JP4837085B2 - 絶縁層、表面保護層および回路基板の製造方法 - Google Patents

絶縁層、表面保護層および回路基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は絶縁層、表面保護層および回路基板の製造方法に関し、詳しくは、感光性樹脂組成物から得られる絶縁層または表面保護層の製造方法、および、それらを備える回路基板の製造方法に関する。
1,4−ジヒドロピリジン誘導体を感光剤として含有する感光性ポリアミック酸樹脂は、例えば、特許文献1〜特許文献3などに記載されている。このような感光性ポリアミック酸樹脂を、基材に塗工して、所定のフォトマスクを介して活性光線を照射し、露光および現像後、加熱によりイミド化すれば、ポリイミド樹脂からなる所定のパタ−ンの皮膜を形成することができる。
このような1,4−ジヒドロピリジン誘導体を感光剤として含有する感光性ポリアミック酸樹脂は、感度および解像度に優れ、所定のパターンとして得られる皮膜も高い耐熱性を有するため、回路基板の層間絶縁層や表面保護層(絶縁保護層)などの絶縁層の形成に用いられている。
特開平6−75376号公報 特開平7−271034号公報 特開平10−39510号公報
しかし、特許文献1や特許文献2に記載される感光性ポリアミック酸樹脂では、配合される1,4−ジヒドロピリジン誘導体が、アルカリ水溶液に不溶性であるため、アルカリ水溶液のみで現像しようとした場合には、現像速度が遅く、また、基材上や現像剤中に1,4−ジヒドロピリジン誘導体の結晶が析出するという不具合を生じている。基材上に1,4−ジヒドロピリジン誘導体の結晶が析出すると、正確なパターンでの現像が阻害され、あるいは、現像された微細なパターンが部分的に埋められて解像性が低下するおそれがある。そのため、このような感光性ポリアミック酸樹脂の現像においては、現像液にアルコールのような水溶性の有機溶剤を混合して使用する必要がある。
一方、特許文献3に記載される感光性ポリアミック酸樹脂では、1,4−ジヒドロピリジン誘導体のアルカリ水溶液に対する溶解性が高められており、アルカリ水溶液のみでの現像が可能である。しかし、その現像速度については、未だ、十分に満足できるものではなく、より現像速度の速いものが望まれている。
さらに、これら1,4−ジヒドロピリジン誘導体を感光剤として含有する感光性ポリアミック酸樹脂は、最終的に300℃以上でイミド化した後の皮膜が、濃色(黒褐色)となるので、例えば、回路基板の表面保護層として用いる場合には、濃色のために表面保護層の下にある導体回路部分が見ずらく、導体回路の外観を検査しずらいという不具合を有している。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、感度、解像度ともに優れ、アルカリ水溶液のみによって迅速に現像することができ、しかも、基材との密着性に優れ、さらには、イミド化後に淡色のポリイミド樹脂の皮膜を得ることのできる感光性樹脂組成物から得られる絶縁層および/または表面保護層の製造方法、および、それらを備える回路基板の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の絶縁層の製造方法は、ポリアミック酸樹脂と、下記一般式(1)で表わされる1,4−ジヒドロピリジン誘導体と、ポリエチレングリコールとを含有する感光性樹脂組成物を、基材の上に塗布し、その後、加熱乾燥させることにより、感光性樹脂組成物の皮膜を形成する工程、感光性樹脂組成物の前記皮膜に、活性光線を照射することにより、ネガ型の潜像を形成する工程、前記潜像が形成された前記皮膜を現像することにより、ネガ型のパターンの皮膜を形成する工程、および、ネガ型のパターンの前記皮膜を硬化させることにより、絶縁層を形成する工程を備えていることを特徴としている。
Figure 0004837085
(式中、Arはオルソ位にニトロ基を有する芳香族基を示し、R1は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2、R3、R4およびR5は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
また、本発明の表面保護層の製造方法は、ポリアミック酸樹脂と、下記一般式(1)で表わされる1,4−ジヒドロピリジン誘導体と、ポリエチレングリコールとを含有する感光性樹脂組成物を、絶縁層およびその上に形成される導体層の上に塗布し、その後、加熱乾燥させることにより、感光性樹脂組成物の皮膜を形成する工程、感光性樹脂組成物の前記皮膜に、活性光線を照射することにより、ネガ型の潜像を形成する工程、前記潜像が形成された前記皮膜を現像することにより、ネガ型のパターンの皮膜を、前記導体層を被覆するように形成する工程、および、ネガ型のパターンの前記皮膜を硬化させて、表面保護層を形成する工程を備えていることを特徴としている。
Figure 0004837085
(式中、Arはオルソ位にニトロ基を有する芳香族基を示し、R1は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2、R3、R4およびR5は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
また、本発明の回路基板の製造方法は、基材を用意する工程、および、上記した絶縁層の製造方法により、前記絶縁層を形成する工程を備えていることを特徴としている。
