示す図である。 リスニング方向が回転された後の中央ラウドスピーカーの場所及び角度限界を示す図である。 (a)HIAmusic(f)の振幅、及び(b)HIAmusic(f)の位相遅延を示す図である。 (a)ILDleftlimit、(b)ILDrightlimit、(c)ITDleftlimit、及び(d)ITDrightlimitを示す図である。 「バード・オン・ワイヤー」の512サンプルのブロックにおける左チャンネルと右チャンネルの間のコヒーレンスを示す図である。 -10°及び+10°におけるソースに対するILDの閾値と、HIAmusic(f)の振幅を示す図である。 フィルタへのILDmusicのマッピングを示す図である。 フィルタへのILDmusicのマッピングを示す図である。 -10°及び+10°におけるソースに対するILDの閾値と、HIAmusic(f)の位相遅延を示す図である。 フィルタへのITDmusicのマッピングを示す図である。 フィルタへのITDmusicのマッピングを示す図である。 Hcenter(f)の振幅を示す図である。 時間変化するフィルタによる不連続を持つ50Hz正弦波の一部を示す図である。 1/3オクターブで平滑化されたHcenter(f)の振幅を示す図である。 二つの隣接する解析ブロックにおけるHcenter(f)の振幅を示す図である。 スルーレート制限後の二つの隣接する解析ブロックにおけるHcenter(f)の振幅を示す図である。 スルーレート制限により不連続を低減させた50Hz正弦波の一部を示す図である。 Hcenter(k)のインパルス応答を示す図である。 (a)線形畳み込みの出力、及び(b)巡回畳み込みの出力を示す図である。 (a)線形畳み込みの出力、及び(b)ゼロ詰めした巡回畳み込みの出力を示す図である。 中央ラウドスピーカーの場所と、リスニング方向が主ラウドスピーカーのペアの間の角度範囲の外側にある角度制限を示す図である。
以下に、本発明に従った、ステレオからマルチモノラルへの変換器とも称される装置の詳細な実施形態が記載される。この実施形態の詳細な説明に関連して、特定の数値、例えばラウドスピーカーの配置における各角度に関する数値が、文章及び図と、時には様々な数式の両方で用いられる。しかし、そのような特定の値は例を構成するのみであると理解されるべきであり、本発明により他の変数値もカバーされることが理解される。この変換器の基本的な機能原理は、図9に示す概略ブロック図を参照して記載されるであろう。図9に示される実施形態は、n個のラウドスピーカーに拡張可能であり、二つより多いチャンネルで符号化される聴覚情景に適用することができるが、以下に記載される実施形態は、通常のステレオ音響再生システムの左右のラウドスピーカー(「主」ラウドスピーカー)に加えて一つの補助ラウドスピーカー用の信号の抽出を提供する。図11に示されるように、一つの補助ラウドスピーカー56は、以下の詳細な説明において、通常、0°方位に対して回転させた位置であり、且つ聞き手の正中面に設置される。図10に示される状況は一つの具体例を構成し、vListenは0度方位と等しい。
図9を再度参照すると、本発明のこの実施形態に従ったステレオからマルチモノラルへの変換器(及び対応する方法)は、ブロック図でAからEでラベル付けされた、五つの主機能を有する。
機能ブロックAでは、入力ステレオ音響信号Lsource[n]及びRsource[n](それぞれ参照番号14及び参照番号15)における特定の信号成分が、音信号を再生するために用いられる補助ラウドスピーカー56を備える所定の方位区間に起因しているかを決定するために、両耳信号の算出及び解析が実行される。図10及び図11において、上記の区間は中央ラウドスピーカー56に対応して図示されている。
この実施形態において、入力信号14、15はHRTFステレオソースブロック24で対応する両耳信号に変換され、この両耳信号に基づいて、ステレオ音響入力信号14、15における各信号成分についての両耳間レベル差(ILD)及び両耳間時間差(ITD)がILD音楽29及びITD音楽30と称されるブロックで決定される。ボックス25及びボックス26において、左角度限界及び右角度限界は、それぞれ端子54(左範囲)、端子53(リスニング方向)及び端子55(右範囲)において対応する入力信号に基づいて、それぞれ(例えば図10及び図11に示されるように)設定される。HRTFの対応する値は、27及び28で決定される。これらのHRTF限界は、ブロック31、32、33及び34において、対応する両耳間レベル差の限界及び両耳間時間差の限界に変換される。機能ブロックA(参照番号19)からの出力は、ステレオ音響信号14、15のそれぞれの信号成分におけるILD29及びITD30、並びにILD右限界31、ITD右限界32、ILD左限界33及びITD左限界34である。以下に記載されるように、機能ブロックAからのこれらの出力信号は、機能ブロックC(参照番号21)におけるマッピング機能に供給される。
