JP6764455B2 - 粒子検知装置及び粒子検知方法 - Google Patents
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Description
光源からの光照射による照射領域を形成する照射領域形成手段と、
前記照射領域の粒子の散乱光を捕捉する撮像捕捉手段とを備え、
430nm以下の波長域に、前記照射領域を形成する光が光強度を有し、
前記撮像捕捉手段は、430nm以下の波長域の光による散乱光を捕捉して前記粒子を検知するものである、
ことを特徴とする粒子検知装置、
が提供される。
光源からの光照射による照射領域を形成する照射領域形成ステップと、
前記照射領域の粒子の散乱光を捕捉する撮像捕捉ステップとを備え、
430nm以下の波長域に、前記照射領域を形成する光が光強度を有し、
前記撮像捕捉ステップは、430nm以下の波長域の光による散乱光を捕捉して前記粒子を検知する、
ことを特徴とする粒子検知方法、
が提供される。
この理由は、撮像捕捉手段により検知される光には散乱光だけではなく、環境光も含まれるからである。散乱光を撮像した画像には、環境光が背景に明るく映し出される。そうすると、散乱光と環境光のコントラストが不明瞭となる。この画像から散乱光のみを認識して検知するのは困難となるのである。
特徴的には、照射領域形成手段では、光源からの光照射による照射領域を形成する。そして、照射領域を形成する光が430nm以下の波長域に光強度を有するものとする。光源としては、特に限定されない。LED光源、レーザ光源、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、重水素ランプ、エキシマランプ、カドミウムランプ、無電極放電ランプ、及び蛍光ランプ等その他の光源を一例に使用することができるが、この限りではない。これらの光源を使用することで、例えば、X線領域、紫外線領域、可視光線領域、赤外線領域等の波長域に光強度を有する照射領域を形成することができる。照射される光のスペクトルはX線領域、紫外線領域、可視光線領域、赤外線領域等の波長域に光強度のピークを有してもよいし、有さなくてもよい。ピークを有する場合は、ピークの数が1つであっても複数であってもよい。また、ピークは紫外線領域、可視光線領域、赤外線領域等の波長域のいずれかの波長域に複数あってもよいし、例えば紫外線領域と可視光線領域に亘って複数あってもよい。
そして、撮像捕捉手段は、照射領域の光のうち、430nm以下の波長域の散乱光を捕捉して粒子を検知するものである。このとき、照射領域には光源からの光照射による光のほか、環境光も含まれるので、430nm以下の環境光も同時に捕捉される。撮像捕捉手段により捕捉される波長域としては、0〜430nmの全部の波長域であってもよいし、一部の波長域であってもよい。捕捉される波長域の一例として0〜430nmの全波長域を挙げることができる。他の例として430nmよりも短波長側の特定波長λ以下の全波長域(すなわち、0〜特定波長λまでの全波長域)であってもよい。また所定の波長域間(第一の特定波長λ1〜第二の特定波長λ2までの間(λ1<λ2))であってもよい。照射領域を形成する光が、撮像捕捉手段により捕捉される波長域に光強度を有していると、散乱光が明瞭に撮像でき好ましい。
I(θ,λ):1個の粒子に単位強度の偏光されていない波長λの自然光の入射があったときの散乱角θにおける散乱光強度
λ=λ0/μ1
m=μ2/μ1
α=πd/λ
β=mα
ω=2π/λ(角周波数)
R:粒子からの距離(ただし、R>>d)
λ、λ0:媒質中の光の波長、真空中の光の波長
π:円周率
J:ベッセル関数(Bessel関数)
Pn (1):ルジャンドルの陪関数(Legendreの陪関数)
d:粒径
μ:透磁率
μ1、μ2:媒質中の光の屈折率、粒子中の光の屈折率
ε:誘電率
σ:電導率
である。
粒子検知装置の設置は特に屋外、屋内等の空間に限定されないが、なお、以下に記述する「LED照明」とは、環境光の照明としてLEDを利用したものをいう。「LED光源」は、照射領域形成手段に用いる光源をいう。LED照明は、図11の波形を示すものであり、LED光源は主に430nm以下の波長域に光強度の最大ピークを有するものである。LED照明とLED光源は、それぞれスペクトルが異なるものである。
