JP4838301B2 - 宿酔の予防または治療用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、宿酔の予防または治療用組成物に係り、具体的には、生薬抽出物を含む宿酔の予防または治療用組成物に関する。
現代人は誰でも少なからずストレスを受けながら日々生活している。人々はこのようなストレスから脱け出そうとするが、ストレスから脱け出すことは殆ど不可能に近い。但し、このようなストレスの累積を解消するために、睡眠、過食、運動、喫煙およびその他の多様な方法が用いられており、その中の一つが飲酒である。
また、会食・接待の頻繁な現代人にとって、飲酒はほぼ必須不可欠なものと位置付けられており、飲酒の機会は日増しに増加している実情である。したがって、相次ぐ飲酒の後、飲酒の副作用に苦しめられる場合が多い。このような飲酒の副作用としては、頭が重くて痛いか、胃がひりひりと痛むか、或いは喉が渇くという症状があるが、これを宿酔という。このような宿酔現象は、エタノールまたはアセトアルデヒドの毒作用から発生することである。これら物質の毒作用が持続すると、疲労感や腹部膨満感、嘔吐などの症状が現れる。
正常的なエチルアルコール代謝過程によれば、体内に流入したエチルアルコールが胃腸または小腸に吸収されて血管内に入って肝臓に移される。肝細胞にはアルコール脱水素酵素(ADH、alcohol dehydrogenase)があるが、この酵素がアルコールをアセトアルデヒドに酸化させる。前記アセトアルデヒドは、肝細胞にあるアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH、acetaldehyde dehydrogenase)によって酢酸に分解されて全身の筋肉または脂肪組織に移され、最終的には炭酸ガスと水に分解される。また、前記アセトアルデヒド脱水素酵素には、アセトアルデヒドが低濃度であっても酸化を開始するII型と、アセトアルデヒドが高濃度にならなければ作用をしないI型があるが、東洋人は、一般にII型アセトアルデヒド酵素が欠乏または不足するので、アセトアルデヒドの酸化が西洋人に比べて遅い方である。酸化していないアセトアルデヒドおよび/またはエタノールは、正常的な新陳代謝を妨害して多様な宿酔現象を感じさせる。
一方、エタノールは、酒の主成分であって、身体的、精神的に人体に及ぼす効果が広範囲で非常に様々なので、その代謝過程と毒性発現特性に関する研究が長期間幅広く行われてきた。前述したように、摂取されたエタノールは小腸および消化管を介して吸収され、摂取後20〜120分の間に最高血中濃度に到達する。このように吸収されたエタノールは、肝を始めとした全ての臓器で代謝されるが、その中の約10%は呼吸や尿、汗などによって排泄され、残りの大部分は肝で分解される。
肝におけるエタノール分解は、酸化反応によるアセトアルデヒドへの転換が主である。これは、前述したアルコール脱水素酵素、ミクロソームエタノール酸化系(microsomal ethanol-oxidizing system、MEOS)およびカタラーゼなどの3種の反応酵素系によって行われるものと知られている(非特許文献1参照)。
このようなエタノールの分解メカニズムだけでなく、毒性学的研究も様々に行われたが、エタノールの毒性は、神経学的側面で観察されるうえ、遺伝学的にも影響を及ぼすという報告がある(非特許文献2参照)。
最近、エタノールの毒性を軽減させる、或いは毒性の発現を阻害することが可能な多くの物質に関する研究と実験が行われており、その結果として、天然食品または漢方薬材料から抽出した成分を含有した様々な健康補助食品がこれと関連して開発されている実情である(非特許文献3参照)。
このような研究の一環として、主に胆石溶解剤として広く用いられているコール酸類を用いた組成物が市販されているが、このようなコール酸類は、利胆作用、肝臓解毒、肝臓の血流改善作用、脂肪の吸収促進作用、および微細胆道を介しての老廃物排泄作用を持っており、慢性肝疾患の肝機能改善、肝機能障害による全身倦怠、消化不良、食欲不振、肉体疲労などに効能があると知られているウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid);胆石溶解剤として市販されており、脂肪肝の治療に効果があって経口で投与した後に肝機能の改善および肝脂肪量の減少が報告されているタウロウルソデオキシコール酸(tauroursodeoxycholic acid);胆石溶解剤として市販されているケノデオキシコール酸(chenodeoxycholic acid);およびデヒドロコール酸(dehydrocholic acid)などが知られている。
