JP4834944B2 - グラビア印刷の印刷不良防止方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はグラビア印刷の印刷不良防止方法に関し、特に、被印刷材に印刷方向に生じる線状の汚れや面状に薄く出る汚れの防止に有効なグラビア印刷の印刷不良防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、グラビア印刷に用いるグラビア印刷版(以下単に版という)は、円筒状の鉄心(シリンダ)の外周面に銅メッキ層を形成し、その銅メッキ層の画線部に多数のセルを形成し、その後、版の耐摩耗性向上のため、外周全面にクロムメッキ層を形成している。この版を用いてグラビア印刷を行うには、版にインキを供給してセル内にインキを満たし、版表面の余剰のインキをドクターブレードによってかき落とし、セルの中に入ったインキを被印刷材に転写するという方法を採っている。
【0003】
ところが、このグラビア印刷において、版の非画線部表面のインキをドクターでかき落としているにもかかわらず、被印刷材の非画線部に対応する部分にインキが転写し、インキ汚れを生じるという問題があった。このインキ汚れには、種々な種類のものがあり、その代表的なものとして、印刷方向に直線状に10〜30cm程度の長さで且つ狭い幅(例えば、0.1〜5mm程度)に比較的濃く生じる、いわゆるツーツー汚れ(以下線状汚れという)と、面状に薄く出る汚れ(以下かぶりという)があった。
【0004】
そこで、本出願人はこの線状汚れを防止すべく検討の結果、グラビア印刷版表面の有効印刷領域内の非画線部に、円周方向と交差する方向に延びる深さ0.3μm以下の微小溝を形成することが線状汚れの防止にきわめて有効であることを見出し、特許を得た(特許第3022986号公報参照)。しかしながら、この特許公報に記載の方法にも更に改良すべき点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、上記特許では、非画線部に対して微小溝を研磨によって形成しており、このため、セルメイク工程の他に、微小溝を形成するための研磨工程を必要とし、その分工程が増え、コスト高となる。また、研磨によって形成する微小溝の深さが深過ぎると、インキが転写して汚れとなり、また、浅過ぎると線状汚れ防止の効果がなく、このため研磨にスキルが必要であり、この点からもコスト高となる。更に、使用によって表面が摩耗すると微小溝の効果が少なくなるため、比較的短期間で再研磨を行う必要が生じ、メンテナンスに費用がかかる等の問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、上記特許で必要としていた微小溝形成のための研磨工程を不要とし、簡単な操作を追加するのみで線状汚れのみならず、かぶりも防止しうるグラビア印刷の印刷不良防止方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の印刷不良防止方法は、グラビア印刷版表面の有効印刷領域内の非画線部に、微小溝を形成する代わりに、インキが転移されない大きさの微小セルを形成する構成とし、しかも、その微小セルの形成を、グラビア印刷版表面に画線部のセルを形成する工程で同時に行うと共に、その微小セルの位置を、前記画線部の網点と同一配列の点の上とすることを基本構成とする。そして、前記画線部のセルを形成する工程で同時に前記非画線部に前記微小セルを形成するための方法として、請求項1−3に記載の方法を挙げることができる
