JP2003011624A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JP2003011624A
JP2003011624A JP2001202613A JP2001202613A JP2003011624A JP 2003011624 A JP2003011624 A JP 2003011624A JP 2001202613 A JP2001202613 A JP 2001202613A JP 2001202613 A JP2001202613 A JP 2001202613A JP 2003011624 A JP2003011624 A JP 2003011624A
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rubber
pneumatic tire
nonwoven fabric
fiber
carcass
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JP2001202613A
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Tomohisa Nishikawa
智久 西川
Yukihiro Kusano
行弘 草野
Yugo Zuiko
裕吾 隨行
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走行時、特にランフラット走行時において
も、カーカス内において接着劣化を起さず、更に耐久性
を向上させた空気入りタイヤを提供すること。 【解決手段】 カーカスプライの補強コードを、DSC
で測定した融点が250°C以上のナイロン66とした
ので、高温においてもゴム部材との強固な接着が得ら
れ、ランフラット走行時にタイヤ温度が高温となっても
補強コードとゴムとの剥離を抑制することができる。不
織布をゴム被覆したゴム−不織布複合体9がサイドウォ
ール部10に配置されてサイドウォール部10の剛性が
高められているので、ランフラット走行時の操縦安定性
を確保することができる。不織布を構成するフィラメン
ト繊維の表面には、硫黄と反応可能な金属または金属化
合物の被膜が形成されており、この被膜がフィラメント
繊維と被覆ゴムとの接着性を向上させているので、サイ
ドウォール部10の耐久性を更に向上することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気入りタイヤに
関し、さらに詳しくは、耐久性にすぐれ、さらに、内圧
低下時にも安全に走行できる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】ナイロン66などの脂肪族ポリアミド繊
維コードは、その強度も高く耐疲労性にも優れているこ
とから、タイヤ補強用コードとしてかなり使用されてい
る。
【0003】しかし、空気入りタイヤ用としては必ずし
も満足のいく結果が得られなかった。
【0004】近年、これらの繊維コードに代わり、寸法
安定性に優れ、しかも高強度のポリエステル繊維コード
をタイヤ補強用として使用することにより、空気入りタ
イヤの格段の改良がなされた。
【0005】ポリエステル繊維としては、特にポリエチ
レンテレフタレート繊維(PET)が、そのヤング率が
ナイロン66繊維よりも高くてレーヨンと同程度であ
り、且つ他の繊維素材に比べて物性のバランスがとれて
いることから、タイヤコード等のゴム補強材として汎用
されている。
【0006】しかしながら、PETは室温では比較的高
いヤング率を有するものの、加熱時にはヤング率が低下
して寸法安定性が低下する傾向にある。
【0007】そのため、ゴム補強用等の産業資材用に製
造された高ヤング率のPETであっても、加熱時にはそ
のヤング率が通常の衣料用PETと同じ程度まで低下す
るという可能性がある。
【0008】また、充分な延伸熱処理を施したポリエチ
レン−2,6−ナフタレート繊維(PEN)は室温にお
いてPETの2倍近いヤング率を有している。
【0009】しかも、そのようなPENは、100°C
以上の加熱条件下でも高いヤング率を有し、さらに15
0°Cでの乾熱収縮率が2%以下という優れた熱寸法安
定性を有していることから、タイヤコード等のゴム補強
材としての使用が試みられている。
【0010】しかし、タイヤの内圧が低下した時の走
行、所謂ランフラット走行時は、タイヤの内部発熱が極
めて高くなる。
【0011】PETの場合は、高温時の接着特性が十分
でないため、ランフラット走行末期の故障形態はコード
とゴムの剥離が故障の原因となる。
【0012】そこで、上記問題を解決するために、カー
カスプライの補強コードを脂肪族ポリアミド繊維とする
と共に、不織布をゴム被覆したゴム−不織布複合体をサ
イドウォール部に埋設し、ランフラット走行時において
も、カーカス内において接着劣化を起さず、耐久性に優
れた空気入りタイヤ(特開平11−254919号公
報)が提案された。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】カーカスプライの補強
コードを脂肪族ポリアミド繊維とすると共に、不織布を
ゴム被覆したゴム−不織布複合体をサイドウォール部に
埋設した上記空気入りタイヤは、ランフラット走行時に
おいても、カーカス内において接着劣化を起さず、耐久
性が向上したが、近年では、更なる耐久性の向上が望ま
れてきた。
【0014】本発明は、走行時、特にランフラット走行
時においても、カーカス内において接着劣化を起さず、
更に耐久性を向上させた空気入りタイヤを提供すること
が目的である。
【0015】
【課題を解決する手段】発明者らが種々実験検討を重ね
た結果、不織布を構成するフィラメント繊維の表面に、
被覆ゴムとの接着性を向上するための被膜を形成するこ
とにより、ゴム−不織布複合体の耐久性を向上でき、こ
れによって空気入りタイヤの耐久性を更に向上できるこ
とを見出した。
【0016】請求項1に記載の発明は、左右一対のビー
ド部と、並列された複数の補強コードが被覆ゴム中に埋