照射領域形成手段に使用する光源には、種々の公知の光源を用いることができる。光源の波長は、430nm以下の波長域に光強度を有するものであれば、特に限定されない。図32、図34((b)を除く。)、図35に示すように、光源の波長のスペクトル70として、430nm以下の波長域にピーク62を有するものを例示できる。この場合後述するピークエンド70eが430nm以下であっても、430nm超であってもよい。また、波長0nmから長波長側(例えば、可視光線領域や赤外線領域)に向かって光強度が増加しつつ明確なピークがないものであってもよい。さらに、光源の波長が、430nm以下の波長域に光強度を有し、ピークが430nm超にあるものであってもよい。加えて、ピークが複数(短波長側から長波長側に順次ピーク62a、ピーク62b、ピークc、・・・)あるものであってもよい。図36〜図39には3つのピークのみ示しているが、4つ以上のピークがあってももちろんよい。この場合、当該複数のピークの光強度はピーク毎に異なっていてもよい。そして、これら複数のピークのうち、430nm以下にピークが1つまたは複数あってもよい。本実施形態では、430nm以下の波長域に光強度のピークを有する光源を一例に説明する。なお、撮像捕捉手段15により粒子を検知するためには、照射領域54の光強度を10W/m2以上とするとよい。
照射領域54は様々な形状に形成することができる。例えば、膜状の照射領域54を形成する場合は、幅を有する光の膜を出射軸方向(x方向)に延在させ形成させることができる。幅は、出射軸方向(x方向)の遠方に向かうに従い出射軸の垂直方向に広がる態様(この場合、照射領域54は扇形になる。)としてもよいし、所定の幅のまま平行に出射軸方向に延在する形状、すなわち、方形であってもよい。また照射領域54の形態は円柱状を含む楕円柱状、角柱状(三角柱状〜六角柱状その他の多角柱状を含む)、円錐台状を含む楕円錐台状、角錐台状、方形膜状、出射軸方向(x方向)に対し垂直方向に次第に広がる膜状(台形膜状1)、垂直方向に集光して次第に狭まる膜状(台形膜状2)等の出射後集光する形状等、種々の形態にすることができる。さらに、楕円錐台状、角錐台状を出射軸方向(x方向)に対し垂直方向(y方向及びz方向のうち少なくともいずれか一方向)に次第に広げる形態であってもいいし、垂直方向(y方向及びz方向のうち少なくともいずれか一方向)に集光して次第に狭める形態であってもよい。また、出射後、垂直方向(yz平面方向)に集光して次第に狭まり、照射軸方向(x方向)の前方に焦点が形成される形態にしてもよい。なお、図28に示すように、集光とは、照射領域形成手段により出射軸方向に照射された光を、出射軸方向の前方で集める手段のことをいう。そして、集光手段により形成された照射領域を集光照射領域という。集光の形態は、特に限定されないが、一例として、ケーシング11から照射された光を照射軸方向(x方向)の遠方に向かうにつれてz方向に狭め、膜状の集光照射領域54aとする形態を挙げることができる。ここでは、狭める方向をz方向としたが、zy平面上における任意の方向に狭めてももちろんよい。この他、集光照射領域54aの形態は、円筒形態とすることもできるし、出射軸方向の前方の所定箇所で一点に収束する形態とすることもできるが、これに限るものではない(図示しない)。
光源にレーザ光源を使用する場合は、レーザ光源を高速で所定の振幅間を往復させて照射領域54を形成する手段をとることができる。出射したレーザ光を分岐させることがないので、レーザ光の強さを弱まらせることなく照射領域54を形成できるという利点がある。特徴的には、レーザ光源を上下方向(y方向)に所定の振幅で往復させ、上下方向に広がる光膜を形成させる。そして、この光膜の出射軸方向(x方向)の前方で左右方向(z方向)に集光させて集光照射領域54aを形成させる。結果、この集光照射領域54aは、光膜の厚さを薄くする方向(z方向)に集光されるので、レーザ光源から出射されたレーザの当初の厚さ(2〜3mm程度)よりも薄いものとなる。
他の手段の例に図4では、レーザ光を受けて所定の角度範囲を走査するガルバノミラー(レーザ光走査手段)12A及びシリンドリカルレンズ(平行化手段)12Bを使用するものを示している。
レーザ光発生器2から前方に出射したレーザ光L0は、詳細の図示を省略した角度変換ミラー7、8により角度変換した上で、走査手段12Aに入り、この走査手段12Aは直線的レーザ光を受けて扇形に広げる。
走査手段として、ガルバノミラー、レゾナンドミラー、ポリゴンミラーなどを使用できる。走査手段12Aによる振れ角θ´は適宜選定または調整できる。その結果、平行ビーム光の幅の調整が可能となる。
図14に示すように屋外での環境光は、日時、場所、方角等測定条件に左右されるがおよそ480nm付近に最大級の光強度ピークを有する。しかしながら、波長430nmの光強度は480nm付近のピークの7割強まで落ち込み、430nmより短波長側ではさらに光強度は小さいものとなっている。
これら環境光53と散乱光51を例えば、光学フィルタ52(中心波長530nm、半値全幅40nm、波長域514nm〜547nmの透過率70%以上)に、入射させると散乱光51のみならず、波長域514nm〜547nmの環境光53も透過してしまう。この透過光を撮像すると、大きい光強度を有する環境光53により撮像画像の背景が過度に明るくなってしまう。環境光53と散乱光51と輝度の差(コントラスト)が小さいので、この撮像画像から散乱光51を捕捉することは困難である。
