JP4844008B2 - 金属被覆ポリイミド基板の製造方法 - Google Patents

金属被覆ポリイミド基板の製造方法 Download PDF

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本発明は、金属被覆ポリイミド基板の製造方法に関し、さらに詳しくは、ポリイミドフィルム表面にスパッタリング法により金属層を形成して金属被覆プラスチック基板を製造する方法において、ポリイミドフィルムとスパッタリングにより形成される金属層との界面の密着強度とその高温環境下での長期安定性を高める方法に関する。
金属被覆ポリイミド基板は、液晶画面に画像を表示するための駆動用半導体を実装するための半導体実装用の基板として汎用されている。近年、液晶画面表示用ドライバーICチップを実装する手法として、COF(Chip on Film)が注目されている。COFは、従来の実装法の主流であったTCP(Tape Carrier Package)に比べて、ファインピッチ実装が可能であるとともに、ドライバーICの小型化、及びコストダウンを図ることが容易であるという特徴がある。
COFの一般的な製造方法としては、高耐熱性かつ高絶縁性樹脂であるポリイミドフィルムに良導電体である銅被膜を密着させてなる金属被覆ポリイミド基板を使用し、その基板上の銅被膜をフォトリソグラフィー技法によってファインパターニングした後、さらに所望の箇所をスズめっき及びソルダーレジストで被覆する方法がとられる。
ここで、前記ポリイミドフィルムとしては、市販品が用いられ、また、一般的には25〜38μmの厚さを有するものが使用されている。また、ポリイミドフィルム表面に金属層を形成する方法としては、まず、スパッタリング法により、ニッケル−クロム合金等の金属層を形成し、続いて、良導電性を付与するために銅層を形成する。このとき、一般的には、前記スパッタリング法によって形成される金属層の厚さは、およそ100〜500nmである。さらに、厚膜化が必要である場合には、一般的には、電気めっき、又は電気めっきと無電解めっきの併用によって、前記金属層上に銅被膜の形成を行う(例えば、特許文献1参照。)。なお、銅被膜の厚さは、例えば、サブトラクティブ法によって回路を形成する場合には、通常5〜12μm、また、セミアディティブ法によって回路を形成する場合には、通常1〜2μmである。
ところで、近年、COFにおいて、最近の液晶表示画面の高精細化、液晶駆動用ICの小型化等にともない、電子回路の高精細化、すなわちファインピッチ化が強く求められ、また、液晶表示装置においても、より長期間に亘って品質を維持することが望まれている。このため、金属被覆ポリイミド基板に対しても、高精細化への対応と高温環境下での長期耐熱性を確保することが求められている。この解決策として、ポリイミドフィルムとスパッタリングにより形成される金属層との密着強度を高めることが重要な要因の一つである。
このような状況において、ポリイミドフィルムとスパッタリングにより形成される金属層との密着強度を改良する方法として、例えば、以下の(イ)〜(ハ)の方法が提案されている。
(イ)スパッタリング処理に先立ってプラズマ処理によってポリイミド表面を改質する方法において、上記密着強度を確保するため、プラズマ処理後ポリイミドフィルム表面に生じたラジカル種にビニルイミダゾールをグラフト重合せしめる方法(例えば、特許文献2参照。)。
(ロ)ポリイミドフィルム表面に予めアルカリ処理を行った後、低温プラズマ処理を施す方法(例えば、特許文献3参照。)。
(ハ)ポリイミドフィルム表面を過酸化水素水等の酸化剤の存在下で紫外線を照射した後、過マンガン酸塩等の酸化剤でエッチングしてポリイミド表面を粗面化する方法(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、上記(イ)又は(ロ)の方法のようにプラズマ処理等の表面改質法では、ポリイミドフィルムとスパッタリングにより形成される金属層との密着強度は確保されるものの、表面改質によりポリイミドフィルム表面の絶縁信頼性が損なわれるという新たな問題が発生する。また、(ハ)の方法でも、ポリイミドとスパッタリングにより形成される金属層の密着強度の高温環境下での長期安定性において十分とは言えない。
