JP4845074B2 - ガイドワイヤー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多孔質の金属棒または線を利用したガイドワイヤーに関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に多孔質金属としては焼結金属と気孔を析出させた金属の2種類がある。焼結金属は金属粉体を所望の形状の金型に入れ、加圧成形した後、成形体を炉中で、その金属の融点より低い焼結温度で焼成したものである。この場合、金属粉体は加圧成形された場合の粉体相互の接点において焼結温度で溶融接合されて固体を形成する。したがって該焼結体においては焼結温度と焼成時間により金属粉体間の溶融接合箇所の面積は変わるが、金属の溶融点以下の温度での処理であるので、金属粉体の溶融接合箇所以外には空隙が残存する。
【0003】
この空隙は金属粉体の粒形、粒子の大きさ、成形圧力によっても変わるが孔としては粉体粒子間の空隙により形成された通気孔となる。焼結金属は融点の高く溶融鋳造し難い金属を構造材とする場合、融点以下の温度で加圧成形したものを焼結し、焼結した多孔質金属を鍛造により必要とする形状に加工し、靱性を与え使用する。あるいは金属粉の粉体成形により金型で所望の形状に成形し、焼結することにより異形部材を簡易に作製することが出来ると共に、その焼結体に残存する空隙を利用してフィルターあるいは空隙に油を含浸してオイルレス部材とする等の利用がある。
【0004】
焼結金属は金属粉体粒子接点間が融着された構造で、機械的強度として、圧縮強度は強いが、引張強度は弱く脆いものとなる。したがって構造材として利用する場合にそのまゝの伸線または圧延加工等は難しく、一次加工として鍛造し、空隙を潰して靱性を上げ、二次加工で伸線または圧延加工する。焼結金属は機械的強度に問題ない用途にはそのまゝ、あるいは空隙を利用して使用される。一方機械的強度を要求され、かつ融点が高く溶融鋳造し難い金属で構造材を作製する場合には、その融点以下で金属粉を焼結し、鍛造加工し、固体金属化する。この場合、焼結金属中の空隙孔は閉塞、圧延され消失し多孔性は失われ、金属組織が形成される。
【0005】
多孔質金属として上記焼結金属の他に気孔を析出させた金属がある。鋳物作製時に溶融金属を鋳型に流し込み、冷却凝固時に収縮により金属内部に鬆が発生することがある。これは構造材としては忌避したい事象であるが、逆に意図的に金属中に独立気孔を形成させ、その多孔性を利用することが考えられている。この多孔質金属の作製は高圧容器中で金属を溶融し、この溶融金属に水素、窒素あるいはこれ等の混合ガス等を高圧下で溶解し、冷却凝固時に溶融金属と固体金属との気体の溶解度の差を利用して金属内に微細独立気孔を形成させるものである(特開平10−88254号公報、特願平10−227624号公報、特願平11−198109号公報)。
【0006】
この多孔質金属は作製条件により適切な気孔径、気孔率、あるいは細長く伸びた独立気孔とその方向性を持たせて作製することが可能であり、多孔質金属として気孔を利用した用途展開が考えられる。このように金属中に気孔を介在させた構造の場合、焼結金属とその機械的強度を比較すると引張強度は強いが圧縮強度、特に長孔に対する横方向の圧縮強度は弱くなる。多孔質金属はその多孔性により制振性、吸音性を示すと共に軽量な構造材として利用される。上記多孔質金属はいずれも特徴的な用途展開が計られているが、用途向きによっては機械的強度の上で構造材として適切でない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
多孔質金属の気孔の特徴を利用する構造材の応用展開は拡がっている。この中で細線または薄板としての利用も考えられるが、前記焼結金属で空隙を保ったまゝの細線化あるいは薄板化の加工は難しく、かつその機械的強度が弱い。鍛造加工による場合は、鍛造工程で金属粒子間の空隙が閉塞され、気孔は消失し多孔質金属とならない。