環境光53は図14から示されるように430nm以下の波長域において相対的に小さい光強度を有する。
散乱光51が430nm以下の波長域からなる環境光53と混ざり合ったとしても、理論上式(1)から算出された散乱光強度I(θ,λ)が環境光53の光強度よりも十分に大きいので、輝度の差(コントラスト)が大きいものとなる。
これら散乱光51と環境光53を撮像捕捉手段15による捕捉を試みたとする。撮像捕捉手段15には、一例として、光学フィルタ52を用いる。光学フィルタ52は、後述するバンドパスフィルタやショートパスフィルタを用いるとよい。
環境、用途等に合わせ、屋内で使用される蛍光灯は数種類があるが、一般的に使用される蛍光灯では図12に示すように波長域に対する光強度は波長546nmに最大のピーク、614nmに第2に大きなピークを有する。430nm以下の波長域の光強度は最大のピークと比較して相対的に小さい。屋内で使用する白熱灯(図13)やLED照明(図11)においても、430nm以下の波長域の光強度は相対的に小さいものとなっており、白熱灯やLED照明のピーク波長は、波長430nmよりも長波長側に位置する。
図13に示すように白熱灯では、波長532nmの光強度(相対強度)はピークの光強度と比較し0.3倍程度である。この環境下でNd:YAGレーザで形成される照射領域54から発せられる散乱光51が光学フィルタ52(中心波長530nm、半値全幅40nm、波長域514nm〜547nmの透過率70%以上)に到達したとする。散乱光51とともに白熱灯の波長域514nm〜547nmの光も光学フィルタ52を透過するので、これら光を撮像すると画像の背景は明るくなり、散乱光51の捕捉がやや困難となる。
また、図12に示すように蛍光灯では、最大ピーク波長は波長532nmよりも長波長側にあるが、散乱光51と環境光53(蛍光灯)が光学フィルタ52(中心波長530nm、半値全幅40nm、波長域514nm〜547nmの透過率70%以上)に到達すると、環境光53(蛍光灯)の最大ピークを有する光(最大ピークの波長はおよそ546nm)も透過してしまう。そうすると、波長域514nm〜547nmの環境光53(蛍光灯)により画像の背景が過度に明るくなってしまう。結果として、この画像から散乱光51を捕捉することは困難である。
また、図11に示すようにLED照明においても、波長532nmの光強度は、波長451nm(光強度のピーク)の7割である。光学フィルタ52(中心波長530nm、半値全幅40nm、波長域514nm〜547nmの透過率70%以上)にLED照明と散乱光51が到達すると、波長域514nm〜547nmのLED照明も同フィルタを透過することになる。そうすると、環境光53(LED照明)により撮像画像の背景が過度に明るくなってしまう。結果として、この撮像画像から散乱光51を捕捉することは困難である。
以上を鑑みると、光源に従来使用されるNd:YAGレーザ(第二高調波、532nm、グリーンレーザ)を使用した場合、環境光の影響により散乱光51を発する粒子の検知を明瞭に行えない場合がある。
蛍光灯、白熱灯、LED照明のいずれも、430nm以下の波長域に相対的に大きい光強度は有さない。そのため散乱光51が430nm以下の波長域からなる環境光53と混ざり合ったとしても、散乱光強度I(θ,λ)は環境光53の光強度よりも十分に大きい。よって、環境光の光強度と散乱光強度I(θ,λ)との差が輝点となり明瞭で簡便な粒子の検知が可能である。
(数2)
I(θ,405nm)/I(θ,532nm)=(532/405)4≒2.98
・・・式(2)
図30は式(1)を導く過程で規定されるαとi1+i2(θ)の関係を表す図であり、一例としてθ=45°とした場合における図である。i1+i2(45°)は、一例として粒径dが一定下でα<2と2≦αとで場合分けすると、α<2の場合では、i1+i2(45°)∝α6の関係が成立する。このとき、散乱光強度I(45°,λ)∝λ-4となる。したがって、光源の波長λが小さいほど、散乱光強度I(θ,λ)は大きくなる。
なお、2≦αでは、i1+i2(45°)∝α2の関係が成立し、すなわち、i1+i2(45°)∝λ-2となり、散乱光強度I(45°,λ)はλに顕著に依存しない。
これら利点により430nm以下の波長域の光について捕捉することで粒子の検知が明瞭になる。
また、好ましくは150nm〜430nm、より好ましくは350nm〜430nmの波長域の散乱光51を捕捉する態様にしてもよい。利点として、150nm〜430nmの波長域の光源は種類が多い。特にカメラレンズの350nm以上の波長域に対する透過率は、350nm未満よりも比較的高いため好ましい。
