以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係るグロメットが適用されたワイヤーハーネスの配索状態を示す模式図である。図2は、実施形態に係るグロメットの斜視図である。図3は、実施形態に係るグロメットの分解斜視図である。図4は、実施形態に係るグロメット本体の斜視図である。図5は、実施形態に係るグロメット本体の第2幅方向正面図である。図6は、図5中のA−A断面図(第1幅方向と直交する面の断面図)である。図7は、図5中のB矢視図(押圧方向に沿って止水面を視た図)である。図8は、実施形態に係るプロテクタの斜視図である。図9は、図8中のC矢視図(第1幅方向方向に沿って視た図)である。図10は、実施形態に係るアウタの斜視図である。図11は、図10中のD矢視図(押圧方向に沿って視た図)である。図12は、実施形態に係るグロメットの第2幅方向正面図である。図13は、図12中のE−E断面図(第1幅方向と直交する面の断面図)である。図14は、図12中のF−F断面図(第1幅方向と直交する面の断面図)である。図15は、図12中のG−G断面図(押圧方向と直交する面の断面図)である。図16は、図12中のH矢視図(押圧方向に沿って止水面を視た図)である。図17は、実施形態に係るグロメットをドアパネルに設置した状態での押圧方向正面図である。図18は、図17中のI−I断面図(第2幅方向と直交する面の断面図)である。
図1に示す本実施形態のグロメット1は、車両100に配索されるワイヤーハーネス2を、車両100において、被取付パネルとしてのドアパネル101等を境界にして区画される2つの空間にわたって配索する際に、適用されるものである。グロメット1は、当該ワイヤーハーネス2の電線3が挿通された状態でドアパネル101側に密着して装着されることで、ワイヤーハーネス2をドアパネル101に水密に配索する。ここで、ドアパネル101は、例えば、車両100のドア102を構成するインナーパネル等であり、当該ドアパネル101等を境界にして区画される2つの空間とは、例えば、車内空間と車外空間である。グロメット1は、車両100の車体と、この車体に回動自在に設けられたドア102とにわたってワイヤーハーネス2を配索するためのものである。当該グロメット1が適用されるワイヤーハーネス2は、端部に接続部としてのコネクタ4が設けられる電線3と、当該グロメット1とを備える。そして、ワイヤーハーネス2は、例えば、車両100に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線3を束にして集合部品とし、コネクタ4で複数の電線3を一度に各装置に接続するものである。例えば、ワイヤーハーネス2のコネクタ4の一部は、ドア102に取り付けられるスピーカ、スイッチユニット、ドアロックユニット、パワーウィンドモータ等の各種の電子機器のコネクタ(不図示)等と嵌合し、他の一部は、車体側のワイヤーハーネスのコネクタ(不図示)等と嵌合する。そして、本実施形態のグロメット1は、ドアパネル101に、電線3が貫通する貫通孔を有さないいわゆる貫通レスタイプのグロメットである。このグロメット1は、ドア102のドアパネル101のヒンジ側端面101a(典型的には、車体に対してドア102をヒンジ結合する車両前方側端面)から車内空間側の側面101bにわたって形成される収容凹部103(後述の図18等も参照)に装着される。そして、グロメット1は、表面にウェザーストリップ104が積層される。なお、ワイヤーハーネス2は、この他、例えば、コルゲートチューブ、樹脂テープ、プロテクタ等の外装部材、電気接続箱(ジャンクションボックス)、固定具など種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
具体的には、本実施形態のグロメット1は、図2、図3に示すように、グロメット本体10と、プロテクタ20と、アウタ30とを備える。
なお、以下の説明では、アウタ30による押圧に沿った方向を押圧方向といい、当該押圧方向と直交する2方向のうち一方を第1幅方向、他方を第2幅方向という。これら押圧方向、第1幅方向、及び、第2幅方向は、互いに直交する。また、図1等に示すように、グロメット1がドアパネル101の収容凹部103に装着された状態で、グロメット1の押圧方向は、ドア102が閉鎖された状態における車両前後方向に相当し、グロメット1の第1幅方向は、鉛直方向に相当し、グロメット1の第2幅方向は、ドア102が閉鎖された状態における車両幅方向に相当する。また、グロメット本体10、プロテクタ20、アウタ30を説明する場合、特に断りのない限り、グロメット1が収容凹部103に装着された状態での各方向を用いて各部を説明する。