【0008】
一方、気孔を析出させた多孔質金属の場合、所望の寸法形状および気孔の穴の配列方向を考慮して切出し利用するが、細線あるいは薄板への加工は前者同様に難しく、かつ機械的強度も弱い。したがってそのまゝの使用が困難であり補強を必要とする。
【0009】
上記多孔質金属の気孔を残留させ、なお機械的強度の強い細線または薄板として加工できれば、多孔質金属の新規用途拡大と展開をはかることが可能となる。特に軸方向に伸びた気孔が存在する細線においては、その気孔による曲げに対する抗張力により、無垢材細線より可撓性のよい細線としての利用が可能になる。また、一方向の例えば長手方向に伸びた気孔が存在する薄板においては、上記線材と同様、長手方向に対する曲げ応力は強く、この方向での可撓性のよい薄板となる。また、薄板の断面に気孔断面を空孔として露出した場合は、この空孔を利用することが考えられる。
【0010】
特に医療機器分野において、生体内に挿入、留置、移植する医療用具あるいは部材の全部または一部に生体適合性の確認された金属材料が使用されているが、これら金属の種類としては、使用実績のある特定のものに限られている。特に血管挿入カテーテル用ガイドワイヤー、血管狭窄部の拡張用ステント等を構成する金属細線あるいは薄板においては限られた金属の中からの選択となり、使用上の要求に対し充分とは云えず、金属の種類の拡張も難しいことより、これら金属細線あるいは薄板の物性改善が望まれる。
【0011】
独立気孔を存在させた多孔質金属は、前記特開平10−88254号公報、特願平10−227624号公報、特願平11−198109号公報等に開示の方法により作製可能である。この場合の気孔は作製条件により球状、または一方向に揃って配向した長孔となる。この球状または一方向に配向した長孔が存在する多孔質金属を、特に長孔が存在する多孔質金属では、この長孔配向方向に沿わせた軸線方向に線材または板材として放電加工機等で切出すことにより、球状気孔または長手方向に配向した気孔を有する線材または板材を作製することが出来る。
【0012】
しかし、上記の多孔質金属の切削加工による線材または薄板において線材径あるいは板厚が1mm以下になると、気孔が球状あるいは長孔いずれの場合も切断面に気孔断面が露出すると同時に、機械的強度が弱くなり構造材として利用するのに必ずしも適切でない。
【0013】
【課題を解決するための手段】
願請求項1に係る発明は上記従来の課題を解決するために、コア線とそのコア線の先端部の外周に巻回されたコイルスプリングとを備えたガイドワイヤーにおいて、前記コア線は、外周表層部の気孔が閉塞された多孔質金属組織から構成され、前記コア線の外径が前記コア線の先端部に設けられた段差から先端方向に向かって漸減しかつ前記段差から先端方向における前記外周表層部が研削されて前記気孔が外周表面に露出していることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、本願請求項1に係る発明において、前記気孔は、コア線の軸方向に細長く延びていることを特徴とする。
【0014】
1)加工の事象1
図1に球状気孔を有する多孔質金属(A)および長孔状気孔を有する多孔質金属(B)を示した。これら気孔を有する多孔質金属において、球状気孔の場合は方向性がないのでいずれかの方向、長孔状気孔を有する場合は、その長孔短手方向より圧力を印加すると、図2に示したように気孔は圧力印加面より図2(B)のように圧縮変形される。こゝで上面である圧力印加面側の気孔は圧縮閉塞されるが、圧力印加面反対側(下面)の気孔には上面からの印加圧力は金属相の剛性、気孔の状態により吸収されてそのまゝ伝播されず、気孔形状は維持され、圧縮の進行と共に徐々に下面側の気孔は圧縮され変形が及ぶ。
