以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
尚、この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、車両前側を「前」と、車両後側を「後」と、車幅方向左側を「左」と、車幅方向右側を「右」というものとする。
図1は本発明の実施形態に係るトランクリッドを有する車両Vを示す。符号12は車体1に設けられたルーフパネルであり、符号13は車体1に設けられたバックウインドウパネルであり、符号14は車体1の車両後部に形成されたトランクルーム15を開閉するトランクリッドである。
上記ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13は、ルーフパネル開閉装置2によって、図1に示すように車体1の車室空間11を閉じた全閉状態と、図3に示すように車体後部に設けられたトランクルーム15内に収納される収納状態(全開状態)との間で、開閉動作可能に構成されている。
また、上記トランクリッド14は、トランクリッド開閉装置6によってトランクルーム15を閉じた全閉状態とトランクルーム15を開放した全開状態との間で開閉動作可能に構成されている。このトランクリッド14は、上記ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13の開閉動作と連動して開閉動作を行う。すなわち、上記ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13が全閉状態又は収納状態のときにはトランクリッド14は全閉状態となっている一方(図1、3参照)、上記ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13が全閉状態から収納状態へ、又はその逆へ開閉動作しているときは、トランクルーム15を開放した状態となる(図2参照)。
<トランクリッド開閉装置>
まず、トランクリッド開閉装置6について説明する。トランクリッド開閉装置6は、トランクリッド14に対して左右両側に設けられているが、それらの構成は同じであるため、左側のトランクリッド開閉装置6について図4〜図8を用いて説明する。
このトランクリッド開閉装置6は、トランクリッド14と車体1とを連結するリンク機構7と、該トランクリッド14を全閉状態で保持するためのロック機構8と、該リンク機構7及びロック機構8を駆動するための電動モータ10(図5〜7では省略)と、該電動モータ10の駆動力をリンク機構7に伝達するための伝達機構9とを有し、トランクリッド14を全閉状態と全開状態との間で開閉動作させると共に、該トランクリッド14を全閉状態において車体に保持するものである。
上記リンク機構7は、車体1に取り付けられたベースブラケット71と、トランクリッド14に取り付けられたリッド側ブラケット72と、該ベースブラケット71とリッド側ブラケット72とを連結する前側連結リンク73及び後側連結リンク74とを有する。
上記ベースブラケット71は、取付ブラケット71a、71a、…を有しており、これら取付ブラケット71a、71a、…が車体1のサイドボディに対して車室内側から取り付けられている。
上記前側連結リンク73は、リッド側端部がリッド側ブラケット72に対して回動自在に連結され且つ車体側端部がベースブラケット71に対して回動自在に連結されている。また、上記後側連結リンク74は、前側連結リンク73よりも後方位置において、リッド側端部がリッド側ブラケット72に対して回動自在に連結され且つ車体側端部がベースブラケット71に対して回動自在に連結されている。
このように、ベースブラケット71、リッド側ブラケット72、前側連結リンク73及び後側連結リンク74は所謂4節リンク機構を構成しており、前側連結リンク73と後側連結リンク74とがそれぞれの車体側端部を中心に回動することによって、トランクリッド14に開閉動作させる。
上記伝達機構9は、一端部が上記後側連結リンク74に連結された駆動リンク91と、電動モータ10に連結されて回転駆動されるセクターギヤ92と、該駆動リンク91の他端部と該セクターギヤ92とを連結する連結ピン93とを有し、電動モータ10の駆動力をリンク機構7に伝達させる伝達状態と該駆動力をリンク機構7に伝達させない非伝達状態とを切換可能に構成されている。
上記駆動リンク91は、その一端部が連結部91aにおいて上記後側連結リンク74に対して回動自在に連結されている一方、他端部には上記連結ピン93が挿通する挿通孔91b(図8参照)が貫通形成されている。
上記セクターギヤ92は、上記電動モータ10の出力軸に設けられた出力ギヤ(図示省略)に噛合するギヤ部92aと上記駆動リンク91の他端部が連結される連結部92bとが一体に形成されている。上記ギヤ部92aは該出力ギヤに対して電動モータ10の駆動力を減速するギヤ比となっており、つまり、セクターギヤ92は減速ギヤとしても機能することになる。また、上記連結部92bには、該セクターギヤ92の回動中心に対する半径方向に延びる長穴形状をした嵌合穴92cが貫通形成されている。
そして、上記駆動リンク91の挿通孔91bに挿通させた連結ピン93を上記セクターギヤ92の嵌合穴92cに嵌合させることによって、該駆動リンク91がセクターギヤ92に対して回動自在に且つ該嵌合穴92cの長穴が延びる方向に変位可能に連結している。尚、連結ピン93は、駆動リンク91の挿通孔91bに挿通することによって該駆動リンク91に対して回動自在に設けているが、駆動リンク91に溶接等により固定して設ける構成であってもよい。また、嵌合穴92cは必ずしも貫通している必要はなく、連結ピン93が嵌合する形状であれば有底形状であってもよい。