すなわち、請求項1に係る発明は、印刷すべき画像データに基づいて製版データを作成し、この製版データを、その製版データの画線部の濃度に対する出力は、その濃度にほぼ比例するが、非画線部の濃度に対する出力は、インキ転移を生じない程度の微小なセルを形成しうる大きさとなる特性の刷版出力カーブを用いて、網点の大きさに変換加工して、刷版データを作成し、その刷版データを用いてグラビア印刷版表面にセルメイクすることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、印刷すべき画像データ全体に、インキ転移を生じない程度の微小なセルを形成しうる濃度データを加算し、それに基づいて製版データを作成し、この製版データを、製版データの濃度に対する出力がほぼ比例した特性の刷版出力カーブを用いて、網点の大きさに変換加工して、刷版データを作成し、その刷版データを用いてグラビア印刷版表面にセルメイクすることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、印刷すべき画像データから非画線部を抽出し、その非画線部に、インキ転移を生じない程度の微小なセルを形成しうる濃度のマスクを作成し、そのマスクと前記画像データを合成し、それに基づいて製版データを作成し、この製版データを、製版データの濃度に対する出力がほぼ比例した特性の刷版出力カーブを用いて、網点の大きさに変換加工して、刷版データを作成し、その刷版データを用いてグラビア印刷版表面にセルメイクすることを特徴とする。
請求項1、2、3に係る発明では上記構成により、画線部のセルを形成する工程で同時に非画線部にインキが転移されない大きさの前記微小セルを形成することができ、得られたグラビア印刷版は、非画線部に、多数の微小セルをきわめて小さいピッチで形成していることにより、線状汚れ等の印刷不良を防止できる。ここで、非画線部に形成した微小セルによる印刷不良防止の理由は次のように考えられる。第一には、ドクターブレードと版面との間に、インキの固形物、ドクター摩耗粉、被印刷材のかす等の異物がはさまって、その近傍のインキ掻き取り不良を生じ、線状汚れが発生しそうになっても、直ちにその異物がドクターブレードの下を通過する微小セルに捕捉されてドクターブレードの下から外れ、これによってインキ掻き取り不良が防止され、線状汚れが防止される。第二には、非画線部に形成した微小セルにもインキが満たされるため、版面の非画線部の潤滑性が良くなり、版面とドクターブレードとの摩擦抵抗が、画線部、非画線部に係わらず均一になって、局部的なインキ掻き取り不良の発生が抑制され、線状汚れやかぶりが防止される。第三には、版面とドクターブレードとの摩擦抵抗が均一になった結果、ドクターブレードの摩耗が均一となり、局部的な摩耗拡大によるインキ掻き取り不良が防止され、線状汚れやかぶりが防止される。
【0008】
上記したように、本発明は、非画線部の、画線部の網点と同一配列の点(仮想網点という)の上に微小セルを形成するものであるが、その際、微小セルは必ずしも前記した仮想網点の全部に形成する必要はない。すなわち、微小セルの間隔は小さい程、異物捕捉確率が増大するため好ましく、従って、全仮想網点上に微小セルを形成することが好ましいが、製造誤差等によって一部仮想網点上に微小セルが形成されていなくても、印刷不良防止効果は得られるので、支障はない。通常、非画線部の全仮想網点の50%以上に微小セルを形成すれば良好な印刷不良防止を行うことができる。従って、本発明は、仮想網点の全部に微小セルを形成する場合に限らず、一部の仮想網点上に微小セルが形成されない場合をも包含するものである。
【0009】
本発明の印刷不良防止方法は、非画線部の微小セルの形成を、版面に画線部のセルを形成する工程(セルメイク工程)で同時に行う構成としているため、従来のように、セルメイク工程とは別に、研磨によって微小溝を形成する場合に比べて、コストダウンを図ることができる。また、インキ転移を生じない微小セルとしては、深さが、例えば、4〜5μmというように、かなり深いものを使用でき、このため、版を長期間使用しても微小なセルが浅くなって効果がなくなるということはなく、このため長期間に渡って使用できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1(a)は本発明の一実施の形態で用いるグラビア印刷版1の概略斜視図である。版1は、有効印刷領域2内に、画線部3と非画線部4を有している。図1(b)はその版1の画線部3と非画線部4を拡大して示す概略断面図であり、図示したように、画線部3には、通常の版と同様に、各網点Pにセル5が形成されている。