以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[免疫分析装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態によるピペットチップ供給装置を備えた免疫分析装置の全体構成を示した平面図である。図2は、本発明の一実施形態によるピペットチップ供給装置が供給するピペットチップの正面図である。図3および図4は、図1に示した免疫分析装置の緊急検体・チップ搬送部を示した斜視図である。図5は、本発明の一実施形態によるピペットチップ供給装置の全体構成を示した斜視図である。図6〜図18は、図5に示した一実施形態によるピペットチップ供給装置および免疫分析装置の詳細構造を説明するための図である。まず、図1〜図18を参照して、本発明の一実施形態によるピペットチップ供給装置を備えた免疫分析装置の構成について説明する。
本発明の一実施形態によるピペットチップ供給装置30を備えた免疫分析装置1は、血液などの検体を用いてB型肝炎、C型肝炎、腫瘍マーカおよび甲状腺ホルモンなど種々の項目の検査を行うための装置である。この免疫分析装置1は、図1に示すように、検体搬送部(サンプラ)10と、緊急検体・チップ搬送部20と、ピペットチップ供給装置30と、検体分注アーム50と、試薬設置部61および62と、キュベット供給部70と、1次反応部81および2次反応部82と、試薬分注アーム91、92、93および94と、BF分離部101およびBF分離部102と、搬送キャッチャ部110と、検出部120と、廃棄部130と、チップ脱離部140とから構成されている。なお、本実施形態による免疫分析装置1では、検体分注アーム50により吸引および吐出された血液などの検体が他の検体と混ざり合うのを抑制するために、検体の吸引および吐出を行う度に、使い捨てのピペットチップ2(図2参照)の交換を行なっている。
この免疫分析装置1では、測定対象である抗原が含まれる血液などの検体と捕捉抗体(R1試薬),磁性粒子(R2試薬)を混和させて、抗原、捕捉抗体および磁性粒子を結合させた後に、磁性粒子をBF(Bound Free)分離部101の磁石101dに引き寄せることにより、未反応(Free)の捕捉抗体を含む溶液を除去する。そして、抗原が結合(Bound)した磁性粒子に標識抗体(R3試薬)を結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子、抗原および標識抗体をBF分離部102の磁石102dに引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、標識抗体と結合する検体に含まれる抗原を定量的に測定している。
検体搬送部10は、検体を収容した複数の試験管3が載置されたラック4を検体分注アーム50の吸引位置1aに対応する位置まで搬送するように構成されている。この検体搬送部10は、未処理の検体を収容した試験管3が載置されたラック4をセットするためのラックセット部10aと、分注処理済みの検体を収容した試験管3が載置されたラック4を貯留するためのラック貯留部10bとを有している。そして、未処理の検体を収容した試験管3を検体分注アーム50の吸引位置1aに対応する位置まで搬送することにより、検体分注アーム50により試験管3内の血液などの検体の吸引が行なわれて、その試験管3を載置したラック4がラック貯留部10bに貯留される。
緊急検体・チップ搬送部20は、検体搬送部10により搬送される検体に割り込んで検査する必要がある緊急検体を収容した試験管3を検体分注アーム50の装着位置1bまで搬送するように構成されている。この緊急検体・チップ搬送部20は、図1、図3および図4に示すように、X方向に延びるように設けられたスライドレール21と、スライドレール21に沿って移動可能に設けられるスライド本体22からなる直動ガイドと、スライド本体22に取り付けられる搬送ラック23と、搬送ラック23の下部に取り付けられる検出片24と、検出片24によって遮光される遮光センサ25とを備えている。また、搬送ラック23には、緊急の検体が収容された試験管3を載置するための試験管設置部23aと、後述するピペットチップ供給装置30から供給されるピペットチップ2(図2参照)を載置するための長穴のチップ設置部23b(図4参照)とが設けられている。また、検出片24は、ピペットチップ供給装置30からピペットチップ2を受け取る位置に配置された場合に、遮光センサ25を遮光するように配置されている。そして、搬送ラック23は、図示しないモータからの駆動力によりスライドレール21に沿って移動することにより、緊急の検体が収容された試験管3およびピペットチップ2を検体分注アーム50の装着位置1b(図1参照)まで搬送する。
ここで、本実施形態では、ピペットチップ供給装置30は、後述するチップ補給部31に投入したピペットチップ2(図2参照)を1つずつ緊急検体・チップ搬送部20の搬送ラック23のチップ設置部23bに載置する機能を有している。また、ピペットチップ供給装置30は、ピペットチップ2の先端部2aが下向きになるように方向付けた状態で搬送ラック23のチップ設置部23bに供給する機能も有している。このピペットチップ供給装置30は、図5および図6に示すように、チップ補給部31と、回動機構部32と、チップ供給機構部33と、搬送路34と、除電ファン35と、排出機構部36と、仕分機構部37と、移送部38および移送部39と、3つのシュート40a〜40cと、7つの検出センサ(透過型センサ)41a〜41iと、チップ回収容器42とから構成されている。
チップ補給部31は、複数の補給用のピペットチップ2(図2参照)を収容可能に構成されている。このチップ補給部31に収容されるピペットチップ2は、複数個(たとえば、500個)が袋詰めされた状態で市販されている。チップ補給部31は、図5に示すように、袋から取り出した複数のピペットチップ2を投入するための投入口31aと、収容したピペットチップ2を排出する排出口31bとを備えている。
また、チップ補給部31の排出口31bの近傍の位置には、チップ補給部31に収容されるピペットチップ2の有無を検出するための検出センサ(透過型センサ)41aが設けられている。
また、チップ補給部31の排出口31bから落下するピペットチップ2を受け入れる位置には、排出口31bから落下したピペットチップ2をシャーシ30aの開口部30b(図8参照)を介して後述するチップ供給機構部33のドラム335に導くためのシュート40aが設けられている。
