JP4838111B2 - 電磁波検出器及び電磁波検出システム - Google Patents

電磁波検出器及び電磁波検出システム Download PDF

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本発明は、電磁波検出器及び電磁波検出システムに関し、特に、未開拓領域の電磁波であるテラヘルツ光をとらえる検出器やその検出システムに好適に適用される技術に関するものである。
テラヘルツ光は、ミリ波と赤外線の中間領域にある周波数領域の電磁波のことで、周波数帯が0.1THz〜10THz(THz:テラヘルツ)のものをいう。これまでは発生や検出が困難なことから十分に研究が進んでおらず、「未開拓電磁波周波数領域」等と呼ばれていた。
テラヘルツ光の特徴は、この領域の電磁波が光波と電波の境界に存在し、光側から見ればレンズやミラーが使用できる最長波長、電波側から見れば物質を透過する最短波長と、光波と電波の両方の性質を併せ持つことである。つまり、光と同様の光学測定系を構築でき、半導体、プラスチック、紙等の非金属や無極性物質を透過する。このことから、新規な指紋スペクトルが期待されており、特に薬品や生体物質等には興味深いスペクトが観測されている。そして、最近では、物質の同定、分析、検査、イメージング等に関する研究、開発が盛んに行われている。
一般に、このようなテラヘルツ光を利用した測定装置においては、専用の発生器から発生させたテラヘルツ光で被検物を照明し、その被検物から射出したテラヘルツ光を専用の検出器で検出する。測定の種類には、被検物からの反射光を検出する反射測定と、被検物からの透過光を検出する透過測定とがあり、それらは測定の目的や被検物の種類等に応じて使い分けられる。
また、このような測定装置では、被検物からの透過あるいは反射するテラヘルツ光を、ZnTe結晶等の電気光学結晶上の所定領域に結像させるとともに、その所定領域にプローブ光ビームを照射し、該透過光あるいは該反射光によってプローブ光ビームが変調される度合いを読み出すことで、テラヘルツ光を検出している。
ところで、例えば特許文献1では、電気光学結晶をテラヘルツ発生器及び検出器の両方に用いた分光器において、装置構成を簡単化かつ小型化できるテラヘルツ波分光器が提案されている。また、例えば特許文献2では、大口径のテレセントリックレンズ等の特殊な結像光学系を用いることなく、一度に検出可能なテラヘルツ光等の電磁波の1次元領域又は2次元領域を拡大することが可能な検出装置が開示されている。
特開2000−352558号公報 特開2005−37213号公報
上述したような測定装置においても、テラヘルツを発生させ放射するテラヘルツ光源(発生器)は低出力のものしかなく、このため高い分解能の検出は困難なものとなっている。他方で、分光器の装置内等の狭い空間での分光に限らず、自由空間での分光及び検出イメージングを可能とすることは、幅広いアプリケーションを考え、今後の利便性を向上させるうえで重要である。そのためには、テラヘルツ光源から低く出力されたテラヘルツ光に対しても高い感度で検出を行うテラヘルツ検出器が必要といえる。
そこで、本発明は、テラヘルツ帯の電磁波を高感度に検出する電磁波検出器を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する。
本発明にかかる電磁波検出器は、電磁波を感知し前記電磁波の電場強度分布に応じて複屈折分布を誘起する電気光学結晶を含む電気光学結晶層と、前記電気光学結晶層に向けてプローブ光を照射するプローブ光照射部と、前記電気光学結晶層を介して偏光状態が変化した前記プローブ光を検知して光電変換を行う光電変換部と、を備える電磁波検出器であって、前記電気光学結晶層は、電磁波が入射する面にメタルの周期構造を有し、前記電気光学結晶における縦光学フォノンの周波数と、前記メタルの周期構造の共鳴周波数と、が一致しており、前記光電変換部は、前記プローブ光照射部により照射され、前記電気光学結晶層を反射した前記プローブ光を検知して光電変換を行うことを特徴とする
