JP4839015B2 - グロメット及びハーネス配索構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両としての自動車のドアと車体とに亘ってワイヤハーネスを配索するグロメット及び該グロメットを備えたハーネス配索構造に関する。
車両としての自動車のドアと車体とに亘ってワイヤハーネスを配索するハーネス配索構造として、従来から種々の構造が用いられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示されたハーネス配索構造は、ドアのヒンジと相対する端面部に設けられた凹部と、この凹部に取り付けられるグロメットと、プロテクタとを備えている。
グロメットは、ゴムなどの弾性材料で構成されている。グロメットは、板部と、チューブとを一体に備えている。板部の平面形状は、前述した凹部の平面形状と略等しい。板部には、インナーが埋設されている。チューブは、筒状に形成されており、板部を貫通している。このため、グロメット内には、ワイヤハーネスを通す通し孔が設けられている。
プロテクタは、合成樹脂で構成されている。プロテクタは、樋状に形成されている。プロテクタは、グロメットの板部に取り付けられて、凹部内に収容される。
前述した構成のグロメットは、グロメットの板部にプロテクタを取り付け、該板部とプロテクタとの間とチューブ内とにワイヤハーネスを通す。そして、グロメットは、板部で凹部を覆って、プロテクタを凹部内に収容してドアに取り付けられる。さらに、板部が凹部にボルトなどで固定される。
そして、チューブから露出したワイヤハーネスの端部が車体側の電子機器と接続し、板部とプロテクタとの間から露出したワイヤハーネスの端部がドア側の電子機器と接続して、前述したハーネス配索構造は、組み立てられる。こうして、組み立てられたハーネス配索構造は、車体側の電子機器とドア側の電子機器とを電気的に接続する。さらに、グロメットは、ドアの端面部との間を水密に保つとともに、凹部の内面との間を水密に保って、グロメット本体の板部とプロテクタとの間に通されたワイヤハーネスに水などの液体が付着することを防止する。
特開平11−20573号公報
前述した従来のハーネス配索構造では、ボルトなどでグロメットをドアに取り付ける。このため、ハーネス配索構造は、ボルトを螺合する工程が必要となって、ドアに取り付けられる際にかかる工数が増加する傾向であった。このため、本発明の出願人などは、ドアのトリムとドアのパネルとの間に前述したグロメットを挟むハーネス配索構造を提案している。
前述したハーネス配索構造では、グロメットがドアのトリムとドアのパネルとの間に挟まれる被挟持部を備え、前記トリムとパネルとの双方に互いの間に被挟持部を挟む挟持部が設けられている。さらに、前記トリムの挟持部と前記パネルの挟持部のうち少なくとも一方に、前記グロメット内に通されるワイヤハーネスの長手方向に対し交差する方向に沿って前記被挟持部が挿入される収容穴が設けられている。
グロメットがゴムなどの弾性材料で構成されているため、該グロメットの被挟持部の外周面と収容穴の内面などを密着させるようにすると、特に被挟持部の外周面と収容穴の内面とのうち一部が水平方向と平行な場合に、前記被挟持部を収容穴に挿入する際に、被挟持部の先に収容穴に侵入した箇所が収容穴の内面と密着してしまう虞があった。このため、非常に強い力で被挟持部を収容穴に挿入する必要があった。則ち、被挟持部を収容穴に挿入するために非常に強い力が必要となって、ハーネス配索構造が組立にくくなる傾向であった。
また、被挟持部の外周面と収容穴の内面とのうち一部が水平方向と平行な場合には、収容穴と被挟持部との間に浸入した水などの液体が、この水平方向と平行な部分に滞留する。
したがって、本発明の目的は、容易にパネル及びトリムに取り付けることができるグロメット及び該グロメットを備えたハーネス配索構造を提供することにある。
