JP4845109B2 - ニッケルフリー高窒素ステンレス鋼、並びにこれを用いた生体用又は医療用のインプラント等、装身具等及び厨房用器具等 - Google Patents
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Description
包丁、計量容器、醤油差し等調味料容器及び調理台等があり、そして食器類としては、椀、皿、スプーン、ナイフ及びフォーク等がある。
始めに、第一の生体用又は医療用のインプラント、ステント又は器具においてその少なくともそれらの一部分に用いられるステンレス鋼のグループの中から、血管拡張用ステントと義歯用磁性アタッチメントとを代表例として取り上げて、従来技術とその問題点(留意点)について説明する。
びグロブリン等の各種蛋白質を含んだ一種の電解質液である。体液のpHは通常、7.35とややアルカリ側にあるが、手術後や外傷等の存在により、5.3〜5.6と酸性側になることもある。従って、従来より、歯科、整形外科材料として使用されている金属材料にとって、生体内は厳しい環境条件であるといえる。顎の骨等に埋植して使用する人工歯根や、骨折箇所等の固定具に使用されるボーンプレート等のインプラント材料は、生体内特有の腐食を生じ易い。現在、生体用に最も多く使用されている金属材料は、ステンレス鋼、特にSUS316及びSUS316L(Fe−13Ni−17Cr−2Mo)であり、次いでCo−Cr合金、Ti合金の順になっている。但し、ステンレス鋼はCo−Cr合金及びTi合金に比べてかなりコスト安であるが、これらいずれの金属材料にあっても、生体内で最も起こり易い腐食はすきま腐食である。ここで、すきま腐食とは、Cl-等
の攻撃性アニオンを含む水環境において、金属同士又は金属と非金属とからなるすきまが存在する場合に、その内部で発生する腐食である。即ち、そのすきまの内部では酸素が消費され、酸素不足となった領域の近傍にアノード環境ができることにより、徐々にpHが低下し、腐食箇所中のCl-濃度が上昇して、金属腐食箇所が拡大する。
生体内には、Cl-を含む種々のイオンが存在しており、生体細胞と金属材料との間で、
すきま腐食や濃度差電池の形成による腐食が進行し易い。更に、人工関節のように、2個以上の生体用金属材料部品からなるものでは、すきま腐食が進行し易いだけでなく、部品
素材が異種合金であれば、体液中で電池を生じ、腐食が起こることがある。このような腐食は、生体用金属材料部品の劣化と共に、周囲の細胞を損傷する恐れがあるという点で問題である。
C:0.02〜0.3質量%、
Si≦2質量%、
Mn:2〜26質量%、
Cr:11〜24質量%、
Ni≦0.5質量%、
Mo:2.5〜10質量%、
N:0.55〜1.2質量%を含有し、残部:Feからなるものである。ここでの最大の特徴は、オーステナイト組織を安定化させる元素としてのNi含有量を、通常この目的のために含有させるNi含有量の約4〜20質量%に対して、最大で0.5質量%に制限し、且つその他の成分組成を適切に設定して所要の鋼特性値を得るようにしたというものである。しかしながら、特許文献1に開示された非磁性オーステナイト系ステンレス鋼では、その問題点として、特に依然としてNi含有量が最大0.5質量%まで許容されていること、及びMnが2〜26質量%の範囲内で含有されていることに、以後留意すべきである。
[II] 装身具乃至装飾品若しくは衣料類部品
次に、第二の人体の皮膚表面又は粘膜に直接又は間接的に接触して使用される金属製品において少なくともその一部分に用いられるステンレス鋼のグループの中から、めがねのフレームと腕時計バンドとを代表例として取り上げて、従来技術とその問題点(留意点)について説明する。
C≦0.06質量%、
Si≦1.0質量%、
Mn:16.0〜20.0質量%、
Cr:15.0〜18.0質量%、
Ni≦0.5質量%、
Mo:1.5〜3.0質量%、
N:0.35〜0.60質量%を含有し、残部:Feからなり、且つ、次式:
Md30=413−462(C+N)−9.2Si
−8.1Mn−13.7Cr−9.5Ni
−18.5Mo
で示すMd30の値が、−140〜−240の範囲内に入るように化学成分含有量を調整することが開示されている。ここでの最大の特徴は、オーステナイト組織を安定化させる
元素としてのNi含有量を、最大で0.5質量%に制限したこと、及び、Ni含有量低下の代わりにMn含有量を16.0〜20.0質量%の範囲内にまで高めていることに、留意すべきである。
最後に、第三の食材乃至調理品及び/又は調味料等と直接の接触状態で使用されるか、又は人体の口腔内部と接触状態で使用される厨房用器具又は食器類は、美観、耐久性特に耐衝撃破損性、耐熱衝撃破損性及び耐食性等の観点から、ステンレス鋼が素材として用いられているものが多い。これら素材のステンレス鋼としてはSUS304(Fe−18Cr−8Ni)その他であり、Ni含有ステンレス鋼の場合にあっては、厨房用器具例が煮物鍋やおでん鍋等においては、食材や調味料等の内容物、特に塩分と反応して溶出する恐れのある金属元素として、Niは人体にアレルギーを発症させる恐れがある。また、このよ
