JP4841732B2 - ゴム系複合材料およびそれを用いたゴム物品 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はゴム系複合材料およびそれを用いたゴム物品に関し、詳しくは、タイヤやベルト等のゴム物品の補強材として使用した場合に、該ゴム物品の耐久性を高めることができるとともに、軽量化を図ることのできるゴム系複合材料およびそれを用いたゴム物品、特にはタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤやベルト等に適用されるゴム系複合材料の補強材としては、従来より有機繊維コードやスチールコードが広く用いられている。この場合、ゴムと補強材とが強固に接着していることは、その製品の耐久性の面から重要なことである。従って、従来、有機繊維コードとゴムとの複合材においては、両者の接着性を高めるために、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物/ラテックス(RFL)接着剤中への有機繊維コードのディップ処理が行われていた。また、スチールコードとゴムとの複合材においては、両者の接着性を高めるために、スチールコードに各種メッキ処理を施すことが一般に行われていた。
【0003】
また、タイヤやベルト等に適用されるゴム系複合材料の補強材として、有機繊維コードやスチールコードの他に、不織布を用いることも知られている。例えば、特開平10−53010号公報においては、乗り心地性能や耐久性といったラジアルタイヤ本来の性能を損なうことなく、また製法を複雑化することなく、タイヤサイドウォール部の剛性を高めてタイヤの操縦安定性を向上させるために、カーカス層とサイドウォール部との間に、不織布を用いたゴム−フィラメント繊維複合体を適用することが提案されている。
【0004】
さらに、補強材としての不織布の性能向上能が注目され、最近では、タイヤ以外の剛性や耐久性が求められるゴム物品への不織布の適用が検討されてきている。また、従来補強材を含まない構造のゴム系複合材料においても、不織布を伴う補強材を用いることにより、設計の自由度が広がるとともに、高い耐久性が得られることが期待される。
【0005】
しかし、不織布をゴム系複合材料の補強材として用いる場合、従来の有機繊維コードにおいて適用されていたRFL接着剤中への有機繊維コードのディップ処理や、スチールコードにおいて適用されていたメッキ処理を適用して接着性を高めることはできなかった。これは、これらの処理を不織布に施すと、不織布が目詰りを起こしてフィルム状になってしまい、ゴムと合わせたときの不織布とゴムとの接触面積が小さくなって、所望の効果を得ることができなくなるためである。このため、不織布とゴムとの接着性を向上するための方法として、不織布表面上にゴムとの接着性を有する金属膜等の被膜を形成する技術が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の不織布上への被膜形成処理では、ゴム系複合材料をゴム物品として実使用する際の耐久性において十分なものではなく、不織布とゴムとの間の接着性をより高めるために、不織布表面上への被膜の形成において、両者のより良好な密着性を得るための技術が求められていた。
【0007】
そこで本発明の目的は、上記問題点を解消して、不織布とゴムとの間の接着材としての被膜形成において、不織布と被膜との間の密着性を高め、これにより不織布とゴムとの接着性を向上して、タイヤやベルト等のゴム物品の補強材として使用した場合に、該ゴム物品の耐久性を高めることができるとともに、軽量化を図ることのできるゴム系複合材料およびそれを用いたゴム物品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、不織布表面上への被膜形成のための前処理として、不織布表面に対し所定の表面処理を施すことにより、不織布と被膜との間の密着性を向上させることができ、耐久性に優れたゴム物品が実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、上記課題を解決するために、本発明のゴム系複合材料は、不織布と、該不織布表面に形成された被膜と、該被膜と接着し、前記不織布を被覆するゴムとからなるゴム系複合材料において、該不織布が、低圧プラズマ法またはコロナ放電により表面処理されるとともに、前記被膜が、物理的気相成長法(PVD)または化学的気相成長法(CVD)により形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明は、前記ゴム系複合材料を補強材として使用したことを特徴とするゴム物品、特にはタイヤを提供するものである。
