JP4834476B2 - 微粒子膜の形成方法、その方法により得られたマイクロ電極と電子装置 - Google Patents
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Description
なお、本明細書において、マイクロ電極とはマイクロメーターオーダーの厚さの薄膜や幅と高さが数ないし数百マイクロメーターのくし型電極構造体を言い、これらのマイクロ電極を用いた電池はマイクロ電池と言い、これらのマイクロ電極を用いる感知デバイスのことをセンサーと言い、マイクロ電池とセンサーの総称を電子装置と言うものとする。
電池は様々な分野で広く使用され、近年では、リチウム二次電池をはじめとする高エネルギー密度の電池が利用されている。例えば、リチウム二次電池等は、正極、負極の2つのシート状の電極を、捲回或いは積層するという構成を採用している。そして、このようなシート状の電極では、活物質、結着剤等を含む電極合材を金属箔製の集電体の表面に層状に形成することによって構成されている。
有機溶媒を用いた塗布法としては、例えば、まず電極構成成分である電極活物質、導電材、バインダを十分混合した後、メチルピロリドンなどの有機溶媒でスラリを作製し、その後、集電体となるアルミニウム箔上にスラリを塗布し、常温と真空乾燥を行って電極膜を製造する方法がある。
マイクロ電池に使われる電極用薄膜の製造方法としては、大別して物理的な手法(物理結合)と化学的な手法(化学結合)がある。
物理的な手法としては、プラズマにより発生した活性種を基板である集電体に衝突させることにより薄膜を堆積して形成するスパッタリング法、或いはレーザを照射し、ターゲットを蒸発させることで基板に沈着させて製膜するパルスレーザデポジション法が代表的である(特許文献2)。
化学的な手法としては、予め調整したゾルーゲル溶液を基板上に印刷し、これを乾燥した後700℃以上の高温で焼成し電極活物質を結晶させることによって製膜するゾルーゲル法が知られている(非特許文献1〜3)。
また、非特許文献4には電気化学的な手法によるくし型電極の作製法が報告されている。また、高容量リチウム二次電池用の新たな負極材料として、Liと合金化しない材料からなる集電体上に、Liと合金化するSnまたはSn含有合金からなる薄膜を形成し、その薄膜を負極材料として用いる薄膜電極が注目されている。例えば、集電体である銅板上に、電解めっき法によりSn薄膜を形成するもの(特許文献4)や、電解めっき法により、銅箔上にSn、Zn、Sb、またはそれらを含有する合金を素材とする薄膜を形成するもの(特許文献5)も提言されている。
また、基板の材質には高温耐久の制限や電極の形成過程に長時間を要し、生産性が悪いなどの欠点もあり、実用化には至っていない。
また、製膜する際に超臨界二酸化炭素は急速に蒸発するために、微粒子膜の組成やサイズ、形状を制御しやすいという特徴もある。
さらには、超臨界流体の圧力およびノズルと被塗布物との距離を制御することにより、被塗布物へ高速度で微粒子を衝突させ、或いは微粒子同士を高速度で衝突させることによって微粒子膜を形成することを可能とした。
特に、本発明は、超臨界二酸化炭素パターニング技術を用いて、実用的なマイクロ電極の製造プロセスを実現するものである。
高圧容器内を減圧する工程、真空状態ないしは真空状態に近い状態となった該高圧容器に数十μm以下の微粒子である微粒子を分散媒を使用することなく注入する工程、超臨界状態の二酸化炭素流体を注入し、それらを撹拌して超臨界状態の二酸化炭素を分散媒体とする微粒子の高分散状態になった混合物とする工程、該混合物をノズルから被塗布物に噴射することで膜を形成する微粒子膜形成工程が順次行われることを特徴とする方法である。
第2の発明は、第1の発明において、前記混合物を被塗布物へ噴射するに際し、超臨界流体の圧力およびノズルと被塗布物の距離を制御することで数十ないし数千m/sの速度で微粒子を噴射することを特徴とする。