一方、非画線部4には、従来と異なり、多数の微小セル6が形成されている。この微小セル6は、インキが転移されない大きさのものとしており、これにより、微小なセル6内にインキが満たされていても、被印刷材にインキが転写されることはなく、従って、非画線部4にこの微小なセル6を形成しても印刷画像にはなんら支障はない。微小セル6の形成位置は、非画線部4に画線部3の網点Pと同一配列の仮想網点Qを想定し、その仮想網点Q上としている。換言すれば、非画線部4を画線部とした時の網点となる位置に仮想網点Qを想定し、その仮想網点Qに微小セル6を形成している。この配列を採用したことにより、セル5と微小セル6が同一配列となるので、微小セル6を画線部のセル5の形成工程で同時に形成できる(詳細は後述する)。微小セル6の断面形状は特に限定されず、通常のセルメイクによって形成される形状、例えば、図2(a)に示す、彫刻によって形成される略V字状のもの、図2(b)に示す、エッチングによって形成される略U字状のもの等を用いることができる。
【0011】
微小セル6の具体的な大きさは、微小セル6の断面形状によっても異なるが、図2(a)に示すように、彫刻によって形成した略V字状の場合には、開口部分の幅Wを8〜16μm程度、深さDを2〜5μmとすることが好ましく、また、図2(b)に示すように、エッチングによって形成した略U字状の場合には、開口部分の幅Wを6〜13μm程度、深さDを30μm以下とすることが好ましい。これらの大きさの微小セル6を用いることで、微小セル6内のインキの被印刷材への転写を生じることなく、線状汚れやかぶりの発生を防止できる。
【0012】
上記したように、微小セル6は画線部の網点と同一配列の仮想網点Q上に形成されており、セルメイク工程で画線部のセル5と一緒に形成される。かくして微小セル6の形成コストをきわめて低くすることができる。なお、微小セル6は画線部における通常のセル5に比べてかなり小さいため、セル5と同一形成方法(例えば、彫刻、エッチング等)を用いて形成した場合、製造誤差等によって、必ずしも全数が均等に形成されるとは限らず、きわめて小さいセルとなったり、場合によっては微小セルが形成されない場合もある。例えば、図3(a)に示すように、規則的に配列されている仮想網点Qの全部に微小セル6を形成することが好ましいが、全仮想網点Qに微小セルを形成するように彫刻或いはエッチングを行っても、製造誤差等によって、図3(b)に示すように、一部の仮想網点Q′にはセルが形成されない場合がある。このような場合においても、セルが形成された仮想網点の全仮想網点に対する比率が、50%程度以上あれば、良好な印刷不良防止効果が得られるので、支障はない。
【0013】
なお、図1において、版1の有効印刷領域2以外の領域の構成は任意であり、必要に応じ、異物を捕捉するための溝、深いセル、微小セル等を形成してもよい。
【0014】
次に、版1の非画線部3に微小セル6を形成する方法の具体的な例を説明する。図4は彫刻機13を用いて、彫刻前の版(シリンダの外周面にセル形成用の銅メッキ層を備えたもの)1Aにセルメイクする場合の1例を示す概略ブロック線図である。この例では、まず印刷すべき画像データ10を用意し、この画像データ10に基づいて、通常の製版の場合と同様に、製版データ11を作成する。製版データ11は画像データを加工して得られるもので、複数の画像データを組み合わせたり(集版)、一つの画像データを複製し、多面付けにしたり、色分解したり、印刷に必要なマークを入れたり、多くのデータ加工が行われる。
【0015】