本発明にかかる電磁波検出器は、電磁波を感知し前記電磁波の電場強度分布に応じて複屈折分布を誘起する電気光学結晶を含む電気光学結晶層と、前記電気光学結晶層に向けてプローブ光を照射するプローブ光照射部と、前記電気光学結晶層を介して偏光状態が変化した前記プローブ光を検知して光電変換を行う光電変換部と、を備える電磁波検出器であって、前記電気光学結晶層は、電気光学効果により電磁波の電界方向に垂直方向の屈折率を変化させる電気光学結晶と、電磁波が入射する面に形成されたメタルの周期構造と、を有し、前記光電変換部は、前記プローブ光照射部により照射され、前記電気光学結晶層を反射した前記プローブ光を検知して光電変換を行うことを特徴とする。
本発明によれば、テラヘルツ帯の電磁波を高感度に検出することができる
図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態として、第1及び第2の実施形態について説明する。第1の実施形態は、被検出物体を透過するテラヘルツ光を検出する検出システムであり、第2の実施形態は、反射テラヘルツ光を検出する検出システムである。
[実施形態1]
本実施形態の概要図を図1に示す。本実施形態の電磁波検出システムは、テラヘルツ光源1、被検出物体2、及び電磁波検出器10から構成される。テラヘルツ光源1はテラヘルツ光を照射光3として被検出物体2に照射し、被検出物体2を透過したテラヘルツ光は透過光4として電磁波検出器10にて検出される。
図2は電磁波検出器10の概略構成を示した図、図3は電磁波検出器10における電気光学結晶層の構成を示した図である。電磁波検出器10は、メタル周期構造11、電気光学結晶12、半導体レーザ13、レンズ14、ビームスプリッタ16、ミラー17及びCCD(Charge Coupled Device)19から構成される。メタル周期構造11はホーンアンテナ11aからなり、電気光学結晶12はDAST(4-dimethylamino-N-methyl-4-stilbazolium-tosylate)12a及び誘電体多層膜12bから構成される。
透過光であるテラヘルツ光4は、メタル周期構造11によって電気光学結晶12の内部で集光される。また、電気光学結晶12は、EO材料であるDAST12aを用いて、テラヘルツ光4をEO定数r11で検知する。そして、半導体レーザ13からレンズ14を介して照射されたプローブ光15はその屈折率変化を検知し、リファレンス光18とミキシングすることで強度変調が測定される。リファレンス光とは、電磁波によって位相変調を受けていないプローブ光を意味する。DAST12aはアレー状になっており、リファレンス光18とのミキシング位置に検知器としてCCD19を配置することで面内分布として検出する。本実施形態の電磁波検出器は、被検出物体からの透過するテラヘルツ光を検出し、被検出物体の帯電量を測定する。以下、構成について詳細に説明する。
1.メタル周期構造
図3に示すように、テラヘルツ光が伝播してくる表面側にはメタルの周期構造を有し、アンテナ構造のホーンアンテナ11aが形成されている。当該アンテナ構造はホーン型アンテナと同じ構造であり、この構造をテラヘルツ波長へ合わせた形状となっている。ホーンアンテナ11aは、四角型のアパーチャの一辺が数百μmで、深さ数mmの四角錐形状である。基板はSi基板であり、MEMSプロセスによる加工を施している。Si基板表面にはAL膜を成膜し、テラヘルツ波のカップリングを行う。アンテナの付け根には電気光学結晶12を配置し、付け根の径を電磁波波長の2分の1程度にすることで、電磁波(テラヘルツ光)はここに閉じ込められる。計算では入射してくる電磁場の約10倍の電磁波が閉じ込められることが判明している。約10倍になった電磁波が変換材料内部に発生し、その電界がEO材料である電気光学結晶12の屈折率を変化させる。
2.電気光学結晶
電気光学結晶12は主にDAST12aからなり、数百μmの厚さに研磨した薄膜で形成される。メタル周期構造11の付け根に配置されて、両面の誘電体多層膜12bでコーティングされている。誘電体多層膜12bはプローブ光15を約90%程度反射するように設計されており、DAST12aはその誘電体多層膜12bに挟まれたキャビティの内部に配置されている。キャビティ構造をとることでエタロンのような機能をし、バンドパスフィルタの機能を持っている。このキャビティ長をプローブ光15の波長と一致するように設計することにより、プローブ光15はこのキャビティ内を何度も反射することになり、反射回数によって時間的には遅れた信号となる。また、リファレンス光18は同様なキャビティ構造内を多重反射してきた光を利用する。