これら連結ピン93を介して連結された駆動リンク91とセクターギヤ92とは、図8に示すように、互いに対向して取り付けられるガイドアウタ75(図8にのみ図示)とガイドインナ76(図8にのみ図示)とで挟持されている。そして、このガイドアウタ75をベースブラケット71に取り付けることで、駆動リンク91、セクターギヤ92及び連結ピン93等がベースブラケット71に対して取り付けられることになる。
ここで、上記ガイドアウタ75には外側ガイド溝75aが形成されていると共に、ガイドインナ76には該外側ガイド溝75aと対向して同様の形状をした内側ガイド溝76aが形成されている。これら一対の外側ガイド溝75aと内側ガイド溝76aとで1つのガイド部94を構成している。尚、外側ガイド溝75a及び内側ガイド溝76aは、連結ピン93の外径と略同じか若干広く、該連結ピン93が嵌る程度の溝幅を有している。
詳しくは、上記駆動リンク91とセクターギヤ92とをガイドアウタ75とガイドインナ76とで挟持するときに、セクターギヤ92をガイドアウタ75及びガイドインナ76に対して回動自在に支持すると共に、駆動リンク91及びセクターギヤ92を貫通する連結ピン93の両端部をそれぞれ外側ガイド溝75aと内側ガイド溝76aとに係合させる。さらに、電動モータ10を、その出力軸の出力ギヤがセクターギヤ92のギヤ部92aと噛合するようにガイドインナ76に取り付ける。尚、セクターギヤ92の連結部92bには、上記駆動リンク91以外にも後述のロック伝達リンク83が連結されている。
このように構成された伝達機構9は、電動モータ10によってセクターギヤ92が回動駆動されると、連結ピン93によりセクターギヤ92と連結された駆動リンク91が駆動される。このとき、連結ピン93がガイド部94に係合しているため、駆動リンク91は連結ピン93をガイド部94で案内されながら駆動される。
上記ガイド部94の形状についてさらに詳しく説明すると、ガイド部94(外側ガイド溝75a及び内側ガイド溝76a)は、前方下側に位置する一端部から後方上側に位置する他端部へ向かって湾曲した湾曲形状をしていて、電動モータ10の駆動力をリンク機構7に伝達させない非伝達案内部94aと、電動モータ10の駆動力をリンク機構7に伝達させる伝達案内部94bとが切換点94cを介して連続的に形成されている。
上記非伝達案内部94aは、前方下側の一端部から切換点94cまでの間に形成され、トランクリッド14全閉時の駆動リンク91と後側連結リンク74との連結部91aを中心として連結ピン93上を通る円弧C1(図4にのみ図示)形状をしている。つまり、連結ピン93が非伝達案内部94aに沿って案内されるときは、図4、5に示すように、駆動リンク91は連結部91aを中心に回動するのみで、該連結部91aは変位しない。その結果、後側連結リンク74は動かず、トランクリッド14は全閉状態で静止したままである。つまり、伝達機構9は、連結ピン93をこの非伝達案内部94aに沿って案内しているときに、電動モータ10の駆動力をリンク機構7に伝達させない非伝達状態となる。
上記伝達案内部94bは、切換点94cから後方上側の他端部までの間に形成され、セクターギヤ92の回動中心を中心として連結ピン93上を通る円弧C2(図4にのみ図示)形状をしている。つまり、連結ピン93が伝達案内部94bを案内されるときは、図6に示すように、駆動リンク91と後側連結リンク74との連結部91aが変位するように駆動リンク91が動き、後側連結リンク74を車体側端部74aを中心に回動させる。その結果、リンク機構7によってトランクリッド14が開閉動作を行う(図1〜3参照)。つまり、伝達機構9は、連結ピン93をこの伝達案内部94bに沿って案内しているときに、電動モータ10の駆動力をリンク機構7に伝達させる伝達状態となる。
上記ロック機構8は、図4に示すように、上記ベースブラケット71に回動自在に取り付けられたフック81と、上記リッド側ブラケット72に設けられ該フック81と係合する係合ピン82と、上記電動モータ10の駆動力をフック81に伝達するロック伝達リンク83とを有し、トランクリッド14全閉時にフック81を係合ピン82に係合させて該トランクリッド14を全閉状態に保持するためのものである。
上記フック81は、前記係合ピン82と係合する鉤状部81aが形成されている。
上記ロック伝達リンク83は、その一端部が上記セクターギヤ92の連結部92bに回動自在に連結され且つ、その他端部が上記フック81に回動自在に連結されていて、該セクターギヤ92の回動運動をフック81に伝達する。そして、ロック伝達リンク83は、セクターギヤ92が連結ピン93をガイド部94の非伝達案内部94aに沿って切換点94cから一端部側の方向(図4において時計回り)に駆動するときにフック81を係合ピン82に係合する方向(図4において反時計回り)に回動させる一方、セクターギヤ92が連結ピン93をガイド部94の非伝達案内部94aに沿って一端部側から切換点94cの方向(図4において反時計回り)に駆動するときにフック81を係合ピン82との係合を解除する方向(図4において時計回り)に回動させる。尚、セクターギヤ92が連結ピン93をガイド部94の伝達案内部94bに沿って案内されるときには、フック81は、係合ピン82との係合とは無関係にセクターギヤ92の回動に合わせて回動する。
また、フック81には、後述する入力ケーブル84のインナケーブル84b入力端部が取り付けられている。
このように構成されたトランクリッド開閉装置6によって駆動されるトランクリッド14及びロック機構8の動作について以下に説明する。
