JP4836168B2 - N−アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子の一塩基多型を検出するためのプライマーセット - Google Patents

N−アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子の一塩基多型を検出するためのプライマーセット Download PDF

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Description

本発明はN−アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子の一塩基多型を検出するためのプライマーセットに関する。
N-アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)遺伝子は結核治療薬であるイソニアジドの早い代謝及び遅い代謝に関与することが知られている。イソニアジドをリファンピシンと共に患者に投与した際、代謝が遅い患者では悪心・嘔吐、発熱、発疹、末梢神経障害が観察されることがあるが、これらの症状は、NAT2遺伝子上に存在する9箇所の一塩基多型の種類によって差異があることが知られていた。このことからNAT2遺伝子の一塩基多型を検出し、結核患者へのイソニアジドの投与量を調節することが重要であるといわれてきた(非特許文献1)。
NAT2遺伝子の一塩基多型を検出する方法としては、以下のような方法が知られている。(1)ゲノムDNAをpolymerase chain reaction(PCR)で増幅し、それを制限酵素で消化出来るか否かにより一塩基多型を検出する方法(PCR-RFLP法:非特許文献1)。
(2)塩基配列決定法によって検出する方法(非特許文献2)。
(3)TaqManプローブを用いて検出する方法(特許文献1)。
(1)の方法で検出しようとした場合、制限酵素での消化が不十分である場合などに消化されたPCR産物と未消化のPCR産物が混在することになり、誤判定の可能性がある。また、制限酵素の認識配列を持たない塩基番号341の多型を検出する場合、変異を導入したプライマーを用いて再度PCR反応を行う必要があり、操作が煩雑なうえ、時間もかかる。
(2)の方法で検出しようとした場合、1対のプライマーで9箇所の一塩基多型箇所すべてを含むフラグメントを増幅し塩基配列決定法に供することが出来るが、ゲノムから増幅したPCR産物の塩基配列をじかに決定しようとした場合、波形の重なり具合から野生型ホモまたは変異型ホモなのか野生型と変異型のヘテロなのかを判定することが非常に困難なことがある。この点を解消する為にゲノムから増幅したPCR産物をクローニングする方法が考えられるが、一種類のゲノム由来のクローンを複数塩基配列決定法に供する必要があり、非常な手間と時間を要する。
(3)の方法では、それぞれの変異に対応するTaqManプローブを作製し、それぞれのプローブに対して別々に反応を行わなければならないため、多型箇所を複数同時に検出することが出来ない。
一方、マイクロアレイを用いて多型を同時に検出することもできるが、そのためには検出対象となる配列を増幅する必要がある。増幅には1対のみのプライマーを用いることが考えられるが、1対のプライマーセットで増幅された単一フラグメントでは9箇所の多型を同時に検出することが困難であった。また、複数対のプライマーを用いることも考えられるが、その場合、各多型を含むフラグメントを同時に増幅することは困難であり、増幅に手間がかかるという問題があった。
特開2001-17185号公報 INT J TUBERC LUNG DIS (2000), vol. 4(3):p256-261 J Hum Genet(2001), vol. 46(6):p314-9
本発明は、NAT2遺伝子の第191、282、341、434、481、590、803、845、及び857番目の塩基における9種類の一塩基多型を同時に増幅する為のプライマーセット及び、その検出方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、特定の組合わせのプライマーセットを用いることにより、NAT2遺伝子の9種類の一塩基多型部位を含む複数のフラグメントを同時に増幅でき、さらに、該増幅産物を用いてハイブリダイゼーション反応を行うことにより9種類の一塩基多型を同時に検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のプライマーセットを提供する。
下記(a)〜(f)のプライマーのうち、
(I)(a)、(b)及び(f)
(II)(a)、(c)及び(f)
(III)(a)、(b)、(c)及び(f)
(IV)(a)、(c)、(e)及び(f)
(V)(a)、(b)、(c)、(d)及び(f)
(VI)(a)、(c)、(d)、(e)及び(f)、又は