設されたカーカスプライの1枚以上からなるカーカス層
と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されたト
レッド部と、該トレッド部の左右に配置された一対のサ
イドウォール部とを備えた空気入りタイヤにおいて、上
記サイドウォ−ル部には、表面に硫黄と反応可能な金属
または金属化合物の物理的気相成長法(PVD)または
化学的気相成長法(CVD)により形成された被膜を有
した複数のフィラメント繊維からなる不織布をゴム被覆
した少なくとも1枚のゴム−不織布複合体と、カーカス
プライの内側に配設され断面が三日月状のゴム補強層
と、を有することを特徴としている。
【0017】次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0018】断面が三日月状(タイヤ径方向中間部分が
最も厚く、タイヤ径方向内端及びタイヤ径方向外端に向
けて徐々に薄くなる形状のことを指す。)のゴム補強層
と、不織布をゴム被覆した少なくとも1枚のゴム−不織
布複合体とがサイドウォール部に埋設されてサイドウォ
ール部の剛性が高められているので、ランフラット走行
時の操縦安定性を確保することができる。
【0019】ランフラット走行時の最大屈曲部分にあた
るサイドウォール部に不織布をゴム被覆したゴム−不織
布複合体を埋設することで、ランフラット走行時の縦バ
ネが、ゴム−不織布複合体ゴムを同一ゲージのゴムで置
き換えたタイヤ対比で高くなり、ゴム補強層の発熱が抑
制でき、ランフラット耐久性が向上する。また、ランフ
ラット走行中のゴム補強層への圧縮変形による応力集中
が緩和され、ゴム破壊までの寿命を延ばすことができ、
ランフラット走行中の急激な発進、加速、停止による最
大屈曲部への局所的な入力を緩和し、ゴム補強層のクラ
ック発生を抑制できる。
【0020】なお、不織布を構成するフィラメント繊維
間にゴムが含浸することで、ゴムと強固に接着したフィ
ラメント繊維の移動やゴムの変形を互いに拘束し合うこ
とができ、高弾性化する。
【0021】特に、本発明の空気入りタイヤでは、フィ
ラメント繊維の表面に硫黄と反応可能な金属または金属
化合物の物理的気相成長法(PVD)または化学的気相
成長法(CVD)により形成された被膜が形成されてお
り、この被膜がフィラメント繊維と被覆ゴムとの接着性
を向上させているので、サイドウォール部の耐久性を更
に向上することができる。
【0022】なお、不織布を構成するフィラメント繊維
としては、綿、レーヨン、セルロースなどの天然高分子
繊維、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、ポリエス
テル、ポリビニルアルコール、ポリイミドなどの合成高
分子繊維、及びカーボン繊維、ガラス繊維、スチールワ
イヤのうちから選択した一種又は複数種の繊維を混合す
ることが出来るが、高温時の寸法安定性の観点から、芳
香族ポリアミド、レーヨン、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレート、ポリイミド、及びカーボン繊維、ガラス繊
維、スチールワイヤが好ましい。
【0023】芳香族ポリアミド繊維としては、パラ系ア
ラミド繊維が好ましい。具体的には、コポリパラフェニ
レン−3,4−オキシジフェニレンテレフタルアミド、
ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニ
レンテレフタルアミド、ポリパラフェニレンイソフタル
アミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドが上げら
れるが、パラ系アラミド繊維が好ましく、市販品として
は、帝人(株)製テクノーラ(商標)、デュポン社製ケ
ブラー(商標)として入手することができる。
【0024】また、本発明で使用する有機あるいは無機
繊維は、いくつかの成分が層になった多層構造や、中空
糸や多孔構造など繊維内部に空隙がある構造であっても
構わない。また、繊維の断面形状は、円形、楕円形、米
字型、花弁型など、種々形態を取り得るが、好ましくは
円形又は楕円形など、表面に凹凸が少ない断面である。
その表面に凹凸の少ない断面とは、外部からの電界や粒
子の照射されたとき、繊維表面の凹凸により、繊維表面
に外部から電界や粒子の影ができにくい断面形状を意味
する。
【0025】不織布は、フィラメント繊維の間までゴム
が含浸し、フィラメント繊維表面にできる限りゴムが接
着した構造を有していることが重要な基本要件である。
【0026】不織布の製法としてニードルパンチ法、カ
ーディング法、メルトブロー法及びスパンボンド法など
が適合する。
【0027】これらの製法のうちとりわけ、水流又は針
でフィラメントを交絡させるカーディング法及びフィラ
メントを互いに接合させるスパンボンド法により得られ
る不織布が好適に用いられる。
【0028】ゴムと不織布との複合体化は、プレスまた
はヒートロールなどによりシート状未加硫ゴム組成物を
上下両表面又は片面から不織布に対して圧着して、不織
布内部の空気を未加硫ゴム組成物と十分に置換する。
【0029】未加硫ゴム組成物の流動性によっては、実
質的に加硫反応が開始しない程度の温度条件下で圧着を
行うことも必要である。
【0030】また、他の方法としては、未加硫ゴム組成
物を溶媒を用いて液状化させ、不織布に塗布することで
タッキネスを付与する方法もある。
【0031】本発明のカーカスプライ、ゴム−不織布複
合体、ゴム補強層に使用されるゴム成分は特に制限され
ないが、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム
(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソ
プレンゴム(IR)を用いることができる。
【0032】ゴム−不織布複合体に使用するゴム組成物
の物性に関し、50%伸長時の引っ張り応力(M50)
は2〜9MPa、100%伸長時の引っ張り応力(M1
00)は4〜15MPaであるのが望ましい。
【0033】このカーカスプライを適用してグリーンタ