【0011】
本発明のゴム系複合材料は、これを補強材として用いたゴム物品の耐久性を損なうことなく該ゴム物品の剛性を高めることができる。特に、ラジアルタイヤの場合、かかるゴム系複合材料をタイヤサイドウォール部分に適用した場合、該サイドウォール部の剛性を高め、タイヤの操縦安定性を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき具体的に説明する。
まず、本発明において適用し得る不織布は、カーディング法、抄紙法、エアレイ法、メルトブロー、スパンボンド法などにより作製されたウェブである。メルトブロー、スパンボンド法以外のウェブにおける繊維の結合方法として、熱融着法、バインダによる方法、水流または針の力で繊維を交絡させる水流絡合法、ニードルパンチ法を好適に利用することができる。とりわけ水流または針で繊維を交絡させる水流絡合法、ニードルパンチ法およびメルトブロー、スパンボンド法により得られた不織布が好適である。
【0013】
不織布の材質としては、綿、レーヨン、セルロースなどの天然高分子繊維、脂肪族ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、芳香族ポリアミドなどの合成高分子繊維、およびカーボン繊維、ガラス繊維、スチールワイヤのうちから選択される一種又は複数種の繊維を混合することができる。また、隣接層と素材が異なる多層構造のフィラメント繊維でもよい。更に、異なる材質を内層と外層に配置した芯鞘構造、あるいは米字型、花弁型、層状型等の複合繊維も用いることができる。
【0014】
本発明においては、かかる不織布は、繊維フィラメントの間までゴムが含浸する構造を有していること、そして比較的長い距離、広い範囲でフィラメント繊維とゴムが相互に連続層を形成できる構造を有していることが重要な基本的要件である。このため、フィラメント繊維の直径または最大径は、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.1〜50μmの範囲内である。但し、その断面形状は円状のもの、または円と異なる断面形状のもの、中空部を有するもの等を用いることができる。
【0015】
また、フィラメント繊維の長さは、好ましくは8mm以上、より好ましくは10mm以上である。かかるフィラメント繊維の長さが8mm未満では、繊維フィラメント−繊維フィラメント間のからみ合いが十分でなく、補強層としての強度を保持できなくなる。
【0016】
不織布の目付質量(1m2当たりの質量)は、好ましくは10〜300g、より好ましくは10〜100gの範囲内である。不織布の目付質量が10g未満では不織布自体の均一性を維持することが困難となってムラの多い不織布となり、加硫後の不織布/ゴム複合体とした時の強度、剛性、破断伸度のバラツキが大きくなるため、好ましくない。一方、300gを超えるとゴムの流動性にもよるが、不織布内部の空隙にゴムが浸透しなくなり、例えば、タイヤ部材として考えた場合、ゴム−不織布複合体の耐剥離性の観点から好ましくない。
【0017】
本発明においては、かかる不織布表面に対し、被膜を形成する際の前処理として、低圧プラズマ法またはコロナ放電による表面処理を行う。これら処理を施すことにより、不織布と被膜との密着性を高めることができ、ゴム物品に用いた際の耐久性を格段に向上することが可能となる。
【0018】
低圧プラズマ法により処理を行う条件としては、特に制限はされないが、好適には以下に述べる通りである。
雰囲気ガスとしては、例えば、Ar、He、Ne、Kr、O2、H2O、N2、NH3、CH4等の有機物、空気、CO2、CF4、SF6等を挙げることができ、これらのうち2種類以上を混合して用いてもよい。特に好ましいのは、Ar、O2である。
【0019】
プラズマの発生に関しては、直流と交流とのいずれを用いることもできる。電源周波数(電極へ供給)は、公知の直流、交流のいずれを用いてもよく、一般に、直流電源、低周波(lf)電源、高周波(rf)電源、マイクロ波電源などが用いられるが、パルス電源を用いてもよい。高周波未満の周波数では電極が必要であるが、高周波放電では、内部電極型、外部電極型、誘導電場型(コイル)を用いることができる。
【0020】
また、必要に応じて基材である不織布付近にバイアス電圧を印加してもよい。その場合、直流、交流いずれのバイアスも可能である。交流の場合、パルス、または高周波(rf)が好ましい。直流の場合、好ましくは−1kV〜+1kVの電圧範囲である。