また、本発明の回路基板の製造方法では、前記絶縁層の上に導体層を形成する工程、および、上記した表面保護層の製造方法により、前記表面保護層を形成する工程をさらに備えていることが好適である。
また、本発明の回路基板の製造方法は、絶縁層とその上に形成される導体層とを形成する工程、および、上記した表面保護層の製造方法により、前記表面保護層を形成する工程
を備えていることを特徴としている。
感光性樹脂組成物によれば、安価な水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液のみを現像液として用いて、迅速な現像速度において現像することができ、その結果、高感度および高解像度で、しかも、膜減りの少ない、良好なネガ型のパターンの皮膜を形成することができる。
そのため、これを加熱によりイミド化することによって、耐熱性、電気的特性、機械的特性および基材との密着性に優れるポリイミド樹脂の皮膜として形成することができ、さらに、感光性樹脂組成物に多価フェノール化合物が配合されている場合には、着色が防止され、淡色の皮膜として形成することができる。
したがって、このような感光性樹脂組成物は、半導体工業における固体素子や回路基板の絶縁や保護のために用いられる層間絶縁層や表面保護層などの絶縁層を形成するための材料として好適に用いることができ、得られた本発明の回路基板は、信頼性の高い回路基板として、有効に用いられる。
本発明の絶縁層の製造方法の一実施形態である、感光性樹脂組成物を用いて回路基板の絶縁層を形成する方法を示す工程図であって、(a)は、基材を用意する工程、(b)は、その基材の上に、感光性樹脂組成物の皮膜を形成する工程、(c)は、その皮膜を、フォトマスクを介して露光させる工程、(d)は、その皮膜を、現像する工程、(e)は、皮膜を硬化させて、絶縁層を形成する工程を示す。 図1に続いて、回路基板を形成する方法を示す工程図であって、(a)は、絶縁層上に導体層を所定の回路パターンで形成する工程、(b)は、導体層上に表面保護層を形成する工程を示す。 本発明の回路基板の製造方法の一実施形態である、感光性樹脂組成物を用いて回路基板を形成する方法を示す工程図であって、(a)は、2層基材を用意する工程、(b)は、2層基材の導体層を所定の回路パターンに形成する工程、(c)は、導体層上に開口部分を有する表面保護層を形成する工程を示す。
本発明の絶縁層の製造方法に用いられる感光性樹脂組成物は、ポリアミック酸樹脂と、下記一般式(1)で表わされる1,4−ジヒドロピリジン誘導体と、ポリエチレングリコールとを含有している。
Figure 0004837085
(式中、Arはオルソ位にニトロ基を有する芳香族基を示し、R1は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2、R3、R4およびR5は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
ポリアミック酸樹脂は、ポリイミド樹脂の前駆体であって、特に限定されないが、通常、下記一般式(2)で示される繰り返し単位構造を有し、例えば、その重量平均分子量が、5000〜200000程度、好ましくは、10000〜100000程度である。
Figure 0004837085
(式中、R6は4価の有機基を示し、R7は2価の有機基を示す。)
上記式(2)中、R6で示される4価の有機基としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ペリレン、ジフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ベンゾフェノン、ブタン、シクロブタンなどの骨格を有する、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族、脂環族の4価の有機基が挙げられる。好ましくは、ベンゼン、ジフェニル、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ベンゾフェノンの骨格を有する4価の有機基が挙げられる。なお、これら4価の有機基は、1種類のみであってもよく、また、2種類以上であってもよい。
また、上記式(2)中、R7で示される2価の有機基としては、例えば、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ジフェニル、ベンゼン、ジフェノキシベンゼンなどの骨格を有する、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族、脂環族の2価の有機基が挙げられる。好ましくは、ジフェニルエーテル、ベンゼン、ジフェノキシベンゼンの骨格を有する2価の有機基が挙げられる。なお、これら2価の有機基は、1種類のみであってもよく、また、2種類以上であってもよい。
このようなポリアミック酸樹脂は、より具体的には、有機テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることによって得ることができる。有機テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物などが挙げられる。また、それらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−2,2−ジメチルビフェニル、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニルなどが挙げられる。また、それらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