イヤを成型し、これに加硫成型を施す。
【0034】本発明にかかる空気入りタイヤのカーカス
の構造に付いては特に制限はなく、カーカスプライが一
層の所謂1P構造、カーカスプライが二層の所謂2P構
造、カーカスプライが三層の所謂3P構造等が挙げられ
る。
【0035】それぞれのカーカスプライは、ビード部の
周りを巻き上げたいわゆる折り返しプライでも、ビード
部に向かって降りているいわゆるダウンプライでもよ
く、折り返しプライのプライ端がベルト下まで延びてい
る所謂エンベロープ構造でもよい。
【0036】ただし、少なくとも一層は折り返しプライ
とする。
【0037】ゴム−不織布複合体は、サイドウォール部
の少なくとも一部に配置されていればよいが、ビードコ
アからベルト下までのサイドウォール部全体に配設され
ていてもよい。
【0038】また、カーカスプライの内側に配設されて
も、外側に配設されてもよく、複数のカーカスプライの
間に配設されてもよい。
【0039】本発明においては、不織布を構成するフィ
ラメント繊維表面に、硫黄と反応可能な金属または金属
化合物の被膜を物理的気相成長法(PVD)または化学
的気相成長法(CVD)により形成しているが、PVD
またはCVDにより被膜を形成することは、無溶剤であ
るため環境への汚染が少ないという利点がある。
【0040】また、気相での成膜のため、従来のディッ
プ処理やメッキ処理のように不織布を目詰りさせないと
いう利点もある。
【0041】本発明に適用し得るΡVD法としては、真
空蒸着法、例えば、抵抗加熱蒸着、電子ビーム加熱蒸
着、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション
法、スパッタ法、例えば、直流スパッタ、高周波スパッ
タ、マグネトロンスパッタ、ECRスパッタ、イオンビ
ーム、イオンプレーティング法、例えば、高周波イオン
プレーティング、イオン化クラスタビーム成膜法、また
はイオンビーム法等が挙げられ、また、CVD法として
は、熱CVD法、例えば、常圧CVD、減圧CVD、有
機金属CVD、光CVD法、またはプラズマCVD法、
例えば、直流プラズマCVD、高周波プラズマCVD、
マイクロ波プラズマCVD若しくはECRプラズマCV
D等が挙げられる。
【0042】これらのうち、スパッタ法が好適に用いら
れ、特に好適にはマグネトロンスパッタ法である。
【0043】スパッタ法が好ましい理由として、第1に
基材である不織布表面の温度が低温での成膜が可能であ
ることが挙げられる。
【0044】第2に、通常は成膜時の動作圧力が5×1
-2Pa〜1×101Paと比較的高く、不織布からの
アウトガスによる影響が少ないことである。
【0045】第3に、ターゲットからスパッタした粒子
は、直進して基材である不織布表面に到達する前にアル
ゴン(Ar)等の雰囲気ガスにより散乱される可能性が
高く、「回り込み」が起きやすいことが挙げられる。
【0046】即ち、この「回り込み」のため、不織布は
極めて複雑な形状をしているにもかかわらず、不織布の
ターゲットに面していない部分や陰になっている部分に
も好適に成膜させることができる。
【0047】スパッタ条件、特には、マグネトロンスパ
ッタ条件として、例えば、雰囲気ガスは、不活性ガス、
例えば、Ar、He、Ne、Kr、特にはArに、必要
に応じて反応ガス、例えば、酸化系の場合はO2、H2
等、窒化系の場合はN2、NH3等、また炭化系の場合は
CH4等を混ぜてもよい。
【0048】反応ガスと不活性ガスとの混合比(供給ガ
スの体積比)は、100/0〜0/100(不活性ガス
/反応ガス)、好ましくは100/0〜20/80であ
る。
【0049】また、必要に応じて基材である不織布にバ
イアス電圧を印加してもよい。
【0050】その場合、直流、交流いずれのバイアスも
可能である。
【0051】交流の場合、パルス、または高周波(r
f)が好ましい。直流の場合、好ましくは−1kV〜+
1kVの電圧範囲である。
【0052】ガス圧は、スパッタできる圧力であればい
かなる値でもよいが、好ましくは1×10-2Pa〜5×
102Pa、より好ましくは5×10-2Pa〜1×101
Paである。
【0053】また、電源周波数(ターゲットへ供給)は
公知の直流、交流のいずれを用いてもよい。
【0054】一般に、直流電源、高周波(rf)電源な
どが用いられるが、パルス電源を用いてもよい。
【0055】ターゲットと基材の間に誘導性プラズマを
発生させてスパッタ中の粒子を活性化する、いわゆるイ
オン化マグネトロンスパッタ(ionized mag
netron sputtering)も可能である。
【0056】このような気相成長により形成される被膜
の平均膜厚は、好ましくは5×10 -10m〜1×10-5
m、より好ましくは1×10-8m〜5×10-7mであ
る。
【0057】この膜厚が薄すぎると接着性が不十分とな
り、一方、厚すぎると被膜の内部応力により基材から剥
離する傾向がある。
【0058】かかる被膜は、不織布の繊維表面に硫化反
応に必要なだけ形成されていればよく、必ずしも均一形
成されている必要はない。
【0059】成膜中、あるいは成膜後に、大気中にさら
した際に空気中の酸素や水蒸気と反応して、被膜中に酸
素や水素などの不純物が混入することがある。
【0060】また、必要に応じて、成膜後にプラズマ処
理、イオンインプランテーション、イオン照射、熱処理
などを施して、被膜の表面状態、反応性、内部応力等を
向上させてもよい。
【0061】また、成膜前に、必要に応じて不織布表面
を十分に清浄化することが望ましい。
【0062】清浄化方法としては、溶剤洗浄のほかに、
または溶剤洗浄に加えて、放電処理を好適に用いること
ができる。
【0063】さらには、いくつかの清浄化方法を組み合
わせて、洗浄効果を上げることもできる。
【0064】本発明において使用し得る硫黄と反応可能
な金属または金属化合物には、合金、酸化物、窒化物も
含まれ、ゴム加硫時にゴム中の硫黄と硫化反応する材料
であればいかなるものでもよい。
【0065】例えば、Co、Cu、Zn、Cr、Al、
Ag、Ni、Pb、Ti、Wやこれらのうち2種類また