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のグロメットは、パネルとトリムとの間に挟まれて、これらに取り付けられるとともに、内側に通されるワイヤハーネスに液体が付着することを防止するグロメットにおいて、前記パネルと前記トリムとの間に挟まれる被挟持部を備え、前記パネルと前記トリムとの双方に、互いの間に前記被挟持部を挟む挟持部が設けられているとともに、前記パネルの挟持部と前記トリムの挟持部とのうち少なくとも一方に前記被挟持部を収容するとともに、前記ワイヤハーネスの長手方向に対し交差する方向に沿って前記被挟持部が挿入される収容穴が設けられ、前記被挟持部が、前記収容穴の奥に向かうにしたがって、徐々に先細に形成されており、前記被挟持部は、前記挟持部と平行に配される外周面を備え、前記外周面には、前記ワイヤハーネスの長手方向に対し傾斜しかつ前記ワイヤハーネスの長手方向に沿って前記被挟持部の幅を変化させるテーパ面が設けられており、前記外周面には、前記挟持部と接触して、該挟持部との間を水密に保つリップが設けられていることを特徴としている。
請求項に記載の本発明のグロメットは、請求項に記載のグロメットにおいて、前記リップの少なくとも一部の断面形状が、前記パネル及び前記トリムの外側に位置しかつ前記外周面から立設しているとともに鉛直方向に沿って配される鉛直面と、前記鉛直面より前記パネル及び前記トリムの内側に位置しかつ前記外周面から立設しているとともに被挟持部の外側に向かうにしたがって徐々に前記パネル及び前記トリムの外側に向かう方向に鉛直方向に対して傾斜した傾斜面とによって、前記外周面から凸の凸形状に形成されていることを特徴としている。
請求項に記載の本発明のハーネス配索構造は、請求項1又は2に記載のグロメットと、前記パネルと前記トリムとの双方に設けられ、互いの間に前記被挟持部を挟む挟持部と、前記パネルの挟持部と前記トリムの挟持部とのうち少なくとも一方に設けられ、かつ前記被挟持部を収容するとともに、前記グロメット内に通されるワイヤハーネスの長手方向に対し交差する方向に沿って前記被挟持部が挿入される収容穴と、を備え、前記収容穴の内面が水平方向に対して交差していることを特徴としている。
請求項に記載の本発明のハーネス配索構造は、請求項に記載のハーネス配索構造において、前記収容穴の内面から凹に形成され、かつ前記収容穴の下部に設けられているとともに、前記収容穴の内側と前記パネル及び前記トリムの外側とを連通する連通溝を備えたことを特徴としている。
請求項1に記載した本発明のグロメットによれば、被挟持部が収容穴の奥に向かって先細に形成されている。則ち、被挟持部が収容穴の奥に向かってくさび状に形成されている。また、被挟持部の外周面にテーパ面が設けられている。テーパ面が、ワイヤハーネスの長手方向に沿って被挟持部の幅を変化させる方向に傾斜しているので、パネルとトリムとの間に浸入した水などの液体が、テーパ面を伝わって流れる。さらに、外周面にリップが設けられているので、リップを越えて、パネルとトリムの内側に水などの液体が浸入することを防止できる。
請求項に記載した本発明のグロメットによれば、リップの一部の断面形状において、外側に鉛直面が設けられ、内側に被挟持部の外側に向かうにしたがって徐々にパネル及びトリムの外側に向かう方向に傾斜した傾斜面が設けられている。このため、リップの一部が挟持部と接触すると、パネル及びトリムの外側に向かって倒れることとなる。このため、リップを越えて、パネルとトリムの奥側に水などの液体が浸入することを確実に防止できる。
請求項に記載した本発明のハーネス配索構造によれば、請求項1又は2に記載のうちいずれかのグロメットを備えているので、該グロメットの被挟持部が収容穴の奥に向かってくさび状に形成されている。
また、収容穴の内面が水平方向に対して傾斜しているので、パネル及びトリムとの間に浸入した水などの液体が収容穴の内面を伝わって流れる。