そして、ポリアミック酸樹脂は、これら有機テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、実質的に等モル比となるような割合で、適宜の有機溶媒、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミドなどの極性溶媒中で、通常、0〜90℃で1〜48時間反応させることよって、ポリアミック酸樹脂の溶液として得るようにすればよい。
1,4−ジヒドロピリジン誘導体は、下記一般式(1)で表わされる。
Figure 0004837085
(式中、Arはオルソ位にニトロ基を有する芳香族基を示し、R1は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2、R3、R4およびR5は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
上記式(1)中、Arで示されるオルソ位にニトロ基を有する芳香族基として、好ましくは、o−ニトロフェニル基が挙げられ、また、R1で示される水素原子または炭素数1〜5のアルキル基として、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、R2、R3、R4およびR5で示される水素原子または炭素数1〜4のアルキル基として、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基が挙げられる。特に、R2およびR3としては、水素原子が好ましい。
このような1,4−ジヒドロピリジン誘導体は、より具体例には、例えば、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、1−メチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、1−プロピル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、1−プロピル−3,5−ジエトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジンが挙げられる。
これら1,4−ジヒドロピリジン誘導体のなかでは、下記式(3)で表わされる1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジンが好ましい。
Figure 0004837085
このような1,4−ジヒドロピリジン誘導体は、例えば、置換ベンズアルデヒドと、その2倍モル量のアルキルプロピオレート(プロパギル酸アルキルエステル)と相当する第1級アミンとを、氷酢酸中で還流下に反応させることにより、得ることができる。(Khim.Geterotsikl.Soed.,pp.1067−1071,1982)
また、1,4−ジヒドロピリジン誘導体は、ポリアミック酸樹脂100重量部に対して、通常、5〜50重量部、好ましくは、10〜30重量部の範囲で配合される。配合量がこれより少ないと、得られる感光性樹脂組成物に活性光線を照射したときに、アルカリ性現像剤に対する露光部分の溶解性の低減効果が乏しく、形成されるパターンが不鮮明になる場合がある。一方、配合量がこれより多いと、得られる感光性樹脂組成物を溶液として保存する場合に、固形分が析出し、保存性やパターン形成性に良くない影響を与える場合があり、また、ネガ型のパターンの形成後、熱処理を行なうときに、皮膜の重量減少が大きく、機械的強度を低下させる場合がある。
ポリエチレングリコールは、感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液による現像速度を飛躍的に速めるものであり、その平均分子量(以下、特に言及がない限り、平均分子量は、重量平均分子量を指す。)が、200〜2000、より好ましくは、400〜1000のものが用いられる。このような低分子量のポリエチレングリコールは、ポリアミック酸樹脂に対する溶解性に優れ、感光性樹脂組成物の溶液を塗布乾燥して得られる皮膜中に、均一に溶解することにより、アルカリ水溶液による現像速度を速めることができる。
ポリエチレングリコールの分子量が2000を超えると、ポリアミック酸樹脂に対する溶解性が急激に低下して、感光性樹脂組成物の乾燥皮膜中で海島状に層分離し、皮膜が白化する場合がある。このような状態では、ポリアミック酸樹脂に溶け込んでいるポリエチレングリコール量が少なくなって、アルカリ水溶液による現像速度を速めることができない場合がある。一方、ポリエチレングリコールの分子量が200より下まわると、現像するまでの、乾燥工程などの熱処理工程においてポリエチレングリコールが飛散してしまい、ポリアミック酸樹脂に対して溶解している濃度が低下して、現像速度を速めることができない場合がある。
また、ポリエチレングリコールは、ポリアミック酸樹脂100重量部に対して、通常、5〜40重量部、好ましくは、10〜30重量部の範囲で配合される。配合量がこれより少ないと、現像速度を速める効果が少なく、一方、配合量がこれより多いと、ポリエチレングリコールのポリアミック酸樹脂に対する溶解限度を超えて層分離してしまい、海島状になって白化したり、あるいは、イミド化後に得られる皮膜の特性が低下する場合がある。
