ワークを挾持するために用いられるバイスの最も基本的な構造は、例えば、しゃこ万力に見られるように、対向して配置した挾持体を、その一方の挾持体が他方の挾持体に対して進退できるように設け、その可動の挾持体側に螺旋軸を連結し、この螺旋軸をレバーで回動操作することによって、前記可動の挾持体を固定の挾持体に向け移動させ、両挾持体間でワークを挾持し該ワークを位置固定するものであった。このような原始的なバイスの場合は、挾持すべきワークが小さいときは、レバーの回転を数多くしなければならないという問題があった。
そこで、図17に示すような可動挾持体スライド方式のバイスaが提供されている。該バイスaは、固定挾持体bが設けられたベースcに、該固定挾持体bに対して進退自在に可動挾持体dを設け、ワークk(図20)のサイズに近似した位置にまで該可動挾持体dを暫定的にスライド移動させ、その位置で固定しておき、残りの挾持のための移動を、手動による駆動軸eの回動で行わせる構成が提案された。そのためには、可動挾持体dを挾持位置近くで一旦仮止めする必要があり、その一つの手段としては、図17〜19に示す如く、ベースc側にその長さ方向に多数の挿通孔fを設け、前記可動挾持体dに設けたスライド部材hの有する挿通孔jを、ベース側に設けられた所要の挿通孔fと位置合わせし該挿通孔f,jに固定ピンmを挿通させる構成が採用されていた。
そして両挾持体b,dによるワークの挾持を強固に行うために、前記可動挾持体dには図19に示すように油圧式倍力機構nが組み込まれたものが普及している。
該油圧式倍力機構nの概略構成を説明すれば、前記可動挾持体dを進退させるネジ筒pと、該ネジ筒p内に挿入されて正逆回転せしめられる押圧ネジ軸qとを具えている。そして該ネジ筒pは、外周に雄ネジ部rが設けられ且つその内周部の所要部位に雌ネジ部sが設けられ、該雄ネジ部rが、ベースcと一体化されるスライド部材hの雌ネジ部uに螺合するようになされている。又前記押圧ネジ軸qは、前記雌ネジ部sに螺合し得る雄ネジ部vを有すると共に、前記ネジ筒pの内周部に設けられた係止凹部wと係合し得る係止突片yが、バネ部材zの付勢力に抗して前記押圧ネジ軸q内に没入可能となされており、該係止突片yと前記係止凹部wとの係合によって前記押圧ネジ軸qとネジ筒pとが一体となって回転できる一方、係止凹部wと係止突片yとが係脱した前記没入状態においては押圧ネジ軸qのみが螺進でき、該螺進によって、押圧ネジ軸の押圧部oが、前記可動挾持体dに組み込まれた油圧式倍力装置nの作動部xを押圧するようにされていた。そして該油圧式倍力装置nが作動せしめられることにより、前記固定挾持体bと可動挾持体dとの間でワークを挾持できる構成のものであった。このようなことから、前記可動挾持体dの前後方向長さは比較的長く設定されていた。
しかしながら前記構成の従来バイスによるときには次のような問題点があった。
(1) 前記可動挾持体dの前後方向長さが比較的大きく設定されていたため、前後方向のサイズが大きいワークを挾持したときには、図17、図19に示すように、前記可動挾持体dが前記ベースcの後端a1から後方に大きく突出状態となった。例えば、ベースcの後端a1から後方に130mm程度突出した。
このように従来のバイスには、使用状態における全長が長くなって広い作業スペースを必要とする問題があったのである。
(2) 又前記バイスは、ワークを挟持する際に、ワークのサイズに近似した位置にまで可動挾持体dを暫定的にスライド移動させることを要し、そのスライド移動のための構成は、前記のように、ベースc側にその長さ方向に多数の挿通孔fを設け、前記可動挾持体dに設けた挿通孔jを、ベース側に設けられた所要の挿通孔fと位置合わせし該挿通孔f,jに前記固定ピンmを挿通させるものであった。
そのため、可動挾持体dの位置替えを、固定ピンmの抜き差しによって行わなければならない面倒な操作を要した。又前記可動挾持体dを上下方向で進退させるように縦方向で使用した場合は、前記固定ピンの抜き差し操作の際に、該可動挾持体が誤って落下する危険性があった。
(3) 又前記従来のバイスにおいては、ワークの前後長さが短い場合は、図20に示すように可動挾持体dがベースcの後端a1から内方に入り込んだ状態となるが、このようになったときは図20に示すように、前記駆動軸eの後端部分b1に装着したジョイント筒c1を介してハンドルd1を回転操作しなければならず、ハンドルの回転操作が不安定化しやすい問題があった。
そこで本発明者は特開2002−219657号において、図21〜23に示す構成を有するバイスAを提案した。