また、漢方薬剤または民間療法剤であって、宿酔の解消に有用な効果があると知られている人参やエゾウコギなどの成分を主成分とする各種製剤形態の医薬品が開発されたが、その中でも人参を主成分とする滋養強壮ドリンクは多数市販されており、その他蜂蜜やビタミンなどの各種成分を適正量の含量で組成して製造された滋養強壮剤も市販されている。ところが、人参、エゾウコギ(非特許文献4参照)、カミボウキ(Ocimum Sanctum Linn)、ティノスポラ(Tinospora malabarica)(非特許文献5参照)などの生薬とメラトニンなどの生体物質が宿酔解消作用を示すと報告されてはいるが、飲酒により誘発される多様な変化の一部項目にのみ効果があるか薬効が微々たるものと示されており、東洋で漢方製剤として用いられてきた従来の生薬抽出物を単に利用するということから、大きい技術的特徴を見出すことができず、その大部分が滋養強壮剤または公知の効能を単に利用するに止まっている。
このように飲酒後の宿酔を除去するために各種生薬剤が使用されてきており、最近は宿酔除去のための生薬剤を含む各種ドリンク剤が市販されている。このようなドリンク剤は、飲酒後には単独で、かつ飲酒の前には高アルコール含量の酒類に添加して飲用されている。ところが、一部の生薬剤を含有するドリンク剤は全身倦怠、腹部膨満感、嘔吐または腹痛などを誘発することがあるうえ、一部のドリンク剤は高価の生薬剤を使用することにより高価で販売されるなどの問題点があった。
このような実情で、現代社会で大きい問題となっている飲酒による宿酔を効率よく解消するための好適な宿酔解消用組成物の開発が要求されている。特に、生薬成分の抽出物を適切に配合し、優れた宿酔の予防または治療効果および肝臓保護効果を示す宿酔解消用組成物の開発が切実に求められている。
そこで、本発明者らは、飲酒による宿酔の予防および治療に優れた薬効を持つ生薬について鋭意研究した結果、イザヨイバラ、黄杞、蓮肉それぞれの抽出物が宿酔の予防および治療に効果を持つことと、それぞれの成分を一定の含量含む組成物が宿酔の予防および治療に優れた効果を持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
イザヨイバラ(Rosa Roxburghii)は、バラ科に属する植物であって、スイートチェストナットローズ(sweet chestnut rose)とも呼ばれるが、東アジア、中国、ヒマラヤなどに分布し、その実と種子を食用とする。中国を原産地とするイザヨイバラは、中国貴州省では健康補助および美容食品として用いられており、ビタミンなどが豊富に含まれており且つSOD(superoxide dismutase)活性が強いため、日本では老化防止、雀斑防止、皺防止などのための美容飲料として用いられている。
特許文献1には、バラ抽出物を用いたストレス解消飲料が開示されている。エイジツ(rose fruit)のエタノール/1,3−ブチレングリコール/精製水(7/1/3、v/v/v)の割合で抽出した抽出物を主材料とし、この抽出物に大豆胚芽(soybean germ)、タケノコ(bamboo shoots)などの10種の食品成分を配合してなる機能性ストレス解消飲料が開示されている。この飲料は、老化を促進するスーパーオキシドラジカル(O・)およびヒドロキシラジカル(・OH)などの活性酸素の生成を効果的に抑制し、活性酸素を除去することにより、肉体的および心理的ストレスによって増加するMHPG−SOおよびコルチコステロン(corticosterone)を、0.1%投与グループでは無投与グループに比べてそれぞれ17%および24%減少させ、0.5%投与グループではそれぞれ20%および38%も効果的に減少させた。
黄杞(Engelhardtia chrysolepis HANCE)は、グルミ科に属する植物であって、一般にタイワンエンゲルハード(Taiwan engelhardtia)とも呼ばれる。黄杞は、中国の南部地方および西南地方に分布し、葉を食用とするが、若干の甘い味があって古く前から中国では甘茶として飲用されており、保健茶(健康補助茶)として使用されており、現在日本等地では黄杞茶(Kohki tea)とも呼ばれ、飲料および茶として広く飲用されている。
ハス(Nelumbo nucifera)は、ハス科に属し、蓮華と呼ばれる植物である。主に韓国の中南部各地で観賞用として池で栽培し、地理的にはインド国、中国、日本、シベリアに分布し、その幼い葉、実、根茎、種子を食用とする。その種子である蓮肉は滋養強壮、鎮静薬、補脾止瀉および養心安心の作用があるうえ、長期間の下痢、遺精帯下および心悸失眠に効果があり、葉は解熱または解毒の作用をし、果肉は滋養強壮および止血の作用をするうえ、夜尿症、婦人病に効果があり、根は解熱、解毒、止血の作用をするうえ、消お血、一切血症、尿血および腸出血に効果がある。