グロメット本体10は、図2、図3、図4、図5、図6、図7に示すように、被取付パネルとしてのドアパネル101との間に止水を施すシール部材である。グロメット本体10は、グロメットベース部11と、管状部12と、リップ部13とを有し、これらが一体となって弾性体として形成される。グロメット本体10は、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマー等、剛性の低い可撓性の弾性材料(例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等)により形成される。なお、グロメット本体10の説明では、適宜図18も参照する。
グロメットベース部11は、内部にワイヤーハーネス2の電線3が挿通されドアパネル101に形成された収容凹部103に装着可能な部分である(図1等参照)。
ここで、収容凹部103は、図1で上述したように、ドアパネル101のヒンジ側端面101aから車内空間の側面101bにわたって形成される。より詳細には、収容凹部103は、図18に示すように、ドアパネル101のヒンジ側端面101aに窪み状の部分として形成される。収容凹部103は、ドアパネル101のヒンジ側端面101aが押圧方向に沿って窪むことで形成されており、第2幅方向と直交する面に沿った断面形状が略逆台形状に形成される。ドアパネル101において収容凹部103を区画する部分は、グロメット本体10によって止水される被止水面105となる。被止水面105は、上記略逆台形状を形成する傾斜壁部105a、及び、平面底部105bとを含んで構成される。平面底部105bは、略矩形状に形成され、収容凹部103の底面を構成し、傾斜壁部105aは、当該平面底部105bの三辺(側面101b側に位置する辺以外の三辺)を囲うようなU字型のテーパ面として形成される。グロメット本体10は、グロメットベース部11がこの収容凹部103を塞ぐように、ドアパネル101のヒンジ側端面101aに取り付けられる。
図2、図3、図4、図5、図6、図7に戻って、グロメットベース部11は、グロメット平坦部11a、グロメット膨出部11b、収容空間部11c、管状部接続部11d等を含んで構成され、これらが一体となって全体として中空状に形成される。グロメットベース部11は、当該中空状の部分(収容空間部11c)に電線3が挿通される。ここでは、グロメットベース部11は、収容空間部11c内に収容される後述のプロテクタ20を介して電線3が挿通される。グロメットベース部11は、グロメット平坦部11a及びグロメット膨出部11bの外形形状(押圧方向と直交する面における形状)が上述した収容凹部103(図18参照)の外形形状とほぼ同様な形状となるように形成され、収容凹部103に収容、装着可能な形状となっている。また、グロメットベース部11は、グロメット平坦部11a及びグロメット膨出部11bの第2幅方向と直交する面に沿った断面形状が収容凹部103よりやや小さい略逆台形状の中空状に形成される(図18参照)。グロメットベース部11は、グロメットベース部11が収容凹部103に収容された状態で、押圧方向に対してグロメット膨出部11bが被止水面105と対向する(図18参照)。
より具体的には、グロメット平坦部11aは、ウェザーストリップ104(図1参照)が設置される平坦な平坦面11eを形成する部分である。グロメット膨出部11bは、グロメットベース部11の止水面11fを形成する部分である。止水面11fは、グロメットベース部11が収容凹部103に装着された状態で収容凹部103を区画する被止水面105(図18参照)と対向する面である。言い換えれば、グロメット膨出部11bは、被止水面105に沿った形状の止水面11fを形成するものである。グロメット膨出部11bは、被止水面105と対応する形状、言い換えれば、グロメットベース部11が収容凹部103に装着された状態で被止水面105に沿う形状に形成される。グロメット膨出部11bは、被止水面105の傾斜壁部105a(図18参照)と平面底部105b(図18参照)とに対応するように、傾斜壁部11gと平面底部11hとを含んで形成される。平面底部11hは、略矩形状に形成され、グロメット膨出部11bの底面を構成し、傾斜壁部11gは、当該平面底部11hの三辺(収容凹部103に装着された際に車内空間側に位置する辺以外の三辺)を囲うようなU字型のテーパ面として形成される。グロメット膨出部11bは、傾斜壁部11g側でグロメット平坦部11aと連続すると共に、当該傾斜壁部11gと平面底部11hとによってグロメット平坦部11aから押圧方向に膨出した形状となっており、これにより、内部に収容空間部11cを区画する。グロメット膨出部11bは、グロメットベース部11が収容凹部103に装着された状態で、傾斜壁部11gが傾斜壁部105aと対向し、平面底部11hが平面底部105bと対向する(図18参照)。