まず、トランクリッド14が全閉状態においては、図4に示すように、連結ピン93はガイド部94の非伝達案内部94aの前方下側の一端部に位置する。このガイド部94の非伝達案内部94a側の一端部は、ガイド部94においてセクターギヤ92の回動中心から最も離れた位置であるため、該連結ピン93は嵌合穴92cの外端部に位置する。
一方、フック81は、その鉤状部81aがリッド側ブラケット72の係合ピン82と係合しており、トランクリッド14を全閉状態で保持している。
この状態から電動モータ10を駆動して、セクターギヤ92を反時計回りに回動させると、図5に示すように、連結ピン93はセクターギヤ92の回動に伴ってガイド部94の非伝達案内部94aを一端部側から切換点94c側へ移動する。この非伝達案内部94aは、トランクリッド14全閉時の駆動リンク91と後側連結リンク74との連結部91aを中心とする円弧C1形状であるため、該連結ピン93が非伝達案内部94aに案内されている間は、駆動リンク91は該連結部91aを中心に回動するだけである。つまり、該連結部91aが変位しないため、後側連結リンク74は動かず、トランクリッド14は全閉状態のまま静止している。また、この非伝達案内部94aは、切換点94cに近付くほどセクターギヤ92の回動中心との距離が近くなるため、連結ピン93は非伝達案内部94aを伝達案内部94b側に移動するにつれて嵌合穴92c内を外端部側から内端部側に向かって相対的に移動することになる。そして、連結ピン93が切換点94cに位置するときには、該連結ピン93は、嵌合穴92cの内端部に位置することになる。
一方、フック81は、鉤状部81aが係合ピン82と係合した状態から係合を解除する方向へ回動し始め、連結ピン93がガイド部94の切換点94cに位置するときには、係合ピン82との係合が完全に解除される。つまり、ロック機構8は伝達機構9が非伝達状態のときにアンロック動作を行う。
電動モータ10をさらに駆動してセクターギヤ92を反時計回りに駆動させると、図6に示すように、連結ピン93がガイド部94の伝達案内部94bに沿って案内されるようになる。すると、連結ピン93は上記連結部91aを中心とする円弧C1形状から逸れて移動するため、駆動リンク91は該連結部91aを中心に回動するだけではなく、該連結部91aを上方に変位させるように動く。その結果、後側連結リンク74は車体側端部74aを中心に回動し、それに伴って、トランクリッド14が開き始める。このとき、ロック機構8はアンロック状態になっているため、トランクリッド14は開閉動作を行うことができる。
尚、フック81は、既に係合ピン82との係合が解除されており、係合ピン82との係合とは無関係にセクターギヤ92の回動に伴って係合解除方向にさらに回動することになる。
そして、最終的に連結ピン93が、図7に示すように、ガイド部94の伝達案内部94bにおける後方上側の他端部まで移動すると、トランクリッド14は全開状態(図2参照)となる。
逆に、トランクリッド14が全開状態から全閉状態となるときは、上述の全閉状態から全開状態への動作と逆の動作になる。
まず、電動モータ10を、トランクリッド14を全開状態にするときとは逆方向(図において時計回り)に駆動する。すると、連結ピン93が伝達案内部94bを他端部側から切換点94c側に向かって移動する。この連結ピン93の移動に伴って、駆動リンク91が連結部91aを変位させ、後側連結リンク74を車体側端部74aを中心にトランクリッド14を閉じる方向に回動させる。その結果、トランクリッド14が閉じ始める。
そして、連結ピン93がガイド部94の切換点94cまで移動すると、トランクリッド14はトランクルーム15を完全に閉じた全閉状態となる(図5参照)。
その後、連結ピン93が切換点94cを通過して非伝達案内部94aを切換点94c側から一端部側へ向かって移動するとき、即ち、伝達機構9が非伝達状態のときには、上記フック81の鉤状部81aが係合ピン82に係合し始める。そして、連結ピン93が非伝達案内部94aの一端部まで移動したときには、フック81の鉤状部81aが係合ピン82に完全に係合してロック状態となる。この連結ピン93が非伝達案内部94aに沿って移動している間は、上述の如く、駆動リンク91は連結部91aを中心に回動するだけで連結部91aは変位しないので、トランクリッド14は全閉状態で静止したままである。つまり、ロック機構8は、伝達機構9が非伝達状態のときにロック動作を行う。
このように、トランクリッド開閉装置6は、連結ピン93を非伝達案内部94aに沿って移動させるときには、トランクリッド14を静止させたままロック機構8を駆動してロック又はアンロック動作をさせる一方、連結ピン93を伝達案内部94bに沿って移動させるときには、トランクリッド14を開閉動作させる。
<ルーフパネル開閉装置>
次にルーフパネル開閉装置2について説明する。ルーフパネル開閉装置2は、ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13に対して左右両側に設けられているが、それらの構成は同じであるため、左側のルーフパネル開閉装置2について図9〜図15を用いて説明する。
このルーフパネル開閉装置2は、図9に示すように、ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13と車体1とを連結するリンク機構3(図1参照)と、該リンク機構3を駆動する電動モータ4(図9にのみ図示)と、該ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13の全閉状態において該リンク機構3を拘束するリンク拘束機構500と、該ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13の収納状態において該ルーフパネル12を保持するための収納時ロック機構510とを有し、ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13を全閉状態と収納状態との間で開閉動作させると共に、該全閉状態において該リンク機構3を拘束する一方、該収納状態においてルーフパネル12を保持するものである。