回動機構部32は、回動部材323がチップ補給部31の排出口31bを塞ぐ位置から排出口31bを開放する位置まで回動するように構成されている。この回動機構部32は、図6および図7に示すように、駆動源となるモータ321と、モータ321に取り付けられる押圧部材322と、押圧部材322に押圧される回動部材323と、引張りコイルバネ324と、遮光センサ325(図5および図6参照)とにより構成されている。また、モータ321は、チップ補給部31に取り付けられる板金326に取り付けられている。また、この板金326には、引張りコイルバネ324の一方端が取り付けられるとともに、引張りコイルバネ324の他方端は、回動部材323に取り付けられている。つまり、引張りコイルバネ324は、回動部材323を排出口31bを塞ぐ位置から離間させる方向に付勢するように設けられている。また、押圧部材322には、回動部材323を押圧するためのローラ327が取り付けられている。また、遮光センサ325は、回動部材323がチップ補給部31の排出口31bを塞ぐ位置に回動された場合に、回動部材323の側面323a(図5参照)を検出するように設置されている。
次に、チップ供給機構部33の構成について詳細に説明する。ユーザーにより袋から取り出されたピペットチップ2は、チップ補給部31に投入された後、排出口31bから排出される。チップ供給機構部33は、このようにして排出されたピペットチップ2を、シュート40a(図5参照)およびシャーシ30aの開口部30b(図8参照)を介して受け入れるとともに、受け入れたピペットチップ2の一部を後述する搬送路34に送出するように構成されている。このチップ供給機構部33は、図8および図9に示すように、駆動源となるステッピングモータ331と、ステッピングモータ331に取り付けられるギア332と、シャーシ30aに対して回転可能に取り付けられるドラム部333と、ドラム部333の回転位置を検出するための遮光センサ334とを備えている。ドラム部333は、複数のピペットチップ2を収容可能な、中心軸が水平に延びた円筒状のドラム335と、ギア332に噛み合うようにドラム335の外周に沿って巻きつけられるチェーン336と、遮光センサ334により検出される二つの検出片337と、円筒状のドラム335の収容部335aを塞ぐようにシャーシ30a側とは反対側に取り付けられる蓋部338(図8参照)とを備えている。また、ドラム335の内壁には、後述するピペットチップ保持部材335bの上方近傍に、ドラム335に収容されるピペットチップ2の収容量を検出するための検出センサ(透過型センサ)41iが設けられている。ステッピングモータ331の駆動に伴ってギア332が回転することにより、ギア332に噛み合うチェーン336およびそのチェーン336が巻きつけられるドラム335が、ドラム335の中心軸(回転軸)を回転中心として回転する。
シャーシ30aは、蓋部338(図8参照)側とは反対側のドラム335の側面に近接して設けられており、シャーシ30aの開口部30c(図6参照)は、ドラム335の回転軸の上方に設けられている。一方、ドラム335のシャーシ30a側の側面には、二つの開口部335cがドラム335の回転軸回りに180度間隔で設けられており、ドラム335の回転により、開口部335cとシャーシ30aの開口部30cとが一致するように構成されている。開口部335cとシャーシ30aの開口部30cとが一致しない位置にある場合は、開口部335cはシャーシ30aにより塞がれている。また、ドラム335の内側には、ピペットチップ保持部材335bが、二つの開口部335cの近傍にそれぞれ設けられている。ピペットチップ保持部材335bは、開口部335cのドラム335の回転方向の反対側の縁およびその周辺から蓋部338へ向かって延びている。すなわち、ピペットチップ保持部材335bよりもドラム335の回転方向側に開口部335cが位置している。さらに詳しくは、このピペットチップ保持部材335bは、ドラム335の内周面335dに取り付けられた取付部501と、取付部501からドラム335の回転中心に向かって立ち上がるように設けられた第1保持部502と、第1保持部502のドラム335の中心側の端部から開口部335c側に向かって折れ曲がるように設けられた第2保持部503とによって構成されている。開口部335cはドラム335の回転方向に長い略長方形状をなしている。第1保持部502は、開口部335cの前記回転方向の反対側の短辺から蓋部338へ向かって延びている。第2保持部503は、開口部335cのドラム335の回転軸側の長辺から蓋部338へ向かって延びている。ピペットチップ保持部材335bが備える第1保持部502、第2保持部503とドラム335の内周面335dのうち第2保持部503に対向する部分とにより空間が形成されており、その空間にピペットチップ保持部材335bは所定量(本実施形態では、5本〜15本程度)のピペットチップ2を保持可能である。また、ピペットチップ保持部材335bはドラム335の内側に設けられているため、ドラム335の回転に伴ってピペットチップ保持部材335bも回転移動する。
図10は、ドラム335の回転に伴って、ピペットチップ保持部材335bが、ドラム335内を図10中の(a)、(b)、(c)、(d)の順に回転移動する様子を示した模式図である。図10(a)は、ピペットチップ保持部材335bがドラム335内の最下部に位置するときの図である。図10(a)に示すように、ドラム335内のピペットチップ2の一部は、ピペットチップ保持部材335bによって保持される。さらに詳しくは、ドラム335内のピペットチップ2の一部は、ピペットチップ保持部材335bと内周面335dとにより形成される空間に保持される。この空間は、ピペットチップ保持部材335bのドラム335の回転方向側の開口部335cに近接する位置に形成されている。図10(b)は、ドラム335の回転に伴い、ピペットチップ保持部材335bが図10(a)の位置から回転移動した様子を示す図である。図10(b)に示すように、ピペットチップ保持部材335bは、回転に伴って、ピペットチップ保持部材335bに保持されているピペットチップ2を持ち上げ始める。図10(c)は、ドラム335の回転に伴い、ピペットチップ保持部材335bが図10(b)の位置から回転移動した図である。ピペットチップ保持部材335bは、所定量(本実施形態では、5本〜15本程度)のピペットチップ2を保持するような大きさおよび形状となっており、図10(c)に示すように、ピペットチップ保持部材335bは、回転に伴って、所定量のピペットチップ2をすくい上げ、ドラム335の収容部335a内の下部に貯留されたピペットチップ2から所定量のピペットチップ2を取り分ける。取り分けられなかったピペットチップ2は、ドラム335の収容部335a内の下部に依然として残る。図10(d)は、ドラム335の回転に伴い、ピペットチップ保持部材335bが図10(c)の位置からシャーシ30aの開口部30c近傍に回転移動した図である。図10(d)に示すように、ピペットチップ保持部材335bによってすくい上げられたピペットチップ2は、シャーシ30aの開口部30cに向かって運ばれている。
