JP4837085B2 - 絶縁層、表面保護層および回路基板の製造方法 - Google Patents
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さらに、これら1,4−ジヒドロピリジン誘導体を感光剤として含有する感光性ポリアミック酸樹脂は、最終的に300℃以上でイミド化した後の皮膜が、濃色(黒褐色)となるので、例えば、回路基板の表面保護層として用いる場合には、濃色のために表面保護層の下にある導体回路部分が見ずらく、導体回路の外観を検査しずらいという不具合を有している。
また、本発明の表面保護層の製造方法は、ポリアミック酸樹脂と、下記一般式(1)で表わされる1,4−ジヒドロピリジン誘導体と、ポリエチレングリコールとを含有する感光性樹脂組成物を、絶縁層およびその上に形成される導体層の上に塗布し、その後、加熱乾燥させることにより、感光性樹脂組成物の皮膜を形成する工程、感光性樹脂組成物の前記皮膜に、活性光線を照射することにより、ネガ型の潜像を形成する工程、前記潜像が形成された前記皮膜を現像することにより、ネガ型のパターンの皮膜を、前記導体層を被覆するように形成する工程、および、ネガ型のパターンの前記皮膜を硬化させて、表面保護層を形成する工程を備えていることを特徴としている。
また、本発明の回路基板の製造方法は、基材を用意する工程、および、上記した絶縁層の製造方法により、前記絶縁層を形成する工程を備えていることを特徴としている。
また、本発明の回路基板の製造方法は、絶縁層とその上に形成される導体層とを形成する工程、および、上記した表面保護層の製造方法により、前記表面保護層を形成する工程
を備えていることを特徴としている。
そのため、これを加熱によりイミド化することによって、耐熱性、電気的特性、機械的特性および基材との密着性に優れるポリイミド樹脂の皮膜として形成することができ、さらに、感光性樹脂組成物に多価フェノール化合物が配合されている場合には、着色が防止され、淡色の皮膜として形成することができる。
ポリアミック酸樹脂は、ポリイミド樹脂の前駆体であって、特に限定されないが、通常、下記一般式(2)で示される繰り返し単位構造を有し、例えば、その重量平均分子量が、5000〜200000程度、好ましくは、10000〜100000程度である。
上記式(2)中、R6で示される4価の有機基としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ペリレン、ジフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ベンゾフェノン、ブタン、シクロブタンなどの骨格を有する、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族、脂環族の4価の有機基が挙げられる。好ましくは、ベンゼン、ジフェニル、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ベンゾフェノンの骨格を有する4価の有機基が挙げられる。なお、これら4価の有機基は、1種類のみであってもよく、また、2種類以上であってもよい。
上記式(1)中、Arで示されるオルソ位にニトロ基を有する芳香族基として、好ましくは、o−ニトロフェニル基が挙げられ、また、R1で示される水素原子または炭素数1〜5のアルキル基として、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、R2、R3、R4およびR5で示される水素原子または炭素数1〜4のアルキル基として、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基が挙げられる。特に、R2およびR3としては、水素原子が好ましい。
また、1,4−ジヒドロピリジン誘導体は、ポリアミック酸樹脂100重量部に対して、通常、5〜50重量部、好ましくは、10〜30重量部の範囲で配合される。配合量がこれより少ないと、得られる感光性樹脂組成物に活性光線を照射したときに、アルカリ性現像剤に対する露光部分の溶解性の低減効果が乏しく、形成されるパターンが不鮮明になる場合がある。一方、配合量がこれより多いと、得られる感光性樹脂組成物を溶液として保存する場合に、固形分が析出し、保存性やパターン形成性に良くない影響を与える場合があり、また、ネガ型のパターンの形成後、熱処理を行なうときに、皮膜の重量減少が大きく、機械的強度を低下させる場合がある。
また、感光性樹脂組成物は、ポリアミック酸樹脂、1,4−ジヒドロピリジン誘導体、および、ポリエチレングリコールに、さらに、多価フェノール化合物を含有していてもよい。多価フェノール化合物を含有することにより、イミド化によって得られるポリイミド樹脂からなる皮膜の着色を有効に防止して、淡色の皮膜を得ることができる。
このようにして得られる感光性樹脂組成物は、これを所定の基材上に塗工し、乾燥後、所定形状のフォトマスクを介して活性光線を照射し、加熱(露光後加熱)することによって、ネガ型の潜像を形成することができ、これを、例えば、安価な水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液のみを現像液として用いて、迅速な現像速度において現像することができ、その結果、高感度および高解像度で、しかも、膜減りの少ない、良好なネガ型のパターンの皮膜として形成することができる。
この方法では、図1(a)に示すように、まず、所定の基材1を用意して、図1(b)に示すように、感光性樹脂組成物2を、その基材1上に塗工した後、熱風乾燥などにより加熱乾燥させて、感光性樹脂組成物2(ポリアミック酸樹脂)の皮膜を形成する。
感光性樹脂組成物2の塗工は、例えば、スピンコータ、バーコータなどの公知の塗工方法によればよく、基材1の形状や、塗工の厚さに合わせて、適宜好適な方法により塗工すればよい。また、その乾燥後の厚みが、1〜50μm、好ましくは、10〜30μmとなるように塗工することが好ましい。そして、その塗工後、50℃〜120℃で、加熱乾燥すればよい。50℃より低いと、溶剤の除去速度が遅く皮膜形成に時間がかかり、また、120℃より高いと、ポリアミック酸樹脂のイミド化が開始する場合がある。