プローブ光15、リファレンス光18はそれぞれ多重反射による電磁波が観測されるが、プローブ光15はテラヘルツ照射によって位相が変調されているため、この2つの光を合わせると位相の大きさによって強度が変調された光となる。今回利用したDAST12aのEO定数は、r11=数十pm/V程度である。また、フェムト秒パルスレーザで発生されたテラヘルツ電磁波の電界は約数万V/m程度である。これによって、屈折率変化量は約0.001%変化することになる。DAST12aのキャビティは数百μmであるから、プローブ光15の波長の約1,000倍にあり、屈折率変化が0.001%起きることで、プローブ光15の位相は約1%シフトすることになる。また、誘電体多層膜12bで反射を繰り返すことで、さらにその数倍のシフトが起きることとなる。
3.プローブ光
プローブ光15は、半導体レーザ13を用いレンズ14を介して、メタル周期構造11が形成されている面の裏面から波長を808nmとして入射される。テラヘルツ波は電気光学結晶12の全体に渡っているため、裏面からのプローブ光15を入射しても十分な変調を発生させる。プローブ光15は、トップハット型のコリメート光で、変換材料全体を均一に照射するようにアライメントされる。そのコリメート光は裏面に作りこんだマイクロレンズ(図示せず)によって電気光学結晶12の内部に集光される。当該マイクロレンズとメタル周期構造11は位置合わせをし、効率良く変換されるように最適化している。そして、マイクロレンズから反射してくるプローブ光15はビームスプリッタ16で分け、リファレンス光18とミキシングして合わさったビームがCCD19で検知されるように設計する。このように、リファレンス光18とプローブ光15の干渉によって信号を検出する。
4.被検出物体
被検出物体は、テラヘルツに対して透明であるプラスチック材料とした。また、この材料には帯電が施されている。テラヘルツは可視光では不透明な材料でも透明であるものが多く存在する。また、この材料が帯電することによって、複屈折率が生じる場合がある。複屈折は帯電による応力が要因だと思われるが、詳細は不明である。この複屈折を検出することで、帯電量及び帯電分布等を検出することができる。
[実施形態2]
本実施形態の概要図を図4に示す。本実施形態の電磁波検出システムは、テラヘルツ光源5、被検出物体6(毛髪7を含む)、及び電磁波検出器20から構成される。テラヘルツ光源5はテラヘルツ光を照射光8として被検出物体6に照射し、被検出物体6を反射したテラヘルツ光は反射光9として電磁波検出器20にて検出される。
図5は電磁波検出器20の概略構成を示した図、図6は電磁波検出器20におけるメタル周期構造の構成を示した図である。電磁波検出器20は、メタル周期構造21、電気光学結晶22、半導体レーザ23、レンズ24、及びCCD26から構成される。
本実施形態では、テラヘルツ光の光源として、LT(LiTaO)のパラメトリック光源を利用している。当該光源はテラヘルツ帯の単一波長を放出することができる。そして、この光源で放出されたテラヘルツ光を被検出物体6に照射し、その反射したテラヘルツ波(反射光9)を電磁波検出器20に入射させる。電磁波検出器20においては、光源の波長に共鳴するメタル周期構造21を形成しており、このメタル表面に共鳴された表面波によって電界は伝播方向へと変換される。そして、電気光学結晶22には伝播方向に対し平行な電界が加えられる。この電界はLOフォノンを選択的に励起し、他との変換に比べ変換効率が非常に高い。
電気光学結晶22はBiTi12の結晶を利用した。BiTi12はLOフォノンの共鳴を約1THzに持っており、光源の波長及びメタル周期構造21ともにその周波数で設計する。BiTi12のLOフォノンは赤外活性であるため、照射された電磁波により共鳴的に励起する。また、LOフォノンはラマン活性でもあるため、プローブ光25を変調する。このプローブ光25の変調はラマン効果であるため、プローブ光25の反射率にピコ秒オーダー(THzオーダー)の周期性をもった時間変化をもたらす。この時間変化を受けたプローブ光25にはプローブ光の波長以外に1THzシフトした波長に発光が見られる。この発光をモニタすることで電磁波の強度を検知できる。この際には、プローブ光25の光を除去するために散乱光を利用し、光学フィルタによりプローブ光の光25を除去する。これによって、ラマン効果によって得られる発光のみをCCD26によって検知することができる。以下、構成について詳細を述べる。