特徴的には、照射領域54を350nm以上430nm以下の波長域にピークを有する光で照射された領域とする。そして、撮像捕捉手段15を350nm以上430nm以下の波長域の光を捕捉する態様とすると、散乱光と環境光との輝度の差が大きくなり好ましい。
環境光53と、照射領域形成手段により形成された照射領域54で発生した散乱光51は撮像捕捉手段15により捕捉され、粒子が検知される。
検知の手法の一例として、撮像捕捉手段15に光学フィルタ52を備えて捕捉を行う態様とすることができる。
ここで、光学フィルタ52とは、入射光のうち、例えば、特定の波長域の光を透過し、それ以外の光を遮断する光学素子をいう。光学フィルタ52の例として、430nm以下の波長域全域又は一部の光に対して十分な透過率を有する光学フィルタ52、例えば、バンドバスフィルタやショートパスフィルタを好適に用いることができる。ショートパスフィルタは特定波長よりも短波長側の光を透過し長波長側の光を遮断するフィルタである。バンドパスフィルタはある定められた波長域(波長域の間隔)の光を透過させ、その間隔以外の波長域の光の透過を減衰させ、又は遮断するフィルタである。この波長域の間隔は、1nm〜100nmとするとよく、より好ましくは、10nm〜40nm、さらに好ましくは10nm〜20nmとするとよい。波長域の間隔が100nmより大きいと、光学フィルタ52は環境光53を多く受光することになる。この場合、輝度の差が小さく、散乱光51の捕捉が困難となる。受光される波長域の間隔が1nmより小さい光学フィルタ52は、製造が困難であったり、製造コストが嵩んだりする。
この種の光学フィルタ52を用いることで、同光学フィルタ52の透過光は、430nm以下の波長域全域又は一部の光で構成される。430nm超の波長域の環境光53を低減又は遮断されるので、撮像画像において粒子の検知を際立たせることができる。なお、図32に示すように、光学フィルタ52により光が透過された波長域(一点鎖線で囲まれ斜線で示した波長域80)には、光強度を有する散乱光が含まれるようにする。
波長域80は、0〜430nmの全部の波長域であってもよいし、0〜430nmの一部の波長域であってもよい。波長域の一例として0〜430nmの全波長域を挙げることができる。他の例として430nmよりも短波長側の特定波長λ以下の全波長域(すなわち、0〜特定波長λまでの全波長域(同図(c))であってもよい。また所定の波長域間(第一の特定波長λ1〜第二の特定波長λ2までの間(λ1<λ2)(同図(d))であってもよい。なお、照射領域54を形成する光のスペクトル70が波長430nm以下の全部または一部に光強度を有するものであるとよい。この波長430nm以下に光強度を有した照射領域54を形成する光のピーク62が波長域80に含まれていると好適である。
環境光53の存在下で粒子を撮像捕捉手段15で検知するには以下の態様により行う。
まず、照射領域54の波長をXnmと仮定すると、この照射領域54に存在する粒子から特定の散乱光強度I(θ,Xnm)を有する散乱光51が発生する。一方、一般的な環境光53の波長域は可視光線領域の全部又は一部に亘るので、当然同波長Xnmも含む。
これら散乱光51と環境光は光学フィルタ52に到達する。光学フィルタ52では特定の波長域の光が透過され、当該特定の波長以外の光が低減され又は遮断される。光学フィルタ52に透過された特定の波長域の光は、撮像捕捉手段15に備わる、例えば、カメラによって受光される。同カメラで撮像された画像から粒子が検知される。なお、照射領域54は所定の波長域(例えば、波長λx1〜λx2までの波長域)の光で形成されてもよい。
(数3)
(輝点の明るさ)=g(I(θ,Xnm)+I′) ・・・式(3)
ここで、環境光53の光強度I´に対する散乱光強度I(θ,Xnm)の比「I(θ,Xnm)/I´」が小さいと、散乱光51と環境光53の光強度のコントラストが十分に取れず、粒子が明瞭に検知され難い。一方で同比が大きいと、散乱光51と環境光53の光強度のコントラストを大きくすることができ、粒子が明瞭に検知され易い。仮に、散乱光51の輝度値g(I(θ,Xnm))が相対的に小さい場合でも、同比が大きければ、カメラゲインを増倍させたり、カメラレンズ絞りを開けて受光量を増やしたりすることで散乱光51の輝度値g(I(θ,Xnm))を大きくすることができる。これにより、粒子の検知を明瞭化できる。
このことより、短波長Xnm(例えば、430nm)の光を粒子に照射すれば、粒子が発する散乱光強度I(θ,Xnm)は相対的に大きくなり、式(3)より輝度は大きくなる。結果として、粒子の散乱光51を輝点として認識し易くなる。