次に製版データ11の各網点の濃度のデータを、対応する各網点の大きさに変換加工し、刷版データ12を作成する。ここで、従来は、製版データから刷版データを作成する際に、製版データ11における各網点上の濃度(入力)と刷版データにおける各網点の大きさ(出力)がほぼ比例する刷版出力カーブ、例えば、図5(a)の直線15を用いていた。なお、従来の刷版出力カーブでは、製版データにおける濃度と刷版データにおける網点の大きさは、厳密には比例していないが、ここでは簡便のため、比例する直線15にて代用している。また、図5(a)において、A点は画線部の最低濃度(例えば、1%。なお、図面を分かりやすくするため、A点位置を実際の目盛り位置とは異ならせて示している)に対応する点であり、製版データ11の画線部の濃度はA点以上であり、非画線部では濃度0となっている。直線15で示す従来の刷版出力カーブを用いて刷版データを作成すると、画線部では各網点の大きさは画像濃度にほぼ比例したものとなり、非画線部では各網点の大きさは0となる(従って、網点は形成されない)。これに対し、本実施の形態では、刷版出力カーブを、図5(b)に示すように、画線部の最低濃度よりも少し低い濃度に対応するB点よりも高濃度側では、従来の直線15と同じ特性の直線15aとするが、B点以下では常に出力がインキ転移されない大きさの微小セルを形成しうる大きさ(例えば、0.4%程度)となる直線16とする。この刷版出力カーブ(直線15a及び16)を用いることにより、得られた刷版データ12(図4参照)では、画線部3の各網点は、画像濃度に応じた大きさとなっており、一方、非画線部の各網点(仮想網点)の大きさは、画像濃度が0であるにもかかわらず、インキ転移されない大きさの微小セルを形成しうる大きさとなっている。このようにして刷版データ12を作成し、その刷版データ12を彫刻機13に入力することで、未彫刻の版(シリンダ)1Aに彫刻が施され、彫刻済版(シリンダ)1Bが完成する。得られた彫刻済版1Bでは、画線部3の各網点位置に、製版データ11の画像濃度に応じた大きさのセル5(図1参照)が形成され、非画線部4(画像濃度0)の各網点位置(各仮想網点位置)に、インキ転移を生じない程度の微小セル6が形成されている。その後、この版1Bの外周面にクロムメッキを施すことで、図1に示す版1を作成できる。以上のように、この実施の形態では、図5(b)のように刷版出力カーブをわずかに変更するのみで画線部と非画線部にそれぞれ、セル5及び微小セル6を形成することができ、セルメイク工程においてインキ汚れ防止用の微小セル6を同時に形成できる。
【0016】
上記した実施の形態では、刷版出力カーブとして、図5(b)に示す直線15a、16を用いているが、使用しうる刷版出力カーブは、これに限定されず、製版データの画線部の濃度に対する出力が、その濃度にほぼ比例するが、非画線部の濃度(濃度0)に対する出力は、インキ転移を生じない程度の微小なセルを形成しうる大きさとなる特性のものであれば、適宜変更可能である。例えば、図5(c)の直線17を刷版出力カーブとして使用することも可能である。この直線17は、従来使用している刷版出力カーブ(直線15)からずれているため、厳密には画線部における濃度バランスが再現されないが、そのずれ量はきわめて微々たるものであるので、実用上全く問題がなかった。
【0017】
図6は彫刻機を用いて版1Aにセルメイクする場合の別の例を示す概略ブロック線図である。この例では、画像データ10の他に、全体を、画線部の最低濃度よりも更に低い濃度で、且つ、インキ転移を生じない程度の微小なセルを形成しうる均一濃度、例えば0.4%濃度とした濃度データ20を用意し、画像データ10に濃度データ20を加算して製版データ21を作成する。得られた製版データ21は全体的に濃度が0.4%増加したものとなっている。次に、この製版データ21から、従来通常に用いられている刷版出力カーブ{図7に示す直線15、すなわち図5(a)に示す直線15と同じもの}を用いて刷版データ22を作成する。これにより、得られた刷版データ22では、画線部3の各網点は、画像濃度+0.4%に応じた大きさとなっており、一方、非画線部の各網点(仮想網点)の大きさは、インキ転移されない大きさの微小セルを形成しうる大きさとなっている。このようにして作成した刷版データ22を彫刻機13に入力することで、未彫刻の版(シリンダ)1Aに彫刻が施され、彫刻済版(シリンダ)1Cが完成する。得られた彫刻済版1Cでは、画線部3の各網点位置に、製版データ11の画像濃度+0.4%に応じた大きさのセルが形成され、非画線部4(画像濃度0)の各網点位置(各仮想網点位置)に、インキ転移を生じない程度の微小セルが形成されている。