はそれ以上からなる合金、さらにはこれらの酸化物、窒
化物、炭化物、硫化物、硫酸化合物などの化合物を用い
ることができる。
【0066】特に、Co、Co/Cr合金、Cu/Zn
合金、Cu/Al合金等の金属、合金、またはこれらの
酸化物を好適に用いることができる。
【0067】より好ましくは、CoまたはCoの酸化物
である(特開昭62−87311号公報参照)。
【0068】ここで、酸化物、窒化物、炭化物等の化合
物は、化学量論的な値により得られたものであってもそ
うでなくてもよい。
【0069】好ましくは、化学量論的な値に比べ金属元
素の比率が大きいものとする。
【0070】不織布表面に成膜後、未加硫ゴムを被覆し
て加熱圧着する際、ゴム加硫時に上述の被膜とゴムとの
硫化反応により接着が生ずると考えられる。
【0071】ここで、加硫と硫化は競合反応であり、両
者が好適に行われるためには硫黄の反応性のバランスを
とることが必要である。
【0072】スパッタ成膜では、成膜時に、Ar等の不
活性ガスに加えて、酸素、窒素等の反応ガスを適量加え
て適度な硫化反応性を持つ化合物薄膜を形成することが
容易である。
【0073】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の空気入りタイヤにおいて、前記カーカスプライの補強
コードが、DSCで測定した融点が250°C以上の有
機繊維からなる、ことを特徴としている。
【0074】次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0075】カーカスプライの補強コードに、DSCで
測定した融点が250°C以上の有機繊維を用いること
により、ランフラット走行時に高温になるタイヤ内部で
補強コードが溶融せずにタイヤ形状を保持することがで
きる。
【0076】なお、カーカスプライの補強コードのDS
Cで測定した融点が250°C未満であると、高温時の
タイヤ形状の保持が困難となるため、ランフラット走行
時の耐久性が劣る。
【0077】なお、DSCで測定した融点が250°C
以上の有機繊維としては、好適には、脂肪族ポリアミ
ド、もしくはPENである。
【0078】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の空気入りタイヤにおいて、前記カーカスプライの補強
コードが、溶融しない有機繊維からなる、ことを特徴と
している。
【0079】次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0080】カーカスプライの補強コードが、溶融しな
い有機繊維であれば、ランフラット走行時に高温になる
タイヤ内部で補強コードが溶融せずにタイヤ形状を保持
することができる。
【0081】請求項4に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記カーカ
スプライの補強コードが、脂肪族ポリアミド繊維からな
る、ことを特徴としている。
【0082】次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0083】脂肪族ポリアミド繊維は、ポリエステル系
繊維と比較すると、ゴムとの接着性が高いので、さらに
ランフラット耐久性を向上することができる。
【0084】また、ポリアミド繊維は、熱、光、酸素等
に対する耐久性を付与するために、たとえば銅塩と酸化
防止剤からなる安定剤を配合して用いることができる。
【0085】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の空気入りタイヤにおいて、前記カーカスプライの補強
コードがナイロン66、又は、ナイロン46である、こ
とを特徴としている。
【0086】次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0087】脂肪族ポリアミド繊維としては、高温時の
接着特性の観点から、ナイロン66、または、ナイロン
46が好ましい。
【0088】請求項6に記載の発明は、請求項1または
請求項3に記載の空気入りタイヤにおいて、前記カーカ
スプライの補強コードが、レーヨンからなる、ことを特
徴としている。
【0089】次に、請求項6に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0090】高温時の寸法安定性の観点から、カーカス
プライの補強コードはレーヨンが好ましい。
【0091】請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請
求項6の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、
前記フィラメント繊維が、DSCで測定した融点が25
0°C以上の有機繊維からなる、ことを特徴としてい
る。
【0092】次に、請求項7に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0093】フィラメント繊維に、DSCで測定した融
点が250°C以上の有機繊維を用いることにより、ラ
ンフラット走行時に高温になるタイヤ内部で有機繊維が
溶融せず、補強効果を維持することができる。
【0094】なお、DSCで測定した融点が250°C
以上の有機繊維としては、好適には、脂肪族ポリアミ
ド、アラミド(芳香族ポリアミド)、もしくはPENで
ある。
【0095】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請
求項6の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、
前記フィラメント繊維が、脂肪族ポリアミド繊維または
芳香族ポリアミドからなる、ことを特徴としている。
【0096】脂肪族ポリアミド繊維、及び芳香族ポリア
ミドは、ポリエステル系繊維と比較すると、ゴムとの接
着性が高いので、さらにランフラット耐久性を向上する
ことができる。
【0097】また、ポリアミド繊維は、熱、光、酸素等
に対する耐久性を付与するために、たとえば銅塩と酸化