うなNiの溶出を伴なう場合には、当該厨房器具の腐食による美観劣化が起こる。一方、厨房器具例が醤油入れ(オイルポット)等であって、しかも比較的小形で複雑な形状を有する物の場合には、深絞り加工で成形されるので、所定水準の加工特性が要求される。かかる厨房用器具又は食器類を対象とする場合の例として、素材金属種をステンレス鋼の代わりにチタン製にして各種金属元素の溶出を抑制すると共に、深絞り加工時における組織の変質・劣化に伴なう耐酸性劣化による耐食性保持手段として、薄肉チタン板を所望形状に加工した後、シリカやアルミナ等の粉体を混入した耐食性塗料をコーティングして防護する技術が開示されている(特許文献6)。しかしながら、特許文献6では、素材のTi板を調製する過程において、酸化力が極めて強く且つ比較的高融点の金属Tiを溶解し熱間加工する工程を経て、更に塗装工程を必要とするという点において、製造工程が煩雑であるといった問題点がある。
平成14年日本歯科理工学会 北海道東北支部夏期セミナー講演予稿集 基調講演5.「最近の卑金属系歯科用合金の動向」 金属学会会報、第31巻、第12号
スラグへの良好な分離条件を満たすための適切なスラグ組成、及び再溶解雰囲気の窒素ガス高圧力の適正化の開発により実現できることがわかった。
化学成分組成(質量%)として、
0<C≦0.08
0≦Si<0.50
0≦Mn≦1.50
15≦Cr≦30
0≦Ni<0.05
1≦Mo≦10
1.00<N≦2.00
0≦Ca<0.005
を含有し、そして残部がFe及び不可避不純物からなり、しかも、上記Cr、Mo及びNの各含有量は、次の(1)式:
PRE=(Cr含有量)+(Mo含有量)×3+(N含有量)×10
・・・・(1)
で表される耐食性指数(PRE)が、次の(2)式及び(3)式:
PRE>150×A ・・・・(2)、
PRE>3.5×D ・・・・(3)
但し、Aは鋼中非金属介在物の面積占有率(%)、Dは鋼中非金属介在物の最大直径(μm)である、
を同時に満たす化学成分組成及び非金属介在物の清浄特性を有することに特徴を有するものである。
、金属Ca添加による脱酸を行なったことを必要条件とし、Ca分析の精度上の問題に起因してCa含有量が0質量%と判定された場合を含むとの主旨である。
PRE=(Cr含有量)+(Mo含有量)×3+(N含有量)×10
・・・・(1)
で表される耐食性指数(PRE)が、上記(2)式及び(3)式に代わって、次の(4)式及び(5)式:
PRE>500×A ・・・・(4)
PRE>5.0×D ・・・・(5)
を同時に満たすことに特徴を有するものである。
0<W≦2.0
0<V≦2.0
のうちの1種以上を付加して含有することに特徴を有するものである。
強度、耐摩耗性及び延性を有し、また素材から各種製品を製造する際の加工性においても従来材よりも一層優れた金属材料としての新しいニッケルフリー高窒素ステンレス鋼を提供することが可能となる。更に、かかる鋼を素材として用いることにより、人体アレルギーの発症問題を解決すると共に、従来品よりも耐食性、強度、耐摩耗性及び加工性に一層優れた上記用途分野の各種製品を提供することが可能となる。この発明によれば、上記鋼及びその製品を提供することが可能となり、工業上有益な効果がもたらされる。
Cは、鋼の強度向上に寄与すると共に、オーステナイト相生成元素として有効であるが、反面鋼の耐食性及び靱性を損なう元素であるから、他の成分による強度確保及びオーステナイト相確保を前提とし、耐食性及び靱性確保の観点からはできるだけその含有量を低減すべきである。そして、C含有量は実質的に0質量%であっても、この発明が目標とするステンレス鋼は、以下に述べるその他の化学成分組成を満たすことにより達成され得る。しかしながら、C含有量を実質的に0質量%とするためには、ESRにおける電極調製用原材料のコストが著しく高くなるので、現実的には得策とはいえない。従って、本発明に係るステンレス鋼においては、C含有量は0質量%を含まないものとした。そして、この発明における材質特性を満たすため、及び製鋼プロセスにおけるステンレス鋼の製造性
を考慮すると、C含有量は上限値を0.08質量%未満まで許容すべきである。以上により、C含有量を0.08質量%未満(0質量%を含まず)に限定する。
Siは、脱酸剤として作用する元素であるが、その反面Siは脱酸生成物であるSiO2を生成させることにより非金属介在物の成長が助長されるので、耐食性の低下を招く。
またSiは、磁性を示すデルタフェライト相の生成を促進するので、この点からも低値に抑えるべきである。そこで、脱酸能を確保するために、脱酸元素として適量のCaを添加し、更に望ましくはCeを付加して添加する複合脱酸により、ESRプロセスにおける酸化物系介在物除去作用と相俟って、鋼中酸化物系非金属介在物を著しく低減することにした。その上で、製造性も考慮してSi含有量の許容値を0.50質量%未満とした。そして