その後、この版1Cの外周面にクロムメッキを施すことで、図1に示す版1を作成できる。以上のように、この実施の形態では、製版データ21を作成する際に、濃度データ20を追加することにより、セルメイク工程において、画線部のセル形成と同時に、非画線部にインキ汚れ防止用の微小セル6を同時に形成できる。更に、この実施の形態では、刷版データ作成時、既存の刷版出力カーブ{図5(a)、図7の直線15}をそのまま用いることができるので、刷版出力カーブを変更することが困難な場合に、例えば、刷版データに変換する部位が既設の彫刻機に内蔵されていて、それを変更することが困難な場合に、好適である。なお、この実施の形態では、画線部のセルの大きさが製版データの濃度よりもわずかに(0.4%)大きくなっており、従って厳密には濃度バランスが違っているが、この濃度差は微々たるものであるので、実用に問題はなかった。もし、この差を無くしたい場合には、画像データ10の濃度を予め下げておき、その後、濃度データ20を加算して製版データ21を作成し、それを用いて刷版データ22を作成することにより、図5に示す刷版データ12と同一のデータを得ることができ、これを用いることで、版の画線部に濃度に合った大きさのセルを形成できる。
【0018】
図8は彫刻機を用いて版1Aに彫刻する場合の更に他の例を示す概略ブロック線図である。この例では、まず印刷すべき画像データ10を読み取って非画線部のみを抽出したマスク30を作成し、そこから非画線部に、インキ転移を生じない程度の微小セルを形成しうる濃度のマスク30Aを作成する。次に、マスク30Aと画像データ10を合成し、製版データ31を作成する。この製版データ31から、従来通常に用いられている刷版出力カーブ{図5(a)に示す直線15}を用いて刷版データ32を作成する。これにより、得られた刷版データ32は、図4に示す刷版データ12と同じく、画線部3の各網点は、画像濃度に応じた大きさとなっており、一方、非画線部の各網点(仮想網点)の大きさは、インキ転移されない大きさの微小セルを形成しうる大きさとなっている。この刷版データ32を用いて彫刻機13で版1Aに彫刻することで、図4の実施の形態と同様に、版1Bを形成でき、セルメイク工程において、画線部のセル形成と同時に、非画線部にインキ汚れ防止用の微小セル6を同時に形成できる。また、この実施の形態でも、図6の実施の形態と同様に、刷版データ作成時、既存の刷版出力カーブを用いることができ、刷版データを変更することが困難な場合に好適である。なお、図8の実施の形態において、画像データ10に対するマスクを作成、合成するのは、かえって工程が増える印象があるが、先に説明した通り、画像データから製版データを生成するには集版、色分解など、数多くの工程が必要であり、最終段階で、本マスク処理すること自体が製版データ作成時間に占める割合は極めて小さい。また、近年の画像デジタル処理技術の進歩により、マスク作成、合成はますます簡単に実現できるようになった。従って、マスクの作成、合成はさほどの負担とはならない。
【0019】
なお、図4、図6、図8に示す実施の形態では、セルメイクを彫刻機を用いて行う場合を示したが、本発明はこの場合に限らず、エッチングによる方法を採用してもよい。その場合には、例えば、彫刻機でセルメイクする代わりに、版表面に形成したフォトレジスト膜を刷版データに基づいてレーザ光照射して露光すればよく、その際に図4の刷版データ12、図6の刷版データ22、図8の刷版データ32を用いることにより、画線部のセルメイクと同時に、非画線部にインキ汚れ防止用の微小セルを形成できる。
【0020】
また、上記した実施の形態では、微小セルの形成のために、通常のセルメイク工程において、(1)刷版出力カーブの変更による刷版データの変更、(2)画像データ全体に濃度データを加算して作る製版データの変更、(3)画像データの非画線部に濃度マスクを加算して作る製版データの変更、のいずれかの方法を用いているが、本発明はこれらの方法をそれぞれ単独で実施する場合に限らず、これらを適宜組み合わせて実施してもよい。
【0021】