特許文献2には、蓮肉を有効成分とする蓮肉鎮痛製剤が開示されているが、前記生薬を利用すれば、神経損傷により痛みを感じる疼痛患者だけでなく、一般疼痛疾患にも痛み緩和効果を期待することができる。
特許文献3には、うつ病治療用蓮肉抽出物、その製造方法、これを含む薬学的組成物および健康食品が開示されている。より詳しくは、アルコールまたはアルコール水溶液で抽出した蓮肉抽出物は、強力な抗憂鬱活性を示し、天然薬であって安全性が確保されているので、うつ病治療用組成物および健康食品として有用に使用できると開示されている。
特許文献4には、肝細胞の保護および肝損傷の予防または治療活性を示す蓮肉抽出物、並びにこれを有効成分として含む、肝細胞の保護、肝損傷の予防または治療、および肝癌誘発物質による突然変異抑制用組成物が開示されている。
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そこで、本発明の目的は、宿酔の予防または治療用組成物を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、イザヨイバラ(Rosa Roxburghii)抽出物、黄杞(Engelhardtia chrysolepis HANCE)抽出物、蓮肉(Nelumbo nucifera)抽出物、またはこれらの組み合わせよりなる群から選ばれた抽出物を活性成分として含む、宿酔の予防または治療用組成物を提供する。
また、本発明は、イザヨイバラ抽出物100重量部に対して黄杞抽出物25〜50重量部、および蓮肉抽出物25〜50重量部を含む、宿酔の予防および治療用組成物を提供する。
また、本発明は、前記組成物の構成薬材それぞれを熱水抽出する段階と、前記それぞれの熱水抽出物を濾過または遠心分離して上澄み液を分離する段階と、前記上澄み液を減圧濃縮してそれぞれの薬材の濃縮液を獲得する段階と、前記それぞれの濃縮液を噴霧乾燥させてそれぞれの薬材抽出粉末を獲得する段階と、前記それぞれの薬材抽出粉末を一定の割合で混合する段階とを含む、前記宿酔の予防または治療用組成物の製造方法を提供する。
イザヨイバラの実、黄杞の葉、および蓮肉の抽出物とこれらを含む本発明の組成物は、血中アルコールおよびアセトアルデヒドの濃度を低めることができるので、アルコールまたはアセトアルデヒドが原因となる飲酒後の宿酔を予防または解消することが可能な医薬または健康補助食品として使用できる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明者らは、宿酔に効能がある物質を発掘するために、多様な物質を対象として血中アルコール濃度およびアセトアルデヒド濃度の低下効果に関する研究を行ってきた。その結果、本発明者らは、イザヨイバラ、黄杞、蓮肉がそれぞれ血中アルコール濃度の低下に効果的であることを見出した。しかも、宿酔の別の原因物質である血中アセトアルデヒド濃度を低めることにも効果があるということを見出した。宿酔の原因物質であるアルコールおよびアセトアルデヒドの濃度を低めることに効果があると確認されたイザヨイバラ、黄杞、または蓮肉の抽出物は、それぞれ宿酔の予防または治療用食品または医薬として使用できる。
宿酔の解消に効果がある前記イザヨイバラ、黄杞および蓮肉は、イバヨイバラ抽出物100重量部に対して黄杞抽出物25〜50重量部、および蓮肉抽出物25〜50重量部を含有する組成物とする場合、さらに効果的な宿酔の予防および治療効果を示す。
前記宿酔の予防および治療用組成物は、医薬組成物として使用できる。このような場合、前記宿酔の予防および治療用組成物以外に、薬学的に許容される担体および添加剤を選択して添加することにより、通常の剤形に製造する。
担体としては、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩解剤、甘味剤 、安定剤、および防腐剤の中から少なくとも1種を選択して使用することができ、添加剤としては、香料、ビタミン類、および抗酸化剤の中から少なくとも1種を選択して使用することができる。
前記医薬組成物は、液剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸薬またはエキス剤の剤形に製剤化して経口服用することができるが、これに限定されるものではない。