収容空間部11cは、グロメット平坦部11aとグロメット膨出部11bとによって、電線3を配線可能な中空状の配線スペース部分として区画される(図6等参照)。ここでは、収容空間部11cは、後述のプロテクタ20を収容する空間部として機能し、当該プロテクタ20を介して電線3が挿通される。収容空間部11cは、グロメット膨出部11bの傾斜壁部11g側が閉塞している。一方、収容空間部11cは、平面底部11hの残りの一辺側(図6に示す第2幅方向一方側)が第2幅方向に対して開口し、これが後述のプロテクタ20を収容空間部11cに挿入可能な挿入口11iとして機能する。すなわち、グロメット本体10のグロメットベース部11は、後述のプロテクタ20を収容空間部11cに一方側から挿入可能である挿入口11iを有する。上述した平坦面11eは、グロメット平坦部11aの外表面、すなわち、収容空間部11cとは反対側の面によって形成される。上述した止水面11fは、グロメット膨出部11bの外表面、すなわち、収容空間部11cとは反対側の面によって形成される。
また、グロメット平坦部11aは、第2幅方向に対して(図6等参照)、挿入口11iが形成される側とは反対側に接続開口11jが形成されている。接続開口11jは、押圧方向に開口している。管状部接続部11dは、この接続開口11jの縁部に形成される。管状部接続部11dは、グロメット平坦部11aの平坦面11eから押圧方向に沿って突出した立ち上がり部として形成される。管状部接続部11dは、管状部12が接続される。
管状部12は、ワイヤーハーネス2の電線3が挿通される蛇腹状のチューブである。管状部12は、一端に管状部接続部11dが一体的に接続され、他端に車体側に接続される車体側グロメット部12aが設けられる。管状部12は、内部の挿通空間部12b(図6等参照)が接続開口11jを介してグロメットベース部11の収容空間部11cと連通しており、電線3を挿通可能な構成となっている。
リップ部13は、グロメットベース部11の内部に電線3が挿通されドアパネル101に形成された収容凹部103に装着された状態で、収容凹部103を区画する被止水面105に接触し当該被止水面105との間を止水可能な部分である。リップ部13は、グロメットベース部11の止水面11fから突出して形成され、図18等に示すように、被止水面105と接触して止水面11fと被止水面105との間を止水し水密に保持する。
本実施形態のリップ部13は、第1リップ部としての外側リップ部13aと、第2リップ部としての内側リップ部13bとを含んで構成される(図6、図7等参照)。図7等に示すように、外側リップ部13aは、グロメットベース部11の止水面11fに、第1幅方向に沿って略直線状に形成される。外側リップ部13aは、両端部がそれぞれ止水面11fの第1幅方向両縁部に設けられ、止水面11fの第1幅方向一方側の縁部から他方側の縁部まで延在して形成される。内側リップ部13bは、第2幅方向に対して、外側リップ部13aより挿入口11i側に形成される。つまり、リップ部13は、第2幅方向に対して、外側リップ部13aが車外空間側に配置され、内側リップ部13bが車内空間側に配置される。内側リップ部13bは、止水面11fに略U字状に形成される。内側リップ部13bは、両端部がそれぞれ止水面11fの第1幅方向両縁部に設けられると共に、第1幅方向中央部が外側リップ部13a側に突出するように屈曲しつつ、止水面11fの第1幅方向一方側の縁部から他方側の縁部まで延在して形成される。外側リップ部13aは、典型的には、車外空間側から車内空間側に侵入しようとする大きな水の流れを車外空間側に導く止水ラインとして機能する。内側リップ部13bは、典型的には、グロメット本体10において、車内空間に対する最終止水ラインとして機能する。本実施形態の外側リップ部13a、内側リップ部13bは、図6等に示すように、共に第1幅方向と直交する面に沿った断面形状が略三角形であり、中空状に形成される。なお、このリップ部13の設置位置については、後で詳細に説明する。
なお、上述したグロメットベース部11は、グロメット本体10が収容凹部103に装着された状態で、グロメット平坦部11aにおいて鉛直方向下側(第1幅方向一方側)となる部分に、水抜き用の水抜き孔11k(図4、図7等参照)が形成されている。この水抜き孔11kは、第2幅方向に対して外側リップ部13aと内側リップ部13bとの間に位置する。
プロテクタ20は、図2、図3、図8、図9に示すように、電線3が挿通された状態でグロメット本体10のグロメットベース部11の内部に形成された収容空間部11cに収容され電線3を保護する保護部材である。プロテクタ20は、プロテクタベース部21と、プロテクタカバー部22と、配線空間部23と、結束部24とを有し、これらが一体となってグロメット本体10より高剛性の剛体として形成される。プロテクタ20は、例えば、グロメット本体10よりも剛性の高いポリプロピレン(PP)等の合成樹脂材により形成される。なお、プロテクタ20の説明では、適宜図13、図18等も参照する。