以上のようにして作成した版1では、図1に示すように、非画線部4に多数の微小セル6が形成されているため、版面とドクターブレードの間に異物がはさまってドクターブレードが部分的に持ち上げられた状態となっても、版面の微小セル6がドクターブレードの下を通過する際に、その異物が微小セル6に引っかかって捕捉され、これによってドクターブレードの下から排出される。これにより、線状汚れの発生が防止される。また、非画線部4に形成した微小セル6にもインキが満たされるため、版面の非画線部の潤滑性が良くなり、版面とドクターブレードとの摩擦抵抗が、画線部、非画線部に係わらず均一になって、局部的なインキ掻き取り不良の発生が抑制され、また、それによってドクターブレードの摩耗が均一となり、局部的な摩耗も抑制でき、これらによって、線状汚れやかぶりを防止できる。更に、非画線部4に形成した微小セル6は、前記した特許第3022986号公報に記載の微小溝に比べて、深さがかなり深いため、版1の表面が多少摩耗しても、セル6の深さはほとんど変化せず、長期間に渡って所定の機能を発揮する。このため、この版1は長期間に渡って安定して使用することができる。従来、印刷動作中に線状汚れやかぶり等の印刷不良が発生した時には、版表面をオペレータが手作業で研磨しており、このため、表面が摩耗すると共に画線部のセル5にも研磨の影響がでる。そのため、版を適当な期間使用した後、再生する場合には、版表面のクロムメッキ層を除去するのみならず、その下のセルを形成している銅メッキ層も除去し、銅メッキ層の形成、セルメイク、クロムメッキ層の形成といった多くの工程を必要とするが、上記した本発明の実施の形態に係る版では、線状よごれやかぶりがほとんど発生しないので、長期間使用した場合にも、版表面を手作業で研磨する必要がほとんどなく、このため、版1に形成しているセル5や微小セル6がほとんど損傷しない。従って、再生に当たっては、単にクロムメッキ層を除去し、再度クロムメッキ層を形成する(いわゆるリクロームする)のみでよく、再生のための工数を削減してコストダウンを図ることもできる。
【0022】
【実施例】
以下、更に具体的な実施例を説明する。
グレー、コン、トクアイ、アイ、ムラサキ、アカの6色の印刷ユニットを備えた印刷機において、各印刷ユニットに表1に示す版をセットして印刷テストを行った。
【0023】
【表1】
Figure 0004834944
【0024】
印刷テストの結果、表2に示す結果を得た。この表2から明らかなように、非画線部に微小セルを形成した印刷ユニットでは、リクローム版でもインキ汚れが発生しておらず、微小セルを形成したことが印刷不良防止に有効であることが確認できた。また、リクローム版をも支障なく使用することができることも確認できた。
【0025】
【表2】
Figure 0004834944
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、版表面の非画線部にインキが転移されない大きさの微小セルを多数形成したことにより、非画線部に生じがちな線状汚れやかぶりを防止でき、しかも、微小セルは、従来印刷不良防止のために形成していた微小溝に比べて深くすることが可能であるので、版を長期間使用しても微小なセルが浅くなって効果がなくなるということはなく、このため版を長期間に渡って使用できるという効果を有している。また、印刷不良が生じないため、版表面を手作業で研磨するという必要がなくなり、このため画線部のセルの劣化がなく、版再生時には表面のクロムメッキ層を更新するのみで再生でき、低コストでの再生が可能となるいう効果もある。
【0027】