そして、感光性樹脂組成物は、例えば、上記したように、ポリアミック酸樹脂の溶液を調製した後、1,4−ジヒドロピリジン誘導体およびポリエチレングリコールを、上記した割合で配合し、混合溶解することによって、容易に得ることができる。
また、感光性樹脂組成物は、ポリアミック酸樹脂、1,4−ジヒドロピリジン誘導体、および、ポリエチレングリコールに、さらに、多価フェノール化合物を含有していてもよい。多価フェノール化合物を含有することにより、イミド化によって得られるポリイミド樹脂からなる皮膜の着色を有効に防止して、淡色の皮膜を得ることができる。
多価フェノール化合物としては、その分子量が200〜2000の範囲にあるものが好ましく用いられ、そのような多価フェノール化合物としては、例えば、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−メチレンビスフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。
また、多価フェノール化合物は、ポリアミック酸樹脂100重量部に対して、通常、0.5〜30重量部、好ましくは、5〜20重量部の範囲で配合される。配合量がこれより少ないと、着色を防止する効果が少なく、一方、配合量がこれより多いと、層分離してしまい、海島状になって白化したり、イミド化後に得られる皮膜の特性が低下する場合がある。
そして、このような感光性樹脂組成物も、例えば、上記したように、ポリアミック酸樹脂の溶液を調製した後、1,4−ジヒドロピリジン誘導体、ポリエチレングリコールおよび多価フェノール化合物を、上記した割合で配合し、混合溶解することによって、容易に得ることができる。
このようにして得られる感光性樹脂組成物は、これを所定の基材上に塗工し、乾燥後、所定形状のフォトマスクを介して活性光線を照射し、加熱(露光後加熱)することによって、ネガ型の潜像を形成することができ、これを、例えば、安価な水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液のみを現像液として用いて、迅速な現像速度において現像することができ、その結果、高感度および高解像度で、しかも、膜減りの少ない、良好なネガ型のパターンの皮膜として形成することができる。
そして、これを加熱によりイミド化することによって、耐熱性、電気的特性、機械的特性および基材との密着性に優れるポリイミド樹脂の皮膜として形成することができ、さらに、感光性樹脂組成物に多価フェノール化合物が配合されている場合には、淡色の皮膜として得ることができる。そのため、このような感光性樹脂組成物は、半導体工業における固体素子や回路基板の絶縁や保護のために用いられる層間絶縁層や表面保護層などの絶縁層を形成するための材料として好適に用いることができる。
次に、上記した感光性樹脂組成物を用いて、回路基板の絶縁層を形成する方法(絶縁層の製造方法の一実施形態)を説明する。
この方法では、図1(a)に示すように、まず、所定の基材1を用意して、図1(b)に示すように、感光性樹脂組成物2を、その基材1上に塗工した後、熱風乾燥などにより加熱乾燥させて、感光性樹脂組成物2(ポリアミック酸樹脂)の皮膜を形成する。
基材1としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス、銅−ベリリウム、リン青銅、鉄−ニッケルなどの金属または合金の箔または板、例えば、シリコンウエハ、ガラスなどのセラミックの箔または板、例えば、ポリイミド樹脂などのプラスチックのフィルムなどが挙げられる。
感光性樹脂組成物2の塗工は、例えば、スピンコータ、バーコータなどの公知の塗工方法によればよく、基材1の形状や、塗工の厚さに合わせて、適宜好適な方法により塗工すればよい。また、その乾燥後の厚みが、1〜50μm、好ましくは、10〜30μmとなるように塗工することが好ましい。そして、その塗工後、50℃〜120℃で、加熱乾燥すればよい。50℃より低いと、溶剤の除去速度が遅く皮膜形成に時間がかかり、また、120℃より高いと、ポリアミック酸樹脂のイミド化が開始する場合がある。
次いで、図1(c)に示すように、加熱乾燥された感光性樹脂組成物2(ポリアミック酸樹脂)の皮膜に、フォトマスク3を介して活性光線を照射した後、必要により加熱することによって、ネガ型の潜像を形成し、図1(d)に示すように、これを現像することによって、ネガ型の画像、すなわち、所定のパターンの皮膜を形成する。
活性光線は、紫外線が好ましく用いられ、その露光波長が、300〜450nm、さらには、350〜420nmであることが好ましく、その露光積算光量が、100〜5000mJ/cm、さらには、200〜3000mJ/cmであることが好ましい。また、露光後には、約140℃以上で加熱(露光後加熱)することが好ましい。露光後加熱を、約140℃以上で行なうことによって、アルカリ水溶液からなる現像液に対する露光部分の溶解性を低減させ、次の現像において、ネガ型の画像を良好に形成することができる。