(VII)(a)、(b)、(c)、(e)及び(f)、
(VIII) (a)、(b)、(d)、(e)及び(f)のいずれかの組合わせのプライマーを含む、N-アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子を増幅するためのプライマーセット;
(a)配列番号1に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
(b)配列番号2に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
(c)配列番号3に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
(d)配列番号4に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
(e)配列番号5に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
(f)配列番号6に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
本発明はまた、上記プライマーセットを用いてNAT2遺伝子を増幅する方法を提供する。
本発明はさらに、NAT2遺伝子の9種類の塩基多型のうち、(x)191、282及び341番目の塩基、(y)434、481及び590番目の塩基、(z)803、845及び857番目の塩基の1群以上をそれぞれ含む複数のフラグメントを、全体で前記9種類の多型を網羅するように、上記プライマーセットを用いて同時に増幅し、増幅されたフラグメントを用いたハイブリダイゼーション反応、好ましくはマイクロアレイを用いたハイブリダイゼーション反応によって、前記9種類の塩基における多型を同時に検出する方法を提供する。
本発明のプライマーセットを用いることにより、NAT2遺伝子の9種類の一塩基多型を簡便・且つ効率的に検出できる。検出された多型は薬剤に対する副作用の予測などに有用である。
本発明のプライマーセットは、下記(a)〜(f)のプライマーのうち、
(I)(a)、(b)及び(f)
(II)(a)、(c)及び(f)
(III)(a)、(b)、(c)及び(f)
(IV)(a)、(c)、(e)及び(f)
(V)(a)、(b)、(c)、(d)及び(f)
(VI)(a)、(c)、(d)、(e)及び(f)、又は
(VII)(a)、(b)、(c)、(e)及び(f)、
(VIII) (a)、(b)、(d)、(e)及び(f)のいずれかの組合わせのプライマーを含む、N-アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子を増幅するためのプライマーセットである。

(a)配列番号1に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
(b)配列番号2に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
(c)配列番号3に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
(d)配列番号4に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
(e)配列番号5に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
(f)配列番号6に示される塩基配列のうちの10塩基以上連続した塩基配列を有するプライマー
配列番号1〜6の配列はヒトNAT2遺伝子の塩基配列(例えば、配列番号7;GenBank Accession No.AF320309)の部分配列またはその相補配列である。配列番号1はNAT2遺伝子の150〜179番目の塩基配列、配列番号2はNAT2遺伝子の393〜422番目の塩基配列、配列番号3はNAT2遺伝子の741〜770番目の塩基配列、配列番号4はNAT2遺伝子の359〜388番目の塩基配列の相補配列、配列番号5はNAT2遺伝子の607〜636番目の塩基配列の相補配列、配列番号6はNAT2遺伝子の900〜929番目の塩基配列の相補配列である。
なお、ヒトNAT2遺伝子の配列は人種の違いなどにより変化することがあるため、NAT2遺伝子は配列番号7の塩基配列において1又は数個の塩基が置換・欠失もしくは付加された配列を有する遺伝子であってもよい。ここで数個とは、例えば、2〜50個、好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個、特に好ましくは2〜5個である。
上記6種類の配列に基いて設計されるプライマーを上記特定の組合わせで含むプライマーセットを用いることにより、NAT2遺伝子の191、282、341、434、481、590、803、845、及び857番目の塩基における一塩基多型を検出することができる。なお、多型の塩基番号はNAT2遺伝子の開始コドンATGのAから数えた番号で示しているが、これらの番号はNAT2遺伝子における塩基の付加や欠失によって変動することがあり、その場合、配列番号7の191、282、341、434、481、590、803、845、及び857番目の塩基に相当する塩基の番号となる。
