JP4847936B2 - 露光装置 - Google Patents

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Description

本発明は露光装置及びデバイス製造方法に関する。
露光装置は、所望のパターンを基板または基板の一部に転写する機械である。露光装置は例えばフラットパネルディスプレイや集積回路(IC)、微細構造を有する他のデバイスの製造に用いられる。通常は例えばマスクまたはレチクルと称されるパターニング用デバイスを使用して、フラットパネルディスプレイ(または他のデバイス)の各層に対応したパターンを形成する。このパターンは、基板に塗布された照射感応材料(レジスト)層への像形成により(ガラスプレートなどの)基板(の一部)に転写される。
パターニング手段を使用して、例えばカラーフィルタのパターンやドットのマトリックス状配列などの各種パターンを形成する場合もある。パターニング用デバイスは、それぞれ個別に制御可能である素子の配列(以下「個別制御可能素子アレイ」という場合もある)を備えるパターニングアレイをマスクの代わりに備えてもよい。マスクを使用する方式に比べてこのような方式の利点は、迅速かつ低コストにパターンを変更することができることである。
フラットパネルディスプレイの基板は長方形であってもよい。この種の基板を露光するための露光装置は、長方形基板の幅全体またはその一部(例えば全幅の半分)をカバーする露光空間を有するように設計される。この露光空間の最下部で基板が走査されるとともに、マスク又はレチクルが基板の走査に同期して放射ビームに対して走査される。このようにして基板にパターンが転写される。露光空間が基板の幅全体をカバーする場合には1回の走査で露光が完了する。露光空間が例えば基板の幅の半分をカバーする場合には、1回目の露光後に横方向に基板を移動させ、通常は基板の残りを露光するための走査をもう一度行う。
マスクを用いる従来の露光装置では、投影系と基板の間に液浸露光用の液体を設けることが提案されている。液浸露光用液体の屈折率は、例えば空気の屈折率よりも高いため、投影系と基板の間に例えば空気がある場合に比べて基板により微細なパターンを形成することができる。
マスクレス光リソグラフィにおいて液浸露光用液体を使用することが困難であるのは、マスクを用いる従来のリソグラフィの走査時間に対してマスクレス光リソグラフィでは基板を走査する時間が長いためである。当該時間が長くなるほど、液浸処理は、レジストに現像される欠陥に関して敏感になる。
例えば、マスクレス光リソグラフィにより基板に像形成する時間が、マスクを用いる従来のリソグラフィ技術に比べてより長くなることで生じる問題に対処する露光装置と方法を提供することが望まれている。
一実施形態では、放射ビームを調整し、基板上の公称領域に照射する照明系と、放射ビーム断面の少なくとも一部を変調可能な個別制御可能素子アレイと、変調された放射ビームを基板の目標部分に投影する投影系と、変調された放射ビームが通過する投影系と基板の間の空隙に液体を供給する液体供給システムであって、液体が供給される基板上面領域を公称領域よりも小さいサイズに制限する液体供給リミッタを備える液体供給システムを有する露光装置が提供される。
一実施形態では、放射ビーム断面を変調可能な個別制御可能素子アレイと、変調された放射ビームを基板の目標部分に投影する投影系と、投影系と基板の間の空隙に液体を供給する液体供給システムと、を備え、当該液体供給システムは、基板の上面に液体を供給し、当該上面から液体を除去する下方部材と、空隙の残りの空間に液体を供給し、当該空間から液体を除去する上方部材と、を備え、残りの空間では、放射ビームが伝わる方向に実質的に垂直な面において断面領域が階段状に変化しており、液体は、上方部材と下方部材の間にも供給される露光装置が提供される。
一実施形態によれば、(a)変調された放射ビームを基板へと投影し、放射ビームが液体を通して基板の上面に投影されるステップと、(b)第1の方向に基板を移動させるステップと、(c)像形成対象領域の端部に像形成されるまでステップ(a)及び(b)を続けるステップと、を含むデバイス製造方法が提供される。
一実施形態によれば、変調された放射ビームを基板へと投影し、放射ビームが液体を通して基板上面の局所的な領域に投影される投影ステップと、変調された放射ビームを基板へと再度投影し、放射ビームが液体を通して基板上面の局所的な領域に再度投影される前であって投影ステップ後に、基板上面を液体でカバーするステップと、を含むデバイス製造方法が提供される。
図1は本発明の一実施形態に係る露光装置を模式的に示す図である。この装置は、以下の構成要素を含む。
放射ビームB(例えば、紫外線照射)を調整するように構成された照明系(照射器)IL。
放射ビームを変調するように構成されたパターニング用デバイスPD(例えば個別制御可能素子アレイ)。
基板(例えばレジストでコーティングされた基板)Wを支持するように構築された基板テーブルWT。基板テーブルWTは、所定ののパラメータにしたがって基板を正確に位置決めするように構成されたポジショナPWに接続される。
投影系(例えば屈折投影レンズ光学系)PSは、個別制御可能素子アレイにより変調された放射ビームを基板Wの目標C(例えば1つ又は複数のダイからなる)に投影するよう構成されている。
一般に、例えば個別制御可能素子アレイの位置は投影系PSに対して固定される。しかしながら、代わりに、個別制御可能素子アレイを所定のパラメータにしたがって正確に配置するように構成されたポジショナに個別制御可能素子アレイが接続されてもよい。
照明系は、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み得るものであり、放射ビームの向きや形状、あるいは他の特性を制御するためのものである。
本明細書において「パターニング用デバイス」なる用語は、例えば基板の目標部分にパターンを生成する等、放射ビーム断面を変調するのに用い得るいかなるデバイスをも示すよう広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、パターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを例えば含む場合には基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に一致していなくてもよい。また、基板に最終的に形成されるパターンは、個別制御可能素子アレイ上に形成されるパターンにどの時点においても一致しないようになっていてもよい。このような事態は、基板の各部に形成される最終的なパターンが所定時間または所定回数の露光の重ね合わせにより形成され、かつこの所定の露光中に個別制御可能素子アレイ上のパターン及び/またはアレイと基板との相対位置が変化する場合に起こりうる。