JP4840847B2 - 改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ及びその利用 - Google Patents

改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ及びその利用 Download PDF

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Description

本発明は、2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ(以下、「DERA」ともいう)の新規な利用形態、DERAの改変体(以下、「改変型DERA」ともいう)及びそれをコードする核酸等、並びに改変型DERAのデザイン方法に関する。
2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ(DERA:EC 4.1.2.1)は解糖系酵素の一種であって、生体内ではD−グリセルアルデヒド3−リン酸とアセトアルデヒド間の可逆的アルドール反応を触媒する。
一方、DERAが一段階アルドール反応を触媒することが報告されている(非特許文献1(J.Am.Chem.Soc.112、2014−2016(1990))。この報告の中で、大腸菌由来DERAは、アクセプター基質としてのフェニルアルデヒドと、ドナー基質としてのアセトアルデヒドとの間のアルドール反応は触媒しない、と記載されている。このことから、大腸菌由来のDERAは、ベンゼン環を含み疎水性が高い化合物を基質としたアルドール反応を触媒することができないものと考えられた。
国際公開第03/077868号パンフレット J.Am.Chem.Soc.112、2014−2016(1990)
本発明は、DERAの新規な利用形態を提供すること、並びに当該新規な利用形態に好適な改変型DERA及びそれをコードする核酸等を提供することを課題とする。
以上の背景の下、本発明者らは化学合成困難な化合物の合成にDERAを利用することを試み、様々なアクセプター基質及びドナー基質を用いた合成実験を行った。その結果、驚くべきことに、アクセプター基質としてベンジルオキシアセトアルデヒドを用い、そしてドナー基質としてアセトンを用いた一段階アルドール反応をDERAが触媒し、医農薬中間体として有用な(S)−5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ペンタノン((S)−5−benzyloxy−4−hydroxy−2−pentanone、以下、「(S)−BHP」ともいう)を合成できることを見出した。この知見は、ベンゼン環を有し、疎水性の高い化合物をアクセプター基質とした一段階アルドール反応を大腸菌由来のDERAが触媒し得るという、これまでの報告に照らせば予想に反する作用の発見であり、大腸菌由来のDERAの新たな利用価値を創出する。即ち、本発明者らの当該成果によって、大腸菌由来のDERAの用途が大幅に拡大することを期待できる。
ここで、アルドラーゼによる(S)−BHPの合成はこれまでに報告がない。(S)−BHPは生理活性などを有する化合物を合成する際の光学活性中間体として有用である。たとえば、以下の反応(Tetrahedron Lett. 33,2557-2560 (1992)を参照)によって(S)−BHPから、抗菌性化合物合成原料(J.Org.Chem.48,5017−5022(1983)を参照)に用いられるキラル1,2,4−ペンタントリオールが得られる。
このように(S)−BHPは医薬中間体として有用な化合物であるが、現在一般に採用されている不斉触媒による合成では大量の触媒を要し、しかも極めて低い温度条件での反応であり(例えば、J.Am.Chem.Soc.121、669−685(1999)を参照)、グリーンケミストリーの観点から問題である。そこで、温和な反応条件での(S)−BHP製造が望まれる。本発明者らの成果によって、DERAを用いて(S)−BHPを合成可能なことが明らかとなり、現行の合成方法の問題を解消する途が開かれる。つまり、温和な反応条件による効率的な(S)−BHPの合成が可能となる。
更に研究を進め、(S)−BHPの合成における、大腸菌由来のDERAの合成活性及び立体選択性を調べたところ、改善の余地が見られた。そこで、大腸菌由来のDERAの合成活性及び立体選択性を向上させるべく野生型酵素に変異を導入することを試みた。アミノ酸配列において変異の導入位置の決定、即ち改変型酵素のデザインにおいて独自の新規なモデリング手法を採用したところ、合成活性、立体選択性の向上した改変型酵素を複数取得することに成功した。このことは、実用化ないし工業的利用に向けて有望な改変型酵素を取得できたことを意味するだけでなく、採用したモデリング手法がDERAの改変に有効であることを裏付けるものでもある。尚、同一の触媒機能を有するタンパク質は一般にその活性部位や基質特異性に関与する領域の位置や構造が類似していることが多い。例えば、超高熱菌Aeropyrum pernixのDERAは、アミノ酸相同性は29%と低いが、立体構造や基質周辺のアミノ酸が類似していることが報告されている(J.Biol.Chem.278,10799−10806(2003)参照)。従って、特定の大腸菌株由来のDERAにおける特定のアミノ酸の置換の効果に関して得られた情報は、同属の大腸菌由来のDERAについて適用できることは当然のこと、他の微生物由来のDERAについても適用できると予想された。
尚、国際公開第03/077868号パンフレット(特許文献1)には、デオキシリボースに対する活性を改善する目的で大腸菌由来DERAの最適化が報告されているが、(S)−BHPの合成についての言及はない。
本発明は主として以上の成果に基づくものであり、以下の改変型DERA、改変型DERAをコードする遺伝子など、改変型DERAのデザイン方法、及びDERAによる一段階アルドール反応を利用した化合物の合成方法を提供する。
[1] 野生型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼのアミノ酸配列において、配列番号:1に示すアミノ酸配列の73位、76位、139位、238位、及び239位のアミノ酸からなる群より選択される一以上のアミノ酸に相当するアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなり、238位及び/又は239位の置換後のアミノ酸が以下の通りである、改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ:
238位の置換後のアミノ酸はチロシン、グリシン、アルギニン又はアラニン;
239位の置換後のアミノ酸はメチオニン、アスパラギン、グリシン又はロイシン。
[2] 前記野生型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼが、大腸菌(E.coli)由来の2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼである、[1]に記載の改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ。
[3] 前記野生型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼのアミノ酸配列が、配列番号:1に示すアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列である、[1]に記載の改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ。
[4] 前記野生型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼのアミノ酸配列が、配列番号:1に示すアミノ酸配列である、[1]に記載の改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ。
[5] 配列番号:1に示すアミノ酸配列において73位及び/又は76位のアミノ酸が置換されており、置換後のアミノ酸が以下の通りである、[4]に記載の改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ:
73位の置換後のアミノ酸はプロリン、システイン、トレオニン、セリン又はトリプトファン;
76位の置換後のアミノ酸はアルギニン、チロシン又はトリプトファン。
[6] 配列番号:1に示すアミノ酸配列において139位のアミノ酸が置換されており、置換後のアミノ酸がバリン又はメチオニンである、[4]に記載の改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ。
[7] 配列番号:1に示すアミノ酸配列において238位及び/又は239位のアミノ酸が置換されており、置換後のアミノ酸が以下の通りである、[4]に記載の改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ:
238位の置換後のアミノ酸はチロシン、グリシン、アルギニン又はアラニン;
239位の置換後のアミノ酸はメチオニン、アスパラギン、グリシン又はロイシン。
[8] 以下の(1)〜(18)のいずれかのアミノ酸配列からなる、[1]に記載の改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ:
(1)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換されてなるアミノ酸配列;
(2)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがシステインに置換され、76位フェニルアラニンがアルギニンに置換されてなるアミノ酸配列;
(3)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがトレオニンに置換されてなるアミノ酸配列;
(4)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがトレオニンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換されてなるアミノ酸配列;
(5)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがセリンに置換され、76位フェニルアラニンがトリプトファンに置換されてなるアミノ酸配列;
(6)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがシステインに置換されてなるアミノ酸配列;
(7)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換されてなるアミノ酸配列;
(8)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがトリプトファンに置換され、76位フェニルアラニンがトリプトファンに置換されてなるアミノ酸配列;
(9)配列番号:1のアミノ酸配列において、139位イソロイシンがバリンに置換されてなるアミノ酸配列;
(10)配列番号:1のアミノ酸配列において、139位イソロイシンがメチオニンに置換されてなるアミノ酸配列;
(11)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがチロシンに置換され、239位セリンがメチオニンに置換されてなるアミノ酸配列;
(12)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがグリシンに置換され、239位セリンがアスパラギンに置換されてなるアミノ酸配列;
(13)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがアルギニンに置換され、239位セリンがグリシンに置換されてなるアミノ酸配列;
(14)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがアラニンに置換され、239位セリンがロイシンに置換されてなるアミノ酸配列;
(15)配列番号:1のアミノ酸配列において、239位セリンがロイシンに置換されてなるアミノ酸配列;
(16)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがグリシンに置換されてなるアミノ酸配列