上記の塩基には191G/A, 282C/T, 341T/C, 434A/C, 481C/T, 590G/A, 803A/G, 845A/C, 857G/Aの一塩基多型が存在する。なお、多型箇所の表記法は(塩基番号 野生型/変異型)のように示した。例えば、191G/Aとは、191番目の塩基に多型があり、Gが野生型NAT2遺伝子における塩基、Aが変異型NAT2遺伝子における塩基であることを意味している。
NAT2遺伝子上における配列番号1〜6の配列と一塩基多型箇所9箇所(191G/A, 282C/T, 341T/C, 434A/C, 481C/T, 590G/A, 803A/G, 845A/C, 857G/A) との位置関係は図1に示される。
プライマーの長さは10塩基以上であれば特に制限されないが、30塩基を越えると特異性が下がり、非特異的増幅が起こることがあるため、10〜30塩基が好ましく、15〜25塩基がより好ましい。
プライマーはフラグメントの増幅が出来る限り特に制限されず、DNA、RNA、その他の核酸のいずれでも良い。またプライマーは標識されたものであってもよい。プライマーを標識する物質は、通常のハイブリダイゼーション法に用いられる標識物質を使用することができる。このような標識物質として蛍光物質やハプテンなどが挙げられる。具体的にはフルオレセイン、ローダミン、フィコエリスリン、テキサスレッド、シアニン系蛍光色素が、ハプテンとしてはビオチン、ジゴキシゲニン、ジニトロフェニルなどが挙げられる。
本発明においては、上記のプライマーセットを用いることにより、NAT2遺伝子の多型のうち、(x)191、282及び341番目の塩基、(y)434、481及び590番目の塩基、(z)803、845及び857番目の塩基の1群以上をそれぞれ含む複数のフラグメントを全体で前記9種類の多型を網羅するように、同時に増幅する。ここで、同時とは、単一の反応系において、単一の増幅反応(増幅サイクル)で反応を行うことを意味する。
例えば、上記(I)のプライマーセットを用いる場合は、(a)及び(f)のプライマーによって9種類全ての多型部位の塩基を含むフラグメント、(b)及び(f)のプライマーによって434、481、590、803、845、及び857番目の6種類の多型部位の塩基を含むフラグメントの2つのフラグメントが同時に増幅される。
増幅方法は上記のプライマーを用いることができる方法であれば特に制限されないが、PCR(RT-PCR法を含む)、LAMP法(特許第3313358号明細書)、NASBA法(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification;特許2843586号明細書)、ICAN法(特開2002-233379号公報)などが挙げられる。この中ではPCR法が特に好ましい。反応条件は通常の条件を採用することができ、試料中の標的核酸の濃度などに応じて適宜変更することができる。
増幅に用いる鋳型は人由来のゲノム、プラスミド、RNAなど特に制限されない。核酸の調製は、通常核酸の調製に用いられている方法を採用することができる。例えばAnim.Sci.J.71(8):222−234,2000で紹介されている方法が挙げられる。
本発明においてはさらに、上記のようにして増幅されたフラグメントを用いてNAT2遺伝子の一塩基多型を検出することができる。検出方法は特に制限されず、TaqManプローブを用いた方法であってもよいが、同時に検出できる方法、例えば、DNAマイクロアレイを用いた方法のようなハイブリダイゼーション法を用いた検出法が好ましい。ここで、同時とは、単一の反応系において、単一の検出反応(ハイブリダイゼーション反応)で反応を行うことを意味する。
DNAマイクロアレイを用いる方法では、例えば、1枚の基板上に固定化された各多型に対応するプローブDNA(ここではキャプチャーオリゴDNAと呼称する)を用いることによって、各多型を同時に検出することができる。
キャプチャーオリゴヌクレオチドは、多型部位を含む領域の塩基配列に相補的又は相同な塩基配列を有するものを用いる。キャプチャーオリゴヌクレオチドの設計は、それぞれの遺伝子に存在する各々の多型部位を含むように行う。また、1つのキャプチャーオリゴヌクレオチドのなかに2塩基以上のタイプ固有の塩基配列が存在していてもかまわない。
キャプチャーオリゴヌクレオチドの塩基の長さは、10〜40塩基が好ましい。これより短いとハイブリダイゼーションの検出が困難になり、長いとタイプ固有の配列によるハイブリダイゼーションの差が少なくなり、タイプの判定が難しくなることがある。ただし