本実施形態では、ドラム335の回転に伴い、開口部335cとシャーシ30aの開口部30cとが一致する時に、第2保持部503は、ピペットチップ保持部材335bがすくい上げたピペットチップ2を下から支持する状態となる。ここで第2保持部503は、開口部335cに対して下り傾斜となる斜面を形成するように設けられている。そのため、ピペットチップ保持部材335bによりシャーシ30aの開口部30cに向かって運ばれているピペットチップ2は、ドラム335の回転により開口部335cとシャーシ30aの開口部30cとが一致した時に、開口部335cに対して下り傾斜となった第2保持部503を滑落し、開口部335cおよびシャーシ30aの開口部30cを介して後述する搬送路34に送出される。開口部335cとシャーシ30aの開口部30cとが一致しない位置にある場合は、開口部335cはシャーシ30aにより塞がれているため、ピペットチップ保持部材335bにより保持されたピペットチップ2はドラム335外へ送出されない。
搬送路34は、図6および図11に示すように、チップ供給機構部33から送出された所定量(本実施形態では、5本〜15本程度)のピペットチップ2を搬送する2つの傾斜路34aおよび34bにより構成されている。この搬送路34の傾斜路34aおよび34bは、チップ供給機構部33のドラム335のピペットチップ保持部材335bから送出されたピペットチップ2を転がり落とすことにより、後述する仕分機構部37側に導くために設けられている。また、搬送路34の上方には、電離した空気を送風する機能を有している除電ファン35が設けられている。ドラム335の回転によりドラム335の内部に収容されたピペットチップ2が互いに擦れることに起因して、ピペットチップ2には静電気が発生する場合があるが、除電ファン35により、ピペットチップ2に帯電した静電気を除去することが可能である。この除電ファン35は、図5、図8、図11および図12に示すように、シャーシ30aの上方に設けられた平面的に見てコの字形状を有する保持部30dに両側面を挟み込むように保持されている。そして、シャーシ30aの保持部30dに保持された除電ファン35は、図8および図12に示すように、送風口35aがシャーシ30aの開口部30cおよび搬送路34の傾斜路34aのピペットチップ2を受け入れる部分(図12の領域F)に向くように配置されている。つまり、除電ファン35は、シャーシ30aの開口部30cを介して、ドラム335のピペットチップ保持部材335bにより持ち上げられたピペットチップ2に電離した空気を送風するとともに、ピペットチップ保持部材335bから送出されて搬送路34の傾斜路34aに位置するピペットチップ2に電離した空気を送風するように配置されている。そのため、除電ファン35から送風される電離した空気が、傾斜路34aを散けつつ転がり落ちるピペットチップ2に当たるため、電離した空気がピペットチップ2にまんべんなく当たり、効果的に除電が行われるように構成されている。また、この除電ファン35は、ドラム35の回転動作に基づいて駆動するように制御されている。すなわち、除電ファン35は、シャーシ30aの開口部30cを介して、ドラム335のピペットチップ保持部材335bが露出してから所定の時間だけ駆動(オン)するように制御されることにより、ピペットチップ2が図12の領域Fに位置する間だけ駆動(オン)するように構成されている。
また、排出機構部36は、図11および図13に示すように、ピペットチップ2を搬送可能な図11に示す第1位置からピペットチップ2を排出可能な図13に示す第2位置(開放位置)まで回動するように構成されている。この排出機構部36は、図11および図13〜図15に示すように、駆動源となるモータ361と、モータ361に取り付けられる押圧部材362と、押圧部材362に押圧される回動部材363と、引張りコイルバネ364と、遮光センサ365とにより構成されている。また、モータ361は、シャーシ30aに取り付けられる板金366に取り付けられている。また、この板金366には、引張りコイルバネ364の一方端が取り付けられるとともに、引張りコイルバネ364の他方端は、回動部材363に取り付けられている。つまり、引張りコイルバネ364は、回動部材363を第2位置(図13参照)から離間させる方向に付勢するように設けられている。また、押圧部材362には、回動部材363を押圧するためのローラ367が取り付けられている。また、回動部材363は、傾斜路34bを構成する斜面部368を備えている。そして、斜面部368は、第1位置に回動された場合に、傾斜路34aから受け入れたピペットチップ2を中継部材40を介して後述する仕分機構部37に転がり落とすとともに、第2位置(開放位置)に回動された場合に、斜面部368上に詰まったピペットチップ2を排出する機能を有している。また、遮光センサ365は、回動部材363が第1位置に回動された場合に、回動部材363の検出片363aを検出するように設置されている。
また、排出機構部36の斜面部368の近傍の位置には、斜面部368においてピペットチップ2の有無を検出するための検出センサ(透過型センサ)41bが設けられている。つまり、検出センサ41bは、回動部材363の斜面部368上にピペットチップ2が詰まったか否かを検出することが可能である。
仕分機構部37は、中継部材40を介して傾斜路34bから受け入れたピペットチップ2を1つずつに仕分けるとともに、1つずつに仕分けられたピペットチップ2を後述する移送部38に送り出すために設けられている。この仕分機構部37は、図6および図11に示すように、中継部材40を介して傾斜路34bから受け入れたピペットチップ2を上方に持ち上げる切出機構部371と、切出機構部371により持ち上げられたピペットチップ2を受け入れるとともに後述する切出機構部373に導く斜面部372と、斜面部372から受け入れた2つ以下のピペットチップ2を上方に持ち上げる切出機構部373と、切出機構部373により持ち上げられたピペットチップ2を受け入れるとともに後述する移送部38に送り出す斜面部374とを備えている。