【0021】
ガス圧は、プラズマが発生できる圧力であればいかなる値でもよいが、好ましくは1×10-2Pa〜5×103Paである。また、不織布1m2あたりに投入される電力密度としては、30W/m2〜3000W/m2、時間は1秒〜1000秒の範囲で、必要に応じて選択する。
【0022】
また、コロナ放電を用いる場合にも、特に制限はないが、好適には以下の条件に従う。
雰囲気ガスは、通常大気であるが、必要に応じて上述の低圧プラズマの場合と同様のガスを用いることもできる。また、電源周波数(ターゲットへ供給)としては、公知の直流、交流のいずれを用いてもよく、一般に、数〜数十kHz程度の交流が好適である。不織布1m2あたりに投入される電力密度および時間は、上述の低圧プラズマの場合と同様であり、それぞれ30W/m2〜3000W/m2、および、1秒〜1000秒の範囲で必要に応じて選択することができる。
【0023】
さらに、本発明においては、低圧プラズマおよびコロナ放電以外に、例えば、アーク放電による表面処理や火炎処理を適用することもできる。但し、この場合には、不織布に熱的なダメージを与えない程度で行うことが重要となる。また、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、トルエン等の有機溶剤にて洗浄を行ってもよく、熱処理(例えば、80℃〜140℃、1sec〜104sec)を、空気、窒素または酸素中で行うこともできる。本発明において特に好適なのは、前述の低圧プラズマおよびコロナ放電である。
【0024】
尚、本発明に係る上記前処理は、電極や処理の非対称性のために不織布両面を十分に処理しがたい場合には、必要に応じて両面に行うことも可能である。
【0025】
上述の前処理を行った後、処理後の不織布表面、即ち、不織布を構成するフィラメント表面に、被膜を形成する。被膜の形成は、物理的気相成長法(PVD)または化学的気相成長法(CVD)により行うことが好ましく、この場合、無溶剤であるために環境への汚染が少ないという利点がある。また、気相での成膜であるために、従来のディップ処理やメッキ処理のように、不織布を目詰りさせることがない。
【0026】
本発明に適用し得るPVD法としては、真空蒸着法、例えば、抵抗加熱蒸着、電子ビーム加熱蒸着、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション法、スパッタ法(例えば、直流スパッタ、高周波スパッタ、マグネトロンスパッタ、ECRスパッタ)、イオンビーム、イオンプレーティング法、例えば、高周波イオンプレーティング、イオン化クラスタビーム成膜法、またはイオンビーム法等が挙げられ、また、CVD法としては、熱CVD法、例えば、常圧CVD、減圧CVD、有機金属CVD、光CVD法、またはプラズマCVD法、例えば、直流プラズマCVD、高周波プラズマCVD、マイクロ波プラズマCVD若しくはECRプラズマCVD等が挙げられる。これらのうち、スパッタ法が好適に用いられ、特に好適には、マグネトロンスパッタ法である。
【0027】
スパッタ法が好ましい理由としては、第1に、基材である不織布表面の温度が低温での成膜が可能であることが挙げられる。第2には、通常は成膜時の動作圧力が5×10-2Pa〜1×101Paと比較的高く、不織布からのアウトガスによる影響が少ないことである。第3には、ターゲットからスパッタした粒子が直進して基材である不織布表面に到達する前にアルゴン(Ar)等の雰囲気ガスにより散乱される可能性が高いために、「回り込み」が起きやすいことが挙げられる。即ち、この「回り込み」の効果により、不織布が極めて複雑な形状をしているにもかかわらず、不織布のターゲットに面していない部分や陰になっている部分にも良好に成膜を行うことができる。
【0028】
スパッタ条件、特には、マグネトロンスパッタ条件としては、例えば、雰囲気ガスは、不活性ガス、例えば、Ar、He、Ne、Kr、特にはArに対し、必要に応じて反応ガス、例えば、酸化系の場合はO2、H2O等、窒化系の場合はN2、NH3等、また炭化系の場合はCH4等を混ぜてもよい。反応ガスと不活性ガスとの混合比(供給ガスの体積比)は、100/0〜0/100(不活性ガス/反応ガス)、 好ましくは100/0〜20/80である。
【0029】
また、この場合にも、必要に応じて、基材である不織布付近にバイアス電圧を印加してもよい。その場合、直流、交流いずれのバイアスも可能である。交流の場合、パルス、または高周波(rf)が好ましい。直流の場合、好ましくは−1kV〜+1kVの電圧範囲である。