前記担体および添加剤は、薬学的に許容されるものであればいずれでもよい。具体的に、希釈剤としては乳糖、コーンスターチ、大豆油、微晶質セルロース、またはマンニトール、滑濁剤としてはステアリン酸マグネシウムまたはタルク、結合剤としてはポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。また、崩解剤としては、カルボキシメチルセルロースカルシウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、ポラクリリンカリウム、またはクロスポビドン、甘味剤としては白糖、果糖、ソルビトール、またはアスパルテーム、安定剤としてはカルボキシメチルセルロースナトリウム、β−シクロデキストリン、白蝋、またはキサンタンガム、防腐剤としてはパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、またはソルビン酸カリウムが好ましい。
本発明の医薬組成物は、前記主要成分以外にも、補助成分として、例えばビタミンB、C、Eやベータカロチン、Ca、Mg、Znなどのミネラル成分、レシチンなどのリン脂質、またはマルトール、果糖、オリゴ糖、アミノ酸、霊芝、タウリンなどをさらに含んでもよい。また、前記成分以外にも、味覚をそそるために、公知の添加剤として、例えば梅香、レモン香、パインアップル香、ハブ香などの天然香料、天然果汁、例えばクロロフィリン、フラボノイドなどの天然色素、例えば果糖、蜂蜜、糖アルコール、砂糖などの甘味成分、またはクエン酸、クエン酸ナトリウムなどの酸味剤を混合して使用してもよい。
前記宿酔の予防または治療用医薬組成物は、宿酔の予防または解消効果を得るために、有効成分として体重60kg成人を基準として1日総量が5mg〜15g、好ましくは50mg〜15gとなるように任意に数回経口投与する。
しかも、本発明の宿酔の予防または治療用組成物は、健康補助食品として使用されることも可能である。このような健康補助食品は、前記薬用植物の抽出物を有効成分とした茶、ジェリー、エキス、飲料などに製造できる。このように多様な形で加工された本発明の健康補助食品は、人体に副作用がなく、宿酔の予防または解消効果に優れるうえ、服用が容易であって有用に使用できる。
一方、前記宿酔の予防または治療用組成物は、前述した薬材の抽出物を混合して製造することができる。具体的に、イザヨイ抽出物100重量部に対して黄杞抽出物25〜50重量部、および蓮肉抽出物25〜50重量部を含む宿酔の防止または解消用組成物の製造方法は、a)前記処方の構成薬材それぞれを熱水抽出する段階と、b)前記それぞれの熱水抽出物を濾過または遠心分離して上澄み液を分離する段階と、c)前記上澄み液を減圧濃縮してそれぞれの薬材の濃縮液を獲得する段階と、d)前記それぞれの濃縮液を噴霧乾燥させてそれぞれの薬材抽出粉末を獲得する段階と、e)前記それぞれの薬材抽出粉末を一定の割合で混合する段階とを含む。
前記段階b)の熱水抽出は、薬材重量の約5〜15倍の水と共に抽出器に入れ、90℃〜100℃でそれぞれ1〜2時間抽出することが好ましい。
ところが、本発明に係る宿酔の予防または治療用組成物の製造方法は、前記製法に限定されるものではなく、当該技術分野における生薬の抽出に関する公知の方法を用いて、前記製法を一部変更して製造してもよい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
<実施例>
実施例1
イザヨイバラ、黄杞、および蓮肉それぞれの抽出粉末の製造
イザヨイバラの実、黄杞の葉、蓮肉それぞれ200gに95℃の熱水2Lを加えて2時間抽出した。それぞれの抽出液を濾紙を使って濾過して400gの抽出液を得、これを12時間静置させた後、上澄み液を取り出す。しかる後、取り出した液を減圧濃縮して固形分50%の濃縮液を得た。これを噴霧乾燥法によって粉末化してイザヨイバラ実、黄杞、蓮肉それぞれの抽出粉末を得た。
実施例2
宿酔の予防および治療用組成物の製造
前記実施例1で獲得したイザヨイバラ実の抽出粉末2g、黄杞抽出粉末0.5g、および蓮肉抽出粉末0.5gに0.002gのビタミンB1、0.002gのビタミンB2、1gのアラニン、10gの蜂蜜、113.4gの果糖、0.5gの霊芝、20.1gのタウリン、および適量の水を加えて1Lにした。アルミニウムパウチに100mLずつ分注し、これを沸騰水に5分間浸して滅菌した。
実験例1:アルコール脱水素酵素(ADH)の活性測定