請求項に記載した本発明のハーネス配索構造によれば、連通溝が収容穴の下部に設けられているので、収容穴の内面に浸入した水などの液体をパネル及びトリムの外側に排出できる。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、被挟持部が収容穴の奥に向かってくさび状に形成されているので、被挟持部の先に挿入された箇所が収容穴の内面に密着しても、被挟持部を収容穴内に挿入し易くなる。したがって、グロメットは、パネル及びトリムに容易に取り付けることができる。また、パネルとトリムとの間に浸入した水などの液体が、ワイヤハーネスの長手方向に沿って被挟持部の幅を変化させる方向に傾斜したテーパ面を伝わって流れる。したがって、パネル及びトリムとの間に水などの液体が滞留することを防止できる。さらに、リップを越えて、パネルとトリムの奥側に水などの液体が浸入することを防止できる。
請求項に記載の本発明は、リップが挟持部と接触すると、パネル及びトリムの外側に向かって倒れることとなるので、リップを越えて、パネルとトリムの内側に水などの液体が浸入することを確実に防止できる。
請求項に記載の本発明は、請求項1又は2に記載のグロメットを備えているので、該グロメットをパネル及びトリムに容易に取り付けることができ、容易に組み立てることが可能となる。
また、パネル及びトリムとの間に浸入した水などの液体が収容穴の内面を伝わって流れるので、パネル及びトリムとの間に水などの液体が滞留することを防止できる。
請求項に記載の本発明は、収容穴の内面に浸入した水などの液体をパネル及びトリムの外側に排出できるので、パネル及びトリムとの間に水などの液体が滞留することを確実に防止できる。
以下、本発明の第1の実施形態にかかるハーネス配索構造及びグロメットを、図1ないし図11を参照して説明する。本発明の一実施形態にかかるハーネス配索構造1(図1ないし図3に示す)は、車両としての自動車の車体と、この車体に回動自在に設けられたドア2(図1及び図2に示す)と、に亘ってワイヤハーネス3(図1及び図2に示す)を配索する構造である。
ワイヤハーネス3は、複数の電線4と、複数のコネクタ5とを備えている。電線4は、導電性の芯線と、絶縁性の被覆部とを備えた所謂被覆電線である。芯線は、銅などの金属からなる素線が複数撚られて構成されている。被覆部は、絶縁性の合成樹脂からなり、芯線を被覆している。
コネクタ5は、電線4の端部などに取り付けられる。複数のコネクタ5のうち一つのコネクタ5(図1に示し、以下、符号5aで示す)は、車体側のワイヤハーネスの図示しないコネクタなどと嵌合する。他のコネクタ5(図1に示し、以下、符号5bで示す)は、ドア2に取り付けられるスピーカ、スイッチユニット、ドアロックユニット、パワーウィンドモータなどの各種の電子機器のコネクタなどと嵌合する。
前述した構成のワイヤハーネス3は、コネクタ5a,5bが各々相手側のコネクタと嵌合して、車体側から各種の信号や電力を前述したドア2に取り付けられる電子機器に供給する。また、ワイヤハーネス3は、コネクタ5a,5bが各々相手側のコネクタと嵌合して、前述したスイッチユニットからの信号を車体側のワイヤハーネスに供給する。
ドア2は、図1ないし図5に示すように、図示しないヒンジにより車体に回動自在に設けられるドアパネル6と、ドアパネル6の内側に取り付けられるドアトリム7とを備えている。ドアパネル6は、特許請求の範囲に記載されたパネルをなしている。ドアパネル6は、板金で構成され、板状に形成されている。
ドアトリム7は、特許請求の範囲に記載されたトリムをなしている。ドアトリム7は、絶縁性の合成樹脂で構成され、板状に形成されている。また、各ドア2には、スピーカ、スイッチユニット、ドアロックユニット、パワーウィンドモータなどの各種の電子機器が取り付けられる。
ハーネス配索構造1は、図2ないし図4に示すように、挟持部8,9と、収容穴11と、グロメット10を備えている。
挟持部8,9は、ドアパネル6とドアトリム7との双方に設けられ、互いの間にグロメット10の後述する被挟持部17を挟む。ドアパネル6の挟持部8は、該ドアパネル6の前述したヒンジ寄りの端面に設けられている。ドアパネル6の挟持部8は、収容穴11と、一対の位置決めフランジ12a,12bと、連通溝としての水抜き溝13とを設けている。