430nm以下の波長の散乱光51の撮像には、当該波長範囲の分光感度が比較的良好なカメラを使用するとよい。好ましいカメラの例として、APImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)を使用することができる。また、近年高精細化が進むCCDカメラやCMOSカメラ、写真機などを用いることもできる。しかしながら、前述のカメラや写真機に使用されるカメラレンズは短波長領域で十分な透過率を有しない。そこで、合成石英等を用いた紫外域専用のカメラレンズを用いるとよい。
一方、一般的に用いられるCCDカメラ(浜松ホトニクス、C8484−05C)の量子効率は、図16に示すように波長450nm〜570nmにピーク(量子効率約70%)を有するが、波長400nmで50%、350nmで25%程度である。量子効率は短波長側で極端に低下する。なお、量子効率とは、入射した光子のうち電子に変換される変換効率を指す。 量子効率が高いほど感度が高いと言える。
屋外又は屋内で環境光53が照射される下で粒子を撮像する(可視化する)方法は次の通りに例示できる。
第一に照射領域形成ステップである。照射領域形成ステップでは、光源からの光照射による照射領域54を形成する。照射領域54を形成する光の波長は例えば、X線領域、紫外線領域、可視光線領域、赤外線領域等のいずれの波長域でもよく、また複数の波長域(一例に、紫外線領域と可視光線領域)に亘ってもよい(ただし、当該光は430nm以下の波長域に光強度を有するものとする。)。好ましくは、430nm以下の波長域に相対的に大きな光強度を有する光で照射領域54を形成するとよい。このようにすると、この照射領域54に存在する粒子から、粒子光強度が相対的に大きい散乱光51が発せられ、粒子の検知が簡便となる。
照射領域54は幅を有しつつ出射軸方向(x方向)に延在させて形成することができる。幅は、出射軸方向(x方向)の遠方に向かうほど出射軸の垂直方向外側に広がる態様(この場合、照射領域54は扇形になる。)としてもよいし、所定の幅のまま平行に出射軸方向に延在する形状、すなわち、方形であってもよい。また、楕円柱状、角柱状、楕円錐台状、角錐台状、方形膜状、出射軸方向(x方向)の遠方に向かうほど出射軸の垂直方向に次第に広がる膜状(台形膜状1)、垂直方向に集光して次第に狭まる膜状(台形膜状2)等の出射後集光する形状等、種々の形態にすることができる。さらに、楕円錐台状、角錐台状を出射軸方向(x方向)に対し垂直方向(y方向及びz方向のうち少なくともいずれか一方向)に次第に広げる形態であってもいいし、垂直方向(y方向及びz方向のうち少なくともいずれか一方向)に集光して次第に狭める形態であってもよい。また、出射後、垂直方向(yz平面方向)に集光して次第に狭まり、照射軸方向(x方向)の前方に焦点が形成される形態にしてもよい。
照射の一例を図4を参照しつつ示すと、レーザ光発生器2から光Lが出射されると、光Lはケーシング内にある、光Lを受けて所定の角度範囲を走査するガルバノミラー(レーザ光走査手段)12A及びシリンドリカルレンズ(平行化手段)12Bを通過してスキャナビーム(照射領域54)として照射領域に出射される。
第二に撮像捕捉ステップである。撮像捕捉ステップは、照射領域54に存在する粒子の散乱光51及び環境光53を受光し、散乱光51を撮像して同粒子を検知するステップである。当該ステップで受光される光は、430nm以下の波長域の光である。430nm超の波長域の光は、例えば、光学フィルタ52やカラーフィルター、プリズム、グレーティング等による分光機能を有したカメラ等で遮断される。撮像するカメラは前述のCCDカメラや撮像管カメラ、特にAPImagerカメラ等を好適に用いることができる。これらステップにより、粒子が検知され、すなわち、粒子の可視化がなされる。
前記撮像捕捉手段は、430nm以下の波長域の光を捕捉する分光機能を有するカメラを備える、
第1の実施形態の粒子検知装置を提供できる。
前記撮像捕捉手段は、アバランシェ増倍する手段を有するカメラを備える、
第1の実施形態の粒子検知装置を提供できる。
撮像捕捉手段、例えば、カメラの受光量が少ない場合であっても、荷電粒子がアバランシェ増倍されるため、ノイズを抑えたまま高ゲインで撮像対象を高感度に撮像できる。そのため散乱光51を捕捉でき粒子を明瞭に検知できる。
前記撮像捕捉手段15は、光学フィルタ52を備え、
前記光学フィルタ52は、波長域が430nm超の光を遮断し、波長域が430nm以下の光を透過する、第1の実施形態の粒子検知装置を提供できる。
光学フィルタ52の一例として、波長域が430nm超の光を遮断し、波長域が430nm以下の光を透過するショートパスフィルタを挙げることができる。また、波長域が430nm以下の特定の波長域(第一の特定波長λ1〜第二の特定波長λ2)の光を透過するバンドバスフィルタを例示できる。