、この発明においては、ESRという溶製プロセスであって、しかも後述するように、所定圧力のN雰囲気で溶解・精錬を行なうので、上記Caの脱酸操作を適切に行なう限り、Si含有量は実質的に0質量%であっても、十分な脱酸を行なうことができる。従って、Si含有量は0質量%でもよい。
溶湯からスラグへの非金属介在物の分離を促進すると共に、溶湯へのSiの混入源を制限して、Si含有量のコントロールを有利にした。以上により、Si含有量を0.50質量%未満(0質量%を含む)に限定する。
Mnは、Siと同様脱酸剤として作用する元素であり、またオーステナイト相の安定化に寄与する。更に、Mnは溶湯中のNの溶解度を高めるので、一般に高N含有鋼を製造しようとする場合には、これに対して極めて有効な元素である。この発明においても、N含有量を1.0質量%超え2.0質量%以下という高値に限定しているので、この観点からはMnを積極的に含有させることは、一見、極めて有利である。しかしながら、Mn含有量を増加させると、Si含有量の増加の場合に準じて、脱酸生成物であるMnOが酸化物系介在物の成長を助長する作用があるので、鋼の耐食性が低下すると共に、靱性も低下する。
従って、Mn含有量は0質量%でもよい。以上により、Mn含有量を1.50質量%以下(0質量%を含む)に限定し、望ましくは0.01質量%未満に限定する。
Crは、ステンレス鋼に耐食性を付与するための重要な構成元素であり、特に塩分等のCl-を含有する体液、汗、食品及びその他溶液の腐食環境における、耐局部腐食の抑制
を実現するためには、Cr含有量を15質量%以上とすべきである。しかしながら、Crはフェライト生成元素でもあり、過剰に含有させるとσ相等の金属間化合物が析出し易くなり、その結果、鋼の脆化を招く。従って、Cr含有量は30質量%以下にすべきである。一方、本発明者等は、本発明の化学成分組成の範囲内において、Cr含有量の極めて望ましい範囲として、20質量%以上25質量%以下の範囲内に規定することにより、溶体化処理後の薄鋼板における機械的性質として、強度が十分に確保された状態で、伸び及び絞りが著しく向上することを見出した。
Niは、オーステナイト生成元素であるからオーステナイト相の安定化に寄与し、またNiは耐食性の向上にも有効である。しかしながら、この発明においては、Niアレルギーの発症を最大限に防止するために、Ni含有量を実質的に零(0)に近づけることにより、この発明の用途範囲内の如何なる使用環境においてもNiの溶出量を実質的に零(0)とすることを目標としている。従って、この発明では、Ni含有量を0.05質量%未満に限定する。そして更に望ましくはこれを0.01質量%未満に限定することにより、上記Niアレルギーの発症を極限まで防止する。ここで、Ni含有量は0質量%であっても、この発明においてNiを含有することにより得られる有利な作用・効果を、他の化学成分組成により十分に補完することができる限り、問題が無い上に、Niアレルギー発症の抑止という観点からみて、極めて望ましい。従って、この発明におけるNi含有量には0質量%を含むものとする。
Caは、脱酸剤及び脱硫剤として有効である。従って、非金属介在物の低減に寄与して
、耐食性及び靱性の向上に寄与する。この発明に係るステンレス鋼のCa含有量は、本発明における改良加圧式ESRプロセスによれば、ESR鋼塊のCa含有量が、0.005質量%未満であっても、脱酸及び脱硫作用効果が十分発揮される。一方、Ca含有量の下限値は特に限定しない。そして、0質量%を含んでもよい。その理由は、Caの定量分析の検出限界とその精度を考慮すると、Ca含有量が極めて低い場合には、その分析値が所謂トレース(trace)と判定され、Ca含有量が0ppmと記載されることがあり得る。このように微量のCaが存在する状態における鉄鋼分析上の測定値が所謂トレース(trace)の場合において、極めてO含有量が低く、清浄性の極めて良好なステンレス鋼を排除するものではないからである。
Moは、ステンレス鋼の耐食性を向上させる元素である。しかしながら、その含有量が1質量%未満では、その効果は十分ではない。一方、MoはCrと同様フェライト生成元素でもあり、その含有量が10質量%を超えると、金属間化合物の生成が著しくなり、鋼の脆化を招く。従って、Mo含有量を1〜10質量%に限定する。
Nは、固溶状態のNが塩分等のCl-を含有する体液、人汗、食品及びその他溶液の腐
食環境における耐食性の向上に有効であり、更に、オーステナイト生成元素でもある。特に、この発明においてはオーステナイト生成元素の確保手段としても、極めて大きな役割を担っている。かくして、オーステナイト結晶構造の安定化を図るためには、N含有量の
下限は1.00質量%超えにすべきである。また、N含有量を高めることは、強度向上にも寄与する。しかしながら、N含有量が2.00質量%を超えると、特にCr窒化物の生成が助長され、Cr含有量の低下によるCr酸化物皮膜の減少により耐食性が却って低下する、即ち、特にCl-を含有する腐食環境における耐食性が却って低下し、また、靭性