次いで、現像処理においては、浸漬法やスプレー法などの公知の方法により行なえばよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ水溶液を、現像液として用いることができる。また、必要に応じて、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド、コリンなどの有機アルカリ水溶液を用いることもできる。そして、現像後、水洗することによって、所定のパターンとされた感光性樹脂組成物2(ポリアミック酸樹脂)の皮膜を得ることができる。
このような露光および現像において、感光性樹脂組成物2には、ポリエチレングリコールが配合されているので、アルカリ水溶液のみによって迅速に現像することができ、しかも、優れた感度および解像度で、膜減りを低減して、パターンニングすることができる。
そして、図1(e)に示すように、このように所定のパターンで形成された感光性樹脂組成物2(ポリアミック酸樹脂)の皮膜を硬化させることにより、ポリイミド樹脂からなる絶縁層4を得ることができる。硬化は、公知の方法により行なえばよく、例えば、300℃〜500℃程度で加熱すればよい。これによって、ポリアミック酸樹脂がイミド化されて、ポリイミド樹脂からなる皮膜の絶縁層4が形成される。
そして、回路基板として使用するためには、例えば、図2(a)に示すように、この絶縁層4をベース層4として、そのベース層4の上に、導体層5を、例えば、サブトラクティブ法、アディティブ法、セミアディティブ法などの公知のパターンニング法によって、所定の回路パターンとして形成し、次いで、図2(b)に示すように、必要により、その導体層5を絶縁層からなる表面保護層6によって被覆すればよい。なお、導体層5を形成するための導体としては、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、またはこれらの合金などが用いられ、その厚みは、通常、1〜15μmである。また、表面保護層6としては、上記した感光性樹脂組成物から形成されるポリイミド樹脂を用いればよい。表面保護層6の厚みは、通常、2〜25μmである。なお、用途などによっては、その他の表面保護層6として通常用いられる公知の樹脂を用いてもよい。
このようにして得られる回路基板のベース層4は、耐熱性、電気的特性および機械的特性、さらには、基材1との密着性に優れるとともに、また、表面保護層6は、感光性樹脂組成物2に多価フェノール化合物が配合されている場合には、300℃以上で加熱硬化されても淡色の皮膜として得られるので、表面保護層6内にある導体層5の回路パターンの外観を容易に観察することでき、検査が容易となり、したがって、信頼性の高い回路基板として有効に用いることができる。
そのため、より具体的には、例えば、金属箔からなる基板上に、感光性樹脂組成物を用いて絶縁層を形成し、次いで、所定の回路パターンとして導体層を形成した後、感光性樹脂組成物を用いて表面保護層を形成することにより、信頼性の高い回路付サスペンション基板として有効に用いることができる。
また、絶縁層上に所定の回路パターンとして導体層が形成されている回路基板の、導体層を被覆するために、感光性樹脂組成物を用いて、所定の開口部分を有する表面保護層を形成し、その開口部分に露出する導体層上に、電極を形成すれば、電子部品を搭載するための信頼性の高い回路基板として有効に用いることができる。
すなわち、このような回路基板は、より具体的には、図3(a)に示すように、例えば、ポリイミド樹脂などからなる絶縁層4上に、銅箔などからなる導体層5が直接積層されている2層基材7を用意して、図3(b)に示すように、この2層基材7の導体層4を、サブトラクティブ法などによって所定の回路パターンに形成した後、図3(c)に示すように、所定の回路パターンとされた導体層5上に、感光性樹脂組成物を塗工して皮膜を形成した後、上記と同様に、活性光線の露光および現像によりパターンニングし、その後、硬化させることにより、所定の開口部分8を有するポリイミド樹脂からなる表面保護層6を形成する(本発明の表面保護層の製造方法の一実施形態)。そして、その開口部分8に露出する導体層5上に、めっきなどにより電極を形成すればよい。
なお、このような回路基板は、2層基材を用いて製造する場合に限らず、広く公知の基材を用いて製造することができ、例えば、ポリイミド樹脂などからなる絶縁層と、銅箔などからなる導体層とが接着剤層を介して積層されている3層基材などを用いて製造してもよい。
また、このような回路基板において、より具体的には、例えば、感光性樹脂組成物を用いて、半導体素子実装用のインターポーザの表面保護層を形成すれば、信頼性の高い半導体素子実装用のインターポーザとして有効に用いることができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されることはない。
実施例1
3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンとを、当モル比となる割合において、N−メチル−2−ピロリドン中に、モノマー合計濃度16重量%となるように溶解させ、室温下で12時間、さらに75℃に加温して24時間反応させ、ポリアミック酸樹脂の溶液を得た。
この溶液に、ポリアミック酸樹脂(固形分)100重量部に対して、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン15重量部と、平均分子量600のポリエチレングリコール20重量部とを加え、均一に攪拌溶解させて、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