活性光線は、紫外線が好ましく用いられ、その露光波長が、300〜450nm、さらには、350〜420nmであることが好ましく、その露光積算光量が、100〜5000mJ/cm2、さらには、200〜3000mJ/cm2であることが好ましい。また、露光後には、約140℃以上で加熱(露光後加熱)することが好ましい。露光後加熱を、約140℃以上で行なうことによって、アルカリ水溶液からなる現像液に対する露光部分の溶解性を低減させ、次の現像において、ネガ型の画像を良好に形成することができる。
そして、図1(e)に示すように、このように所定のパターンで形成された感光性樹脂組成物2(ポリアミック酸樹脂)の皮膜を硬化させることにより、ポリイミド樹脂からなる絶縁層4を得ることができる。硬化は、公知の方法により行なえばよく、例えば、300℃〜500℃程度で加熱すればよい。これによって、ポリアミック酸樹脂がイミド化されて、ポリイミド樹脂からなる皮膜の絶縁層4が形成される。
また、絶縁層上に所定の回路パターンとして導体層が形成されている回路基板の、導体層を被覆するために、感光性樹脂組成物を用いて、所定の開口部分を有する表面保護層を形成し、その開口部分に露出する導体層上に、電極を形成すれば、電子部品を搭載するための信頼性の高い回路基板として有効に用いることができる。
また、このような回路基板において、より具体的には、例えば、感光性樹脂組成物を用いて、半導体素子実装用のインターポーザの表面保護層を形成すれば、信頼性の高い半導体素子実装用のインターポーザとして有効に用いることができる。
実施例1
3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンとを、当モル比となる割合において、N−メチル−2−ピロリドン中に、モノマー合計濃度16重量%となるように溶解させ、室温下で12時間、さらに75℃に加温して24時間反応させ、ポリアミック酸樹脂の溶液を得た。
この感光性樹脂組成物の溶液をSUS箔上にスピンコータを用いて塗布し、100℃のオーブン中で20分間乾燥して皮膜を形成した。この後、ガラスマスクを介して、250Wの超高圧水銀灯で、200mJ/cm2の露光量でコンタクト露光を行なった。この露光後、165℃のオーブン中で10分間加熱した後、1.5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(現像液)を用いて、55℃で現像した。3分間の浸漬で未露光部分が溶解したので、引き続いて、水でリンスし、露光部分のみが鮮明にSUS箔上に残存する、良好なネガ型のパターンの皮膜を得た。なお、皮膜の厚みは、18μmであった。
実施例2
実施例1と同一のポリアミック酸樹脂の溶液を用い、この溶液に、ポリアミック酸樹脂(固形分)100重量部に対して、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン15重量部と、平均分子量600のポリエチレングリコール20重量部と、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン10重量部とを加え、均一に攪拌溶解させて、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは16μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物1モルに対し、p−フェニレンジアミンが0.85モル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが0.15モルのモル比となる割合において、N−メチル−2−ピロリドン中に、モノマー合計濃度16重量%となるように溶解させ、室温下で12時間、さらに75℃に加温して24時間反応させ、ポリアミック酸樹脂の溶液を得た。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは16μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
実施例3における平均分子量600のポリエチレングリコールを、平均分子量200のポリエチレングリコールとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は10分となり、実施例3よりは時間がかかったが、実用的な範囲内であった。なお、皮膜の厚みは、18μmであった。
実施例5
実施例3における平均分子量600のポリエチレングリコールを、平均分子量400のポリエチレングリコールとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは15μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
実施例3における平均分子量600のポリエチレングリコールを、平均分子量1000のポリエチレングリコールとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は3分であり、皮膜の厚みは、20μmであった。
実施例7
実施例3における平均分子量600のポリエチレングリコールを、平均分子量2000のポリエチレングリコールとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例8
実施例3における平均分子量600のポリエチレングリコールを、10重量部とした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは17μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
実施例3における2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを、平均分子量350のフェノールノボラックとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