上記ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13はその周縁部にシール部材(図示省略)が設けられていて、全閉状態において車室空間11を気密に保持するように構成されている。
上記リンク機構3は、図1〜3に示すように、車体1に取り付けられたベースブラケット31と、ルーフパネル12に取り付けられたパネル側ブラケット32と、該ベースブラケット31とパネル側ブラケット32とを連結する前側連結リンク33及び後側連結リンク34とを有する。
上記前側連結リンク33は、パネル側端部がパネル側ブラケット32に対して回動自在に連結され且つ車体側端部がベースブラケット31に対して回動自在に連結されている。また、上記後側連結リンク34は、前側連結リンク33よりも後方位置において、パネル側端部がパネル側ブラケット32に対して回動自在に連結され且つ車体側端部がベースブラケット31に対して回動自在に連結されている。この後側連結リンク34には、バックウインドウパネル13が取り付けられている。
このように、ベースブラケット31、パネル側ブラケット32、前側連結リンク33及び後側連結リンク34は所謂4節リンク機構を構成している。
上記電動モータ4は、図9に示すように、前側連結リンク33の車体側端部に設けられている。詳しくは、前側連結リンク33の車体側端部には減速ギヤ33aが取り付けられており、電動モータ4はその出力軸に設けられた出力ギヤ4aが該減速ギヤ33aと噛合するようにして上記ベースブラケット31に取り付けられている。こうして、電動モータ4の駆動力を減速して前側連結リンク33に伝達して、該前側連結リンク33をその車体側端部を中心に回動させることによって、リンク機構3を駆動して、ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13の開閉動作を行っている。
以下に、ルーフパネル12及びバックウインドウパネル13(以下、ルーフパネル12等ともいう)の開閉動作について説明する。尚、ルーフパネル12等はトランクリッド14の開閉動作と連動して開閉するため、トランクリッド14との連動についても併せて説明する。
まず、全閉状態においては、図1に示すように、前側連結リンク33と後側連結リンク34とは側面視で互いに重なった状態で前方に傾倒しており、ルーフパネル12等は、車室空間11を閉じた全閉状態となっている。このとき、ルーフパネル12は、前端部がフロントヘッダ16と当接した状態で、該フロントヘッダ16に対してロック機構(図示省略)によって保持されている。また、ルーフパネル12の後端部とバックウインドウパネル13の前端部とはシール部材を介して当接している。
このとき、トランクリッド14も全閉状態となっている。
この状態から、上記電動モータ4を駆動させると、図2に示すように、前側連結リンク33が後方へ回動し始め、それに伴ってルーフパネル12等が車室空間11を開放して後方へ回動し始める。ここで、ルーフパネル12はパネル側ブラケット32に、バックウインドウパネル13は後側連結リンク34に取り付けられているため、リンク機構3が回動してパネル側ブラケット32と後側連結リンク34とが折れ曲がるのに伴って、バックウインドウパネル13がルーフパネル12に対して折り畳まれていく。
このとき、トランクリッド14は、ルーフパネル12とバックウインドウパネル13との動きに合わせて開閉する。詳しくは、図2に示すように、トランクリッド14は、ルーフパネル12等の開閉動作と干渉しないように、ルーフパネル12等がトランクリッド14の開閉軌跡と重なる位置まで移動してきたときには、該ルーフパネル12等の開閉軌跡と干渉しない位置まで開いた状態となっている。
最終的には、図3に示すように、前側連結リンク33と後側連結リンク34とは側面視で互いに重なった状態で後方に傾倒し、ルーフパネル12とバックウインドウパネル13とが折り畳まれて上下に重なった状態でトランクルーム15内に収納された収納状態となる。
このとき、トランクリッド14は、トランクルーム15内に収納されていくルーフパネル12等に追従して閉じていき、ルーフパネル12等がトランクルーム15内に収納されたときには、トランクルーム15を完全に閉じた全閉状態となる。
逆に、収納状態から全閉状態となるときは、上述の全閉状態から収納状態への開閉動作と逆の動作をすることになる。
まず、トランクリッド14の開き始めると共に、ルーフパネル12等がトランクルーム15内から全閉状態へ向かって開閉動作し始める。このとき、トランクリッド14は、全閉状態へ向かって開閉動作するルーフパネル12等と干渉しないように開く。
そして、ルーフパネル12等がトランクリッド14の開閉軌跡と重ならない位置まで移動すると、トランクリッド14は閉じ始める。一方、ルーフパネル12等は全閉状態へ向かって移動し続ける。
最終的に、ルーフパネル12等とトランクリッド14とが略同時に全閉状態となる。
続いて、ルーフパネル12等を保持するための機構について説明する。