、このキャプチャーオリゴヌクレオチドの長さは、主として各塩基の含有率や同一塩基の繰り返しなどの配列の特性に依存する。また、ハイブリダイゼーションを妨げる要因である2次構造的障害がある場合は、遺伝子の多型性に関係しない任意の塩基をスペーサー化合物で置換することによりハイブリダイゼーションにおける結合親和性を緩和したオリゴヌクレオチドを用いることにより、前記障害を回避することもできる。このようなスペーサー化合物としては、いずれの種類の塩基との相補結合性を有しない核酸骨格等が挙げられる。
キャプチャーオリゴヌクレオチドの塩基配列の例を、配列番号8〜25に示す。なお、配列番号8,9が191番目の塩基の多型を検出するためのものであり、配列番号10,11が282番目の塩基の多型を検出するためのものであり、配列番号12,13が341番目の塩基の多型を検出するためのものであり、配列番号14,15が434番目の塩基の多型を検出するためのものであり、配列番号16,17が481番目の塩基の多型を検出するためのものであり、配列番号18,19が590番目の塩基の多型を検出するためのものであり、配列番号20,21が803番目の塩基の多型を検出するためのものであり、配列番号22,23が845番目の塩基の多型を検出するためのものであり、配列番号24,25が857番目の塩基の多型を検出するためのものである。
尚、配列番号8〜25に示した番号のほか、各塩基配列の5'側もしくは3'側またはその両方において、各々の塩基配列を、NAT2遺伝子の塩基配列に対応して伸長、または短縮させてもよいが、いずれの場合もキャプチャーオリゴヌクレオチドは10〜40塩基の範囲とすることが好ましい。
キャプチャーオリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、ペプチド核酸、またはロックド核酸のいずれであってもよい。また、標識されたものであってもよい。キャプチャーオリゴヌクレオチドの合成方法は、通常のオリゴヌクレオチドと同様にして、例えば市販のDNA合成機を用いる方法等によって、行うことができる。
ハイブリダイゼーションは、通常の核酸のハイブリダイゼーションと同様にして行うことができる。以下に具体的な方法を例示する。
SSC(Standard Saline Citrate)などの塩溶液、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ウシ血清アルブミンなどのブロッキング溶液、および反応促進のための添加剤からなる混合液に増幅フラグメントを加える。増幅フラグメントが2本鎖の場合は熱などによる変性を行う。支持体上に増幅フラグメント溶液を数μL滴下した後、数時間加熱操作(通常30℃〜80℃)を行い、支持体上に固定化されているキャプチャーオリゴヌクレオチドと増幅フラグメントでハイブリッドを形成させる。
適当な濃度のSSC溶液またはテトラメチルアンモニウムクロリド溶液中に支持体を沈め、加熱(通常37℃〜70℃)し、特異的なハイブリッドのみを選択的に支持体上に残す。このとき、SDSなどを加えても良い。
ハイブリッドの検出には増幅フラグメントに標識されている蛍光物質またはハプテン等を使用することが好ましい。蛍光物質を使用する場合は、専用の蛍光スキャナーを用いて検出することができる。
ハプテンを使用する場合は、ハプテンを認識するタンパクまたはそれに結合するタンパクと、アルカリフォスファターゼまたはホースラディッシュ・パーオキシダーゼなどの結合体(酵素コンジュゲート)を含む溶液を支持体上に加え、室温で数10分間反応させる。なお、このハプテンと酵素コンジュゲートの結合反応を行う前に、キャプチャーオリゴヌクレオチドを固定した領域以外の支持体の領域をカゼインやウシ血清アルブミンなどのタンパクを用いて被覆することによって酵素コンジュゲートと支持体の非特異的吸着を阻
止することができる。この処置は、オリゴヌクレオチドを固定した後、支持体上にカゼインなどのタンパクの溶液を加え、室温で数10分間放置することによって行うことができる。
酵素コンジュゲートと核酸プローブのハプテンとの結合反応後、ハプテンと結合しなかった酵素コンジュゲートを、界面活性剤を含む適当な緩衝液で洗浄することによって、支持体上には増幅フラグメントのハプテンと結合した酵素コンジュゲートのみが残ることになる。
この後酵素コンジュゲートに結合されたアルカリフォスファターゼまたはホースラディッシュ・パーオキシダーゼなどの酵素によって発色し、沈着するような化合物を添加することでハイブリッドを形成している部分だけが可視化される。
ここで用いられる化合物としては、ニトロブルーテトラゾリウムクロライド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸−p−トルイジン塩)、3,3',5,5'−テトラメチルベンチジンなどが用いられる。