特開2002−252257号公報(第1頁、第2頁) 特開平6−316759号公報(第1頁、第2頁) 特開平5−136547号公報(第1頁、第2頁) 特開平11−6061号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、ポリイミドフィルム表面にスパッタリング法により金属層を形成して金属被覆プラスチック基板を製造する方法において、ポリイミドフィルムとスパッタリングにより形成される金属層との界面の密着強度とその高温環境下での長期安定性を高める方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、ポリイミドフィルム表面にスパッタリング法により金属層を形成してなる金属被覆プラスチック基板について、鋭意研究を重ねた結果、スパッタリング法による金属層の形成に先だって、ポリイミドフィルム表面を特定条件の処理に付したところ、ポリイミドフィルムとスパッタリングにより形成される金属層との界面の密着強度とその高温環境下での長期安定性を高めることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリイミドフィルム表面にスパッタリング法によってニッケル−クロム合金層と銅層とからなる金属層を形成し、その上に、電気めっき、又は電気めっきと無電解めっきの併用により銅被膜を形成した、金属被膜を有する金属被覆プラスチック基板を製造する方法において、前記金属層を形成するに先だって、ポリイミドフィルム表面を温度25〜40℃、かつ濃度1〜10mol/Lのアルカリ水溶液で処理した後、その後20〜40℃の温度に保持した極性有機溶媒で処理することにより、金属層を形成後の密着性が向上し、150℃環境下に200時間保持した後に測定される金属被膜の剥離強度(IPC TM−650に従って測定)が、500N/cm以上となることを特徴とする金属被覆ポリイミド基板の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、又はヒドラジン水溶液から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする金属被覆ポリイミド基板の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記極性有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドンであることを特徴とする金属被覆ポリイミド基板の製造方法が提供される。
本発明の金属被覆ポリイミド基板の製造方法は、スパッタリングの前処理として、ポリイミドフィルム表面をアルカリ水溶液で処理し、その後極性有機溶媒で処理して、ポリイミドフィルム表面を改質することにより、ポリイミドフィルムとスパッタリングにより形成される金属層との界面の密着強度とその高温環境下での長期安定性を高めることができるので、その工業的価値は極めて大きい。
本発明の金属被覆ポリイミド基板の製造方法は、ポリイミドフィルム表面にスパッタリング法によってニッケル−クロム合金層と銅層とからなる金属層を形成し、その上に、電気めっき、又は電気めっきと無電解めっきの併用により銅被膜を形成した、金属被膜を有する金属被覆プラスチック基板を製造する方法において、前記金属層を形成するに先だって、ポリイミドフィルム表面を温度25〜40℃、かつ濃度1〜10mol/Lのアルカリ水溶液で処理した後、その後20〜40℃の温度に保持した極性有機溶媒で処理することにより、金属層を形成後の密着性が向上し、150℃環境下に200時間保持した後に測定される金属被膜の剥離強度(IPC TM−650に従って測定)が、500N/cm以上となることを特徴とする。
本発明において、ポリイミドフィルム表面をアルカリ水溶液で処理し、それに続いて極性有機溶媒で処理することに重要な意義を有する。これによって、ポリイミドフィルム表面を改質して、スパッタリングにより形成される金属層との界面の密着強度とその高温環境下での長期安定性を高めることが達成される。
まず、ポリイミドフィルム表面の改質と密着強度の関係について、説明する。
一般にポリイミドフィルムとスパッタリングによって形成される金属層との密着強度は、スパッタリングに先立って行われるポリイミドフィルム表面の改質処理によって大きな影響を受ける。ポリイミドフィルム等の樹脂表面の一般的な改質処理としては、樹脂表面に極性基、ラジカル等を形成又は付与することによって、化学的な結合力を発現されやすくする方法と、樹脂表面を粗面化することによって、幾何学的な結合力、すなわちアンカー効果を発現されやすくする方法がある。