収容穴11は、ドアパネル6のドアトリム7と相対する(が重なる)表面から凹に形成されている。収容穴11は、図4などに示すように、ドアパネル6とドアトリム7の表面と平行な底面11aと、該底面11aの前述したワイヤハーネス3の長手方向に直交する方向の両端と、前述したドアパネル6のドアトリム7と相対する(が重なる)表面とに連なる一対の傾斜面11bとを備えている。底面11aは、後述のグロメット10内に通されるワイヤハーネス3の長手方向に沿っている。また、底面11aは、ドアパネル6とドアトリム7の表面と平行であるため、水平方向に対し交差している。
一対の傾斜面11bは、ドアトリム7から離れて前述した底面11aに近づくのにしたがって、互いに徐々に近づく方向に傾斜している。図4中上方に位置する傾斜面11bは、底面11aに近づくのにしたがって、徐々に下方に向かう方向に傾斜している。図4中下方に位置する傾斜面11bは、底面11aに近づくのにしたがって、徐々に上方に向かう方向に傾斜している。
さらに、一対の傾斜面11bは、図5及び図6に示すように、ドアパネル6の前述した端面に向かうにしたがって、徐々に互いに離れる方向に傾斜している。なお、本明細書では、収容穴11より前述した端面側をドアパネル6及びドアトリム7の外側といい、端面からドアパネル6とドアトリム7との間側をドアパネル6及びドアトリム7の内側という。則ち、傾斜面11bは、グロメット10内に通されるワイヤハーネス3の長手方向に対して傾斜している。また、傾斜面11bは、前述したように傾斜しているので、水平方向に対し傾斜している。底面11aと傾斜面11bとは、それぞれ、平坦に形成されている。底面11aと傾斜面11bは、収容穴11の内面11cを構成している。このため、収容穴11の内面11cは、水平方向に対して傾斜している。
一対の位置決めフランジ12a,12bのうち一方の位置決めフランジ12aは、収容穴11の前述した端面則ちドアパネル6及びドアトリム7の外側に位置する内縁から該収容穴11の内側に向かって突出している。一方の位置決めフランジ12aは、収容穴11の内縁の全周に亘って設けられている。他方の位置決めフランジ12bは、収容穴11のドアパネル6及びドアトリム7の外側に位置する内縁から該収容穴11の内側に向かって突出している。他方の位置決めフランジ12bは、収容穴11の内縁の全周に亘って設けられている。
水抜き溝13は、図4中下方に位置する傾斜面11bのドアトリム7寄りの端部に設けられている。則ち、水抜き溝13は、収容穴11の下部に設けられている。本明細書でいう収容穴11の下部とは、収容穴11の最も下方に位置する箇所とこの箇所の近傍を示している。水抜き溝13は、傾斜面11bから凹に形成され、一端がドアパネル6の端面に開口しているとともに、ドアパネル6の表面則ちグロメット10内に通されるワイヤハーネス3の長手方向に沿って延在している。さらに、水抜き溝13の他端は、収容穴11内に被挟持部17が収容された際に後述するリップ21よりドアパネル6及びドアトリム7の内側に開口している。このように、水抜き溝13は、図中下方に位置する傾斜面11bから凹に形成されることで、収容穴11の内側と、ドアパネル6及びドアトリム7の外側とを連通している。さらに、水抜き溝13の底面は、前述した他端から前述した一端に向かうにしたがって徐々に下方に向かって傾斜している。
前述した構成の収容穴11は、傾斜面11bと底面11aと一対の位置決めフランジ12a,12bとの内側にグロメット10の被挟持部17を位置付けて、該グロメット10の被挟持部17を収容する。さらに、収容穴11には、前述した底面11aとドアパネル6の表面に対し直交する方向則ちグロメット10内に通されるワイヤハーネス3の長手方向に対し交差(図示例では直交)する方向に沿って、内側に被挟持部17が挿入される。
ドアトリム7の挟持部9は、該ドアトリム7のドアパネル6と相対する(が重なる)表面のうちドアパネル6の挟持部8と重なる部分である。則ち、ドアトリム7の挟持部9は、該ドアトリム7の表面の一部であり、該表面の他の部分と面一になっている。
グロメット10は、弾性材料としてのゴムなどで構成されている。グロメット10は、被挟持部17と、コルゲートチューブ19と、車体取付部20と、リップ21とを一体に備えている。