該バイスAは、固定挾持体Bが設けられたベースCに、該固定挾持体Bに対して進退自在に可動挾持体Dが設けられ、又、前記ベースCには回転駆動装置Eが納められていた。該回転駆動装置Eは、前記ベースCの内部にその前後方向に延長する如く設けられた収容空所Fにその前後方向に配設されて軸線回りに正逆回転可能な駆動軸Hを具え、該駆動軸Hは、前記可動挾持体Dが一体化状態で設けられたナット部材Jの雌ネジ部Kに螺合する駆動ネジ軸部Lを有し、該駆動軸Hの正回転により前記可動挾持体Dが前記固定挾持体Bに向けて前進し、該駆動軸Hの逆回転により前記可動挾持体Dが後退するように構成されていた。
又前記駆動軸Hの後側部分は、前記駆動ネジ軸部Lと結果的に一体化されており且つ内周面の所要部位に雌ネジ部Mが設けられてなるネジ筒Nと、該ネジ筒N内に挿入せしめられて前記雌ネジ部Mと螺合し得る雄ネジ部Pが設けられた押圧ネジ軸Qとを有しており、該押圧ネジ軸Qの所要部位には、前記ネジ筒Nの内周面に設けられた係止凹部Rと係合し得る係止突片Sが、バネ部材Tの付勢力に抗して押圧ネジ軸Q内に没入可能となされており、該係止突片Sと前記係止凹部Rとの係合によって前記駆動ネジ軸部Lと押圧ネジ軸Qとが一体となって回転できる一方、前記係止凹部Rと係止突片Sとが係脱した前記没入状態においては前記押圧ネジ軸Qのみが螺進でき、該螺進によって、該押圧ネジ軸Qの先端部が、油圧式倍力装置Uの作動部Vを押圧するようになされていた。
又該油圧式倍力装置Uは、前記駆動ネジ軸部L及び前記ネジ筒Nと結果的に一体化している作動筒Wに設けられ且つ作動油が充填された油圧室X内に、後端部分が前記作動部となるピストンYが進入可能となされており、前記押圧ネジ軸Qの前進による該ピストンYの進入に伴い、前記油圧室Xの前面部Zに圧力が作用して前記ナット部材Jが前進でき、これによって前記可動挾持体Dが前進できるように構成されると共に、前記油圧室Xの後面部A1が、緩衝バネB1を弾性圧縮させながら後退できるようになされ、又前記ピストンYが後退することにより、前記緩衝バネB1の弾性復元に伴い前記後面部A1が前進するように構成されていた。
又、前記駆動軸Hは、その長さ方向で見て、前軸部C1と後軸部D1に2分割されており、該前軸部C1は前記駆動ネジ軸部Lとされ、その後端で開放する収容孔部E1を具えており、又前記後軸部D1は、大径筒部F1の前端に、前記収容孔部E1に挿入せしめられる小径筒部H1が連設されてなる前記作動筒Wを有し、又、該大径筒部F1の前端側の部分の内部は、前記小径筒部H1の前端で開放するように該小径筒部H1の軸線に沿って設けられた注入路J1に連通されている。そして、該大径筒部F1の前側部分には、図23に示すように、比較的直径の大きい前側収容孔K1が設けられ、その後端に、それよりも稍直径の大きい後側収容孔L1が、段差M1を介して同心に設けられている。
そして、該注入路J1の前端から作動油N1を所要量注入した後に該注入路J1をねじ込み式の栓体P1で塞いで締め付けることによって、該栓体P1の後端と前記前端側の部分の内部の後端Q1との間に前記油圧室Xが形成される如くなされ、又、前記小径筒部H1を前記収容孔部E1に収容した後、該小径筒部H1を前記前軸部C1に分離可能に連結したものであった。そして、前記注入路J1の前端から作動油N1を所要量注入した後に該注入路J1をねじ込み式の栓体P1で塞いで締め付けることによって、該栓体P1の後端と前記前端側の部分の内部の後端との間に形成された前記油圧室Xの前面部Zが該油圧室Xの後面部A1から離れるように前進し、この前進に伴い前記大径筒部F1が予圧バネR1を弾性圧縮させるように構成されており、油圧室X内の作動油N1が漏れて作動油の量が減少した時は、前記予圧バネR1の弾性復元に伴い前記後面部A1が前進して油圧室X内に空隙が生じないように構成されていた。
かかる構成を有するバイスAによるときは、作動油が充填されていない状態においては当接状態にあった段差M1と、前記緩衝バネB1を受けるバネ受け部材S1との間に間隙T1が生ずることとなる。この間隙T1は、前記作動筒Wに設けた確認孔U1を通して視認でき、この間隙T1の存在を以って、油圧室Xに作動油N1が所定量充填されたことを確認できた。そして、長期間のバイス使用によって前記油圧室X内の作動油N1が多少漏れた場合は、前記予圧バネR1の弾性的な復元作用によって、前記間隙T1の範囲で作動筒Wが後退することになる。これにより、作動油が一部漏れたときも油圧室X内に空洞が発生するのを防止でき、油圧式倍力装置Uを正常に作動させることができるものであった。
しかしながらかかる構成を有するバイスによるときは次のような問題点が発生しやすく改良の余地があった。即ち、
(1) 前記バイスAは、前記押圧ネジ軸Qの前進によるピストンYの進入に伴い、前記油圧室Xの前面部Zに圧力が作用してナット部材Jが前進でき、これによって前記可動挾持体Dが前進できるように構成されると共に、前記油圧室Xの後面部A1が、ベースCの内部に組み込まれた何枚もの緩衝バネB1を弾性圧縮させながら後退できるようになされ、又、前記ピストンYが後退することにより、該緩衝バネB1の弾性復元に伴い前記後面部A1が前進するように構成されていた。