防止剤からなる安定剤を配合して用いることができる。
【0098】請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請
求項8の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、
前記硫黄と反応可能な金属または金属化合物が、コバル
トまたはコバルト酸化物である、ことを特徴としてい
る。
【0099】次に、請求項9に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0100】コバルトまたはコバルト酸化物は、何れも
ゴム組成物を加硫して通常の加硫時に加温される温度と
同程度の温度で圧着すると強固に接着して接着性の良い
ゴム−不織布複合体が得られる。
【0101】請求項10に記載の発明は、請求項1乃至
請求項9の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおい
て、前記ゴム−不織布複合体中のフィラメント繊維の含
有率が4から50重量%であることを特徴としている。
【0102】次に、請求項10に記載の空気入りタイヤ
の作用を説明する。
【0103】ゴム−不織布複合体中のフィラメント繊維
の割合が4重量%未満では、均一性が維持できず、補強
層としての剛性が発現しにくく好ましくない。
【0104】また、50重量%を超えると、ゴム−不織
布複合体において繊維連続層の比率が多くなり、ゴム−
不織布複合体の耐久性が低下し、タイヤとしての耐久性
が低下する傾向にあり好ましくない。
【0105】したがって、ゴム−不織布複合体中におけ
るフィラメント繊維の含有率は4から50重量%である
ことが好ましい。
【0106】請求項11に記載の発明は、請求項1乃至
請求項10の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおい
て、不織布の単体での厚さが、20g/cm2の加圧下
の測定で0.05〜2.0mmの範囲内、前記フィラメ
ント繊維の直径又は最大径が0. 0001〜0.1mm
の範囲内、前記フィラメント繊維の長さが8mm以上、
であることを特徴としている。
【0107】次に、請求項11に記載の空気入りタイヤ
の作用を説明する。
【0108】ゴム−不織布複合体に用いる不織布の単体
での厚さが、20g/cm2の加圧下の測定で0.05
mm未満では、不織布としての均一性を維持することが
困難となり、さらに、ゴム−不織布複合体の強度、剛性
が不足する。
【0109】一方、不織布の単体での厚さが、20g/
cm2の加圧下の測定で2.0mmを超えると、ゴムと
の複合化をしたときにゲージが厚くなり、タイヤ部材と
しての観点より好ましくない。
【0110】したがって、不織布の単体での厚さは、2
0g/cm2の加圧下の測定で0.05mmから2.0
mmの範囲であることが好ましい。なお、不織布の単体
での厚さは、20g/cm2の加圧下の測定で0.1m
mから0.5mmの範囲内であることが更に好ましい。
【0111】次に、不織布に用いるフィラメント繊維の
直径又は最大径が0.0001mm未満になると、ゴム
−不織布複合体の強度、剛性が不足する。
【0112】一方、不織布に用いるフィラメント繊維の
直径又は最大径が0.1mmを超えると、不織布のフィ
ラメント繊維の端末が故障核となる憂いが大きくなり、
また、不織布の繊維自体の皮表面積が小さくなり、接着
が弱くなる。
【0113】したがって、不織布に用いるフィラメント
繊維の直径又は最大径は、0.0001mmから0.1
mmの範囲内が好ましい。なお、不織布に用いるフィラ
メント繊維の直径又は最大径は、0.0001mmから
0.005mmの範囲内が更に好ましい。
【0114】また、フィラメント繊維の長さが短いと、
フィラメント繊維−フィラメント繊維間の絡み合いが十
分でなく、補強層としての強度を保持できなくなる傾向
がある。
【0115】したがって、不織布に用いるフィラメント
繊維の長さは、8mm以上が好ましく、10mm以上が
更に好ましい。
【0116】請求項12に記載の発明は、請求項1乃至
請求項11の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおい
て、前記不織布の目付けが10から300g/m2であ
る、ことを特徴としている。
【0117】次に、請求項12に記載の空気入りタイヤ
の作用を説明する。
【0118】ゴム−不織布複合体に用いる不織布の目付
が300g/m2を超えると、ゴムの流動性にもよる
が、不織布内部の空隙にゴムが浸透しなくなり、タイヤ
部材として考えた場合、ゴム−不織布複合体としての耐
剥離性の観点から好ましくない。
【0119】また、ゴム−不織布複合体に用いる不織布
の目付が10g/m2未満では、不織布自体の均一性を
維持することが困難となりムラの多い不織布となり、タ
イヤの強度、剛性、破断伸度のバラツキが大きくなるた
め好ましくない。
【0120】なお、ゴム−不織布複合体に用いる不織布
の目付は、より好ましくは10g/m2〜100g/m2
の範囲内である。
【0121】請求項13に記載の発明は、請求項1乃至
請求項12の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおい
て、前記不織布は、タイヤ内周面に配置されるインナー
ライナーと前記ゴム補強層との間に配置されている、こ
とを特徴としている。
【0122】断面が三日月状のゴム補強層には硬いゴム
が使用されるので、ランフラット走行時に荷重を支える
為の圧縮変形に適した物性となっているが、引張り方向
や捩り方向の応力にはあまり強くない。
【0123】例えば、ランフラット走行中に横力(スリ
ップアングルが付与された状態)と前後力(制動力もし
くは駆動力)が加わった時に、ゴム補強層には大きな捩
り変形の応力が加わる。
【0124】その応力が局所的にゴム補強層にかかった
場合に、補強ゴムにクラックが発生する。
【0125】請求項13に記載の空気入りタイヤでは、
上記のような変形において最も故障が起こりやすいゴム
補強層の最内面に不織布を配置することで、その変形に