また、切出機構部371は、駆動源となるモータ371aと、モータ371aに接続されるプーリ371bと、プーリ371bと所定の間隔を隔てて配置されるプーリ371cと、プーリ371bおよびプーリ371cに装着される駆動伝達ベルト371dと、駆動伝達ベルト371dに連結されるとともに上下方向(Z方向)に移動可能な移動部材371eとにより構成されている。これにより、モータ371aが駆動することにより、プーリ371bを介して、駆動伝達ベルト371dが駆動されるので、駆動伝達ベルト371dに連結される移動部材371eが上下方向(Z方向)に移動される。このため、移動部材371eの上面上に載置されるピペットチップ2が上方に持ち上げられて斜面部372に送り出される。
また、斜面部372は、切出機構部371側から切出機構部373側に向かってピペットチップ2が転がり落ちる傾斜面である。
また、切出機構部373は、斜面部372から受け入れたピペットチップ2を1つずつ斜面部374に送り出す機能を有している。この切出機構部373は、図11に示すように、駆動源となるモータ373aと、モータ373aに接続されるプーリ373bと、プーリ373bと所定の間隔を隔てて配置されるプーリ373cと、プーリ373bおよびプーリ373cに装着される駆動伝達ベルト373dと、駆動伝達ベルト373dに連結されるとともに上下方向(Z方向)に移動可能な移動部材373e(図6参照)とにより構成されている。これにより、モータ373aが駆動することにより、プーリ373bを介して、駆動伝達ベルト373dが駆動されるので、駆動伝達ベルト373dに連結される移動部材373eが上下方向(Z方向)に移動される。このため、移動部材373eの上面上に配置されるピペットチップ2が上方に持ち上げられる。この際、移動部材373eは、上面上に2つ以下のピペットチップ2しか載置されないように形成されている。そして、移動部材373eは、2つのピペットチップ2が移動部材373eの上面上に載った状態で上方(Z方向)に移動した場合にも、移動部材373eの上面上から2つのピペットチップ2のいずれか一方がバランスを崩して斜面部372側に落下するように、設計されている。このため、移動部材373eの上面上に2つのピペットチップ2が載ったとしても、ピペットチップ2を1つずつ斜面部374に供給することが可能となる。
また、斜面部374は、切出機構部373側から後述する移送部38側に向かってピペットチップ2が転がり落ちる傾斜面であり、後述する移送部38にピペットチップ2を供給する機能を有している。
検出センサ(透過型センサ)41cは、仕分機構部37の切出機構部371の移動部材371eが下側に位置する場合に、仕分機構部37の切出機構部371の移動部材371eの上面上に載置されるピペットチップ2の有無を検出するために設けられている。この検出センサ(透過型センサ)41cは、検出センサ(透過型センサ)41bと所定の間隔を隔てた位置に設けられている。
検出センサ(透過型センサ)41dは、斜面部372に載置するピペットチップ2の有無を検出するために設けられており、この検出センサ(透過型センサ)41dがピペットチップ2を検出する場合には、仕分機構部37の切出機構部371が動作しないように制御されている。
移送部38は、仕分機構部37の斜面部374から転がり落ちたピペットチップ2を矢印X1方向(図16参照)に移動させるために設けられている。この移送部38は、図16に示すように、駆動源となるモータ381と、モータ381に装着されるギア382と、送りネジ383と、シャフト384と、送りネジ383に装着されるとともにギア382に噛み合うギア385と、シャフト384に装着されるとともにギア385に噛み合うギア386とから構成されている。また、送りネジ383およびシャフト384は、シャーシ30aに対して回転可能に取り付けられている。送りネジ383およびシャフト384は、ピペットチップ2の胴部2b(図2参照)の直径と実質的に同じ間隔を隔てて互いに平行に配置されている。これにより、送りネジ383およびシャフト384は、ピペットチップ2の胴部2bを保持することが可能となる。この際、図17に示すように、送りネジ383およびシャフト384が保持するピペットチップ2の胴部2bは、ピペットチップ2の重心G(図2参照)より上側に位置しているので、仕分機構部37の斜面部374から転がり落ちるピペットチップ2の先端部2aが下向きに配置された状態で、送りネジ383およびシャフト384に保持される。また、送りネジ383およびシャフト384の矢印X1方向側には、平面的に見てピペットチップ2の装着部2cの直径よりも大きい間隔を有する投下部38aが設けられている。
また、検出センサ(透過型センサ)41eは、送りネジ383およびシャフト384に保持されているピペットチップ2の有無を検出するために設けられている。また、検出センサ(透過型センサ)41fは、送りネジ383およびシャフト384により搬送されるピペットチップ2が投下部38aまで送られたか否かを検出するために設けられている。
シュート40bは、図6に示すように、移送部38の投下部38a(図16参照)から落下したピペットチップ2(図2参照)を移送部39に導くために設けられている。
移送部39は、移送部38からシュート40bを介して導かれたピペットチップ2を矢印Y1方向に移動させるために設けられている。この移送部39は、図5、図6および図11に示すように、駆動源となるモータ391と、モータ391に接続されるプーリ392と、プーリ392と所定の間隔を隔てて配置されるプーリ393と、プーリ392およびプーリ393に装着される駆動伝達ベルト394と、プーリ393の回転とともに回転可能に設置される送りネジ395と、シャーシ30aに取り付けられる壁部396と、プーリ393に取り付けられる検出片397と、遮光センサ398とにより構成されている。送りネジ395は、ピペットチップ2の装着部2c(図2参照)の直径よりも小さく、かつ、ピペットチップ2の胴部2b(図2参照)の直径よりも大きい直径の溝部395aを有している。そして、壁部396は、送りネジ395の溝部395aに嵌ったピペットチップ2が落下しないように送りネジ395に対して所定の間隔を隔てて平行に配置されている。これにより、送りネジ395および壁部396は、ピペットチップ2の胴部2bを保持することが可能となる。また、遮光センサ398は、送りネジ395を回転させるプーリ393が回転した場合に、プーリ393に取り付けられる検出片397を検出するように配置されている。