多型の検出は、得られたハイブリダイゼーションの結果をもとに、キャプチャーオリゴヌクレオチド毎に沈着した色素または蛍光を検出することで行う。具体的には、キャプチャーオリゴヌクレオチド毎の発色量および蛍光強度を、対応するキャプチャーオリゴヌクレオチドと比較し、その量の大きい方をハイブリダイゼーション陽性と判定する。量が同じときは共に陽性と判定する。また、その基準は特に制限されないが、用いる標識物質等によって異なるため、検出系毎に基準を決めることが望ましい。
プライマーはどのように組み合わせれば9箇所の多型を一度に検出できるかを調べた。
<1>オリゴヌクレオチドの合成
定法に従い、オリゴヌクレオチド合成機(Perkin-Elmer Applied biosystems)を用いて、オリゴヌクレオチドを合成し、脱保護を施した後、乾燥させた。このオリゴヌクレオチド乾燥体を、10mM Tris-HCl(pH7.5)、1mM EDTA緩衝液を用いて溶解し、100pmol/μLのオリゴヌクレオチド溶液を調製した。この合成法は、キャプチャーオリゴヌクレオチド又はプライマーとして使用するいずれのオリゴヌクレオチドに対しても同様である。キャプチャーオリゴヌクレオチド(配列番号8−25)については上記合成機を用いて5'末端にアミノ基を結合させ、プライマーには5´末端にビオチンを結合させた。
<2>基板へのキャプチャーオリゴヌクレオチドのスポッティング
5'末端にアミノ基を有するオリゴヌクレオチド溶液10μLに対してマイクロスポッティング溶液(TeleChem International Inc.)を10μL混合し、マイクロタイタープレート(Greiner Laboratory Inc.)上に分注した。スポッティングマシンの所定の位置にカルボジイミド樹脂処理スライドグラスOligoArray(日清紡績株式会社)を配置し、スポッティングマシンを作動させた。スポッティング終了後、スライドグラスに熱水からの蒸気を数秒間あて、その後紫外線を600mJ照射した。再度蒸気に数秒間曝露した後、ホットプレート上にスライドグラスを置いて水分を除去した。スライドグラスを3% BSA(ウシ血清アルブミン)を含む100mM Tris-HCl(pH7.5), 100mM NaCl,0.1% Triton X-100に室温で30分間浸し、ブロッキングした。その後、10mM Tris-HCl(pH7.5), 1mM EDTA緩衝液で洗浄した。スライドグラスを室温で乾燥させ、使用まで乾燥状態で冷暗所にて保存した。
<3>プローブ核酸(増幅フラグメント)の調製
ヒトのゲノムDNAを鋳型として、それぞれPCRによりプローブ核酸を調製した。
核酸はHuman Genomic DNA(Roche社製)を使用した。このゲノムDNAの塩基配列をシークエンス法にて調べたところ、NAT2遺伝子の多型部位191はG、282はCとTのヘテロ、341はTとCのヘテロ、434はA、481はCとTのヘテロ、590はGとAのヘテロ、803はAとGのヘテロ、845はA、857はGであることが分かった。
PCRに用いたプライマーは、GGGCTTAGAGGCTATTTTTGATC(配列番号1の1〜23番目:プライマー1)、GTGGCAGCCTCTAGAATTAATTTC(配列番号2の1〜24番目:プライマー2)、AGACAATACAGATCTGGTCGAG(配列番号3の1〜22番目:プライマー3)、GGGAGGAGCTTCCAGACCCAG(配列番号4の1〜21番目:プライマー4)、AGACGTCTGCAGGTATGTATTC(配列番号5の1〜22番目:プライマー5)GTTGATAATTAGTGAGTTGGGTG(配列番号6の1〜23番目:プライマー6)を使用し、表1に示すプライマーの組合せでPCR反応を行った。
PCR反応液の組成は、Taq DNAポリメラーゼを1Unit、プライマーを各10pmol、反応用緩衝液5μl、dNTPを各10nmol、テンプレートDNAを100ng、および滅菌水を加えて総量50μlとした。チューブに入れた溶液をサーマルサイクラーにセットして、95℃で3分間加熱した後、95℃:1分間、59℃:30秒間、72℃:30分間の反応を40サイクル行い、その後72℃:3分間反応させた。
<4>ハイブリダイゼーション
<3>で作製したプローブ核酸(増幅フラグメント)溶液を6μlエッペンチューブに取り、95℃で1分間加熱処理を行った後、氷中に5分間浸した。これを室温に戻し、ArrayIt Unihyb Hybridization Solution(TeleChem International Inc.)6μlを加えて混合し、プローブ核酸溶液とした。プローブ核酸溶液を全量とり、<2>で作製したキャプチャーオリゴヌクレオチドを固定化した基板にのせ、その上にカバーグラスをのせた。これを保湿箱に入れ、さらに37℃に設定した恒温器に入れて120分間静置した。基板を取り出し、すばやく室温下で2×SSC溶液(2×SSC:0.033M NaCl, 0.033Mクエン酸ナトリウム)に浸してカバーグラスを除去し、基板を37℃で2×SSCに5分間浸した。
<5>ハイブリダイゼーションシグナルの検出