このように構成されたルーフパネル12及びバックウインドウパネル13は、全閉状態では、ルーフパネル12の前端部をロック機構によってフロントヘッダ16に保持されているが、走行時には空力による上方へ引き上げる力や振動を受けて浮き上がる虞がある。また、収納状態においても、ルーフパネル12等が振動によりトランクルーム15内でがたつく虞がある。そこで、ルーフパネル12等を保持するためのいくつかの機構が必要となる。本実施形態においては、全閉状態においてリンク機構3の動きを拘束するリンク拘束機構500と、収納状態においてルーフパネル12を保持するための収納時ロック機構510とを設けている。
<リンク拘束機構>
まず、リンク拘束機構500について説明する。このリンク拘束機構500は、左右両側に設けられたルーフパネル開閉装置2それぞれに設けられているが、それらの構成は同じであるため、左側のリンク拘束機構500について説明する。
リンク拘束機構500は、ルーフパネル12全閉時にリンク機構3の動きを拘束するものであって、図9に示すように、ベースブラケット31に対して回動自在に取り付けられたフック部材501と、該フック部材501を後方から前方へ上側周りで回動する方向(図において反時計回り。以下、係合方向という。)へ付勢する付勢バネ502と、該フック部材501を該付勢バネ502の付勢力に抗して前方から後方へ上側周りで回動する方向(図において時計回り。以下、解除方向という。)へ回動させる第1駆動ケーブル503と、上記後側連結リンク34に設けられ、上記フック部材501と係合する係合ピン504とを有する。
上記係合ピン504は、上記後側連結リンク34に設けられているため、ルーフパネル12が開閉動作するときに回動する該後側連結リンク34と共に、ルーフパネル12全閉時に対応する全閉位置(図9に示す位置)とルーフパネル12収納時に対応する収納位置(図14、15に示す位置)との間を円弧状の移動軌跡Tを描きながら移動する。
上記フック部材501には、鉤形状の鉤状部501aが形成されており、この鉤状部501aの内側端縁501b(図10、11参照)がルーフパネル12が全閉状態のときの係合ピン504に係合する。また、フック部材501には、詳しくは後述するが、ルーフパネル12が収納状態となるように開閉動作するときに前側連結リンク33に設けられた当接ブラケット33bと当接する当接ピン505が設けられている。
このように構成されたフック部材501を上記第1駆動ケーブル503の駆動を解除(非駆動)することによって付勢バネ502の付勢力で係合方向に回動させて、鉤状部501aをルーフパネル12全閉時の係合ピン504に係合させる。一方、第1駆動ケーブル503を駆動することによってフック部材501を付勢バネ502の付勢力に抗して解除方向に回動させて、鉤状部501aと係合ピン504との係合を解除させる。
こうしてフック部材501を係合ピン504に係合させることによって後側連結リンク34を車体1に対して拘束しており、これによって、ルーフパネル12を全閉状態で保持するようにしている。
ここで、フック部材501についてさらに詳しく説明すると、上記フック部材501の鉤状部501aの内側端縁501bは、図10に示すように、先端側部分501cが該フック部材501の回動中心を中心として鉤状部501a上を通る円周C3に対して該円周C3の外側に開いた形状となっている。こうすることで、係合ピン504を後側連結リンク34に取り付ける際の誤差や係合ピン504自体の誤差により、ルーフパネル12が全閉状態になっても、係合ピン504が本来の全閉位置から若干ずれた位置に位置する場合であっても、フック部材501が係合方向へ回動するときに、鉤状部501aの先端側部分501cが確実に係合ピン504と当接し、該係合ピン504を鉤状部501aの内側端縁501bに係合させることができる。
また、フック部材501は、万が一、第1駆動ケーブル503が断線した場合には、付勢バネ502の付勢力によって係合方向に回動するが、図11に示すように、鉤状部501aの外側端縁501dが係合ピン504の移動軌跡T上に位置する停止位置で停止して、それ以上回動しないようにフック部材501と当接するストッパ506が設けられている。そして、フック部材501は、上記停止位置に停止したときに鉤状部501aの外側端縁501dが係合ピン504の移動軌跡Tに対して傾斜するような傾斜形状となっている。すなわち、鉤状部501aの外側端縁501dは、その先端側が円弧状の移動軌跡Tの外側に位置し、その基端側が円弧状の移動軌跡Tの内側に位置するように、該移動軌跡Tに対して傾斜している。
つまり、第1駆動ケーブル503が断線すると、フック部材501には付勢バネ502の付勢力が係合方向へ作用する。この断線がルーフパネル12全閉時に起こった場合は、フック部材501と係合ピン504との係合を解除できなくなるが、ルーフパネル12の全閉状態を維持することはできる。一方、この断線がルーフパネル12全閉時以外のとき(例えば、収納時)に起こった場合は、フック部材501は付勢バネ502の付勢力により上記停止位置まで回動する。そして、この状態でルーフパネル12が全閉状態へと開閉動作すると、後側連結リンク34と共に回動する係合ピン504が鉤状部501aの外側端縁501dに当接する。ここで、該外側端縁501dは上述の如く傾斜しているため、係合ピン504が全閉位置(図8参照)へ向かって移動するときの押圧力がフック部材501に対して該フック部材501を解除方向へ回動させるように作用する。その結果、係合ピン504は、ルーフパネル12の全閉状態への開閉動作に伴って、フック部材501を解除方向へ回動させながら移動軌跡Tに沿って全閉位置へ移動する。このとき、係合ピン504は鉤状部501aの外側端縁501dを基端側から先端側に向かって相対的に移動することになるが、係合ピン504が鉤状部501aに当接している部分が外側端縁501dから内側端縁の先端側部分501cに切り替わると、フック部材501は付勢バネ502の付勢力により係合方向へ回動し始め、係合ピン504が全閉位置まで移動したときに該係合ピン504と係合する。