前記バイスAは、このように、緩衝バネB1を弾性圧縮させながらワークを挾持可能とする油圧式倍力装置Uを具えるため、固定挾持体Bと可動挾持体Dとの間でワークを弾性的に強固に挾持でき、ワークに加工を施す際の振動に対しても非常に安定的且つ安全にワークを挾持できる利点があった。しかしその反面、前記緩衝バネB1が、バネ受け部材S1に支持された状態で油圧式倍力装置Uの内部に組み込まれていたため、該緩衝バネB1の弾性圧縮と弾性復元が繰り返されることによって該緩衝バネB1や該バネ受け部材S1が損傷されても、これを外部から目視できず、早めに修理することができない問題があった。そのため、バイスで挾持状態にあるワークに加工を施している最中にバイスが故障することによって加工精度の低下を招いたり、ワークがバイスから脱落して周辺に飛ぶ等して作業者に危険が及ぶ恐れもあった。
(2) 又、前記バイスAは前記のように、作動油N1の注入の際に予圧バネR1を弾性圧縮させるように構成しているため、長期間の使用のうちに油圧室X内の作動油N1が漏れて油量が減少したときも、該予圧バネR1の弾性復元に伴い、油圧室X内に空隙が生じないようになし得、確実な倍力作用を発揮させることができる作用効果を奏した。しかしその反面、該予圧バネR1を押圧するバネ押さえ部材V1の後端W1とネジ筒Nの外周面に周設された環状鍔部X1との間に生ずる隙間Y1を通して、切り粉等が油圧式倍力装置Uの内部に進入する恐れがあり、その結果、押圧ネジ軸Qが回転不可能となる等、バイスAが故障し易い問題があった。
(3) 又、油圧室X内の作動油N1が漏れた場合は、前記段差M1と前記バネ受け部材S1との間に生ずる間隙T1が小さくなったことを以って作動油の減少を確認できるのであるが、通常、この確認のための前記確認窓U1は、該確認窓U1から内部に切り粉等が進入するのを防止するために透明な樹脂片で塞がれていた。そして、該樹脂片を透視して間隙T1を確認していたが、この樹脂片の内面が、飛散した作動油で汚れて曇りやすく、間隙T1が見えにくい問題があった。
(4) 更に、前記油圧室X内に作動油を所要量注入する際は、前記駆動軸Hの軸線方向(前後方向)に沿って設けられた注入路J1の前端から作動油を所要量注入した後に該注入路J1をねじ込み式の栓体P1で塞いで締め付けることによって油圧室Xを形成することとしていた。そのため該作動油の注入に際しては、バイスAを大掛りに分解したり、バイスを縦に立設状態にして行わなければならない等、作動油の注入に手間を要し、取り扱い性に劣る問題があった。
図1において本発明に係るバイス1は、一端側に固定挾持体2が設けられたベース3に、該固定挾持体2に対して進退自在に可動挾持体5が設けられ、又、該ベース3には回転駆動装置6が納められている。
前記ベース3は図2に示すように、底面部7の両側部で側壁部9,9が立設されることによって、上端が開放した、前後方向に延長する収容空所10が設けられており、該収容空所10内に前記回転駆動装置6が納設される。そして、両側壁部9,9の内側面部11,11の上下中間部分には案内条溝12,12が前後方向に延設されており、該ベース3の前記両側壁部9,9の後端面13,13には、夫々の上下にネジ孔15,15、15,15が設けられている。そして、前記収容空所10の後端16を塞ぐように鋼製の横長の端面板17が当接され、該端面板17の両側部分に設けられたボルト挿通孔19,19、19,19を挿通して前記ネジ孔15,15、15,15に螺合されるボルト20,20、20,20を締め付けることによって、図1に示すように、該端面板17が前記ベース3の前記後端面13,13に固定されている。そして該端面板17の中央部分には、軸受孔21が厚さ方向に貫設されている。該端面板17は、後述のように、駆動軸22の軸線方向で見て後方向に弾性変形でき且つ弾性復元し得るものであり、炭素鋼や合金鋼(例えば、ニッケル鋼やクロム鋼、クロムモリブデン合金鋼、ニッケルクロム合金鋼等)を用いて製造される。又該端面板17は、かかる弾性変形と弾性復元を所要に繰り返すことのできるものであるならば鋳鉄製(ダクタイル鋳鉄等)であってもよい。通常、これらの素材を焼入れし、その後、焼き戻しすることによって粘り強くしたものを採用する。該端面板17は、本実施例においては横長矩形板状を呈しており、長辺L1が140mm、短辺L2が80mm、厚さL3が25mm、左右の側壁部9,9の内縁23、23間の間隔L4が80mm、前記軸受孔21の径L5が36mmに設定されている。