第3の発明は、第1または2の発明において、前記微粒子がナノサイズないしサブミクロンサイズであることを特徴とする。
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明において、
微粒子膜形成工程の後に、前記被塗布物への噴射により形成された微粒子膜の表面を高分子でコートする工程を付加することを特徴とする。
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明において、微粒子膜形成工程の後に、前記被塗布物への噴射により形成された微粒子膜にマイクロ波を照射し、数百度程度の温度で高速焼結する工程を付加することを特徴とする。
第6の発明は、第1ないし5のいずれかの発明において、前記微粒子が電極成分微粒子であり、前記被塗布物が基板上の集電体であることを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明において、基板上の集電体の表面上に電極成分微粒子膜を形成する前工程として、集電体膜形成工程が、高圧容器内を減圧する工程、真空状態ないしは真空状態に近い状態となった該高圧容器に数十μm以下の微粒子である集電体成分微粒子を分散媒を使用することなく注入する工程、超臨界状態の二酸化炭素流体を注入し、それらを撹拌して超臨界状態の二酸化炭素を分散媒体とする微粒子の高分散状態になった混合物とする工程、該混合物をノズルから被塗布物である基板上に噴射することで膜を形成する工程で順次行われることを特徴とする。
第8の発明は、第6または7の発明において、
前記電極成分微粒子は、電極活物質若しくは電極活物質と導電剤および/またはバインダからなる粒径が20μm程度以下の微粒子であることを特徴とする。
第9の発明は、第6ないし8の発明において、
基板上の集電体の表面上に電極成分微粒子膜を形成する際に、同一基板上に正極および負極を形成する場合であって、パターンマスクとカバーマスクにより被塗布物である基板を覆い、任意のパターンの正極膜を形成する正極膜形成と、基板をパターンマスクとカバーマスクにより被塗布物である基板を覆い、任意のパターンの負極膜を形成する負極膜形成とを順次行うことを特徴とする。
第10の発明は、
第1ないし9の発明に係るいずれかの微粒子膜の形成方法で製造されたマイクロ電極である。
第11の発明は、第10の発明に係るマイクロ電極を備える電子装置である。
超臨界二酸化炭素流体を溶媒に用いると、ノズルから噴射する際に急速膨張して揮発するため、集電体成分微粒子或いは電極成分微粒子は二次元方向および三次元方向に配列された状態で急速に流動性が下がるので、基板上に集電体或いは電極膜の形状を保持することが可能である。
また、超臨界二酸化炭素流体に電極活物質、導電剤やバインダを混合すると、電極成分粒子の表面にバインダ剤と導電剤を均一に塗布して緻密な膜を作製し、マイクロ電極の伝導性や充放電性能、強度を向上することができる。
上記の方法で作製した電極膜やマイクロ電極は従来と同様な組成になり、さらに混合状態は従来の方法で作製したものより優れるため、実用的な優れる高性能の電池やマイクロ電池を製造できる。
また、本発明によれば、耐熱性の無い基板に対しても緻密な金属微粒子膜を形成することができる。
すなわち、本発明は、常温の大気中で高生産性を有する微粒子膜形成技術(方法と目的製品)を提供するものである。
1.先行技術の概要
(1)RESS法
RESS法は種々の溶質を溶解させたSCFをノズルから低圧領域に噴射することにより、溶質を過飽和状態から急速に析出させる技術であり、1980年代以来、微粒子の作製を目的として使用されている。以前より、微粒子やナノオーダーの超微粒子製造技術を開発する目的で、超臨界二酸化炭素(Supercritical Carbon Dioxide:SC-CO2)中に溶解させた金属アルコキシドを急速膨張法で噴射させ、金属粒子の微細パターニングを行う研究が行われており、約50−100μmの微細ピッチの領域で、マイクロメーターオーダーの厚さを有するパターンを形成することが実現されている(井上均:高圧力の科学と技術、第12巻第4号、2002年、p337-344)。この研究結果を発展させて、溶液から微粒子を生成するだけではなく、既製の微粒子をSC-CO2中に分散させ、ノズルを通して基板に吹きつけることにより製膜を行うことに成功したのが、特許文献3に記載の発明である。
