JP4843054B2 - 通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、AM受信機や信号通信機器等の、電磁波を利用した通信装置の技術分野に関する。
従来、電磁波を利用した無線通信は、AM(Amplitude Modulation)受信装置(所謂、受信機又はレシーバー(receiver))と、受信アンテナとによって構成されている。通常、AM受信装置は大地に対して接地されていないため、例えばスイッチング電源内における電圧スイッチングや、発振回路を備える内部回路や、AM受信装置における基準電位となる基準端子と、当該基準端子に接続された複数の回路素子の動作に起因して、AM受信装置の基準電位が大地に対して常に変動している。
この無線通信では、所望の情報信号(所謂、被変調信号)が重畳された搬送波の周波数(所謂、キャリア周波数)と、基準電位変動(基準電位の変動)の周波数が近いか又は一致する場合、所望の搬送波を受信して信号処理を行うことが困難となってしまう。これは、AM受信装置に接続される受信アンテナが基準電位に接続されており、この基準電位に基づいて動作している為に、所望の被変調信号が重畳された搬送波だけでなく、基準電位の変動に起因してアンテナの端子間に発生する起電力に対応したノイズ(Noise)も受信してしまうためである。所望の被変調信号が重畳された搬送波に比較してノイズのレベルが大きい場合、所望の被変調信号の信号レベルは相対的に低下して、ひいては、所望の被変調信号が重畳された搬送波を受信して信号処理を行うことが殆ど又は完全に不可能となってしまう。仮に、ノイズのレベルが比較的小さい場合でさえも、SN比(Signal to Noise Ratio)が顕著に低下してしまうため、所望の被変調信号が、聴取者にとって聞き取ることが顕著に困難となってしまうなどの通信障害を引き起こす可能性が生じてしまう。
このような、基準電位の変動に起因するノイズの発生や、この発生したノイズに起因する通信妨害に対しては、これまで大きく分けて次のような3種類の対策が提案されている。一種類目は、基準電位の変動の原因となる回路動作に対して、部品の追加や制御手法上の対策により、基準電位変動に起因するノイズを低減するものである。ニ種類目は電磁シールドなどの構造的対策により、基準電位変動に起因して発生したノイズによる妨害を受けにくくするものである。三種類目は、AM受信装置の基準電位を、例えば大地などに接地することで、基準電位を安定化することである。
一種類目および二種類目の対策については、例えば、発振動作や電圧スイッチングなどの、基準電位の変動を引き起こす回路動作を完全に停止するか、または受信装置の基準電位をノイズ源と完全に絶縁しない限り、根本的な解決にならない。過去、様々な具体的対策が考案されてきたが、これらの対策を講じても効果の大きさには限界が生じている。また、部品の増加や制御の複雑化を招き、コストアップの要因となっていた。
三種類目の対策については、受信機の基準電位を安定した電位に接地できる場合であれば、十分な妨害抑制効果(所謂、ノイズによる影響を十分に抑制可能な効果)が得られる。しかしながら、現実的には、通信装置が使用される環境や場所によって、物理的にも電気的にも安定した接地環境を確保することができない場合が多い。また、仮に、接地環境が確保できる場合でも、ユーザに接地の作業を行わせることは、ユーザの利便性、所謂、ユーザビリティの観点において、不利益(デメリット)の度合いが大きい。
そこで、特許文献1等では、受信妨害や、SN比の低下を引き起こす、基準電位の変動の発生原因の一つである、スイッチング電源の制御方式において、スイッチング周波数と受信周波数が近い場合又は一致した場合に受信妨害が発生することに対応して、受信すべき搬送波の周波数に影響を与えないように、スイッチング周波数を制御する手法について開示されている。
特開2005−237044号公報
しかしながら、上述した特許文献1等では、スイッチング電源に内在的に起因されるノイズの発生自体を防止するための特別な制御手法により、電源の設計が複雑化するため、既存の通信装置からの設計の変更が技術的またはコスト的に困難となる場合がある。また、仮に、上述した特許文献1等によってAM受信機が有するスイッチング電源からのノイズの発生が顕著に抑制されたとしても、デジタルアンプなどのスイッチング回路や、DSP(Digital Processing Unit)や、マイコン等の各種のIC(Integrated Circuit)の内部又は外部に有される発振回路の影響が依然残っている。
また、受信機と基準電位が接続される他の電子機器の影響には対処することができない。また、一般的に、スイッチング電源における発振周波数は、時間的ゆらぎ(ジッタ)が比較的大きいため、スイッチング周波数スペクトルの周波数幅が、受信機の受信周波数ステップに対して無視できない幅であることが多い。従って、所定の周波数を仮に制御したとしても、スイッチング周波数のスペクトルが、受信機の受信周波数と十分に分離できない為、完全に妨害を抑制することは困難となってしまう。概ね同様にして、上述した電源に対する一の対策手段は、例えば発振回路等の電源とは異なる種類の回路構成に対しては、ノイズの発生を抑制する有効な対策手段となることは技術的に困難である。
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、電磁波を利用した通信装置において、ノイズによる受信妨害を抑制し、SN比の向上を実現することが可能な、通信装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の通信装置は、被変調信号である情報信号が重畳された搬送波を受信するための第1アンテナと、基準電位をゼロに近づけるためのグラウンド端子と、(i)前記グラウンド端子に接続されると共に、(ii)前記第1アンテナと電磁気的に逆極性である第2アンテナと、受信された前記情報信号を、信号処理する信号処理手段と、を備える。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