プロテクタ20は、プロテクタベース部21とプロテクタカバー部22とが一体となって全体として中空状に形成され、当該中空状の部分(配線空間部23(図13、図18等参照)に電線3が挿通される。プロテクタ20は、プロテクタベース部21及びプロテクタカバー部22の外形形状(押圧方向と直交する面における形状)が上述した収容空間部11cとほぼ同様な外形形状となるように形成され、収容空間部11cに挿入、収容可能な形状となっている。また、プロテクタ20は、プロテクタベース部21及びプロテクタカバー部22の第2幅方向と直交する面に沿った断面形状が収容凹部103よりやや小さい略逆台形状の中空状、さらに言えば、グロメット平坦部11a及びグロメット膨出部11bよりもやや小さい略逆台形状の中空状に形成される(図18参照)。プロテクタ20は、収容空間部11cに収容された状態で、プロテクタベース部21がグロメット膨出部11bと対向して接触し、プロテクタカバー部22がグロメット平坦部11aと対向して接触する(図18参照)。
より具体的には、プロテクタベース部21は、プロテクタ20が収容空間部11cに収容されグロメットベース部11が収容凹部103に装着された状態で、被止水面105(図18参照)に沿った形状のベース面21aを形成する容器状の部材である。本実施形態のプロテクタベース部21は、グロメット膨出部11bに沿った形状となっている。プロテクタベース部21は、被止水面105、グロメット膨出部11bと対応する形状、言い換えれば、被止水面105、グロメット膨出部11bに沿う形状に形成される。プロテクタベース部21は、図18等に示すように、傾斜壁部105a、傾斜壁部11gと、平面底部105b、平面底部11hとに対応するように、傾斜壁部21bと平面底部21cとを含んで形成される。平面底部21cは、略矩形状に形成され、プロテクタベース部21の底面を構成し、傾斜壁部21bは、当該平面底部21cの三辺(収容凹部103に装着された際に車内空間側に位置する辺以外の三辺)を囲うようなU字型のテーパ面として形成される。プロテクタベース部21は、平面底部21cとは反対側の面が開口面となっている。プロテクタベース部21は、プロテクタ20が収容空間部11cに収容された状態で、傾斜壁部21bが傾斜壁部11gと対向して接触し、平面底部21cが平面底部11hと対向して接触する(図13等参照)。
プロテクタカバー部22は、グロメット平坦部11a(図18等参照)を介してウェザーストリップ104が設置される平坦な平坦面22aを形成する蓋状の部分である。プロテクタカバー部22は、プロテクタベース部21との間に電線3が挿通される配線空間部23を形成すると共に平坦面22aを形成する。平坦面22aは、グロメット本体10を跨いでドアパネル101に設けられるウェザーストリップ104が当該グロメット本体10のグロメット平坦部11aを介在させた状態で設置される面である。プロテクタカバー部22は、平板状に形成され、そのうちの一辺がヒンジ部22b等を介してプロテクタベース部21に対して一体的に接続される。これにより、プロテクタカバー部22は、プロテクタベース部21の開口面を覆うように開閉可能であり、閉状態となることで、プロテクタベース部21との間に配線空間部23を区画する。
配線空間部23は、プロテクタベース部21とプロテクタカバー部22とによって、電線3を配線可能な中空状の配線スペース部分として区画される(図18等参照)。配線空間部23は、図8等に示すように、プロテクタベース部21の傾斜壁部21bとは反対側が第2幅方向に対して開口し、当該開口が配線空間部23に電線3を挿入可能な挿入口25として機能する。プロテクタベース部21は、傾斜壁部21bとは反対側の端部が、押圧方向に沿ってプロテクタカバー部22から離間する側に屈曲して屈曲部21dを構成する。挿入口25は、このプロテクタベース部21の屈曲部21dとプロテクタカバー部22との間の間隙として形成される。これにより、プロテクタ20は、当該挿入口25を介して配線空間部23に電線3を挿入可能な構成となっている。また、配線空間部23は、プロテクタベース部21の傾斜壁部21b側、すなわち、挿入口25とは反対側が押圧方向に対してプロテクタカバー部22側に開口し、当該開口が電線3を挿通可能な挿通口26として機能する。プロテクタカバー部22は、プロテクタベース部21の開口面の全面を覆うのではなく、プロテクタベース部21の傾斜壁部21b側に開口を残しており、当該開口が挿通口26となる。挿通口26は、プロテクタ20がグロメット本体10の収容空間部11cに挿入、収容された状態で、押圧方向に対してグロメット本体10の挿入口11iと対向する位置に形成される(図13参照)。これにより、プロテクタ20は、配線空間部23側と管状部12内部の挿通空間部12b側との間で、挿通口26、挿入口11iを介して電線3を挿通可能な構成となっている。上述のベース面21aは、プロテクタベース部21の外表面、すなわち、配線空間部23とは反対側の面によって形成される。上述の平坦面22aは、プロテクタカバー部22の外表面、すなわち、配線空間部23とは反対側の面によって形成される。