入力ステレオ音響信号14、15は、さらに、入力ステレオ音響信号14、15の左信号14と右信号15の間のチャンネル間コヒーレンスを算出する機能ブロックB(参照番号20)に供給される。結果として生じるコヒーレンスは、ブロックCのマッピング機能に提供される。
機能ブロックC(21)は、機能A(19)及び機能B(20)において算出された両耳間差及びコヒーレンスをフィルタD(22)へマッピングする。その両耳間差及びチャンネル間コヒーレンスは、中央ラウドスピーカーによって再生される入力信号lsource[n](14)及びrsource[n](15)のそれらの成分を抽出するために用いられる。したがって、抽出の基本的な概念は、補助ラウドスピーカー56が配置される位置またはその位置の近傍において認識されるファントムソースをもたらす可能性の高いステレオ音響信号成分が、補助ラウドスピーカー56を通るであろうということである。実際に、「近傍」が意味するものは、ブロックAにおいて定義される角度限界によって決定され、ファントムソースの形成の見込みは、ブロック20において決定される左右のチャンネル間コヒーレンスによって決定される。
図9に示される、本発明に係る実施形態の基本機能は、以下により詳細に記載される。詳細な演算及び描画は、それぞれ+/−30度方位に配置された左右のラウドスピーカーの間の0度方位に配置された一つの追加のラウドスピーカーのために信号が抽出される例に関し、この配置は図10に概略的に示されるような従来のステレオ音響ラウドスピーカーの配置に対応する。ここで、左範囲入力信号54、リスニング位置入力信号53及び右範囲入力信号55の対応する値は、図10に示される状態に対応する、−10度方位、0度方位、+10度方位であるように選択される。
機能A.両耳信号の算出及び解析
第1のステップは、-30°(h-30°L[n]及びh-30°R[n])並びに+30°(h+30°r[n]及びh+30°L[n])におけるソースに対する自由場両耳インパルス応答で、ステレオ信号ソースからの入力音響信号lsource[n]及びrsource[n]を畳み込むことにより、耳入力信号lear[n]及びrear[n]を算出することを含む。時間領域の畳み込みは、典型的には、次の式で示される、第1の数列の各サンプルと、他方の第2の数列の時間を逆にしたバージョンとの積の和として定式化される。
Figure 2013524562
上記したように、これらの信号は、理想的なステレオ音響の場合における耳入力信号に対応する。
中央ラウドスピーカーは、次の数式のように、角度の変数である「左範囲」、「右範囲」及び「リスニング方向」(vLrange、vRrange及びvListenとも称される)から算出される「左角度限界」vLlimit及び「右角度限界」vRlimitの間に配置された聴覚情景の一部を再生することを目的としている。
Figure 2013524562
本具体例において、vLrange、vRrangeは、それぞれ−/+10度であり、vListenは、0度である。
再生システムが複数のラウドスピーカーを含む場合、角度の変数である「左範囲」、「右範囲」及び「リスニング方向」によって、表される聴覚情景の方向及び広さを操作することができる。図11は、「リスニング方向」が0度方位でなく、その結果、図10の状況と比較して聴覚情景が左に回転された例を示す。これらの変数の変化は、聞き手が明確に作り出すことができ、または聞き手の位置追跡ベクトル(例えば聞き手が身に着けているヘッドトラッカー)をもたらすことができる。
さらに、図30には、「リスニング方向」が補助ラウドスピーカー56を含む角度範囲の外側にある、より一般的な状態が示される。詳細に記載されていないが、この状況も本発明によってカバーされる。