【0015】
この際の気孔の変形は上面より下面にかけての圧縮力の伝播に関係し、加圧圧縮変移を同じとすると、圧縮速度が速いほど加圧上面側の気孔の圧縮変形が大きく、気孔の圧縮による変形は上面側が大となり、圧縮速度が遅くなると印加圧力が下面側に及び、圧縮による変形は下面側に移り、気孔の圧縮変形は均等化される。
【0016】
2)加工の事象2
無垢の金属をダイスを用いて伸線する、あるいは金属板をローラーを用いて圧延する場合、金属線または金属板の外周あるいは上下面は圧縮されると共に引伸ばされ、金属組織は伸線方向あるいは圧延方向に延伸配向され、機械的強度は強化され加工硬化する。この場合、加工前の素材となる線材の径または板材の圧延厚さの加工率により素材に印加される圧力が変わり、加工率を大きくとれば伸線材料あるいは圧延材に印加される圧縮力は大きくなる。一方伸線速度、あるいは圧延速度を変えることにより圧縮速度が変わり速度を上げれば圧縮力印加速度は大きくなる。
【0017】
ここで、球形あるいは長孔を内蔵する多孔質金属において、気孔が長孔の場合はこの長孔方向に切削加工した円断面線材または薄板材を加工素材とし、それぞれ軸方向にダイスを用いて伸線(図3)またはローラーを用いて圧延(図4)すると、前述した1),2)の前提の事象が併合され、伸線の場合その表層部の気孔は圧縮、閉塞され、伸線方向に延伸された金属組織層となり、内部は気孔を残留したまゝ引伸ばされた線材となる。同様に薄板材の圧延の場合はその上下面の表層部は伸線の場合と同様に気孔は圧縮、閉塞され、圧延方向に延伸された金属組織層となり、内部には気孔を残留したまゝ圧延された更に薄い板材となる。上記加工により、表層部が金属組織層よりなり内部が多孔質の細線あるいは薄板を作製することが出来、適切な機械的強度を持った多孔質の線材または板材を提供することが可能となった。
【0018】
前記気孔を析出させた多孔質金属を素材としての伸線または圧延加工では、素材となる多孔質金属の気孔率、金属の種類、気孔の大きさ等と伸線または圧延の加工率、伸線または圧延の速度を変えることにより、表層部の金属組織層の厚さ、内部気孔部の気孔の状態を変えることができる。金属組織層の延伸による加工硬化は、その後の熱処理により除去することも可能である。更に、伸線の場合はその表層部の金属組織層の一部を、また圧延板材の場合はその片面または両面、あるいは片面全面表層部の金属組織層を研削除去して内部の気孔断面を外表面に空孔として露出させることもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
銅、鉄、ステンレス鋼等の金属を水素、窒素あるいはこれ等の混合ガス等の高圧容器中の高圧雰囲気中で溶融し、これらの気体を溶融金属に飽和溶解させ、この溶融材を冷却凝固させると、凝固の際、過飽和ガスが遊離し、それぞれの金属には独立気孔が析出し図1に示すような多孔質金属を作製することができる。この際、過飽和となり析出した溶融ガスは気孔中にガス体となり、あるいは金属組織中の格子間に吸蔵されて多孔質金属中に残存する。
【0020】
このような多孔質金属をダイス(5) を用いて伸線またはローラー(9)
を用いて薄板に圧延する(図3および図4参照)。出発素材としては、ブロック状の多孔質金属を放電加工等により丸棒または薄板に切出したものを利用する場合と、予め多孔質金属作製時に高圧容器中で溶融金属を冷却凝固させる過程で円断面線状または薄板状の多孔質金属として加工したものを利用する場合とが考えられる。いずれの加工工程を経ても多孔質金属中の気孔内には作製時に使用した過飽和ガスが内在し、また金属組織中にはこれらガスが吸蔵されたものとなる。一方、このように作製された多孔質金属の金属相は一般的に焼鈍され軟質化されている。
【0021】