(17)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換され、238位セリンがアルギニンに置換され、239位セリンがグリシンに置換されてなるアミノ酸配列;
(18)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換され、238位セリンがアラニンに置換され、239位セリンがロイシンに置換されてなるアミノ酸配列。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼをコードする、単離された核酸。
[10] [9]に記載の核酸を保持するベクター。
[11] [9]に記載の核酸を保有する形質転換体。
[12] ベンゼン環に置換基を有するか又は無置換のベンジルオキシアセトアルデヒドからなるアクセプター基質と、炭素数3〜6のケトンからなるドナー基質とを、2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼを触媒としたアルドール反応で結合させることを特徴とする、β−ケトールの合成方法。
[13] 前記2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼが、[1]〜[8]のいずれかに記載の改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼである、[12]に記載の合成方法。
[14] 前記アクセプター基質が、以下の化学式で表される化合物である、[12]又は[13]に記載の合成方法、
但し、式中Rはベンゼン環上の置換基であって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はシアノ基である。
[15] 前記基質がベンジルオキシアセトアルデヒドであり、前記ドナー基質がアセトンである、[12]又は[13]に記載の合成方法。
[16] 2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼのアミノ酸配列における73位のアミノ酸、76位のアミノ酸、139位のアミノ酸、238位のアミノ酸、及び239位のアミノ酸からなる群より選択される一以上のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を構築することを特徴とする、改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼのデザイン方法。
[17] 以下のステップを含むことを特徴とする、改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼのデザイン方法:
(1)2−デオキシリボース5−リン酸を基質とした場合の、触媒反応中の野生型又は改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼの立体構造情報を用意するステップ;
(2)前記立体構造情報において、基質部分を2−デオキシリボース5−リン酸から目的基質に置換するステップ;
(3)野生型又は改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼの分子力学計算を実施し、エネルギー最小化構造を算出するステップ;
(4)計算前後の構造を比較し、側鎖の移動が認められたアミノ酸を置換候補として選抜するステップ;
(5)野生型又は改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼのアミノ酸配列において、前記選抜したアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を構築するステップ。
[18] 前記ステップ(4)の前に、野生型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼを構成するアミノ酸の中より、目的基質から3Å内にあるアミノ酸を抽出し、前記ステップ(4)では抽出された該アミノ酸の中から置換候補を選抜する、[17]に記載のデザイン方法。
[19] 前記目的基質がβ−ケトールである、[17]又は[18]に記載のデザイン方法。
(改変型DERA)
本発明の第1の局面は改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ(改変型DERA)に関する。本発明は、野生型DERAがベンジルオキシアセトアルデヒドとアセトン間のアルドール反応を触媒し、β−ケトールを合成する事実を見出したこと(後述の実施例を参照)、及び野生型DERAにおける特定のアミノ酸の置換がDERAの合成活性及び基質特異性の向上に効果的であるとの知見(後述の実施例を参照)に基づき、β−ケトールの合成活性が野生型DERAよりも向上した改変型DERAを提供する。本発明の改変型DERAは、対応する野生型酵素のアミノ酸配列において特定のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有する。本発明の改変型DERAは、典型的には、天然に存在するDERA、即ち野生型のDERAにおいて一部のアミノ酸を他のアミノ酸に置換することによって作製或いは設計される。このように本発明の改変型DERAの基礎となる(由来する)DERAのことを本明細書では「野生型DERA」と表現する。また、野生型DERAを構成するアミノ酸の中で、置換対象となるアミノ酸(つまり、野生型DERAの構成アミノ酸の中で、改変型DERAと比較して相違が認められるもの)のことを「置換アミノ酸」又は「置換対象アミノ酸」という。
野生型DERAの具体例としてE.coli K−12株が産生するDERAを挙げることができる。当該野生型DERAを構成するアミノ酸配列を配列番号:1に示す。E.coli K−12株が産生する野生型DERAの他、好適な野生型DERAとして、E.coli K−12株が産生する野生型DERAと高い相同性を有するDERAを例示することができる。ここでのアミノ酸配列の相同性は80%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましく、95%以上であることが更に更に好ましい。例えば、E.Coli CFTO73(100%)、E.Coli O157:H7(99%)、Shigella flexneri 2a str.301(99%)、Salmonella enterica subsp. enterica serovar Paratyphi A str. ATCC9150(96%)、Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi Ty2(96%)、Klebsiella pneumoniae(94%)、Vibrio cholerae 01 biovar eltor str. N16961(83%)、Vibrio parahaemolyticus RIMD2210633(82%)、Vibrio vulnificus YJ016(81%)等が産生するDERAは、E.coli K−12株が産生するDERAとアミノ酸配列の相同性が非常に高く、好適な野生型DERAであるといえる。尚、微生物名に続く括弧内の数字は、E.coli K−12由来DERAに対する相同性を示す。
本発明における置換対象アミノ酸は、野生型DERAを構成するアミノ酸配列の中で、配列番号:1に示すアミノ酸配列の73位、76位、139位、238位、又は239位のアミノ酸に相当するアミノ酸である。ここで、本明細書においてアミノ酸残基について使用する場合の用語「相当する」とは、比較されるタンパク質(酵素)間においてその機能の発揮に同等の貢献をしていることを意味し、特に基質特異性に対する貢献が同等であることを意味する。例えば、基準のアミノ酸配列(つまり配列番号:1のアミノ酸配列)に対して比較対象のアミノ酸配列を、一次構造(即ちアミノ酸配列)の部分的な相同性を考慮しつつ、最適な比較ができるように並べたときに(このときに必要に応じてギャップを導入し、アライメントを最適化してもよい)、基準のアミノ酸配列中の特定のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸を「相当するアミノ酸」として特定することができる。また、下記改変型DERAのデザイン方法のステップ(4)で抽出される238位及び239位、ステップ(a)で抽出される73位、76位及び139位と空間位置が同じアミノ酸も含まれる。
本発明の改変型DERAは、野生型DERAのアミノ酸配列において上記置換対象アミノ酸が一つ以上置換されたアミノ酸配列を有する。例えば、本発明の一形態では73位の置換及び76位の置換が行われた改変型DERAが提供される。また、本発明の他の一形態では228位の置換及び239位の置換が行われた改変型DERAが提供される。
ここで、置換後のアミノ酸の種類は特に限定されないが、例えば73位の置換ではプロリン、システイン、トレオニン、セリン又はトリプトファン、76位の置換ではアルギニン、チロシン又はトリプトファン、139位の置換ではバリン又はメチオニン、238位の置換ではチロシン、グリシン、アルギニン又はアラニン、239位の置換ではメチオニン、アスパラギン、グリシン、又はロイシンである。
本発明の改変型DERAの具体例として、以下のアミノ酸配列を有するものを挙げることができる。これらのアミノ酸配列はいずれも、配列番号:1のアミノ酸配列(大腸菌K−12株の野生型DERAのアミノ酸配列)において特定のアミノ酸配列が置換されたアミノ酸配列であり、後述の実施例に示す改変型DERA(バリアント1〜18)に対応する。
(1)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント1)
(2)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがシステインに置換され、76位フェニルアラニンがアルギニンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント2)
(3)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがトレオニンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント3)
(4)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがトレオニンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント4)
(5)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがセリンに置換され、76位フェニルアラニンがトリプトファンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント5)
(6)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがシステインに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント6)
(7)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント7)
(8)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがトリプトファンに置換され、76位フェニルアラニンがトリプトファンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント8)
(9)配列番号:1のアミノ酸配列において、139位イソロイシンがバリンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント9)
(10)配列番号:1のアミノ酸配列において、139位イソロイシンがメチオニンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント10)
(11)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがチロシンに置換され、239位セリンがメチオニンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント11)