各ケースにおけるILD限界及びITD限界は、vLlimit度、hvLlimitdegL[n]及びhvLlimitdegR[n]におけるソース、並びにvRlimit度、hvRlimitdegL[n]及びhvRlimitdegR[n]におけるソースに対する自由場両耳インパルス応答から算出される。
本実施形態では、機能Aから機能Dにおける信号解析の剰余は、上記したNサンプルのブロックの信号の周波数領域表現に影響する。方形窓が用いられる。以下に記載される例ではN=512である。
以下の数式で定式化されるように、一つのブロックの耳入力信号、音楽信号及び(0°での自由場におけるソースに対する−この処理は中央ラウドスピーカーに対するものである)両耳インパルス応答の周波数領域表現がDFTを用いて算出される。
Figure 2013524562
次に、以下に示されるように、三つの両耳間伝達関数が算出される。
Figure 2013524562
上記したように、ILDleftlimit、ILDrightlimit及びILDmusicが、適切な伝達関数の振幅から算出される。同様に、ITDleftlimit、ITDrightlimit及びITDmusicが、適切な伝達関数の位相から算出される。
各FFTビンkの中心周波数fがFFTサイズ及びサンプルレートから算出される。以下で例のために用いられる音楽信号は、「バード・オン・ワイヤー」の音楽が始まった後のサンプルn=2049:2560である。図12を参照すると、ILDmusic及びITDmusicが示される。
図13(左側の図)を参照すると、ILDleftlimit及びILDrightlimitが示される。
これらのILD及びITDの関数は、図9の機能ブロックC(参照番号21)のマッピングステップへの入力の一部である。
機能B 信号間のコヒーレンスの算出
上記したように0と1の間の値を取るlsource[n]とrsource[n]の間のコヒーレンスは、二つの信号のパワースペクトル密度と、それらのクロスパワースペクトル密度から算出される。
以下に示されるように、lsource[n]及びrsource[n]のパワースペクトル密度は、周波数領域において、スペクトルとその複素共役との積として算出することができる。
Figure 2013524562
以下に示されるように、lsource[n]及びrsource[n]のクロスパワースペクトル密度は、周波数領域においてLsource[k]とRsource[k]の複素共役との積として算出することができる。
Figure 2013524562
コヒーレンスは、周波数領域において、次の数式を用いて算出することができる。
Figure 2013524562
ここに示される例では、CLRは、8ブロックにわたって算出された。
lsource[n]=rsource[n]である場合、CLRは全ての周波数で1に等しくなる。lsource[n]及びrsource[n]が二つの独立したランダム信号である場合、CLRは全ての周波数で0に近くなる。音楽のブロックにおけるlsource[n]とrsource[n]の間のコヒーレンスが図14に示される。
機能C フィルタへの両耳間差及びコヒーレンスのマッピング
この機能ブロックは、機能A及び機能Bで算出された両耳間差及びコヒーレンスを、中央ラウドスピーカーによって再生されるlsource[n]及びrsource[n]の成分を抽出するために用いられるフィルタへマッピングする。基本的な考えとして、フィルタ全体へのILD、ITD及びチャンネル間コヒーレンス関数の寄与が、そのラウドスピーカーによってカバーされるように意図されている角度範囲に従って決定される幾つかの閾値に対して決定される。以下では、中央ラウドスピーカーは、-10度から+10度の角度範囲に割り当てられる。
フィルタ振幅へのILDのマッピング
ILDの閾値は、-10度から+10度におけるソースに対する自由場両耳間伝達関数から決定される。最終フィルタへのILDの寄与を算出する二つの異なる方法が以下に概略的に記載される。
第1のマッピング手法では、図15に示されるように、限界を超える振幅を持つ任意の周波数ビンは減衰される。理想的には、減衰は無限とすべきである。実際には、減衰は、例えばクリッキング等の、フィルタリングからのアーチファクトを避けるために、AdB、本例では30dBに制限される。これらのアーチファクトは以下でさらにコメントされる。フィルタへのこの種類のILDのマッピングは図16に示される。