また、このプロテクタ20は、図18に示すように、押圧方向に対してプロテクタベース部21とプロテクタカバー部22との間に介在する補強壁部27を有する。本実施形態では、補強壁部27は、複数設けられている。複数の補強壁部27は、プロテクタベース部21に設けられるベース部側壁部27a、及び、プロテクタカバー部22に設けられるカバー部側壁部27bを含んで構成される。ベース部側壁部27a、カバー部側壁部27bは、それぞれプロテクタベース部21、プロテクタカバー部22の第1幅方向に対する両縁部に設けられる。ベース部側壁部27a、カバー部側壁部27bは、それぞれプロテクタベース部21、プロテクタカバー部22から押圧方向に沿って立設されると共に、第2幅方向に沿って延在する。これにより、プロテクタ20は、押付方向に対する強度を向上させている。
図2、図3、図8、図9に戻って、結束部24は、配線空間部23に挿通される電線3を結束バンド等を介して結束し、固定する部分である。結束部24は、プロテクタベース部21の屈曲部21dから突出するようにして形成される。
アウタ30は、図2、図3、図10、図11に示すように、グロメット本体10とは別体に構成され、グロメット本体10をドアパネル101に固定するための固定用部材である。アウタ30は、本体部31と、一対の固定部32、33とを有し、これらが一体となってグロメット本体10より高剛性の剛体として形成される。アウタ30は、例えば、グロメット本体10よりも剛性の高いポリプロピレン(PP)等の合成樹脂材により形成される。なお、アウタ30の説明では、適宜図18も参照する。
アウタ30は、被止水面105との間にグロメット本体10のグロメットベース部11及びプロテクタ20を挟み込んだ状態で、グロメット本体10のリップ部13を被止水面105側に押圧すると共にグロメット本体10をドアパネル101に固定する。
より具体的には、本体部31は、当該アウタ30がグロメット本体10をドアパネル101に固定した状態で、第1幅方向に沿うように形成され被止水面105との間にグロメット本体10及びプロテクタ20を挟み込む部分である(図18等参照)。本体部31は、第1幅方向に沿って梁状に形成され、所定の箇所がリブ等によって補強されている。固定部32、33は、当該アウタ30がグロメット本体10をドアパネル101に固定した状態で、第1幅方向に対してグロメット本体10のグロメットベース部11を挟んで位置するように一対で設けられる。固定部32、33は、第1幅方向に対する本体部31の両端部に設けられる。より詳細には、固定部32、33は、それぞれ本体部31の両端部から第2幅方向の一方側に突出するように形成され、突出することによって、本体部31との間に嵌合空間部34を形成する。嵌合空間部34は、本体部31と一対の固定部32、33とによって三方が囲われた空間部である。アウタ30は、グロメット本体10をドアパネル101に固定する状態では、グロメットベース部11の平坦面11e側からこの嵌合空間部34にグロメットベース部11の管状部接続部11d、及び、管状部12の一部が嵌合する(図15等参照)。そして、アウタ30は、この状態で、一対の固定部32、33が第1幅方向に対して当該管状部接続部11d等を挟み込むような位置関係となる。そして、アウタ30は、一対の固定部32、33を介してドアパネル101に固定される。本実施形態の固定部32、33は、それぞれボルト締結用のボルト孔32a、33aが形成される。そして、アウタ30は、締結ボルト32b、33bがそれぞれボルト孔32a、33aに挿入されると共に、ドアパネル101のヒンジ側端面101aに形成されたボルト孔101c、101dに挿入され、先端が締結ナット101e、101fと螺合することで、ボルト締結によって当該ヒンジ側端面101aに固定される(図18参照)。
上記のように構成されるグロメット本体10、プロテクタ20、及び、アウタ30は、図1、図2、図12、図13、図14、図15、図16に示すように、相互に組み付けられることで、全体でグロメット1を構成する。すなわち、グロメット1は、配線空間部23に電線3が挿通されたプロテクタ20が、グロメット本体10の収容空間部11c内に収容される。また、グロメット1は、嵌合空間部34にグロメットベース部11の管状部接続部11d等が嵌合するような位置関係で、アウタ30がグロメット本体10に装着される。さらに、グロメット1は、図17、図18に示すように、グロメット本体10のグロメットベース部11が収容凹部103に装着される。そして、グロメット1は、アウタ30の本体部31と被止水面105との間にグロメット本体10のグロメットベース部11及びプロテクタ20を挟み込んだ状態で、一対の固定部32、33がドアパネル101にボルト締結される。この結果、グロメット1は、アウタ30によってグロメット本体10のリップ部13が被止水面105側に押圧された状態でドアパネル101に固定される。これにより、グロメット1は、車両100からの離脱が抑制され、確実にドアパネル101の収容凹部103に固定される。