検出センサ(透過型センサ)41gは、図5および図6に示すように、移送部38からシュート40bを介して導かれたピペットチップ2が移送部39に到着したか否かを検出するために設けられている。また、検出センサ(透過型センサ)41hは、移送部39によって搬送されるピペットチップ2が後述するシュート40cに落下させる直前まで搬送されたか否かを検出するために設けられている。
シュート40cは、移送部39により搬送されたピペットチップ2を上述した緊急検体・チップ搬送部20の搬送ラック23のチップ設置部23bに導くために設けられている。このシュート40cは、通過するピペットチップ2の先端部2aが傾斜した状態で滑り落ちるように形成されている。
チップ回収容器42は、排出機構部36により排出されたピペットチップ2を回収することが可能な位置に配置されている。
検体分注アーム50は、検体搬送部10により吸引位置1a(図1参照)に搬送された試験管3内の検体、または、緊急検体・チップ搬送部20により装着位置1b(図1参照)に搬送された試験管3内の検体を、後述する1次反応部81の回転テーブル部81aの保持部81bに保持されるキュベット8(図18参照)内に分注する機能を有している。この検体分注アーム50は、図1および図18に示すように、モータ51と、モータ51に接続される駆動伝達部52と、駆動伝達部52に軸53を介して取り付けられるアーム部54とを備えている。駆動伝達部52は、モータ51からの駆動力によりアーム部54を、軸53を中心に回動させるとともに、上下方向(Z方向)に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部54の先端部には、検体の吸引および吐出を行うノズル部54aが設けられている。そして、このノズル部54aの先端54bには、緊急検体・チップ搬送部20の搬送ラック23により搬送されるピペットチップ2が装着される。
チップ脱離部140(図1参照)は、検体分注アーム50に装着されたピペットチップ2を脱離するために設けられている。このチップ脱離部140は、図19に示すように、垂直方向(Z方向)に延びるように設けられる板金141と、板金141に取り付けられる樹脂製の解除片142とを備えている。そして、解除片142には、ピペットチップ2の装着部2c(図21参照)の直径よりも小さく、かつ、検体分注アーム50のアーム部54の先端54b(図21参照)の直径よりも大きい直径を有する切欠部142aが形成されている。
試薬設置部61(図1参照)は、捕捉抗体を含むR1試薬が収容される試薬ビン5および標識抗体を含むR3試薬が収容される試薬ビン7を、設置部61aに設置するために設けられている。
試薬設置部62(図1参照)は、磁性粒子を含むR2試薬が収容される試薬ビン6を設置部62aに設置するために設けられている。
キュベット供給部70(図1参照)は、複数のキュベット8(図18参照)を1次反応部81の回転テーブル部81aの保持部81bに順次供給することが可能なように構成されている。
供給用キャッチャ部74(図1参照)は、キュベット供給部70により供給されたキュベット8を1次反応部81の回転テーブル部81aの保持部81bに移送する機能を有している。
1次反応部81(図1参照)は、回転テーブル部81aの保持部81bに保持されるキュベット8を所定の期間(本実施形態では、18秒)毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット8内の検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌するために設けられている。この1次反応部81は、R1試薬およびR2試薬が収容されたキュベット8を後述するBF分離部101に搬送する搬送機構部81cを備える。
試薬分注アーム91(図1参照)は、試薬設置部61の設置部61aに設置される試薬ビン5内のR1試薬を吸引するとともに、その吸引したR1試薬を1次反応部81の回転テーブル部81aの保持部81bの検体が分注されたキュベット8内に分注するための機能を有している。
試薬分注アーム92(図1参照)は、試薬設置部62の設置部62aに設置される試薬ビン6内のR2試薬を1次反応部81の検体およびR1試薬が分注されたキュベット8内に分注するための機能を有している。
BF(Bound Free)分離部101(図1参照)は、1次反応部81の搬送機構部81cから受け取ったキュベット8(図18参照)内の未反応のR1試薬を除去するために設けられている。
搬送キャッチャ部110(図1参照)は、未反応のR1試薬などが分離されたBF分離部101の設置部101aのキュベット8(図18参照)を2次反応部82の回転テーブル部82aの保持部82bに搬送する機能を有している。
2次反応部82(図1参照)は、1次反応部81と同様の構成を有しており、回転テーブル部82aの保持部82bに保持されるキュベット8を所定の期間(本実施形態では、18秒)毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット8内の検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬を攪拌するために設けられている。この2次反応部82は、攪拌された検体などが収容されたキュベット8を後述するBF分離部102に搬送する搬送機構部82cを有する。搬送機構部82cは、BF分離部102により処理されたキュベット8を再び回転テーブル部82aの保持部82bに搬送する機能を有している。
試薬分注アーム93(図1参照)は、試薬設置部61の設置部61aに設置される試薬ビン7内のR3試薬を吸引するとともに、その吸引されたR3試薬を2次反応部82の検体、R1試薬およびR2試薬が分注されたキュベット8内に分注するための機能を有している。
BF分離部102(図1参照)は、BF分離部101と同様の構成を有しており、2次反応部82の搬送機構部82cから受け取ったキュベット8(図18参照)内の未反応のR3試薬を除去するために設けられている。
試薬分注アーム94(図1参照)は、免疫分析装置1の下部に設置される図示しない試薬ビン内の発光基質を含むR5試薬を2次反応部82の検体、R1試薬、R2試薬およびR3試薬が収容されたキュベット8内に分注するための機能を有している。