1.光源
テラヘルツ光源には、フェムト秒レーザを利用したパルス状のものや、半導体レーザを用いたもの等、様々なものがあるが、本実施形態ではナノ秒レベルのパルスレーザを用いており、LiNbOのフォノンポラリトンを利用した差周波をテラヘルツに合わせたものを利用した。特に、リング型のテラヘルツパラメトリック発信器として、高出力かつ単一波長のテラヘルツ光源として利用価値が高い。今回は波長を1THzに合わせて固定した。
2.メタル周期構造
図4にメタル周期構造21を示す。メタル周期構造21は1THzに共鳴するように設計されている。具体的には、数十mm角のプレートで厚さ数百μmのSUS基板21aにパンチングによって穴21bを開けている。穴21bの配置は三角格子状であり、そのピッチ及び穴の径を設計することで、共鳴波長を制御することができる。三角格子の穴の直径は0.18mm、穴のピッチは0.30mm、基板厚さは0.13mmとした。この形状にすることで共鳴波長は1THzとなった。
図5に上記メタル周期構造の形状におけるFDTD(Finite Difference Time Domain)シミュレーション結果を示す。図5は、メタル周期構造21の近傍に存在する伝播方向の電界強度を時間軸でグラフ化したものである。伝播電磁波は1THzとし、電界強度1V/mの連続波を定義している。伝播してくるテラヘルツ波は横波の成分(伝播方向に垂直な電界成分)しか持たないことから、メタルの周期構造がない場合には伝播方向の電界は0である。それに対し、メタル構造が存在することで、電磁波入射後10psec後には電界強度が3V/m近く発生している様子がグラフから読み取れる。このように、該メタル周期構造により伝播方向の電界が発生していることがわかる。なお、電磁波がどのように変換されているかは解明されていないが、横波成分が周期構造の穴の部分に閉じ込められ、電界方向をメタル表面に沿う形で変換していることが予想される。
3.電気光学結晶
電気光学結晶としてはBiTi12を利用した。図6に、この材料のテラヘルツ帯の透過率スペクトルを示す(なお、図6は、S.Kojima, N.Tsumura, M.Wada, Takeda and S.Nishizawa, Phys.Rev. B
67, 035102(2003)からの引用)。同図からわかるように、25cm^−1(0.75THz)〜30cm^−1(1.05THz)の間は透過率が激減し、ほぼ透過していないことがわかる。0.75THzがTOフォノンに対応し、1.05THzはLOフォノンに対応し、その間はバンドギャップとなっている。それぞれの波長ではそれぞれのフォノンを励起している。本実施形態では、フラックス法によって作製されたBiTi12を両面研磨し、数百μmの厚さにして、先ほどのメタルの周期構造基板に貼り付ける。テラヘルツ波の波長は約300μmであり、メタルの周期構造によって発生したエバネッセント波は変換材料の厚さをほぼ同等になるように設計している。このため、エバネッセント波は変換材料の全体を覆うように、伝播方向の電界を生じる。
4.プローブ光
プローブ光25は、半導体レーザ23を用いレンズ24を介し、メタル周期構造21が形成された面の裏面から波長を808nmとして入射される。テラヘルツ波は電気光学結晶22の全体に渡っているため、裏面からプローブ光を入射しても十分な変調を発生させる。また、プローブ光25は、トップハット型のコリメート光で、電気光学結晶22の全体を均一に照射するようにアライメントされ、電気光学結晶22との相互作用を生じさせてラマン効果を発生させる。ラマン効果はプローブ光25を変調し、反射光強度を変調する。また、電気光学結晶22の共鳴フォノンがラマン活性であるため、格子振動によってイオン分極によるモーメント密度が変化し、このモーメント密度が変化することでプローブ光25は変調を生じさせる。そして、反射されてきたプローブ光25をCCD26により受光する。これによって、プローブ光25の反射強度の面内分布をモニタすることができる。面内分布はテラヘルツ波の分布を反映しており、テラヘルツイメージとして取得することできる。