被挟持部17は、外形が前述したドアパネル6とドアトリム7との双方に設けられた挟持部8,9に沿った方体状に形成されている。則ち、被挟持部17は、平面形状が台形でかつ互いに平行に対された一対の平行面22a,22bと、該一対の平行面22a,22b同士を連なる外周面23と、を備えている。平行面22a,22bは、平坦に形成されている。
外周面23は、図7に示すように、被挟持部17が収容穴11内に収容されると、前述した底面11aと相対する頂面23aと、前述したドアトリム7の挟持部9と相対する底面23bと、一対の傾斜面11bとそれぞれ相対する一対のテーパ面23cとを備えている。被挟持部17が収容穴11内に収容されると、頂面23aは、底面11aと平行になる。被挟持部17が収容穴11内に収容されると、底面23bは、ドアトリム7の挟持部9と平行になる。テーパ面23cは、頂面23aと底面23bとに双方に連なっている。テーパ面23cは、被挟持部17が収容穴11内に収容されると、傾斜面11bと平行になる。このように、被挟持部17の外周面23は、挟持部8,9と平行になる。
このように、収容穴11内に収容されると、テーパ面23cが傾斜面11bと平行になるので、被挟持部17は、底面11a則ち収容穴11の奥に向かうにしたがって徐々に先細に形成されている。また、収容穴11内に収容されると、テーパ面23cが傾斜面11bと平行になるので、テーパ面23cは、被挟持部17をグロメット10内に通されるワイヤハーネス3の長手方向に沿って被挟持部17の幅H1,H2(図8に示す)を変化させる方向に傾斜している。
さらに、テーパ面23cは、グロメット10内に通されるワイヤハーネス3の長手方向に対し傾斜している。なお、被挟持部17の幅H1,H2とは、該被挟持部17のワイヤハーネス3の長手方向に交差する方向の寸法を示している。前述した頂面23aと、底面23bと、一対のテーパ面23cは、それぞれ、平坦に形成されている。
被挟持部17は、頂面23aが底面11aに相対し、一対のテーパ面23cが傾斜面11bに相対するとともに、一対の位置決めフランジ12a,12b間に挟まれて、前述した収容穴11内に収容される。さらに、被挟持部17は、頂面23aが底面11aに近づく方向則ちグロメット10内に通されるワイヤハーネス3の長手方向に対し交差する方向に沿って、収容穴11内に挿入される。被挟持部17は、収容穴11内に収容されて、ドアパネル6とドアトリム7との間に挟まれる。被挟持部17は、ワイヤハーネス3の長手方向に沿ってドアパネル6及びドアトリム7の内側に向かうにしたがって、テーパ面23cにより該被挟持部17の幅H1,H2が徐々に小さくなる状態で、ドアパネル6とドアトリム7との間に挟まれる。
コルゲートチューブ19は、蛇腹状の形状をなした筒状に形成されている。コルゲートチューブ19は、一端が被挟持部17の平行面22aに連なっている。コルゲートチューブ19は、蛇腹状の筒部をなしている。
車体取付部20は、外形が裁頭円錐状に形成されており、コルゲートチューブ19の他端に連なっている。車体取付部20は、コルゲートチューブ19から離れるのにしたがって徐々に外径が小さくなるように形成されている。車体取付部20には、前述した自動車の車体に係止する係止溝が外周面に形成されている。コルゲートチューブ19と、車体取付部20とは、互いに同軸に配置されている。
また、被挟持部17と、コルゲートチューブ19と、車体取付部20とに亘って、則ち、グロメット10の全長に亘って、前述したワイヤハーネス3の主に電線4を通す通し孔が設けられている。通し孔は、コルゲートチューブ19と車体取付部20と同軸に配置されている。通し孔の一端は被挟持部17のコルゲートチューブ19から離れた側の平行面22bに開口し、他端は車体取付部20の被挟持部17から離れた側の先端に開口している。則ち、通し孔は、両端が開口しているとともに、該両端以外ではグロメット10の外表面に開口していない。