図17に示されるように、代替の方法は、単に、フィルタの振幅として、0度におけるソースに対するHIAff[f]とHIAmusic[f]との間の振幅の差の負の絶対値を用いることである。このように、HIAmusic[f]とHIAff[f]の間の差が大きくなるほど、HIAmusic[f]は大きく減衰する。上記の方法にあるような厳格な閾値はなく、したがって、いくらかの成分は、隣接するラウドスピーカーのへ流れる。
フィルタの振幅へのITDのマッピング
前項にあるように、ITDの閾値は、それぞれ-10度及び+10度におけるソースに対する自由場両耳間伝達関数から決定される。最終フィルタへのIDTの寄与を含むための二つの方法が、再度、以下に記載される。
図18に、0度におけるソースに対するHIAff[f]とHIAmusic[f]との間の位相の差が、中央ラウドスピーカーに対するITDの閾値とともに、プロットされる。
第1の「厳格な閾値」のマッピング手法の結果は、図19に示されるフィルタの振幅である。この例では、ITDが、それぞれ-10度及び+10度における自由場のソースにより設定される閾値を超える全ての周波数ビンは、30dB近くまで減衰される。
他の手法は、各周波数ビンにおける減衰を、それぞれ-30度及び+30度における自由場のソースと比較した、その遅延率に基づいて算出することである。例えば、幾つかの周波数における最大遅延が16サンプルであり、且つ音楽のブロックにおけるITDが4サンプルであった場合、そのトータルの遅延率は25%となる。そして減衰はトータルの25%となる。つまり、許容されるトータルの減衰が30dBであった場合、関連する周波数ビンは18dB近くまで減衰する。
このように設計されたフィルタの振幅の例が、図20に示される。
フィルタの振幅へのコヒーレンスのマッピング
コヒーレント信号に最適な、強度及び時間のパニング機能のように、ステレオからマルチモノラルへの変換の演算は、好ましくはlsource[n]とrsource[n]の間のコヒーレンスを考慮に入れるべきである。これらの信号が完全にインコヒーレントであるとき、中央のチャンネルに信号は送られるべきでない。その信号が完全にコヒーレントであり、かつILD及びIITDが全くない場合、理想的には、lsource[n]及びrsource[n]の内容の全てが中央のラウドスピーカーに送信されるべきであり、何も左右のラウドスピーカーには送信されるべきでない。
コヒーレンスは、この実行においてスケーリングの要因として用いられ、次項に記載される。
機能D:フィルタ設計
中央ラウドスピーカーのための基本フィルタHcentre[f]は、以下の数式で定式化されるILDフィルタ、ITDフィルタ及びコヒーレンスの積として算出される。これが線形位相フィルタであることは重要な点である。音楽へ位相シフトを導入することは望ましくないので、各周波数ビンの虚数部は0にセットされる。
Figure 2013524562
その結果は、図21に示されるような振幅を持つフィルタである。
Hcentre[f]は、全てのブロックに対して更新される。すなわち、それは時間変化するフィルタである。この種類のフィルタは、ブロック間の不連続が大きすぎる場合、聞き取り可能な歪みを導く。図22は、50Hzの正弦波の一部において、400サンプル及び900サンプルの周囲に不連続が観測されるような場合の例を示す。
不連続を低減する二つの手段が、本実装において適用される。
第1の交差周波数平滑化がHcentre[f]に適用される。これは、隣接する周波数ビンのフィルタ振幅における急激な変化を低減させる。この平滑化は、各周波数ビンの振幅をその両側1/3オクターブの振幅の平均に置換することにより実行され、図23に示されるフィルタをもたらす。図21と比較してY軸のスケールが変化していることに注意する。
また、スルーレート制限が、あるブロックから次のブロックへ、各周波数ビンの振幅に適用される。図24は、現在のブロック及び前のブロックに対するHcentre[f]を示す。1kHz及び10kHzの周囲に略15dBの振幅差が見られる。
これらの振幅差は、クリッキングのように鳴動する、聞き取り可能な歪みを起こす。スルーレート制限は、条件付き論理命令で実行される。その例は、以下の擬似コードで与えられる。
アルゴリズム1(フィルタのスルーレート制限のための擬似コード)
Figure 2013524562