対し、ゴム−不織布複合体が有する「局所的な変形を抑
制して領域の広い変形となる」性質を用いて、上記のよ
うな入力時の変形に対し、ゴム補強層のある一部分にか
かる局所的な変形を防ぐことができる。
【0126】また、上記のような変形がかかった場合
に、故障が起きる前の最初に起こる現象としては、異素
材間界面のセパレーションである。
【0127】特に、サイド補強部に複合的な捩り変形が
かかった場合、その層間界面にかかる剪断的な歪みは非
常に大きくなる。
【0128】請求項13に記載の空気入りタイヤでは、
そのセパレーションを防ぐために界面の異素材間の接着
を強固なものにするため、不織布のフィラメント繊維に
表面処理を施し、ゴム−不織布間の化学結合を強固なも
のとすることが出来るため、上記のような入力を与えた
場合でも界面のセパレーションが起こることも無く、結
果として、耐ランフラット性能を高めることができる。
【0129】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施形態にかか
る空気入りタイヤの一例を図を用いて説明する。
【0130】図1には、本発明の適用された実施形態の
空気入りタイヤ1の断面が示されている。
【0131】図1において、カーカス4は、空気入りタ
イヤ1のラジアル方向に、実質的に互いに平行に配設さ
れた、DSCで測定した融点が250°C以上の脂肪族
ポリアミド繊維、本実施形態ではナイロン66製のコー
ドで補強された折り返しプライ4a、及び、該折り返し
プライ4aの外側に配設されたダウンプライ4bとの二
枚のカーカスプライから成る2P構造であり、その折り
返しプライ4aの端は、それぞれ、左右一対のビードコ
ア6及び、ビードフィラー7からなるビード部の周りに
巻回されて折り返されている。
【0132】該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方
向外側には、スチールコードで補強された2枚のベルト
プライから成るベルト5が配設され、さらに、該ベルト
5のタイヤ半径方向外側に、トレッドゴム3が配設され
ている。
【0133】また、該トレッドゴム3の両サイドのカー
カス4の外側には、サイドウォールゴム2が配設されて
いる。
【0134】サイドウォール部10には、折り返しプラ
イ4aの内側に、荷重を分担支持する、断面が三日月型
をしたゴム補強層8が配設されており、さらに、該ゴム
補強層8の内側に、表面に硫黄と反応可能な金属または
金属化合物の物理的気相成長法(PVD)または化学的
気相成長法(CVD)により形成された被膜を有した複
数のフィラメント繊維からなる不織布をゴム被覆したゴ
ム−不織布複合体9が1枚配設されている。
【0135】なお、本実施形態では、不織布のフィラメ
ント繊維にアラミド繊維を用いている。
【0136】また、タイヤ最内面には、インナーライナ
ー12が設けられている。
【0137】ゴム補強層8は、表1に従う配合で加硫後
の硬度が80度のゴム組成物よりなり、最大厚みが11
mmである。
【0138】
【表1】
【0139】 *1:BR01(商標 ジェイエスアール(株)製) *2:FEF *3:スピンドルオイル *4:ノクラック6C(商標、大内新興化学工業
(株)) *5:ノクセラーNS(商標、大内新興化学工業
(株)) また、ゴム−不織布複合体9に用いられたゴム組成物
も、ゴム補強層8に用いられたゴムと同じである。
【0140】ゴム−不織布複合体9に使用するゴム組成
物の物性に関し、50%伸長時の引っ張り応力(M5
0)は2〜9MPa、100%伸長時の引っ張り応力
(M100 )は4〜15MPaであるのが望ましい。
【0141】ゴム−不織布複合体9に用いる不織布の単
体での厚さは、0.05〜2.0mmの範囲内が好まし
く、0.1mmから0.5mmの範囲内が更に好まし
い。
【0142】不織布の目付けは、10から300g/m
2であることが好ましく、10〜100g/m2の範囲内
が更に好ましい。
【0143】ゴム−不織布複合体9のフィラメント繊維
の含有率は、4から50重量%であることが好ましい。
【0144】フィラメント繊維の直径又は最大径は、
0. 0001〜0.1mmの範囲内が好ましく、0.0
001mmから0.005mmの範囲内が更に好まし
い。
【0145】フィラメント繊維の長さは、8mm以上が
好ましく、10mm以上が更に好ましい。
【0146】また、硫黄と反応可能な金属または金属化
合物は、コバルトまたはコバルト酸化物であることが好
ましい。 (作用)次に、本実施形態の空気入りタイヤ1の作用を
説明する。
【0147】この空気入りタイヤ1のカーカスプライの
補強コードは、DSCで測定した融点が250°C以上
のナイロン66であるので、ランフラット走行時に高温
になるタイヤ内部で補強コードが溶融せずにタイヤ形状
を保持することができる。
【0148】また、脂肪族ポリアミド繊維であるナイロ
ン66は、ポリエステル系繊維と比較すると、温度が高
温となってもゴムとの接着性が高いので、補強コードと
ゴムとの剥離を抑制でき、さらにランフラット耐久性を
向上することができる。
【0149】また、不織布のフィラメント繊維に、DS
Cで測定した融点が250°C以上のアラミド(芳香族
ポリアミド)繊維を用いたので、ランフラット走行時に
高温になるタイヤ内部でアラミド繊維は溶融せず、補強
効果を維持することができる。さらに、アラミド繊維
は、ポリエステル系繊維と比較すると、ゴムとの接着性
が高いので、さらにランフラット耐久性を向上すること
ができる。
【0150】なお、補強コードのDSCで測定した融点
が250°C未満であると、高温時のタイヤ形状の保持
が困難となるため、ランフラット走行時の耐久性が劣
る。
【0151】同様に、フィラメント繊維のDSCで測定
した融点が250°C未満であると、ランフラット走行
時の耐久性が劣る。
【0152】さらに、断面が三日月状のゴム補強層8
と、不織布をゴム被覆したゴム−不織布複合体9とがサ
イドウォール部10に設けられてサイドウォール部10
の剛性が高められているので、ランフラット走行時の操
縦安定性を確保することができる。