(12)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがグリシンに置換され、239位セリンがアスパラギンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント12)
(13)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがアルギニンに置換され、239位セリンがグリシンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント13)
(14)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがアラニンに置換され、239位セリンがロイシンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント14)
(15)配列番号:1のアミノ酸配列において、239位セリンがロイシンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント15)
(16)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがグリシンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント16)
(17)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換され、238位セリンがアルギニンに置換され、239位セリンがグリシンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント17)
(18)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換され、238位セリンがアラニンに置換され、239位セリンがロイシンに置換されてなるアミノ酸配列(バリアント18)
後述の実施例に示すように、以上の改変型DERAでは、ベンジルオキシアセトアルデヒドをアクセプター基質とした(S)−BHPの合成において高収率が得られ、エナンチオマー過剰率(ee)も高い。特にバリアント4では96.4%eeである。
本発明の改変型DERAは、野生型DERAのアミノ酸配列において上記特定のアミノ酸置換が行われたアミノ酸配列を有することを特徴とするが、上記特定のアミノ酸置換に係る位置以外において一部のアミノ酸改変が行われていてもよい。このように本発明は、上記特定のアミノ酸置換が行われたアミノ酸配列を有する改変型DERAと比較した場合にその機能は同等であるものの一部においてアミノ酸配列が相違するタンパク質(以下、「相同タンパク質」ともいう)をも提供する。「一部においてアミノ酸配列が相違する」とは、典型的には、アミノ酸配列を構成する1〜数個のアミノ酸の欠失、置換、若しくは1〜数個のアミノ酸の付加、挿入、又はこれらの組合せによりアミノ酸配列に変異(変化)が生じていることをいう。ここでのアミノ酸配列の相違は、アルドール反応に関わる特性が大幅に低下しない限度において(好ましくは実質的に保持される限度において)許容される。この条件を満たす限りアミノ酸配列が相違する位置は特に限定されず、また複数の位置で相違が生じていてもよい。ここでの複数とは例えば全アミノ酸の約30%未満に相当する数であり、好ましくは約20%未満に相当する数であり、さらに好ましくは約10%未満に相当する数であり、より一層好ましくは約5%未満に相当する数であり、最も好ましくは約1%未満に相当する数である。即ち相同タンパク質は、上記改変型DERA(バリアント1〜18)のアミノ酸配列((1)〜(18))のいずれかと例えば約70%以上、好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、より一層好ましくは約95%以上、最も好ましくは約99%以上の同一性を有する。
好ましくは、保存的アミノ酸置換をアルドール反応に関与しないアミノ酸残基に生じさせることによって相同タンパク質を得る。ここでの「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基を、同様の性質の側鎖を有するアミノ酸残基に置換することをいう。アミノ酸残基はその側鎖によって塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパルギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン)のように、いくつかのファミリーに分類されている。保存的アミノ酸置換は好ましくは、同一のファミリー内のアミノ酸残基間の置換である。
ここで、二つのアミノ酸配列又は二つの核酸(以下、これらを含む用語として「二つの配列」を使用する)の同一性(%)は例えば以下の手順で決定することができる。まず、最適な比較ができるよう二つの配列を並べる(例えば、第一の配列にギャップを導入して第二の配列とのアライメントを最適化してもよい)。第一の配列の特定位置の分子(アミノ酸残基又はヌクレオチド)が、第二の配列における対応する位置の分子と同じであるとき、その位置の分子が同一であるという。二つの配列の同一性は、その二つの配列に共通する同一位置の数の関数であり(すなわち、同一性(%)=同一位置の数/位置の総数 × 100)、好ましくは、アライメントの最適化に要したギャップの数およびサイズも考慮に入れる。
二つの配列の比較及び同一性の決定は数学的アルゴリズムを用いて実現可能である。配列の比較に利用可能な数学的アルゴリズムの具体例としては、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68に記載され、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77において改変されたアルゴリズムがあるが、これに限定されることはない。このようなアルゴリズムは、Altschulら (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10に記載のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。あるアミノ酸配列に相同的なアミノ酸配列を得るには例えば、XBLASTプログラムでscore = 50、wordlength = 3としてBLASTポリペプチド検索を行えばよい。同様に、ある核酸に相同的なヌクレオチド配列を得るには例えば、NBLASTプログラムでscore = 100、wordlength = 12としてBLASTヌクレオチド検索を行えばよい。比較のためのギャップアライメントを得るためには、Altschulら (1997) Amino Acids Research 25(17):3389-3402に記載のGapped BLASTが利用可能である。BLASTおよびGapped BLASTを利用する場合は、対応するプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。詳しくはhttp://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較に利用可能な他の数学的アルゴリズムの例としては、MyersおよびMiller (1988) Comput Appl Biosci. 4:11-17に記載のアルゴリズムがある。このようなアルゴリズムは、例えばGENESTREAMネットワークサーバー(IGH Montpellier、フランス)またはISRECサーバーで利用可能なALIGNプログラムに組み込まれている。アミノ酸配列の比較にALIGNプログラムを利用する場合は例えば、PAM120残基質量表を使用し、ギャップ長ペナルティ=12、ギャップペナルティ=4とすることができる。
二つのアミノ酸配列の同一性を、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを用いて、Blossom 62マトリックスまたはPAM250マトリックスを使用し、ギャップ加重=12、10、8、6、又は4、ギャップ長加重=2、3、又は4として決定することができる。また、二つの核酸配列の相同度を、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで利用可能)のGAPプログラムを用いて、ギャップ加重=50、ギャップ長加重=3として決定することができる。
本発明の改変型DERAは、対応する野生型DERAに比してβ−ケトールの合成活性及び/又はβ−ケトールに対する立体選択性(基質特異性)が向上している。好ましい形態としては、これら二つの特性が野生型DERAよりも優れた改変型DERAが提供される。本発明の改変型DERAは、好ましくは、野生型DERAの2倍以上のβ−ケトール合成活性を有する。
本発明の改変型DERAは、それをコードする遺伝子を適当な発現系で発現することによって調製することができる。以下、改変型DERAをコードする遺伝子の調製方法、及び得られた遺伝子を用いた改変型DERAの調製方法の一例を説明する。
<野生型DERAをコードする遺伝子の取得>
野生型DERA遺伝子はDERA産生菌から取得することができる。ここでのDERA産生菌とは、DERA遺伝子を本来的に保有する菌、又はDERA遺伝子が外来的に導入された菌のことをいう。前者の例として大腸菌K−12株を挙げることがき、後者の例としては大腸菌K−12株のDERA遺伝子をクローニングしたベクターを保有する大腸菌株を挙げることができる。
DERA遺伝子を本来的に保有する菌からDERA遺伝子を取得するには、例えば、当該菌のゲノムDNAを鋳型とし、DERA特異的なプライマーを用いたPCR等を実施すればよい。一方、DERA遺伝子がクローニングされたベクターを保有する菌を利用できる場合には、常法に従って、当該菌からDERA遺伝子を抽出・精製することができる。
尚、大腸菌K−12株及び大腸菌K−12株のDERAをクローニングしたベクターを保有する大腸菌はいずれもアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)などのカルチャーコレクションより取得することができる。
<改変型DERAをコードするポリヌクレオチドの構築>
以上のようにして取得された野生型DERA遺伝子に対して、発現産物であるタンパク質において特定のアミノ酸が置換されるように変異を加えることにより、目的とする改変型DERAをコードする遺伝子を作製することができる。このような位置特異的塩基配列置換のための方法は当該技術分野において数多く知られており(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照)、その中から適切な方法を選択して用いることができる。
位置特異的変異導入法として、位置特異的アミノ酸飽和変異法を採用することができる。位置特異的アミノ酸飽和変異法は、タンパクの立体構造を基に、求める機能の関与する位置を推定し、アミノ酸飽和変異を導入する「Semi−rational,semi−random」手法である(J.Mol.Biol.331,585−592(2003))。例えば、Quick chenge(ストラタジーン社)等のキット、Overlap extention PCR(Nucleic Acid Res. 16,7351−7367(1988))を用いて位置特異的アミノ酸飽和変異を導入することが可能である。PCRに用いるDNAポリメラーゼはTaqポリメラーゼ等を用いることができる。但し、KOD−PLUS−(東洋紡社)、Pfu turbo(ストラタジーン社)などの精度の高いDNAポリメラーゼを用いることが好ましい。
一方、DERA遺伝子にランダムな変異を挿入し、各変異体(改変体)の発現産物の基質特異性を比較して好ましい基質特異性を有する遺伝子を選択することによっても、改変型DERAをコードする遺伝子を作製することができる。このようなランダム変異を導入する場合は、まず例えばエラープロンPCRを利用して標的とする遺伝子領域にランダムに変異を導入し、改変型DERA遺伝子ライブラリーを構築する。そして、得られたライブラリーより、酵素活性や基質特異性を指標としてクローンを選抜する。
(改変型DERAをコードする核酸など)
本発明の他の局面は、上記本発明の改変型DERAに関連する核酸に関する。この局面では、改変型DERAをコードする単離された核酸、改変型DERAをコードする核酸を同定するためのプローブとして用いることができる核酸、改変型DERAをコードする核酸を増幅又は突然変異等させるためのプライマーとして用いることができる核酸が提供される。
