JP2000239799A - Niを含まない生体用二相ステンレス鋼 - Google Patents
Niを含まない生体用二相ステンレス鋼Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、Niを含まず、かつ生体用材料と
して必要な耐食性を有する二相ステンレス鋼を提供する
こと。 【解決手段】 重量%で、C:0.06%以下、Si:
1.0%以下、Mn:3.0〜20.0%、P:0.0
30%以下、S:0.010%以下、Ni:0.10%
以下、Cr:10.0〜20.0%、Mo:3.0〜
6.0%、N:0.06〜0.50%、Al:0.02
0%以下、O:0.010%以下を含有し、残部が実質
的にFeからなることを特徴とするNiを含まない生体
用二相ステンレス鋼。
して必要な耐食性を有する二相ステンレス鋼を提供する
こと。 【解決手段】 重量%で、C:0.06%以下、Si:
1.0%以下、Mn:3.0〜20.0%、P:0.0
30%以下、S:0.010%以下、Ni:0.10%
以下、Cr:10.0〜20.0%、Mo:3.0〜
6.0%、N:0.06〜0.50%、Al:0.02
0%以下、O:0.010%以下を含有し、残部が実質
的にFeからなることを特徴とするNiを含まない生体
用二相ステンレス鋼。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Niを含まない生
体用二相ステンレス鋼、詳細には直接人体に接触する装
飾品、生体内に使用する部材などに好適なNiを含まな
い生体用二相ステンレス鋼に関する。
体用二相ステンレス鋼、詳細には直接人体に接触する装
飾品、生体内に使用する部材などに好適なNiを含まな
い生体用二相ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ネックレス、ピアス、指輪などの
装飾品、時計側、時計用バンドなどの材料としてNiを
含むSUS304(C:0.08%以下、Si:1.0
0%以下、Mn:2.00%以下、P:0.045%以
下、S:0.030%以下、Cr:8.00〜10.5
0%、Cr:18.00〜20.00%を含有し、残部
が実質的にFe)、SUS316(C:0.08%以
下、Si:1.00%以下、Mn:2.00%以下、
P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:
10.00〜14.00%、Cr:16.00〜18.
00%、Mo:2.00〜3.00%を含有し、残部が
実質的にFe)などのオーステナイト系ステンレス鋼が
多く用いられてきた。
装飾品、時計側、時計用バンドなどの材料としてNiを
含むSUS304(C:0.08%以下、Si:1.0
0%以下、Mn:2.00%以下、P:0.045%以
下、S:0.030%以下、Cr:8.00〜10.5
0%、Cr:18.00〜20.00%を含有し、残部
が実質的にFe)、SUS316(C:0.08%以
下、Si:1.00%以下、Mn:2.00%以下、
P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:
10.00〜14.00%、Cr:16.00〜18.