実施例1と同様にしてSUS箔上にポリアミック酸樹脂のネガ型のパターンの皮膜を形成した。なお、現像時間は2分30秒であり、皮膜の厚みは、20μmであった。
実施例10
実施例3における2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを、平均分子量1000のフェノールノボラックとした以外は、実施例3と同様にして、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
さらに実施例1と同様に、330℃でイミド化を行ない、ポリイミド樹脂からなる皮膜を形成した。なお、イミド化後の皮膜の厚みは16μmであった。また、得られた皮膜の着色は、実施例1に比較して少なく、下地のSUS箔が透けて鮮明に見えた。
厚さ25μmのステンレス(SUS304)箔上に、実施例3と同一の感光性樹脂組成物をスピンコータを用いて塗布し、100℃のオーブン中で20分間乾燥して、厚み17μmの皮膜を形成した。次いで、マスクを介して、露光量200mJ/cm2にて紫外線を照射し、165℃で10分間加熱した。その後、1.5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(現像液)を用いて、55℃で現像した。2分間の浸漬で未露光部分が溶解したので、引き続いて、水でリンスし、露光部分のみが鮮明にステンレス箔上に残存する、良好なネガ型のパターンの皮膜を得た。なお、皮膜の厚みは、17μmであった。
次に、このベース層上に、スパッタリング処理によって、クロム薄膜と銅薄膜とを、それぞれ500オングストロームおよび1000オングストロームの厚みで、薄膜形成し、その上に硫酸銅電解めっきを施し、厚み10μmの銅めっきからなる導体層を形成した。この後、常法に従って、銅薄膜およびクロム薄膜をエッチング除去し、所定の回路パターンを形成した。次いで、この所定の回路パターンとされた導体層上に、無電解めっきを施し、厚み約0.5μmのニッケル薄膜を形成した。
3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物1モルに対し、p−フェニレンジアミンが0.85モル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが0.15モルのモル比となる割合において、N−メチル−2−ピロリドン中に、モノマー合計濃度16重量%となるように溶解させ、室温下で12時間、さらに75℃に加温して24時間反応させ、ポリアミック酸樹脂の溶液を得た。
そして、所定のパターンとされた銅箔上に、厚み0.5μmのニッケル薄膜を無電解めっきで形成した後、実施例1と同一の感光性樹脂組成物の溶液を塗布し、実施例1と同様の方法によって、所定の開口部分を有するポリイミド樹脂からなる表面保護層を形成することにより、回路基板を得た。この回路基板は、図3(c)に相当するものであって、その開口部分には、電極が形成されることにより、接続端子部分として用いられる。
実施例13
表面保護層を形成するために、実施例2と同一の感光性樹脂組成物の溶液を用いた以外は、実施例12と同様にして回路基板を得た。
比較例1
実施例1と同一のポリアミック酸樹脂の溶液を用い、この溶液に、ポリアミック酸樹脂(固形分)100重量部に対して、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン15重量部を加え、均一に攪拌溶解させて、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
比較例2
実施例3と同一のポリアミック酸樹脂の溶液を用い、この溶液に、ポリアミック酸樹脂(固形分)100重量部に対して、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン15重量部を加え、均一に攪拌溶解させて、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
2 感光性樹脂組成物
3 フォトマスク
4 ベース層
5 導体層
6 表面保護層
Claims (5)
- ポリアミック酸樹脂と、下記一般式(1)で表わされる1,4−ジヒドロピリジン誘導体と、ポリエチレングリコールとを含有する感光性樹脂組成物を、基材の上に塗布し、その後、加熱乾燥させることにより、感光性樹脂組成物の皮膜を形成する工程、
感光性樹脂組成物の前記皮膜に、活性光線を照射することにより、ネガ型の潜像を形成する工程、
前記潜像が形成された前記皮膜を現像することにより、ネガ型のパターンの皮膜を形成する工程、および、
ネガ型のパターンの前記皮膜を硬化させることにより、絶縁層を形成する工程
を備えていることを特徴とする、絶縁層の製造方法。
- ポリアミック酸樹脂と、下記一般式(1)で表わされる1,4−ジヒドロピリジン誘導体と、ポリエチレングリコールとを含有する感光性樹脂組成物を、絶縁層およびその上に形成される導体層の上に塗布し、その後、加熱乾燥させることにより、感光性樹脂組成物の皮膜を形成する工程、
感光性樹脂組成物の前記皮膜に、活性光線を照射することにより、ネガ型の潜像を形成する工程、
前記潜像が形成された前記皮膜を現像することにより、ネガ型のパターンの皮膜を、前記導体層を被覆するように形成する工程、および、
ネガ型のパターンの前記皮膜を硬化させて、表面保護層を形成する工程
を備えていることを特徴とする、表面保護層の製造方法。
- 基材を用意する工程、および、
請求項1に記載の絶縁層の製造方法により、前記絶縁層を形成する工程
を備えていることを特徴とする、回路基板の製造方法。 - 前記絶縁層の上に導体層を形成する工程、および、
請求項2に記載の表面保護層の製造方法により、前記表面保護層を形成する工程
をさらに備えていることを特徴とする、回路基板の製造方法。 - 絶縁層とその上に形成される導体層とを形成する工程、および、
請求項2に記載の表面保護層の製造方法により、前記表面保護層を形成する工程
を備えていることを特徴とする、回路基板の製造方法。
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