グロメット1は、図13等に示すように、電線3がプロテクタ20の挿入口25、配線空間部23、挿通口26、グロメット本体10の接続開口11j、挿通空間部12b、車体側グロメット部12a等に挿通されることで、当該電線3が車両100のドア102側と車体側とにわたって配索される。
そして、このグロメット1は、アウタ30を介して収容凹部103に装着、固定された状態で、図16等に示すように、グロメット本体10のリップ部13がアウタ30による押圧領域35内に配置される。本実施形態のリップ部13は、止水面11fにおいて、少なくとも一部が押圧領域35内に配置されるように形成されている。ここで、アウタ30による押圧領域35とは、アウタ30が押圧方向の被止水面105側に押圧する領域であり、典型的には、アウタ30の本体部31、固定部32、33、及び、嵌合空間部34を含む部分を押圧方向に沿って止水面11fに投影した領域に相当する。
ここで、グロメット1は、図16、図17等に示すように、ドアパネル101の収容凹部103に装着、固定された状態で、ウェザーストリップ104が第1幅方向に沿ってグロメット本体10のグロメットベース部11を跨ぐようにしてグロメットベース部11の平坦面11e上に密着、積層される。そして、本実施形態のリップ部13の外側リップ部13aは、全体が押圧領域35内に配置される。さらに言えば、外側リップ部13aは、押圧領域35内であって第1幅方向に対してアウタ30の一対の固定部32、33の間の領域に配置される。言い換えれば、アウタ30の一対の固定部32、33は、グロメット本体10をドアパネル101に固定した状態で第1幅方向に対して当該リップ部13の外側リップ部13aの外側に位置する。一方、リップ部13の内側リップ部13bは、少なくとも一部(ここでは中央の屈曲部側)が押圧領域35内に配置されると共に他の一部(ここでは端部側)がウェザーストリップ104の配置領域104a内に配置される。ここで、ウェザーストリップ104の配置領域104aとは、典型的には、ドアパネル101のヒンジ側端面101aに設けられたウェザーストリップ104を押圧方向に沿って止水面11fに投影した領域に相当する。
また、このグロメット1は、アウタ30を介してドアパネル101の収容凹部103に装着、固定された状態で、図18等に示すように、電線3が挿通された状態のプロテクタ20が剛体部を構成する。すなわち、剛体部としてのプロテクタ20は、グロメット本体10のリップ部13より高剛性の剛体として形成され、アウタ30による押圧方向に対してアウタ30とリップ部13との間に介在する。プロテクタ20は、グロメット1がアウタ30を介して収容凹部103に装着、固定された状態で、押圧方向に対してアウタ30とリップ部13との間に介在し、グロメット本体10と共に層構造をなす。より詳細には、プロテクタ20は、押圧方向に対して、アウタ30の本体部31とリップ部13との間に少なくともプロテクタカバー部22、及び、プロテクタベース部21の一部、ここでは挿通口26側の端部が介在し、グロメット本体10と共に層構造をなす。つまり、グロメット1は、押圧方向に対して、アウタ30の本体部31と被止水面105との間で、グロメットベース部11のグロメット平坦部11a(平坦面11e)、プロテクタ20のプロテクタカバー部22(平坦面22a)、配線空間部23、プロテクタ20のプロテクタベース部21(ベース面21a)、グロメットベース部11のグロメット膨出部11b(止水面11f)、リップ部13がこの順で層構造をなしている。これにより、グロメット1は、プロテクタ20が、アウタ30からの押圧力をリップ部13に伝達する押圧力伝達部、あるいは、リップ部13を押し付ける押圧部として機能する。
そして、上記のように構成されるグロメット1は、アウタ30を介してドアパネル101の収容凹部103に装着、固定された状態で、アウタ30がグロメット本体10のリップ部13を被止水面105側に押圧することで、リップ部13が被止水面105に押しつけられ弾性変形する。より詳細には、外側リップ部13aは、アウタ30によってプロテクタ20を介して被止水面105側に押圧され弾性変形し密着し、内側リップ部13bは、アウタ30、及び、ウェザーストリップ104によってプロテクタ20を介して被止水面105側に押圧され弾性変形し密着する。この結果、グロメット1は、当該リップ部13が止水面11fと被止水面105との間を止水し、グロメット1の車外空間側から車内空間側への浸水を抑制することができる。
以上で説明したグロメット1によれば、グロメット本体10と、アウタ30と、剛体部としてのプロテクタ20を備え、アウタ30は、押圧方向と直交する第1幅方向に対してグロメット本体10を挟んで一対で設けられる固定部32、33を有し、当該一対の固定部32、33を介してドアパネル101に固定される。