5.被検出物体
被検出物体としてはテラヘルツに対し、透明であれ、不透明であれ、いかなるものでも構わない。たとえ、一部が透明であっても、その他の部分が不透明であれば、近隣領域のイメージングを取ることで、その構造物を高いコントラストで検出することも可能となる。特に、可視光や赤外光と異なるコントラストを示すような材料にはテラヘルツ独自のイメージングが可能であり、目には見えないものを検出することが可能となる。また、テラヘルツ帯の電磁波は自然光にはほとんど含まれていないことから、外乱光によるノイズを受けることなく検出できるというメリットもある。本実施形態では人間の頭部を被検出物体6とした。人間の頭部は、脳の機能状態により微小な体温分布が生じる。テラヘルツでは、毛髪に邪魔されることなく、この体温分布を高精度に検出することが可能となる。従来、実験レベルでは剃毛された猫の頭皮を赤外線カメラによるモニタで0.1℃レベルの検出を行うことによって、脳の活動の様子を検出する研究がなされている。しかしながら、赤外線では毛髪を透過することができないため原理的に剃毛が必要とされる。
本実施形態では、テラヘルツの反射スペクトルを分析することにより体温の分布を検知するシステムとしており、体温が存在していればテラヘルツを放出しているため、そのテラヘルツを検出することで体温の分布を検出することが可能となっている。また、反射を利用することでコヒーレントな光源を利用でき、検出感度は飛躍的に向上する。原理としては以下のようになる。すなわち、入射したテラヘルツは体温によってドップラー振動を受け、このドップラー振動によって、反射若しくは散乱してくるテラヘルツはスペクトルシフトを生じさせ、電磁波検出器を用いてこのドップラー振動によるシフトを検出する。上記原理は、赤血球の量と流速を検出する赤外線血流計等において実証されている。なお、本実施形態では単一テラヘルツ波を利用しているため、この波長からのシフト量によって、反射若しくは散乱にはシフトしたテラヘルツ波が含まれる。このシフトしたテラヘルツ波を検出することで体温を検出することができ、検出器の共鳴波長を光源から若干ずらすことでこの検出を行うことができる。また、この分布を測定することで、体温分布をイメージングすることが可能である。
上述した実施形態によれば、反射型では電気光学結晶によって電磁波が吸収されたり、反射したりする場合にも、該結晶との相互作用が起きており、また反射型のプローブ光であれば、検出感度を低下させることがない。このため、電気光学結晶として、選択する自由度が増し、電磁波と相互作用が強い材料を選ぶことで、感度の高い検出器を提供できる。また、反射型とすることで、電磁波が入射する面に直接プローブ光を照射することができ、感度が上昇する。
また、上述した実施形態によれば、電磁波の強度が2分の1程度になる距離を侵入長としており、電気光学結晶と電磁波の侵入長とがほぼ同程度であるために、電磁波が該結晶の表面で反射もしくは吸収されても、該結晶の裏面にまで染み込み、裏面近傍まで相互作用による変化を生じさせることができる。また、電磁波を効率的に変換する機能を表面にプローブ光との相互作用を高める機能を裏面に機能分離した形で作りこむことで、検出感度が向上した検出器が提供される。
また、上述した実施形態によれば、電気光学結晶のフォノンが赤外活性であることにより、検出したい電磁場によって該フォノンが励起される。このとき該フォノンの周波数と検出したい電磁場の周波数が同じであることでコヒーレントフォノンが共鳴励起される。コヒーレントのフォノンがラマン活性であれば、プローブ光を変調させる。その変調を反射光強度として検出することで、反射型の検出器が実現される。
また、上述した実施形態によれば、BiTi12はフォノンの周波数が1THzでそのフォノンはラマン活性でありかつ赤外活性であり、LiTaOはフォノン周波数が4.3THzでその周辺の波長を観測するには適当な材料であり、DASTのフォノン周波数は約1THzでそのフォノンはラマン活性でありかつ赤外活性である。これらの材料は上記電気光学結晶の条件を満足し、これらのいずれかの材料を利用することで高感度の電磁波検出器を提供することが可能となる。