しかしながら、本発明の金属被覆ポリイミド基板のように、金属層をフォトリソグラフィー技法によりエッチングし微細な電子回路が形成する用途に用いられる場合には、ポリイミドフィルム表面は平滑であることが望ましい。すなわち、ポリイミドフィルム表面に微細な凹凸が形成されると、前記アンカー効果により金属層との密着強度が付与される。この場合、電子回路を形成するために行う金属層の部分的なエッチング処理の際に、凹部に金属層が残留しやすいという問題が生じ、この問題を抑制するためにエッチング処理を強化したときには、電子回路部がいわゆるオーバーエッチングされる。この現象は、ファインパターニングになるにともない顕著になる。したがって、ポリイミドフィルム表面を明らかに粗面化することは適切ではない。
ところで、ポリイミドフィルム表面に従来の改質処理を行った後、スパッタリング及び電気めっき等により形成された金属被覆ポリイミド基板を用いて、金属層の剥離試験を行った場合、剥離はポリイミドフィルムと金属層の界面で発生するのではなく、ポリイミドフィルム表面内部で生じる。この現象は、ポリイミドフィルム表面内部に脆弱層が元々存在することにより起きるものであり、剥離は脆弱層内、又は脆弱層とより内部との層間で発生する。
また、上記金属被覆ポリイミド基板を高温環境下で保持した場合、ポリイミドフィルムとスパッタリングによって形成される金属層との密着強度は、保持時間が長くなるにつれて低下するという問題がある。この現象は、ポリイミドフィルムの該当部分の機械的強度が低下したために発生する。この原因は、ポリイミドフィルムを透過した酸素が金属層と反応して、生成された金属酸化物がポリイミドフィルム内部に拡散することによりポリイミドの組織を破壊することによる。この問題を解決する手段としては、一般に、第1金属層としてポリイミドフィルムとの界面で酸化劣化し難く、かつポリイミドフィルムと化学的結合力を保持しやすい金属層を、ポリイミドフィルム表面上に形成することが行なわれる。通常、エッチングによる電子回路の形成のし易さも考慮し、ニッケル−クロムの合金層が用いられる。
しかしながら、前述したような密着強度が低下するという問題は、ポリイミドフィルム表面内部に元々存在する脆弱層内でより発生しやすい。また、従来のポリイミドフィルムの改質処理では、化学的な結合力を付与するために本来のポリイミド構造を化学的に活性な状態に変化させるため、形成された化学的に活性な層で脆弱層と同様の問題が生じやすい。したがって、ポリイミドフィルムとスパッタリングにより形成される金属層との密着強度及びその高温環境下での長期安定性を確保するためには、脆弱層を除去し、また改質処理によって形成される化学的に活性な層を極力抑制することが肝要である。
これに対して、本発明の方法では、アルカリ水溶液による処理によりポリイミドフィルム表面内部に存在する脆弱層を加水分解し、続いて極性有機溶媒による処理により加水分解された脆弱層を除去する。その後、スパッタリングによってポリイミドフィルム表面に形成された金属層は、高温環境下で長期に亘って高い密着強度が保持される。
次に、本発明の方法の構成と作用について説明する。
本発明の方法による金属被覆ポリイミド基板を、図を用いて説明する。図1は、本発明の製造方法により得られる金属被覆ポリイミド基板の概略断面図の一例を表す。図1において、その断面は、ポリイミドフィルム1の表面上に、ニッケル−クロム合金層2と銅層3、及び銅被膜4が順次積層された構造になっている。
ここで、金属被覆ポリイミド基板の製造方法としては、まず、ポリイミドフィルム1の表面を、アルカリ水溶液で処理し、その後極性有機溶媒で処理した後、その表面上に、スパッタリング法により第1金属層としてニッケル−クロム合金層2と第2金属層として銅層3からなる金属層をそれぞれ所定の厚さに形成する。次いで、その上に、電気めっき、又は電気めっきと無電解めっきの併用のいずれかの方法により銅被膜4を所定の厚さに形成する。以下にその詳細を説明する。
本発明の方法で用いるポリイミドフィルムとしては、特に限定されるものではなく、Kapton EN(東レ・デュポン製)、Upilex s(宇部興産製)、NPI(カネカ製)等の市販品が挙げられる。その厚さとしては、特に限定されるものではなく、液晶表示用ドライバーICの実装法であるCOFの素材の場合、25〜50μmが好ましく、30〜40μmがより好ましい。例えば、Kapton 150EN(東レ・デュポン製)、Upilex 35s(宇部興産製)等が挙げられる。