も低下する。従って、N含有量を1.00質量%超えから2.00質量%以下の範囲内に限定する。なお、この発明に係るステンレス鋼の化学成分組成の下で、N含有量をこのように高水準値にコントロールすることが可能となったのは、本願発明者等により、従来の加圧式ESR法に改善を加えて改良加圧式ESR法を開発したことによる。
PRE=(Cr含有量)+(Mo含有量)×3+(N含有量)×10
‥‥‥‥‥‥‥‥(1)
PRE>150×A ‥‥‥‥‥‥‥‥(2)
PRE>3.5×D ‥‥‥‥‥‥‥‥(3)
を満たすことが必要である。但し、Aは鋼中非金属介在物の面積占有率(%)、Dは鋼中非金属介在物の最大直径(μm)である。耐食性指数と鋼中非金属介在物の面積占有率及び最大直径との関係について述べる。ステンレス鋼は、鋼表面に強固な不動態皮膜を生成するため、耐海水腐食性を有する。従って、生体材料等として使用された環境条件においても、耐食性を発揮し、金属の溶出を抑制する。
PRE>500×A ‥‥‥‥‥‥‥‥(4)
PRE>5.0×D ‥‥‥‥‥‥‥‥(5)
で示すように非金属介在物の清浄特性を一層厳しくすることにより、上記耐海水腐食性劣化等を一層良好に抑止することが可能となる。
環境における、良好な耐局部腐食の抑制を実現するためには、前記(1)式及び(2)式を共に満足することが必要である。即ち、耐食性指数(PRE)が、鋼中非金属介在物の面積占有率(A%)との間に、PRE>150×Aなる関係が満たされ、且つ鋼中非金属介在物の直径(Dμm)との間に、PRE>3.5×Dなる関係が満たされることが必要である。更に望ましくは、上記(3)式及び(4)式を共に満足すべきである。
れにより、溶湯からスラグへの非金属介在物の分離を促進すると共に、溶湯へのSiの混
入源を制限して、Si含有量の上限コントロールを有利にすることができる。SiO2成
分は、ESR鋼塊のSi含有量調整を容易にするために、またAl2O3成分は、ESR鋼塊のAl含有量調整のために添加しない。
Pは、結晶粒界に偏析し、耐食性の低下を招き易く、また靱性の低下を招く。従って、その含有量は少ない方が望ましい。しかしながら、必要以上の低減はコスト上昇をきたすので、製造性を考慮すれば、上限を0.01質量%未満まで許容すべきである。従って、P含有量を0.01質量%未満に限定する。
Sは、耐食性及び熱間加工性を低下させる。この発明においては、Mn含有量を1.50質量%以下に規定し、望ましくは0.01質量%未満とする。従って、MnS系非金属介在物の生成量は多くはないが、CrS系非金属介在物の生成も極力低減させて、耐食性の向上を一層図るために、S含有量を極力少なくすべきである。しかしながら、S含有量を極低水準に制限すると、脱硫コストが大きく上昇するので、製造性を考慮して上限を0.002質量%未満まで許容する。即ち、S含有量を0.002質量%未満に限定する。
Oは、酸化物系非金属介在物の成長を助長して、耐食性の低下を招くので、その含有量は極力少なくすることが望ましい。しかしながら、製造性も考慮する必要があり、O含有量の上限を0.003質量%未満まで許容する。即ち、O含有量を0.003質量%未満に限定する。
Cuは、塩分等のCl-を含有する体液、汗、食品及びその他溶液の腐食環境における
、耐局部腐食の向上に有効な元素であり、しかも抗菌性を発揮する元素ある。しかしながら、その含有量が0.05質量%未満では、上記局部腐食の抑制効果が十分ではない。一方、その含有量を1.0質量%を超えると熱間加工性が劣化する。従って、Cu含有量を0.05〜1.0質量%の範囲内に限定する。
性が一層優れたものになる。
V(バナジウム):0から2.0質量%以下
Wは、ステンレス鋼の耐食性を向上させる元素である。しかしながら、その含有量が過剰になると、WはCrと同様フェライト生成元素であるため、金属間化合物の生成が著しくなり、鋼の脆化を招く。従って、W含有量は2.0質量%以下に限定する。なお、望ましくは、その効果を十分に発揮させるためには、その含有量が1質量%以上であることがよい。ところが、一方、Vは、塩分等のCl-を含有する体液、汗、食品及びその他溶液
の腐食環境における、耐局部腐食の向上に有効な元素である。しかしながら、その含有量が過剰になると、鋼の熱間加工性を阻害する。従って、V含有量は2.0質量%以下に限定する。なお、望ましくは、その局部腐食の抑制効果を十分に発揮させるためには、その含有量が1質量%以上であることがよい。
Ceは、脱酸剤及び脱硫剤として有効である。従って、非金属介在物の低減に寄与して、耐食性及び靱性の向上に寄与する。しかしながら、その含有量が0.01質量%未満では、上記効果が十分ではない。一方、Ceの過剰添加は鋼の熱間加工性を阻害するので、0.10質量%未満に制限すべきである。従って、Ce含有量を0.01〜0.10質量%の範囲内に限定する。