RESS法の適用技術の背景には、気体や液体と異なったSCFの優れた物性が基礎になっている。表1にSCFの物性(密度、粘度、熱伝導率、拡散係数)を示す。SCFの密度は液体に近く、粘性率は気体に近いが、拡散係数は気体と液体のほぼ中間の値を有する。すなわち、SC- CO2は液体に比べて物質移動特性に優れているので、粒子などの輸送に有利であることが分かる。特に臨界点付近で、わずかな温度や圧力の変化によって粘性率が大きく変化する挙動がSCFの大きな特徴の一つになっている。このため、SC-CO2の物性をコントロールすることによって輸送特性の最適化を図ることも可能である(非特許文献5)。
超臨界流体:本来、超臨界流体とは、物質の臨界点を超えた温度、圧力にある流体であり、高密度にしても液化せず、物質を溶解する能力、溶解速度、分離速度が液体よりも大きい。本発明の想定する超臨界流体は、例えば、臨界温度31.2℃、臨界圧力7.38MPaの超臨界二酸化炭素が挙げられる。なお、超臨界流体には、温度、圧力が臨界点を幾分か下回る状態である亜臨界流体も含むものとする。
超臨界二酸化炭素流体パターニング技術(Supercritical CO2-assisted printing : SCAP)について説明する。SCAPは超臨界二酸化炭素流体に微細な金属やセラミックス、酸化物微粒子を分散し、ノズルを通して基板に吹き付けることにより製膜する。すなわち、超臨界二酸化炭素流体を分散媒体および輸送媒体として用いることが大きな特徴である(非特許文献5)。発明者はSCAPを利用して、集電体成分微粒子を用いて集電体を作製し、その上に電極成分微粒子を用いて電極膜を作製することに成功し、本発明に至った。
さらに、超臨界二酸化炭素は表面張力がゼロに近い値で小さいため、微粒子の表面に対してぬれ易く、しかも細かい隙間や微細孔に入りやすい。これは、微粒子の凝集を抑制でき、混合物をより均一に混合することができるからである。従って、超臨界二酸化炭素流体中には微粒子が高分散状態になる。
また、ノズルから噴射する際に高分散の粒子が超臨界流体により運ばれ高分散の粒子流体が実現できる(非特許文献5)。これらの高分散粒子同士及び基板と高速に衝突しあい積層し、電極の高充填密度が実現することによって、導電性や機械的強度も向上する。
また、超臨界二酸化炭素は粘度が高く搬送力が高いため、1〜数秒程度の噴射により成膜することが可能である。
電極成分微粒子に用いる材料は、電極活物質、導電剤、バインダ、電解液や外装材などからなるが、いずれも公知のものが使用でき、従来電池に使用されるものであれば特に制限はない。正極の場合、正極活物質としてLiCoO2、導電剤としてアセチレンブラック、ケッチンブラックやグラファイトなどの炭素材料系導電剤、バインダとしてポリビニリデンフルオライド(PVDF)、フッ素ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合(EPDM)などが例示され、負極の場合、負極活物質としてカーボン、グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、バインダとしてPVDF、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレン−ブタジエンゴム(SRBラテックス)などが例示される。