本発明の方法で用いるアルカリ水溶液としては、特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、又はヒドラジン水溶液から選ばれる少なくとも1種が選ばれる。これにより、ポリイミドフィルム表面内部に存在する脆弱層を加水分解することができる。
上記アルカリ水溶液の濃度としては、〜10mol/Lであり、ポリイミドフィルムの化学構造、表層に形成されている脆弱層の厚さ等によって適正範囲が選ばれるが1〜3mol/Lが好ましい。
上記アルカリ水溶液での処理の条件としては、ポリイミドフィルムの化学構造等により、処理温度としては25〜40℃、又処理時間としては処理温度にもよるが10秒〜10分程度が好ましい。
本発明の方法に用いる極性有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、アルカリによる加水分解を受けたポリイミドフィルム表層の脆弱層を除去する能力を有しているものが用いられるが、この中で、特にN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。なお、極性有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドンのほか、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、1、4−ジオキサン等も有効であるが、この中で、N−メチル−2−ピロリドンが人体への悪影響の点で処理設備等の構造に配慮することによって解決されるので好ましい。一方、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、1、4−ジオキサン等は経皮吸収等による人体への悪影響が強く懸念されて居るので注意を要する。
上記処理温度としては、20〜40℃が用いられる。すなわち、処理温度が20℃未満では、処理時間を長くしても加水分解された脆弱層の除去を十分に果たすことが困難である。一方、40℃を超えると、加水分解された脆弱層の除去を十分に果たすことができるが、環境に与える影響に考慮した処理設備に対する経済性の課題がある。
上記処理時間としては、特に限定されるものではなく、上記処理温度によって影響を受けるため一概に決定できないが、得られる効果、環境へ対する影響等を勘案して、1〜60分が好ましい。
以上の方法によりポリイミドフィルム表面を改質された基板上には、スパッタリング法により金属層(以下、スパッタ層と呼称する場合がある)が形成され、必要に応じて、さらに電気めっきにより銅被膜が形成される。
上記スパッタ層としては、上記ポリイミドフィルム表面にスパッタリングによって、通常第1の金属層と第2の金属層が形成される。ポリイミドフィルム上に直接形成される第1の金属層としては、ニッケル−クロム合金層が好ましい。この第1の金属層は、ポリイミドフィルムと金属層の密着強度、及び基板の耐熱、耐湿度環境下での安定性等の特性を確保する役割を果たす。
上記ニッケル−クロム合金層の合金組成及び厚さとしては、特に限定されるものではないが、前記合金層中のクロム濃度は5〜30重量%、厚さは5〜50nmが好ましい。すなわち、前記合金組成及び厚さは前記特性と密接に関係するとともに、COF等に用いて金属層をエッチングすることによって電子回路を形成する場合には、良導電体である銅とエッチング性が大幅に異なるような合金組成及び厚さでは不都合であるからである。
第2の金属層としては、スパッタリングによって第1の金属層を形成した後電気めっきを施す前に、スパッタ層の導電性を確保するため、引き続きスパッタリングによって銅層を形成する。上記銅層の厚さとしては、特に限定されるものではないが、電気めっきによる析出を均一かつ円滑に行うべくスパッタ層に導電性を付与するため、50〜500nmが好ましい。すなわち、厚さが50nm未満では十分な導電性が得られず、その後の電気めっきによる銅の析出の均一性に悪影響を及ぼす。一方、厚さが500nmを超えると、導電性を付与する点では好都合であるが、前述のようにスパッタリングによるポリイミドフィルムへの熱履歴が高まることによる基板の寸法変化、変形等の影響によって、COF等の得られる製品への悪影響が懸念される。
上記スパッタリングに用いる装置としては、特に限定されるものではなく、マグネトロンスパッタ装置等が使用される。