の機械的特性値について、更に伸びが50%以上であり、且つ絞りが70%以上であることを満たすものがよい。かかる機械的性質を有するステンレス鋼材は、通常使用されているオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、JIS G4303、G4304、G4305の中のオーステナイト系ステンレス鋼)の機械的性質水準値よりも、特に伸び及び絞りの水準値よりも大きく超えているので、この鋼材がこの発明で目標とする各種用途に供された場合に、その用途製品は一層優れた使用成績を収めることができるからである。
く、更に望ましくは伸びが35%以上で絞りが30%以上のものがよい。かかる機械的性質を有するステンレス鋼材は、通常使用されているオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、JIS G4303、G4304、G4305の中のオーステナイト系ステンレス鋼)の機械的性質水準値よりも、硬度、引張強さ、降伏強さ、並びに伸び及び絞りのいずれにおいてもその水準値よりも大きく超えていることから、強度、靱性、成形性及び耐摩耗性に優れているので、この鋼材がこの発明で目標とする各種用途に供された場合に、その用途製品は更に一層優れた使用成績を収めることができるからである。
サリーの内、ネックレス、イアリング、指輪、ブレスレッド、アンクレッド等、人体の皮膚表面に直接接触しつつ使用され、かつ人汗を介して皮膚と接触するものから、ピアス、鼻ピアス、舌ピアス、へそピアス等、人体の皮膚表面又は粘膜に直接接触しつつ、同時に生体内部環境に曝されるものまで、いずれにも適用される。そして衣料類部品としては、ファスナー、フック、ボタン等の衣料部品であって、直接乃至人汗を介して間接的に皮膚に接触するものから、防弾チョッキや防弾服、あるいは防護面やヘルメット等各種の防護衣料類にとりつけられて護身用に用いられている金属材料のように、人汗を介して間接的に人体皮膚と接触するものまでに適している。
溶製した。ここで、消耗式電極として、次に述べる工程で製作した改良型消耗式電極である窒素添加型消耗式電極をセットし、スラグとしてCaF2単味のプリメルトスラグ、又
はCaF2+CaOの2成分のプリメルトスラグを使用し、上記窒素添加型消耗式電極を
溶解原料とする再溶解・精錬を行ない、この実施例が目標とする化学成分組成を有する100mmφ×約320mm高さのNiフリー、極低Mn、超高N、且つ非金属介在物に関して高清浄の20kgESR鋼塊を溶製した。その際、このESR鋼塊のN含有量を目標値の超高水準に調整するための基本操作として、(1)上記窒素添加型消耗式電極表層部に固設した窒素添加体に含まれるN含有量とその電極表層部の窒素添加体分布の対称性維持、(2)溶解・精錬期のN2ガス雰囲気圧力の制御、及び(3)溶解・精錬温度の制御
により行なった。また、高清浄鋼溶製の基本的手法は、溶湯の金属Ca主体による強脱酸、又は金属Al主体による強脱酸を基本とし、更に望ましくは、適量の金属Ceを付加した複合脱酸も採用した。なお、Ca添加量は、消耗式電極重量に対して0.6〜0.8質量%の範囲内において、金属Caワイヤーを消耗式電極に組み込んで取り付け調製し、更に、溶融スラグの成分組成については、スラグの酸素及び硫黄のポテンシャルの極低下及び流動性の適正化を図ることにより、脱酸生成物及び脱硫生成物の溶湯(溶鋼)バルク乃至溶滴から溶融スラグ相への浮上・分離除去の促進及び溶湯バルクの再酸化防止を図った。なお、Ca及びCeには、脱硫作用も行なわせた。
端を溶接で封止した。次いで、こうして得られた調製体を真空炉内で900℃においてクロム窒化物を焼結し、窒素添加体4を調製した。こうして得られた、内部にクロム窒化物の焼結体7が充填形成された窒素添加体4を、予め準備しておいた溝3加工付き65mmφの消耗式ベース電極2の外周部に形成されている複数本の溝3のそれぞれに、上述した通り取り付けて、窒素添加型消耗式電極1を製作した。
1.00質量%超えの超高含有量の所定値にコントロールされており、また、適切なCa単味添加による脱酸及び脱硫処理、CaとCeとの添加による複合脱酸及び複合脱硫処理、又はAl単味添加による脱酸、並びにCaF2単味系溶融スラグ又はCaF2−CaO系溶融スラグを用いたESR精錬により、O含有量を0.0008〜0.0026質量%の極めて低い水準にまで低減させ、Ca含有量も0.0005〜0.0038質量%の範囲内に制御し、極めて高清浄な鋼が得られている。なお、Ca、又はCaとCeとの添加によりO及びS含有量のみならず、P含有量も著しく低減している。
〔比較例用供試体〕
一方、比較例用供試材として、SUS316Lに属する化学成分組成を有する市販の板厚1.0mmの冷間圧延ステンレス鋼板(比較例1Aという)、及び市販の線径1.0mmの伸線ステンレス鋼線(比較例2Bという)の各化学成分組成を前記表1に併記した。