以下、発明を実施するための最良の形態としての本発明の実施形態に係る、通信装置について説明する。
(通信装置の実施形態)
本発明の通信装置に係る実施形態は、被変調信号である情報信号が重畳された搬送波を受信するための第1アンテナと、基準電位をゼロに近づけるためのグラウンド端子と、(i)前記グラウンド端子に接続されると共に、(ii)前記第1アンテナと電磁気的に逆極性である第2アンテナと、受信された前記情報信号を、信号処理する信号処理手段と、を備える。
本発明の通信装置に係る実施形態によれば、第1アンテナによって、被変調信号が重畳された搬送波が受信される。そして、信号処理手段によって、受信された搬送波に対して、例えば同調処理、復調処理、増幅処理などの信号処理が行われる。ここに本発明に係る「アンテナ」とは、無線通信に利用される電磁波を受信するための空中線を意味する。このアンテナの一具体例としては、AM受信機に使用されるループアンテナや、ポータブル機器等に使用されるバーアンテナ(線状アンテナ)を挙げることができる。
特に、本発明によれば、第1アンテナと電磁気的に逆極性である第2アンテナが、基準電位をゼロに近づけるためのグラウンド端子に接続されている。
仮に、第2アンテナが存在しない場合、基準電位の変動に起因して、第1アンテナの端子間のインピーダンスにおいて発生する起電力に対応したノイズが発生してしまい、搬送波の信号処理を妨害し、SN比(Signal to Noise Ratio)が顕著に低下してしまう。
これに対して、本実施形態によれば、第1アンテナとは電磁気的に逆極性である第2アンテナは、第1アンテナの端子間のインピーダンスにおいて発生する起電力に対応したノイズによって発生する負の磁場を、打ち消すための正の磁場を発生することが可能である。従って、第1アンテナの端子間のインピーダンスにおいて発生する起電力に対して、逆の起電力が発生する。従って、基準電位の変動を打ち消すことが可能であるので、この基準電位の変動に起因して発生するノイズを、殆ど又は完全に打ち消すことが可能である。
以上の結果、通信装置において、基準電位の変動に起因して発生するノイズを、殆ど又は完全に打ち消し、受信妨害が抑制され、SN比の飛躍的な向上を実現することが可能である。
特に、本実施形態によれば、通信装置における、基準電位を変動させる原因の種類や場所、又は原因の性質などを特定し、対策手段を個別に備える必要性を殆ど又は完全になくすことが可能である。
仮に、通信装置の内部における(i)回路方式や回路構成、又は(ii)当該信号処理装置に電力を供給する電源の構成や種類や特性に着目して、これらの(i)回路方式や回路構成、又は(ii)電源に内在的に起因されるノイズの発生自体を防止する場合の各種の手法においては、特別な制御手法に基づいた(i)回路方式や回路構成、又は(ii)電源の設計が複雑化してしまい、既存の通信装置からの設計の変更が技術的またはコスト的に困難となってしまう。また、仮に、上述した特許文献1等によってAM受信機が有するスイッチング電源からのノイズの発生が抑制されたとしても、デジタルアンプなどのスイッチング回路や、DSP(Digital Processing Unit)や、マイコン等の各種のIC(Integrated Circuit)の内部又は外部に有される発振回路の影響が依然残っている。概ね同様にして、上述した電源に対する対策手段は、例えば発振回路等の電源とは異なる種類の回路構成に対しては、ノイズの発生を抑制する有効な対策手段となることは技術的に困難である。また、仮に、上述した特許文献1等によって、一のAM受信機においてノイズの発生が抑制されたとしても、一のAM受信機に電気的に接続された他の電子機器におけるノイズの発生を抑制することは技術的に困難である。
これに対して、本実施形態では、第1アンテナとは電磁気的に逆極性である第2アンテナに基づいて、基準電位の変動を打ち消すことが可能であるので、通信装置の内部における(i)回路方式や回路構成、又は(ii)当該信号処理装置に電力を供給する電源の構成や種類や特性に依存することなく、根本的、且つ、適切に、基準電位の変動に起因して発生するノイズを殆ど又は完全に打ち消し、SN比の飛躍的な向上を実現することが可能である。更に、本実施形態によれば、一の通信装置においてノイズを殆ど又は完全に打ち消すと共に、一の通信装置に電気的に接続された他の電子機器におけるノイズを殆ど又は完全に打ち消すことも可能である。
加えて、本実施形態によれば、既存の通信装置において、第2アンテナを追加すればよいので、簡便且つ低コストに、SN比の飛躍的な向上を実現することが可能である。また、ユーザは、従来、行うことが好ましい通信装置の接地手続きを省略できるので、ユーザにとって利便性の顕著な向上を実現することが可能である。
本発明の通信装置に係る実施形態の一の態様では、(i)前記第2アンテナの一端は、前記グラウンド端子に接続されると共に、(ii)前記第2アンテナの他端は、開放されている、又は、開放されている場合と概ね等価な所定量のインピーダンスにて終端されている。
この態様によれば、第2アンテナにおける他方の端子(所謂、hot端子)は、開放されているか、又は、開放されている場合と概ね等価な所定量のインピーダンスで終端されている。ここに、本発明に係る所定量とは、例えば十分に大きく、開放されている場合と概ね等価なインピーダンスを実現可能な量を意味する。この所定量は、実験的、理論的、経験的、シミュレーション等に基づいて、個別具体的に規定してよい。このため、第2アンテナは、所望の変調波信号が重畳された搬送波、言い換えると、受信を希望する電磁波に対しては、第1アンテナと同様に受信を目的とするアンテナとして概ね機能しない。この結果、第1アンテナの受信感度や、受信特性に対して、殆ど又は完全に影響しないので、所望の変調波信号の信号レベルを高く維持したまま、ノイズを打ち消すことが可能である。