以上で説明したワイヤーハーネス2によれば、端部にコネクタ4が設けられる電線3と、上記グロメット1とを備え、アウタ30は、押圧方向と直交する第1幅方向に対してグロメット本体10を挟んで一対で設けられる固定部32、33を有し、当該一対の固定部32、33を介してドアパネル101に固定される。
したがって、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、アウタ30が幅方向に対してグロメット本体10を挟んで一対で設けられる固定部32、33を有し、被止水面105との間にグロメット本体10を挟み込んだ状態で当該一対の固定部32、33を介してドアパネル101に固定される。つまり、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、押圧方向と直交する方向(第1幅方向、第2幅方向)に対して、固定部32、33がグロメット本体10、プロテクタ20とラップすることがなく、すなわち、干渉することがない。言い換えれば、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、押圧方向と直交する方向に対して、固定部32、33がグロメット本体10のグロメットベース部11、プロテクタ20に重ならないように、当該グロメットベース部11、プロテクタ20の輪郭の外側に位置する。そして、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、アウタ30の本体部31と被止水面105との間にグロメットベース部11、プロテクタ20を挟み込んだ状態で、上記のような位置に配置される固定部32、33を介してグロメット本体10、プロテクタ20をドアパネル101に固定することができる。これにより、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、例えば、車種等に応じてドアパネル101側のグロメット取付位置近傍の形状(例えば、幅や高さ方向の寸法等)が異なるような場合であってもグロメット1全体の形状を変更しなくても、グロメット本体10とは別体に構成されるアウタ30の固定部32、33等の形状を変更することで、適正にグロメット本体10をドアパネル101に固定することができる。この結果、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、汎用性を向上することができる。つまり、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、例えば、アウタ30を車種ごとに設計する一方、グロメット本体10、プロテクタ20は異なる車種間で共通の構成とすることができる。またこの場合、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、アウタ30がグロメット本体10、プロテクタ20等とは別体に構成されることから、固定部32、33を設ける位置の自由度を向上することができ、ドアパネル101側の形状に応じて比較的に自由に設定することができる。
また、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、グロメット本体10の両脇にボルト締結用の固定部32、33が配置されることから、例えば、アウタ30の固定作業の際にグロメット本体10等によって固定部32、33が隠れてしまうことを抑制することができるので、固定部32、33を目視しながら締結作業を行うことができる。この結果、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、配索時の作業性を向上することができる。また、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、固定部32、33が締結ボルト32b、33bによって固定される構造となっていることから、例えば、固定部32、33にクランプ構造を用いるような場合と比較して、ドアパネル101から取り外しやすい構成とすることができ、また、再度、ドアパネル101に取り付けやすい構成とすることができる。この結果、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、車両100におけるメンテナンス性、サービス性も向上させることができる。
さらに、以上で説明したグロメット1、ワイヤーハーネス2によれば、一対の固定部32、33は、アウタ30によってグロメット本体10をドアパネル101に固定した状態で第1幅方向に対して当該リップ部13の外側に位置する。したがって、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、第1幅方向に対して一対の固定部32、33の内側の、止水が必要な範囲を限定し相対的に小さくすることができる。これにより、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、当該一対の固定部32、33の内側に位置するリップ部13(外側リップ部13a、内側リップ部13b)の全長を相対的に短くすることができる。この結果、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、グロメット本体10のグロメットベース部11やプロテクタ20の外形を相対的に小さくすることができ、当該グロメット1の小型化を図ることができる。
