JP4839373B2 - ヘルメットのシールド取付構造 - Google Patents
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Description
この場合、ロック解除のために操作ツマミを操作する方向(上下方向)と、シールドの左右両端部をヘルメット本体から引っ張り出す方向(左右方向)とは全く異なるばかりでなく、操作者には、操作ツマミを操作した手指をヘルメット本体へ添えたまま(ヘルメット本体から手指を離すことなく)、シールドの左右両端部を把持した手全体としては左右外方へ引き離すという、非常に不自然で無理な動作(同じ手の手指を複雑且つ大股に広げるような動き)が要求される。そのため、シールドの着脱が非常にやり難いということがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、シールドの着脱が迅速且つ簡単に行えるようにしたヘルメットのシールド取付構造を提供することを目的とする。また本発明は、ヘルメットとしての組み立てが容易で且つ低コスト化が図れるようにしたヘルメットのシールド取付構造を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係るヘルメットのシールド取付構造は、ヘルメット本体の左右両側に回動支持部が設けられ、ヘルメット正面をカバーするシールドにはその左右両端部に上記左右の回動支持部に対し回動自在な状態を保持して係合する回動部が設けられて、これら回動支持部と回動部とが係合離脱自在とされたものであって、回動支持部と回動部との相対間には、ヘルメット本体に対してシールドを開放位置へ跳ね上げた状態でシールドをヘルメット本体から前方斜め上方へ引き出す操作で離脱可能とし且つ分離状態にあるシールドをヘルメット本体へ向けて後方斜め下方へ押し込む操作で係合可能とするガイド手段が設けられており、シールドには、継続して押し続けたときにのみ左右の各回動部と回動支持部とを係合状態から離脱状態へと切替可能にするアンロック操作部が設けられている。
このようなことから、ヘルメット本体からシールドを外す場合、操作者はまずシールドを開放位置へ跳ね上げたうえで、シールドの左右両端部へ左右の手を添え、この左右の手の手指で各アンロック操作部を押し操作し、そのままシールドをヘルメット本体の前方斜め上方へと引き出せばよいことになる。
このとき、シールドに添えた手とアンロック操作部を押し操作している手指とは一緒にヘルメット本体から離反させる動作となる。そのため、操作者は手指を複雑且つ大股に開かせる等といった不自然な動きを要求されたものではなく、極めて自然な動きによってシールドの着脱ができるものである。
このような構造にすることで、アンロック操作部を簡潔構造にでき、組み立ても容易に行えるようになる。また弾性舌片自体に未操作時の自己復帰力(弾性力)があるため、復帰用のバネなどは不要であり、部品点数を少なく抑えることができる。これらのことから低コスト化も図れる。
このようにすることで、ヘルメット本体に対してシールドを開放位置へ跳ね上げた状態にしなければ、シールドの着脱ができない、といった使い方を可能にできる。すなわち、シールドの着脱操作位置を制限できるので、誤った動作でシールドを外してしまうことの防止に繋がる。
このようにすることで、シールドを閉じた状態での使用下(ヘルメットを被ってオートバイ等を運転する場合)において、風きり音の低減乃至解消が図れ、またシールドのガタツキも防止できる利点がある。しかも、ボタンの形成位置や矢符形状によって指し示す方向から、シールドの着脱位置やシールドの向きなどを理解できるので、その点でもシールドの着脱が容易になる。
すなわち、アンロック操作部を別部品化するものであって、これによりアンロック操作部の製作が容易となる。また万が一、アンロック操作部だけが破損した場合やシールド本体だけが破損した場合に、それらだけを個別に交換することができるようになり、維持費面での低コストが図れる。
2 ヘルメット本体
3 シールド
5 回動支持部
6 回動部
8 アンロック操作部
27 ガイド手段
42 スリット
43 スリット連結部
44 弾性舌片
45 ボタン
図1乃至図5Cは本発明に係るシールド取付構造を具備して成るヘルメット1の一実施形態を示している。図1及び図2に示すように、ヘルメット1はヘルメット本体2とこのヘルメット本体2の正面をカバーするシールド3とを有している。シールド3は、例えばポリカーボネイト等のカーボンを含んだ透明乃至着色透明の樹脂、或いはハーフミラーやマジックミラーなどの処理が施された透明樹脂によって形成されている。