00%、Mo:2.00〜3.00%を含有し、残部が
実質的にFe)などのオーステナイト系ステンレス鋼が
多く用いられてきた。
【0003】また、歯科用材料、インプラント材料を含
む生体内にて使用される部品についても上記SUS31
6またはSUS316L(C:0.03%以下、Si:
1.00%以下、Mn:2.00%以下、P:0.04
5%以下、S:0.030%以下、Ni:12.00〜
15.00%、Cr:16.00〜18.00%、M
o:2.00〜3.00%を含有し、残部が実質的にF
e)などのNiを含有するオーステナイト系ステンレス
鋼が多く用いられてきた。
む生体内にて使用される部品についても上記SUS31
6またはSUS316L(C:0.03%以下、Si:
1.00%以下、Mn:2.00%以下、P:0.04
5%以下、S:0.030%以下、Ni:12.00〜
15.00%、Cr:16.00〜18.00%、M
o:2.00〜3.00%を含有し、残部が実質的にF
e)などのNiを含有するオーステナイト系ステンレス
鋼が多く用いられてきた。
【0004】しかし、これらのNiを含有する材料は、
生体内へ溶出するなどによってNiを原因とするアレル
ギーが起こることが、欧州などにおいて問題になってき
た。
生体内へ溶出するなどによってNiを原因とするアレル
ギーが起こることが、欧州などにおいて問題になってき
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Niを含ま
ず、かつ生体用材料として必要な耐食性を有する二相ス
テンレス鋼を提供することを課題としている。
ず、かつ生体用材料として必要な耐食性を有する二相ス
テンレス鋼を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは、Niを含まず、かつ生体用材料とし
て必要な耐食性を有するステンレス鋼について調査およ
び研究していたところ、MnおよびN含有量を多くした
二相ステンレス鋼にすると、熱間加工性を著しく低下す
ることなく生体用材料として必要な耐食性などを有する
材料を得ることがてきるという知見を得て本発明に至っ
たものである。
め、本発明者らは、Niを含まず、かつ生体用材料とし
て必要な耐食性を有するステンレス鋼について調査およ
び研究していたところ、MnおよびN含有量を多くした
二相ステンレス鋼にすると、熱間加工性を著しく低下す
ることなく生体用材料として必要な耐食性などを有する
材料を得ることがてきるという知見を得て本発明に至っ
たものである。
【0007】すなわち、本発明のNiを含まない生体用
二相ステンレス鋼においては、C:0.06%以下、S
i:1.0%以下、Mn:3.0〜20.0%、P:
0.030%以下、S:0.010%以下、Ni:0.
10%以下、Cr:10.0〜20.0%、Mo:3.
0〜6.0%、N:0.06〜0.50%、Al:0.
020%以下、O:0.010%以下を含有し、必要に
応じてCa:0.0005〜0.010%、Mg:0.
0005〜0.010%、B:0.0005〜0.01
0%およびREM:0.0005〜0.010%の1種
または2種以上を含有し、残部が実質的にFeからなる
ものとすることである。
二相ステンレス鋼においては、C:0.06%以下、S
i:1.0%以下、Mn:3.0〜20.0%、P:
0.030%以下、S:0.010%以下、Ni:0.
10%以下、Cr:10.0〜20.0%、Mo:3.
0〜6.0%、N:0.06〜0.50%、Al:0.
020%以下、O:0.010%以下を含有し、必要に
応じてCa:0.0005〜0.010%、Mg:0.
0005〜0.010%、B:0.0005〜0.01
0%およびREM:0.0005〜0.010%の1種
または2種以上を含有し、残部が実質的にFeからなる
ものとすることである。
【0008】また、本発明のNiを含まない生体用二相
ステンレス鋼においては、C:0.06%以下、Si:
1.0%以下、Mn:3.0〜20.0%、P:0.0
30%以下、S:0.010%以下、Ni:0.10%
以下、Cr:10.0〜20.0%、Mo:3.0〜
6.0%、N:0.06〜0.50%、Al:0.02
0%以下、O:0.010%以下を含有し、さらにC
u:0.1〜2.0%、Co:0.1〜2.0%および