通常、基板の目標部分に生成されるパターンは、その目標部分に生成されるデバイス例えば集積回路やフラットパネルディスプレイの特定の機能層に対応する(例えばフラットパネルディスプレイのカラーフィルタ層や薄膜トランジスタ層)。パターニング用デバイスの例としては、レチクル、プログラマブルミラーアレイ、レーザダイオードアレイ、LEDアレイ、グレーティングライトバルブ、及びLCDアレイなどがある。電子的手段(例えばコンピュータ)によりパターンをプログラム可能であるパターニング用デバイスは、例えば複数のプログラム可能な素子を含み、放射ビームの強度を一部変調し得るパターニング用デバイス(例えば1つ前の文章に挙げたものではレチクルを除くすべてのものが該当する)であり、本明細書では総称して「コントラストデバイス」と呼ぶこととする。また、電子的にプラグラム可能であり、複数のプログラム可能な素子を含むパターニング用デバイスが用いられてもよい。このパターニング用デバイスは、放射ビームの一部においてその隣接部に対する位相を変調することにより放射ビームにパターンを付与する。一実施形態ではパターニング用デバイスは少なくとも10個のプログラム可能な素子を備え、または例えば少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100,000個、少なくとも1,000,000個、または少なくとも10,000,000個のプログラム可能な素子を備えてもよい。以下に、これらデバイスの実施形態をより詳しく説明する。
[プログラマブルミラーアレイ]
プログラマブルミラーアレイは、粘弾性制御層と反射表面とを有するマトリックス状にアドレス指定可能な表面を備えてもよい。この装置の基本的な原理は、(例えば)反射表面のうちアドレス指定されている区域が入射光を回折光として反射する一方、アドレス指定されていない区域が入射光を非回折光として反射するというものである。適当な空間フィルタを用いることにより、反射光ビームから非回折光を取り除いて回折光だけを基板に到達させるようにすることができる。このようにして、マトリックス状のアドレス指定可能表面にアドレス指定により形成されるパターンに従ってビームにパターンが付与される。なお代替例として、フィルタにより回折光を取り除いて基板に非回折光を到達させるようにしてもよい。同様にして回折光学MEMSデバイスを用いることもできる。回折光学MEMSデバイスは、入射光を回折光として反射する回折格子を形成するよう変形される複数の反射性のリボン状部位を備える。プログラマブルミラーアレイの他の例においては、マトリックス状の微小ミラーの配列が用いられ、各微小ミラーは局所的に電界を適宜付与されることによりまたは圧電駆動手段を使用することにより各々が独立に軸周りに傾斜しうる。繰り返しになるが、ミラーはマトリックス状にアドレス指定可能に構成されており、アドレス指定されたミラーは入射する放射ビームをアドレス指定されていないミラーとは異なる方向に反射する。このようにしてマトリックス状のアドレス指定可能なミラーにより形成されるパターンに従って反射ビームにパターンが付与されうる。必要とされるマトリックス状アドレス指定は、適宜の電子的手段を使用して実行することができる。例えば、米国特許第5,296,891号および第5,523,193号、および国際特許出願WO98/38597およびWO98/33096から、本明細書で参照したミラーアレイについての詳細な情報を得ることができ、その全体をここに引用する。
[プログラマブルLCDアレイ]
この種の構造の実施例は、米国特許第5,229,872号に記載されており、その全体をここに引用する。
露光装置は1つ以上のパターニング用デバイスを備えてもよい。例えば、露光装置は、複数の個別制御可能素子アレイを有し、それぞれの素子が互いに独立に制御されるものであってもよい。この構成においては、個別制御可能素子アレイのうちのいくつかのアレイまたはすべてのアレイが1つの照明系(または照明系の一部)を共有していてもよい。斯かるアレイは当該アレイ用の支持構造及び/または投影系(または投影系の一部)を共有していてもよい。
一実施形態としては、図1に示される実施形態のように、基板Wは実質的に円形状である。基板Wは周縁部にノッチ及び/または平坦部を有していてもよい。一実施形態としては、基板は例えば長方形などの多角形形状でもよい。一実施形態としては、基板の形状が実質的に円形の場合、基板の直径は少なくとも25mmであってもよく、または例えば少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも125mm、少なくとも150mm、少なくとも175mm、少なくとも200mm、少なくとも250mm、または少なくとも300mmであってもよい。一実施形態では、基板の直径は長くても500mm、長くても400mm、長くても350mm、長くても300mm、長くても250mm、長くても200mm、長くても150mm、長くても100mm、または長くても75mmである。一実施形態としては、基板が例えば長方形などの多角形の場合、基板の少なくとも1辺の長さ、または例えば少なくとも2辺または少なくとも3辺の長さが、少なくとも5cmであってもよく、または例えば少なくとも25cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも150cm、少なくとも200cm、または少なくとも250cmであってもよい。一実施形態では、基板の少なくとも1辺の長さが、長くても1000cm、または例えば長くても750cm、長くても500cm、長くても350cm、長くても250cm、長くても150cm、または長くても75cmである。一実施形態では、基板は、長さが約250〜350cmで幅が約250〜350cmの基板である。この基板の厚さは例えば基板材料及び/または基板寸法に応じてある程度変更される。一実施形態では、基板の厚さは、少なくとも50μmであり、または例えば少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、または少なくとも600μmである。一実施形態では、基板の厚さは、厚くても5000μm、例えば厚くても3500μm、厚くても2500μm、厚くても1750μm、厚くても1250μm、厚くても1000μm、厚くても800μm、厚くても600μm、厚くても500μm、厚くても400μm、または厚くても300μmである。基板は露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、計測装置、及び/または検査装置により処理されてもよい。