本発明の通信装置に係る実施形態の他の態様では、前記第1アンテナと、前記第2アンテナとは、電磁気的に一体的に結合されている。
この態様によれば、電磁気的に一体的に結合されている第1アンテナ、及び第2アンテナに基づいて、より適切且つ高精度に、ノイズを打ち消すことが可能である。
本発明の通信装置に係る実施形態の他の態様では、前記グラウンド端子は、(i)前記信号処理手段における基準電位となる第1基準端子、及び、(ii)前記第1基準端子に接続された回路素子の全部又は一部に接続されている。
この態様によれば、通信装置における、グラウンド端子は、(i)信号処理手段における基準電位となる第1基準端子、及び、(ii)第1基準端子に接続された回路素子の全部又は一部に接続されているので、基準電位を変動させる、電源、発振回路、又は筐体における、原因の種類や場所、又は原因の性質などを特定し、対策手段を個別に備える必要性を殆ど又は完全になくすことが可能である。
仮に、通信装置の内部における(i)発振回路における、回路方式や回路構成、又は(ii)当該信号処理装置に電力を供給する電源の構成や種類や特性に着目して、これらの(i)回路方式や回路構成、又は(ii)電源に内在的に起因されるノイズの発生自体を防止する場合の各種の手法においては、特別な制御手法に基づいた(i)回路方式や回路構成、又は(ii)電源の設計が複雑化してしまい、既存の通信装置からの設計の変更が技術的又はコスト的に困難となってしまう。また、仮に、上述した特許文献1等によってAM受信機が有するスイッチング電源からのノイズの発生が抑制されたとしても、デジタルアンプなどのスイッチング回路や、DSP(Digital Processing Unit)や、マイコン等の各種のIC(Integrated Circuit)の内部又は外部に有される発振回路の影響が依然残っている。概ね同様にして、上述した電源に対する対策手段は、例えば発振回路等の電源とは異なる種類の回路構成に対しては、ノイズの発生を抑制する有効な対策手段となることは技術的に困難である。また、仮に、上述した特許文献1等によって、一のAM受信機においてノイズの発生が抑制されたとしても、一のAM受信機に電気的に接続された他の電子機器におけるノイズの発生を抑制することは技術的に困難である。
これに対して、本実施形態では、第1アンテナとは電磁気的に逆極性である第2アンテナに基づいて、基準電位の変動を打ち消すことが可能であるので、通信装置の内部における(i)発振回路における、回路方式や回路構成、又は(ii)当該信号処理装置に電力を供給する電源の構成や種類や特性に依存することなく、根本的、且つ、適切に、基準電位の変動に起因して発生するノイズを殆ど又は完全に打ち消し、SN比の飛躍的な向上を実現することが可能である。
具体的には、グラウンド端子は、(i)信号処理手段を格納する筐体における基準電位となる第2基準端子、(ii)電源における基準電位となる第3基準端子、(iii)信号処理手段に有される発振回路における基準電位となる第4基準端子のうち少なくとも一つに接続されているようにしてよい。
より具体的には、筐体内に存在する電源や、例えば受信回路等の信号処理手段に加えて、デジタルアンプのようなスイッチング回路や、DSP(Digital Signal Processor)や、マイコン等の各種のIC(Integrated Circuit)の内部又は外部に有される発振回路における基準電位となる各種の基準端子を挙げることができる。
更に、これらの複数の基準端子は、基準電位を共通としつつ、一つの電子機器における筐体内部に格納されてよい。或いは、これらの複数の基準端子が、複数の電子機器における複数の筐体に夫々格納されて、例えばピンケーブル等の導線で、複数の筐体を跨って電気的に接続され、基準電位を共通としてよい。この結果、一の通信装置においてノイズを殆ど又は完全に打ち消すと共に、一の通信装置に電気的に接続された他の電子機器におけるノイズを殆ど又は完全に打ち消すことも可能である。
本発明の通信装置に係る実施形態の他の態様では、前記第1アンテナと、前記第2アンテナとは、(i)電磁気的に一体的に結合されていると共に、物理的に一体的に結合されている、又は、(ii)電磁気的に一体的に結合されていると共に、物理的に一体的に結合されていない。
この態様によれば、第2アンテナと、第1アンテナとは、物理的に一体的に結合されているので、物理的に異なる2つの構成部品でないようにできる。即ち、第1アンテナは、第2アンテナと概ね同様の動作をするための巻線を追加して、外見上は、第2アンテナを含むように構成してもよい。
以上の結果、設計工程の段階で、予め第1アンテナと、第2アンテナとの2種類の電磁気的な性質の異なるループアンテナの電磁的結合を密接に設計することが可能であるので、ノイズによる妨害を抑制する効果、及びSN比の更なる向上や改善を実現することが可能である。また、ユーザは、従来のループアンテナと、全く同様な認識や感覚で、当該通信装置を使用することが可能である。
或いは、第2アンテナと、第1アンテナとは、物理的に一体的に結合されていないので、物理的に異なる2つの構成部品とすることができる。この結果、既存の設計工程及び製造工程に、第2アンテナの設計工程及び製造工程を追加すればよいので、製造コストを低くすることが可能である。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の通信装置に係る実施形態によれば、第1アンテナと、グラウンド端子と、第2アンテナと、信号処理手段と、を備える。この結果、通信装置において、基準電位の変動に起因して発生するノイズを、殆ど又は完全に打ち消し、受信妨害の抑制とSN比の飛躍的な向上を実現することが可能である。