検出部120(図1参照)は、所定の処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光電子増倍管(Photo Multiplier
Tube)で検出することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定するために設けられている。
廃棄部130(図1参照)は、検出部120により測定された測定済の検体などを収容したキュベット8(図18参照)を廃棄するために設けられている。
[ピペットチップ供給動作]
次に、図2〜図6、図8、図11、図13、図16、図17および図18を参照して、ピペットチップ供給装置の検体分注アームに対するピペットチップの供給動作について説明する。
まず、図5に示すように、ピペットチップ供給装置30のチップ補給部31の投入口31aから複数のピペットチップ2を投入する。このとき、回動機構部32の回動部材323がチップ補給部31の排出口31bを塞ぐ位置に回動されており、チップ補給部31内に複数個のピペットチップ2が貯留される。この際、検出センサ(透過型センサ)41aによりチップ補給部31内のピペットチップ2が検出されている。
そして、ドラム335の検出センサ(透過型センサ)41iがドラム335内のピペットチップ2を検出していない場合には、回動機構部32の回動部材323をチップ補給部31の排出口31bを開放する位置まで回動させることにより、所定量のピペットチップ2がチップ補給部31の排出口31bからシュート40aおよびシャーシ30aの開口部30b(図8参照)を介してチップ供給機構部33のドラム335に投下される。
そして、図5および図11に示した検出センサ(透過型センサ)41bが排出機構部36の斜面部368上のピペットチップ2を検出しない場合には、チップ供給機構部33のドラム部333が回転されて、所定量(本実施形態では、5本〜15本程度)のピペットチップ2がピペットチップ保持部材335bにより搬送路34に送出される。これに対して、検出センサ41bが排出機構部36の斜面部368上のピペットチップ2を検出する場合には、チップ供給機構部33のドラム部333は回転されず、搬送路34にピペットチップ2が供給されない。
ここで、本実施形態では、開口部335cとシャーシ30aの開口部30cとが一致する際に、遮光センサ334が検出片337を検出するよう構成されており、遮光センサ334が検出片337を検出した場合には、ドラム335の回転を一時的に停止するよう制御される。そのため、ピペットチップ保持部材335bにより保持されていたピペットチップ2の全てが第2保持部503を滑落し、ドラム334外へ送出されるための時間を確保することができる。また、ピペットチップ保持部材335bは、搬送路34に送出されるピペットチップ2の数が所定量(本実施形態では、5本〜15本程度)になるような大きさおよび形状となっている。したがって、過剰量のピペットチップ2が搬送路34を経由して仕分機構部37に送られることがなく、詰りが生じにくい構成となっている。さらに、ドラム335およびチップ補給部31はそれぞれ約500個のピペットチップ2が収容される大きさとなっており、大量のピペットチップ2を一度の補給で収容可能となっている。そのため、ドラム335およびチップ補給部31に一度大量にピペットチップ2を補給すれば、ユーザーは何度も補給することなく、所定量のピペットチップ2を連続してドラム335から送出することが可能となる。また、過剰量のピペットチップ2が搬送路34に送出されないため、除電ファン35から送風される電離した空気がピペットチップ2にまんべんなく当たり、効果的に除電が行われる。
さらに、本実施形態では、チップ供給機構部33のドラム335のピペットチップ保持部材335bにより搬送路34に送り出されたピペットチップ2は、図12に示すように、除電ファン35から送風される電離した空気により静電気が除去されながら、搬送路34の傾斜路34aを転がり落ちる。このとき、除電ファン35から送風される電離した空気が、傾斜路34aを散けつつ転がり落ちるピペットチップ2に当たるため、電離した空気がピペットチップ2にまんべんなく当たり、効果的に除電が行われる。なお、発明者らの実験によれば、数kVの電圧の静電気を帯びたピペットチップ2の電圧が数Vまで下がるという結果が得られた。
そして、図6に示すように、搬送路34の傾斜路34aから転がり落ちたピペットチップ2は、搬送路34の傾斜路34bを構成する排出機構部36の斜面部368を転がり落ちて仕分機構部37の切出機構部371に中継部材40を介して導かれる。この際、検出センサ(透過型センサ)41bにより、排出機構部36の斜面部368上のピペットチップ2の有無が検出されるとともに、検出センサ(透過型センサ)41cにより、切出機構部371の移動部材371e上のピペットチップ2の有無が検出される。
そして、切出機構部371の移動部材371eを所定回数(たとえば、15回)上下方向に移動させた場合でも、検出センサ41bおよび41cがピペットチップ2を検出する場合には、ピペットチップ2が排出機構部36の斜面部368上で詰まっていると判断されて、図13に示すように、排出機構部36の回動部材363が回動され、斜面部368が中継部材40から離間する。これにより、斜面部368上で詰まっているピペットチップ2は、下方に落下されてチップ回収容器42に回収される。
その後、仕分機構部37の切出機構部371の移動部材371eを上下方向(Z方向)に移動させることにより、切出機構部371の移動部材371eに載るピペットチップ2を上方に持ち上げるとともに、斜面部372側に送り出す。この際、検出センサ(透過型センサ)41dにより斜面部372上に載るピペットチップ2の有無が検出されて、検出センサ41dによりピペットチップ2が検出される場合には、切出機構部371の動作を停止させて、切出機構部371からピペットチップ2が斜面部372に送り出されるのを停止する。
そして、仕分機構部37の切出機構部371から斜面部372に持ち上げられたピペットチップ2は、斜面部372を転がり落ちて、切出機構部373に導かれる。その後、切出機構部373の移動部材373eを上下方向(Z方向)に移動させることにより、切出機構部373の移動部材373eに載るピペットチップ2を持ち上げるとともに、斜面部374に送り出す。そして、斜面部374に持ち上げられたピペットチップ2は、斜面部374を転がり落ちて、移送部38に送り出される。