一実施形態ではレジスト層が基板に設けられる。一実施形態においては、基板Wはウエハであり、例えば半導体ウエハである。一実施形態ではウエハの材料は、Si(ケイ素)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、SiGeC(シリコンゲルマニウムカーボン)、SiC(炭化ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、InP(インジウムリン)、InAs(インジウムヒ素)から成るグループから選択される。一実施形態ではウエハはIII−V族化合物半導体ウエハである。一実施形態ではウエハはシリコンウエハである。一実施形態では基板はセラミック基板である。一実施形態では基板はガラス基板である。ガラス基板は例えばフラットパネルディスプレイや液晶ディスプレイの製造に有用である。一実施形態では基板はプラスチック基板である。一実施形態では基板は(ヒトの裸眼で)透明である。一実施形態では基板は有色である。一実施形態では基板は無色である。
本明細書では投影光学系または投影系という用語は、使用される露光光、あるいは液浸露光用液体や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影光学系をも包含するよう広く解釈されるべきである。投影光学系には例えば屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはこれらの任意の組み合わせなどが含まれる。以下では「投影レンズ」という用語は、より一般的な用語である投影光学系または投影系という用語と同義に用いられ得る。
投影系は、個別制御可能素子アレイにおけるパターンが基板上にコヒーレントに形成されるように当該パターンの像を形成する。これに代えて投影系は二次光源の像を形成してもよく、この場合個別制御可能素子アレイの各素子はシャッタとして動作してもよい。この場合には投影系は、例えば二次光源を形成し基板上にスポット状に像形成するために、例えばマイクロレンズアレイ(micro lens array、MLAとして知られている)やフレネルレンズアレイなどの合焦用素子のアレイを含んでもよい。一実施形態では合焦用素子のアレイ(例えばMLA)は少なくとも10個の合焦用素子を備え、または例えば少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100,000個、または少なくとも1,000,000個の合焦用素子を備えてもよい。一実施形態においては、パターニング用デバイスにおける個別制御可能素子の数と合焦用素子のアレイにおける合焦用素子の数とは等しいか、あるいは、パターニング用デバイスにおける個別制御可能素子の数が合焦用素子のアレイにおける合焦用素子の数よりも多い。一実施形態では、合焦用素子のアレイは、個別制御可能素子アレイにおける1つ以上(例えば2つ以上、または3つ以上、5つ以上、10以上、20以上、25以上、35以上、または50以上)の個別制御可能素子に光学的に連関している合焦用素子を備える。一実施形態では、合焦用素子のアレイは、個別制御可能素子アレイにおける1つ以上の個別制御可能素子に光学的に連関している2つ以上(例えばたいていは各アレイにつき1000以上)の合焦用素子を備える。一実施形態では、MLAは、少なくとも基板に近づく方向及び遠ざかる方向に例えばアクチュエータを用いて移動可能である。基板に近づく方向及び遠ざかる方向にMLAを移動させることができる場合には、基板を動かすことなく例えば焦点合わせをすることが可能となる。
ここに説明される本装置は反射型(例えば反射型の個別制御可能素子アレイを用いる)である。透過型(例えば透過型の個別制御可能素子アレイを用いる)の装置を代替的に用いてもよい。
露光装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブルを備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては、追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
露光装置は、基板の少なくとも一部が「液浸露光用の液体」で覆われるものであってもよい。この液体は比較的高い屈折率を有する例えば水などの液体であり、投影系と基板との間の空隙を満たす。液浸露光用の液体は、例えばパターニング用デバイスと投影系との間などの露光装置の他の空間に適用されるものであってもよい。液浸技術は投影系の開口数を増大させる技術として周知である。本明細書では「液浸」という用語は、基板等の構造体が液体に完全に浸されているということを意味するのではなく、露光の際に投影系と基板との間に液体が存在するということを意味するに過ぎない。
図1に示されるように照明器ILは放射源SOから放射ビームを受け取る。一実施形態では、少なくとも5nm、または例えば少なくとも10nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも175nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも275nm、少なくとも300nm、少なくとも325nm、少なくとも350nm、または少なくとも360nmの波長を有する放射が供される。一実施形態では、放射源SOにより生成される放射は、長くても450nm、または例えば長くても425nm、長くても375nm、長くても360nm、長くても325nm、長くても275nm、長くても250nm、長くても225nm、長くても200nm、または長くても175nmの波長を有する。一実施形態では、この放射は、436nm、405nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、及び/または126nmの波長を含む。一実施形態では、この放射は365nm程度、または355nm程度の波長を含む。一実施形態では、この放射は例えば365nm、405nm、及び436nmの波長を含む広帯域の波長を含む。355nmの波長のレーザ光源を使用し得る。例えば光源がエキシマレーザである場合には、光源と露光装置とは別体であってもよい。この場合、光源は露光装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOから照明器ILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDは例えば適当な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源が水銀ランプである場合には、光源は露光装置に一体に構成されていてもよい。光源SOと照明器ILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系と総称される。例えばレーザダイオードアレイやLEDアレイのように、パターニング用デバイス自体が放射源である場合には露光装置は、照明系がない構成であってもよいし、または少なくとも簡易的な照明系(例えば放射源SOが省略された照明系)を備えていてもよい。