W:0.1〜1.0%の1種または2種以上を含有し、
必要に応じてCa:0.0005〜0.010%、M
g:0.0005〜0.010%、B:0.0005〜
0.010%およびREM:0.0005〜0.010
%の1種または2種以上を含有し、残部が実質的にFe
からなるものとすることである。
ステンレス鋼においては、C:0.06%以下、Si:
1.0%以下、Mn:3.0〜20.0%、P:0.0
30%以下、S:0.010%以下、Ni:0.10%
以下、Cr:10.0〜20.0%、Mo:3.0〜
6.0%、N:0.06〜0.50%、Al:0.02
0%以下、O:0.010%以下を含有し、さらにC
u:0.1〜2.0%、Co:0.1〜2.0%および
W:0.1〜1.0%の1種または2種以上を含有し、
必要に応じてCa:0.0005〜0.010%、M
g:0.0005〜0.010%、B:0.0005〜
0.010%およびREM:0.0005〜0.010
%の1種または2種以上を含有し、残部が実質的にFe
からなるものとすることである。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明のNiを含まない生
体用二相ステンレス鋼の成分及びその含有量を限定した
理由を説明する。 C:0.06%以下 Cは、所望の硬さを得るために含有させる元素である。
その含有量が0.06%より多いと溶湯中のNの溶解量
を低下させるとともに、Crと結合して炭化物を形成
し、マトリックス中のCr固溶量を低下させて耐食性を
低下するので、その含有量を0.06%以下とする。
体用二相ステンレス鋼の成分及びその含有量を限定した
理由を説明する。 C:0.06%以下 Cは、所望の硬さを得るために含有させる元素である。
その含有量が0.06%より多いと溶湯中のNの溶解量
を低下させるとともに、Crと結合して炭化物を形成
し、マトリックス中のCr固溶量を低下させて耐食性を
低下するので、その含有量を0.06%以下とする。
【0010】Si:1.0%以下 Siは、鋼の製造時に脱酸剤として添加する元素である
が、1.0%以上になると熱間加工性を低下するので、
その含有量を1.0%以下とする。 Mn:3.0〜20.0% Mnは、Sを固定するとともに窒素の溶解量を著しく増
加させる作用があるので、そのために含有させる元素で
ある。溶湯中のNの溶解量を0.06〜0.50%にす
るには3.0%以上含有させる必要があるが、20.0
%以上になると耐食性が低下するほか、二相組織を維持
するのが困難になるので、その含有量を2.0〜20.
0%とする。
が、1.0%以上になると熱間加工性を低下するので、
その含有量を1.0%以下とする。 Mn:3.0〜20.0% Mnは、Sを固定するとともに窒素の溶解量を著しく増
加させる作用があるので、そのために含有させる元素で
ある。溶湯中のNの溶解量を0.06〜0.50%にす
るには3.0%以上含有させる必要があるが、20.0
%以上になると耐食性が低下するほか、二相組織を維持
するのが困難になるので、その含有量を2.0〜20.
0%とする。
【0011】P:0.030%以下 Pは、粒界に偏析して靭性を低下するので、低いほうが
望ましいが、必要以上に低減するとコストの上昇を招く
ので、その含有量を0.030%以下とする。 S:0.010%以下 Sは、熱間加工性を低下させるほか、MnSを形成して
耐食性を著しく低下させるので、低いほうが望ましい
が、必要以上に低減するとコストの上昇を招くので、そ
の含有量を0.010%以下とする。
望ましいが、必要以上に低減するとコストの上昇を招く
ので、その含有量を0.030%以下とする。 S:0.010%以下 Sは、熱間加工性を低下させるほか、MnSを形成して
耐食性を著しく低下させるので、低いほうが望ましい
が、必要以上に低減するとコストの上昇を招くので、そ
の含有量を0.010%以下とする。
【0012】Ni:0.10%以下 Niは、Niアレルギーの原因となる元素であるので、
少ないほうが望ましいが、必要以上に低減するとコスト
の上昇を招くので、その含有量を0.10%以下とす
る。 Cr:10.0〜20.0% Crは、溶湯中の窒素の溶解量を増加させるとともに、
耐食性を向上させるために含有させる元素である。その
含有量が10.0%より少ないとこれらの効果が十分で