【0153】ここで、不織布を構成するフィラメント繊
維の表面には、硫黄と反応可能な金属または金属化合物
の物理的気相成長法(PVD)または化学的気相成長法
(CVD)により形成された被膜が形成されており、こ
の被膜がフィラメント繊維と被覆ゴムとの接着性を向上
させているので、サイドウォール部10の耐久性を更に
向上することができる。
【0154】なお、フィラメント繊維の長さが8mm未
満であると、フィラメント繊維−フィラメント繊維間の
絡み合いが十分でなく、補強層としての強度を保持でき
なくなる。
【0155】ゴム−不織布複合体9に用いる不織布の単
体での厚さ(20g/cm2の加圧下で測定)が0.0
5mm未満では、不織布としての均一性を維持すること
が困難となり、さらに、ゴムとの複合体としての強度、
剛性が不足する。
【0156】一方、ゴム−不織布複合体9に用いる不織
布の単体での厚さが2.0mmを超えると、ゴムとの複
合化をしたときにゲージが厚くなり、タイヤ部材として
の観点より好ましくない。
【0157】ゴム−不織布複合体9中のフィラメント繊
維の割合が4重量%未満では、均一性が維持できず、補
強層としての剛性が発現しにくく好ましくない。
【0158】また、ゴム−不織布複合体9中のフィラメ
ント繊維の割合が50重量%を超えると、ゴム−不織布
複合体9において繊維連続層の比率が多くなり、ゴム−
不織布複合体の耐久性が低下し、タイヤとしての耐久性
が低下する傾向にあり好ましくない。
【0159】不織布の目付が300g/m2を超える
と、ゴムの流動性にもよるが、不織布内部の空隙にゴム
が浸透しなくなり、タイヤ部材として考えた場合、ゴム
−不織布複合体9としての耐剥離性の観点から好ましく
ない。
【0160】また、不織布の目付が10g/m2未満で
は、不織布自体の均一性を維持することが困難となりム
ラの多い不織布となり、タイヤ加硫後のタイヤ内のゴム
−不織布複合体の強度、剛性、破断伸度のバラツキが大
きくなるためタイヤ剛性としてのバラツキが大きくなり
好ましくない。
【0161】次に、不織布に用いるフィラメント繊維の
直径又は最大径が0.0001mm未満になると、ゴム
−不織布複合体の強度、剛性が不足する。
【0162】一方、不織布に用いるフィラメント繊維の
直径又は最大径が0.1mmを超えると、不織布のフィ
ラメント繊維の端末が故障核となる憂いが大きくなり、
また、不織布の繊維自体の皮表面積が小さくなり、接着
が弱くなる。
【0163】なお、ゴム−不織布複合体9が配置される
位置は図1に示す位置に限らず、図2〜図13に示すよ
うに、少なくともサイドウォール部10内に配置されて
いれば良い。
【0164】また、カーカスプライの枚数、及びカーカ
スプライ端の位置も図1に示すものに限らない(図2〜
図13参照。)。
【0165】ここで、図1に空気入りタイヤ1において
サイドウォール部10とは、トレッド端3aを通ると共
にトレッド踏面に垂直な法線Aと、ビードフィラー7の
タイヤ径方向外側端を通ると共にタイヤ外表面に垂直な
法線Bとの間を指す。
【0166】なお、トレッド端3aとは、空気入りタイ
ヤ1をJATMA YEAR BOOK(2001年度
版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準
リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適
用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力
(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧
(最大空気圧)の100%の内圧を充填したときのタイ
ヤ幅方向の接地端のことである。なお、使用地又は製造
地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される
場合は各々の規格に従う。 (試験例)本発明の効果を確かめるために、従来例のタ
イヤ、比較例のタイヤ、及び本発明の適用された実施例
のタイヤを用意し、ランフラット(RF)耐久性試験
(RFドラム、及び定常円旋回)を行った。
【0167】RFドラム試験:エアバルブのバルブコア
を抜き(内圧0kPa)にて、荷重5.88N、速度8
0km/hでドラム走行し、タイヤ故障までの距離を計
測した。
【0168】定常円旋回:国産の排気量3000ccF
R車の前右輪のエアバルブのバルブコアを抜き(0kP
a)、半径50mを速度50km/hで反時計回り定常
円旋回した場合のタイヤ故障までの周回数を計測した。
【0169】評価は何れも、従来例を100とする指数
で表しており、数値が大きいほどランフラット走行性能
に優れていることを表している。
【0170】なお、供試タイヤは、何れもタイヤサイズ
が225/R6016 2P(1PUP/1PDOW
N)であり、7JJ×16のリムに組みつけている。
【0171】
【表2】
【0172】試験の結果から、本発明の適用された実施
例のタイヤは、従来例及び比較例のタイヤに比較して、
ランフラット耐久性が向上していることが分る。
【0173】
【発明の効果】以上説明したように本発明の空気入りタ
イヤは上記の構成としたので、走行時、特にランフラッ
ト走行時においても、操縦安定性を向上でき、かつ従来
よりも更に耐久性を向上することができる、という優れ
た効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの概略断面図の一例で
ある。
【図2】本発明の空気入りタイヤの概略断面図の他の例
である。
【図3】本発明の実施例で用いたタイヤのサイドウォー
ル部の該略図の一例である。
【図4】本発明の実施例で用いたタイヤのサイドウォー
ル部の該略図の一例である。
【図5】ゴム−不織布複合体の配設位置の一例の説明図
である。
【図6】ゴム−不織布複合体の配設位置の他の例の説明
図である。
【図7】ゴム−不織布複合体の配設位置の他の例の説明
図である。
【図8】ゴム−不織布複合体の配設位置の他の例の説明
図である。
【図9】ゴム−不織布複合体の配設位置の他の例の説明