リップ21は、被挟持部17の外周面23から凸に形成されている。リップ21は、図7に示すように、被挟持部17の外周面23の全周に亘って設けられている。リップ21は、図7に示すように、断面円弧状のリップ本体24と、該リップ本体24からさらに凸に形成された片部25と、を備えている。リップ本体24は、収容穴11の底面11aと、一対の傾斜面11bと、ドアトリム7の挟持部9に当接して、これらにより被挟持部17からの突出量が減少する方向に押圧(潰)されて、これらとの間を水密に保つ。このように、リップ本体24則ちリップ21は、挟持部8,9と当接して、これらの挟持部8,9との間を水密に保つ。
片部25は、特許請求の範囲に記載されたリップ21の一部をなしているとともに、リップ本体24の水抜き溝13と相対する箇所に設けられ、該箇所から更に被挟持部17の外方向に突出している。片部25則ちリップ21の一部は、グロメット10内に通されるワイヤハーネス3の長手方向に沿った断面形状が、図8に示すように、前述した端面寄り則ちドアパネル6及びドアトリム7の外側に位置する鉛直面25aと、該鉛直面25aよりドアパネル6及びドアトリム7の内側に位置する傾斜面25bとによって、凸形状に形成されている。
鉛直面25aは、鉛直方向に沿って平坦に形成されているとともに、リップ本体24則ち被挟持部17の外周面23から立設している。傾斜面25bは、被挟持部17から離れるのにしたがって徐々に端面則ちドアパネル6及びドアトリム7の外側に向かう方向に傾斜している。傾斜面25bは、リップ本体24則ち被挟持部17の外周面23から立設している。さらに、傾斜面25bは、鉛直面25aと連なっている。
これら鉛直面25aと傾斜面25bとによって、片部25則ちリップ21の一部は、被挟持部17の外周に向かうにしたがって徐々に前述した端面則ちドアパネル6及びドアトリム7の外側に向かって延びている。片部25は、水抜き溝13の内面と当接する。片部25は、水抜き溝13の内面と当接すると、被挟持部17の外周面23から離れた側の端がドアパネル6及びドアトリム7の外側に向かう方向に倒れる。片部25は、水抜き溝13の内面と当接すると、前述した方向に倒れるので、該水抜き溝13との間からドアパネル6及びドアトリム7の内側に水などの液体が浸入することを規制するとともに、該水抜き溝13内で片部25よりドアパネル6及びドアトリム7の内側に位置する水などの液体が、ドアパネル6及びドアトリム7の外側に抜け出ることを許容する。
前述した構成のリップ21は、挟持部8,9に接触して、グロメット10の被挟持部17と、ドアパネル6及びドアトリム7の挟持部8,9との間を水密に保つ。リップ21は、ドアパネル6とドアトリム7との間に水などの液体が侵入することを防止するとともに、該液体がワイヤハーネス3に付着することを防止する。
次に、前述した構成のハーネス配索構造1の組立方法を説明する。
まず、グロメット10の通し孔内にワイヤハーネス3の電線4を通す。そして、図9に示すように、被挟持部17の頂面23aが収容穴11の底面11aと平行なるように、収容穴11に被挟持部17を相対させる。そして、収容穴11内にグロメット10の被挟持部17を徐々に挿入する。すると、リップ21が収容穴11の内面11cに接触し、被挟持部17の頂面23aが収容穴11の底面11aと平行になり、かつ、被挟持部17のテーパ面23cが収容穴11の傾斜面11bと平行になる。こうして、図10に示すように、収容穴11内にグロメット10の被挟持部17が収容される。
そして、ドアパネル6にドアトリム7を近づけ、図11に示すように、ドアトリム7の挟持部9をグロメット10の被挟持部17の底面23bに重ねる。そして、ドアトリム7をドアパネル6に向かって押圧して、ドアパネル6とドアトリム7とを密着させて、これらを固定する。すると、リップ21がつぶれて、収容穴11の内面11cとの間を水密に保つ。
このように、グロメット10の被挟持部17に設けられたリップ21は、ドアパネル6の挟持部8との間と、ドアトリム7の挟持部9との間との双方を水密に保つ。こうして、グロメット10がドアパネル6とドアトリム7との間に挟まれて、ドア2(則ち、ドアパネル6とドアトリム7)に取り付けられて、前述したハーネス配索構造1が組み立てられる。そして、前述したグロメット10は、ドアパネル6の挟持部8との間と、ドアトリム7の挟持部9との間との双方を水密に保って、ドア2と車体とに亘って配索されるワイヤハーネス3に液体が付着することを防止する。