照明器ILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタADを備えてもよい。一般にはアジャスタADにより、照明器の瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外周部及び/または内周部での量(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えて照明器ILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素を備えてもよい。照明器はビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。照明器IL及び追加の関連構成要素は放射ビームを複数の分割ビームに分割するように構成されていてもよい。例えば各分割ビームが個別制御可能素子アレイの1つまたは複数の個別制御可能素子に対応するように構成してもよい。放射ビームを分割ビームに分割するのに例えば二次元の回折格子を用いてもよい。本明細書においては「放射ビーム」という用語は、放射ビームがこれらの複数の分割ビームを含むという状況も包含されるが、これに限定されないものとする。
放射ビームBは、パターニング用デバイスPD(例えば、個別制御可能素子アレイ)に入射して、当該パターニング用デバイスにより変調される。放射ビームはパターニング用デバイスPDにより変調され、投影系PSを通過する。投影系PSはビームを基板Wの目標部分Cに合焦させる。位置決め装置PWと位置センサIF(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTを正確に移動させることができる。基板テーブルWTは例えば放射ビームBの経路に異なる複数の目標部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。個別制御可能素子アレイ用の位置決め手段が設けられ、例えば走査中にビームBの経路に対してパターニング用デバイスPDの位置を正確に補正するために用いられてもよい。一実施形態においては、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により基板テーブルWTの移動を実現する。ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールは図1には明示されていない。一実施形態では基板テーブルWTを移動させるためのショートストロークモジュールを省略してもよい。個別制御可能素子アレイを位置決めするためにも同様のシステムを用いることができる。必要な相対運動を実現するために、対象物テーブル及び/または個別制御可能素子アレイの位置を固定する一方、ビームBを代替的にまたは追加的に移動可能としてもよいということも理解されよう。この構成は装置の大きさを小さくするのに役立ち得る。例えばフラットパネルディスプレイの製造に適用可能な更なる代替例として、基板テーブルWT及び投影系PSを固定し、基板Wを基板テーブルWTに対して移動させるように構成してもよい。例えば基板テーブルWTは、実質的に一定の速度で基板Wを走査させるための機構を備えてもよい。
図1に示されるように放射ビームBはビームスプリッタBSによりパターニング用デバイスPDに向けられるようにしてもよい。このビームスプリッタBSは、放射ビームがまずビームスプリッタBSにより反射されてパターニング用デバイスPDに入射するように構成される。ビームスプリッタを使わずに放射ビームをパターニング用デバイスに入射させるようにすることもできる。一実施形態では放射ビームは0度から90度の間の角度でパターニング用デバイスに入射する。または例えば5度から85度の間、15度から75度の間、25度から65度の間、または35度から55度の間の角度であってもよい(図1には90度の例が示されている)。パターニング用デバイスPDは放射ビームBを変調し、再度ビームスプリッタBSに向かって戻るように放射ビームBを反射する。ビームスプリッタBSは変調されたビームを投影系PSへと伝達する。しかしながら放射ビームBをパターニング用デバイスPDに入射させ、そのまま更に投影系PSに入射させるという代替的な構成も可能であることも理解されよう。特に透過型のパターニング用デバイスが用いられる場合には図1に示される構成は必要とはされない。
図示の装置は、4つのモードのうち1つ以上のモードで使用することができる。
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なる目標部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズによって、1回の静的露光で結像される目標部分Cの寸法が制限されることになる。
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。個別制御可能素子アレイに対する基板の速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが1回の動的露光での目標部分Cの(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離が目標部分の(走査方向の)長さを決定する。
3.パルスモードにおいては、個別制御可能素子アレイは実質的に静止状態とされ、パルス放射源により基板Wの目標部分Cにパターンの全体が投影される。基板テーブルWTが実質的に一定の速度で移動して、ビームBは基板上を線状に走査させられる。個別制御可能素子アレイ上のパターンは放射系からのパルス間に必要に応じて更新される。パルス照射のタイミングは、基板上の複数の目標部分Cが連続して露光されるように調整される。その結果、基板上の1つの短冊状領域にパターンが完全に露光されるようビームBにより基板Wが走査されることになる。この短冊状領域の露光を順次繰り返すことにより基板Wは完全に露光される。
4.連続スキャンモードにおいては、変調された放射ビームBに対して基板Wが実質的に等速で走査され、ビームBが基板W上を走査して露光するとともに個別制御可能素子アレイ上のパターンが更新されることを除いては基本的にパルスモードと同様である。個別制御可能素子アレイのパターンの更新に同期させるようにした、実質的に一定の放射源またはパルス放射源を用いることができる。
上記で記載したモードを組み合わせて動作させてもよいし、モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別のモードで使用してもよい。