ハイブリダイゼーションを終えた基板を2×SSCから取り出し、遠心機(Beckman社製)にセットし、2000rpmで1分間遠心した。次にVECTASTAIN Elite ABC kit(VECTOR社)を用いてアビジン−ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体を作製し基板上に1.4ml滴下し、室温下で30分間静置した。その後、PBS溶液(10mMリン酸ナトリウム,pH7.5、0.9%塩化ナトリウム)中で洗浄した。TMB substrate kit for peroxidase (VECTOR社)を用いて発色溶液を作製し基板上に1.4ml滴下し、室温下で30分間静置した。基盤を蒸留水で洗浄して発色反応を停止した。
<6>判定
それぞれのプライマーの組合せによるPCR反応で得られたプローブ核酸をアレイで検出した結果と、ゲノムDNAをシークエンスすることで得られたNAT2遺伝子の多型とを比較し、両者が合致したものは○、合致しなかったものについては×で記した(表1)。ここで合致しなかったものには、ハイブリダイゼーションの結果、発色シグナルが現れなかったものを含む。
例えば2つのプライマー1と6の組合せを用いた場合(実験番号1)は、多型のうち341はTとC、434はA、481はCとT、590はGとA、803はAとG、845はAとC、857はGとAと判定され、845と857がシークエンス法により得られたNAT2遺伝子の多型と一致しなかった。また、191と282はシグナルが検出出来なかったことから、NAT2遺伝子の全ての多型を一度に正確に検出することは出来なかった。
また6つのプライマー全てを用いた場合(実験番号16)は、多型のうち191がG、282がCとT、341がTとC、434がA、481がCとT、590がGとAと判定されたが、803、845、857のハイブリダイゼーションシグナルは検出出来なかった。従ってNAT2遺伝子の全ての多型
を一度に正確に検出することは出来なかった。
一方で、3つのプライマーの組合せのうち実験番号3と5、4つのプライマーの組合せのうち実験番号10と11、5つのプライマーの組合せの全て(実験番号12、13、14、15)のプライマーを用いた場合には、9つの多型がそれぞれ191はG、282はCとT、341はTとC、434はA、481はCとT、590はGとA、803はAとG、845はA、857はGと判定され、シークエンス法により得られたNAT2遺伝子の多型と一致した。従ってNAT2遺伝子の全ての多型を一度に正確に検出することが出来た。
Figure 0004836168
NAT2遺伝子における各プライマーと各多型の位置を示す図。

Claims (4)

  1. 下記(a)〜(c)、(e)、(f)のプライマーのうち、
    (I)(a)、(b)及び(f)
    (II)(a)、(c)及び(f)
    (III)(a)、(b)、(c)及び(f)
    (IV)(a)、(c)、(e)及び(f)
    のいずれかの組合わせのプライマーを含む、N−アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子を増幅するためのプライマーセット;
    (a)配列番号1に示される塩基配列の1〜23番目の塩基配列からなるプライマー
    (b)配列番号2に示される塩基配列の1〜24番目の塩基配列からなるプライマー
    (c)配列番号3に示される塩基配列の1〜22番目の塩基配列からなるプライマー
    (e)配列番号5に示される塩基配列の1〜22番目の塩基配列からなるプライマー
    (f)配列番号6に示される塩基配列の1〜23番目の塩基配列からなるプライマー。
  2. N−アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子を増幅する方法であって、請求項1に記載のプライマーセットを用いて増幅することを特徴とする方法。
  3. N−アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子の配列番号7の塩基配列の1番目の塩基から数えた191、282、341、434、481、590、803、845及び857番目の塩基における一塩基多型9箇所を同時に検出する方法であって、(x)191、282及び341番目の塩基、(y)434、481及び590番目の塩基、(z)803、845及び857番目の塩基のうちの1群以上をそれぞれ含む複数のフラグメントを、全体で前記9種類の多型を網羅するように、請求項1に記載のプライマーセットを用いて同時に増幅し、増幅された産物と各多型に対応するプローブDNAとのハイブリダイゼーション法によって前記多型を検出することを特徴とする方法。
  4. ハイブリダイゼーション反応がマイクロアレイを用いたハイブリダイゼーション反応である請求項3に記載の方法。
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