この多孔質金属を伸線または圧延加工する場合、加工過程で気孔内および金属組織中にガスを残存したまゝ加工するのと、これらガスを除去して加工するのとでは、特に細線化または薄板化の場合、加工後の多孔質金属の気孔構造が変わってくる。これは作製過程で発生した過飽和ガスを残存させたまゝの多孔質金属においては、その気孔内は高圧ガスが内蔵されており、伸線または圧延時の気孔閉塞に対し抵抗を示し、また、金属組織中の吸蔵ガスは金属相の硬化あるいは脆化を伴っており、圧縮に対する抵抗が大きくなることによる。
【0022】
逆に作製された多孔質金属を高温真空炉中で減圧加熱し、多孔質金属に残存するガスを除去すると、伸線または圧延時の空孔の閉塞に対する圧力抵抗が低くなるのと、金属組織中の吸蔵ガスの除去により金属相のガス吸蔵による硬化あるいは脆化は阻止される。したがって同じ金属で、気孔径、気孔率等同一条件の出発原料としての多孔質金属を用いても、作製時に内蔵された過飽和により発生したガスをそのまゝ残存させて伸線または圧延した場合、加工後の内部の気孔の残存率は真空炉中で加熱して吸蔵ガスを除去した多孔質金属を加工した場合に比べ大きくなる。
【0023】
したがって内部が多孔質の金属細線または薄板を構造材として利用するのに、その使用目的に合わせた加工処理条件を設定し、伸線または圧延を実施する。また、前記の通り、伸線または圧延の際のその表層部は延伸による加工硬化を生じるが、これも構造材としての使用目的により、加工後高温炉、雰囲気炉または真空炉中で焼鈍し加工硬化を除去して使用する。
【0024】
上述の内部が多孔質の金属細線あるいは薄板を血管挿入カテーテル用ガイドワイヤー(29)、血管狭窄部拡張用ステント(32)等の構成材料とすると、従来の無垢金属を用いた細線あるいは薄板とその金属材の構成構造が異なる事により機械的特性、特に弾性、可撓性が大きく機器の性能向上に繋げることができる。
【0025】
更に、医療用機器あるいはその部材または一部に使用される線材(4) または薄板(11)において、線材(4) の場合はその表層部の金属組織層の一部を、また薄板(11)の場合は外表面の一部または片面の表層部をセンタレスグラインダー、電解研磨等で研削除去して内部の気孔断面を外表面に露出して空孔とすると、空孔へ薬液を含浸、保持させることが出来るのと、超音波診断においてはその表面反射が良好となり視認し易くなる。以下に本発明の実施例を示す。
【0026】
〔実施例1〕4〜8気圧の高圧水素雰囲気中で銅を溶融し、水素を飽和状態に溶解した溶融銅を坩堝に注入冷却し、冷却時に坩堝底部より上方向に析出させた細長い気孔を持った多孔質金属銅を作製し試料とした。得られた多孔質金属銅試料は気孔率30%、気孔径が0.05mmφ〜0.10mmφに分布、気孔長が2mm〜4mmに分布し、気孔の長手方向が一方向に配向されたブロック状のものであった(図1(B))。
【0027】
まず、上記多孔質金属銅ブロックより、長孔方向に沿って放電加工で2.0mmφ、長さ100mmの線材に切出し伸線用素材(4) とした。この2.0mmφの多孔質金属銅伸線素材(4) を図3に示すようにダイヤモンドダイス(5) により、0.1mmφずつ減径し段階的に0.07mmφまで伸線を行った。上記伸線加工における伸線速度は30m/分に設定し、2.0mmφより0.07mmφまでの減径過程において、1.5mmφ、1.0mmφ、0.5mmφ、0.3mmφ、0.1mmφ、0.07mmφの途中径の伸線材についてそれぞれその物性を測定した。
【0028】
この実施に使用した伸線用素材(4) は、多孔質金属銅ブロックを切出したそのまゝのものであるので、素材(4)
の気孔中および金属銅中には水素が残存あるいは吸蔵されたまゝとなっている。
【0029】