[確性試験項目]
この発明に係る各種製品が、医療用のインプラント、ステント若しくは器具、装身具乃至装飾品若しくは衣料類部品、又は厨房用器具若しくは食器類と、極めて多岐にわたっているので、本発明に係るステンレス鋼がこれらすべての製品に対して好適なステンレス鋼であることを明らかにするために、下記の各種試験を行なった。確性試験として、
(1)顕微鏡等による金属組織試験及び鋼中の非金属介在物測定試験(非金属介在物の清浄性及び最大長さの測定)
(2)耐食性試験として、
(2−1)金属の溶出試験 (2−2)すきま腐食試験、
(3)機械的性質試験
を、製品用途を考慮して、実施例及び比較例について適宜行った。
[金属組織試験]
実施例1A〜6A、実施例1B〜3B、及び比較例1A、2Bの全てについて行なった。
安定性を確保し得る成分組成を有するものである。一方、比較例1A及び比較例2Bの化学成分組成はいずれも、SUS316Lの標準的な成分組成を有し、安定したオーステナイトステンレス鋼である。
[非金属介在物測定試験]
実施例1A〜5A、実施例1B〜3B、及び比較例1A、2Bの全てについて行なった。非金属介在物の存在は、耐食性に悪影響を及ぼすので、非金属介在物の大きさ及び面積占有率を、以下の方法で測定した。
いて算出された耐食性指数:EPR=Cr含有量+Mo含有量×3+N含有量×10の値、A×150及びA×500、並びにD×3.5及びD×5の各値を併記した。
[金属溶出試験−特にNiの溶出、及び強酸性条件下での金属の溶出]
実施例1A〜3A、及び比較例1A(いずれも冷延薄板)につき、Ni、Fe、Cr及びMoの溶出試験を次の要領で行なった。
表面を#500のSiC研磨紙を用いて研磨処理を施した後、アセトンで洗浄して試験片とした。溶出試験は浸漬試験法で行ない、欧州規格EN1811「貴金属−皮膚に直に長期間触れるようになる製品からのニッケル離脱に関する基準試験方法」を参考にして行なった。金属溶出条件として、浸漬溶液のpH水準を2水準設定し、それぞれで行なった。浸漬溶液はISO 10271により、0.9%NaCl溶液に1%乳酸を用いて、第1試験は、体液の通常のpH=7.35よりもやや低いpHの6.5に調整し(前述したように、体液のpHは通常、7.35とややアルカリ側にあるが、手術後や外傷等の存在により、5.3〜5.6と酸性側になることもあることを考慮した)、第2試験は1%乳酸を用いて更に厳しい溶出条件であるpH=2.8に調整した。浸漬溶液の温度は30±2℃に保持し、225mlの浸漬溶液に試験片を浸漬し(液量は試験片の表面積1cm2当
たり30mlに相当する)、試験片からのNi並びにFe、Cr及びMoの溶出量を測定した。
を、そして表4にpH=2.8の場合の結果を示す。
[すきま腐食試験]
耐局部腐食性を評価するために、実施例4A、5A、及び比較例1A(いずれも冷延薄板)につき、すき間腐食試験を行なった。
溶質:
塩化ナトリウム (NaCl) 24.53 g/l
塩化マグネシウム (MgCl2) 5.20 g/l
硫酸ナトリウム (Na2SO4) 4.10 g/l
塩化カルシウム (CaCl2) 1.16 g/l
塩化カリウム (KCl) 0.70 g/l
炭酸水素ナトリウム (NaHCO3) 0.20 g/l
臭化カリウム (KBr) 0.10 g/l
塩化ストロンチウム (SrCl2) 0.025g/l
ホウ酸 (H3BO3) 0.027g/l
フッ化ナトリウム (NaF) 0.003g/l
上記すき間腐食発生の定電位試験結果は、比較例1Aのすき間腐食発生電位は、0.050VSCE(VSCE:飽和甘コウ電極基準電位)であったのに対し、実施例4A、5Aにおいてはいずれも、0.90VSCEの酸素発生電位以上でもすき間腐食は発生することなく
、著しく優れている。
[機械的性質試験]
機械的性質試験として、実施例及び比較例の全てのいずれも溶体化処理済みの鋼材について、引張試験及び硬さ試験を行なった。引張試験は、JIS Z2201で定める引張試験片を調製し、JIS Z2241で定める引張試験方法により引張試験を行ない、引張強さ、降伏強さ、伸び及び絞りを測定した。また、硬さ試験はJIS Z2244で定めるビッカース硬さ試験方法により、ビッカース硬さを測定した。表5に、各試験結果を示し、図3にそれらの内、引張強さと伸び及び絞りの水準とその関係を図示する。
が薄板であるか線であるかを問わず(但し、薄板は冷延鋼板に限る)、強度水準が比較例に比べて著しく高いことが特徴である。具体的には、引張強さTSについて、比較例が560〜580MPaの水準であるのに対して、実施例は960〜1220MPaの高水準にある。一方、降伏強さYSについても、薄板において比較例が約290MPaの水準であるのに対して、実施例においては800〜870MPaの高水準にある。
水準にあり、実施例においてはこれよりも著しく高く、305〜380のかなりの高水準にある。従って、耐摩耗性についても実施例は比較例に比べて著しく優れていることがわかる。