ADHの活性測定は、Blandinoの方法を変形して行った。この際、吸光度340nmでNADHの生成速度を指標として使用した。反応液の組成は、蒸留水1.4mL、1.0M トリス−HCl緩衝溶液(pH8.8)0.75mL、20mM NAD0.3mL、エタノール0.3mL、およびサンプル0.1mLの混合液と酵素源0.15mLをキュベット(cuvette)に入れて総3mLとなるように調節し、30℃で5分間前培養(preincubation)した後、5分間340nmにおける吸光度の変化を測定した。サンプルを添加しないものを対照群とした。
サンプルのADH活性は、対照群に対する相対活性(%)として表示した。
実験結果を下記表1に示した。表1に示すように、本発明で宿酔の予防または治療用途を請求しているそれぞれのイザヨイバラの実、黄杞の葉、蓮肉はいずれもアルコール脱水素酵素(ADH)の活性を増加させた。
実験例2
アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性測定
ALDHの活性測定は、Bostianの方法を変形して行った。この際、吸光度340nmでNADHの生成速度を指標として使用した。反応液の組成は、蒸留水2.1mL、1.0M トリス−HCl緩衝溶液(pH8.0)0.3mL、20mM NAD0.1mL、1.0M アセトアルデヒド0.1mL、3.0M KCl0.1mL、0.33M 2−メルカプトエタノール0.1mL、サンプル0.1mLの混合液と酵素源0.1mLをキュベットに入れて総3mLとなるように調節し、30℃で5分間前培養した後、5分間340nmにおける吸光度の変化を測定した。サンプルを添加していないものを対照群とした。サンプルのALDH活性は、対照群に対する相対活性(%)として表示した。
実験結果を下記表1に示した。表1に示すように、蓮肉抽出物がアセトアルデヒド脱水素酵素(ADH)の活性を増加させることに効果的であった。
Figure 0004838301
実験例3
血中アルコール濃度の測定
体重200〜250gのWistar系雄性ラットを実験動物とし、固形試料と水道水を自由に摂取するようにしながら、2週間予備飼育した。予備飼育が終了した後、実験前24時間絶食し、水のみを供給した。絶食したラットに、前記実施例1で製造された各抽出粉末はイザヨイバラ2%、黄杞0.5%、Lotus0.5%濃度の溶液として、実施例2の組成物はそのままにして、それぞれ胃ゾンデを用いて200mg/kgで経口投与した。
投与30分後、エタノール3g/kgずつ経口投与し、エタノール投与後1時間、3時間には眼窩採血、エタノール投与後5時間には心臓採血を行い、3000rpmで10分間遠心分離して血清を分離した後、Fキットエタノール(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて血清内エタノールの含量を分析した。
次に、Fキットエタノール(ロシュ・ダイアグノスティックス社)の作用原理およびキット工程について説明する。
*原理
エタノールは、ADHという肝酵素によって酸化してアセトアルデヒドを生成し、この過程でNADという助酵素の援助を受けてNADHを生成するが、このNADH生成物の量を吸光度340nmで測定する。
エタノール+NAD ―――――――> アセトアルデヒド+NADH+H
(ADH)
*キット工程
1.反応混合物3mL(リン酸カリウム緩衝溶液(pH9)+NAD錠剤)に、10倍で希釈した血液0.1mLを混合する。
2.3分間20℃で培養する。
3.340nmで吸光度を測定する(Al)。
4.ADH(alcohol dehydrogenase)を0.05mL入れる。
5.5分間20℃で培養する。
6.340nmで吸光度を測定する(A2)。
□濃度=0.7259/3.6×ΔA
ΔA=サンプル(A2−A1)−対照試験(A2−A1)
その結果を図1と図2に示した。図1と図2に示すように、実施例1のイザヨイバラの実、黄杞の葉、蓮肉のそれぞれの抽出物と実施例2の本発明の組成物は、アルコール濃度を対照群に比べて著しく低く維持した。
実験例4
血中アセトアルデヒドの濃度測定
体重200〜250gのWistar系雄性ラットを実験動物にして、固形試料と水道水を自由に摂取するようにしながら、2週間予備飼育した。予備飼育が終了した後、実験前24時間絶食し、水のみを供給した。絶食したラットに、前記実施例1で製造された各抽出粉末は、イザヨイバラ2%、黄杞0.5重量%、Lotus0.5重量%濃度の溶液として、実施例2の組成物はそのままにして、胃ゾンデを用いて200mg/kgで経口投与した。投与30分後、エタノール3g/kgずつ経口投与し、エタノール投与後1時間、3時間には眼窩採血、エタノール投与後5時間には心臓採血を行い、3000rpmで10分間遠心分離して血清を分離した後、Fキットアセトアルデヒド(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて血清内アセトアルデヒドの含量を分析した。