伸線加工過程における線材の断面状態をX線CTおよび顕微鏡にて観察し、その状態変化を図5に図示した。図5における(A)は2.0mmφの伸線前の切出した素材線であり、(G)は最終の0.07mmφに伸線したもので、(B)から(F)はこれに至る途中の状態を示している。伸線により線材の表層部の気孔は圧縮閉塞され、金属組織層となり伸線方向に延伸加工される。一方、内部の多孔質金属は伸線方向に延伸されながらも気孔が残留する。
【0030】
伸線加工過程における各線材の気孔率を測定し、その変化の状況を図6の♯1に示した。伸線に伴い、線材表層部の気孔は閉塞され延伸された金属組織層に変わり、内部には気孔が残留する。外径寸法と重量より算出された気孔率は伸線と共に急減するが、気孔の残留により気孔率は維持される。
【0031】
伸線加工過程における各線材の引張り試験最大抗力を測定し、その伸線過程に伴う変化を図7の♯1に示した。伸線前の切出した素材線は多孔質金属銅の作製過程で、水素吸蔵により強度変化はあっても、材質としては軟銅化されている。この素材線を伸線すると、伸線に伴い線材表層部は延伸により加工硬化され、硬銅線の引張り最大抗力を示すに至る。
【0032】
伸線加工過程における各線材の曲げ剪断応力試験を行い、その伸線に伴う剪断応力変化を図8の♯1に示した。線材の材質よりこの試験は線径0.3mmφまでしか測定できなかった。こゝで、伸線の外径と曲げ応力の関係をみると、細線化に伴い伸線内部の残留気孔の曲げに対する抗力が現れてくる。
【0033】
上述により、作製した多孔質金属を用いて、線材を伸線加工すると、その表層部は伸線加工された金属組織層となり、内部には気孔の残留した特有の構造を持った線材を作製することができる。この特有の構造により従来の無垢材による金属線に対比し、構造材としての新たな物性を持った線材を提供することができる。
【0034】
〔実施例2〕実施例1と同じく水素が気孔中および金属銅中に残存あるいは吸蔵され、気孔率、気孔径、気孔長、気孔方向が同じ多孔質金属銅ブロックより長孔の気孔方向に沿って切出したものを伸線用素材とした。この実施例では外径2.0mmφ、長さ100mmφに切出した伸線用素材の多孔質金属銅線を伸線加工前に真空炉中で900℃、20時間の熱処理をし、気孔中および金属銅中に残存あるいは吸蔵された水素を除去したものを伸線試料とした。
【0035】
伸線加工および伸線加工過程の伸線材についての物性測定等は実施例1と全く同様に実施した。この実施測定結果の気孔率は図6の♯2に、引張り試験最大抗力は図7の♯2に、曲げ応力試験での剪断応力を図8の♯2にそれぞれ実施例1の測定結果と比較して示した。
【0036】
本実施例では伸線素材線の多孔質金属銅線は水素を除去されているため気孔中には水素の残存はなく空孔となり、伸線に伴う空孔変形に対する抗力は実施例1の試料に比べ低く、また金属銅中の水素の吸蔵もないので、水素吸蔵による硬化、脆化もなく軟銅状態となっている。
【0037】
実施例1と同じ条件で伸線を実施したが、伸線に伴う気孔率は空孔の閉塞が実施例1に比べ大きく、気孔率の低下も大きい。しかしこの実施例の条件範囲においては、細線化しても伸線内部には空孔は残存する。
【0038】
伸線前に軟銅状態であった多孔質金属銅線は、伸線に伴い延伸加工され、伸線外径の低減と共に引張り試験の最大抗力は硬銅線の値に変化する。この変化は伸線素材、および伸線加工条件により変わるので、伸線の使用目的に応じてこれらの条件設定をすることにより、目的に適合した構造材への加工が可能となる。
【0039】
曲げ試験における剪断応力は実施例1の♯1に比べ細線化と共に低い値となる。この原因は気孔中の水素圧がないことにもよると考えられる。多孔質金属作製時に使用する水素、窒素等のガスを伸線加工前に残存させるか、除去するかは加工後の伸線の特性に影響するところ大であり、これも使用目的に応じて判断し加工することができる。
【0040】