前記回転駆動装置6は、図3〜図4に示すように、前記ベース3の前記収容空所10の中心軸線に沿って、該ベース3の長さ方向に延長する如く配設された駆動軸22を有する。該駆動軸22は、前記可動挾持体5にボルト18(図7)を介して一体化状態で設けられたナット部材25の雌ネジ部26に螺合する駆動ネジ軸部27が設けられており、該駆動軸22の正回転(図1に矢印F1で示す)により前記可動挾持体5が前進し、該駆動軸22の逆回転(図1に矢印F2で示す)により、前記可動挾持体5が後退するように構成されている。そして、該駆動軸22には油圧式倍力装置29が組み込まれており、該駆動軸22の正逆回転は、例えば図1に示すようなハンドル30を用いて行う。
前記ナット部材25は、図7〜8に示すように、軸線方向に連続する挿入孔部31が貫設された角筒状を呈し、その前端側の部分には、前記駆動軸22の駆動ネジ軸部27と螺合し得る前記雌ネジ部26が設けられている。そして、該雌ネジ部26よりも後側の部分は下端側が開放されており、該ナット部材25の水平な上面32の後側の部分は載置部33とされ、該載置部33の前後方向の中間部位には、係合突部35が、前記軸線方向と直交する横方向に設けられている。そして図4に示すように、該載置部33の上面36で、前記可動挾持体5の下面37を支持すると共に、該下面37に凹設された係合溝部39に前記係合突部35を密接状態に嵌め込み可能となされ、該嵌め込み状態で、可動挾持体5が前記載置部33にボルト18,18(図7)で固定されている。なお前記雌ネジ部26の前後の端部分40,41は、前記駆動ネジ軸部27に付着した切り粉等が該雌ネジ部26に付着するのを防止するために樹脂製のシール部42,42とされており、該シール部42,42は、例えば図4に示すようにリング状のシール部材43,43をビス45で固定することによって構成されている。
前記駆動軸22は、より具体的には、その前側部分46が前記駆動ネジ軸部27とされ、その後側部分47は、図4〜5、図9に示すように、該駆動ネジ軸部27に一体に設けられた筒状を呈する作動筒49と、該作動筒49内に挿入せしめられ、該作動筒49と、周方向には一体化されると共に前後方向には相対的にスライドできるように連結されたネジ筒50と、該ネジ筒50内に挿入せしめられる押圧ネジ軸51とを具えている。
前記作動筒49の前側の部分には、図4〜5に示すように、比較的直径の大きい前側収容孔52が設けられ、その後端に、それより稍直径の大きい後側収容孔53が、段差面55を介して同心に設けられている。
又、前記前側収容孔52の前端側の部分52a、即ち前記作動筒49の前端側の部分49aは油圧室56とされる。本実施例においては、図4〜5に示すように、前記前側収容孔52の前端面57が、前方に向けて小径となる円錐台状の面とされており、該円錐台状の面のフラットな前面59に、前記作動筒49の軸線に沿って延びる注油路60が連設され且つその前端に、比較的径の大なる、前記後側部分47の軸線と直交して設けられた盲の注油孔部61が連設されており、該注油孔部61の端部(図4、図6においては上端部)は、前記作動筒49の外周面62で開放した注油口63(図6、図9)とされている。又、該注油孔部61に隣り合わせて平行状態で、前記前側収容孔52の前端側の部分65に連通する補助注油孔部66が、該外周面62で開放した補助注油口67(図6、図9)を形成して設けられ、該注油口63と該補助注油口67は、外周面62の前後で隣り合っている。そして該注油孔部61は、ねじ込み式の栓体69(図4〜5、図9)で塞がれると共に、該補助注油口67はねじ込み式の補助栓体70(図4〜5)で塞がれるようになされている。このようにして栓体69と補助栓体70で塞がれた状態で、前記作動筒49の前端側の部分に前記油圧室56が形成される。
又、前記前側収容孔52内には、図4〜6、図9に示すように、ピストン71を支持するピストン保持筒72が前後動可能に収容されている。該ピストン保持筒72は、図5、図9に示すように、前記前側収容孔52の内径に等しい直径を有する円柱状部73の後面75の外周縁に沿って環状突片76が突設されて、該環状突片76で囲まれた連結凹部77が形成されており、該円柱状部73の軸線に沿って、前記ピストン71を支持するピストン支持孔79が貫設されている。そして前記円柱状部73の外周面80の前後部分と内周面81には、図5に示すように、夫々シールリング82,83が嵌着されており、該外周面80のシールリング82は、前記前側収容孔52の内周面85に弾性的に密接されると共に、該内周面85のシールリング83は、前記ピストン71の外周面80に弾性的に密接されている。該ピストン71は、その前後の端面86,87が、ピストン71の軸線に対して直交する平坦面として形成されている。
そして図5に拡大して示すように、前記前側収容孔52の内、前記ピストン保持筒72の前面89より前側の部分が、前記注油路60、前記注油孔部61の一部分90、前記補助注油孔部66の一部分91を含めて、前記油圧室56とされる。