本発明で用いる電気めっきとしては、電気めっき、又は電気めっきと無電解めっきの併用のいずれかの方法が用いられる。ここで、無電解めっきは、スパッタ層のピンホール対策として、電気めっきに先だって行なう、ないしは電気めっきと交互に行うことができる。
上記電気めっきにより形成される銅被膜の厚さとしては、8〜12μmが用いられる。この銅被膜の厚さは、COF等の製品の特性から選択されるものであるが、よりファインパターニングを実現するためには、5μm程度がより好ましい。さらに、セミアディティブ法による回路形成の場合には、スパッタリングによって形成される銅層を含め、導電層としての銅厚は1〜2μm程度となる。電気めっきによる銅被膜の形成は、硫酸と硫酸銅を主成分とする酸性めっき液を用いることによって実施される。
本発明の方法により得られる金属被覆ポリイミド基板は、ポリイミドフィルムとスパッタリングにより形成される金属層との密着強度が高く、かつその高温環境下での長期安定性に優れているので、電子回路を形成した際に製品収率に悪影響を及ぼす欠陥部の発生が抑制されるので、精密な電子部品としての特性的、寸法的信頼性が十分得られる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属被覆ポリイミド基板のポリイミドフィルムとスパッタリングにより形成される金属層との密着性の評価方法は、以下の通りである。
密着性の評価方法:得られた基板及びこの基板を150℃環境下に200時間保持した後の基板を用いて、金属被膜の剥離強度をIPC TM−650に従って測定した。
(実施例1)
ポリイミドフィルムとして、Kapton 150EN(東レ・デュポン製)を用いた。まず、ポリイミドフィルムのアルカリ水溶液による処理として、前記ポリイミドフィルムの片面を、25℃に保持された濃度1mol/Lの水酸化カリウム水溶液で1分間処理し、水洗した後、80℃にて2分間乾燥した。それに続いて、極性有機溶媒による処理として、前記アルカリ水溶液での処理を行なった処理面を、40℃に保持されたN−メチル−2−ピロリドンで10分間処理した後、150℃にて5分間乾燥した。
次に、上記処理済みのポリイミドフィルムをスパッタリング装置に装入し、真空度0.01〜0.1Paに保持されたチャンバー内で200℃で1分間の加熱処理を行ない、ポリイミドフィルムに残留する水分と溶媒を除去した。引き続き、スパッタリングターゲットとして、クロムを20重量%含有するニッケル−クロム合金ターゲットを用い、ポリイミドフィルム表面に厚さ20nmのニッケル−クロム合金層を形成し、続いて、銅ターゲットを用い、その上に厚さ100nmの銅層を形成し、金属層を積層したスパッタ基板を得た。次いで、この基板を電気めっき装置に装入し、銅めっきを厚さ8μmまで行ない、銅被膜を形成した。得られた銅めっき基板を水洗した。なお、めっき液の組成は、硫酸濃度180g/L及び硫酸銅濃度80g/Lであり、めっき温度は40℃に調整された。
その後、得られた基板の金属被膜の剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリイミドフィルムとして Upilex 35s(宇部興産製)を使用したこと、アルカリ水溶液による処理で、40℃に保持された濃度3mol/Lのヒドラジン溶液を用いて2分間処理したこと以外は実施例1と同様に行ない、得られた基板の金属被膜の剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
アルカリ水溶液による処理で、25℃に保持された濃度10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて10秒間処理したこと以外は実施例1と同様に行ない、得られた基板の金属被膜の剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
アルカリ水溶液による処理で、40℃に保持された0.001mol/Lのヒドラジン水溶液を用いて10分間処理したこと以外は実施例1と同様に行ない、得られた基板の金属被膜の剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
極性有機溶媒による処理で、20℃で60分間処理したこと以外は実施例1と同様に行ない、得られた基板の金属被膜の剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