なく、20%を超えると二相組織を維持するのが困難と
なるので、その含有量を10.0〜20.0%とする。
少ないほうが望ましいが、必要以上に低減するとコスト
の上昇を招くので、その含有量を0.10%以下とす
る。 Cr:10.0〜20.0% Crは、溶湯中の窒素の溶解量を増加させるとともに、
耐食性を向上させるために含有させる元素である。その
含有量が10.0%より少ないとこれらの効果が十分で
なく、20%を超えると二相組織を維持するのが困難と
なるので、その含有量を10.0〜20.0%とする。
【0013】Mo:3.0〜6.0% Moは、溶湯中の窒素の溶解量を増加させるとともに、
耐食性を向上させるために含有させる元素である。その
含有量が3.0%より少ないと二相組織を得ることが困
難であり、かつ耐食性を向上させるのに十分でなく、
6.0%を超えるとシグマ相などの第三相の析出により
製造工程における加工性を著しく低下するので、その含
有量を3.0〜 6.0%とする。 N:0.06〜0.50% Nは、強度および耐食性を向上させるために含有させる
元素である。その含有量が0.06%よリ少ないと二相
組織を得ることが困難であり、かつ十分な硬さと耐食性
が得られず、0.50%を超えると、窒素ブローが発生
して健全な鋼塊が得られないので、その含有量を0.0
6〜0.50%とする。
耐食性を向上させるために含有させる元素である。その
含有量が3.0%より少ないと二相組織を得ることが困
難であり、かつ耐食性を向上させるのに十分でなく、
6.0%を超えるとシグマ相などの第三相の析出により
製造工程における加工性を著しく低下するので、その含
有量を3.0〜 6.0%とする。 N:0.06〜0.50% Nは、強度および耐食性を向上させるために含有させる
元素である。その含有量が0.06%よリ少ないと二相
組織を得ることが困難であり、かつ十分な硬さと耐食性
が得られず、0.50%を超えると、窒素ブローが発生
して健全な鋼塊が得られないので、その含有量を0.0
6〜0.50%とする。
【0014】Al:0.020%以下 Alは、脱酸剤として添加する元素であるが、その含有
量が0.020%以上になると、酸化物、窒化物の量が
多くなって冷間加工性を低下するので、その含有量を
0.020%以下とする。 O:0.010%以下 Oは、鋼の清浄度を低下させ、耐食性を低下するため、
少ない方が望ましいので、その含有量を0.010%以
下とする。
量が0.020%以上になると、酸化物、窒化物の量が
多くなって冷間加工性を低下するので、その含有量を
0.020%以下とする。 O:0.010%以下 Oは、鋼の清浄度を低下させ、耐食性を低下するため、
少ない方が望ましいので、その含有量を0.010%以
下とする。
【0015】Cu:0.1〜2.0%、Co:0.1〜
2.0%、W:0.1〜1.0% Cu 、CoおよびWは、耐食性を向上させるのに有効
であるので、必要に応じて1種または2種以上含有させ
る元素である。それらの含有量が0.1%より少ないと
耐食性を向上させる効果が十分でなく、2.0%を超え
るとCuは熱間加工性を低下し、またCoとWはコスト
の上昇を招くので、それらの含有量を0.1〜2.0%
とする。
2.0%、W:0.1〜1.0% Cu 、CoおよびWは、耐食性を向上させるのに有効
であるので、必要に応じて1種または2種以上含有させ
る元素である。それらの含有量が0.1%より少ないと
耐食性を向上させる効果が十分でなく、2.0%を超え
るとCuは熱間加工性を低下し、またCoとWはコスト
の上昇を招くので、それらの含有量を0.1〜2.0%
とする。
【0016】Ca:0.0005〜0.010%、M
g:0.0005〜0.010%、B:0.0005〜
0.010%、REM:0.0005〜0.010% Ca、Mg、BおよびREMは、熱間加工性を向上させ
るのに有効であるので、必要に応じて1種または2種以
上含有させる元素である。それらの含有量が0.000
5%より少ないと熱間加工性を向上させる効果が十分で
なく、0.010%を超えるとCa、MgおよびREM
は鋼の清浄度を低下させて靭性、耐食性に悪影響を及ぼ
し、Bは硼化物を形成して熱間加工性、耐食性に悪影響
を及ぼすので、それらの含有量を0.0005〜0.0
10%とする。
g:0.0005〜0.010%、B:0.0005〜