又前記ネジ筒50は、図5、図9に示すように、前端側の内周面に雌ネジ部92が設けられており、該ネジ筒50の前端部分は、前記ピストン保持筒72の後端部分に設けられた前記連結凹部77内に嵌め入れられる連結筒部93とされており、その後端部分は、外周面95が例えば六角形状をなす係合軸部96とされている。
そして図5に示すように、前記環状突片76と前記連結筒部93とは、連結ネジ97を以て連結されている。これにより該ネジ筒50と前記ピストン保持筒72とは連結状態にある。このように連結ネジ97を用いてネジ筒50とピストン保持筒72とを連結していることから、油圧式倍力装置29の分解の際等にネジ筒50を作動筒49から引き抜いたとき、ピストン保持筒72を該作動筒49内に残すことなく同時に引き抜くことができることになる。
又図4、図9に示すように、前記ネジ筒50は、その外周面の長さ方向稍後端側に位置させて環状鍔部99が周設されると共に、該環状鍔部99の後面100は、ネジ筒50の軸線方向と直交した面であり、前記ベース3を構成する前記両側壁部の後端面13,13(図2)と面一に構成されている。従って該環状鍔部99は、図4に示すように、前記端面板17の前面101に当接し得る。そして、該環状鍔部99の前面101は、ネジ筒50の軸線方向と直交した面を形成している。又図8に示すように、該環状鍔部99の外周面102の後側部分103は、係合段差面105を介してその前側部分106よりも稍小径に形成されている。
そして前記前側収容孔52の内周面107には、図4〜5、図8〜9に示すように、後端109が開放されたキースライド溝110が前記作動筒49の軸線方向に形成されている。又、前記ネジ筒50の外周面111の前端寄り部位には、キー112の基端側部分113を密接に嵌入させて該キー112を前後移動不能とするキー嵌入溝115が設けられ、該キー嵌入溝115の稍後側に位置させて、第1のスナップリング116aとしてのバネ受部材116を嵌着するための第1のスナップリング嵌着溝117が周設されている。又前記ネジ筒50の外周面111の後端寄り部位には、前記端面板17の後面119に当接し得る第2のスナップリング120を嵌着するための第2のスナップリング嵌着溝121が周設されている。
図5に示すように、前記キー嵌入溝115に基端側部分113が嵌入されたキー112の先端側部分122が前記キースライド溝110に嵌め入れられた状態で、該キー112を介して前記ネジ筒50と前記作動筒49とが周方向(前記押圧ネジ軸51の正逆回転方向)に一体化されると共に、前後方向には相対的にスライドできる。即ち、前記キースライド溝110の前後長さの範囲で前記作動筒49が前進でき、後退できる。
又図4、図10〜12に示すように、前記雌ネジ部92の後側の部分は円形孔部123とされると共に、該円形孔部123の後端部分には係止凹部125が設けられ、該係止凹部125の後側には、前記ネジ筒50の後端で開放するシール材嵌入溝126(図9)が周設されている。該係止凹部125は図11〜12に示すように、前記ネジ筒50の周方向で見た一方の内側面(前記正回転の回転方向で見た先側に存する内側面)127が円弧状面に形成されると共に、他方の内側面129は、該ネジ筒50の半径方向の側面として形成されている。
そして前記ネジ筒50の、前記環状鍔部99の前側をなす円筒部分130には、図5、図13に示すように、円筒状のバネ押さえ部材131が外挿されている。該バネ押さえ部材131は、前記ネジ筒50の前記円筒部分130を密接に挿通させる挿通孔部133を具えたスライド円筒部135の後端に、該ネジ筒50の半径方向に突出する鍔部136が周設されてなり、該バネ押さえ部材131の後面137は、該ネジ筒50の軸線と直交した面を形成している。又、該鍔部136の外周面139は、図5、図13に示すように、前記作動筒49の外周面140と面一に形成されると共に、前記環状鍔部99の前記前側部分106の外周面141と面一に形成されている。又該スライド円筒部135の外周面には、前記作動筒49の後端側の内周面(前記後側収容孔53の内周面)に設けた雌ネジ部143と螺合し得る雄ネジ部145が設けられている。
そして、前記ネジ筒50の前記第1のスナップリング嵌着溝117に嵌着された第1のスナップリング116と前記バネ押さえ部材131の前端146との間に、皿状の予圧バネ147の複数枚が重なった予圧バネ積重体149が介在されており、前記バネ押さえ部材131のねじ込みによって前記鍔部136が前記ネジ筒50の後端150に当接した状態で、該予圧バネ積重体149が所要に圧縮されている。そして、前記油圧室56に作動油が充填されていない状態においては図13に示すように、該予圧バネ147に押されて、バネ押さえ部材131の後面137が前記環状鍔部99の前記前面101に当接せしめられている。この状態において、図13に示すように、作動筒49の外周面140と、鍔部136の外周面139と、環状鍔部99の前側部分の外周面141とが面一状態にある。