本実施形態によれば、被挟持部17が収容穴11の奥に向かって先細に形成されている。則ち、被挟持部17が収容穴11の奥に向かってくさび状に形成されている。これにより、被挟持部17の先に挿入された箇所が収容穴11の内面11cに密着しても、被挟持部17を収容穴11内に挿入し易くなる。したがって、グロメット10は、ドアパネル6及びドアトリム7に容易に取り付けることができる。
被挟持部17の外周面23にテーパ面23cが設けられている。テーパ面23cが、ワイヤハーネス3の長手方向に沿って被挟持部17の幅H1,H2を変化させる方向に傾斜しているので、ドアパネル6とドアトリム7との間に浸入した水などの液体が、テーパ面23cを伝わって流れる。したがって、ドアパネル6及びドアトリム7との間に水などの液体が滞留することを防止できる。
被挟持部17の外周面23にリップ21が設けられているので、リップ21を越えて、ドアパネル6及びドアトリム7の内側に水などの液体が浸入することを防止できる。
リップ21には、断面形状において、外側に設けられた鉛直面25aと内側に設けられた傾斜面25bとで形成されされ片部25が設けられている。このため、リップ21の片部25が挟持部8の水抜き溝13などと接触すると、ドアパネル6及びドアトリム7の外側に向かって倒れることとなる。このため、片部25が前述したようにドアパネル6及びドアトリム7の外側に向かって倒れるので、リップ21を越えて、ドアパネル6及びドアトリム7の内側に水などの液体が浸入することを確実に防止できる。
本実施形態のハーネス配索構造1は、前述した構成のグロメット10を備えているので、該グロメット10をドアパネル6及びドアトリム7に容易に取り付けることができ、容易に組み立てることが可能となる。さらに、ドアパネル6及びドアトリム7との間に浸入した水などの液体が収容穴11の内面11cを伝わって流れるので、ドアパネル6及びドアトリム7との間に水などの液体が滞留することを防止できる。
水抜き溝13が収容穴11の下部に設けられているので、収容穴11の内面11cに浸入して該収容穴11の内面11cや被挟持部17の外周面23を伝わって収容穴11の下部まで流れた水などの液体を、水抜き溝13を通してドアパネル6及びドアトリム7の外側に排出できる。したがって、ドアパネル6及びドアトリム7との間に水などの液体が滞留することを確実に防止できる。
前述した実施形態では、ドアパネル6の挟持部8のみに収容穴11を設けている。しかしながら、本発明では、図12に示すように、ドアパネル6の挟持部8と、ドアトリム7の挟持部9との双方に収容穴11を設けても良い。要するに、本発明では、ドアパネル6の挟持部8と、ドアトリム7の挟持部9とのうち少なくとも一方に収容穴11を設ければ良い。なお、図12において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
また、前述した実施形態では、テーパ面23cにより被挟持部17の幅H1,H2をドアパネル6及びドアトリム7の奥に向かうにしたがって徐々に小さくしている。しかしながら、本発明では、テーパ面23cによりワイヤハーネス3の長手方向に沿って被挟持部17の幅H1,H2をドアパネル6及びドアトリム7の内側に向かうにしたがって徐々に大きくしても良い。また、底面23aをテーパ面にしても良い。さらに、本発明では、テーパ面23cを設けることなく、ワイヤハーネス3の長手方向に沿って被挟持部17の幅H1,H2を一定にしても良い。要するに、本発明では、被挟持部17を収容穴11の底面11a則ち奥に向かうにしたがって先細に形成すれば良い。まら、リップ21の全体を鉛直面25a時計者面25bとで形成される片部25としても良い。