【0030】
ガス圧は、スパッタできる圧力であればいかなる値でもよいが、好ましくは1×10-2Pa〜5×102Pa、より好ましくは5×10-2Pa〜5×101Paである。また、電源周波数(ターゲットへ供給)は公知の直流、交流のいずれを用いてもよい。一般に、直流電源、高周波(rf)電源などが用いられるが、パルス電源を用いてもよい。ターゲットと基材の間に誘導性プラズマを発生させてスパッタ中の粒子を活性化する、いわゆるイオン化マグネトロンスパッタ(ionized magnetron sputtering)や、直流高周波重畳型電源でのスパッタも可能である。
【0031】
このような気相成長により形成される被膜の平均膜厚は、好ましくは5×10-10m〜1×10-5m、より好ましくは1×10-9m〜5×10-7mである。この膜厚が薄すぎると接着性が不十分となり、一方、厚すぎると被膜の内部応力により基材から剥離する傾向がある。かかる被膜は、不織布の繊維表面に硫化反応に必要なだけ形成されていればよく、必ずしも均一形成されている必要はない。成膜中、あるいは成膜後に、大気中にさらした際に空気中の酸素や水蒸気と反応して、被膜中に酸素や水素などの不純物が混入することがある。また、必要に応じて、成膜後にさらに、プラズマ処理、イオンインプランテーション、イオン照射、熱処理などを施して、被膜の表面状態、反応性、内部応力等を向上させてもよい。
【0032】
本発明において使用し得る被膜の材料は、硫黄と反応可能な金属または金属化合物であり、合金、酸化物、窒化物も含まれ、ゴム加硫時にゴム中の硫黄と硫化反応する材料であればいかなるものでもよい。例えば、Co、Cu、Zn、Cr、Al、Ag、Ni、Pb、Si、Ti、Wやこれらのうち2種類またはそれ以上からなる合金、さらにはこれらの酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、硫酸化合物などの化合物を用いることができる。特に、Co、Co/Cr合金、Cu/Zn合金、Cu/Al合金等の金属、合金、またはこれらの酸化物を好適に用いることができる。より好ましくは、CoまたはCoの酸化物である(特開昭62−87311号、62−246278号、特開平1−290342号公報参照)。ここで、酸化物、窒化物、炭化物等の化合物は、化学量論的な値により得られたものであってもそうでなくてもよい。好ましくは、化学量論的な値に比べ金属元素の比率が大きいものとする。
【0033】
不織布表面に成膜後、未加硫ゴムを被覆して加熱圧着する際、ゴム加硫時に上述の被膜とゴムとの硫化反応により接着が生ずると考えられる。ここで、加硫と硫化は競合反応であり、両者が好適に行われるためには反応性のマッチングが必要である。スパッタ成膜では、成膜時に、Ar等の不活性ガスに加えて、酸素、窒素等の反応ガスを適量加えて適度な硫化反応性を持つ化合物薄膜を形成することが容易である。
【0034】
本発明において使用する不織布とゴムとの複合化は、プレスまたはロールなどによりシート状未加硫ゴム組成物を上下両面または片面から圧着して、不織布内部の空気をゴムと置換することにより行われる。
【0035】
尚、本発明において使用し得るゴム組成物は、特に制限されるべきものではなく、例えば、タイヤやベルトにおいて慣用されているゴム組成物を好適に用いることができる。よって、ゴム成分としては天然ゴムおよび合成ゴムのいずれでもよく、また加硫剤、加硫促進剤、補強材、老化防止剤、軟化剤等を適宜配合することができる。
【0036】
本発明のゴム系複合材料を適用したゴム物品の一実施の形態に係るラジアルタイヤの横断面を図1に示す。このタイヤでは、コード方向がタイヤ1のラジアル方向に向く一層のカーカス層2の両端末が左右一対のビードワイヤ3a、3bの周りに巻回されて折り返され、該カーカス層2のタイヤ半径方向の上部に2層のスチールベルト4がリング状に配置され、更にその上部のタイヤ踏面部5にはトレッドゴム6が配置されている。また、トレッドゴム6の両サイドのカーカス層上には、ゴム系複合材料8a、8bを介してサイドウォールゴム7a、7bが貼着されている。この例では、ゴム系複合材料8a、8bが、カーカス層2とサイドウォールゴム7a、7bとの間にて、夫々ビードフィラー9a、9bの上端からベルト部の最大幅端近傍に至るまで配設されている。
【0037】