リソグラフィでは通常、基板上のレジスト層にパターンが露光される。そしてレジストが現像される。続いて追加の処理工程が基板に施される。基板の各部分へのこれらの追加の処理工程の作用は、レジストへの露光の程度によって異なる。特にこの処理は、所与の線量閾値を超える照射量を受けた基板の部位が示す反応と、その閾値以下の照射量を受けた部位が示す反応とが異なるように調整されている。例えば、エッチング工程においては上記の閾値を超える照射量を受けた基板上の区域は、レジスト層が現像されることによりエッチングから保護される。一方、この閾値以下の照射量を受けたレジストは露光後の現像工程で除去され、基板のその区域はエッチングから保護されない。このため、所望のパターンにエッチングがなされる。特に、パターニング用デバイス内の個別制御可能素子は、パターンに含まれる図形内部となる基板上の区域での露光中の照射量が線量閾値を超えるように実質的に高強度であるように設定される。基板の他の領域は、ゼロまたはかなり低い放射強度を受けるように対応の個別制御可能素子が設定されることにより、線量閾値以下の放射を受ける。
例えば実際には、パターン図形端部での照射量は、閾値を超える所与の線量から閾値以下の所与の線量(例えばゼロ)へと急激に変化するわけではない。この照射量は、たとえ図形の境界部分の一方の側への放射強度が閾値を超え、かつその図形境界部分の他方の側への放射強度が閾値以下となるように個別制御可能素子が設定されていたとしても急激には変化しない。回折の影響により、照射量の大きさは移行領域を介して低下するからである。パターン図形の境界位置は最終的にレジストの現像により形成される。その境界位置は、照射された線量が閾値を下回る位置によって定められる。この移行領域での線量低下のプロファイル、ひいてはパターン図形の境界の正確な位置は、当該図形境界上または近傍に位置する基板上の各点に放射を与える個別制御可能素子の設定により、より正確に制御できるであろう。これは、閾値を超えるまたは閾値以下の強度レベルを制御するだけではなく、閾値を超える強度レベルと閾値以下の強度レベルとの間の強度レベルにも制御することによっても可能となるであろう。これは通常「グレイスケーリング」と呼ばれる。
グレイスケーリングによれば、個別制御可能素子により基板に2値の放射強度(例えば最大値と最小値)だけが与えられる露光システムよりも、パターン図形の境界位置の制御性を向上させることができる。一実施形態では、少なくとも3種類の放射強度が基板に投影されてもよく、または例えば少なくとも4種類の放射強度でも、少なくとも8種類の放射強度でも、少なくとも16種類の放射強度でも、少なくとも32種類の放射強度でも、少なくとも64種類の放射強度でも、少なくとも128種類の放射強度でも、または少なくとも256種類の放射強度でもよい。
グレイスケーリングは上述の目的に加えてまたは上述の目的に代えて使用されてもよい。例えば、照射された線量レベルに応じて基板の各領域が2種以上の反応を可能とするように、露光後の基板への処理が調整されていてもよい。例えば、第1の線量閾値以下の放射を受けた基板の部位では第1の種類の反応が生じ、第1の線量閾値以上で第2の線量閾値以下の放射を受けた基板の部位では第2の種類の反応が生じ、第2の線量閾値以上の放射を受けた基板の部位では第3の種類の反応が生じるようにしてもよい。したがって、グレイスケーリングは、基板上での線量のプロファイルが2以上の望ましい線量レベルを有するようにするのに用いることができる。一実施形態では、線量のプロファイルは少なくとも2つの所望の線量レベルを有し、または例えば少なくとも3つの所望の線量レベル、少なくとも4つの所望の線量レベル、少なくとも6つの所望の線量レベル、または少なくとも8つの所望の線量レベルを有してもよい。
線量プロファイルの制御は、上述のように基板上の各点が受ける放射強度を単に制御するという方法以外の方法によっても可能である。例えば、基板上の各点が受ける照射量は、各点への露光時間を代替的にまたは追加的に制御することによっても制御することができる。他の例として、基板上の各点は、連続的な複数の露光により放射を受けてもよい。このような連続的複数露光から一部の露光を選択して用いることにより代替的にまたは追加的に各点が受ける照射量を制御することが可能となる。
基板上に要求されるパターンを形成するために、露光処理中の各段階でパターニング用デバイスの各個別制御可能素子が必要な状態に設定される。よって、この必要状態を表す制御信号が各個別制御可能素子に伝達される。一実施形態では、露光装置はこの制御信号を生成する制御部を含む。基板に形成されるべきパターンは、例えばGDSIIなどのベクトルで規定されるフォーマットで露光装置に供給されうる。デザイン情報を各個別制御可能素子用の制御信号に変換するために、制御部は、1つ以上のデータ処理装置を含む。各データ処理装置は、パターンを表すデータストリームに処理を施すように構成されている。データ処理装置は「データパス」とも総称される。
このデータパス及びデータ処理装置は、次に示す機能の1つ以上を実行するように構成されていてもよい。その機能とは、ベクトルベースのデザイン情報をビットマップのパターンデータに変換すること、ビットマップのパターンデータを線量マップ(つまり基板上での線量のプロファイル)に変換すること、線量マップを各個別制御可能素子用の放射強度値に変換すること、及び、各個別制御可能素子用の放射強度値を対応する制御信号に変換することである。
図2は、本発明の一実施形態に係る露光装置の一例を示す図である。この実施形態は例えばフラットパネルディスプレイの製造に用いることができる。図1に示される構成要素に対応するものには図2においても同じ参照符号を付している。また、基板やコントラストデバイス、MLA、放射ビームなどについてのさまざまな構成例などを含む上述のさまざまな変形例は同様に適用可能である。
図2に示されるように、投影系PSは、2つのレンズL1、L2を備えるビームエキスパンダを含む。第1のレンズL1は、変調された放射ビームBを受け、開口絞りASの開口部で合焦させる。開口部には他のレンズALを設けてもよい。そして放射ビームBは発散し、第2のレンズL2(例えばフィールドレンズ)により合焦させられる。
投影系PSは、拡大された変調放射ビームBを受けるように構成されているレンズアレイMLAをさらに備える。変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれレンズアレイMLAの異なる部分を通過する。この変調放射ビームBの異なる部分は、パターニング用デバイスPDの異なる個別制御可能素子に対応している。各レンズMLは変調放射ビームBの各部分を基板W上の点に合焦させる。このようにして基板W上に照射スポットSの配列が露光される。図示されているレンズアレイMLAには8つのレンズMLが示されているだけであるが、レンズアレイは数千のレンズを含んでもよい(パターニング用デバイスPDとして用いられる個別制御可能素子アレイについても同様である)。