さらに、本発明は、自動車のドア2に限定されることなく、種々のパネル6とトリム7との間に挟持されてこれらに取り付けられるグロメット10を備えたハーネス配索構造1に適用することができる。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明の一実施形態にかかるハーネス配索構造を取り付けたドアを示す斜視図である。 図1に示されたハーネス配索構造の要部を示す斜視図である。 図2に示されたハーネス配索構造を分解して示す斜視図である。 図2中のIV−IV線に沿う断面図である。 図4中のV−V線に沿う断面図である。 図4中のVI−VI線に沿う断面図である。 図3中のVII−VII線に沿う断面図である。 図7中のVIII−VIII線に沿う断面図である。 図1に示されたハーネス配索構造のグロメットの被挟持部をドアパネルに設けられた収容穴と相対させた状態を示す説明図である。 図9に示された被挟持部を収容穴内に収容した状態を示す説明図である。 図10に示された被挟持部の底面にドアトリムの挟持部を重ねた状態を示す説明図である。 図4に示されたハーネス配索構造の変形例を示す説明図である。
符号の説明
1 ハーネス配索構造
3 ワイヤハーネス
6 ドアパネル(パネル)
7 ドアトリム(トリム)
8,9 挟持部
10 グロメット
11 収容穴
11c 内面
13 水抜き溝(連通溝)
17 被挟持部
21 リップ
23 外周面
23c テーパ面
25 片部(一部)
25a 鉛直面
25b 傾斜面
H1,H2 被挟持部の幅

Claims (4)

  1. パネルとトリムとの間に挟まれて、これらに取り付けられるとともに、内側に通されるワイヤハーネスに液体が付着することを防止するグロメットにおいて、
    前記パネルと前記トリムとの間に挟まれる被挟持部を備え、
    前記パネルと前記トリムとの双方に、互いの間に前記被挟持部を挟む挟持部が設けられているとともに、前記パネルの挟持部と前記トリムの挟持部とのうち少なくとも一方に前記被挟持部を収容するとともに、前記ワイヤハーネスの長手方向に対し交差する方向に沿って前記被挟持部が挿入される収容穴が設けられ、
    前記被挟持部が、前記収容穴の奥に向かうにしたがって、徐々に先細に形成されており、
    前記被挟持部は、前記挟持部と平行に配される外周面を備え、
    前記外周面には、前記ワイヤハーネスの長手方向に対し傾斜しかつ前記ワイヤハーネスの長手方向に沿って前記被挟持部の幅を変化させるテーパ面が設けられており、
    前記外周面には、前記挟持部と接触して、該挟持部との間を水密に保つリップが設けられていることを特徴とするグロメット。
  2. 前記リップの少なくとも一部の断面形状が、
    前記パネル及び前記トリムの外側に位置しかつ前記外周面から立設しているとともに鉛直方向に沿って配される鉛直面と、
    前記鉛直面より前記パネル及び前記トリムの内側に位置しかつ前記外周面から立設しているとともに被挟持部の外側に向かうにしたがって徐々に前記パネル及び前記トリムの外側に向かう方向に鉛直方向に対して傾斜した傾斜面とによって、前記外周面から凸の凸形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のグロメット。
  3. 請求項1又は2に記載のグロメットと、
    前記パネルと前記トリムとの双方に設けられ、互いの間に前記被挟持部を挟む挟持部と、
    前記パネルの挟持部と前記トリムの挟持部とのうち少なくとも一方に設けられ、かつ前記被挟持部を収容するとともに、前記グロメット内に通されるワイヤハーネスの長手方向に対し交差する方向に沿って前記被挟持部が挿入される収容穴と、を備え、
    前記収容穴の内面が水平方向に対して交差していることを特徴とするハーネス配索構造。
  4. 前記収容穴の内面から凹に形成され、かつ前記収容穴の下部に設けられているとともに、前記収容穴の内側と前記パネル及び前記トリムの外側とを連通する連通溝を備えたことを特徴とする請求項3に記載のハーネス配索構造。
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