に係る化学成分組成に著しい特徴を有すると共に、清浄なニッケルフリーで高窒素含有のオーステナイト系ステンレス鋼塊を溶製することができる。かかるESR鋼塊を適切な熱間乃至冷間加工により製造した鋼は、溶体化処理により耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れた特性が付与され、特に人体アレルギー発症を起こすことがない。こうして得られた棒鋼、薄板、鋼線又は鋼管等の鋼は、生体用若しくは医療用のインプラント、ステント若しくは器具、人体の皮膚表面若しくは粘膜に直接若しくは間接的に接触して使用される装身具乃至装飾品若しくは衣料類部品、又は厨房用器具若しくは食器類用に、共通して好適に用い得ることがわかった。
2 消耗式ベース電極
3 溝
4 窒素添加体
5 金属Caワイヤ
6 ステンレス鋼製パイプ
7 クロム窒化物粉末の焼結体
Claims (22)
- 化学成分組成(質量%)として、
0<C≦0.08
0≦Si<0.50
0≦Mn≦1.50
15≦Cr≦30
0≦Ni<0.05
1≦Mo≦10
1.00<N≦2.00
0≦Ca<0.005
を含有し、そして残部がFe及び不可避不純物からなり、しかも、前記Cr、Mo及びNの各含有量は、下記(1)式:
PRE=(Cr含有量)+(Mo含有量)×3
+(N含有量)×10
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1)
で表される耐食性指数(PRE)が、下記(2)式及び(3)式:
PRE>150×A‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2)
PRE>3.5×D‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(3)
但し、Aは鋼中非金属介在物の面積占有率(%)、
Dは鋼中非金属介在物の最大直径(μm)
を同時に満たす化学成分組成及び非金属介在物の清浄特性を有することを特徴とする、耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼。 - 請求項1の化学成分組成及び非金属介在物の清浄特性に加えて、質量%で
0.0005≦Al≦0.015
を含有することを特徴とするニッケルフリー高窒素ステンレス鋼。 - 前記非金属介在物の清浄特性は、
PRE>500×A‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(4)
PRE>5.0×D‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(5)
であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼。 - 前記Ca含有量は、0.001質量%未満であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼。
- 前記Ni含有量は、0.01質量%未満であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼。
- 前記Mn含有量は、0.01質量%未満であることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼。
- 前記不可避不純物の内、P、S及びOの各含有量(質量%)は、
P:0.01%未満、
S:0.002%未満、及び、
O:0.003%未満
の全てを満たすことを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼。 - 前記化学成分組成として、更に、質量%で
0.05≦Cu≦1.0
を付加して含有することを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼。 - 前記化学成分組成として、更に、質量%で、
0<W≦2.0
0<V≦2.0
のうちの1種以上を付加して含有することを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれかに記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼。 - 前記化学成分組成として、更に、質量%で
0.01≦Ce≦0.10
を付加して含有することを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれかに記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼。 - 前記Cr含有量は、20質量%以上25質量%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれかに記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼。