この感光性樹脂組成物の溶液をSUS箔上にスピンコータを用いて塗布し、100℃のオーブン中で20分間乾燥して皮膜を形成した。この後、ガラスマスクを介して、250Wの超高圧水銀灯で、200mJ/cm2の露光量でコンタクト露光を行なった。この露光後、165℃のオーブン中で10分間加熱した後、1.5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(現像液)を用いて、55℃で現像した。3分間の浸漬で未露光部分が溶解したので、引き続いて、水でリンスし、露光部分のみが鮮明にSUS箔上に残存する、良好なネガ型のパターンの皮膜を得た。なお、皮膜の厚みは、18μmであった。
さらに、このパターンとして得られた皮膜を、窒素雰囲気下、330℃で1時間加熱して、ポリアミック酸樹脂をイミド化することにより、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは14μmで、残膜率は加熱イミド化前の約80%であった。また、得られた皮膜は黒褐色で、下地のSUS箔はほとんど見えなかった。
実施例2
実施例1と同一のポリアミック酸樹脂の溶液を用い、この溶液に、ポリアミック酸樹脂(固形分)100重量部に対して、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン15重量部と、平均分子量600のポリエチレングリコール20重量部と、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン10重量部とを加え、均一に攪拌溶解させて、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は2分であった。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは16μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
実施例3
3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物1モルに対し、p−フェニレンジアミンが0.85モル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが0.15モルのモル比となる割合において、N−メチル−2−ピロリドン中に、モノマー合計濃度16重量%となるように溶解させ、室温下で12時間、さらに75℃に加温して24時間反応させ、ポリアミック酸樹脂の溶液を得た。
この溶液に、ポリアミック酸樹脂(固形分)100重量部に対して、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン15重量部と、平均分子量600のポリエチレングリコール20重量部と、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン10重量部とを加え、均一に攪拌溶解させて、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は2分30秒であり、皮膜の厚みは、20μmであった。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは16μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
実施例4
実施例3における平均分子量600のポリエチレングリコールを、平均分子量200のポリエチレングリコールとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は10分となり、実施例3よりは時間がかかったが、実用的な範囲内であった。なお、皮膜の厚みは、18μmであった。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは14μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
実施例5
実施例3における平均分子量600のポリエチレングリコールを、平均分子量400のポリエチレングリコールとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は3分であり、皮膜の厚みは、18μmであった。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは15μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
実施例6
実施例3における平均分子量600のポリエチレングリコールを、平均分子量1000のポリエチレングリコールとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は3分であり、皮膜の厚みは、20μmであった。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは16μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
実施例7
実施例3における平均分子量600のポリエチレングリコールを、平均分子量2000のポリエチレングリコールとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は15分となり、また、皮膜もやや白化しかけていた。そのため、この実施例においては、ポリエチレングリコールの平均分子量の上限は、この程度までと考えられた。なお、皮膜の厚みは、17μmであった。