改変型DERAをコードする核酸は、典型的には、改変型DERAの調製に利用される。改変型DERAをコードする核酸を用いた遺伝子工学的調製方法によれば、より均質な状態の改変型DERAを得ることが可能である。また、当該方法は、大量の改変型DERAを調製する場合にも好適な方法といえる。尚、改変型DERAをコードする核酸の用途は改変型DERAの調製に限られない。例えば、改変型DERAの作用機構の解明などを目的とした実験用のツールとして、或いはDERAの更なる改変体をデザイン又は作製するためのツールとして、当該核酸を利用することもできる。
本明細書における用語「核酸」は、それを含むことが意図されていないことが明らかな場合を除いて、DNA(cDNA及びゲノムDNAを含む)、RNA(mRNAを含む)、DNA類似体、及びRNA類似体を含む。本発明の核酸の形態は限定されず、即ち1本鎖及び2本鎖のいずれであってもよい。好ましくは2本鎖DNAである。またコドンの縮重も考慮される。即ちタンパク質をコードする核酸の場合には、その発現産物として当該タンパク質が得られる限り任意の塩基配列を有していてよい。
本明細書において「改変型DERAをコードする核酸」とは、それを発現させた場合に当該改変型DERAが得られる核酸のことをいい、当該改変型DERAのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する核酸は勿論のこと、そのような核酸にアミノ酸配列をコードしない配列が付加されてなる核酸をも含む。
本明細書において用語「単離された核酸」とは、もともと天然に存在している核酸(例えば大腸菌内の核酸)の場合、典型的には、天然状態において共存するその他の核酸から分離された状態の核酸をいう。但し、天然状態において隣接する核酸配列など一部の他の核酸成分を含んでいてもよい。例えばゲノムDNAの場合の「単離された核酸」の好ましい形態では、天然状態において共存する他のDNA成分(天然状態において隣接するDNA配列を含む)を実質的に含まない。
例えばcDNA分子など遺伝子組み換え技術によって生産される核酸の場合の「単離された核酸」は好ましくは、細胞成分や培養液などを実質的に含まない状態の核酸をいう。同様に、化学合成によって生産される核酸の場合の「単離された核酸」は好ましくは、dNTPなどの前駆体(原材料)や合成過程で使用される化学物質等を実質的に含まない状態の核酸をいう。
核酸がベクターや組成物の一部として存在していても又は外来性分子として細胞内に存在していても、人為的操作の結果として存在している限り「単離された核酸」である。
尚、特に言及しない限り、本明細書において単に「核酸」と記載した場合には、単離された状態の核酸を意味する。
本発明の核酸は好ましい態様として以下の配列を有する。これらの塩基配列は、後述の実施例に示す改変型DERA(バリアント1〜18)をコードする核酸である。
(1)配列番号:2の塩基配列において、73位バリンをコードする部分が、プロリンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント1)
(2)配列番号:2の塩基配列において、73位バリンをコードする部分が、システインをコードする塩基に置換され、76位フェニルアラニンをコードする部分が、アルギニンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント2)
(3)配列番号:2の塩基配列において、73位バリンをコードする部分が、トレオニンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント3)
(4)配列番号:2の塩基配列において、73位バリンをコードする部分が、トレオニンをコードする塩基に置換され、76位フェニルアラニンをコードする部分が、チロシンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント4)
(5)配列番号:2の塩基配列において、73位バリンをコードする部分が、セリンをコードする塩基に置換され、76位フェニルアラニンをコードする部分が、トリプトファンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント5)
(6)配列番号:2の塩基配列において、73位バリンをコードする部分が、システインをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント6)
(7)配列番号:2の塩基配列において、73位バリンをコードする部分が、プロリンをコードする塩基に置換され、76位フェニルアラニンをコードする部分が、チロシンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント7)
(8)配列番号:2の塩基配列において、73位バリンをコードする部分が、トリプトファンをコードする塩基に置換され、76位フェニルアラニンをコードする部分が、トリプトファンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント8)
(9)配列番号:2の塩基配列において、139位イソロイシンをコードする部分が、バリンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント9)
(10)配列番号:2の塩基配列において、139位イソロイシンをコードする部分が、メチオニンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント10)
(11)配列番号:2の塩基配列において、238位セリンをコードする部分が、チロシンをコードする塩基に置換され、239位セリンをコードする部分が、メチオニンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント11)
(12)配列番号:2の塩基配列において、238位セリンをコードする部分が、グリシンをコードする塩基に置換され、239位セリンをコードする部分が、アスパラギンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント12)
(13)配列番号:2の塩基配列において、238位セリンをコードする部分が、アルギニンをコードする塩基に置換され、239位セリンをコードする部分が、グリシンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント13)
(14)配列番号:2の塩基配列において、238位セリンをコードする部分が、アラニンをコードする塩基に置換され、239位セリンをコードする部分が、ロイシンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント14)
(15)配列番号:2の塩基配列において、239位セリンをコードする部分が、ロイシンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント15)
(16)配列番号:2の塩基配列において、238位セリンをコードする部分が、グリシンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント16)
(17)配列番号:2の塩基配列において、73位バリンをコードする部分が、プロリンをコードする塩基に置換され、76位フェニルアラニンをコードする部分が、チロシンをコードする塩基に置換され、238位セリンをコードする部分が、アルギニンをコードする塩基に置換され、239位セリンをコードする部分が、グリシンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント17)
(18)配列番号:2の塩基配列において、73位バリンをコードする部分が、プロリンをコードする塩基に置換され、76位フェニルアラニンをコードする部分が、チロシンをコードする塩基に置換され、238位セリンをコードする部分が、アラニンをコードする塩基に置換され、239位セリンをコードする部分が、ロイシンをコードする塩基に置換されてなる塩基配列(バリアント18)
本発明の核酸は、本明細書又は添付の配列表が開示する配列情報を参考にし、標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法などを用いることによって、単離された状態に調製することができる。
本発明の他の態様では、上記改変型DERA(バリアント1〜18)をコードする核酸((1)〜(18))のいずれかの塩基配列と比較した場合にそれがコードするタンパク質の機能は同等であるものの一部において塩基配列が相違する核酸(以下、「相同核酸」ともいう。また、相同核酸を規定する塩基配列を「相同塩基配列」ともいう)が提供される。相同核酸の例として、上記改変型DERA(バリアント1〜18)をコードする核酸((1)〜(18))のいずれかの塩基配列を基準として1若しくは複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含む塩基配列からなり、かつβ−ケトールの合成反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするDNAを挙げることができる。塩基の置換や欠失などは複数の部位に生じていてもよい。ここでの「複数」とは、当該核酸がコードするタンパク質の立体構造におけるアミノ酸残基の位置や種類によっても異なるが例えば2〜40塩基、好ましくは2〜20塩基、より好ましくは2〜10塩基である。
以上のような相同核酸は例えば、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やランダム突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)による変異の導入などによって得られる。また、紫外線照射など他の方法によっても相同核酸を得ることができる。
本発明の他の態様は、上記改変型DERA(バリアント1〜18)をコードする核酸((1)〜(18))のいずれかの塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する核酸に関する。本発明の更に他の態様は、上記改変型DERA(バリアント1〜18)をコードする核酸((1)〜(18))のいずれかの塩基配列、或いはこれらいずれかに相補的な塩基配列に対して少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.9%同一な塩基配列を有する核酸を提供する。
本発明の更に別の態様は、上記改変型DERA(バリアント1〜18)をコードする核酸((1)〜(18))のいずれかの塩基配列又はその相同塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有する核酸に関する。ここでの「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であって例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参照して設定することができる。ストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液(50%ホルムアミド、10×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、5×Denhardt溶液、1% SDS、10% デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いて約42℃〜約50℃でインキュベーションし、その後0.1×SSC、0.1% SDSを用いて約65℃〜約70℃で洗浄する条件を挙げることができる。更に好ましいストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液として50%ホルムアミド、5×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、1×Denhardt溶液、1%SDS、10%デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いる条件を挙げることができる。