〔実施例3〕肝臓、脳等の血管への薬剤の注入、または塞栓物質の挿入に使用するマイクロカテーテル(13)は、図9に示した全体構造を持ち、基端部は保護チューブ(16)およびハネコネクター(17)よりなる。本体部は先端チューブ(14)と胴体シャフト(15)よりなり、先端チューブ(14)と胴体シャフト(15)とはウレタン樹脂を用いて管状に成形され基端部に接合されている。この実施例では、先端チューブ(14)は外径0.9mmφ、内径0.6mmφのウレタン樹脂チューブよりなる。
【0041】
このカテーテル(13)を血管中に挿入する際、案内として図10に示すようなガイドワイヤー(29)が用いられる。このガイドワイヤー(29)は現行ではX線透視下で操作が行われ、その先端にはX線不透過の白金合金マーカー(19A)
が取付けられている。
【0042】
このガイドワイヤー(29)が従来の無垢コア線より弾性や可撓性がよく、かつ超音波診断装置で視認可能になるようにコア線(18)をステンレス多孔質金属線で構成することにした。このコア線(18)は軸方向に細長くのびた空孔を有するSUS304を素線として用い、線形0.33mmφに伸線し、その外周表層部は金属組織層よりなる。コア線(18)は全長1800mmで基端側1450mmはテフロン(登録商標)コーティングし、線形0.35mmφとしている。
【0043】
屈曲した血管への挿入の追随性と操作性をよくするため、コア線(18)の先端部は外径に段差を付けて、センタレスグラインダーで外周表層部を研削して径を漸減し最終端の直径を0.028mmφまでに加工し、コア線(18)の内部の気孔を空孔として露出している。コア線(18)の先端部にはコイルスプリング(19)および白金合金マーカー(19A)
が半田溶接されている。これにより、ガイドワイヤー(29)の性能向上とコア線(18)先端部のX線および超音波による視認を可能としている。
【0044】
〔実施例4〕心臓血管の狭窄等の拡張には、血管拡張用ステントが用いられている。このステントは血管中に挿入した後、内装したバルーンで拡張し、患部に留置されるもので、無垢薄板材を用いて作成されたものよりステントの拡張弾性を高め、薬液含浸可能にすると共に、挿入時にX線透視下で挿入留置しても、術後の検診を超音波診断装置で行うことができるよう、ステントの構成材料に多孔質金属薄板を巻回筒状とし、その外表面の一方の面の金属組織層を除去したものを用いることにした。
【0045】
図11に示したようにSUS316を材料とし、表層部が金属組織層(30A) で、内部は圧延方向に伸びた気孔が内在する薄板に圧延し、この多孔質金属薄板をその圧延方向、すなわち気孔の伸線方向に沿わせて円筒状に巻回し、突合わせ部を溶接し筒状部材(30)(A),(B)とする。筒状部材(30)は外径1.5mmφ、長さ15.5mmとし、その筒状部材(30)の表層部をセンタレスグラインダーで研削し、表層部の金属組織層(30A)を除去し、内部の気孔を空孔として露出する(図11(C))。これを図11(D)に示したパターン模様にレーザー加工し、筒状編み目模様のステント図11(E)に仕上げる。この編み目模様の線幅は0.15mm、板厚は0.05mmとして血管狭窄部拡張用ステント(32)とした。
【0046】
以上本発明の実施例を示したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施に当たっての多孔質金属の材質、気孔率、気孔形状、細長い気孔の場合その方向等について、目的に適合するように任意に選択されるもとする。
【0047】
【発明の効果】