本発明の通信装置の実施例に係るAM(Amplitude Modulation)受信装置の基本構成を概念的に示した模式図である。 本発明の通信装置の実施例に係るAM受信装置の基本構成のうち第1及び第2ループアンテナを中心として、図式的に示した外観斜視図である。 比較例に係るAM(Amplitude Modulation)受信装置の基本構成を概念的に示した模式図である。 比較例に係るAM受信装置の基本構成のうち第1ループアンテナを中心として、図式的に示した外観斜視図である。 本実施例に係る効果を、利得制限感度(最大感度)に基づいて、定量的に示したグラフ(図5(a))、及び、雑音制限感度(実用感度)に基づいて、定量的に示したグラフ(図5(b))である。 本実施例に係る効果を、減衰量に基づいて、定量的に示したグラフ(図6(a))、及び、SN比に基づいて、定量的に示したグラフ(図6(b))である。 本実施例に係る効果を、減衰量に基づいて、定量的に示すと共に、SN比に基づいて、定量的に示した表である。
符号の説明
10 信号処理回路
20 発振回路
30 スイッチング電源
100 AM受信装置
A1 第1ループアンテナ
A2 第2ループアンテナ

以下、図面を参照して本発明の通信装置に係る、好適な実施例について説明する。
(1)基本構成
先ず、図1を参照して、本発明の通信装置に係る実施例の基本構成について説明する。ここに、図1は、本発明の通信装置の実施例に係るAM(Amplitude Modulation)受信装置(所謂、受信機又はレシーバー(receiver))の基本構成を概念的に示した模式図である。図2は、本発明の通信装置の実施例に係るAM受信装置の基本構成のうち第1及び第2ループアンテナを中心として、図式的に示した外観斜視図である。
図1に示されるように、本実施例に係る、AM受信装置100は、第1ループアンテナA1、第2ループアンテナA2、信号処理回路10、発振回路20、スイッチング電源30、及び、グラウンド線50を備えて構成されている。尚、本実施例では、本発明に係る「アンテナ」の一具体例としては、AM受信機に使用されるループアンテナを使用したが、ポータブル機器等に使用されるバーアンテナ(線状アンテナ)を使用してもよい。
特に、本実施例では、グラウンド線50には、上述した電子素子の基準電位に加えて、信号処理回路10における基準電位となる基準端子に接続された全ての回路素子が接続されていてよい。より具体的には、グラウンド線50は、(i)電源における基準電位となる基準端子、(iii)信号処理回路10に有される発振回路における基準電位となる基準端子に接続されているようにしてよい。更に、より具体的には、筐体内に存在する電源や、例えば受信回路等の信号処理手段に加えて、デジタルアンプのようなスイッチング回路や、DSP(Digital Signal Processor)や、マイコン等の各種のIC(Integrated Circuit)の内部又は外部に有される発振回路における基準電位となる各種の基準端子を挙げることができる。更に、これらの複数の基準端子は、基準電位を共通としつつ、一つの電子機器における筐体内部に格納されてよい。或いは、これらの複数の基準端子が、複数の電子機器における複数の筐体に夫々格納されて、例えばピンケーブル等の導線で、複数の筐体を跨って電気的に接続され、基準電位を共通としてよい。この結果、一の通信装置においてノイズを殆ど又は完全に打ち消すと共に、一の通信装置に電気的に接続された他の電子機器におけるノイズを殆ど又は完全に打ち消すことも可能である。
第1ループアンテナA1、及び第2ループアンテナA2は、エレメント(即ち、導線、導体部分)を環状(ループ)にしたアンテナである。この種類のループアンテナは、電子部品として用いられる通常のコイルよりも大きな直径で導線を何回か巻くことによって、構成される。ループアンテナの動作原理は、コイル内部の磁場の変化により、誘導起電力を取り出すことを利用している。この場合、ループアンテナは、導線の長さは動作に直接関係しない。ループアンテナの多くは、コンデンサを接続して共振回路として用いられる。より具体的には、この代表的な製品として、中波帯のAMラジオの遠距離受信用のアンテナが市販されている。直径1メートル程度の三角形、四角形などのコイルと可変コンデンサ(バリコン)により同調を取り、ラジオに内蔵されているバーアンテナと電気的に結合させるものである。尚、本実施例に係る、第1ループアンテナA1、及び第2ループアンテナA2の詳細については後述される。
信号処理回路10は、一般的なAMラジオに搭載される電子回路であって、例えば高周波増幅器、混合器、上述の発振回路20(所謂、局部発振器)、中間周波増幅器、復調器、及び、低周波増幅器を備えて構成されている。この信号処理回路10は、グラウンド線50に接続され、このグラウンド線50の基準電位に基づいて、動作する。
スイッチング電源30は、入力電力から希望の出力電力を得る電力変換装置において、電力を変換又は調整するためにスイッチング素子(例えば、スイッチング回路等の電気回路の一部をオン又はオフできる素子)を用いた電源装置である。特に、このスイッチング電源30は、所謂、スイッチングレギュレータであってよい。具体的には、直流電力を別の直流電力に変換するDC−DCコンバータであってよいし、交流電力を一定の直流電力に変換する整流装置(AC/DCコンバータ)によって構成された電源装置であってよい。より詳細には、スイッチング電源30に有されるスイッチング回路は、電解コンデンサーで平滑化された直流電圧を数kHzから数MHzの高周波でスイッチングしている、即ち、オンとオフと行っている。高周波でスイッチングすることによって、トランスまたはチョークコイルに必要とされるインダクタンスを小さくすることが可能である。即ちトランスまたはチョークコイルの巻き数や鉄心を少量化し、小型化をはかることが可能である。