本発明の更に他の態様は、上記改変型DERA(バリアント1〜18)をコードする核酸((1)〜(18))のいずれかの塩基配列、或いはこれらいずれかに相補的な塩基配列の一部を有する核酸(核酸断片)を提供する。このような核酸断片は、上記改変型DERA(バリアント1〜18)をコードする核酸((1)〜(18))のいずれかの塩基配列を有する核酸など本発明の核酸を検出、同定、及び/又は増幅することなどに用いることができる。核酸断片は例えば、上記改変型DERA(バリアント1〜18)をコードする核酸((1)〜(18))のいずれかの塩基配列において連続するヌクレオチド部分(例えば約10〜約100塩基長、好ましくは約20〜約100塩基長、更に好ましくは約30〜約100塩基長)にハイブリダイズする部分を少なくとも含むように設計される。
プローブとして利用される場合には核酸断片を標識化することができる。標識化には例えば、蛍光物質、酵素、放射性同位元素を用いることができる。
本発明のさらに他の局面は、本発明の核酸(改変型DERA又はその一部或いはそれらの相同体をコードする核酸)を含有するベクターに関する。本明細書において用語「ベクター」は、それに挿入された核酸を細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子をいい、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター(アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター等)を含む。
使用目的(クローニング、タンパク質の発現)に応じて、また宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。大腸菌を宿主とするベクターとしてはM13ファージ又はその改変体、λファージ又はその改変体、pBR322又はその改変体(pB325、pAT153、pUC8など)等、酵母を宿主とするベクターとしてはpYepSec1、pMFa、pYES2等、昆虫細胞を宿主とするベクターとしてはpAc、pVL等、哺乳類細胞を宿主とするベクターとしてはpCDM8、pMT2PC等を例示することができる。
本発明のベクターは好ましくは発現ベクターである。「発現ベクター」とは、それに挿入された核酸を目的の細胞(宿主細胞)内に導入することができ、且つ当該細胞内において発現させることが可能なベクターをいう。発現ベクターは通常、挿入された核酸の発現に必要なプロモーター配列や、発現を促進させるエンハンサー配列等を含む。選択マーカーを含む発現ベクターを使用することもできる。かかる発現ベクターを用いた場合には、選択マーカーを利用して発現ベクターの導入の有無(及びその程度)を確認することができる。
本発明の核酸のベクターへの挿入、選択マーカー遺伝子の挿入(必要な場合)、プロモーターの挿入(必要な場合)等は標準的な組換えDNA技術(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照することができる、制限酵素及びDNAリガーゼを用いた周知の方法)を用いて行うことができる。
宿主細胞としては、取り扱いの容易さの点から、大腸菌などの細菌細胞を用いることが好ましい。
本発明の他の局面は、本発明の核酸が導入された宿主細胞(即ち形質転換体)に関する。本発明の形質転換体は、上記本発明のベクターを用いたトランスフェクション乃至はトランスフォーメーションによって得ることができる。トランスフェクション等はリン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション(Potter,H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81, 7161-7165(1984))、リポフェクション(Felgner, P.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84,7413-7417(1984))等によって実施することができる。
本発明の形質転換体は、本発明の改変型DERAを生産することに利用することができる。即ち、本発明の他の局面は、上記形質転換体を用いた、本発明の改変型DERAの生産方法を提供する。本発明の生産方法は、上記形質転換体を本発明の改変型DERAが産生される条件下で培養するステップを少なくとも含む。通常はこのステップに加えて、産生されたタンパク質を回収(分離及び精製)するステップが実施される。
形質転換体の培養に使用する培地の栄養源としては、形質転換体の培養に通常用いられるものを使用することができる。炭素源としては資化可能な炭素化合物であればよく、例えばグルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、ラクトース、糖蜜、ピルビン酸などが使用される。また、窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ抽出物などが使用される。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて使用される。
形質転換体が生育可能であって且つ改変型DERAが産生される温度条件で形質転換体の培養が行われる。例えば、30℃〜40℃の範囲内(好ましくは37℃付近)に培養温度を設定することができる。培養時間は、培養対象の形質転換体の生育特性や改変型DERAの産生特性などを考慮して設定することができる。培地のpHは、形質転換体が生育し且つDERAが産生される範囲内に調製される。好ましくは培地のpHを6.0〜9.0程度(好ましくはpH7.0付近)とする。
改変型DERAを生産する菌体を含む培養液をそのまま、或いは濃縮、不純物の除去などを経た後に酵素溶液として利用することもできるが、一般的には培養液又は菌体より改変型DERAを一旦回収する。産生される改変型DERAが分泌型タンパク質であれば培養液より、それ以外であれば菌体内より回収することができる。培養液から回収する場合には、例えば培養上清をろ過、遠心処理して不溶物を除去した後、減圧濃縮、膜濃縮、硫酸アンモニウムや硫酸ナトリウムを利用した塩析、メタノールやエタノール又はアセトンなどによる分別沈殿法、透析、加熱処理、等電点処理、ゲルろ過や吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー(例えば、セファデックス(Sephadex)ゲル(ファルマシアバイオテク)などによるゲルろ過、DEAEセファロースCL-6B (ファルマシアバイオテク)、オクチルセファロースCL-6B (ファルマシアバイオテク)、CMセファロースCL-6B(ファルマシアバイオテク))などを組み合わせて分離、精製を行ことにより改変型DERAの精製品を得ることができる。他方、菌体内から回収する場合には、培養液をろ過、遠心処理等することによって菌体を採取し、次いで菌体を加圧処理、超音波処理などの機械的方法またはリゾチームなどによる酵素的方法で破壊した後、上記と同様に分離、精製を行うことにより改変型DERAの精製品を得ることができる。
上記のようにして得られた精製酵素を、例えば凍結乾燥や真空乾燥或いはスプレードライなどにより粉末化して提供することも可能である。その際、精製酵素を予めリン酸緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、トリス塩酸緩衝液やGOODの緩衝液に溶解させておいてもよい。好ましくは、リン酸緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液を使用することができる。尚、ここでGOODの緩衝液としてはPIPES、MES又はMOPSが挙げられる。
(DERAを触媒としたβ−ケトールの合成方法)
本発明は他の局面として、DERAを触媒としたβ−ケトールの合成方法を提供する。本発明の合成方法では、アクセプター基質としてベンゼン環に置換基を有するか又は無置換のベンジルオキシアセトアルデヒド(以下の化学式)を使用し、ドナー基質として炭素数3〜6のケトンを用い、DERAを触媒としたアルドール反応で両者を結合させることでβ−ケトールを合成する。尚、アクセプター基質に対してドナー基質を0.5〜10等量添加して反応を行うことが好ましい。また、水に溶解しない基質の場合は、乳化剤としてジメチルスルホキシド(DMSO)等を使用することが好ましい。
但し、式中Rはベンゼン環上の置換基であって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はシアノ基である。
本発明の好ましい態様では、以下に示すベンジルオキシアセトアルデヒドがアクセプター基質として用いられる。
一方、ドナー基質については好ましくはアセトンが用いられる。ドナー基質としてアセトンを用いたβ−ケトールの合成反応を以下に示す。
但し、式中Rはベンゼン環上の置換基であって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はシアノ基である。
本発明の最も好ましい態様では、以下の反応式に示すように、ベンジルオキシアセトアルデヒドとアセトンを用いた一段階アルドール反応によって光学活性な5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ペンタノン((S)−BHP)が合成される。
本発明の合成方法ではDERAを触媒として用いるが、DERAは野生型であっても改変型であってもよい。好ましくは本発明の改変型DERAを触媒として用いる。本発明の改変型DERAを用いることによって高収量が望める。また、後述の実施例で明らかなように一部の改変型DERAでは、対応する野生型DERAよりも高いエナンチオマー過剰率(ee)が得られる。従って、改変型DERAを用いることは立体選択性の点からも好ましい。
この反応は、トリス塩酸緩衝液やトリエタノールアミン緩衝液等の緩衝液中に、基質であるベンジルオキシアセトアルデヒド及びアセトンを溶解又は分散した状態で行う事ができる。ここで、緩衝液の水素イオン濃度(pH)は例えば3〜12であり、好ましくは5〜9である。
この反応では、基質の前記緩衝液への溶解性を高めるために、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等の水と相溶性を有する有機溶媒を添加することもできる。これらの有機溶媒の使用量は、前記緩衝液に対して0.01〜30重量%であることが好ましい。
また、この反応は、トルエン、ジエチルエーテル、ヘキサンや、酢酸エチル等の水と相溶性を有しない有機溶媒と前記緩衝液を用いて2相系で反応を行うことも可能であり、更には、これらの有機溶媒中で、前記緩衝液を用いることなく反応を行うこともできる。
本発明に使用されるベンジルオキシアセトアルデヒド(前記(化3))は、市販のものを使用することができるが、(特開2000−290214号公報)に記載の方法に従って2−ベンジルオキシエタノールを酸化することによって製造することも出来る。
ベンジルオキシアセトアルデヒド(前記(化3))の反応液中の濃度は、特に制限されないが、通常、0.01〜20重量%が好ましい。
また、アセトンとしては、市販のものを使用することができる。アセトンの使用量は、ベンジルオキシアセトアルデヒド1モルに対して0.5〜20モルであり、好ましくは2〜10モルである。
この反応の基質であるベンジルオキシアセトアルデヒド(式(1))及びアセトンの添加方法は、特に限定されず、一括或いは分割して添加することができる。またこれらの基質は、水又は前記有機溶媒に予め溶解して添加することもできる。
この反応の反応温度は、使用するアルドラーゼの熱安定性により異なるが、通常1〜80℃である。
この反応で製造される5−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ペンタノン((S)−BHP)の単離・精製は、抽出、蒸留或いはカラムクロマトグラフィー等の公知の方法により行うことができる。
(改変型DERAのデザイン方法)
本発明はさらに他の局面として改変型DERAのデザイン方法を提供する。本発明のデザイン方法によって得られる構造情報を基にして、改変型DERAを製造(調製)することができる。
本発明は大別して2種類のデザイン方法を提供する。第1のデザイン方法は、野生型DERAに対して特定のアミノ酸置換を行うことにより収量や基質特異性の向上ができたという事実に基づくものであり、2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼのアミノ酸配列における73位のアミノ酸、76位のアミノ酸、139位のアミノ酸、238位のアミノ酸、及び239位のアミノ酸からなる群より選択される一以上のアミノ酸を他のアミノ酸に置換することを特徴とする。
一方、本発明の第2のデザイン方法は、改変型DERAを取得する際に本発明者らが採用した手法の有効性が実験的に確認されたことに基づき、コンピュータ上でのモデリング手法を含む。具体的には、以下のステップ(1)〜(5)を含むことを特徴とする。