この際、図17に示すように、仕分機構部37の斜面部374から転がり落ちたピペットチップ2は、重心Gの上部の位置である胴部2b(図2参照)を送りネジ383およびシャフト384により保持されるので、ピペットチップ2の先端部2aが下向きに方向付けられる。
また、図5および図16に示した検出センサ(透過型センサ)41eにより、送りネジ383およびシャフト384に保持されるピペットチップ2の有無が検出されている。具体的には、図6に示すように、検出センサ41eが送りネジ383およびシャフト384に保持されるピペットチップ2を検出しない場合には、仕分機構部37の切出機構部371および切出機構部373を上下方向(Z方向)に移動させることにより、1つのピペットチップ2を仕分機構部37の斜面部374から移送部38に送り出す。これに対して、検出センサ41eが送りネジ383およびシャフト384に保持されるピペットチップ2を検出する場合には、仕分機構部37の切出機構部371および切出機構部373の上下方向(Z方向)の移動を停止させることにより、移送部38へのピペットチップ2の供給を停止する。
そして、移送部38の送りネジ383およびシャフト384を回転させることにより、送りネジ383およびシャフト384に保持されるピペットチップ2を移送部38の投下部38a(図16参照)まで搬送する。この際、図16に示すように、検出センサ(透過型センサ)41fにより、送りネジ383およびシャフト384により送り出されるピペットチップ2が投下部38aまで搬送されたか否かが検出される。
そして、図6に示すように、移送部38の投下部38aから落下したピペットチップ2は、シュート40bを通過して移送部39に到着する。この際、検出センサ(透過型センサ)41gにより、移送部39にピペットチップ2が到着したか否かが検出される。具体的には、検出センサ41gがピペットチップ2を検出する場合には、移送部38の動作を停止させて、移送部38からピペットチップ2が移送部39に送り出されるのを停止する。これに対して、検出センサ41gがピペットチップ2を検出しない場合には、移送部38の送りネジ383およびシャフト384を回転させることにより、移送部38から移送部39にピペットチップ2を供給する。
そして、移送部39の送りネジ395を回転させることにより、送りネジ395の溝部395aおよび壁部396に1つずつ保持されるピペットチップ2をシュート40cまで順番に搬送する。この際、検出センサ(透過型センサ)41hは、シュート40cの直前の位置において、ピペットチップ2の有無を検出する。具体的には、検出センサ41hがシュート40cの直前の位置でピペットチップ2を検出するまで、送りネジ395を回転させることにより、速やかにピペットチップ2をシュート40cの直前の位置まで搬送する。
そして、図3および図4に示すように、移送部39により1つずつ順番に搬送されたピペットチップ2は、シュート40cを通過して緊急検体・チップ搬送部20の搬送ラック23のチップ設置部23bに設置される。この際、図3に示すように、緊急検体・チップ搬送部20の検出片24が遮光センサ25により検出されることにより、緊急検体・チップ搬送部20がシュート40cからピペットチップ2を受け取り可能な位置に配置されていると認識されている。
そして、搬送ラック23のチップ設置部23bに載置されるピペットチップ2は、検体分注アーム50の装着位置1b(図1参照)に対応する位置まで搬送される。そして、図18に示すように、検体分注アーム50のアーム部54のノズル部54aを装着位置1b(図1参照)まで回動させた後、そのアーム部54を下方に移動させることにより、アーム部54のノズル部54aの先端54bをピペットチップ2の装着部2cに圧入する。これにより、ピペットチップ供給装置30から検体分注アーム50にピペットチップ2が供給される。
[分注動作]
そして、検体分注アーム50は、アーム部54のノズル部54aを吸引位置1a(図1参照)、または、装着位置1b(図1参照)まで回転させた後、そのアーム部54を下方に移動させ、検体搬送部10により吸引位置1aに搬送された試験管3内の検体、または、緊急検体・チップ搬送部20により装着位置1bに搬送された試験管3内の検体を、ノズル部54aの先端54bに装着されたピペットチップ2内に陰圧により吸引する。その後、アーム部54を上方に移動させ、アーム部54のノズル部54aを1次反応部81の回転テーブル部81aの保持部81bまで回動させた後、アーム部54を下方に移動させ、1次反応部81の回転テーブル部81aの保持部81bに保持されるキュベット8(図17参照)内に検体を吐出する。
[ピペットチップ脱離動作]
図19〜図21は、図1に示した免疫分析装置の検体分注アームに装着されたピペットチップの脱離動作を説明するための側面図である。次に、図19〜図21を参照して、検体分注アームに装着されたピペットチップの脱離動作について説明する。
まず、図19に示すように、使用済みのピペットチップ2が装着されたアーム部54を下方に移動させるとともに、アーム部54のノズル部54aがチップ脱離部140の解除片142の切欠部142aに嵌るようにアーム部54を回動させる。この状態から、図20に示すように、アーム部54を上方に移動させることにより、チップ脱離部140の解除片142の下面とピペットチップ2の装着部2cの上面とを接触させる。この後、図21に示すように、アーム部54を上方に移動させることにより、アーム部54のノズル部54aの先端54bからピペットチップ2が脱離される。
本実施形態では、シャーシ30aの開口部30cが、ドラム335内に集積しているピペットチップ2に対して上方の位置に設けられている。そのため、ドラムの開口部とシャーシの開口部とが一致した時に、ピペットチップ保持部材に保持されているピペットチップ以外のドラム内のピペットチップが搬送路へ送出されず、適量なピペットチップを搬送路へ送出できる。
また、本実施形態では、上記のように、除電ファン35を、シャーシ30aの開口部30cを介して、ドラム335のピペットチップ保持部材335bにより持ち上げられたピペットチップ2に電離した空気を送風するとともに、ピペットチップ保持部材335bから送出された搬送路34の傾斜路34aに位置するピペットチップ2に電離した空気を送風するように配置することによって、ピペットチップ2の帯電電荷によりピペットチップ2が供給経路上のチップ供給機構部33のピペットチップ保持部材335b、搬送路34、中継部材40、仕分機構部37、移送部38、シュート40b、移送部39およびシュート40cに吸着したり、ピペットチップ2同士が吸着するのを抑制することができるので、ピペットチップ2を円滑に緊急検体・チップ移送部20の移送ラック23のチップ設置部23bに供給することができる。