AM受信装置100における、一般的に、基準電位V0、所謂、GND(Ground)と、被変調信号を重畳した搬送波を受信するための第1ループアンテナA1の一方の端子(所謂、cold端子:図2中の第1ループアンテナA1に接続された細線も参照)は略同一の電位(所謂、電位レベル)である。このため、グラウンド線50における、基準電位V0の変動に起因して第1ループアンテナA1のインピーダンスに起電力が発生する。従って、第1ループアンテナA1における2つの端子(アンテナ端子)の間に電圧が発生する。尚、基準電位変動に起因して、この2つの端子の間に発生する電圧を、時間「t」を変数とする「v(t)」で示す。この電圧「v(t)」が、適切な信号処理を妨害するノイズ電圧(所謂、妨害電圧)となり、搬送波に重畳された所望の被変調信号の相対的な信号レベルを低下させ、SN比(Signal to Noise Ratio)が顕著に低下してしまう。尚、第1ループアンテナA1からは、電圧v(t)により一意的に決まる磁場「B(t)」が発生する。この磁場「B(t)」は、電圧「v(t)」がゼロに近づけば、この磁場「B(t)」もゼロに近づく。
特に、本実施例に係る、AM受信装置100は、図1及び図2に示されるように、第2ループアンテナA2を備えて構成されている。第2ループアンテナA2の一方の端子(所謂、cold端子:図2中の第2ループアンテナA2に接続された細線も参照)は、AM受信装置100のグラウンド線50における、基準電位V0に接続され、他方の端子(所謂、hot端子)は開放端子(図2中の第2ループアンテナA2に接続された太線も参照)として、空気中に開放されている、又は、開放されている場合と概ね等価な所定量のインピーダンスで終端されている。ここに、本実施例に係る所定量とは、例えば十分に大きく、開放されている場合と概ね等価なインピーダンスを実現可能な量を意味する。この所定量は、実験的、理論的、経験的、シミュレーション等に基づいて、個別具体的に規定してよい。
このように、AM受信装置が有するアンテナ入力端子のいずれか一方は、基準電位に接続されている。と共に、第2ループアンテナA2は、第1ループアンテナA1と、電磁気的に逆極性の特性を有する。従って、第2ループアンテナA2は、基準電位の変動に起因するノイズを打ち消すためのアンテナとして機能することが可能である。具体的には、第2ループアンテナA2における導線の巻き方向は、第1ループアンテナA1における導線の巻き方向と逆方向であるようにすることが好ましい。ここに、本実施例に係る「Hot端子」とは、ループアンテナが巻き始める位置に対応される端子を意味する。また、本実施例に係る「Cold端子」とは、ループアンテナが巻き終わる位置に対応される端子を意味する。尚、図2中、「Hot端子」に接続される導線は、太線で示され、「Cold端子」に接続される導線は、細線で示されている。
加えて、第1ループアンテナA1と、第2ループアンテナA2とは、電磁気的に可能な限り密接的に且つ一体的に結合させることが好ましい(図2中の「電磁気的に密接な結合」を示す丸印を参照)。具体的には、第1ループアンテナA1と、第2ループアンテナA2とは、(i)電磁気的に一体的に結合されていると共に、物理的に一体的に結合されていてもよい。この結果、第2アンテナと、第1アンテナとは、物理的に一体的に結合されているので、物理的に異なる2つの構成部品でないようにできる。即ち、第1アンテナは、第2アンテナと概ね同様の動作をするための巻線を追加して、外見上は、第2アンテナを含むように構成してもよい。
以上の結果、設計工程の段階で、予め第1アンテナと、第2アンテナとの2種類の電磁気的な性質の異なるループアンテナの電磁的結合を密接に設計することが可能であるので、ノイズによる妨害を抑制する効果、及びSN比の更なる向上や改善を実現することが可能である。また、ユーザは、従来のループアンテナと、全く同様な認識や感覚で、当該通信装置を使用することが可能である。
或いは、第1アンテナと、第2アンテナとは、(ii)電磁気的に一体的に結合されていると共に、物理的に一体的に結合されていなくてよい。従って、第2アンテナと、第1アンテナとを、物理的に異なる2つの構成部品とすることができる。この結果、既存の設計工程及び製造工程に、第2アンテナの設計工程及び製造工程を追加すればよいので、製造コストの低くすることが可能である。上述したように、第1ループアンテナA1からは、グラウンド線50における、基準電位V0の電位変動に起因する磁場「B(t)」が発生する。他方、第2ループアンテナA2からは、逆向きの磁場「−B(t)」が発生する。このため、第1ループアンテナA1において発生する磁場「B(t)」と、第2ループアンテナA2において発生する磁場「−B(t)」とは、互いに打ち消し合う。従って、第1ループアンテナA1において発生していた磁場「B(t)」がゼロに近づくと同時に、第1ループアンテナA1の2つの端子の間において、発生していた電圧「v(t)」がゼロに近づく。
以上の結果、AM受信装置100において、基準電位V0の変動に起因して発生するノイズを、殆ど又は完全に打ち消すことにより、受信妨害を抑制し、SN比の飛躍的な向上を実現することが可能である。