なお、本実施形態のヘルメット本体2はフルフェース型としてあり、正面には顎ガード部2aが設けられ、これによって独立した開口となる目出し用開口7が形成されている。この目出し用開口7が、シールド3の上げ下げによって開閉されることになる。
本発明に係るシールド取付構造において、シールド3の交換は、ヘルメット本体2に対してシールド3を開放位置へ跳ね上げたうえで行うことが限定されている。シールド3をヘルメット本体2から外す方向(即ち、回動支持部5から回動部6を離脱する方向)は、シールド3をヘルメット本体2から前方斜め上方へ引き出す方向としてあり、またヘルメット本体2に対してシールド3を取り付ける方向(即ち、回動支持部5へ回動部6を係合する方向)は、分離状態にあるシールド3をヘルメット本体2へ向けて後方斜め下方へ押し込む方向としてある。
なお、本実施形態において回動支持部5はヘルメット本体2とは別部品として形成されたベース盤14に一体形成されたものとし、このベース盤14は、ボス部10の中央部を円形に凹ませて設けたネジ取付部15や、ボス部10の下方側へ離れた部位に設けたネジ取付部16へ取付ネジ17(図2にのみ示した)を差し込んで、ヘルメット本体2へ固定する構造としてある。
係止舌片12はボス部10側を根本としてボス部10内のネジ取付部15と繋がった状態にあり、延出方向の両側や先端側はフリーとされたもので、ボス部10の突出方向(筒軸方向)に沿って板バネ様に弾性変形自在となっている。
一方、図4A(シールド3の一端側を内側から見た図)に示すように、回動部6はシールド3の内面でリブ状に突出するハウジング部20と、このハウジング部20の突端部から径方向内方へ張り出す内フランジ部21と、ハウジング部20の中心から所定の径方向に離れた位置においてシールド3の内面で突出する係止片22とを有している。
ハウジング部20は、直線部20bが上記着脱軸線Pと平行するように馬蹄形全体が傾いた配置とされている。曲線部20aの内径や直線部20bの相互間隔(図4C中にDで示した寸法)は回動支持部5の二つの外フランジ部11を同時にガタツキなく外嵌できる寸法として形成され、また両側の内フランジ部21の内法(図4C中にdで示した寸法)は回動支持部5のボス部10をガタツキなく外嵌できる寸法として形成されている。
このようなことから、回動支持部5のボス部10及び外フランジ部11に対し、回動部6のハウジング部20(曲線部20a)及び内フランジ部21が外嵌されたとき、回動支持部5と回動部6とが回動自在にガイドされるようになり、また回動支持部5の外フランジ部11と回動部6の内フランジ部21との係合及び係止舌片12や係止継続壁13と係止片22との係合との共同作用により、回動支持部5と回動部6との外嵌状態が保持される(離脱防止される)ようになっている。
また回動支持部5には、上記した周壁25よりも更に外方側(ベース盤14の外周面側)にアーチ状に架け渡された板バネ部30が設けられ、この板バネ部30に対して半円状に突出する位置決め突起31が設けられている。従ってこの位置決め突起31は、板バネ部30によるバネ力を受けてボス部10の径方向に沿った弾性バックアップ作用を生じるようになっている。
従って、回動支持部5のボス部10に対して回動部6のハウジング部20が回動するとき、回動部6の位置決め突起31が板バネ部30の弾性バックアップ作用を受けつつ、回動支持部5の角度設定リブ32に対して各位置決め凹部32aに嵌ったり隣位へ乗り越えたりしながら移動するようになり、個々の位置決め凹部32a内にて位置決め状態が得られるものである。これにより、ヘルメット本体2に対するシールド3の跳ね上げ角度(開度)を適調節できることになる。
上記したように、シールド3(図4A参照)に対して設けられたアンロック操作部8は、回動支持部5と回動部6との離脱、即ち、係合状態からのロック解除ができるようにしたものであって、このアンロック操作部8を継続して押し続けたときにのみ、左右の回動部6と左右の回動支持部5とをそれぞれ係合状態から離脱状態へと切替可能にする。
アンロック操作部8は、プレート40に対して2本の並行するスリット42と、これら両スリット42の一端部同士を繋ぐスリット連結部43とでそれらによって片持ち状に囲まれる短冊状の弾性舌片44を形成させ、この弾性舌片44のスリット連結部43寄りにシールド外面側で膨出するボタン45を設けた構造としてある。