(1)2−デオキシリボース5−リン酸(以下、「2DR5P」ともいう)を基質とした場合の、触媒反応中の野生型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼの立体構造情報を用意するステップ。
(2)前記立体構造情報において、基質部分を2−デオキシリボース5−リン酸から目的基質に置換するステップ。
(3)野生型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼの主鎖を固定し、側鎖のみ振動する条件で分子力学計算を実施し、エネルギー最小化構造を算出するステップ。
(4)計算前後の構造を比較し、側鎖の移動が認められたアミノ酸を置換候補として選抜するステップ。
(5)野生型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼのアミノ酸配列において、前記選抜したアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を構築するステップ。
ステップ(1)では、本来の基質である2−デオキシリボース5−リン酸に対して作用するときの野生型DERAの立体構造情報を取得する。野生型DERAの立体構造情報は例えば、Protein Data Bank(http://www.pdbj.org/index_j.html)より取得することができる。野生型DERAの由来は特に限定されず、例えば大腸菌(例えばE.coli K−12株)由来の野生型DERAの立体構造情報(例えば、1JCL)を取得する。
立体構造情報を取得した後、基質と活性中心アミノ酸(167位のリジン)を抽出しておくとよい。
ステップ(2)では基質の書き換え(置換)を行う。即ち、本来の基質である2−デオキシリボース5−リン酸から目的基質へと書き換える。例えば、ステップ(1)において複合体の立体構造の情報を取得することにし、ステップ(2)では複合体の立体構造情報から基質部分の情報を削除した後、目的基質の立体構造情報を適用する。ここで、目的基質に関して分子力学計算を実施し、得られたエネルギー最小化構造を適用することが好ましい。ステップ(4)で、初期構造とエネルギー最小化構造との基質を含めた3次元位置比較を行うためである。
目的基質の例として各種β−ケトール(例えば(S)−BHP)を挙げることができる。
ステップ(3)では、目的基質と野生型DERAとの複合体全体に関して分子力学計算を実施し、エネルギー最小化構造を算出する。分子力学計算は、野生型DERAの主鎖を固定し、側鎖のみ振動する条件で実施することが好ましい。基質近傍のアミノ酸最適化により、目的基質への選択性向上を目標としている。そこで、基質近傍の空間に着目するため、側鎖のみ振動する条件で算出を行う。
ステップ(4)では、ステップ(3)の分子力学計算前後の構造を比較する。即ち、エネルギー最小化が行われる前の野生型DERAの構造と、エネルギー最小化が行われた野生型DERAの構造とを比較する。その結果、野生型DERAの構成アミノ酸の中で、エネルギー最小化前後で側鎖の移動が認められたアミノ酸を置換候補として選抜する。ここで、目的基質を(S)−BHPに設定した場合は、(S)−BHPのベンゼン環に面する親水領域のアミノ酸の内、計算前後で側鎖の移動が認められたアミノ酸を置換候補として選抜するとよい。側鎖の移動は、立体配置に影響のある部分を示しており、該当アミノ酸の置換により、目的基質への最適化できる可能性がある。
ステップ(4)の前に、野生型DERAを構成するアミノ酸の中より、目的基質から3Å内にあるアミノ酸を抽出することにし、ステップ(4)では抽出されたアミノ酸の中から置換候補を選抜することが好ましい。このように、基質に対して直接作用し得るアミノ酸を予め抽出することにすれば、有効に作用する置換候補を効率的に選抜できる。
ステップ(5)では、野生型DERAのアミノ酸配列において、ステップ(4)で選抜されたアミノ酸を他のアミノ酸に置換する。このようにして、野生型DERAのアミノ酸配列の中で特定のアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列を構築し、改変型DERAを構成するアミノ酸配列とする。
ここで、本来の基質2DR5Pに対するDERAの反応でのドナー基質はアセトアルデヒドであり、一方で本発明における、DERAによる一段階アルドール反応でのドナー基質はケトン(通常はアセトン)である。従って、両反応のドナー基質を比較すれば、水素原子からメチル基への変化が認められる。本発明の一態様では、この変化に注目し、一段階アルドール反応に対する触媒能の高い改変型DERAをデザインするため、ステップ(2)〜(4)、好ましくはステップ(4)に代えて、又はこれらのステップに加えて以下のステップ(a)を実施する。
(a)野生型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼの構成アミノ酸の中で、目的基質であるβ−ケトールの末端メチル基周辺に位置するアミノ酸を置換候補として選抜するステップ。
具体的には例えば、目的基質を(S)−BHPに設定した場合、酵素の活性中心アミノ酸近傍に位置することとなる、(S)−BHPの末端メチル基に面する疎水性アミノ酸を置換候補として選抜するとよい。
尚、このステップ(a)の前においても、野生型DERAを構成するアミノ酸の中より、目的基質から3Å内にあるアミノ酸を抽出することにし、ステップ(a)では抽出されたアミノ酸の中から置換候補を選抜することが好ましい。
以上のデザイン方法は、例えばソフトウエアInsightII(アクセリス社製)用いて行うことができ、Discover3モジュールを利用して分子力学計算によるエネルギー最小化構造の算出をすることができる。
(活性測定方法)
本発明において「アルドラーゼ活性」とは、2−デオキシリボース5−リン酸(2DR5P)をD−グリセルアルデヒド3−リン酸とアセトアルデヒドに分解する活性をいう。アルドラーゼ活性の測定方法は、既報の方法(Eur.J.Biochem.125,561−566(1982)、J.Am.Chem.Soc.117,3333−3339(1995))に準ずる。アルドラーゼ活性の測定方法の原理、使用する試薬、及び測定条件を以下に示す。
<測定原理>
DERAによる2DR5Pの分解反応によって生じるアセトアルデヒドをアルコール脱水素酵素でエタノールに変換させる。この時共役して減少するNADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型)の量から2DR5P分解活性を算出する。
<試薬>
活性測定液:100mM Tris−HCl(pH7.5)、0.2mM 2DR5P、200U出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来アルコールデヒドロゲナーゼ(シグマ社)、0.1mM NADH
<測定条件>
1mlの活性測定液に酵素液を添加し、40℃でのNADHの減少に伴う波長340nmの吸収度の減少を2分間測定する。1分間当たり1μmolのNADHを減少させる酵素量を酵素活性の1単位(U)とする。尚、NADHの340nmにおけるミリモル吸光係数は6.22mM−1cm−1とする。
尚、特に記載のない限り、本明細書における遺伝子工学的操作は例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)或いはCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参考にして行うことができる。
1.野生型DERAによる(S)−BHPの合成
2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ(DERA)の新規な用途を見出すべく、様々なアクセプター基質及びドナー基質を用いた合成反応系におけるDERAの触媒活性を網羅的に検索した。具体的には下記実施例記載の大腸菌K−12株由来のDERA凍結乾燥粉末を用い、トリエタノールアミン緩衝液(pH7.3)中で、0.5Mアセトン及び0.05M各種アルデヒドを加え、触媒活性を検討した。検索の結果、驚くべきことにベンジルオキシアセトアルデヒドをアクセプター基質とし、アセトンをドナー基質とした一段階アルドール反応による(S)−BHPの合成をDERAが触媒することを見出した。これまでに大腸菌由来のDERAが一段階アルドール反応を触媒するという報告はあるものの、一方でフェニルアルデヒドとアセトアルデヒドとを結合する反応を触媒しないという報告があることから、大腸菌由来のDERAは、ベンゼン環を含み疎水性が高い化合物を基質としたアルドール反応を触媒することができないものと予想された。本発明者らが見出した上記合成反応はこの予想に反するものであり、DERAの新規な用途を提供する。
本発明者らの検討した結果、以下の条件で反応させることによって95%の合成収率、約80%のエナンチオマー過剰率で(S)−BHPを合成できることが明らかとなった。
(1)反応液組成
0.5Mアセトン及び0.05Mベンジルオキシアセトアルデヒドを含有する200mlの緩衝液(0.1M トリエタノールアミン pH7.3 (1mM EDTAを含む))
(2)酵素量
大腸菌K−12株由来のDERAを3000U
(3)反応温度
30℃
(4)反応時間
72時間
2.改変型DERAの調製
2−1.大腸菌由来アルドラーゼ遺伝子の取得
Chenらの報告(J.Am.Chem.Soc.114、741−748(1992))に引用されているE.coli K−12由来DERA遺伝子をクローニングしたベクター(pBR322/deraと呼ぶ)を保有するE.coli ATCC86963株を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から入手した。
LB液体培地(ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム0.5%(pH7.0))にE.coli ATCC86963株を接種し、37℃、18時間振とう培養した。培養液を遠心し、沈澱として湿菌体を得た。湿菌体より、Wizard Plus SV Minipreps(プロメガ社)キットを用いてプラスミドベクターpBR322/deraを精製した。
2−2.大腸菌由来DERA遺伝子のクローニング
精製したpBR322/deraよりDERA遺伝子をPCRにて増幅し、発現ベクターpUC18のマルチクローニングサイトHind IIIからEcoRIにクローニングした。
DERA遺伝子末端の上流にHindIIIおよび下流にEcoRIリンカーを付与したプライマー(pUC18EcoRI-Fプライマー、pUC18HindIII-RVプライマー)を用いてPCRを行い、目的断片を増幅した。KOD−Plus−DNAポリメラーゼ(東洋紡社)を使用し、以下の手順でPCRを行った。即ち、緩衝液を5μl、25mMに調整した硫酸マグネシウムを2μl、各2mMに調整したdNTP混合溶液を5μl、10μMに調整した上記プライマーDNAを各々1.5μl、pBR322/dera 1ng、前記DNAポリメラーゼを1μl加え、全量を50μlに調整した。市販の温度サイクリング装置(Thermal cycler タカラ社)にて94℃で2分反応させた後、94℃で15秒、55℃で30秒、及び68℃で60秒からなる温度サイクルを25回行った。
反応終了後の反応液をアガロースゲル電気泳動に供して分離した後、目的の断片を切り出し、MinElute Gelextractgion Kit(QIAGEN社)を用いて遺伝子を精製した。
pUC18EcoRI-Fプライマー:5'-GGGGAATTCGATGACTGATCTGA(配列番号:3)
pUC18HindIII-RVプライマー:5'-GGGAAGCTTTTAGTAGCTGC(配列番号:4)
得られた遺伝子を制限酵素Hind IIIおよびEcoRI(いずれもNEB社)で処理し、アガロースゲル電気泳動を行い目的の断片を上記と同様に精製した。pUC18(東洋紡社)を同制限酵素で処理し、上記の遺伝子とライゲーションを行った。得られた組換えプラスミド(以下、pUC18/deraと呼ぶ)を用いて、E.coli JM109を形質転換し、LB平板寒天培地(50μg/mlアンピシリン、0.1mMIPTG:イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド、40μg/mlX−Gal:5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを含有する)に塗布した。ついで寒天培地を37℃に静置し、培養した。生育した大腸菌コロニーのうち、白色コロニーを選抜した。