極性有機溶媒による処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様に行ない、得られた基板の金属被膜の剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
アルカリ水溶液による処理を行わなかった以外は実施例1と同様に行ない、得られた基板の金属被膜の剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
アルカリ水溶液による処理で、40℃に保持された濃度0.0005mol/Lの水酸化カリウム水溶液を用いて60分間処理したこと以外は実施例1と同様に行ない、得られた基板の金属被膜の剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例4)
アルカリ水溶液による処理で、20℃に保持された濃度10mol/Lの水酸化カリウム水溶液を用いて1分間処理したこと以外は実施例1と同様に行ない、得られた基板の金属被膜の剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例5)
極性有機溶媒による処理で、15℃で2時間処理したこと以外は実施例1と同様に行ない、得られた基板の金属被膜の剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004844008
表1より、実施例1〜5では、スパッタリング処理に先だって、ポリイミドフィルムを、アルカリ水溶液による処理と極性有機溶媒による処理に付し、本発明の方法に従って行われたので、得られた金属被覆ポリイミド基板の金属被膜の剥離強度及びその基板を150℃環境下に200時間保持した際の剥離強度において高い値が得られ、ポリイミドフィルムとスパッタリングにより形成される金属層との界面の密着強度とその高温環境下での長期安定性を高めることができることが分かる。これに対して、比較例1〜5では、ポリイミドフィルムのアルカリ水溶液による処理と極性有機溶媒による処理がこれらの条件に合わないので、基板を150℃環境下に200時間保持した際の剥離強度において満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の金属被覆ポリイミド基板の製造方法は、ポリイミドフィルムと金属層の密着強度において、高温環境下で長期間にわたって十分な値が保持されるため信頼性に優れた金属被覆ポリイミド基板の製造方法として好適である。本発明によって得られる金属被覆ポリイミド基板を用いることによって、COF等の電子部品の更なる高密度化を実現することが達成される。
本発明の製造方法により得られる金属被覆ポリイミド基板の概略断面図の一例を表す図である。
符号の説明
1 ポリイミドフィルム
2 ニッケル−クロム合金層
3 銅層
4 銅被膜

Claims (3)

  1. ポリイミドフィルム表面にスパッタリング法によってニッケル−クロム合金層と銅層とからなる金属層を形成し、その上に、電気めっき、又は電気めっきと無電解めっきの併用により銅被膜を形成した、金属被膜を有する金属被覆プラスチック基板を製造する方法において、
    前記金属層を形成するに先だって、ポリイミドフィルム表面を温度25〜40℃、かつ濃度1〜10mol/Lのアルカリ水溶液で処理した後、その後20〜40℃の温度に保持した極性有機溶媒で処理することにより、金属層を形成後の密着性が向上し、150℃環境下に200時間保持した後に測定される金属被膜の剥離強度(IPC TM−650に従って測定)が、500N/cm以上となることを特徴とする金属被覆ポリイミド基板の製造方法。
  2. 前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、又はヒドラジン水溶液から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の金属被覆ポリイミド基板の製造方法。
  3. 前記極性有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドンであることを特徴とする請求項1に記載の金属被覆ポリイミド基板の製造方法。
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