本発明において、かかるゴム系複合材料は、カーカス層とサイドウォールとの間あるいはカーカス層とインナーライナー層との間にて、ビード部下端からベルト部の最大幅端に至るまでの間の少なくとも10mm以上にわたり配設されてなる。10mm未満であると操縦安定性向上の効果が十分でなく、好ましくない。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
不織布(繊維種:ポリエステル、繊維径:25μm、目付質量:40g/m2、厚さ:5mm)の表面(両面)を、下記の表1に示す条件にて低圧プラズマ法またはコロナ放電により前処理した後、表2に示す条件にてCoターゲット(純度3N)をスパッタして、Coおよびその酸化膜を両面に成膜した。尚、表1に示す前処理における電力密度は不織布1m2あたりに投入される電力とした。また、比較例1および2として、前処理なしでCo成膜を施した不織布および前処理もCo成膜も施さなかった不織布を夫々用意した。
【0039】
【表1】
Figure 0004841732
【0040】
【表2】
Figure 0004841732
【0041】
上記の不織布を未加硫ゴムで両面から挟んで被覆一体化したゴム系複合材料を補強部材層として、図1に示すように、カーカス層とサイドウォールとの間にて夫々ビードフィラーの上端から50mmにわたり貼り付けした。このようにして得られた、未加硫ゴム複合材料を繊維補強部材層として適用した生タイヤを成型し、続いて加硫成型を施し、タイヤサイズ195/60R15、カーカスプライPET1670dtex/2のラジアルタイヤを夫々試作した。また、従来例として、不織布ではなく繊維コードの簾織りを補強部材層として適用した以外は同様にしてラジアルタイヤを試作した。これらタイヤについて、操縦安定性試験および高荷重ドラム耐久性試験を以下のようにして実施した。
【0042】
<操縦安定性>
試作タイヤを車輌(国産FF2000cc)に装着し、速度40〜120km/hで直進、レーンチェンジの条件にて実車走行を行い、ドライバーのフィーリングにより操縦安定性を評価した。評価はコントロールとしての従来例との対比で以下に示すように区分し、その合計点数をコントロールを100とした指数で表示した。
0:変わらない
+2:やや良いと思われる
+4:やや良い
+8:良い
【0043】
<高荷重ドラム耐久性>
試作タイヤを、25℃±2℃の室内中でJATMA規格の最大空気圧に調整後、24時間放置し、空気圧の再調整を行い、JATMA規格の最大荷重の2倍荷重をタイヤに付加し、直径1.7mのドラム上で速度60km/hで走行させ、故障発生までの走行距離を測定した。結果は、従来例のタイヤの故障に至るまでの走行距離を100として指数表示した。数値が大なる程結果が良好である。得られた結果を下記の表3に示す。
【0044】
【表3】
Figure 0004841732
【0045】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、不織布と被膜との密着性、ひいては不織布とゴムとの接着性が高まり、タイヤやベルトコンベア等のゴム物品の補強材として使用した場合に、該ゴム物品の耐久性を向上することができるとともに、軽量化を図ることができる。特に、これをラジアルタイヤのサイドウォール部の補強材として使用した場合には、走行耐久性とともに、操縦安定性が大幅に改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例のラジアルタイヤの断面図である。
【符号の説明】
1 ラジアルタイヤ
2 カーカス層
3a,3b ビードワイヤ
4 ベルト
5 タイヤ踏面部
6 トレッドゴム
7a,7b サイドウォールゴム
8a,8b ゴム系複合材料
9a,9b ビードフィラー

Claims (5)

  1. 不織布と、該不織布表面に形成された被膜と、該被膜と接着し、前記不織布を被覆するゴムとからなるゴム系複合材料において、該不織布が、低圧プラズマ法またはコロナ放電により表面処理されるとともに、前記被膜が、物理的気相成長法(PVD)または化学的気相成長法(CVD)により形成されていることを特徴とするゴム系複合材料。
  2. 前記物理的気相成長法(PVD)としてスパッタ法を用いた請求項記載のゴム系複合材料。
  3. 前記被膜が、コバルトまたはコバルト酸化物からなる請求項1または2記載のゴム系複合材料。
  4. 請求項1〜のうちいずれか一項記載のゴム系複合材料を補強材として使用したことを特徴とするゴム物品。
  5. 請求項1〜のうちいずれか一項記載のゴム系複合材料を補強材として使用したことを特徴とするタイヤ。
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