特に、第2ループアンテナA2における他方の端子(所謂、hot端子)は、開放されている、又は、開放されている場合と概ね等価な所定量のインピーダンスで終端されている。このため、第2ループアンテナA2は、所望の被変調信号が重畳された搬送波、言い換えると、受信を希望する電磁波に対しては、インピーダンスが概ね無限大であるので、第1ループアンテナA1と同様に受信を目的とするアンテナとして機能しない。この結果、第1ループアンテナA1の受信感度や、受信特性に対して、殆ど又は完全に影響しないので、所望の被変調信号のレベルを高く維持したまま、ノイズを打ち消すことが可能である。
(2)本実施例に係る作用と効果との第1の検討
次に、図3及び図4に加えて、前述した図1及び図2を適宜参照して、本実施例に係る作用と効果との第1の検討を加える。ここに、図3は、比較例に係るAM(Amplitude Modulation)受信装置(所謂、受信機又はレシーバー(receiver))の基本構成を概念的に示した模式図である。図4は、比較例に係るAM受信装置の基本構成のうち第1ループアンテナを中心として、図式的に示した外観斜視図である。
図3及び図4に示されるように、比較例に係るAM受信装置100においては、基準電位V0、所謂、GND(Ground)と、情報信号を受信するための第1ループアンテナA1の一方の端子(所謂、cold端子:図4中の第1ループアンテナA1に接続された細線も参照)は略同一の電位(所謂、電位レベル)である。このため、グラウンド線50における、基準電位V0の変動に起因して第1ループアンテナA1のインピーダンスに起電力が発生する。従って、第1ループアンテナA1における2つの端子(アンテナ端子)の間に電圧が発生する。この電圧「v(t)」が、適切な信号処理を妨害するノイズ電圧(所謂、妨害信号)となり、搬送波に重畳された所望の被変調信号の相対的な信号レベルを低下させ、SN比が顕著に低下してしまう。
これに対して、本実施例に係る、AM受信装置100は、上述した図1及び図2に示されるように、第2ループアンテナA2を備えて構成されている。第2ループアンテナA2の一方の端子(所謂、cold端子)は、AM受信装置100の、グラウンド線50における、基準電位V0に接続され、他方の端子(所謂、hot端子)は開放端子として、空気中に開放されている、又は、開放されている場合と概ね等価な所定量のインピーダンスで終端されていると共に、第1ループアンテナA1と、電磁気的に逆極性の特性を有する。従って、第2ループアンテナA2は、基準電位の変動に起因したノイズを打ち消すためのアンテナとして機能することが可能である。
以上の結果、AM受信装置100において、基準電位V0の変動に起因して発生するノイズを、殆ど又は完全に打ち消し、受信妨害を抑制し、SN比の飛躍的な向上を実現することが可能である。
加えて、本実施例によれば、AM受信装置100における、基準電位を変動させる原因の種類や場所、又は原因の性質などを特定し、対策手段を個別に備える必要性を殆ど又は完全になくすことが可能である。
仮に、AM受信装置100の内部における(i)回路方式や回路構成、又は(ii)当該信号処理装置に電力を供給するスイッチング電源30の構成や種類や特性に着目して、これらの(i)回路方式や回路構成、又は(ii)スイッチング電源30に内在的に起因されるノイズの発生自体を防止する場合の各種の手法においては、特別な制御手法に基づいた(i)回路方式や回路構成、又は(ii)スイッチング電源30の設計が複雑化してしまい、既存のAM受信装置100からの設計の変更が技術的またはコスト的に困難となってしまう。概ね同様にして、上述したスイッチング電源30に対する一の対策手段は、例えば発振回路等の電源とは異なる種類の回路構成に対しては、ノイズの発生を抑制する有効な対策手段となることは技術的に困難である。
これに対して、本実施例では、第1ループアンテナA1とは電磁気的に逆極性である第2ループアンテナA2に基づいて、基準電位の変動を打ち消すことが可能であるので、AM受信装置100の内部における(i)回路方式や回路構成、又は(ii)当該信号処理装置に電力を供給するスイッチング電源30の構成や種類や特性に依存することなく、根本的、且つ、適切に、基準電位の変動に起因して発生するノイズを殆ど又は完全に打ち消し、受信妨害を抑制し、SN比の飛躍的な向上を実現することが可能である。
加えて、本実施例によれば、既存のAM受信装置100において、第2ループアンテナA2を追加すればよいので、簡便且つ低コストに、受信妨害を抑制し、SN比の飛躍的な向上を実現することが可能である。また、ユーザは、従来、行うことが好ましいAM受信装置100の接地手続きを省略できるので、ユーザにとって利便性の顕著な向上を実現することが可能である。
(3)本実施例に係る効果の第2の検討
次に、図5を参照して、本実施例に係る効果について第2の検討を加える。ここに、図5は、本実施例に係る効果を、利得制限感度(最大感度)に基づいて、定量的に示したグラフ(図5(a))、及び、雑音制限感度(実用感度)に基づいて、定量的に示したグラフ(図5(b))である。
図5(a)に示されるように、本願発明者による研究によれば、比較例で測定不能であった最大感度が、本実施例に係るAM受信装置100においては、測定可能となったことが判明している。この結果、AM受信装置100において、基準電位V0の変動に起因して発生するノイズを、殆ど又は完全に打ち消し、受信妨害を抑制し、SN比の飛躍的な向上が実現されたことが判明している。ここに、本実施例に係る「利得制限感度(最大感度)」とは、AM受信装置において、ノイズの影響の下で、一定のレベルの出力信号を出力するための、AM受信装置の入力信号のレベルを意味する。具体的には、図5(a)中のグラフは、基準入力信号(74dBμV/m)を入力した際の出力信号レベルを0dBとしたとき、出力信号のレベルが「−10(dB)」になるような入力信号のレベルを示している。尚、単位(dBμV/m)は、電界強度を示す物理単位を意味する。この利得制限感度(最大感度)が低いということは、より低い入力信号レベルにおいても、被変調信号を聴取できることを意味している。一般的に、最大感度が低いほど受信性能が良いとされる。