集電体成分微粒子については、高充填密度や高強度、高伝導性などを考慮するとナノサイズないしサブミクロンサイズ(1μmより1桁小さなサイズ)の微粒子であることがより好ましい。ここで、ナノ微粒子は狭義にはシングルナノ(1nm以上10nm未満)から100nm程度までとされる場合が多いが、広義にはnm領域(1nm以上1μm未満)とサブナノの領域の粒子を全体的に含めてナノ微粒子と呼ばれることがある。本発明においては狭義より少し広い範囲で考え、数100nm以下、好ましくは100nm以下のものをナノ微粒子という。
電極成分微粒子については、粒径が電極の性能を大きく作用するため、要求される電池の性能に応じて粒径を数nm〜数十μmの範囲で調整する。
電極のバインダや導電剤としては、低融点・高導電性金属微粒子(例えば、Sn、Ag、Al、Cu)やハンダ粒子などの合金微粒子を用いる。バインダと導電剤として用いるこれらの微粒子は電極内に連結し合う必要があるため、ナノサイズないしサブミクロンサイズの微細粉末であることが好ましい。
本発明の好ましい態様のマイクロ電極を作製する場合、その構造上、まず集電体成分微粒子を噴射して集電体を作製する。集電体成分微粒子をノズルから霧状に噴出し、基板に導電性の金属膜を形成するが、この際、溶媒である超臨界二酸化炭素が急速に揮発するため、基板に到達することはない。よって集電体成分微粒子が基板上に二次元或いは三次元的に堆積し、薄膜ないしは厚膜の集電体を形成できる。
ここで、上記膜の厚さは、電極の集電体は電子伝導性を保っていればより薄い方がよいが、SCPA法の特徴を考慮すると数μm〜10μm程度が妥当である。
ここで、上記膜の厚さは、好ましくは。数十μm〜数百μmとする。厚膜の形成は本発明の特徴であり、厚膜はマイクロ電池の容量を確保するために重要である。
より詳しくは、超臨界流体の圧力およびノズルと被塗布物との距離を制御することにより、数十ないし数千m/sの速度で、被塗布物へ微粒子を衝突させ、或いは微粒子同士を衝突させることによって運動エネルギーを熱エネルギーに変更させ、微粒子膜の機械強度と基板との密着強度を向上する。
銅基板にアルミニウム微粒子を噴射する際の融解臨界速度は、約650M/sであることが知られている。
正極を形成する場合においても、低融点金属微粒子(例えば、Sn、Ag、Al、Cu)とセラミックス粉末とを混合撹拌して噴射することで、融解することの無いセラミックスとの複合膜をバインダーレスで形成することが可能となる。
なお、粒径が数十nmの微粒子を用いた場合、表面能により大幅に融点が下がることが知られているが、本発明では粒径が数μm程度の場合においても、室温で融解できることに意義がある。
セラミックス微粒子を噴射する際は、長い噴射距離で成膜する。距離を短くしても微粒子が融けないからである。その際の微粒子の速度は、数十M/sとなる。
膜の強度は、後述するようにマイクロ波を照射し、焼結することで高めることができる。したがって、本発明では、成膜時の噴射速度を幅広い範囲内で調整することができる。
また、本発明に係る微粒子膜にマイクロ波を照射し、数百度(℃)程度の低温で高速焼結するマイクロ焼結法によって、耐熱性の弱い基板と微粒子膜の密着性、加えて電極自身の密着性を向上し機械強度を高めることができる。被焼結体表面がマイクロ波を吸収することによって急激に温度が上昇し焼結体が生まれるからである。
なお、粒子径が小さくなるにつれて、原子・分子相互間の結合力の弱い表面原子・分子の割合が大きくなるため、通常の固体融点よりも低い温度で原子・分子のすべり(移動)が生じやすくなり、固体が液体化するいわゆる融点降下現象が知られており、これと関連して焼結温度を低下させることも可能であることが知られている。
積層型電池の場合には、上記手法により正極シートと負極シートを作製し、これらとセパレータを重ねることで、作製することができる。
同一基板上に正極と負極を有する構成の電池の場合には、正極と負極が噛合するくし型形状を基板上に形成することで、作製することができる。
