JP4841478B2 - 自律制御飛行体を用いた延線ロープの張設方法 - Google Patents
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また連結したパイロットロープの巻き取りを行う際には、径間内の障害物に接触しないように細い延線ロープの張力を上げて張設する必要があるが、その際に送電鉄塔に設置した滑車から脱線し延線ロープが切断するといった問題もあった。
さらに径間内の障害物に延線ロープが絡まないように径間下の樹木等の伐採が必要となることもあったが、自然保護の観点等からは好ましいものではなかった。
また上述したRCヘリを用いた延線ロープの張設方法では、弱い延線ロープから太い延線ロープに多段階的に延線ロープの引き替えが行われるが、その作業には多くの時間と資材を要し、作業時間の短縮および使用資材の削減による作業コストの低減が望まれている。
また本発明は、多段階で行われていた延線ロープの引き替え数を減少させることで作業時間の短縮、使用資材の削減、しいては作業コストの低減を達成することをも目的とする。
また延線ロープを送電鉄塔間に張設する際、各送電鉄塔の頂部に延線ロープ送出装置を取り付け、この延線ロープ送出装置のローラを飛行ルートプログラムやGPS受信機からの位置情報に基づいて回転させることで、延線ロープ送出装置に延線ロープの張力を担持させ、かつ、延線ロープに大きな弛みが生じさせずに、延線ロープの引き替えが可能となる。これにより、送電鉄塔に設置した滑車からの脱線による延線ロープの切断や径間下の樹木等の伐採を回避することができる。
なお延線ロープ送出装置に延線ロープの自重を担持させることで、延線ロープは最大で一径間(500メートル程度)分の自重およびロープにかかる風の影響に耐えられればよいこととなり、例えば3mmのナイロンロープを張設した後には、径12mmのナイロンロープ→径10mmの延線ワイヤ→径16mmの延線ワイヤというように、その引き替え段階を半減することが可能となる。これにより作業時間の短縮や、使用資材の削減、しいては作業コストの低減を達成することができる。
また本発明は、各送電鉄塔に取り付けた延線ロープ送出装置に延線ロープの張力を担持させ、延線ロープにかかる張力を分散させるとともに、延線ロープの送り出し量を調節することで、延線ロープの引き替え回数(段階)を半減させまた必要な延線ロープの長さも減少させるとともに、引き替えに必要となるロープの使用長をも減少させるものでもある。
この飛行管理システム50は、数キロメートルに渡る複数の送電鉄塔間に延線ロープを一度に張設するためのもので、自律飛行が可能な無人飛行体(自律制御ヘリ14)、各送電鉄塔の頂部腕金に取り付けられる延線ロープ送出装置12、自律制御ヘリの飛行を監視する基地局となるパソコン51などから構成されている。自律制御ヘリ14とパソコン51、自律制御ヘリ14と延線ロープ送出装置12(必要に応じてパソコンと延線ロープ送出装置12)とは、デジタル無線通信によりデータ送受が行われるようになっている。
飛行ルートプログラム(B)は、予め設定された飛行ルートに沿って自律制御ヘリ14を飛行させるためのもので、GPS受信装置、加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサからのデータを解析処理し、各種サーボモータ63を作動させるための制御信号を生成する。なお自律飛行のための飛行ルートは、時間、緯度、経度、高度(これらから進行方向やスピードが把握可能)等を飛行ルートプログラムに入力することによって設定される。
すなわち飛行基本プログラム(A)と飛行ルートプログラム(B)とは協働することによって、安定した飛行姿勢を維持させつつ設定した飛行ルートに沿って自律制御ヘリ14を飛行させる。
なお飛行ルート設定プログラムは、自律制御ヘリ14が飛行する飛行ルートの詳細や飛行時刻(予定)の設定を支援するためのプログラムであり、飛行通過点や飛行到達点を含む飛行ルートを、緯度、経度、高度、方位などのデータにより特定される多数の飛行ポイントにより時刻毎に設定するために用いられる。飛行ルート設定プログラムで設定された飛行ルートのデータは、飛行ルートデータファイルとして自律飛行ヘリに転送されて保存される。