ボタン45はその側面視形状がスリット連結部43による半楕円状の曲線を底とする涙滴型に形成されたものとしてあり、このスリット連結部43の近傍が最も小高く膨出するようになっている。この形状から、操作者に対してはこの最も膨出した部位を押し操作するように促されることになる。
なお、ボタン45を押し操作したとき、弾性舌片44の撓み変形を効果的に起こさせ、もって係止舌片12と係止片22との係合を確実に解除させることができるようにするため、弾性舌片44にはボタン45の裏側で突出する操作突起46が設けられている。
また、ボタン45は、回動部6の近傍ではあるものの、回動部6と回動支持部5とが相対回動する中心からは偏心して位置付けられていることになる。
図5A,図5B,図5Cの順番で示すように、ヘルメット本体2からシールド3を外す場合、操作者はまずシールド3を開放位置へ跳ね上げるようにするが、ここでシールド3の着脱位置やシールド3の向きなどは、ボタン45の形成位置や矢符形状の指し示す方向から容易に理解できる。
そのため操作者は、手指を複雑且つ大股に開かせる等といった不自然な動きを要求されたものではなく、極めて自然な動きによってシールド3の着脱ができるものである。
なお、ヘルメット本体2に対してシールド3を開放位置へ跳ね上げた状態にしなければ、ボタン45を押したところで弾性舌片44は係止舌片12とは不一致で、係止継続壁13によって撓み変形が阻止されるので、係止片22に対する係合の拘束状態は解除されない。従ってシールド3の着脱はできないことになり、誤った動作でシールド3を外してしまうことが防止される。
シールド3を閉じた状態での使用下(ヘルメット1を被ってオートバイ等を運転する場合)において、ボタン45は流面形であることの特性を活かし、風きり音の低減乃至解消が図られることになる。またシールド3のガタツキも防止されることになる。
例えば、ヘルメット1としての外形状や断面構造などは何ら限定されるものではなく、ジェット型等としてもよい。
Claims (4)
- ヘルメット本体(2)の左右両側に回動支持部(5)が設けられ、ヘルメット正面をカバーするシールド(3)にはその左右両端部に上記左右の回動支持部(5)に対し回動自在な状態を保持して係合する回動部(6)が設けられて、これら回動支持部(5)と回動部(6)とが係合離脱自在とされたヘルメットのシールド取付構造において、
上記回動支持部(5)と回動部(6)との相対間には、ヘルメット本体(2)に対してシールド(3)を開放位置へ跳ね上げた状態でシールド(3)をヘルメット本体(2)から前方斜め上方へ引き出す操作で離脱可能とし且つ分離状態にあるシールド(3)をヘルメット本体(2)へ向けて後方斜め下方へ押し込む操作で係合可能とするガイド手段(27)が設けられており、
シールド(3)には、継続して押し続けたときにのみ左右の各回動部(6)と回動支持部(5)とを係合状態から離脱状態へと切替可能にするアンロック操作部(8)が設けられており、
前記アンロック操作部(8)は、2本の並行するスリット(42)とこれら両スリット(42)の一端部同士を繋ぐスリット連結部(43)とでそれらによって片持ち状に囲まれる短冊状の弾性舌片(44)を形成させ、この弾性舌片(44)のスリット連結部(43)寄りにシールド(3)外面側で膨出するボタン(45)を設けたものであることを特徴とするヘルメットのシールド取付構造。 - 前記アンロック操作部(8)のボタン(45)は、回動部(6)の近傍であって且つ回動部(6)と回動支持部(5)とが相対回動する中心からは偏心して位置付けられていることを特徴とする請求項1記載のヘルメットのシールド取付構造。
- 前記ボタン(45)は、ヘルメット本体(2)に対してシールド(3)を閉じ位置へ降ろした状態のときに正面から受ける空気抵抗を減少可能となる流面形として膨出形成されており、且つヘルメット本体(2)に対してシールド(3)を開放位置へ跳ね上げた状態ではヘルメット本体(2)に対してシールド(3)を着脱する方向性を指示する矢符形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のヘルメットのシールド取付構造。
- 前記シールド(3)は、シールド本体とこれとは別部品化されたアンロック操作部(8)とを互いに結合することによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のヘルメットのシールド取付構造。
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