図1において、符号1は二酸化炭素ガス供給源であり、符号2はクーラーであり、符号3は加圧ポンプであり、符号4は超臨界反応セルであり、符号5は超臨界反応セルを覆うヒーターであり、符号6は超臨界反応セルとノズルを接続するヒーター付きの保温導管であり、符号7は基板上に集電体成分微粒子或いは電極成分微粒子を噴射するノズルであり、符号8は基板であり、符号9は超臨界反応セル内の材料を撹拌する撹拌機であり、符号10は基板上に所望の電極パターンを形成するための電極マスクである。なお、本実施例では電極マスク10は使用していない。
電極成分微粒子を構成する材料としては、LiCoO2を85wt%、アセチレンブラックを10wt%、バインダを5wt%の割合で用いた。超臨界反応セル4に投入された電極材料は、撹拌機9により調圧された超臨界二酸化炭素流体と撹拌混合され、保温導管6を通過してノズル7から基板8に噴射される。基板8はアルミニウムホイルであり、これに正極活物質等が塗布されることにより正極シートが作製される。
上記工程を経て作製された本実施例の正極シートにおいては、塗布された電極成分微粒子が均一な状態にあることを確認することができた(図2参照)。使用したLiCoO2の粒径は平均で10μm、アセチレンブラックは数nm程度の粒子が繋がったチェーン構造のものである。形成された膜の厚さは20μm程度であった。
電池の充放電は0.5mA/cm2、4.2−3.0Vの条件下で行った結果の充放電曲線は図3aに示すとおりであり、電池の放電容量は約150mAh/gとなった。また、図3bを見ると分かるように、本実施例のコイン型電池は、平均約149mAh/gの高い放電容量を示し、繰り返し充放電特性を20回測定したところ、いずれにおいても良好な結果を得ることができた。
本実施例で用いた基板8は、厚さ100μm程度の厚さのポリプロピレン基板である。
電極マスク10に構成されたパターンは図4aに示すとおりであり、正極および負極パターンは共に幅と高さ200μm、くしの長さ1000μm、電極間隔100μmである。マスクの厚さは200μmである。
カバーマスク11は、図4bにおいて薄く着色された部分の形状をしており、正極パターンの塗布時は負極パターンをカバーマスク11で覆い、負極パターンの塗布時は正極パターンをカバーマスク11で覆う。
1.集電体の作製
(1)電極マスク10により基板8を覆う。
(2)真空状態ないしは真空状態に近い状態とした超臨界反応セルに、平均6μmのアルミニウム微粒子を注入する。
(3)超臨界状態の二酸化炭素流体を注入し、アルミニウム微粒子を超臨界二酸化炭素流体と撹拌混合する。
(4)(3)で得た混合物を電極マスク10とカバーマスク11越しに基板8に噴射し、10μm程度の厚さの金属膜を生成し、これを正極と負極の集電体とする。
(5)真空状態ないしは真空状態に近い状態とした超臨界反応セルに、正極電極成分微粒子(LiCoO2を85wt%、アセチレンブラックを10wt%、バインダを5wt%)を注入する。使用したLiCoO2の粒径は平均で10μm、アセチレンブラックは数nm程度の粒子が繋がったチェーン構造のものである。バインダはポリビニリデンフロライド(PVDF)をメチルピロリドン(NMP)に溶解したもの(濃度12wt%)を用いた。
(6)超臨界状態の二酸化炭素流体を注入し、正極電極構成物質と超臨界二酸化炭素流体と撹拌混合する。
(7)(6)で得た混合物を電極マスク10とカバーマスク11越しに基板8に噴射し、正極を形成する。電極の高さはマスクと同様に200μmである。
(8)電極マスク10により基板8を覆い、その上から正極の部分が塗布されないようにカバーマスク11で覆う。
(9)真空状態ないしは真空状態に近い状態とした超臨界反応セルに、負極電極構成物質(MCMBを95wt%とバインダ5wt%)の微粒子を注入する。負極電極構成物質の粒径は平均で6μmである。
(10)超臨界状態の二酸化炭素流体を注入し、負極電極構成物質の微粒子と超臨界二酸化炭素流体と撹拌混合する。
(11)(10)で得た混合物を電極マスク10とカバーマスク11越しに基板8に噴射し、負極を形成する。電極の高さはマスクと同様に200μmである。