実施例8
実施例3における平均分子量600のポリエチレングリコールを、10重量部とした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は5分であり、皮膜の厚みは、20μmであった。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは17μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
実施例9
実施例3における2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを、平均分子量350のフェノールノボラックとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は2分30秒であり、皮膜の厚みは、20μmであった。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは16μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
実施例10
実施例3における2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを、平均分子量1000のフェノールノボラックとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は4分であり、皮膜の厚みは、20μmであった。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは16μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
実施例11
厚さ25μmのステンレス(SUS304)箔上に、実施例3と同一の感光性樹脂組成物をスピンコータを用いて塗布し、100℃のオーブン中で20分間乾燥して、厚み17μmの皮膜を形成した。次いで、マスクを介して、露光量200mJ/cm2にて紫外線を照射し、165℃で10分間加熱した。その後、1.5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(現像液)を用いて、55℃で現像した。2分間の浸漬で未露光部分が溶解したので、引き続いて、水でリンスし、露光部分のみが鮮明にステンレス箔上に残存する、良好なネガ型のパターンの皮膜を得た。なお、皮膜の厚みは、17μmであった。
さらに、このパターンとして得られた皮膜を、窒素雰囲気下、330℃で1時間加熱して、ポリアミック酸樹脂をイミド化することにより、ポリイミド樹脂からなる厚み10μmのベース層を形成した。
次に、このベース層上に、スパッタリング処理によって、クロム薄膜と銅薄膜とを、それぞれ500オングストロームおよび1000オングストロームの厚みで、薄膜形成し、その上に硫酸銅電解めっきを施し、厚み10μmの銅めっきからなる導体層を形成した。この後、常法に従って、銅薄膜およびクロム薄膜をエッチング除去し、所定の回路パターンを形成した。次いで、この所定の回路パターンとされた導体層上に、無電解めっきを施し、厚み約0.5μmのニッケル薄膜を形成した。
次いで、同じ感光性樹脂組成物を用いて、上記と同様にして、塗布、乾燥、露光、露光後加熱、現像、および加熱イミド化を行ない、所定の回路パターンとされた導体層上の所定の部分に表面保護層を形成し、感光性樹脂組成物からなるベース層および表面保護層を有する回路基板を得た。なお、この回路基板は、図2(b)に相当するものであり、表面保護層の着色が少ないため、容易に表面保護層の下にある導体層を観察することが可能であった。
実施例12
3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物1モルに対し、p−フェニレンジアミンが0.85モル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが0.15モルのモル比となる割合において、N−メチル−2−ピロリドン中に、モノマー合計濃度16重量%となるように溶解させ、室温下で12時間、さらに75℃に加温して24時間反応させ、ポリアミック酸樹脂の溶液を得た。
次に、導体層として、厚さ18μmの銅箔を用意し、その銅箔のマット処理面側に、上記のポリアミック酸樹脂の溶液を塗布した。その後、100℃で30分間乾燥させることにより、ポリアミック酸樹脂の皮膜を形成し、次いで、この皮膜を窒素雰囲気下330℃で1時間加熱することによって硬化(イミド化)させ、銅箔上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を直接形成することにより、2層基材を作製した。この2層基材の絶縁層の厚みは、12μmであった。なお、この2層基材は、図3(a)に相当するものである。
次いで、この2層基材の銅箔上に、ドライフィルムからなるフォトレジストを積層した後、フォトマスクを介して露光させ、これを現像することにより、形成しようとする所定のパターンに対応するフォトレジストを形成した。次いで、このフォトレジストをマスクとして、銅箔を塩化第二鉄水溶液により化学エッチングした後、フォトレジストを、水酸化ナトリウム水溶液により除去することにより、銅箔を所定の回路パターンとして形成した。(図3(b)に相当)