正及び負の最大変化値を選択することは、歪みと、lsource[n]とrsource[n]の間の関係に係る最も重要な時間変化特性を表すのに十分に速く反応するフィルタを有することとの間のトレードオフである。その値は、この例において実験的に決定され、1.2dBが許容されるものと見出された。図25は、この1.2dBスルーレート制限を用いる、現在のブロックに対するHcentre[f]と前のブロックに対するHcentre[f]との間の変化を示す。
再度、1kHz及び10kHz周囲の領域について考える。最大でスルーレート制限までの差のみが維持されていることが明らかである。図26は、時間変化するフィルタに対して交差周波数平滑化及びスルーレート制限が適用されている50Hz正弦波の同じ部分を示す。図22にはっきりと表れていた不連続は大きく減少している。また、フィルタのゲインもこの周波数で変化しているという事実は、正弦波のレベルが変化しているという事実から明らかである。上述したように、ソース素材におけるチャンネル間の関係を表す正確さと時間変化するフィルタからのアーチファクトを避けることとの間にトレードオフがある。
巡回畳み込みと同等の高速畳み込みが用いられる場合、時間エイリアシングを適切に制御できるように、フィルタはそれらの時間領域の形に変換されなければならない(これは以下により十分に記載される)。
IDFTと略され、次の数式により与えられ、Hcentre[k]のフーリエ合成式と称される逆離散フーリエ変換は、そのインパルス応答を生じさせる。
Figure 2013524562
Hcentre[f]は線形位相であるので、Hcentre[n]は、長さNサンプルの、非因果的有限インパルス応答(FIR)フィルタである。すなわち、それは第1のサンプルに先行する。図27に示されるように、この種類のフィルタでは、N/2サンプルの遅延を適用することにより因果関係が示される。そのフィルタはサンプルN/2+1について対称であることに注意する。タップ値は、プロットするためだけに正規化されている。
機能E:各ラウドスピーカーのための信号の算出
重複保存方法を用いる高速畳み込み
時間領域で二つのシーケンスを畳み込む時間は、N2に比例する。ここでNは最も長いシーケンスの長さである。一方、周波数領域で二つのシーケンスを畳み込む時間、つまりそれらの周波数応答の積は、NLogNに比例する。これは、略64サンプルより長いシーケンスに対して、周波数領域の畳み込みがより効率的に計算できることを意味し、したがって高速畳み込みと表現される。二つの方法の出力に重要な差がある。周波数領域の畳み込みは巡回畳み込みである。図28に示される激しい曲線は、長さN=512の図27のフィルタと、長さM=512の500Hz正弦波との時間領域の畳み込みの出力シーケンスである。線形位相フィルタの因果関係の結果として256サンプルの前共鳴がもたらされていることに注意する。この場合、出力シーケンスの長さは、(N+M)-1=1023サンプルである。図28に示される軽い曲線は、同じフィルタと正弦波の高速畳み込みの出力シーケンスであり、長さは512サンプルだけである。サンプル512の後に来るべきサンプルは、巡回してシフトされており、サンプル1から511に加えられている。その現象は、時間エイリアシングとして知られている。
時間エイリアシングは、フーリエ変換の前にシーケンスにゼロ詰めすることにより避けることができ、それが、上記の機能ブロックDについての項で述べたフィルタの時間領域表現へ戻す理由である。図29の激しい曲線は、長さN=512の図27のフィルタと、長さM=1024の500Hz正弦波の時間領域の畳み込みの出力シーケンスである。この場合、出力シーケンスの長さは、(N+M)-1=1535サンプルである。図29の軽い曲線は、長さN=1024サンプルに対してゼロ詰めされた同じフィルタと、やはり長さM=1024の正弦波の高速畳み込みの出力シーケンスである。ここで、出力シーケンスの長さは1024サンプルである。しかしながら、上記の場合と対照的に、ゼロ詰めしているサンプル512から1024と同じ位置における出力シーケンスの部分は、時間領域の畳み込みの出力と全く一致している。
この部分を保存し、正弦波に沿って512サンプルを前に移動させる処理を繰り返すことは、高速畳み込みの重複保存方法と呼ばれ、フィルタリング処理と関連付けられた総遅延をfilter-delay=512サンプルとする、追加の256サンプルの遅延を除いて、時間領域の畳み込みと同等である。この技術の詳細な説明について「Oppenheim及びSchafer [1999, 587ページ]」に参照がなされる。