更に、微小セルの形成のためには、通常のセルメイク工程において、(1)刷版出力カーブの変更による刷版データの変更、(2)画像データ全体に濃度データを加算して作る製版データの変更、(3)画像データの非画線部に濃度マスクを加算して作る製版データの変更、のいずれかの方法を単独で適用するか、あるいはこれらの方法を適宜組み合わせて適用すればよく、これによって、画線部のセルメイクと同時に、非画線部に、インキが転移されない大きさの微小のセルを形成できる。このため、既存の彫刻機、エッチング機によって微小セルを作り出すことができ、簡単に且つ低コストで微小セルを形成できる。しかも、従来、印刷不良防止のための微小溝形成のために研磨機を用いていたが、本発明では、既存の彫刻機、エッチング機によって微小セルを作り出すことができるため、これまでの研磨機を必要としない。このため、研磨機導入のコスト、研磨工程の削除ができ、低コスト、短納期で版を作成することができるといった効果も有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の実施の形態で用いるグラビア印刷版の概略斜視図
(b)そのグラビア印刷版の画線部と非画線部を拡大して示す概略断面図
【図2】(a)、(b)は微小セルの断面形状の例を示す概略断面図
【図3】(a)、(b)は微小セルの配置例を示す概略平面図
【図4】微小セル形成工程の1例を示す概略ブロック線図
【図5】(a)は通常に使用する刷版出力カーブを示すグラフ
(b)は図4に示す工程で使用する刷版出力カーブを示すグラフ
(c)は図4に示す工程で使用する刷版出力カーブの他の例を示すグラフ
【図6】微小セル形成工程の他の例を示す概略ブロック線図
【図7】図6に示す工程で使用する刷版出力カーブを示すグラフ
【図8】微小セル形成工程の更に他の例を示す概略ブロック線図
【符号の説明】
1 版(グラビア印刷版)
2 有効印刷領域
3 画線部
4 非画線部
5 セル
6 微小セル

Claims (3)

  1. グラビア印刷版表面に画線部のセルを形成する工程において、同時に、グラビア印刷版表面の有効印刷領域内の非画線部の、画線部の網点と同一配列の点の上に、インキが転移されない大きさの微小セルを形成することを特徴とし、更に、前記画線部のセルを形成する工程で同時に前記非画線部に前記微小セルを形成するために、印刷すべき画像データに基づいて製版データを作成し、この製版データを、その製版データの画線部の濃度に対する出力は、その濃度にほぼ比例するが、非画線部の濃度に対する出力は、インキ転移を生じない程度の微小なセルを形成しうる大きさとなる特性の刷版出力カーブを用いて、網点の大きさに変換加工して、刷版データを作成し、その刷版データを用いてグラビア印刷版表面にセルメイクすることを特徴とするグラビア印刷の印刷不良防止方法。
  2. グラビア印刷版表面に画線部のセルを形成する工程において、同時に、グラビア印刷版表面の有効印刷領域内の非画線部の、画線部の網点と同一配列の点の上に、インキが転移されない大きさの微小セルを形成することを特徴とし、更に、前記画線部のセルを形成する工程で同時に前記非画線部に前記微小セルを形成するために、印刷すべき画像データ全体に、インキ転移を生じない程度の微小なセルを形成しうる濃度データを加算し、それに基づいて製版データを作成し、この製版データを、製版データの濃度に対する出力がほぼ比例した特性の刷版出力カーブを用いて、網点の大きさに変換加工して、刷版データを作成し、その刷版データを用いてグラビア印刷版表面にセルメイクすることを特徴とするグラビア印刷の印刷不良防止方法。
  3. グラビア印刷版表面に画線部のセルを形成する工程において、同時に、グラビア印刷版表面の有効印刷領域内の非画線部の、画線部の網点と同一配列の点の上に、インキが転移されない大きさの微小セルを形成することを特徴とし、更に、前記画線部のセルを形成する工程で同時に前記非画線部に前記微小セルを形成するために、印刷すべき画像データから非画線部を抽出し、その非画線部に、インキ転移を生じない程度の微小なセルを形成しうる濃度のマスクを作成し、そのマスクと前記画像データを合成し、それに基づいて製版データを作成し、この製版データを、製版データの濃度に対する出力がほぼ比例した特性の刷版出力カーブを用いて、網点の大きさに変換加工して、刷版データを作成し、その刷版データを用いてグラビア印刷版表面にセルメイクすることを特徴とするグラビア印刷の印刷不良防止方法。
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