以上の工程により、図6に示すくし型電極を作製することができた。このくし型電極を用いることにより、マイクロ電池とセンサーを製造することができる。
上記工程を経て作製された本実施例の正極においては、塗布されたアルミニウム微粒子が密に充填されていることが分かる。
また、実施例1と同じ条件で、本実施例に係るマイクロリチウム電池の充放電性能を検証したところ、図7aに示すように電池の放電容量は約100μAhとなった。また、図7bに示すように優れた充放電特性を示した。
2 クーラー
3 加圧ポンプ
4 超臨界反応セル
5 ヒーター
6 ヒーター付き保温導管
7 ノズル
8 基板
9 撹拌機
10 電極マスク
Claims (11)
- 超臨界状態の二酸化炭素流体を用い常温常圧下で微粒子を塗布して被塗布物の表面上に微粒子膜を形成する方法であって、
高圧容器内を減圧する工程、真空状態ないしは真空状態に近い状態となった該高圧容器に数十μm以下の微粒子である微粒子を分散媒を使用することなく注入する工程、超臨界状態の二酸化炭素流体を注入し、それらを撹拌して超臨界状態の二酸化炭素を分散媒体とする微粒子の高分散状態になった混合物とする工程、該混合物をノズルから被塗布物に噴射することで膜を形成する微粒子膜形成工程が順次行われることを特徴とする方法。 - 前記混合物を被塗布物へ噴射するに際し、超臨界流体の圧力およびノズルと被塗布物の距離を制御することで数十ないし数千m/sの速度で微粒子を噴射することを特徴とする請求項1の微粒子膜の形成方法。
- 前記微粒子がナノサイズないしサブミクロンサイズであることを特徴とする請求項1または2の電極膜の製造方法。
- 微粒子膜形成工程の後に、前記被塗布物への噴射により形成された微粒子膜の表面を高分子でコートする工程を付加することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの微粒子膜の形成方法。
- 微粒子膜形成工程の後に、前記被塗布物への噴射により形成された微粒子膜にマイクロ波を照射し、数百度程度の温度で高速焼結する工程を付加することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの微粒子膜の形成方法。
- 前記微粒子が電極成分微粒子であり、前記被塗布物が基板上の集電体であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの微粒子膜の形成方法。
- 基板上の集電体の表面上に電極成分微粒子膜を形成する前工程として、集電体膜形成工程が、高圧容器内を減圧する工程、真空状態ないしは真空状態に近い状態となった該高圧容器に数十μm以下の微粒子である集電体成分微粒子を分散媒を使用することなく注入する工程、超臨界状態の二酸化炭素流体を注入し、それらを撹拌して超臨界状態の二酸化炭素を分散媒体とする微粒子の高分散状態になった混合物とする工程、該混合物をノズルから被塗布物である基板上に噴射することで膜を形成する工程で順次行われることを特徴とする請求項6の微粒子膜の形成方法。
- 前記電極成分微粒子は、電極活物質若しくは電極活物質と導電剤および/またはバインダからなる粒径が20μm程度以下の微粒子であることを特徴とする請求項6または7の微粒子膜の形成方法。
- 基板上の集電体の表面上に電極成分微粒子膜を形成する際に、同一基板上に正極および負極を形成する場合であって、パターンマスクとカバーマスクにより被塗布物である基板を覆い、任意のパターンの正極膜を形成する正極膜形成と、基板をパターンマスクとカバーマスクにより被塗布物である基板を覆い、任意のパターンの負極膜を形成する負極膜形成とを順次行うことを特徴とする請求項6、7または8の微粒子膜の形成方法。
- 請求項1ないし9のいずれかの微粒子膜の形成方法で製造されたマイクロ電極。
- 請求項10のマイクロ電極を備える電子装置。
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