0.010%、REM:0.0005〜0.010% Ca、Mg、BおよびREMは、熱間加工性を向上させ
るのに有効であるので、必要に応じて1種または2種以
上含有させる元素である。それらの含有量が0.000
5%より少ないと熱間加工性を向上させる効果が十分で
なく、0.010%を超えるとCa、MgおよびREM
は鋼の清浄度を低下させて靭性、耐食性に悪影響を及ぼ
し、Bは硼化物を形成して熱間加工性、耐食性に悪影響
を及ぼすので、それらの含有量を0.0005〜0.0
10%とする。
【0017】本発明のNiを含まない生体用二相ステン
レス鋼の製造は、窒素を含有するステンレス鋼と同様
に、上記合金組成を有する鋼を高周波誘導炉などの溶解
炉で溶製し、インゴット、ビレットまたはスラブに鋳造
し、その後このインゴットなどを必要に応じて分塊鍛造
をし、その後熱間鍛造又は熱間圧延して必要な寸法の鋼
材にすることに行うことができる。また、本発明のNi
を含まない生体用二相ステンレス鋼の用途は、ネックレ
ス、ピアス、指輪などの皮膚に接触する装飾品、時計
側、時計用バンド、歯科用材料、インプラントを含む生
体内に用いられる部材および生体内に用いられる機器な
どである。
レス鋼の製造は、窒素を含有するステンレス鋼と同様
に、上記合金組成を有する鋼を高周波誘導炉などの溶解
炉で溶製し、インゴット、ビレットまたはスラブに鋳造
し、その後このインゴットなどを必要に応じて分塊鍛造
をし、その後熱間鍛造又は熱間圧延して必要な寸法の鋼
材にすることに行うことができる。また、本発明のNi
を含まない生体用二相ステンレス鋼の用途は、ネックレ
ス、ピアス、指輪などの皮膚に接触する装飾品、時計
側、時計用バンド、歯科用材料、インプラントを含む生
体内に用いられる部材および生体内に用いられる機器な
どである。
【0018】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。下記表1
に示す二相ステンレス鋼を50kg高周波誘導炉で溶製
し、50kgの鋳塊に鋳造した。この鋳塊より熱間加工
性を評価するためのグリーブル試験片を採取して下記グ
リーブル試験を実施し、下記方法で評価した結果を下記
表2の熱間加工性の欄に記載した。グリーブル試験片を
採取した後の鋳塊を鍛伸して20mmの丸棒にし、この
丸棒を1000℃×1hrの加熱後水冷した。この焼入
れをした丸棒より引張試験片、孔食電位測定用片および
Ni溶出試験片を切り出し、下記常温引張試験、孔食電
位測定およびNi溶出試験を実施し、下記方法で評価し
た結果を下記表2に記載した。
に示す二相ステンレス鋼を50kg高周波誘導炉で溶製
し、50kgの鋳塊に鋳造した。この鋳塊より熱間加工
性を評価するためのグリーブル試験片を採取して下記グ
リーブル試験を実施し、下記方法で評価した結果を下記
表2の熱間加工性の欄に記載した。グリーブル試験片を
採取した後の鋳塊を鍛伸して20mmの丸棒にし、この
丸棒を1000℃×1hrの加熱後水冷した。この焼入
れをした丸棒より引張試験片、孔食電位測定用片および
Ni溶出試験片を切り出し、下記常温引張試験、孔食電
位測定およびNi溶出試験を実施し、下記方法で評価し
た結果を下記表2に記載した。
【0019】グリーブル試験は、M6×110mmの試
験片を、100sec.の間に所望の温度に加熱し、その温
度に60sec.間保持した後に2in/sec.の速度で引っ張
ることによって行った。そのときの絞り値が60%以上
である温度範囲が350℃以上をA、300〜350℃
未満をB、250〜300℃未満をC、250℃未満を
Dとした。常温引張試験は、JIS4号試験片を使用
し、0.2%耐力、引張強度を測定した。孔食電位測定
試験は、JIS G 0577に準拠して行い、V′c 10で評価
した。
験片を、100sec.の間に所望の温度に加熱し、その温
度に60sec.間保持した後に2in/sec.の速度で引っ張
ることによって行った。そのときの絞り値が60%以上
である温度範囲が350℃以上をA、300〜350℃
未満をB、250〜300℃未満をC、250℃未満を
Dとした。常温引張試験は、JIS4号試験片を使用
し、0.2%耐力、引張強度を測定した。孔食電位測定
試験は、JIS G 0577に準拠して行い、V′c 10で評価
した。