図3は、基板W上にどのようにパターンが生成されるのかを模式的に示す図である。図中の黒丸は、投影系PSのレンズアレイMLAによって基板に投影されるスポットSの配列を示す。基板は、基板上での露光が進むにつれて投影系に対してY方向に移動する。図中の白丸は、基板上で既に露光されている露光スポットSEを示す。図示されるように投影系PSのレンズアレイMLAによって基板に投影された各スポットは基板W上に露光スポット列Rを形成する。各スポットSの露光により形成される露光スポットSEの列Rがすべて合わさって、基板にパターンが完全に形成される。このような方式はよく「ピクセルグリッド結像」と称される。
照射スポットSの配列が基板Wに対して角度θをなして配置されている様子が示されている(基板の端部はそれぞれX方向及びY方向に実質的に平行である)。これは、基板が走査方向(Y方向)に移動するときに、各照射スポットが基板の異なる領域を通過するようにするためである。これにより、照射スポットSの配列により基板の全領域がカバーされることになる。一実施形態では、角度θは大きくても20°、大きくても10°であり、または大きくても5°、大きくても3°、大きくても1°、大きくても0.5°、大きくても0.25°、大きくても0.10°、大きくても0.05°、または大きくても0.01°である。一実施形態では、角度θは小さくても0.001°である。
図4は、どのようにしてフラットパネルディスプレイの基板W全体が複数の光学エンジンを用いて1回の走査で露光されるのかを模式的に示す図である。照射スポットSの配列SAが8つの光学エンジン(図示せず)により形成される。光学エンジンはチェス盤のように2つの列R1、R2に配置されている。照射スポットの配列の端部が隣接の照射スポット配列の端部に(走査方向であるY方向において)少し重なるように形成される。一実施形態では光学エンジンは少なくとも3列、例えば4列または5列に配列される。このようにして、照射の帯が基板Wの幅を横切って延び、1回の走査で基板全体の露光が実現されることとなる。光学エンジンの数は適宜変更してもよい。一実施形態では、光学エンジンの数は少なくとも1個であり、または少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、または少なくとも17個である。一実施形態では、光学エンジンの数は40個未満であり、または例えば30個未満または20個未満である。
各光学エンジンは、上述の照明系IL、パターニング用デバイスPD、及び投影系PSを別個に備えてもよい。あるいは2個以上の光学エンジンが1以上の照明系、パターニング用デバイス、及び投影系の少なくとも一部を共有してもよい。
マスクレス光リソグラフィではパターニング用デバイスPDは、放射ビームPBの断面を変調可能な少なくとも1つの個別制御可能素子アレイで構成される。各アレイの寸法は多くの場合、およそ1000×1000ピクセルのオーダーである。しかし、周囲の各アレイとの間に空間を必要とする電気的接続、冷却などが必要であるため、こうしたアレイを密接した状態で配置すること(つまり隣り合うアレイを隙間無く配置すること)は簡単ではない。そのため、パターニング用デバイスPDにおけるアレイには周囲の各アレイとの間に間隔が設けられている。当該パターニング用デバイスにより一回で露光される領域は、基板における複数の小領域である。図5は、フィールド領域10を示す。フィールド領域10は、「公称領域」と考えられる領域であり、個別制御可能素子アレイにより放射ビームの断面全体が変調されるとすれば放射ビームがカバーする領域である(従来のマスクにより形成される領域に相当するが、それよりもずっと小さい)。フィールド領域10内には幾つかのサブフィールド12が示されている。こうしたサブフィールド12のそれぞれは、個別制御可能素子アレイの1つにより変調されたビームBによって結像される基板W上の領域である。この場合9つのアレイが存在するが、アレイの数はいくつであってもよい。
マスクレス光リソグラフィにおけるフィールド10の直径は約120μmである。これは、従来のリソグラフィにおける直径約26mmのフィールドに相当する。基板Wが13の方向に走査される際、ビームBは(例えば)約4kHzでパルス照射される。毎回のレーザー照射により各サブフィールド12が露光されることで基板の上面にパターンが転写される。走査速度の調整により、基板上面では複数のサブフィールド12がモザイク状に露光されたり、転写されたサブフィールドを重ね合わせるポーリングにより露光される。より速く(またはより遅く)レザーをパルス照射することは可能であるが、最高速度は通常、各個別制御可能素子アレイを制御する(及び/またはこうした個別制御可能素子を冷却する)データ処理装置の性能によって決まる。
そのため、マスクレス光リソグラフィでは通常、各基板Wの処理に従来のリソグラフィよりもかなり多くの時間が必要になることがある。従来のリソグラフィ装置のスループットは1時間当たり約100基板であるが、マスクレス光リソグラフィ装置は1時間当たり数枚の基板しか処理できないことがある。
転写される像の解像度を改善するために投影系PS(例えば投影系の末端の要素)と基板Wとの間に液浸露光用の液体を設けようとする際、処理速度のこうした違いによって問題が生じることがある。その理由は、マスクレス光リソグラフィで使用されるのと同じシステムが用いられると液浸露光用の液体が基板Wの上面に接触する時間の長さが長くなるためである。液浸露光により生じる欠陥は、通常、液浸露光用の液体が基板の上面に留まる時間の長さと共に増加する。この場合、液浸露光用の液体が基板に留まる時間が長くなるほど、液浸露光用液体の水滴が飛散する可能性が高くなる。例えば当該水滴は基板上で乾燥し、ウォーターマークとなる。
図6は、断面図であり、投影系PSと基板Wとの間を液体11で満たすために用いられる液体供給システムを示す。この液体供給システムはほんの一例であり、多数の別タイプの液体供給システムが代わりに用いられてもよい。特にガスナイフを設けずにメニスカス固定形状により液体を保持するシステムが用いられてもよい。
図6の例ではバリア部材100は投影系PSの底縁部を取り囲んでおり、基板Wの上面に対向する投影系の下面と基板Wとの間を(非接触に)ふさぐシールを形成する。一実施形態では当該シールは、供給口15から排出口14へと流れる気体流によって形成されている。液体11は、液体供給口16によって投影系PSと基板Wの間の空隙に供給される。従来のリソグラフィでは多数のタイプの液体供給システムが開発されており、これら全てではないが、こうしたシステムを用いることも可能である。当該システムは、本発明の一実施形態に適合するように調整されてもよい。例えば米国特許出願第11/472,566号(2006年6月22日出願)および米国特許出願第11/404,091号(2006年4月14日出願)があり、その全体がここに引用される。両出願は、異なるタイプの液体供給システムを開示すると共に、他の液体供給システムを開示する別の特許及び特許出願にさらに言及している。これら液体供給システムのいずれのシステムが本発明の一実施形態に用いられてもよい。