しかしながら、基準電圧の変動に起因するノイズによって抑圧を受けている場合においては、入力信号レベルの大小にかかわらず、ノイズが出力信号として計測されてしまうために、受信機が実際に有する最大感度を下回る値が計測されたり、ノイズによる抑圧レベルが高い場合、最大感度が計測不能になる場合も多くある。
詳細には、図5(a)中の「白抜きの丸印」に示されるように、比較例における利得制限感度は、最小受信周波数と最大受信周波数において「NG(No Good:計測不能)」を示している。これは、被測定機器内に有するスイッチング電源等による受信機の基準電位変動に起因したノイズの抑圧を受けている為に、最大感度が計測不能になったものである。これに対し、本実施例における最大感度は、図5(a)中の「黒塗り丸印」に示されるように、周波数が最小受信周波数と最大受信周波数において、それぞれ「42」、「34」の値を示しており、被測定機器内に有するスイッチング電源等に起因するノイズが打ち消され、最大感度が測定可能になったことを示している。尚、図5(a)中の矢印は、受信周波数が、最小値又は、最大値の場合、本実施例では、計測不能から計測可能になることを示している。また、図5(a)、及び、後述の図5(b)の受信周波数において、最小値とは、「531(kHz)」を示し、値「A」は、「603(kHz)」を示し、値「B」は、「999(kHz)」を示し、値「C」は、「1395(kHz)」を示し、最大値は、「1602(kHz)」を示す。
図5(b)中の「黒塗り丸印」に示されるように、本願発明者による研究によれば、本実施例に係るAM受信装置100においては、雑音制限感度(実用感度)のレベルが、点線で示された比較例と比べて、概ね低くなっていることが判明している。この結果、AM受信装置100において、基準電位V0の変動に起因して発生するノイズを、殆ど又は完全に打ち消し、受信妨害を抑制し、SN比の飛躍的な向上が実現されたことが判明している。ここに、本実施例に係る「雑音制限感度(実用感度)」とは、AM受信装置において、ノイズの影響の下で、出力信号において、ある一定のSN比が得られるときの、AM受信装置に入力される入力信号のレベルを意味する。具体的には、図5(b)中のグラフは、基準入力信号(74dBμV/m)を入力した際の出力信号レベルを基準とした際に30dBのSN比を得るための最小入力信号レベルを示す。この雑音制限感度(実用感度)が低いということは、より低い入力信号レベルにおいても、聴感上問題無く被変調信号を聴取できることを示す。一般的に、実用感度は低いほど受信機性能が良いとされる。
詳細には、図5(b)の「黒塗り丸印」に示されるように、本実施例における雑音制限感度(実用感度)は、最小受信周波数、周波数「A」、周波数「B」、周波数「C」、最大受信周波数において、夫々「61」、「60」、「55」、「64」、「53」の値であり、図5(b)の「白抜き丸印」に示される比較例における雑音制限感度である「83」、「65」、「65」、「62」、「58」と比較して、概ね低い値をとることが判明している。これは本実施例において、受信機内に有するスイッチング電源等に起因して発生するノイズが打ち消され、出力信号レベルに対するノイズレベルが相対的に低下してSN比が向上したことによって、実用感度が向上したことを示している。
(4)本実施例に係る効果の第3の検討
次に、図6及び図7を参照して、本実施例に係る効果について第2の検討を加える。ここに、図6は、本実施例に係る効果を、減衰量に基づいて、定量的に示したグラフ(図6(a))、及び、SN比に基づいて、定量的に示したグラフ(図6(b))である。図7は、本実施例に係る効果を、減衰量に基づいて、定量的に示すと共に、SN比に基づいて、定量的に示した表である。
図6(a)中の「黒塗り丸印」に示されるように、本願発明者による研究によれば、本実施例に係るAM受信装置100においては、減衰量のレベルが、点線で示された比較例と比べて、より大きく減衰していることが判明している。この結果、AM受信装置100において、基準電位V0の変動に起因して発生するノイズを、殆ど又は完全に打ち消し、受信妨害を抑制され、SN比の飛躍的な向上が実現されたことが判明している。ここで、本実施例に係る「減衰量」とは、基準入力信号を入力した際の出力信号レベルを基準(0dB)とし、入力信号を最小とした場合に出力信号レベルがどの程度減衰するかをdB単位で表したものである。具体的には、図6(a)中のグラフは、入力信号として「74」(dBμV/m)を入力した際の出力信号レベルを基準(0dB)とし、入力信号を「−∞」(dBμV/m)とした場合に出力信号レベルがどの程度減衰するかをdB単位で表している。減衰量が大きいということは、ノイズによる妨害が小さいということを示しており、一般的に、減衰量は大きいほど良いとされる。
詳細には、図6(a)の「黒塗り丸印」に示されるように、本実施例における減衰量は、受信周波数が、「531(Hz)」から「1602(Hz)」において、「−40」から「−26」までの値であり、図6(a)の「白抜き丸印」に示される比較例における減衰量である「−30」から「+6」と比較して、いずれの受信周波数においても、より大きく減衰していることが判明している。
より詳細には、図7の表の示されるように、比較例においては、減衰量が、「−10(dB)から−1(dB)」である、サンプリングされた周波数のポイントの数は、「46個」だけ存在する。これに対して、本実施例においては、減衰量が、「−10(dB)から−1(dB)」である、サンプリングされた周波数のポイントの数は、「0個」である。また、概ね同様にして、比較例においては、減衰量が、「0(dB)」以上である、サンプリングされた周波数のポイントの数は、「8個」だけ存在する。これに対して、本実施例においては、減衰量が、「0(dB)」以上である、サンプリングされた周波数のポイントの数は、「0個」である。