【0020】Ni溶出試験は、直径5mm、長さ60m
mの試験片を用い、0.5%NaCl+0.1%尿素+
0.1%乳酸水溶液をアンモニアでpH6.5に調節し
た水溶液に、試験温度30℃で168時間浸漬した後の
試験溶液中のNi量をICPにより分析し、資料表面の
単位面積当たりのNi溶出量に換算した。
mの試験片を用い、0.5%NaCl+0.1%尿素+
0.1%乳酸水溶液をアンモニアでpH6.5に調節し
た水溶液に、試験温度30℃で168時間浸漬した後の
試験溶液中のNi量をICPにより分析し、資料表面の
単位面積当たりのNi溶出量に換算した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】これらお結果より、本発明の実施例の熱間
加工性はA〜Cであるのに対して、比較例1のSUS3
16Lおよび比較例2のSUS304の熱間加工性はA
であった。本発明の実施例の熱間加工性は、Aも2例あ
ったが、比較例1および比較例2より劣っていた。さら
に、本発明の実施例の0.2%PSは431〜463M
Paであったのに対して、比較例1の316Lの0.2
%PSは321MPaであり、比較例2の0.2%PS
はSUS304は342321MPaであった。本発明
の実施例の0.2%PSは、比較例より約25〜60%
高くなっていた。
加工性はA〜Cであるのに対して、比較例1のSUS3
16Lおよび比較例2のSUS304の熱間加工性はA
であった。本発明の実施例の熱間加工性は、Aも2例あ
ったが、比較例1および比較例2より劣っていた。さら
に、本発明の実施例の0.2%PSは431〜463M
Paであったのに対して、比較例1の316Lの0.2
%PSは321MPaであり、比較例2の0.2%PS
はSUS304は342321MPaであった。本発明
の実施例の0.2%PSは、比較例より約25〜60%
高くなっていた。
【0024】また、本発明の実施例のTSは835〜9
15MPaであったのに対して、比較例1の316Lの
TSは561MPaであり、比較例2のSUS304の
TSは587MPa%であった。本発明の実施例のTS
は、比較例より約40〜60%程度高くなっていた。ま
た、本発明の実施例の孔食電位は0.23〜0.39V
であったのに対して、比較例1の316Lの孔食電位は
0.34Vであり、比較例2のSUS304の孔食電位
は0.23Vであった。本発明の実施例の孔食電位は比
較例1および比較例2とほぼ同程度であった。
15MPaであったのに対して、比較例1の316Lの
TSは561MPaであり、比較例2のSUS304の
TSは587MPa%であった。本発明の実施例のTS
は、比較例より約40〜60%程度高くなっていた。ま
た、本発明の実施例の孔食電位は0.23〜0.39V
であったのに対して、比較例1の316Lの孔食電位は
0.34Vであり、比較例2のSUS304の孔食電位
は0.23Vであった。本発明の実施例の孔食電位は比
較例1および比較例2とほぼ同程度であった。
【0025】また、本発明の実施例のNi溶出量は、
0.1μg/cm2 以下であったのに対して、比較例1の
316LのNi溶出量は1.2μg/cm2 であり、また
比較例2のSUS304のNi溶出量は3.4μg/cm
2 であった。
0.1μg/cm2 以下であったのに対して、比較例1の
316LのNi溶出量は1.2μg/cm2 であり、また
比較例2のSUS304のNi溶出量は3.4μg/cm
2 であった。
【0026】
【発明の効果】本発明のNiを含まない生体用二相ステ
ンレス鋼は、上記構成にしたことにより、次のような優
れた効果を奏する。 (1)熱間加工性は従来のものよりやや低下するが、そ
の他の性質を低下することなくNi溶出量を少なくする
ことができる。 (2)高価なNiを含有してないので、コストを低くす
ることができる。
ンレス鋼は、上記構成にしたことにより、次のような優
れた効果を奏する。 (1)熱間加工性は従来のものよりやや低下するが、そ
の他の性質を低下することなくNi溶出量を少なくする
ことができる。 (2)高価なNiを含有してないので、コストを低くす
ることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で(以下同じ)、C:0.06%
以下、Si:1.0%以下、Mn:3.0〜20.0