また、上述した実施形態によれば、メタル周期構造体はメタル基板に三角格子状に穴を形成したものとしており、このような周期構造に対し、横波の電磁波を入射することで、そこに電磁波の共鳴が発生する。なお、この共鳴状態をFDTDのシミュレーションによって再現し観察することで、ある周期構造の場合に横波の電磁波から伝播方向に電界が発生することがわかっている。また、この電磁波の伝播方向に生成された電界は電気光学結晶のLOフォノンと同じ方向であり、高い変換効率を有していることが知られている。すなわち、LOフォノンが生成されることでプローブ光への変調が効率よく起き、電磁波を感度よく検出することが可能となる。
また、上述した実施形態によれば、r33やr11と言ったEO定数が大きい材料、つまり、電磁波の電界と同じ方向の屈折率が変化する材料を利用することによって、プローブ光を電磁波と平行に入射でき、プローブ光の位相は変化することになる。プローブ光は透過型でも構わないが、材料を横断し裏面で反射する反射型の方が、材料を2回は通過するため効率的に位相を変化させることが可能となる。この位相の変化を検知することで、電磁波の検出を行うことができる。なお、従来に利用されてきたEO材料のZnTeはr14の大きい材料で、この材料では偏光での検出が必要であった。
また、上述した実施形態によれば、メタルの周期構造を備えることで、入射してくる電磁波を変換することができる。メタルの周期構造と電磁波の相互作用は無線の分野で今まで研究されてきたが、最近では、テラヘルツ領域において、メタルに開けられた穴を周期的に配置することにより、ある波長にだけ共鳴してその波長だけを透過するバンドパスフィルタとして注目を浴びている。この構造を適切に設計することで、電磁波の出射方向に位相のそろったエバネッセント波が形成される。このエバネッセントはメタルの周期構造によって、入射波が伝播方向に垂直な方向の電界の横波であっても、伝播方向に電界を持つ電磁波に変換する効果を有する。これによって形成された伝播方向に平行な電界をEO材料に入射させる。上記実施形態では、EO効果によって電磁波の電界方向に垂直方向の屈折率が変化させる材料としており、電磁波の伝播方向電界によって屈折率変化が電磁波の伝播方向に垂直方向に起きる。この屈折率変化をプローブ光が感知することで、プローブ光の位相が変化し、この位相を検出することで電磁波検出器としての機能を奏する。
また、上述した実施形態によれば、プローブ光が屈折率変化を発生させる電気光学結晶を何度も通過することで、プローブ光は位相の変化を通過するために受ける。そのため、小さな屈折率の変化でも大きな位相の変化へと変えることができる。また、該結晶自身は薄くできるため、入射してくる電磁波を狭い領域に閉じ込めることができる。このため、電磁波とプローブ光との相互作用が見かけ上強くなり、検出感度が向上する。
また、上述した実施形態によれば、電磁波によって位相変調されたプローブ光とリファレンス光とをプローブ検出器上で合わせるため、プローブ光とリファレンス光はほぼ同一の波長でコヒーレンスであるため干渉し、この干渉はプローブ光の位相変調によって大きな影響を受ける。つまり、位相変調を強度変調へ変換することが可能となり、強度変調された信号は、フォトディテクタ等を用いた簡便な方法で検出することができる。
また、上述した実施形態によれば、電磁波増強構造はホーンアンテナ等に代表されるある波長の電磁波だけを選択的に閉じ込める構造としており、この機構により電磁波は変換材料へ増強され閉じ込められる。これにより、変換材料は強い電磁場が発生し、プローブ光による検出感度が向上する。
また、上述した実施形態によれば、電磁波がテラヘルツ帯である電磁波検出システムとしており、上記電磁波検出器を利用することで、検出感度を向上することができる。そのため、該検出システムにおいては、光源の光強度が小さくとも、正確に被検出物を検出することが可能となる。
また、上述した実施形態によれば、電磁波がテラヘルツ帯である電磁波検出システムとしており、また、テラヘルツ帯での観察では毛髪を透過することで、頭部表面の体温を正確に観察することが可能である。そのため、該検出システムにおいては、当射したテラヘルツ光の光吸収スペクトルから、頭部表面の体温、ひいては脳内の活動をモニタすることが可能となる。