こうして、第1駆動ケーブル503が断線した場合であっても、ルーフパネル12が全閉状態となるときに全閉位置へ移動する係合ピン504の押圧力でフック部材501を解除方向に回動させてフック部材501と係合ピン504との係合を行えるように構成することによって、ルーフパネル12が全閉状態へ開閉動作するときに係合ピン504がフック部材501と干渉して、全閉状態まで移動することができないという事態を防止することができ、ルーフパネル12を確実に全閉状態にすることができる。
<収納時ロック機構>
次に、収納時ロック機構510について説明する。この収納時ロック機構510は、左右両側に設けられたルーフパネル開閉装置2それぞれに設けられているが、それらの構成は同じであるため、左側の収納時ロック機構510について説明する。
収納時ロック機構510は、ルーフパネル12収納時にトランクルーム15内で該ルーフパネル12を保持するためのものであって、図9に示すように、ベースブラケット31に設けられた案内ガイド512に取り付けられて前後方向に直動可能な係合バー511と、該係合バー511を後方へ付勢する付勢バネ513と、該係合バー511を該付勢バネ513の付勢力に抗して前方へ移動させる第2駆動ケーブル514と、ルーフパネル12の前端部に設けられ、上記係合バー511が係合する被係合穴515が形成された被係合部材516(図1〜3、14、15参照)とを有する。
上記係合バー511は、先端がトランクルーム15内に突出するように設けられていて、収納状態となったルーフパネル12の被係合部材516の被係合穴515に挿入する位置に設けられている(図14、15参照)。
詳しくは、第2駆動ケーブル514の駆動を解除(非駆動)することによって係合バー511を付勢バネ513の付勢力で後方(トランクルーム15内方)へ移動させて、全閉状態となったルーフパネル12の被係合部材516の被係合穴515に係合させる。一方、第2駆動ケーブル514を駆動することによって係合バー511を付勢バネ513の付勢力に抗して前方(トランクルーム15外方)へ移動させて、係合バー511と被係合穴515との係合を解除させる。
<分割駆動ケーブル>
上記リンク拘束機構500と収納時ロック機構510とは、分割駆動ケーブル100を介して電動モータ10によって駆動されている。
この分割駆動ケーブル100は、図9に示すように、上記にフック81連結された入力ケーブル84と、上記リンク拘束機構500を駆動する第1駆動ケーブル503と、上記収納時ロック機構510を駆動する第2駆動ケーブル514と、該入力ケーブル84、第1駆動ケーブル503及び第2駆動ケーブル514を連結する連結部材110とを有する。
上記連結部材110は、車体1に対して取り付けられた固定ブラケット110aと該固定ブラケット110aに対して回動自在に設けられた連結プレート110bとから構成される。
上記入力ケーブル84は、アウタケーブル84aと、該アウタケーブル84a内に摺動可能に設けられたインナケーブル84bとで構成される。そして、アウタケーブル84aの入力端部は上記ベースブラケット71に取り付けられていると共に、インナケーブル84bの入力端部はフック81に取り付けられている。一方、アウタケーブル84aの出力端部は上記固定ブラケット110aに取り付けられていると共に、インナケーブル84bの出力端部は上記連結プレート110bに対して該連結プレート110bの回動中心から所定の第3距離L3だけ離れた位置に取り付けられている。
上記第1駆動ケーブル503は、アウタケーブル503aと、該アウタケーブル503a内に摺動可能に設けられたインナケーブル503bとで構成される。そして、アウタケーブル503aの入力端部は固定ブラケット110aに取り付けられていると共に、インナケーブル503bの入力端部は連結プレート110bに対して該連結プレート110bの回動中心から所定の第1距離L1だけ離れた位置に取り付けられている。一方、アウタケーブル503aの出力端部はベースブラケット31に取り付けられていると共に、インナケーブル503bの出力端部はフック部材501に取り付けられている。
上記第2駆動ケーブル514は、アウタケーブル514aと、該アウタケーブル514a内に摺動可能に設けられたインナケーブル514bとで構成される。そして、アウタケーブル514aの入力端部は固定ブラケット110aに取り付けられていると共に、インナケーブル514bの入力端部は連結プレート110bに対して該連結プレート110bの回動中心から所定の第2距離L2だけ離れた位置に取り付けられている。一方、アウタケーブル514aの出力端部はベースブラケット31に取り付けられていると共に、インナケーブル514bの出力端部は係合バー511に取り付けられている。尚、本実施形態では、上記入力ケーブル84のインナケーブル84bと第2駆動ケーブル514のインナケーブル514bとは連結プレート110bに対して同じ位置に取り付けられており、従って上記第2距離L2と第3距離L3とは同じ値である。
上記フック81はロック伝達リンク83を介して電動モータ10によって駆動されており(図4等参照)、つまり、入力端部がフック81に取り付けられた分割駆動ケーブル100によって駆動されるリンク拘束機構500と収納時ロック機構510とは電動モータ10によって駆動されることになる。
以下に、フック81の動作と連動したリンク拘束機構500及び収納時ロック機構510の動作について説明する。