本発明においては高圧ガス容器中で溶融した金属にガスを溶解し、このガス溶解溶融金属の冷却凝固時に金属へのガスの溶解度差による過飽和ガスを析出させて作製した多孔質金属より線材または板材を特有の構造材として作製することができた。この線材においては、その表層部は延伸された金属組織層よりなり、線材内部は細長く延伸された多孔質金属よりなるもので、軽量、高強度で可撓性に優れた線材として広く構造材として利用される。特にステンレス鋼、チタン、チタン合金等よりなる細線を生体内への挿入、留置、移植する医療用器具あるいは部材の全部または一部にそのまゝ利用するが、または表層部の金属組織層の一部を研削除去して内部の気孔断面を露出して空孔とし利用することにより、機械的強度、薬液保持、超音波診断視認等で特徴を発揮することができる。また板材においてはその上下面の表層部は圧延により延伸された金属組織層となり、板材内部は延伸された多孔質金属となり、段ボール紙状の構造体となる。このような構造の板材は、これまでにない特異の構造板材として、耐衝撃性、吸音性、断熱性等に優れた特徴を有する板材あるいは薄板材として利用される。特に断熱性においては板材の表層部は平面方向への熱伝導が良く、板厚方向に対しては内部が気孔を持った多孔質金属のため熱伝導の低い板材となる。またステンレス鋼、チタン、チタン合金等よりなる薄板を生体内への挿入、留置、移植する医療器具あるいは部材の全部または一部に利用する場合、薄板材として機械的強度の他に、研削により気孔断面を露出して空孔とし、薬液保持、超音波診断での視認等に特徴を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
図1〜図11は本発明の一実施例を示すものである。
【図1】 多孔質金属の気孔形状の違いを示す斜視図
(A) 小球状気孔
(B) 軸方向に伸びた長孔状気孔
【図2】 多孔質金属の気孔側面方向よりの圧縮による変形状態説明図
(A) 圧縮前
(B) 圧力印加による圧縮変形
【図3】 ダイヤモンドダイスによる多孔質金属の伸線説明図
【図4】 圧延ローラによる多孔質金属の圧延説明図
【図5】 多孔質金属の伸線断面および伸線方向横断面の変化状態説明図
(A) 伸線前2.0mmφ
(B) 伸線過程1.5mmφ
(C) 伸線過程1.0mmφ
(D) 伸線過程0.5mmφ
(E) 伸線過程0.3mmφ
(F) 伸線過程0.1mmφ
(G) 伸線終了0.07mmφ
【図6】 多孔質金属銅伸線による外径と気孔率の変化グラフ
【図7】 多孔質金属銅伸線の引張試験における外径と最大抗力の変化グラフ
【図8】 多孔質金属銅伸線の曲げ試験における外径と剪断応力の変化グラフ
【図9】 マイクロカテーテル全体図
【図10】 ガイドワイヤー全体図
【図11】 血管狭窄部拡張用ステントの作製過程説明図
(A) 多孔質金属板の筒状部材斜視図
(B) 筒状部材断面図
(C) 筒状部材(B)外周表層部の金属組織層研削除去後の断面図
(D) レーザー加工機で穴あけ加工する際のパターン模様
(E) 完成したステントの斜視図
【符号の説明】
4 伸線用素材
13 マイクロカテーテル
14 先端チューブ
15 胴体シャフト
16 保護チューブ
17 ハネコネクター
18 コア線
19 コイルスプリング
19A 白金合金マーカー
29 ガイドワイヤー
30A 表層部気孔閉塞金属組織層
30B 内部多孔質金属
32 ステント

Claims (2)

  1. コア線とそのコア線の先端部の外周に巻回されたコイルスプリングとを備えたガイドワイヤーにおいて、
    前記コア線は、外周表層部の気孔が閉塞された多孔質金属組織から構成され、前記コア線の外径が前記コア線の先端部に設けられた段差から先端方向に向かって漸減しかつ前記段差から先端方向における前記外周表層部が研削されて前記気孔が外周表面に露出していることを特徴とするガイドワイヤー。
  2. 前記気孔は、コア線の軸方向に細長く延びていることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
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