出力信号の算出
中央ラウドスピーカーにより再生されるべき信号coutput[n]は、次の数式を用いて算出される。
Figure 2013524562
左ラウドスピーカー及び右ラウドスピーカーにより再生されるべき信号は、それぞれ以下の数式に示されるように、それぞれ、lsource[n]からcoutput[n]を減算すること、及びrsource[n]からcoutput[n]を減算することにより算出される。lsource[n]及びrsource[n]は、フィルタ遅延filter-delayの要因となるように遅延することに注意する。
Figure 2013524562
rsource[n]=-lsource[n]である特別な場合において信号は負の相関性があり、全ての出力信号が0となることを示すのは容易である。この場合、クロスパワースペクトル密度の位相の絶対値PLR[k]はπ∀kに等しくなり、コヒーレンスCLR[k]はI∀kに等しくなる。以下の擬似コードにおける条件文は、loutput[n]=lsource[n]、routput[n]=-lsource[n]及びcoutput[n]=0を確実にするために適用される。
アルゴリズム2(負の相関性がある信号を処理するための擬似コード)
Figure 2013524562
また、lsource[n]又はrsource[n]の何れかに無音がある場合、CLR[k]は0とすべきである。しかしながら、これが発生することを妨げる数値問題が存在しうる。本実装において、PLL[k]またはPRR[k]の何れかの値が-140dBを下回る場合、CLR[k]は0に設定される。
参照
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Claims (15)

  1. 例えばステレオ音響ラウドスピーカー配置における左右のラウドスピーカー又はサラウンド音響ラウドスピーカー配置における隣接したラウドスピーカー等の主音響再生トランスデューサーのペアの間に配置された、例えばラウドスピーカー等の一つ以上の補助音響再生トランスデューサーを用いて、再生用の聴覚信号成分を選択する方法であって、
    (i)前記補助音響再生トランスデューサーのうちの一つが配置され、又は配置されるべき範囲内の方位角度範囲と、リスニング方向とを指定し、
    (ii)前記方位角度範囲及び前記リスニング方向に基づいて、左右両耳間レベル差限界及び左右両耳間時間差限界をそれぞれ決定し、
    (iii)前記主音響再生トランスデューサーのペアのための入力信号のペアを供給し、
    (iv)前記入力信号のそれぞれを前処理することにより、前処理された入力信号のペアを供給し、
    (v)両耳間レベル差及び両耳間時間差を前記前処理された信号の間の周波数の関数として決定し、
    (vi)前記左右両耳間レベル差限界の間の区間及び前記左右両耳間時間差限界の間の区間にある両耳間レベル差及び両耳間時間差を有する前記入力信号のそれらの信号成分を、それぞれ、対応する前記補助音響再生トランスデューサーに供給すること、を含む方法。
  2. 前記限界を超える両耳間レベル差及び両耳間時間差を有するそれらの信号成分が前記左右の主音響再生トランスデューサーにそれぞれ供給される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記限界を超える両耳間差を有するそれらの信号成分が、請求項1に記載の方法を実行する手段に入力信号として供給される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記前処理手段は、頭部伝達関数手段である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記入力信号のペアの間のコヒーレンスを決定することをさらに含み、
    前記信号成分は、前記一つ以上の補助音響再生トランスデューサーに供給される前に前記コヒーレンスにより重み付けされる、請求項1に記載の方法。
  6. 聞き手に対する正面方向と、したがって、例えば頭部伝達関数等の前記前処理手段によるそれぞれの処理が、前記聞き手により選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 聞き手に対する正面方向と、したがって、例えば頭部伝達関数等の前記前処理手段によるそれぞれの処理が、聞き手に取り付けられた頭部追跡手段により制御される、請求項1に記載の方法。