図である。
【図10】ゴム−不織布複合体の配設位置の他の例の説
明図である。
【図11】ゴム−不織布複合体の配設位置の他の例の説
明図である。
【図12】ゴム−不織布複合体の配設位置の他の例の説
明図である。
【図13】ゴム−不織布複合体の配設位置の他の例の説
明図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ 2 サイドウォールゴム 3 トレッドゴム 4 カーカス 4a 折り返しカーカスプライ 4b ダウンカーカスプライ 5 ベルト 6 ビードコア 7 ビードフィラー 8 ゴム補強層 9 ゴム−不織布複合体 10 サイドウォール部 11 ベルト補強層 12 インナーライナー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 11/83 D06M 11/00 C (72)発明者 隨行 裕吾 東京都小平市小川東町3−1−1 株式会 社ブリヂストン技術センター内 Fターム(参考) 4L031 AA02 AA18 AA19 AA20 AA21 AB34 BA04 BA05 CB13 DA21 4L047 AA13 AA19 AA23 AB10 BA03 BA23 CC13 DA00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右一対のビード部と、並列された複数
    の補強コードが被覆ゴム中に埋設されたカーカスプライ
    の1枚以上からなるカーカス層と、該カーカス層のタイ
    ヤ半径方向外側に配置されたトレッド部と、該トレッド
    部の左右に配置された一対のサイドウォール部とを備え
    た空気入りタイヤにおいて、 上記サイドウォ−ル部には、表面に硫黄と反応可能な金
    属または金属化合物の物理的気相成長法(PVD)また
    は化学的気相成長法(CVD)により形成された被膜を
    有した複数のフィラメント繊維からなる不織布をゴム被
    覆した少なくとも1枚のゴム−不織布複合体と、カーカ
    スプライの内側に配設され断面が三日月状のゴム補強層
    と、を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記カーカスプライの補強コードが、D
    SCで測定した融点が250°C以上の有機繊維からな
    る、ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイ
    ヤ。
  3. 【請求項3】 前記カーカスプライの補強コードが、溶
    融しない有機繊維からなる、ことを特徴とする請求項1
    に記載の空気入りタイヤ。
  4. 【請求項4】 前記カーカスプライの補強コードが、脂
    肪族ポリアミド繊維からなる、ことを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  5. 【請求項5】 前記カーカスプライの補強コードがナイ
    ロン66、又は、ナイロン46である、ことを特徴とす
    る請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 【請求項6】 前記カーカスプライの補強コードが、レ
    ーヨンからなる、ことを特徴とする請求項1または請求
    項3に記載の空気入りタイヤ。
  7. 【請求項7】 前記フィラメント繊維が、DSCで測定
    した融点が250°C以上の有機繊維からなる、ことを
    特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の
    空気入りタイヤ。
  8. 【請求項8】 前記フィラメント繊維が、脂肪族ポリア
    ミド繊維または芳香族ポリアミドからなる、ことを特徴
    とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の空気
    入りタイヤ。
  9. 【請求項9】 前記硫黄と反応可能な金属または金属化
    合物が、コバルトまたはコバルト酸化物である、ことを
    特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の
    空気入りタイヤ。
  10. 【請求項10】 前記ゴム−不織布複合体中のフィラメ
    ント繊維の含有率が4から50重量%であることを特徴
    とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の空気
    入りタイヤ。
  11. 【請求項11】 不織布の単体での厚さが、20g/c
    2の加圧下の測定で0.05〜2.0mmの範囲内、 前記フィラメント繊維の直径又は最大径が0. 0001
    〜0.1mmの範囲内、 前記フィラメント繊維の長さが8mm以上、であること
    を特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記
    載の空気入りタイヤ。
  12. 【請求項12】 前記不織布の目付けが10から300
    g/m2である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項
    11の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  13. 【請求項13】 前記不織布は、タイヤ内周面に配置さ
    れるインナーライナーと前記ゴム補強層との間に配置さ
    れている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項12の
    何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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Cited By (3)

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