白色コロニーをLB液体培地(50μg/mlアンピシリン含有)に接種し、上記と同様にプラスミドpUC18/deraを精製した。精製したプラスミドを用いて以下の手順で塩基配列を決定した。まず、M13ユニバーサルプライマー(M13 M4プライマー(配列番号:5)又はM13 RVプライマー(配列番号:6)(タカラ社))及びビックダイターミネーターサイクルシーケンシングキット(パーキンエルマーアプライドバイオシステムズ社)を用いて目的の遺伝子を増幅した。次いでABI PISM 310ジェネティックアナライザー(パーキンエルマーアプライドバイオシステムズ社)を用いて塩基配列を解析した。
得られた配列データを解析し、インサートが配列番号:2の大腸菌由来遺伝子配列に一致する事を確認した。つまり、インサートの塩基配列が、配列番号X03224としてGenBank、EMBAL等のデータベースに公開されているDERA(遺伝子名deoC)遺伝子配列と一致した。
M13 M4プライマー;5’-GTTTTCCCAGTCACGAC(配列番号:5)
M13 RVプライマー;5’-CAGGAAACAGCATTGAC(配列番号:6)
2−3.pUC18/dera組換え菌の培養
pUC18/dera組換え大腸菌の培養は、50μg/mlアンピシリンを含むTerrific broth培地(トリプトン1.2%,酵母エキス2.4%、グリセロール40ml/l、リン酸2水素カリウム0.231%、リン酸水素2カリウム1.254%(リン酸は別途滅菌処理を行う))20mlに、LB寒天培地(50μg/mlアンピシリン含有)上に生育させたコロニーを植菌し、37℃で18時間振とう培養した。本培養液を50μg/mlアンピシリンを含むTerrific broth培地1000mlに加え、37℃で、OD660=0.6になるまで培養した後、終濃度が1mMになるようにIPTGを加え、さらに6時間培養した。培養終了後、遠心分離(5000g、10分)により集菌し、0.85%NaClで洗菌し、さらに遠心処理を行い湿菌体を得た。
酵素の粗精製はWongら(J.Am.Chem.Soc.,114,741−748(1992))の報告を参考に行った。湿菌体重の5倍量の100mM Tris−HCl(pH7.3)緩衝液(1mM EDTA含有)に懸濁させ、超音波破砕後、遠心分離し、上清を回収した。上清に1%(w/v)ストレプトマイシン硫酸塩を加えて20分間放置した後、遠心分離し、核酸を沈澱画分として取り除いた。得られた上清に硫酸アンモニウムを加え、30から80%(w/v)で沈澱する画分を遠心分離して得た。得られた沈澱に上記緩衝液を加えて懸濁した後、透析チューブ(和光純薬社)に移し、蒸留水に対して透析を行った。透析後、液体窒素にて予備凍結を行い、続いて凍結乾燥機(東京理化器械社)にて凍結乾燥を行い、粗酵素粉末を得た。
2−4.2DR5P分解活性の測定
DERAによる2DR5Pの分解反応によって生じるアセトアルデヒドをアルコール脱水素酵素でエタノールに変換させることとし、この時共役して減少するNADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型)の量から2DR5P分解活性を算出した。
活性測定液(100mM Tris−HCl(pH7.5)、0.2mM 2DR5P、200U出芽酵母由来アルコールデヒドロゲナーゼ(シグマ社)、0.1mM NADH)に酵素液を加え1mlとし、40℃でのNADHの減少に伴う波長340nmの吸収度の減少を2分間測定した。40℃で1分間当たり1μmolのNADHを減少させる酵素量を酵素活性の1単位(U)と定義した。尚、NADHの340nmにおけるミリモル吸光係数は6.22mM−1cm−1とした。
2−5. ラセミ体BHP合成標品の作製
J.Am.Chem.Soc.118、4322−4343(1996)を参照し、以下の反応でラセミ体の合成標品を作製した。
ベンジルオキシアセトアルデヒド(benzyloxyacetaldehyde) 3g及びイソプロピニルオキシTMS(isopropynyloxyTMS) 2.6gを100ml塩化メチレンに溶解した。得られた溶液に−78℃、アルゴン雰囲気下でボロントリフルオリドジエチルエチレート(boron trifluoride−diethyl etherate)を滴下した。10分間撹拌後、飽和炭酸ナトリウム溶液50mlを加え、室温まで昇温した。反応溶媒を酢酸エチルで抽出(150ml×3)し、飽和食塩水による洗浄、及び無水硫酸マグネシウムによる乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトにて精製(展開溶媒 トルエン/酢酸エチル=4/1)し、BHP(1.2g、収率29%)を得た。
文献値(J.Am.Chem.Soc.121、669−685(1999))
1H NMR(400MHz CDCl3):δ7.34(m,5H),4.57(d,J=12.2Hz, 1H), 4.54(d,J=12.2Hz, 1H),4.23(quintet,J=5.6Hz, 1H),3.49(dd,J=4.6, 9.6Hz, 1H),3.44(dd,J=6.0, 9.6Hz, 1H), 2.99(br s, 1H),2.69(dd,J=7.3, 17.0Hz, 1H),2.63(dd,J=4.4, 17.1Hz, 1H),2.18(s, 3H, Me)
2−6.BHPの合成収量の評価
化合物の検出及び定量は、ガスクロマトグラフを用いて下記の条件にて行った。上記ラセミ合成標品のガスクロマトグラフチャートを図1に示す。
機器:島津社 GC−1700
カラム:DB−1(15m×0.53mm ID、J&W SCIENTIFIC INC)
カラム温度:200℃(4分)
インジェクション温度:250℃
検出器温度:290℃
線速度:30m/s
検出:水素炎イオン化検出器(FID)
2−7.BHPの光学純度の測定方法
J.Am.Chem.Soc.121、669−685(1999)に従い、下記条件下、HPLCを用いて化合物の光学純度を測定した。上記ラセミ合成標品のHPLCチャートを図2に示す。
ポンプ:島津社 LC−10AD
移動相:n−ヘキサン/イソプロパノール=95/5
流速:1ml/min
カラム:CHIRALCELL OJ 0.46cm×25cm(ダイセル社)
カラム温度:40℃
検出:島津社 SPD−10A、210nm
2−8.アルドラーゼ酵素のタンパク質立体構造の取得と変異位置の決定
大腸菌由来DERAの立体構造が既に報告されている(Science 294,369−374,(2001))。Protein Data Bank(http://www.pdbj.org/index_j.html)より該当する立体構造データ(PDB ID :1JCJ)を取得した。立体構造中の基質2DR5Pを(S)−BHPに置換した。基質置換後の立体構造において、InsightII(Accelrys社)を用いた分子力学法(力場:CVFF、タンパク主鎖固定)による計算を実施し、エネルギー最小化構造を算出した(図3を参照)。計算結果を基にして以下の通り変異位置を決定した。
(1)基質(S)−BHPから3Å以内における、計算前後のタンパク立体構造の変化より、基質のベンゼン環付近に配置されるアミノ酸に注目し、238位セリン及び239位セリンを変異位置として選抜した(図4を参照)。
(2)活性中心(102位アスパラギン、167位リジン、201位リジン)近傍に配置されることとなる、基質(S)−BHPの末端メチル基を取り囲むアミノ酸に注目し、73位バリン、76位フェニルアラニン、139位イソロイシンを変異位置として選抜した(図4を参照)。
2−9.238位、239位のアミノ酸飽和変異導入
Overlap extention PCR法を利用した位置特異的アミノ酸飽和変異導入により、野生型DERAの238位及び239位のアミノ酸置換を試みた。尚、位置特異的アミノ酸飽和変異法は、タンパクの立体構造より、求める機能の関与する位置を推定し、アミノ酸飽和変異を導入する「Semi−rational,semi−random」手法として知られ、酵素の機能改変に利用されている(J.Mol.Biol.331,585−592(2003))。
まず、PCRで変異導入用断片1(上流側断片)及び変異導入用断片2(変異部分を含む下流側断片)を作製した。各断片の作製に使用したプライマーセットは次の通りである。
(変異導入用断片1を増幅させるプライマーセット1)
M13 RVプライマー:5’-CAGGAAACAGCATTGAC(配列番号:6)
238&239_RVプライマー:5'-AGCGCCAAAGCGGTAGTGACGC(配列番号:8)
(変異導入用断片2を増幅させるプライマーセット2)
M13 M4プライマー:5’- GTTTTCCCAGTCACGAC(配列番号:5)
238&239_Fプライマー:5'-GTCACTACCGCTTTGGCGCTNNSNNSCTGCTGGCAAGCCTGCTGAA(配列番号:7)
各PCR反応の鋳型DNAとしてpUC18/deraを使用した。また、サーマルサイクルは、94℃で2分間反応させた後、94℃で15秒、55℃で30秒、及び68℃で60秒からなる反応サイクルを25回行うこととした。尚、言及しない条件は上記(2−2.の欄)と同様とした。
得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、精製した。尚、精製操作は上記(2−2.の欄)と同様とした。
次いで、得られた変異導入用断片1及び2をプライマーとして用いてOverlap extention PCRを行い、238位アミノ酸及び239位アミノ酸を変異位置とした改変型DERA遺伝子を取得した。反応にはKOD−Plus−DNAポリメラーゼ(東洋紡社)を使用し、以下の手順で行った。即ち、緩衝液を2.5μl、25mMの硫酸マグネシウムを1μl、各2mMのdNTP混合溶液を2.5μl、変異導入用断片1及び2をそれぞれ1ng、前記DNAポリメラーゼを0.5μl加えて、全量を25μlに調整した。市販の温度サイクリング装置(Thermal cycler タカラ製)にて94℃で2分間反応させた後、94℃で15秒、55℃で30秒、及び68℃で60秒からなる反応サイクルを合計10回行った。
反応終了後、さらに下記の反応液を加えて、PCRを実施した。即ち、緩衝液を2.5μl、25mMの硫酸マグネシウムを1μl、各0.2mMのdNTP混合溶液を2.5μl、10μMに調整したM13 M4プライマー(配列番号:5)及びM13 RVプライマー(配列番号:6)を各1.5μl、前記DNAポリメラーゼを0.5μl加えて、追加する反応液量を25μlに調整した。市販の温度サイクリング装置(Thermal cycler タカラ社)にて94℃で2分間反応させた後、94℃で15秒、55℃で30秒、及び68℃で60秒からなる反応サイクルを合計20回行った。
得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、目的の遺伝子を抽出・精製した。抽出・精製した遺伝子を上記と同様に制限酵素処理し、pUC18の該当するクローニングサイトにクローニングし、pUC18/dera238&239を得た。当該ベクターを用いて、上記と同様に大腸菌JM109を形質転換し、238位アミノ酸及び239位アミノ酸を変異位置とした改変型DERAライブラリーを構築した。
2−10.73位及び76位のアミノ酸飽和変異導入
238位アミノ酸及び239位アミノ酸を変異位置とした場合と同様の手順で、73位及び76位を対象としたアミノ酸飽和変異導入を実施した。但し、73位及び76位に特異的に変異を導入するための断片(変異導入用断片1及び2)の作製には以下のプライマーセットを用いた。
(変異導入用断片1を増幅させるプライマーセット1)
M13 RVプライマー:5’-CAGGAAACAGCATTGAC(配列番号:6)
73&76_RVプライマー:5’- CGTAGCGATACGGATTTCC(配列番号:10)
(変異導入用断片2を増幅させるプライマーセット2)
M13 M4プライマー:5’- GTTTTCCCAGTCACGAC(配列番号:5)
73&76_Fプライマー:5’-GGAAATCCGTATCGCTACGNNSACCAACNNSCCACACGGTAACGACGACA(配列番号:9)
得られた遺伝子を上記(2−9.の欄)と同様にクローニングし、pUC18/dera73&76を得た。当該ベクターで大腸菌JM109を形質転換し、73位アミノ酸及び76位アミノ酸を変異位置とした改変型DERAライブラリーを得た。