そして、所定のパターンとされた銅箔上に、厚み0.5μmのニッケル薄膜を無電解めっきで形成した後、実施例1と同一の感光性樹脂組成物の溶液を塗布し、実施例1と同様の方法によって、所定の開口部分を有するポリイミド樹脂からなる表面保護層を形成することにより、回路基板を得た。この回路基板は、図3(c)に相当するものであって、その開口部分には、電極が形成されることにより、接続端子部分として用いられる。
なお、パターン形成時の現像時間は3分であった。また、得られた表面保護層の厚みは14μmであり、また、黒褐色で、銅箔のパターン形状を目視観察することが困難であった。
実施例13
表面保護層を形成するために、実施例2と同一の感光性樹脂組成物の溶液を用いた以外は、実施例12と同様にして回路基板を得た。
なお、パターン形成時の現像時間は2分であった。また、得られた表面保護層の厚みは16μmであり、また、表面保護層の着色は、実施例12に比較して少なく、銅箔のパターン形状を目視で鮮明に観察することができた。
比較例1
実施例1と同一のポリアミック酸樹脂の溶液を用い、この溶液に、ポリアミック酸樹脂(固形分)100重量部に対して、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン15重量部を加え、均一に攪拌溶解させて、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。しかし、現像時において、30分かけても未露光部分が溶解しきらず、現像時間が長くかかり過ぎて、実用的でないことが判明した。
比較例2
実施例3と同一のポリアミック酸樹脂の溶液を用い、この溶液に、ポリアミック酸樹脂(固形分)100重量部に対して、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン15重量部を加え、均一に攪拌溶解させて、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。しかし、現像時において、30分かけても未露光部分が溶解しきらず、現像時間が長くかかり過ぎて、実用的でないことが判明した。
1 基材
2 感光性樹脂組成物
3 フォトマスク
4 ベース層
5 導体層
6 表面保護層

Claims (5)

  1. ポリアミック酸樹脂と、下記一般式(1)で表わされる1,4−ジヒドロピリジン誘導体と、ポリエチレングリコールとを含有する感光性樹脂組成物を、基材の上に塗布し、その後、加熱乾燥させることにより、感光性樹脂組成物の皮膜を形成する工程、
    感光性樹脂組成物の前記皮膜に、活性光線を照射することにより、ネガ型の潜像を形成する工程、
    前記潜像が形成された前記皮膜を現像することにより、ネガ型のパターンの皮膜を形成する工程、および、
    ネガ型のパターンの前記皮膜を硬化させることにより、絶縁層を形成する工程
    を備えていることを特徴とする、絶縁層の製造方法。
    Figure 0004837085
    (式中、Arはオルソ位にニトロ基を有する芳香族基を示し、R1は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2、R3、R4およびR5は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
  2. ポリアミック酸樹脂と、下記一般式(1)で表わされる1,4−ジヒドロピリジン誘導体と、ポリエチレングリコールとを含有する感光性樹脂組成物を、絶縁層およびその上に形成される導体層の上に塗布し、その後、加熱乾燥させることにより、感光性樹脂組成物の皮膜を形成する工程、
    感光性樹脂組成物の前記皮膜に、活性光線を照射することにより、ネガ型の潜像を形成する工程、
    前記潜像が形成された前記皮膜を現像することにより、ネガ型のパターンの皮膜を、前記導体層を被覆するように形成する工程、および、
    ネガ型のパターンの前記皮膜を硬化させて、表面保護層を形成する工程
    を備えていることを特徴とする、表面保護層の製造方法。
    Figure 0004837085
    (式中、Arはオルソ位にニトロ基を有する芳香族基を示し、R1は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2、R3、R4およびR5は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
  3. 基材を用意する工程、および、
    請求項1に記載の絶縁層の製造方法により、前記絶縁層を形成する工程
    を備えていることを特徴とする、回路基板の製造方法。
  4. 前記絶縁層の上に導体層を形成する工程、および、
    請求項2に記載の表面保護層の製造方法により、前記表面保護層を形成する工程
    をさらに備えていることを特徴とする、回路基板の製造方法。
  5. 絶縁層とその上に形成される導体層とを形成する工程、および、
    請求項2に記載の表面保護層の製造方法により、前記表面保護層を形成する工程
    を備えていることを特徴とする、回路基板の製造方法。
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