また、上述した実施形態によれば、電磁波がテラヘルツ帯、被検出物体を帯電した部材とする電磁波検出システムとしており、例えば感光体やトナーの帯電で生じる誘電率の変化をモニタすることで帯電電位を間接的に測定することが可能となる。また、テラヘルツ帯は樹脂等には透明であり、長い距離を伝播させることが可能であり、微小な変化も感度良く検出することができる。また、誘電率の変化の異方性だけに注目して、検出電磁波の偏光成分だけを検出するシステムでも、感度を上げることができる。なお、上記の誘電率変化は、局所領域に数百Vという帯電電位が掛かることによって生じる応力である考えられる。
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
本発明の実施形態に係る電磁波検出システムの概略構成を示した図である。 本発明の実施形態に係る電磁波検出器の概略構成を示した図である。 本発明の実施形態における電気光学結晶層の概略構成を示した図である。 本発明の実施形態に係る電磁波検出システムの概略構成を示した図である。 本発明の実施形態に係る電磁波検出器の概略構成を示した図である。 本発明の実施形態におけるメタル周期構造の概略構成を示した図である。 本発明の実施形態におけるメタル周期構造近傍の電界強度を示した図である。 BiTi12の透過率スペクトルを示した図である。
符号の説明
1,5 テラヘルツ光源
2,6 被検出物体
3,8 照射光
4,9 反射光
7 毛髪
10,20 電磁波検出器
11,21 メタル周期構造
11a ホーンアンテナ
12,22 電気光学結晶
12a DAST
12b 誘電体多層膜
13,23 半導体レーザ
14,24 レンズ
15,25 プローブ光
16 ビームスプリッタ
17 ミラー
18 リファレンス光
19,26 CCD
21a SUS基板
21b 穴

Claims (5)

  1. 電磁波を感知し前記電磁波の電場強度分布に応じて複屈折分布を誘起する電気光学結晶を含む電気光学結晶層と、
    前記電気光学結晶層に向けてプローブ光を照射するプローブ光照射部と、
    前記電気光学結晶層を介して偏光状態が変化した前記プローブ光を検知して光電変換を行う光電変換部と、を備える電磁波検出器であって、
    前記電気光学結晶層は、電磁波が入射する面にメタルの周期構造を有し、前記電気光学結晶における縦光学フォノンの周波数と、前記メタルの周期構造の共鳴周波数と、が一致しており、
    前記光電変換部は、前記プローブ光照射部により照射され、前記電気光学結晶層を反射した前記プローブ光を検知して光電変換を行うことを特徴とする電磁波検出器。
  2. 電磁波を感知し前記電磁波の電場強度分布に応じて複屈折分布を誘起する電気光学結晶を含む電気光学結晶層と、
    前記電気光学結晶層に向けてプローブ光を照射するプローブ光照射部と、
    前記電気光学結晶層を介して偏光状態が変化した前記プローブ光を検知して光電変換を行う光電変換部と、を備える電磁波検出器であって、
    前記電気光学結晶層は、電気光学効果により電磁波の電界方向に垂直方向の屈折率を変化させる電気光学結晶と、電磁波が入射する面に形成されたメタルの周期構造と、を有し、
    前記光電変換部は、前記プローブ光照射部により照射され、前記電気光学結晶層を反射した前記プローブ光を検知して光電変換を行うことを特徴とする電磁波検出器。
  3. 前記電気光学結晶層は、該結晶層を構成する前記電気光学結晶が有するフォノンがラマン活性であり、かつ、赤外活性であるとともに、該フォノンの周波数が検出対象の電磁波の周波数に含まれることを特徴とする請求項記載の電磁波検出器。
  4. 前記電気光学結晶は、Bi4Ti312若しくはLiTaO3若しくはDASTからなることを特徴とする請求項3に記載の電磁波検出器。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の電磁波検出器と、電磁波を発生させ放出する電磁波発生器と、被検出物体と、から構成される電磁波検出システムであって、
    前記電磁波はテラヘルツ帯の周波数を有することを特徴とする電磁波検出システム。
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