さらに、以上で説明したグロメット1、ワイヤーハーネス2によれば、リップ部13は、少なくとも一部がアウタ30による押圧領域35内であって第1幅方向に対して一対の固定部32、33の間の領域に配置される。したがって、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、リップ部13がアウタ30による押圧領域35内に配置されることで、リップ部13に対して比較的に広範囲でほぼ均等に押圧力を付加することができることから、被止水面105に押し付けられたリップ部13で止水面11fと被止水面105との間を確実に止水することができるので、止水性能を向上することができる。より詳細には、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、アウタ30による押圧力が相対的に高くなる傾向にある一対の固定部32、33の間の領域にリップ部13の一部が配置されるので、リップ部13に対してより大きな押圧力を適正に付加することができ、止水性能をさらに向上することができる。
またこの場合、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、リップ部13が中空状に形成されており、弾性変形しやすい形状となっていることから、例えば、内部が密実に形成されたリップ部と比較して、より小さな押圧力でリップ部13を押しつぶし被止水面105に密着させることができる。この結果、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、リップ部13を押圧する際に、アウタ30が当該リップ部13から受ける反力も相対的に小さく抑制することができるので、例えば、アウタ30を金属よりも剛性が低い樹脂材によって形成しても、反力を受けるために十分な強度を確保することができる。すなわち、グロメット1、ワイヤーハーネス2は、アウタ30を剛性が相対的に低い樹脂材によって構成することができるので、例えば、重量の増加を抑制することができ、また、アウタ30を車種ごとに異なる形状とする場合であっても、容易に製造することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係るグロメット、及び、ワイヤーハーネスは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上で説明したリップ部13は、第1リップ部としての外側リップ部13aと、第2リップ部としての内側リップ部13bとを含んで構成されるものとして説明したが、これに限らない。リップ部13は、外側リップ部13a又は内側リップ部13bのいずれか一方を備えない構成であってもよいし、さらに、第3リップ部を備える構成であってもよい。また、リップ部13の外側リップ部13a、内側リップ部13bは、上記で説明した形状に限らない。例えば、外側リップ部13aは、アウタ30による押圧領域35の範囲内で第1幅方向に対して傾斜していてもよい。内側リップ部13bは、例えば、第1幅方向中央部が外側リップ部13aとは反対側に突出するように屈曲しつつ、止水面11fの第1幅方向一方側の縁部から他方側の縁部まで延在して形成されてもよい。この場合、内側リップ部13bは、例えば、中央の屈曲部側がウェザーストリップ104の配置領域104a内に配置されると共に端部側が押圧領域35内に配置されてもよい。また、外側リップ部13aは、全体が押圧領域35の範囲内になくてもよい。
以上の説明では、プロテクタ20が剛体部を構成するものとして説明したがこれに限らない。グロメット1は、プロテクタ20を備えず、これにかえて、グロメット本体10のグロメットベース部11の所定の部位、すなわち、アウタ30とリップ部13との間に介在する部位に対して、高剛性材によって2色成形を施し、当該2色成形を施された部位が上記剛体部を構成してもよい。
以上の説明では、アウタ30は、合成樹脂材により形成されるものとして説明したがこれに限らず、例えば、金属製であってもよい。
以上の説明では、アウタ30は、固定部32、33にてボルト締結されるものとして説明したが、これに限らず、例えば、固定部32、33にてクランプ等によってドアパネル101に固定されてもよい。
また、以上で説明したワイヤーハーネスの接続部は、コネクタ4であるものとして説明したがこれに限らず、電線の端部に、圧着や溶着等によって設けられる端子等であってもよい。