なお本実施例においては図9に示すように、前記バネ押さえ部材131の内周面151の後端部分を周方向に切欠することによって環状溝部152が設けられ、該環状溝部152に、図13に拡大して示すように、前記ネジ筒50の前記円筒部分130の外周面111に密接し得るシール部材153が嵌着されると共に、前記スライド円筒部135の外周面の後端に設けられた周方向に連続する嵌着溝155にOリング156が嵌着されている。
又図10に示すように、前記シール材嵌入溝126にもシール材157が嵌着されている。該シール材153は、該シール材嵌入溝126の後端が内方に向けて若干屈曲しているため、該屈曲部159が該シール部材153に引っ掛かることにより、前記押圧ネジ軸51が後退するときにも該シール材嵌入溝126から脱落する恐れがない。
又図4〜5、図13に示すように、前記環状鍔部99の外周面141と前記鍔部136の外周面139と前記作動筒49の後端部分の外周面140とを同時に密接状態に覆う筒状防塵カバー160が装着されており、該筒状防塵カバー160の内周面の後端側部分に周設された環状係合突部161が、前記環状鍔部99の小径の後側部分103に嵌着され、該環状係合突部161の前面162と前記係合段差面105とが当接状態に係合される。これにより該筒状防塵カバー160は、前方への移動が阻止されることになる。なお、該筒状防塵カバー160の後端面163は、前記環状鍔部99の後面100と面一乃至若干前方に退いた状態とされる。そして、前記油圧室56に作動油が充填されていない状態や、前記栓体69が取り外された状態においては、該筒状防塵カバー160のカバー前端165が、前記作動筒49の外面166の後端側に設けた、周方向に連続する溝部167aとしての目印167に合致するように構成されている。
前記油圧室56内に作動油を充填状態とするには、通常は、図8に示す状態で、駆動軸22をベース3に組み込む前に行うのであるが、ベース3に組み込んだ後に行ってもよい。ベースに組み込んだ後に行う場合について説明すれば、図6に示すように、前記栓体69が上向きの露出状態となるように、前記ナット部材25を前進させると共に、前記作動筒49の回転状態を調節する。
その後、前記栓体69及び前記補助栓体70を取り外す。この状態において、前記予圧バネ147の付勢力により押圧されて、前記バネ押さえ部材131の後面137が前記環状鍔部99の前面101に当接した状態にある。その後、前記注油口63と前記補助注油口67から前記油圧室56を構成する空間内に、気泡が入らないように注意しながら作動油169を、ゆっくりと溢れるまで注入する。
その後、図4〜5に示すように、前記補助栓体70をねじ込んで前記補助注油口67を塞いで後、前記栓体69を前記注油孔部61にねじ込んで締め付ける。該栓体69は、その雄ネジ部と該注油孔部61の雌ネジ部とが密着状態となってねじ込まれるため、注入油の漏れを防止しつつ該栓体69をねじ込むことができる。
このように栓体69がねじ込まれるにつれ、前記油圧室56内の圧力が高まり、前記バネ押さえ部材131が、前記予圧バネ積重体149を更に圧縮状態としつつ、前記キー112が前記キースライド溝110を前方向にスライドして前進する。
その結果、作動油が充填されていない状態においては図13に示すように当接状態にあった前記環状鍔部99の前記前面101と前記バネ押さえ部材131の後面137との間に、図14に示すように間隙(例えば1〜1.5mm程度の間隙)Gが生ずることとなる。このように間隙Gが生じたとしても、該間隙Gは、前記筒状防塵カバー160の内周面151によって塞がれた状態にある。
このように生じた間隙Gは、筒状防塵カバー160によって覆われているために目視観察できないが、この間隙Gの前後方向の幅L6は、前記カバー前端165と前記目印167との間の隔て部としての表示距離L7として現れるため、この表示距離L7を目視観察すれば、所定量の作動油169が油圧室56に充填されたか否かを容易に判別できる。そして、長期間のバイス使用によって前記油圧室56内の作動油169が漏れる等して減少した場合は、前記予圧バネ積重体149の弾性的な復元作用によって、図15に示すように前記間隙Gの前記幅L6の範囲で前記作動筒49が前進することになる。これにより、作動油が一部漏れたときも油圧室56内に空洞が発生するのを防止でき、油圧式倍力装置29を正常に作動させることができる。なお作動油169の漏れ量が許容量を越えた場合は、これを、前記表示距離L7の減少として容易に目視観察により把握できるため、この場合は、前記栓体69を取り外して作動油を注入することになる。この状態で、前記後面137と前記前面101とが当接して前記間隙Gが消失する。