  8. 例えばステレオ音響ラウドスピーカー配置における左右のラウドスピーカー又はサラウンド音響ラウドスピーカー配置における隣接したラウドスピーカー等の主音響再生トランスデューサーのペア(2、3)の間に配置された、例えばラウドスピーカー等の一つ以上の補助音響再生トランスデューサー(56)を用いて、再生用の聴覚信号成分を選択する装置であって、
    (i)前記補助音響再生トランスデューサー(56)のうちの一つが配置され、又は配置されるべき範囲内の方位角度範囲を指定し、且つリスニング方向を指定する、例えばキーボード又はタッチスクリーン等の指定手段(53、54、55)と、
    (ii)前記方位角度範囲及び前記リスニング方向に基づいて、左右両耳間レベル差限界及び左右両耳間時間差限界をそれぞれ決定する決定手段(25、26、27、28、31、32、33、34)と、
    (iii)前記主音響再生トランスデューサーのペア(2、3)のための入力信号のペアを供給する左右入力端子(14、15)と、
    (iv)前記左右入力端子(14、15)で供給された前記入力信号のそれぞれを前処理することにより、前処理された入力信号のペアを供給する前処理手段(24)と、
    (v)両耳間レベル差及び両耳間時間差を前記前処理された入力信号の間の周波数の関数として決定する決定手段(24)と、
    (vi)前記左右両耳間レベル差限界の間の区間及び前記左右両耳間時間差限界の間の区間にある両耳間レベル差及び両耳間時間差を有する前記入力信号のそれらの信号成分を、それぞれ、対応する前記補助音響再生トランスデューサー(56)への供給のために補助出力端子(18)に供給する信号処理手段(22、23)と、を備える装置。
  9. 前記限界を超える両耳間レベル差及び両耳間時間差を有するそれらの信号成分が前記左右の主音響再生トランスデューサー(2、3)にそれぞれ供給される、請求項8に記載の装置。
  10. 前記限界を超える両耳間差を有するそれらの信号成分が、請求項8又は9に記載の装置に入力信号として供給される、請求項8に記載の装置。
  11. 前記前処理手段(24)は、頭部伝達関数手段である、請求項8に記載の装置。
  12. 前記入力信号のペア(14、15)の間のコヒーレンスを決定するコヒーレンス決定手段(35)をさらに備え、
    前記入力信号(14、15)の前記信号成分は、前記補助出力端子(18)を介して前記一つ以上の補助音響再生トランスデューサー(56)に供給される前に前記入力信号(14、15)の間のチャンネル間のコヒーレンスにより重み付けされる、請求項8に記載の装置。
  13. 聞き手に対する正面方向と、したがって、例えば頭部伝達関数等の前記前処理手段(24)によるそれぞれの処理が、前記聞き手により選択される、請求項8に記載の装置。
  14. 聞き手に対する正面方向と、したがって、例えば頭部伝達関数等の前記前処理手段(24)によるそれぞれの処理が、聞き手に取り付けられた頭部追跡手段、又は音響再生トランスデューサーの配置に対する前記聞き手の方向を決定する他の手段により制御される、請求項8に記載の装置。
  15. 例えばステレオ音響ラウドスピーカー配置における左右のラウドスピーカー又はサラウンド音響ラウドスピーカー配置における隣接したラウドスピーカー等の主音響再生トランスデューサーのペア(2、3)の間に配置された、例えばラウドスピーカー等の一つ以上の補助音響再生トランスデューサー(56)を用いて、再生用の聴覚信号成分を選択するシステムであって、
    少なくとも二つの、請求項8〜14の何れか一項に記載の装置を備え、
    前記装置のうちの第1の装置は、左右入力端子(14、15)が供給され、
    前記第1の装置は、左出力端子(16)、右出力端子(17)及び補助出力端子(18)に出力信号を供給し、
    前記補助出力端子(18)への前記出力信号は、補助音響再生トランスデューサーに供給され、
    前記左出力信号及び右出力信号への前記出力信号は、それぞれ、請求項8〜14の何れか一項に記載の次の装置のそれぞれの入力信号に供給され、
    出力信号は、複数の補助音響再生トランスデューサー(56)のそれぞれに供給される、システム。
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