2−11.139位のアミノ酸飽和変異導入
238位アミノ酸及び239位アミノ酸を変異位置とした場合と同様の手順で、139位を対象としたアミノ酸飽和変異導入を実施した。但し、139位に特異的に変異を導入するための断片(変異導入用断片1及び2)の作製には以下のプライマーセットを用いた。
(変異導入用断片1を増幅させるプライマーセット1)
M13 RVプライマー;5’-CAGGAAACAGCATTGAC(配列番号:6)
139_Rプライマー、5’-CACTTTCAGCAGTACATTCG(配列番号:12)
(変異導入用断片2を増幅させるプライマーセット2)
M13 M4プライマー;5’- GTTTTCCCAGTCACGAC(配列番号:5)
139_Fプライマー、5'-CGAATGTACTGCTGAAAGTGNNSATCGAAACCGGCGAACTGAA(配列番号:11)
一方、鋳型DNAとして、pUC18/deraを用いて行った。得られた遺伝子を上記と同様にクローニングし、pUC18/dera139を得た。当該ベクターで大腸菌JM109を形質転換し、139位アミノ酸を変異位置とした改変型DERAライブラリーを得た。
2−12.73位及び76位変異と、238位及び239位変異との変異交配
238位アミノ酸及び239位アミノ酸を変異位置とした場合と同様の手順で、73位及び/又は76位変異DERA(バリアント1〜8)と、238位及び/又は239位変異DERA(バリアント11〜16)との変異組み合わせを実施した。但し、73位及び/又は76位に変異含む遺伝子断片、238位及び/又は239位に変位を含む変位断片(それぞれ変異組合せ用断片1及び2)の作製には以下のプライマーセットを用いた。
(変異組合せ用断片1を増幅させるプライマーセット1、鋳型:バリアント1〜8)
M13 RVプライマー:5’-CAGGAAACAGCATTGAC(配列番号:6)
alover-R1プライマー:5’-ACGGTTTTTTCTACGCCCAT(配列番号:13)
(変異組合せ用断片2を増幅させるプライマーセット2:バリアント11〜16)
alover-F1プライマー:5’-ATGATGGAAGTGATCCGTGA(配列番号:14)
M13 M4プライマー:5’- GTTTTCCCAGTCACGAC(配列番号:5)
得られた遺伝子を上記(2−9.の欄)と同様にクローニングし、pUC18/dera73&76&238&239を得た。当該ベクターで大腸菌JM109を形質転換し、73位アミノ酸、76位アミノ酸、238位アミノ酸、及び239位アミノ酸を変異位置とした改変型DERAライブラリーを得た。
2−13.改変型酵素のスクリーニング方法
50μg/mlアンピシリン含有LB平板寒天培地上に生育した大腸菌(改変型DERAライブラリー)を1mlの培地(Terrific broth(50μg/ml アンピシリン、0.1mM IPTG含有))を加えた48穴培養プレート(日本ジェネティクス社)に接種した。接種した培養プレートを37℃恒温槽中で振盪培養した。培養開始18時間後に培養液を100μl、96wellマイクロプレートに分注し、分光計(テカン社)にて濁度を測定した(波長620nm)。残りの培養液を遠心(5000g、20分)して上清を取り除き、沈澱として菌体を得た。集菌した湿菌体に100μl CellLytic(SIGMA社)を加え溶菌し、粗酵素溶液とした。
新たな48穴培養プレートに粗酵素液(25μl)、緩衝液(100mM Bis-Tris pH7.3 1mM EDTA含有)、基質(100μl DMSOに、250μmolアセトン及び25μmolベンジルオキシアセトアルデヒドを溶解)を加え、24時間、30℃にて振盪させて反応を行った。反応終了後、50μlの5N塩酸および、3mlのアセトン(内部標準0.75mg/ml 3’,4’-dimethoxyacetophenoneを含む)を加えた。混合後、プレートを遠心し、上清をガスクロマトグラフ分析(2−6.の欄を参照)及びHPLC分析(2−7.の欄を参照)に供試した。これらの分析結果より、合成活性が高く且つ基質選択性にも優れた改変型DERAを産生する菌株を特定した。
以上のスクリーニングの結果得られた改変型DERA(バリアント1〜18)を図5の表に示す。この表に示すように、合成効率が高く、且つ立体選択性にも優れた改変型DERAを合計18種類、取得することに成功した。これらのバリアントはいずれも、野生型に比較して収率が向上している。また多くのバリアントではエナンチオマー過剰率の向上も認められる。この結果から、73位、76位、139位、238位、及び239位のアミノ酸置換がDERAの特性の改善に有効であることがわかる。一方、バリアント1〜4はエナンチオマー過剰率が90%以上であり、しかも収率が野生型よりも大幅に向上している。この結果から73位及び76位の置換が特に有効であるといえる。
ここで、バリアント1やバリアント7では73位のアミノ酸がプロリンに置換されている。野生型DERAの73位のアミノ酸はバリンであるから、73位のコドンがGTAからCCCに置換されたことになる。つまり、3塩基置換が生じた結果としてこれらの改変型DERAが得られた。このような置換は位置特異的アミノ酸飽和変異の実施によって可能になるものであり、エラープロンPCR等によるランダム変異では連続した2塩基以上の変異導入は困難である。このように、少なくとも一部の改変型DERAについては、アミノ酸置換の導入方法として位置特異的アミノ酸飽和変異を採用することによってはじめて獲得できたものであるといえる。
本発明によれば、野生型酵素のアミノ酸配列の一部が置換された改変型DERAが提供される。本発明の改変型DERAはベンジルオキシアセトアルデヒドをアクセプター基質とする一段階アルドール反応に関して優れた触媒能を発揮する。本発明の改変型DERAは、β−ケトールの合成用触媒として好適に利用することができる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
ラセミ体BHP合成標品のガスクロマトグラフチャートである。 ラセミ体BHP合成標品のHPLCチャートである。 エネルギー最小化計算前後の基質(BHP)周辺の立体構造を模式的に示す図である。BHPをスティックで表示した。 エネルギー最小化計算後の基質(BHP)周辺のアミノ酸残基側鎖と基質を模式的に示す図である。BHP部分に斜線を付した。 取得に成功した改変型DERAのアミノ酸配列、(S)−BHP合成における収量、及びエナンチオマー過剰率(ee)をまとめた表である。表の中で空欄は野生型と同じアミノ酸であることを示す。また、収量は、野生型酵素の収率を1とした場合の相対値で示す。

Claims (7)

  1. 以下の(1)〜(18)のいずれかのアミノ酸配列からなる、改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼ:
    (1)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (2)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがシステインに置換され、76位フェニルアラニンがアルギニンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (3)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがトレオニンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (4)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがトレオニンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (5)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがセリンに置換され、76位フェニルアラニンがトリプトファンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (6)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがシステインに置換されてなるアミノ酸配列;
    (7)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (8)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがトリプトファンに置換され、76位フェニルアラニンがトリプトファンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (9)配列番号:1のアミノ酸配列において、139位イソロイシンがバリンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (10)配列番号:1のアミノ酸配列において、139位イソロイシンがメチオニンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (11)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがチロシンに置換され、239位セリンがメチオニンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (12)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがグリシンに置換され、239位セリンがアスパラギンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (13)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがアルギニンに置換され、239位セリンがグリシンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (14)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがアラニンに置換され、239位セリンがロイシンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (15)配列番号:1のアミノ酸配列において、239位セリンがロイシンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (16)配列番号:1のアミノ酸配列において、238位セリンがグリシンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (17)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換され、238位セリンがアルギニンに置換され、239位セリンがグリシンに置換されてなるアミノ酸配列;
    (18)配列番号:1のアミノ酸配列において、73位バリンがプロリンに置換され、76位フェニルアラニンがチロシンに置換され、238位セリンがアラニンに置換され、239位セリンがロイシンに置換されてなるアミノ酸配列。
  2. 請求項1に記載の改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼをコードする、単離された核酸。
  3. 請求項に記載の核酸を保持するベクター。
  4. 請求項に記載の核酸を保有する形質転換体(但し、ヒトを宿主とした形質転換によって得られるものを除く)
  5. ベンゼン環に置換基を有するか又は無置換のベンジルオキシアセトアルデヒドからなるアクセプター基質と、炭素数3〜6のケトンからなるドナー基質とを、請求項1に記載の改変型2−デオキシリボース5−リン酸アルドラーゼを触媒としたアルドール反応で結合させることを特徴とする、β−ケトールの合成方法。
  6. 前記アクセプター基質が、以下の化学式で表される化合物である、請求項に記載の合成方法、
    但し、式中Rはベンゼン環上の置換基であって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はシアノ基である。
  7. 前記基質がベンジルオキシアセトアルデヒドであり、前記ドナー基質がアセトンである、請求項又はに記載の合成方法。
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