第4の実施形態の粒子検知装置を提供できる。
前記光源は、LED光源、レーザ光源、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、重水素ランプ、エキシマランプ、カドミウムランプ、無電極放電ランプ、及び蛍光ランプのいずれかの光源である、第1の実施形態の粒子検知装置を提供できる。
これらの光源はピークの光強度が相対的に大きいので、粒子は相対的に大きな散乱光強度I(θ,λ)を発することになる。大きな散乱光51は撮像画像において明瞭に輝点として映るので粒子の検知に優れた効果を発揮する。
前記照射領域は、出射軸方向に対して上下方向と、前記出射軸方向に対して左右方向の少なくともいずれか一方向に、前記出射軸方向の前方で集光する集光照射領域である、
、第1の実施形態の粒子検知装置を提供できる。
図6は屋内において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51を示す写真である。照射領域形成手段に用いたレーザ光源Lは波長405nmを出射する光源とし、環境光はLED照明とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタ52を備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大10段階設定のうち6段階目とした。光学フィルタ52はショートパスフィルタとし、ショートパスフィルタについては、波長範囲377nm〜411nm(透過する光の最短波長377nmと最長波長411nmの差、すなわち、透過する光の波長域の間隔は34nmである。)の光の透過率が70%以上であるものを使用した。
図7は屋内において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51を示す写真である。照射領域形成手段に用いたレーザ光源Lは波長405nmを出射する光源とし、環境光はLED照明とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタを備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大(10段階目)とした。光学フィルタ52はショートパスフィルタとし、ショートパスフィルタについては、波長範囲377nm〜411nm(透過する光の最短波長377nmと最長波長411nmの差、すなわち、透過する光の波長域の間隔は34nmである。)の光の透過率が70%以上であるものを使用した。
図5は屋内において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51、環境光53を示す写真である。照射領域形成手段に用いたレーザ光源Lは波長405nmを出射する光源とし、環境光53はLED照明とし、撮像捕捉手段15はAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)とした。同APImagerカメラのカメラ感度は最大10段階設定のうち6段階目とした。光学フィルタ52は設けなかった。
図9は屋内において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51、環境光53を示す写真である。照射領域形成手段に用いたレーザ光源Lは波長532nmを出射する光源とし、環境光はLED照明とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタ52を備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大10段階設定のうち6段階目とした。光学フィルタ52は中心波長530nm、半値全幅40nmのフィルタとし、波長範囲514nm〜547nm(透過する光の最短波長514nmと最長波長547nmの差、すなわち、透過する光の波長域の間隔は33nmである。)の光の透過率が70%以上であるものを使用した。
図10は、実施例4の条件のうち、カメラ感度を最大(10段階目)に変更した点以外は実施例4と同様の条件である。
図8は、実施例4の条件のうち、同光学フィルタ52を設けなかった点以外は、実施例4と同様の条件である。
図17は屋内において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51、環境光53を示す写真である。照射領域形成手段に用いた光Lは波長445nmを出射する光源とし、環境光53はLED照明とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタ52を備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大(10段階目)とした。光学フィルタ52はバンドパスフィルタとし、バンドパスフィルタについては、波長範囲430nm〜470nm(透過する光の最短波長430nmと最長波長470nmの差、すなわち、透過する光の波長域の間隔は40nmである。)の光の透過率が70%以上であるものを使用した。