まず、ルーフパネル12全閉時においては、図4、9に示すように、フック81は係合ピン82と、フック部材501は係合ピン504と係合した状態にある。尚、係合バー511は後方に移動した状態にあるが、ルーフパネル12が全閉状態であるためロック機構としては機能していない。
この状態から、フック81と係合ピン82との係合を解除する方向に電動モータ10が駆動すると、図12に示すように、入力ケーブル84のインナケーブル84bはフック81の回動に伴って引っ張られることになる。インナケーブル84bが引っ張られると、その出力端部に連結された連結プレート110bが一方の回動方向(図8において反時計回り)へ回動し、この連結プレート110bが一方の回動方向へ回動すると、第1駆動ケーブル503のインナケーブル503bと第2駆動ケーブル514のインナケーブル514bとが引っ張られることになる。その結果、第1駆動ケーブル503はフック部材501を解除方向へ回動させ、該フック部材501と係合ピン504との係合が解除させる。また、上述の通り、ルーフパネル12全閉時には収納時ロック機構510はロック機構としては機能していないが、第2駆動ケーブル514が引っ張られることにより、係合バー511は前方へ移動する。
このように、フック81の回動に伴う引張力が分割駆動ケーブル100を介してリンク拘束機構500及び収納時ロック機構510へ伝達する。ここで、第1駆動ケーブル503のインナケーブル503bの入力端部と第2駆動ケーブル514のインナケーブル514bの入力端部とは連結プレート110bに対してその回動中心からそれぞれ第1距離L1及び第2距離L2だけ離れた位置に取り付けられているため、入力ケーブル84から入力された引張力は、第1駆動ケーブル503と第2駆動ケーブル514とへL1:L2の割合で分配されて伝達する。また、ストローク量の観点からは、第1駆動ケーブル503のインナケーブル503bの入力端部と第2駆動ケーブル514のインナケーブル514bの入力端部と入力ケーブル84のインナケーブル84bの出力端部とは連結プレート110bに対してその回動中心からそれぞれ第1距離L1、第2距離L2及び第3距離L3だけ離れた位置に取り付けられているため、入力ケーブル84に入力されたストローク量(即ち、インナケーブル84bが引っ張られた量)は、(L1/L3)倍されて第1駆動ケーブル503へ伝達すると共に、(L2/L3)倍されて第2駆動ケーブル514へ伝達する。
こうして、リンク拘束機構500によるリンク機構3の拘束が解除されると、図13に示すように、電動モータ4が駆動されて、前側連結リンク33及び後側連結リンク34が後方へ回動を始める。
そして、ルーフパネル12が全閉状態から収納状態へ開閉動作する間、すなわち、トランクリッド14が全閉状態から一旦開状態となって、再び全閉状態となるまでの間は、フック81は係合ピン82との係合が解除される方向に回動したままなので、入力ケーブル84のインナケーブル84bは引っ張られた状態のままである。よって、フック部材501も解除方向へ回動した状態で維持されると共に、係合バー511も前方へ移動した状態で維持される。
やがて、図14に示すように、ルーフパネル12とバックウインドウパネル13とが上下に折り畳まれてトランクルーム15内に収納される。その後、トランクリッド14が全閉状態になると、上記伝達機構9が非伝達状態となり、ロック機構8がロック動作を行ってトランクリッド14をロックする。すなわち、フック81が係合ピン82と係合するように回動する。そうすると、入力ケーブル84のインナケーブル84bに作用していた引張力が解除され、その結果、図15に示すように、フック部材501は付勢バネ502の付勢力によって係合方向へ回動すると共に、係合バー511は付勢バネ513の付勢力によって後方へ移動する。
このとき、ルーフパネル12はトランクルーム15内に収納され、ルーフパネル12の前端部に設けられた上記被係合部材516の被係合穴515は係合バー511と対向する位置に位置している。つまり、係合バー511が付勢バネ513の付勢力により後方へ移動すると、該被係合穴515に係合し、収納状態のルーフパネル12をロックする。つまり、収納時ロック機構510はロック機構として機能することになる。
一方、ルーフパネル12収納時には、全閉状態のルーフパネル12を保持するためのリンク拘束機構500はロック機構としては機能する必要はない。そこで、ルーフパネル12が収納状態へ開閉動作するときに、図14、15に示すように、後方へ回動する前側連結リンク33の上記当接ブラケット33bがフック部材501に設けられた当接ピン505と当接することによって、フック部材501を前側連結リンク33と共に後方(即ち、解除方向)へ回動させて、フック部材501が、車体1の上端縁及びトランクリッド14の上端縁で形成されるベルトラインBLよりも下方に位置する状態で保持している。
このフック部材501は、第1駆動ケーブル503が非駆動状態となって係合位置まで回動したときには、図8に示すように、ベルトラインBLよりも上方に突出した状態となる。ルーフパネル12全閉時には、フック部材501がベルトラインBLより上方に突出してもバックウインドウパネル13に隠れるため車外から視認することができないが、ルーフパネル12収納時には、バックウインドウパネル13はルーフパネル12と共にトランクルーム15内に収納されるため、フック部材501がベルトラインBLよりも上方に突出していると、車外から視認できて、美感が悪くなる。そこで、上述の如く、ルーフパネル12収納時には、後方へ回動する前側連結リンク33と共に解除方向へ、ベルトラインBLから突出しない位置まで回動させて、側面視で車体1に隠れた位置で保持するようにしている。
こうして、ルーフパネル12が収納時ロック機構510によって全閉状態で保持されると共に、トランクリッド14もロック機構8によって全閉状態で保持された状態となる。