飛行監視プログラムは、無線通信装置59から通信設備61に送信された自律制御ヘリ14の監視カメラ55で撮影した映像をディスプレイに表示し、また各種センサで測定した計測値を表示・記録・解析して自律制御ヘリの飛行姿勢が安定しているかどうかを監視し、また、通信設備が受信した自律制御ヘリの飛行が予め設定した飛行ルートに沿ったものであるかを監視するためのプログラムである。
この延線ロープ送出装置12は、送電鉄塔を把持するための固定部21と、延線ロープ4を送り出すための送出部23と、固定部と送出部を接続するための脚部25とを有している。
固定部21は、送電鉄塔の腕金を構成する山型鋼を把持する2枚のL字型の金具であり、後述する送出部23を送電鉄塔の頂部に固定するためのものである。この固定部21は腕金に構造物をボルト・ナットによって取り付ける一般的なクランプ金具とほぼ同様の構造をしているため、その説明は省略する。
脚部25は、固定部21に接合された直径が数センチメートル程度の二重円筒であり、内筒27(破線)は外筒29に対して軸回転が可能となっている。また内筒27の先端部には以下に説明する送出部23を支持するためのボルト溝が形成されている(図示せず)。なお外筒29と内筒27とは分離しないような構造となっている。
送出部23は、厚さが1cm程度の鋼板からなる円盤状の台座31の表面に、V字型に立設するように2本のローラ8が対をなして取り付けられた構造を有している。このローラ8は、制御装置33につながれたモータ6の動力によって互いに逆方向に回転し、その間に挟持した延線ロープの送り出しを行うようになっている。脚部25によって固定部21に連結された台座31は、延線ロープ4からの力に従って自由な向きに回転可能となっている。
また本実施例で使用される自律制御ヘリ14は10kg程度の荷物を搭載して自律飛行可能な機体とする。
まず延線ロープ4を巻き取ったドラム16を最初の送電鉄塔2の近くの地上に設置する。ドラム16に巻き取られる延線ロープ4は、長さ600m程度(最長の一径間分の長さ+α)の径3mmのナイロンロープ(第一のロープ4a:パイロットロープ)、その終端に連結接続した長さ500m強(最長の一径間分の長さ)の径12mmのナイロンロープ(第二のロープ4b)、その終端に連結接続した長さ500m強の径10mmの延線ワイヤ(第三のロープ4c)、さらにその終端に連結接続した長さ5.5km程度の径16mmの延線ワイヤ(第nのロープ4n)である。なお各ロープの連結接続個所はテーパー状に加工され、段差ができないようになっている。
ドラム16に巻き取られた延線ロープ4(第一のロープ4a)の先端は自律制御ヘリ14に締結される。なおこのドラム16はロープに一定以上の張力が作用することで回転して、延線ロープ4の送り出しを行うようになっている。
なお、風等の影響により設定した飛行ルートを飛行時刻通りに自律飛行できないことも考えられる。そのため設定した飛行ルートからのずれを補正するために、自律制御ヘリ14のGPS受信機53が検出した現在の緯度、経度、高度(高度は高度センサを設けることで別に検出しても良い)から飛行ルートからのズレをパソコン51又は制御装置33が算出して、ローラ8の回転の微調整を行いようにしてやってもよい。
また、制御装置33又はパソコン51が、自律制御ヘリ14に設けた加速度センサや地磁気センサからのデータを解析処理し、自律制御ヘリ14の向きや進行方向から飛行ルートを予測することで、延線ロープ送出装置12と自律制御ヘリとの現在の距離の変化を予想して、第一のロープ4aに大きな張力がかからず、かつ、大きな弛みが生じないように延線ロープ送出装置のローラの回転を制御してやることも好ましい。
最初の送電鉄塔2に第nのロープ4nを引き上げた後には、さらに全ての延線ロープ送出装置12のローラ8を同調させて回転させることで、延線ロープ4(第一、第二、第三、第nのロープ)を送り出し、最終的に全ての径間に第nのロープが張設される(図6(e)参照)。なお各延線ロープ送出装置12は同調して回転するため、最初に第一のロープ4aを大きな弛みが生じないように各延線ロープ送出装置12に取り付けさえすれば、次々と連結接続される第二、第三、第nのロープは弛みなく張設される。