次に、Fキットアセトアルデヒド(ロシュ・ダイアグノスティックス社)の作用原理およびキット工程について説明する。
*原理
アセトアルデヒドは、ALDHという肝酵素によって酸化して酢酸を生成し、この過程でNADという助酵素の援助を受けてNADHを生成するが、このNADH生成物の量を吸光度340nmで測定する。
アセトアルデヒド+H O+NAD ――――――> 酢酸+NADH+H
(ALDH)
*キット工程
1.反応混合物3mL(リン酸カリウム緩衝溶液(pH9)+NAD錠剤)に、10倍で希釈した血液0.2mLを混合する。
2.3分間20℃で培養する。
3.340nmで吸光度を測定する(Al)。
4.ALDH(acetaldehyde dehydrogenase)を0.05mL入れる。
5.5分間20℃で培養する。
6.340nmで吸光度を測定する(A2)。
□濃度=0.7158/3.6×ΔA
ΔA=サンプル(A2−A1)−対照試験(A2−A1)
その結果を図3と図4に示した。図3と図4に示すように、実施例1のイザヨイバラの実、黄杞の葉、蓮肉のそれぞれの抽出物と実施例2の本発明の組成物は、アセトアルデヒド濃度を対照群に比べて著しく低く維持した。
実験例5
血中アルコール濃度の測定
体重200〜250gのWistar系雄性ラットを実験動物にして、固形試料と水道水を自由に摂取するようにしながら、2週間予備飼育した。予備飼育が終了した後、実験前24時間絶食し、水のみを供給した。イザヨイバラ抽出物、黄杞抽出物、Lotus抽出物は、前記実施例1で製造された各抽出粉末および酵母エキス(協和発酵社製、グルタイースト)を用いて下記表2のような組み合わせで水溶液を製造し、胃ゾンデを用いて200mg/kgで経口投与した。投与30分後、エタノール3g/kgずつ経口投与し、エタノール投与後1時間、3時間には眼窩採血、エタノール投与後5時間には心臓採血を行って3000rpmで10分間遠心分離して血清を分離した後、Fキットエタノール(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて血清内エタノールの含量を分析した。
その結果を図6に示した。結果として、イザヨイバラ実の抽出物、キバノギ葉の抽出物、蓮肉抽出物がそれぞれ2重量%、0.5重量%、0.5重量%の場合、他の場合に比べて著しく血中アルコール濃度が減少した。
Figure 0004838301
イザヨイバラの実、黄杞の葉、蓮肉それぞれの熱水抽出物をラットに投与する場合の血中アルコール濃度への効果について実験した結果を示す。 イザヨイバラの実、黄杞の葉、蓮肉それぞれの熱水抽出物を含む本発明の宿酔の予防または治療用組成物をラットに投与する場合の血中アルコール濃度への効果について実験した結果を示す。 イザヨイバラの実、黄杞の葉、蓮肉それぞれの熱水抽出物をラットに投与する場合のアセトアルデヒド濃度への効果について実験した結果を示す。 イザヨイバラの実、黄杞の葉、蓮肉それぞれの熱水抽出物を含む本発明の宿酔の予防または治療用組成物をラットに投与する場合のアセトアルデヒド濃度への効果について実験した結果を示す。 イザヨイバラの実、黄杞の葉、蓮肉、酵母それぞれの熱水抽出物の様々な組み合わせをラットに投与する場合のアルコール濃度への効果について実験した結果を示す。

Claims (4)

  1. 黄杞(Engelhardtia chrysolepis HANCE)抽出物を活性成分として含む、宿酔の予防または治療用組成物。
  2. イザヨイバラ(Rosa Roxburghii)抽出物、蓮肉(Nelumbo nucifera)抽出物、またはこれらの組み合わせを活性成分として更に含む、請求項1に記載の宿酔の予防または治療用組成物。
  3. イザヨイバラ抽出物100重量部に対して黄杞抽出物25〜50重量部、および蓮肉抽出物25〜50重量部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の宿酔の予防および治療用組成物。
  4. 前記組成物は、液剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸薬またはエキス剤の形態であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
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