このように、本実施例に係るAM受信装置100においては、減衰量のレベルが、比較例と比べて、より大きく減衰していることが判明している。以上の結果、AM受信装置100において、基準電位V0の変動に起因して発生するノイズを、殆ど又は完全に打ち消し、受信妨害が抑制され、SN比の飛躍的な向上が実現されたことが判明している。
図6(b)中の「黒塗り丸印」に示されるように、本願発明者による研究によれば、本実施例に係るAM受信装置100においては、SN比のレベルが、図6(b)の「白抜き丸印」に示される比較例と比べて、より高いレベルにあることが判明している。この結果、AM受信装置100において、基準電位V0の変動に起因して発生するノイズを、殆ど又は完全に打ち消し、受信妨害が抑制され、SN比の飛躍的な向上が実現されたことが判明している。ここに、本実施例に係る「SN比」とは、ある一定レベルの信号を受信装置に入力する条件にて、被変調信号が有る場合と無い場合における出力レベルの比をdB単位で表したものを意味する。具体的には、図6(b)中のグラフは、基準入力信号(74dBμV/m)を受信機に入力する条件にて、被変調信号(400Hzの正弦波)が有る場合(変調率が30%)と無い場合(変調率が0%)における出力レベルの比をdB単位で示している。SN比が大きいということは、被変調信号レベルに対するノイズレベルが相対的に小さく、聴感上ノイズの少ない信号を聴取可能であることを意味する。一般的に、SN比は大きいほど受信機性能が良いとされる。
詳細には、図6(b)の「黒塗り丸印」に示されるように、本実施例におけるSN比は、受信周波数が、「531(Hz)」から「1602(Hz)」において、「39」から「43」までの値であり、図6(b)の「白抜き丸印」に示される比較例におけるSN比である「13」から「29」と比較して、いずれの周波数においても、より高い値を示していることが判明している。
より詳細には、図7の表の示されるように、比較例(図7中の「従来」の列を参照)においては、SN比が、「20(dB)」台である、サンプリングされた周波数のポイントの数は、「25個」だけ存在する。これに対して、本実施例においては、SN比が、「20(dB)」台である、サンプリングされた周波数のポイントの数は、「0個」である。
また、概ね同様にして、比較例においては、SN比が、「20(dB)」未満である、サンプリングされた周波数のポイントの数は、「6個」だけ存在する。これに対して、本実施例においては、SN比が、「20(dB)」未満である、サンプリングされた周波数のポイントの数は、「0個」である。
このように、本実施例に係るAM受信装置100においては、SN比のレベルが、比較例と比べて、より高いレベルにあることが判明している。以上の結果、AM受信装置100において、基準電位V0の変動に起因して発生するノイズを、殆ど又は完全に打ち消し、受信妨害が抑制され、SN比の飛躍的な向上が実現されたことが判明している。
上述した実施例では、例えば家庭用、車載用の、AM受信装置やレシーバーや送信機について説明したが、本発明は、例えば、家庭用の映像機器や通信機器、或いは、業務用の通信機器や通信装置などの、電磁波を利用した全ての通信装置に適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う、通信装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明に係る通信装置は、例えば家庭用、車載用の、AM受信装置やレシーバーや送信機に利用可能である。また、例えば、家庭用の映像機器や通信機器、或いは、業務用の通信機器や通信装置などの、電磁波を利用した全ての通信装置等にも利用可能である。

Claims (5)

  1. 被変調信号である情報信号が重畳された搬送波を受信するための第1アンテナと、
    基準電位をゼロに近づけるためのグラウンド端子と、
    (i)前記グラウンド端子に接続されると共に、(ii)前記第1アンテナと電磁気的に逆極性である第2アンテナと、
    受信された前記情報信号を、信号処理する信号処理手段と、
    を備えることを特徴とする通信装置。
  2. (i)前記第2アンテナの一端は、前記グラウンド端子に接続されると共に、(ii)前記第2アンテナの他端は、開放されている、又は、開放されている場合と概ね等価な所定量のインピーダンスにて終端されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の通信装置。
  3. 前記第1アンテナと、前記第2アンテナとは、電磁気的に一体的に結合されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の通信装置。
  4. 前記グラウンド端子は、(i)前記信号処理手段における基準電位となる第1基準端子、及び、(ii)前記第1基準端子に接続された回路素子の全部又は一部に接続されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の通信装置。
  5. 前記第1アンテナと、前記第2アンテナとは、(i)電磁気的に一体的に結合されていると共に、物理的に一体的に結合されている、又は、(ii)電磁気的に一体的に結合されていると共に、物理的に一体的に結合されていないことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の通信装置。
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