- 請求項1から請求項11のいずれかに記載の化学成分組成及び非金属介在物の清浄特性を有し、且つ溶体化処理後におけるビッカース硬度が300を超えて、引張強さが1000MPaを超える機械的性質を有する耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼からなることを特徴とする棒鋼又は鋼線材若しくは鋼線。
- 請求項12に記載の化学成分組成及び非金属介在物の清浄特性並びに機械的性質を有し、且つ、溶体化処理後における伸びが50%を超えて、絞りが70%を超える機械的性質を有する耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼からなることを特徴とする棒鋼又は鋼線材若しくは鋼線。
- 請求項1から請求項11のいずれかに記載の化学成分組成及び非金属介在物の清浄特性を有し、且つ溶体化処理後における伸びが50%を超えて、絞りが70%を超える機械的性質を有する耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼からなることを特徴とする棒鋼又は鋼線材若しくは鋼線。
- 請求項1から請求項11のいずれかに記載の化学成分組成及び非金属介在物の清浄特性を有し、且つ溶体化処理後におけるビッカース硬度が300超え、引張強さが900MPaを超えて降伏強さが700MPaを超える機械的性質を有する耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼からなることを特徴とする薄鋼板。
- 請求項15に記載の化学成分組成及び非金属介在物の清浄特性並びに機械的性質を有し、且つ、溶体化処理後における伸びが12%を超えて、絞りが10%を超える機械的性質を有する耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼からなることを特徴とする薄鋼板。
- 請求項1から請求項16のいずれかに記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼、又は当該ニッケルフリー高窒素ステンレス鋼を素材とする前記棒鋼又は鋼線材若しくは鋼線、又は前記薄鋼板からなる鋼材が、少なくとも一部分に、素材乃至部品として用いられていることを特徴とする、生体用又は医療用のインプラント、ステント又は器具。
- 前記インプラントは、成形外科用材料、接骨材料、人工関節用材料、脳外科用等のビス、並びに、義歯固設用インプラント、義歯用金属床及び義歯用磁性アタッチメント等の歯科治療用材料の内のいずれか一つであり、前記ステントは、人体内各所の閉塞した血管の拡張保持用ステントであり、そして、前記器具は、注射針、人体内各所の血管進入用カテーテル、並びに、手術用クリップ、手術用かん子及びメスの刃等の手術用器具の内のいずれか一つであることを特徴とする、請求項17に記載の生体用又は医療用のインプラント、ステント又は器具。
- 請求項1から請求項16のいずれかに記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼、又は当該ニッケルフリー高窒素ステンレス鋼を素材とする前記棒鋼又は鋼線材若しくは鋼線、又は前記薄鋼板からなる鋼材が、少なくとも一部分に、素材乃至部品として用いられていることを特徴とする、人体の皮膚表面又は粘膜に直接又は間接的に接触して使用される装身具乃至装飾品、又は衣料類部品。
- 前記装身具乃至装飾品は、めがねフレーム、腕時計のケース及びバンド、並びに、ネックレス、ピアス、イアリング、指輪、ブレスレッド、アンクレッド、鼻ピアス及び舌ピアス等の種々のアクセサリーの内のいずれか一つであり、そして、前記衣料類部品は、ファスナー、フック、ボタン、並びに防弾チョッキ乃至防弾服、防護面及びヘルメット等各種の防護衣料類に装着された護身素材の内のいずれか一つであることを特徴とする、請求項19に記載の人体の皮膚表面又は粘膜に直接又は間接的に接触して使用される装身具乃至装飾品、又は衣料類部品。
- 請求項1から請求項16のいずれかに記載の耐食性、強度、成形性及び耐摩耗性に優れたニッケルフリー高窒素ステンレス鋼、又は当該ニッケルフリー高窒素ステンレス鋼を素材とする前記棒鋼又は鋼線材若しくは鋼線、又は前記薄鋼板からなる鋼材が、少なくとも一部分に、素材乃至部品として用いられていることを特徴とする、厨房用器具又は食器類。
- 前記厨房用器具は、鍋、フライパン、やかん、ポット、調理済み食品保温容器、包丁、計量容器、醤油差し等調味料容器及び調理台等の内の一つであり、そして前記食器類は、椀、皿、スプーン、ナイフ及びフォーク等の内のいずれか一つであることを特徴とする、請求項21に記載の厨房用器具又は食器類。
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