なお延線ロープ送出装置に延線ロープの自重を担持させることにより、その引き替え段階を半減することが可能となる。また第nのロープ以外のロープ(第一、第二、第三、・・・のロープ)はそれぞれ500m程度用意すればよく、全径間分の長さを用意する必要がなくなる。これにより作業時間の短縮や、使用資材の削減、しいては作業コストの低減を達成することができる。
4 延線ロープ
6 モータ
8 ローラ
4a 第一のロープ
4b 第二のロープ
4c 第三のロープ
4n 第nのロープ
10 電線
12 延線ロープ送出装置
14 自律制御飛行体(自律制御ヘリ)
16 ドラム
21 固定部
23 送出部
25 脚部
27 内筒
29 外筒
31 台座
33 制御装置
50 飛行管理システム
51 パソコン
53 GPS受信機
55 監視カメラ
57 コンピュータ
59 無線通信装置
61 通信設備
63 サーボモータ
Claims (4)
- 予め設定された飛行ルートに従って飛行する自律制御飛行体(14)を用い、送電鉄塔(2)間に電線(10)を架線するための延線ロープ(4)を、予め送電鉄塔間に張設するための自律制御飛行体を用いた延線ロープの張設方法であって、
制御装置(33)に接続されたモータ(6)の動力によって回転する対をなすローラ(8)を有する延線ロープ送出装置(12)を各送電鉄塔に取り付け、
逆方向に回転する前記ローラ間に延線ロープを挟持し、
延線ロープをローラ間に挟持した状態で、自律制御飛行体の位置情報をもとに前記制御装置により前記ローラの回転を制御することで、延線ロープの張力を延線ロープ送出装置に担持させながら延線ロープを、細く弱い延線ロープ(第一のロープ(4a))から強い延線ロープ(第二(4b)、第三(4c)、・・・第n(4n)のロープ)に段階的に引き替える、ことを特徴とする自律制御飛行体を用いた延線ロープの張設方法。 - 飛行ルートプログラムから自律制御飛行体(14)の緯度、経度、高度を抽出し、延線ロープ送出装置(12)と自律制御飛行体との現在の距離を算出することによって、第一のロープ(4a)に大きな弛みが生じないように各延線ロープ送出装置のローラ(8)の回転を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の自律制御飛行体を用いた延線ロープの張設方法。
- 自律制御飛行体(14)に備えられたGPS受信機が検出した緯度、経度、高度から、延線ロープ送出装置(12)と自律制御飛行体との距離を算出することによって、第一のロープ(4a)に大きな弛みが生じないように各延線ロープ送出装置のローラ(8)の回転を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の自律制御飛行体を用いた延線ロープの張設方法。
- 前記延線ロープ(4)は、延線区間内で最長となる一径間分の長さを少なくとも有し、かつ、段階的に強くなる第一、第二、第三、・・・のロープ(4a、4b、4c、・・・)および十分な長さの第nのロープ(4n)を連結接続したものであり、
上空を飛行させた自律制御飛行体(14)が送電鉄塔(2)の上空を通過した直後に、通過した送電鉄塔に取り付けた延線ロープ送出装置(12)のローラ(8)間に前記第一のロープを挟持し、
延線ロープ送出装置のローラによって挟持した第一のロープを送り出すことで前記第二のロープを引き上げて最初の径間に第二のロープを張設すると同時に次の径間に第一のロープを張設し、さらに延線ロープ送出装置のローラによって挟持した第一のロープおよび第二のロープを送り出すことで前記第三のロープを引き上げて最初の径間に第三のロープを張設すると同時に次の径間に第二のロープをその次の径間に第一のロープを張設し、順次延線ロープ送出装置によって延線ロープを送り出すことで各径間のロープの引き替えを行う、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自律制御飛行体を用いた延線ロープの張設方法。
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