図7は、単独でまたは本発明の他の実施形態と共に使用可能な本発明の一実施形態を模式的に示す。
この方法には2つの特徴がある。1つ目の特徴は、液体に浸す浸漬ステップ(基板の上面が約15から90秒の間、液体に覆われるが、覆われる時間をより長くすることも可能であり5から200秒の間覆われてもよい)を含むことである。当該ステップは、露光装置また処理用のトラックで実行されてもよく、基板の処理中に間をおいて実行される。
もう1つの特徴は、投影系PSの下で基板が実質的に一方向へ走査されることであり、投影系PSの下で行われるより一般的な基板の「蛇行」とは対照的である。蛇行では投影系PSの下で基板が多様な方向へ移動するが、通常、基板の全領域にパターンを転写する際にこうした移動はより効率的であるとされる。しかし、マスクレス液浸光リソグラフィでは主に一方向のみへ(例えば柱状領域の走査を複数繰り返すことにより)基板Wを走査し、1回の走査の際に方向を変更するのを避けることがより望ましい場合がある。その理由は、基板Wが走査される際、液体供給システムの直前で基板W上の微粒子または屑が取り除かれるためである。
図7の処理では一方向への各走査の後に基板を液体に浸すことが好適である(なお、当該一方向は柱状領域ということができるが、列状領域と見ることもできる)。したがって、図7に示されるように浸漬ステップ0で基板はます液体に浸される(そして任意の方法で乾燥される。例えば遠心力で水を取り除く)。その後、露光ステップ1で投影系PSの下、基板Wを一方向に走査することにより第1柱状領域が液体を通して像形成される(なお、当該一方向への走査は5分未満が望ましい)。一実施形態では走査は、基板W面のある端部から別の端部までの領域にて行われる。その後、浸漬ステップ1において基板は露光装置自身によってまたは処理用のトラックによって再び液体に浸けられる。液体に浸されている間、(例えばデュアルステージの露光装置を用いて)第2の基板に像形成を行うことでスループットに過度の影響が生じない。浸漬ステップ1後、基板は任意に乾燥されてもよく、その後、露光ステップ2において第1柱状領域(または別の領域)に隣接する第2柱状領域が液体を通して像形成される。この処理は、(例えば浸漬ステップ2、露光ステップ3などの)基板における像形成対象の全領域が像形成されるまで繰り返される。一実施形態では、少なくとも600秒ごとに、少なくとも400秒ごとに、少なくとも300秒ごとに、少なくとも200秒ごとにまたは少なくとも100秒ごとに基板が液体に浸される。複数の柱状領域が、像形成領域の一方の端部から像形成領域の反対側の端部までとして示されているが、当然に柱状領域はその長さと同じである必要はない。
マスクレス光リソグラフィの露光サイクルは従来の装置に比べてかなり長いため、基板と基板テーブルの寸法が像形成処理中に相違することがある。そのため、場合によってはオーバーレイエラーが生じる。この寸法変化は、例えば液浸露光用の液体の蒸発または別の原因に起因する温度変化により引きおこされることがある。起こり得る寸法変化を明らかにするために再測定ステップを実施することが可能である。当該ステップでは浸漬及び乾燥ステップ後に基板の上面が測定され、その後、基板は再度露光される。実際、液浸露光用の液体が用いられない通常のマスクレス光リソグラフィではこうした発想を用いることができる。その場合、柱状領域に区分された基板を露光する必要はなく、必要に応じて蛇行状に露光されてもよい。しかし、基板は投影系の下から取り出され再測定される前に基板上面の一部のみに像形成されるという点において同じ原理が適用される。本発明の一実施形態では再測定中に投影系の下で別の基板が像形成されてもよい。
図8aと8bは、平面図であり、本発明の他の実施形態による液体供給システムの2つの構成を示す。この構成は、第1の実施形態と組み合わせてまたは別の製造方法と組み合わせて用いられてもよい。
第2の実施形態に係る液体供給システムでは、液浸露光用の液体が設けられている基板上面の領域を最小にするもしくは低減する措置がとられている。このことは、基板W上面のレジストが液浸露光用の液体と接触する時間の最小化または低減という目的に有用である。一実施形態において液体は、変調されたビームによる公称領域よりも小さい領域であって基板上面の領域に限定されるように設けられている。また一実施形態において当該領域は、変調されたビームの断面積よりも大きくてもよい。
暗い領域は、図5のフィールド10に相当するフィールド10を示す。別の表現として当該フィールドは、図6の液体供給システムにおいてビームBが通過する開口と見ることもできる。
実際に当該開口は、液浸露光用の液体で完全に満たされる必要はない。なぜなら変調されたビームBは、図4に示されるサブフィールド12にのみ照射されるからである。そのため、図8aと8bの液体供給システムは、図8aでは複数の開口112を有する液体供給リミッタを備える。サブフィールド12はこの開口112を通して像形成される。この場合、液体供給リミッタは、液体が供給される領域を領域112のみに実質的に限定する。なお、領域112は、個別制御可能素子の各アレイによるサブフィールドに相当する。
図8bの実施形態では、図8aの実施形態における個々の開口の代わりに2つのスリット122、124が設けられている。図5のサブフィールド12は2つの直線上にあり、当該スリットは、これらのサブフィールドに位置している。こうした構成は、液浸露光用の液体が適用される領域を図8aの実施形態と同程度まで最小化することはできないが、それでも全フィールド10に相当する領域を対象とする従来の液体供給システムよりも液体が供給される領域を低減する。また、図8bの実施形態の方が、製造するのは恐らく容易である。それぞれが1つ以上のサブフィールド12を含む複数の領域に液体を供給する液体供給リミッタは、当然ながら他の構成であってもよい。
液体供給リミッタは、図6に関連して上述したように例えばメニスカス固定形状を用いて所望の領域のみに液体を封じるように設計されてもよい。
図9は、本明細書における1つ以上の実施形態または別の製造方法と組み合わせて使用できる本発明の他の実施形態を示す。この実施形態では液体供給システムは2つの部材を備える。1つは、図6の液体供給システムと同様に投影系PSの底縁部を取り囲む上方部材200である。一方、もう1つは、フィールド20の小領域350に液体を供給するのみであり上方部材200よりも下に位置する下方部材300である。当該下方部材300は液体供給リミッタと見ることもできる。図9の下側には液体が供給される基板表面上の領域350が示され、当該領域350はサブフィールド12が存在する領域を取り囲んでいる。