%、P:0.030%以下、S:0.010%以下、N
i:0.10%以下、Cr:10.0〜20.0%、M
o:3.0〜6.0%、N:0.06〜0.50%、A
l:0.020%以下、O:0.010%以下を含有
し、残部が実質的にFeからなることを特徴とするNi
を含まない生体用二相ステンレス鋼。 - 【請求項2】 C:0.06%以下、Si:1.0%以
下、Mn:3.0〜20.0%、P:0.030%以
下、S:0.010%以下、Ni:0.10%以下、C
r:10.0〜20.0%、Mo:3.0〜6.0%、
N:0.06〜0.50%、Al:0.020%以下、
O:0.010%以下を含有し、さらにCu:0.1〜
2.0%、Co:0.1〜2.0%およびW:0.1〜
1.0%の1種または2種以上を含有し、残部が実質的
にFeからなることを特徴とするNiを含まない生体用
二相ステンレス鋼。 - 【請求項3】 C:0.06%以下、Si:1.0%以
下、Mn:3.0〜20.0%、P:0.030%以
下、S:0.010%以下、Ni:0.10%以下、C
r:10.0〜20.0%、Mo:3.0〜6.0%、
N:0.06〜0.50%、Al:0.020%以下、
O:0.010%以下を含有し、さらにCa:0.00
05〜0.010%、Mg:0.0005〜0.010
%、B:0.0005〜0.010%およびREM:
0.0005〜0.010%の1種または2種以上を含
有し、残部が実質的にFeからなることを特徴とするN
iを含まない生体用二相ステンレス鋼。 - 【請求項4】 C:0.06%以下、Si:1.0%以
下、Mn:3.0〜20.0%、P:0.030%以
下、S:0.010%以下、Ni:0.10%以下、C
r:10.0〜20.0%、Mo:3.0〜6.0%、
N:0.06〜0.50%、Al:0.020%以下、
O:0.010%以下を含有し、さらにCu:0.1〜
2.0%、Co:0.1〜2.0%およびW:0.1〜
1.0%の1種または2種以上を含有し、またCa:
0.0005〜0.010%、Mg:0.0005〜
0.010%、B:0.0005〜0.010%および
REM:0.0005〜0.010%の1種または2種
以上を含有し、残部が実質的にFeからなることを特徴
とするNiを含まない生体用二相ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11042209A JP2000239799A (ja) | 1999-02-19 | 1999-02-19 | Niを含まない生体用二相ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11042209A JP2000239799A (ja) | 1999-02-19 | 1999-02-19 | Niを含まない生体用二相ステンレス鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000239799A true JP2000239799A (ja) | 2000-09-05 |
Family
ID=12629641
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11042209A Pending JP2000239799A (ja) | 1999-02-19 | 1999-02-19 | Niを含まない生体用二相ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000239799A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1999
- 1999-02-19 JP JP11042209A patent/JP2000239799A/ja active Pending
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CN116888288A (zh) * | 2020-12-18 | 2023-10-13 | 德国不锈钢特钢有限及两合公司 | 具有奥氏体组织结构的钢以及这种钢在人类或动物口腔中的应用 |
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