その後、作動油の充填に関して前記したところと同様にして、注油孔部61に作動油169をゆっくりと注入し溢れるまで注入を継続する。然る後、該栓体69を該注油孔部61にねじ込んで締め付ける。これにより、前記と同様にして、油圧室56に作動油169が所定量充填された状態となし得る。この充填状態は、前記表示距離L7が設定長さに達したことを以って確認できる。
又前記押圧ネジ軸51は、図9、図5に示すように、前記ネジ筒50の前記雌ネジ部92と螺合し得る雄ネジ部173が前側部分に設けられており、該雄ネジ部173の先端部分は円柱状の押圧部175とされ、該押圧部175の前端174は球面部176として形成されている。従って、該球面部176の先端177で、前記ピストン71の後端面(平坦面)87に点接触状態で当接することになる。そして該押圧ネジ軸51の後側部分は、図4、図9に示すように、前記ネジ筒50の円形内周面179に密接状態に当接し得る円柱状部180として形成されており、該円柱状部180の後端側には、図9〜10に示すように、係止部材181を収容するための、盲孔としての係合収容孔182が設けられている。
該係止部材181は、図11に示すように、下端開放の盲のバネ収容孔183が設けられてなる円筒部185の先端部分が、前記係止凹部125に嵌入される係止突部186とされている。該係止突部186は、そのネジ軸回転方向の先側の側面187が円弧状面に形成されると共に、その対向側の側面189が、該係止部材181の軸線方向の面として形成されている。
そして、該係止部材181は、例えばコイルバネとしてのバネ部材190が該バネ収容孔183内に収容された状態で該円筒部185が前記係合収容孔182に収容されており、該バネ部材190の自由状態においては、前記係止突部186が前記円柱状部180の周面191から突出状態となるように、該係止部材181が該バネ部材190で浮かされている。
そして、該係止部材181は、図11に示すように、該バネ部材190が稍圧縮された状態で前記係止突部186が前記係止凹部125に嵌入した状態となり、該係止部材181を前記バネ部材190の付勢力に抗して係合収容孔182内に押し込み状態とすることにより、図12に示すように、係止部材181の全体が前記係合収容孔182に入り込んだ状態となり、前記係止突部186がバネ部材190の付勢力に抗して前記押圧ネジ軸51内に没入状態となる。これにより前記係止部材181の先端部分をなす前記係止突部186が前記係止凹部125から外れる。
そして、前記押圧ネジ軸51の後端部分は、図1、図8に示すように、例えば六角形軸部192として形成されている。なお本実施例においては、該押圧ネジ軸51のねじ込み量の目視観察を容易とするために、例えば周方向に連続する溝線としてのねじ込み量確認目印193の3本が小間隔(例えば3mm程度の間隔)を置いて設けられている。
又前記ハンドル30は図1に示すように、アーム195の基端部分に、前記六角形軸部192を略密接に挿入させるための係合孔部196が設けられた操作筒部197が付設されてなり、又該アーム195の先端部分には握持片199が後方向に突設されてなる。然して、かかるハンドル30を用いて前記駆動軸22を正逆回転させる要領を説明すれば、前記操作筒部197に前記六角形軸部192を挿入させた状態で前記握持片199を握ってハンドル30を手動回転操作することにより、前記押圧ネジ軸51を正逆回転させることができる。
次に、かかる構成を有するバイス1の作用を説明する。該バイス1を工作機械のテーブルに水平に設置、固定して後、図11に示すように、前記係止部材181の先端の係止突部186を前記係止凹部125に嵌め入れて該係止突部186と係止凹部125とを係合状態とする。この状態で押圧ネジ軸51を、ハンドル30の回転操作によって正回転(図1に示す矢印F1方向の回転)させると、前記係止突部186と前記係止凹部125とが係合した状態を保ちつつ前記ネジ筒50が前記押圧ネジ軸51と共に回転する。その結果、前記キー112を介して前記ネジ筒50と一体化されている前記作動筒49がその軸線回りに正回転し、従って前記駆動ネジ軸部27がその軸線回りに正回転し、前記ナット部材25が前進せしめられる。これにより、図3に矢印で示すように、該ナット部材25と一体化されている前記可動挾持体5が前記固定挾持体2に向けて前進する。
そして該可動挾持体5が図3に一点鎖線で示すように、該可動挾持体5と前記固定挾持体2との間に介装されたワーク200に当接した状態になると、前記ネジ筒50の回転は停止する。その後も押圧ネジ軸51を正回転させると、図12に示すように、前記バネ部材190が弾性圧縮されつつ、前記係合部材186の前記円弧状の側面187が前記係止凹部125の円弧状の内側面127に案内されて係止突部186が前記係止凹部125から脱出(係脱)し、図12に示すように、該係止突部186が該バネ部材190の付勢力に抗して前記押圧ネジ軸51内に没入状態となる。このようにして該係止突部186と該係止凹部125との係合が解除された後は、ネジ筒50の回転が停止したままで押圧ネジ軸51の正回転が継続されることになる。