図18は屋外において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51、環境光53を示す写真である。照射領域形成手段に用いた光Lは波長405nmを出射する光源とし、環境光53は地表面での環境光とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタ52を備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大10段階設定のうち4段階目とした。光学フィルタ52はショートパスフィルタとし、ショートパスフィルタについては、波長範囲377nm〜411nm(透過する光の波長域の間隔は34nmである。)の光の透過率が70%以上であるものを使用した。
図19は屋外において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51、環境光53を示す写真である。照射領域形成手段に用いた光Lは波長445nmを出射する光源とし、環境光53は地表面での環境光とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタ52を備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大10段階設定のうち4段階目とした。光学フィルタ52はバンドパスフィルタとし、バンドパスフィルタについては、波長範囲430nm〜470nm(透過する光の波長域の間隔は40nmである。)の光の透過率が70%以上であるものを使用した。
図20は屋内において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51、環境光53を示す写真である。照射領域形成手段に用いた光Lは波長405nmを出射する光源とし、環境光53は蛍光灯とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタ52を備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大(10段階目)とした。光学フィルタ52はバンドパスフィルタとし、バンドパスフィルタについては、波長405nmを含む波長域であって半値全幅10nmであるものを使用した。
図21は屋内において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51、環境光53を示す写真である。照射領域形成手段に用いた光Lは波長532nmを出射する光源とし、環境光53は蛍光灯とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタ52を備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大(10段階目)とした。光学フィルタ52はバンドパスフィルタとし、バンドパスフィルタについては、波長532nmを含む波長域であって半値全幅10nmであるものを使用した。
図22は屋内において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51、環境光53を示す写真である。照射領域形成手段に用いた光Lは波長405nmを出射する光源とし、環境光53は蛍光灯とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタ52を備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大(10段階目)とした。光学フィルタ52はショートパスフィルタとし、ショートパスフィルタについては、波長範囲377nm〜411nm(透過する光の波長域の間隔は34nmである。)の光の透過率が70%以上であるものを使用した。
図23は屋内において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51、環境光53を示す写真である。照射領域形成手段に用いた光Lは波長445nmを出射する光源とし、環境光は蛍光灯とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタ52を備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大(10段階目)とした。光学フィルタ52はバンドパスフィルタとし、バンドパスフィルタについては、波長範囲430nm〜470nm(透過する光の波長域の間隔は40nmである。)の光の透過率が70%以上であるものを使用した。