2つの部材を備える液体供給システムを構成することは都合がよい(が、いうまでもなくこれらの部材が永久的に組み合わされていてもよい)。なぜなら、投影系PSの下面全体が液体に覆われる必要があり、液浸露光用の液体が供給される基板上の領域を減少させるためである。こうした理由から2つの部材が用いられ、各部材における液体の流れが矢印220と320により図9に示される。図6と同様な液体供給システムにより、下方部材から液体が供給されてもよい。上述の実施形態と同じように、こうした構成は液体が供給される領域を低減する。これにより、基板Wのトップコートに液体が触れる時間が減少する。このように上方部材200は、ビームPBが伝わる方向に垂直な方向の断面領域に対して液体を供給するように構成されており、当該断面領域は、下方部材300が液体を供給する断面領域よりもかなり大きい。上方部材200から下方部材300に至る領域は階段状に変化する。
図に示すように一実施形態では、下方部材は300は、基板Wに向かう下向きの成分を液体に与える。一方、上方部材200は、実質的に上向きもしくは下向きの成分を液体に与えることなく液体流を一方の側から他方へと供給するのみである。
一実施形態では、供給される液体流320は走査13中の基板速度と一致する(図9に示される場合、基板は右から左側に走査されている)。この場合、液体をポンプにより送り込むことは必ずしも必要ではない。なぜなら基板Wの移動自体が、下方部材300の一方から他方へと液体を輸送するために利用されるからである。下方部材300左側からの液体排出が、供給される液体流と釣り合うのであれば、排出はその1カ所でのみ行われてもよい。上方部材200からの液体は基板上面または基板テーブルと接触することはないため、その液体流にそれほど意味はない。別の選択肢として、走査方向に垂直な方向に流れる液体流を供給することである。
本説明においては露光装置の用途を特定の装置(例えば集積回路やフラットパネルディスプレイ)の製造としているが、ここでの露光装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積回路や光集積回路システム、磁区メモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド、微小電気機械素子(MEMS)などの製造に用いることが可能であり、これらに限られない。また、例えばフラットパネルディスプレイに関しては、本発明に係る装置は、例えば薄膜トランジスタ層及び/またはカラーフィルター層などのさまざまな層の製造に用いることができる。
上述のように本発明の具体的な実施形態が説明されたが、本発明は上述の形式以外の形式でも実施可能であると理解されたい。例えば本発明は、適用可能であれば、上述の方法が記述された機械で読み取り可能な1以上の一連の指示を含むコンピュータプログラムの形式、またはこのようなコンピュータプログラムが記録された(半導体メモリや磁気・光ディスクなどの)データ記録媒体の形式をとってもよい。
本発明の1つ以上実施形態はいかなる液浸露光装置にも適用可能であり、特に上述の形式のものには限られない。本明細書にいう液体供給システムは広く解釈されるべきである。ある実施形態では、液体供給システムは投影系と基板及び/または基板テーブルとの間の空間に液体を供給する構造の組み合わせまたは機構であってもよい。液体供給システムは1つ以上の構造部材の組み合わせ、空間に液体を供給するための1つ以上の液体供給口、1つ以上の気体供給口、1つ以上の気体排出口、及び/または1つ以上の液体排出口を備えていてもよい。一実施形態では液体が供給される空間の一表面が基板及び/または基板テーブルの一部分であってもよい。あるいはその空間の一表面が基板及び/または基板テーブルの表面を完全に覆ってもよい。またはその空間は基板及び/または基板テーブルを包含してもよい。液体供給システムは液体の位置、量、質、形状、流速または他の特性を制御するための1つ以上の要素を更に含んでもよい。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明した。その変形例の多くが当業者にとって容易に想定され、提案され得るものであることを理解されたい。よって、本発明は、請求項の趣旨によってのみ制限される。
本発明の一実施形態に係る露光装置を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る露光装置を示す図である。 図2に示される本発明の実施形態により基板にパターンを転写する1つのモードを示す図である。 光学エンジンの配置を示す図である。 平面図であり、マスクレス光リソグラフィの原理を示す図である。 断面図であり、マスクを使用する従来のリソグラフィで用いられる液体供給システムを示す図である。 本発明の一実施形態に係る方法を模式的に示す図である。 図8aは平面図であり、本発明の一実施形態に係る液体供給システムの構成を示す図である。図8bは平面図であり、本発明の一実施形態に係る液体供給システムの構成を示す図である。 他の実施形態に係る液体供給システムを模式的に示す図である。
符号の説明
10 フィールド、 11 液体、 12 サブフィールド、 14 排出口、 15 供給口、 16 液体供給口、 20 フィールド、 100 バリア部材、 112 開口、 122、124 スリット、 200 上方部材、 300 下方部材、 350 領域。

Claims (4)

  1. 放射ビーム断面を変調可能な個別制御可能素子アレイと、
    変調された放射ビームを基板の目標部分に投影する投影系と、
    前記投影系と前記基板の間の空隙に液体を供給する液体供給システムと、
    を備え、
    前記液体供給システムは、
    前記基板の上面に液体を供給し、その上面から液体を除去する下方部材と、
    前記空隙の残りの空間に液体を供給し、その空間から液体を除去する上方部材と
    を備え、
    前記残りの空間では、放射ビームが伝わる方向に実質的に垂直な面において断面領域が階段状に変化しており、
    液体は、前記上方部材と前記下方部材の間にも供給されることを特徴とする露光装置。
  2. 前記上方部材は、放射ビームが伝わる方向に実質的に垂直な方向へと前記空隙に液体を供給することを特徴とする請求項に記載の露光装置。
  3. 前記下方部材は、基板方向を向いた成分を液体に与えることを特徴とする請求項に記載の露光装置。
  4. 前記下方部材からの液体供給を、ポンプまたは低圧源を用いることなく使用時の基板走査移動により排出口へと液体を実質的に送りうる液体供給速度に制御する制御部をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の露光装置。
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