該押圧ネジ軸51の継続回転により、前記係止突部186と前記係止凹部125とが再び係合することなく該押圧ネジ軸51は螺進を続け、図4に矢印で示すように、該押圧ネジ軸51の前端174が前記油圧式倍力装置29の作動部201、即ち、前記ピストン71の後端面87(図5)を押圧する。該押圧ネジ軸51の締め具合は前記ねじ込み量確認目印193を目安にして調整できる。本実施例においては該前端174が球面部176として形成されると共に該後端面87が平滑面を呈するため、該押圧ネジ軸51が回転してもピストン71は回転しないで円滑に前進できる。
これにより、該ピストン71の前端部分202が図16に示すように前記油圧室56内に進入する。この進入により、該油圧室56内の作動油が見掛上増量された状態となり、該油圧室56内に高圧が発生する。この高圧が該油圧室の前面部203に作用することにより、前記作動筒49が、前記予圧バネ積重体149を弾性圧縮させつつ、前記キースライド溝110における前記キー112の前進スライドを伴いながら前進する。この作動筒49の前進により、該作動筒49と一体化している駆動ネジ軸部27が前進でき、該駆動ネジ軸部27と一体化している前記ナット部材25の前進によって前記可動挾持体5が前進できる。そして可動挾持体5の前進により、図2に一点鎖線で示すように、ワーク200は弾力的に強固に挾持されることになる。
このようにワークを弾力的に強固に挟持できるのは、前記のように、端面板17を、前記駆動軸22の軸線方向で見て後方向に弾性変形でき且つ弾性復元し得る炭素鋼や合金鋼を用いて構成しているためである。その結果、前記ワーク挾持状態において、図16に示すように、前記油圧室56の後面部207(前記ピストン保持筒72の前面89)が、該端面板17の前記両側壁部9,9間の部分208(図1、図16)を、前記後方向に弾性変形させながら後退できるのであり、該端面板17の弾性復元作用が発揮されて、ワーク200に対する加工時の振動に対しても固定挾持体2と可動挾持体5とによるワーク200の安定的な弾力的挾持が継続して確保されることになるのである。
前記端面板17の前記弾性変形は、荷重を受ける駆動軸22の軸線方向の変形であるため無理なく行われ、中心部分におけるその弾性変形量は、例えば0.2mm〜0.3mm程度である。なお、前記油圧室56内の作動油は、前記前端部分202の進入に伴い発生する高圧によって弾性的に圧縮されるため、その分、該端面板17の弾性変形量は小さく現われている。このことは、端面板の変形に対する負担軽減になっている。
ワーク200に対する所要の加工が完了した後、前記押圧ネジ軸51を逆回転(図1に示す矢印F2方向の回転)させると、前記ピストン71が、前記予圧バネ積重体149の弾性復元作用によって、前記キースライド溝110における前記キー112の後退スライドを伴いながら後退し、それに伴い前記端面板17が弾性復元すると共に、前記油圧室56の後面部207が前進して油圧室56は図4に示す当初の状態に戻る。
そして、該押圧ネジ軸51の逆回転を継続させると、前記バネ部材190の付勢作用によって、前記係止突部186が前記円形内周面179(図4)に弾性的に圧接された状態となるため、そのうちに図11に示すように、前記係合突部186が前記係止凹部125に入り込んだ状態となり、押圧ネジ軸51とネジ筒50とは前記係止部材181を介して一体化状態となる。
前記のようにバイス1でワーク200を挾持した状態で加工を施す間、切り粉等の塵が発生するが、バネ押さえ部材131と環状鍔部99との間に生ずる間隙Gが前記筒状防塵カバー160でカバーされているため、該間隙Gを通して切り粉等が前記油圧式倍力装置29の内部に進入するのを防止できる。又、本実施例においては、前記バネ押さえ部材131の後端側の内周面に、環状のシール部材153を嵌着しているため、前記間隙Gを通して切削油等の液体が進入しても、これを該シール部材153で遮断でき、該バネ押さえ部材131とネジ筒50の当接面206(図13)に切削油等が進入して錆が発生するのを防止できる。これらによって、バネ押さえ部材131の円滑なスライド動作が長期間に亘って得られることになる。
なお前記駆動軸22は、前記のようなハンドル30の手動回転操作によって正逆回転せしめられる他、減速電動機によって正逆回転せしめられることもある。又、前記ベース3の前記収容空所10の上端開放部等の必要箇所は、切り粉等の付着を防止するために、図示しないカバーで覆われることもある。