一方、ルーフパネル12が収納状態から全閉状態へ開閉動作するときには、電動モータ10が駆動されて、まず、フック81と係合ピン82との係合解除が行われる。これに伴って、入力ケーブル84のインナケーブル84bが引っ張られるため、フック部材501を解除方向へ回動させると共に係合バー511を前方へ移動させる。その結果、係合バー511と被係合穴515との係合が解除される。こうして、トランクリッド14を保持するロック機構8とルーフパネル12を保持する収納時ロック機構510のアンロック動作が略同時に行われる。
そして、ルーフパネル12が収納状態から全閉状態へ開閉動作する間、すなわち、トランクリッド14が全閉状態から一旦開状態となって、再び全閉状態となるまでの間は、フック81は係合ピン82との係合が解除される方向に回動したままなので、入力ケーブル84のインナケーブル84bは引っ張られた状態のままである。よって、したがって、フック部材501も解除方向へ回動した状態で維持されると共に、係合バー511も前方へ移動した状態で維持される。
やがて、ルーフパネル12の前端部がフロントヘッダ16と当接して全閉状態になると、トランクリッド14も全閉状態となっており、この全閉状態のトランクリッド14に対してロック機構8がロック動作を行う。すなわち、フック81が係合ピン82と係合するように回動する。そうすると、入力ケーブル84のインナケーブル84bに作用していた引張力が開放され、その結果、フック部材501は付勢バネ502の付勢力によって係合方向へ回動すると共に、係合バー511は付勢バネ513の付勢力によって後方へ移動する。
このとき、ルーフパネル12は全閉状態となっており、後側連結リンク34に設けられた係合ピン504はフック部材501と係合可能な全閉位置に位置する。つまり、フック部材501が付勢バネ502の付勢力により係合方向へ回動すると、鉤状部501aが係合ピン504に係合し、ルーフパネル12全閉時のリンク機構3を拘束する。つまり、リンク拘束機構500はロック機構として機能することになる。
一方、収納時ロック機構510は、ルーフパネル12が全閉状態となりトランクルーム15内には存在しないため、係合バー511は後方へ移動するだけでロック機構としては機能していない。
こうして、ルーフパネル12がリンク拘束機構500によって全閉状態で保持されると共に、トランクリッド14もロック機構8によって全閉状態で保持された状態となる。
したがって、上記実施形態によれば、電動モータ10を駆動力をリンク機構7に伝達させる伝達状態と伝達させない非伝達状態とを切り換えることができる伝達機構9を設けると共に、非伝達状態のときの電動モータ10の駆動力をロック機構8のロック/アンロック動作に用いることによって、トランクリッド14の開閉動作と、トランクリッド14を全閉状態で維持した状態でのロック機構8のロック/アンロック動作を1つの電動モータ10で実現することができる。その結果、トランクリッド14の開閉駆動とロック機構8の駆動とを共通化することができ、電動モータの個数及びそれに関連する部品を削減することができる。
そして、前記伝達状態及び非伝達状態は、電動モータ10の駆動力をリンク機構7に伝達させる駆動リンク91を案内するガイド部94を、トランクリッド14全閉時の駆動リンク91と後側連結リンク74との連結部91aを中心として連結ピン93上を通る円弧C1形状をした非伝達案内部94aとセクターギヤ92の回動中心を中心として連結ピン93上を通る円弧C2形状をした伝達案内部94bとで形成することによって実現することができる。
すなわち、駆動リンク91を該伝達案内部94bに沿って案内することによって、該連結部91aが変位するように駆動リンク91が移動し、その結果、リンク機構7を動かして、トランクリッド14を開閉作動させることができる(伝達状態)。一方、駆動リンク91を該非伝達案内部94aに沿って案内することによって、該駆動リンク91は該連結部91aを中心に回動するだけで、その結果、リンク機構7を動かさず、トランクリッド14を全閉状態のまま静止させることができる(非伝達状態)。
また、駆動リンク91の他端部に挿通させた連結ピン93を嵌合するセクターギヤ92の嵌合穴92cをセクターギヤ92の回動中心に対する半径方向に延びる長穴形状とすることによって、連結ピン93を、セクターギヤ92の回動中心を中心とする円弧C2形状だけでなく、トランクリッド14全閉時の駆動リンク91の連結部91aを中心とする円弧C1形状となった部分もあるガイド部94に沿って案内しながら駆動することができる。すなわち、連結ピン93が円弧C2形状をした伝達案内部94bに沿って案内されるときには、連結ピン93とセクターギヤ92の回動中心との距離は一定である。ところが、連結ピン93が円弧C1形状をした非伝達案内部94aに沿って案内されるときには、連結ピン93とセクターギヤ92の回動中心との距離は連結ピン93の位置によって変わる。そこで、セクターギヤ92の嵌合穴92cを長穴形状とすることによって、連結ピン93とセクターギヤ92の回動中心との距離を自在に調整しながら連結ピン93をガイド部94に沿って案内しながら駆動することができる。
さらに、セクターギヤ92は減速ギヤの機能も果たすため、電動モータ10の駆動力が小さくても、トランクリッド14を開閉動作させることができる。
尚、上記実施形態では、トランクリッド開閉装置6によってトランクリッド14を開閉動作させると共にロック/アンロックさせるものであるが、これに限られるものではない。すなわち、トランクリッド14に限られず、ルーフパネル12やトノカバー等を開閉するように構成してもよい。