図26は屋内において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51、環境光53を示す写真である。照射領域形成手段に用いた光Lは波長405nmを出射する光源とし、環境光53は白熱灯とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタ52を備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大(10段階目)とした。光学フィルタ52はショートパスフィルタとし、ショートパスフィルタについては、波長範囲377nm〜411nm(透過する光の波長域の間隔は34nmである。)の光の透過率が70%以上であるものを使用した。
図27は屋内において撮像捕捉手段15(粒子撮像捕捉手段)により撮像された散乱光51、環境光53を示す写真である。照射領域形成手段に用いた光Lは波長445nmを出射する光源とし、環境光は白熱灯とし、撮像捕捉手段15にAPImagerカメラ(浜松ホトニクス、OEM)、光学フィルタ52を備えた。同APImagerカメラのカメラ感度は最大(10段階目)とした。光学フィルタ52はバンドパスフィルタとし、バンドパスフィルタについては、波長範囲430nm〜470nm(透過する光の波長域の間隔は40nmである。)の光の透過率が70%以上であるものを使用した。
・図示したスペクトルは、分光放射照度計C−7000(SEKONIC社製品)で測定した。
・図中、「相対強度」とは、各々の図における光強度のスペクトルの最大ピーク値を1とした値である。
・ピーク曲線(スペクトル)70の名称について、図31に示すように、ピーク曲線(スペクトル)70がベースラインから離れ始める点のうち、短波長側の点をピークスタート70s、長波長側の点をピークエンド70eという。
12A レーザ光走査手段
12B 平行化手段
15 撮像捕捉手段
51 散乱光
52 光学フィルタ
53 環境光
54 照射領域
61 スペクトル
62 散乱光の光強度のピーク
70 スペクトル
70s ピークスタート
70e ピークエンド
Claims (6)
- 光源からの光の照射による照射領域を形成する照射領域形成手段と、
前記照射領域の粒子の散乱光を捕捉する撮像捕捉手段とを備え、
前記光は、波長域が430nm以下の可視光線領域に光強度の最大ピークを有し、
前記撮像捕捉手段は、
波長域が430nm以下の可視光線領域の光を捕捉する分光機能を有するカメラを有する、あるいは、
前記光強度の最大ピークを含む波長域の光を透過する光学フィルタと、当該光学フィルタを透過した光を捕捉するカメラとを有する、ものであり、
前記光学フィルタは、波長域が430nm超の光を遮断し、波長域が430nm以下の可視光線領域の光を透過するものであり、
LED照明又は白熱灯の照明の下で用いる、
ことを特徴とする粒子検知装置。 - 前記カメラは、アバランシェ増倍する手段を有するものである、
請求項1に記載の粒子検知装置。 - 前記光学フィルタは、430nm以下の波長域の光のうち、透過する波長域の間隔が1nm〜100nmである光学フィルタである、
請求項1に記載の粒子検知装置。 - 前記光源は、LED光源、レーザ光源、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプ、及び蛍光ランプのいずれかの光源である、請求項1に記載の粒子検知装置。
- 前記照射領域は、出射軸方向に対して上下方向と、前記出射軸方向に対して左右方向との少なくともいずれか一方向に、出射軸方向の前方で集光する集光照射領域である、
請求項1に記載の粒子検知装置。 - 光源からの光の照射による照射領域を形成する照射領域形成ステップと、
前記照射領域の粒子の散乱光を捕捉する撮像捕捉ステップとを備え、
前記光は、波長域が430nm以下の可視光線領域に光強度の最大ピークを有し、
前記撮像捕捉ステップは、
波長域が430nm以下の可視光線領域の光を捕捉する分光機能を有するカメラを有し、あるいは、
前記光強度の最大ピークを含む波長域の光を透過する光学フィルタと、当該光学フィルタを透過した光を捕捉するカメラとを有して、
前記照射領域の粒子の散乱光を捕捉するステップであり、
前記光学フィルタは、波長域が430nm超の光を遮断し、波長域が430nm以下の可視光線領域の光を透過するものであり、
LED照明又は白熱灯の照明の下で用いる、
ことを特徴とする粒子検知方法。
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