また、本実施形態では、搬送路34から受け入れたピペットチップ2を1つずつに仕分ける仕分機構部37と、仕分けられたピペットチップ2の先端部2aが下向きになるように方向付けて移送する移送部38および39とを設けることによって、ピペットチップ2を、1つずつに仕分けられるとともに先端部2aが下向きに方向付けられた状態で供給することができる。その結果、供給されたピペットチップ2を用いる検体分注アーム50を備えた免疫分析装置1において、容易に、供給されたピペットチップ2を検体分注アーム50に1つずつ装着することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、使い捨てのピペットチップを1つずつ供給するピペットチップ供給装置を免疫分析装置に適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、使い捨てのピペットチップを用いる装置であれば、免疫分析装置以外の装置にも適用可能である。例えば、遺伝子検査装置や細菌検査装置などの分析装置に本発明のピペットチップ供給装置を用いてもよい。
また、上記実施形態では、血液などの検体を吸引するためにピペットチップ2が使用される例を示したが、本発明はこれに限らず、試薬などの液体を吸引するためにピペットチップ2が使用されてもよい。
また、上記実施形態では、ドラムを回転させることによってドラムのピペットチップ保持部材が下部に貯留したピペットチップをすくい上げるとともに搬送路に送出する例について説明したが、本発明はこれに限らず、ピペットチップが収容される個所から所定量のピペットチップを、本実施形態の仕分機構部の切出機構部のように持ち上げることにより、搬送路に送出してもよい。
また、上記実施形態では、水平に延びた中心軸(回転軸)を回転中心として回転するドラムを有し、そのドラムの回転に伴ってドラム内のピペットチップをピペットチップ保持部材によりすくい上げる構成を示したが、このような構成においては必ずしも水平軸を中心として回転するドラムでなくてもよく、斜め方向に回転軸のあるドラムであってもよい。
また、上記実施形態では、ドラム(収容槽)の回転に伴ってピペットチップ保持部材がピペットチップをすくい上げる構成を示したが、このような構成においては必ずしも円筒状の収容槽でなくてもよく、多角柱状等の収容槽であってもよい。
また、上記実施形態では、ドラム335の内周面335dと内壁335eとに取り付けられたピペットチップ保持部材335bが、ドラム335の回転に伴ってドラム335内を回転移動することにより、ドラム335の収容部335a内に貯留されたピペットチップ2がピペットチップ保持部材335bによりすくい上げられる例を示したが、本発明はこれに限らず、ドラムの内周面や内壁に取り付けられていないピペットチップ保持部材が、ドラムの回転を伴わずに、ドラム内を回転移動する構成であってもよい。例えば、ドラムの中心を水平に通る回転軸を設けるとともに、回転軸とピペットチップ保持部材とをスポークで接続するよう構成してもよい。
また、上記実施形態では、ドラム335の内側に、二つの開口部335cおよび二つのピペットチップ保持部材335bが、ドラム335の回転軸回りにそれぞれ180度間隔で設けられているが、本発明はこれに限らず、三つの開口部および三つのピペットチップ保持部材が、ドラム335の回転軸回りにそれぞれ120度間隔で設けられてもよい。
また、上記実施形態では、5本〜15本程度のピペットチップ2をすくい上げることが可能なピペットチップ保持部材335bを用いているが、本発明はこれに限らず、15本より多い量のピペットチップをすくい上げることが可能なピペットチップ保持部材を用いてもよいし、5本未満のピペットチップしかすくい上げることができないピペットチップ保持部材を用いてもよい。
また、上記実施形態では、ピペットチップ2の帯電電荷を除去する除電部として除電ファン35を用いているが、本発明はこれに限らず、導電性部材をピペットチップに接触させることによりピペットチップの帯電電荷を除去するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、移送部39において、送りネジ395および壁部396によりピペットチップ2を保持して搬送している例を示したが、本発明はこれに限らず、1つずつに仕分けられたピペットチップ2を、2本のベルトにより挟んで保持して、1つずつ順番に搬送してもよい。
また、上記実施形態では、チップ補給部に複数の補給用のピペットチップを収容した後に、チップ補給部からシュートを介してドラムに複数のピペットチップを投入する例を示したが、本発明はこれに限らず、複数のピペットチップを直接ドラムに投入してもよい。
次に、本発明の第2の実施形態であるキュベット供給装置について説明する。このキュベット供給装置は、例えば図11に示すピペットチップ供給装置30において、ピペットチップを仕分けるための仕分機構部37を、図22に示されるようなキュベット仕分機構部66に変更し、ピペットチップ供給装置30のチップ補給部31(図5参照)にキュベットを投入するようにし、ドラム335(図5参照)にキュベットを収容させたものである。このような構成のキュベット供給装置が、図1のキュベット供給部70の代わりに配置される。
図22は、キュベット仕分機構部66の一例を示す斜視図である。キュベット仕分機構部66は、所定量のキュベットを一つずつに仕分け、仕分けたキュベットを所定の位置に移送するよう構成されている。キュベット仕分機構部66は、キュベットを一つずつ通過させるための通過孔が設けられた、キュベットを貯留するための貯留部63と、上下動可能で、上部位置にあるときはその一端が前記通過孔を塞ぎ、下部に移動したときは前記通過孔から一つずつキュベットを受け取って案内するガイドレール64と、キュベットを移送する移送部65とを備えている。図23は、移送部65を示す側面図である。このキュベット供給装置においては、ドラム335から所定量のキュベットがキュベット仕分機構部66の貯留部63に搬送される。そして、搬送された所定量のキュベットはガイドレール64により一つずつ案内され、案内されたキュベットは、図23に示すように、移送部65によって所定の位置に移送される。